【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた
本発明の監視システムは、
識別情報を周期的に送信する送信タグからの送信信号を受信する受信手段、監視範囲内の人を検知する検知手段、及び、前記受信手段による受信信号のレベルを検出するレベル検出手段を備えた第1検出装置及び第2検出装置と、
前記第1検出装置及び前記第2検出装置を構成する前記受信手段、前記検知手段、及び前記レベル検出手段による検出結果に基づき、前記送信タグを所持する監視対象者が、前記第1検出装置の検知手段による第1監視範囲、及び、前記第2検出装置の検知手段による第2監視範囲を順に通過するのを検出する監視装置と、
を備え、
前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲は、それぞれ、前記監視対象者が通過する通路を、前記監視対象者の通過方向に分割することにより設定され、
前記第1検出装置及び前記第2検出装置は、それぞれ、前記各監視範囲を同一方向から監視するよう、前記通路の周囲に、前記通過方向に分散して配置されており、
前記監視装置は、
前記第1検出装置の検知手段及び前記第2検出装置の検知手段が、一定の判定時間内に順に人を検知したとき、前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲を人が順に通過したと判定する通過判定手段と、
前記通過判定手段にて、前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲を人が順に通過したと判定されると、前記第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの間に前記第1検出装置及び前記第2検出装置のレベル検出手段にてそれぞれ検出された信号レベルを比較し、前記第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、前記第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する第1レベル判定手段と、
前記通過判定手段にて、前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲を人が順に通過したと判定されると、前記第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの間に前記第1検出装置及び前記第2検出装置のレベル検出手段にてそれぞれ検出された信号レベルを比較し、前記第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、前記第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する第2レベル判定手段と、
前記第1レベル判定手段及び前記第2レベル判定手段にて共に肯定判断されると、前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲を順に通過したのは、前記送信タグを所持する監視対象者であると判断して、所定の通知先に通知する監視対象者判定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
次に、請求項2に記載の監視システムは、請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記第1レベル判定手段は、前記第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの間に、前記第1検出装置及び前記第2検出装置の受信手段にて、前記識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されているときには、識別情報が同じ受信信号毎に信号レベルを比較し、前記第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、前記第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定し、
前記第2レベル判定手段は、前記第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの間に、前記第1検出装置及び前記第2検出装置の受信手段にて、前記識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されているときには、識別情報が同じ受信信号毎に信号レベルを比較し、前記第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、前記第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定し、
前記監視対象者判定手段は、前記第1レベル判定手段及び前記第2レベル判定手段にて肯定判断された受信信号の識別情報が同じであるとき、当該識別情報にて特定される監視対象者が前記第1監視範囲及び前記第2監視範囲を順に通過したと判断して、所定の通知先に通知することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の監視システムは、請求項2に記載の監視システムにおいて、
前記第1レベル判定手段は、前記第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの間に、前記第1検出装置及び前記第2検出装置の少なくとも一方の受信手段にて、前記識別情報が同じ信号が複数回受信されたときには、その複数回受信された同一識別情報の受信信号に対し、前記第1検出装置若しくは前記第2検出装置のレベル検出手段にて検出された複数の信号レベルの平均値を算出し、該平均値を用いて前記信号レベルの比較・判定を行い、
前記第2レベル判定手段は、前記第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの間に、前記第1検出装置及び前記第2検出装置の少なくとも一方の受信手段にて、前記識別情報が同じ信号が複数回受信されたときには、その複数回受信された同一識別情報の受信信号に対し、前記第1検出装置若しくは前記第2検出装置のレベル検出手段にて検出された複数の信号レベルの平均値を算出し、該平均値を用いて前記信号レベルの比較・判定を行うことを特徴とする。
【0012】
一方、請求項4に記載の発明は、コンピュータを、請求項1〜請求項3の何れかに記載の通過判定手段、第1レベル判定手段、第2レベル判定手段、及び監視対象者判定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の監視システムにおいては、識別情報を周期的に送信する送信タグからの送信信号を受信する受信手段、監視範囲内の人を検知する検知手段、及び、受信手段による受信信号のレベルを検出するレベル検出手段、を有する一対の検出装置(第1検出装置及び第2検出装置)を備える。
【0014】
そして、監視装置が、その一対の検出装置をそれぞれ構成する受信手段、検知手段、及びレベル検出手段による検出結果に基づき、送信タグを所持する監視対象者が、第1検出装置の検知手段による第1監視範囲、及び、第2検出装置の検知手段による第2監視範囲を順に通過するのを検出する。
【0015】
また、監視装置において、監視対象者の通過を検出する際には、まず、通過判定手段が、第1検出装置の検知手段及び第2検出装置の検知手段が一定の判定時間内に順に人を検知したとき、人(換言すれば監視対象者を含む誰か)が、第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したと判定する。
【0016】
そして、通過判定手段にて、第1監視範囲及び第2監視範囲を人が順に通過したと判定されると、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段が、それぞれ、レベル判定を行う。
【0017】
すなわち、第1レベル判定手段は、第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの期間内に、第1検出装置及び第2検出装置のレベル検出手段にてそれぞれ検出された信号レベルを比較し、第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する。
【0018】
また、第2レベル判定手段は、第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの期間内に、第1検出装置及び第2検出装置のレベル検出手段にてそれぞれ検出された信号レベルを比較し、第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する。
【0019】
そして、第1レベル判定手段及び前記第2レベル判定手段にて共に肯定判断されると、監視対象者判定手段が、第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したのは、送信タグを所持する監視対象者であると判断して、所定の通知先に通知する。
【0020】
つまり、本発明では、
(1)通過判定手段にて、第1監視範囲及び第2監視範囲を人が順に通過したと判定され、
(2)第1レベル判定手段にて、その通過判定された人が第1監視範囲内若しくは第1監視範囲近傍にいるときに第1検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルが、第2検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルよりも高いと判定され、
(3)第2レベル判定手段にて、その通過判定された人が第2監視範囲内若しくは第2監視範囲近傍にいるときに第2検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルが、第1検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルよりも高いと判定されると、
監視対象者判定手段にて、第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したのは、送信タグを所持する監視対象者であると判断して、所定の通知先に通知する。
【0021】
これは、通過判定手段にて、第1監視範囲及び第2監視範囲を人が順に通過したと判定されたとしても、その人が送信タグを所持した監視対象者でなければ、第1検出装置のレベル検出手段及び第2検出装置のレベル検出手段による検出レベルの大小関係が、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段で共に肯定されるように変化することはなく、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段の少なくとも一方で否定判定されるからである。
【0022】
従って、本発明の監視システムによれば、監視対象者が第1検出装置及び第2検出装置に近傍にいて、監視対象者が所持した送信タグからの送信信号が各検出装置の受信手段に届く場合に、監視対象者以外の人が第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したとしても、監視対象者が通過したと誤判定されることはなく、送信タグを所持した監視対象者が第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したときにだけ、その通過を正確に検出することができる。
【0023】
よって、例えば、本発明の監視システムを使って、老人ホームで痴呆老人が施設の外に出るのを監視する場合には、第1検出装置を、施設の出入り口の施設側に配置し、第2検出装置を、施設の出入り口の外側に配置し、これら各検出装置の検知手段による第1監視範囲及び第2監視範囲を、各設置位置にて出入り口の通路を横切るように設定すれば、監視対象者となる痴呆老人が施設の外に出たことを正確に検出して、その旨を所定の通知先に通知することができるようになる。
【0024】
なお、この通知は、周囲に警報音を発生するだけでもよく、監視者(ヘルパー等)が所持する携帯端末に無線送信するようにしてもよい。
ところで、本発明の監視システムにおいて、第1レベル判定手段は、第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの期間内に第1検出装置及び第2検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルを比較し、第2レベル判定手段は、第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの期間内に第1検出装置及び第2検出装置のレベル検出手段にて検出された信号レベルを比較する。
【0025】
これは、監視対象者が所持した送信タグが、識別情報を周期的に送信するように構成されており、第1検出装置或いは第2検出装置の検知手段にて人が検知されたときに、受信手段にて送信タグからの送信信号が受信されるとは限らないためである。
【0026】
しかし、このように第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段にて信号レベルを比較する受信信号の検出期間を一定時間に設定すると、その検出期間(時間)内に、第1検出装置及び第2検出装置の受信手段にて識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されることがある。
【0027】
そして、このように、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段による受信信号の信号レベルの検出期間(時間)内に、識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信され、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段が、その識別情報が異なる受信信号の信号レベルを比較すると、監視対象者が通過したか否かを正確に判断することができなくなる。
【0028】
そこで、本発明の監視システムは、より好ましくは、請求項2に記載のように構成するとよい。
すなわち、請求項2に記載の監視システムにおいて、第1レベル判定手段は、第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの間に、第1検出装置及び第2検出装置の受信手段にて、識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されているときには、識別情報が同じ受信信号毎に信号レベルを比較し、第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する。
【0029】
また、第2レベル判定手段は、第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの間に、第1検出装置及び第2検出装置の受信手段にて、識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されているときには、識別情報が同じ受信信号毎に信号レベルを比較し、第2検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルが、第1検出装置のレベル検出手段により検出された信号レベルよりも高いか否かを判定する。
【0030】
そして、監視対象者判定手段は、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段にて肯定判断された受信信号の識別情報が同じであるとき、当該識別情報にて特定される監視対象者が第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過したと判断して、所定の通知先に通知する。
【0031】
従って、請求項2に記載の監視システムによれば、第1レベル判定手段及び第2レベル判定手段による受信信号の信号レベルの検出期間(一定時間)内に、第1検出装置及び第2検出装置の受信手段にて識別情報が異なる複数の送信タグからの送信信号が受信されたとしても、識別情報が同じ受信信号の信号レベルに基づき、監視対象者の通過を正確に判定することができるようになる。
【0032】
一方、送信タグの送信周期や、監視対象者の通過速度によっては、第1レベル判定手段若しくは第2レベル判定手段による受信信号の信号レベルの検出期間(時間)内に、第1検出手段及び第2検出手段の少なくとも一方の受信手段にて、識別情報が同じ信号が複数回受信されることがある。
【0033】
そして、このように、識別情報が同じ信号(換言すれば一つの送信タグからの送信信号)が複数回受信された場合、第1レベル判定手段若しくは第2レベル判定手段では、その複数の受信信号の一つの受信レベルを、比較すべき受信レベルとして選択するようにしてもよい。
【0034】
これに対し、第1レベル判定手段若しくは第2レベル判定手段を、請求項3に記載のように構成すれば、監視対象者の通過をより精度よく判定することが可能となる。
すなわち、請求項3に記載の監視システムにおいて、第1レベル判定手段は、第1検出装置の検知手段が人を検知したときから一定時間前までの間に、第1検出装置及び第2検出装置の少なくとも一方の受信手段にて、識別情報が同じ信号が複数回受信されたときには、その複数回受信された同一識別情報の受信信号に対し、第1検出装置若しくは第2検出装置のレベル検出手段にて検出された複数の信号レベルの平均値を算出し、該平均値を用いて信号レベルの比較・判定を行う。
【0035】
また、第2レベル判定手段は、第2検出装置の検知手段が人を検知してから一定時間経過するまでの間に、第1検出装置及び第2検出装置の少なくとも一方の受信手段にて、識別情報が同じ信号が複数回受信されたときには、その複数回受信された同一識別情報の受信信号に対し、第1検出装置若しくは第2検出装置のレベル検出手段にて検出された複数の信号レベルの平均値を算出し、該平均値を用いて信号レベルの比較・判定を行う。
【0036】
つまり、請求項3に記載の監視システムにおいては、第1レベル判定手段若しくは第2レベル判定手段による受信信号の信号レベルの検出期間(時間)内に、第1検出手段若しくは第2検出手段の受信手段にて識別情報が同じ信号が複数回受信された際には、その受信された複数の受信信号の受信レベルの平均値を求め、その受信レベルの平均値を、比較すべき受信レベルとして選択するのである。
【0037】
そして、このようにすれば、ノイズ等によってレベル検出手段にて検出された信号レベルが一時的に変動した場合であっても、そのレベル変動の影響を受けることなく、監視対象者の通過を精度よく判定することができるようになる。
【0038】
次に、監視装置は、第1検出装置及び第2検出装置をそれぞれ構成する受信手段、検知手段、及びレベル検出手段による検出結果に基づき、送信タグを所持する監視対象者が第1監視範囲及び第2監視範囲を順に通過するのを検出するものであるため、監視専用のコンピュータ若しくはパーソナルコンピュータを用いて実現できる。
【0039】
そして、このように監視装置をコンピュータにて構成する場合には、請求項4に記載のプログラムを用いるようにすればよい。
つまり、請求項4に記載のプログラムは、コンピュータを、請求項1〜請求項3の何れかに記載の監視装置を構成する、通過判定手段、第1レベル判定手段、第2レベル判定手段、及び監視対象者判定手段として機能させるためのプログラムであるため、このプログラムを用いれば、コンピュータを本発明の監視装置として機能させることができる。