(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865699
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】泡吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20160204BHJP
B05B 11/00 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
B65D47/34 B
B05B11/00 101G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-284763(P2011-284763)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-133138(P2013-133138A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】
結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−142608(JP,A)
【文献】
実開平02−141379(JP,U)
【文献】
特開2010−155620(JP,A)
【文献】
実開平06−052943(JP,U)
【文献】
特開2012−206760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B65D 83/00
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(A)内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器であって、有底筒状の胴部(10)より肩部(11)を介して口頸部(12)を起立した容器体(A)と、容器体(A)に対して連結部材(B)を介して装着したフォーマーポンプ(C)とを備え、
フォーマーポンプ(C)は、装着キャップ(C1)より垂設した大径の空気用シリンダ(40)及び小径の液用シリンダ(41)を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材(C2)と、液用シリンダ(41)内を摺動する液用ピストン(50)をステム(51)外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ(40)内を摺動する空気用ピストン(52)をステム(51)外周上部に連係させ、ステム(51)上端に装着キャップ(C1)より突出する吐出ヘッド(53)を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(C3)とを備え、
作動部材(C3)の上下動により液用シリンダ(41)内の液と空気用シリンダ(40)内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッド(53)の吐出口より泡として吐出する如く構成してなり、シリンダ部材(C2)とは別体である連結部材(B)の上部を、当該シリンダ部材(C2)外周に位置させてフォーマーポンプへ固定するとともに、装着キャップ(C1)の外面に上端部を固定して下方へ上記連結部材を覆うカバー筒(D)を垂設し、
容器体(A)内に液用シリンダ(41)を垂下するとともに、口頸部(12)上方に空気用シリンダ(40)を位置させ、且つ、容器体(A)の胴部(10)外周にカバー筒(D)下端部を嵌合させた状態で、連結部材(B)を介してフォーマーポンプ(C)を容器体(A)に装着したことを特徴とする泡吐出器。
【請求項2】
連結部材(B)とカバー筒(D)とを固定したフォーマーポンプ(C)に対して、容器体(A)の着脱自在な装着が可能に構成した請求項1に記載の泡吐出器。
【請求項3】
連結部材(B)を、空気用シリンダ(40)外周に嵌合させる周壁(23)の下端縁よりフランジ状の底板(22)を延設するとともに、底板(22)下面より口頸部(12)外周に嵌合させる装着筒(20)を垂設し、周壁(23)外周に装着キャップ(C1)の周壁(30)を嵌合係止可能に構成してなり、カバー筒(D)を、装着キャップ周壁(30)外周に上端部を固定するとともに、下端部を容器体(A)の胴部(10)外周への嵌合が可能に下方へ垂設してなる請求項1又は請求項2に記載の泡吐出器。
【請求項4】
容器体(A)の胴部(10)外周上端部に、カバー筒(D)の下端部が嵌合する嵌合用凹部(13)を設けた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の泡吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
装着した容器体内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された泡吐出器は、容器体の口頸部外周に嵌合させた装着キャップに上端部を固定して容器体内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ及び小径の液用シリンダを上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材と、液用シリンダ内を摺動する液用ピストンをステム外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ内を摺動する空気用ピストンをステム外周上部に連係させ、ステム上端に吐出ヘッドを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材とを備え、作動部材の上下動により液用シリンダ内の液と空気用シリンダ内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドの吐出口より泡として吐出する如く構成している。
【0004】
従って、容器体内に大径の空気用シリンダと、その下方に連設した小径の液用シリンダとを、一緒に挿入した状態で使用しているため、容器体の内容積に比較して使用可能な液の量が極小量に限定されるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−208786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、使用する液体を収納する容器体内のデッドスペースを減らして容器体を小型化でき、しかも外観も良好に形成でき、容器体の交換も外観を損ねることなく簡単に行える泡吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。
容器体A内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器であって、有底筒状の胴部10より肩部11を介して口頸部12を起立した容器体Aと、容器体Aに対して連結部材Bを介して装着したフォーマーポンプCとを備え、
フォーマーポンプCは、装着キャップC1より垂設した大径の空気用シリンダ40及び小径の液用シリンダ41を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材C2と、液用シリンダ41内を摺動する液用ピストン50をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ40内を摺動する空気用ピストン52をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に装着キャップC1より突出する吐出ヘッド53を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材C3とを備え、
作動部材C3の上下動により液用シリンダ41内の液と空気用シリンダ40内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッド53の吐出口より泡として吐出する如く構成してなり
、シリンダ部材C2とは別体である連結部材Bの上部を、当該シリンダ部材C2外周に位置させてフォーマーポンプへ固定するとともに、装着キャップC1の外面に上端部を固定して下方へ
上記連結部材を覆うカバー筒Dを垂設し、
容器体A内に液用シリンダ41を垂下するとともに、口頸部12上方に空気用シリンダ40を位置させ、且つ、容器体Aの胴部10外周にカバー筒D下端部を嵌合させた状態で、連結部材Bを介してフォーマーポンプCを容器体Aに装着している。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、連結部材Bとカバー筒Dとを固定したフォーマーポンプCに対して、容器体Aの着脱自在な装着が可能に構成した。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段に於いて、連結部材Bを、空気用シリンダ40外周に嵌合させる周壁23の下端縁よりフランジ状の底板22を延設するとともに、底板22下面より口頸部12外周に嵌合させる装着筒20を垂設し、周壁23外周に装着キャップC1の周壁30を嵌合係止可能に構成してなり、カバー筒Dを、装着キャップ周壁30外周に上端部を固定するとともに、下端部を容器体Aの胴部10外周への嵌合が可能に下方へ垂設してなる。
【0010】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれかの手段に於いて、容器体Aの胴部10外周上端部に、カバー筒Dの下端部が嵌合する嵌合用凹部13を設けた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器体A内のフォーマーポンプの占める割合が極端に減少し、同じ量の液を収納した従来の容器体と比較して容器体Aの大きさを極めて小さいものとすることができる。また、カバー筒Dの存在で容器体AとフォーマーポンプCとを一体感のある泡吐出器として体裁良くまとめることができ、差別化を図れる。しかもカバー筒Dの存在で胴部を若干薄肉に形成しても容器体胴部10の強度保持が可能であり、胴部10を形成する樹脂量の削減ができるという特徴がある。
【0012】
連結部材Bとカバー筒Dとを固定したフォーマーポンプCに対して、容器体Aの着脱自在な装着が可能に構成した場合には、容器体A内の液が無くなった場合に代わりのレフィール容器体を簡単に交換することができ、或いは、容器体A内へ補充容器より内容物を簡単に補充することができ、取り扱いが便利である。
【0013】
連結部材Bを、空気用シリンダ40外周に嵌合させる周壁23の下端縁よりフランジ状の底板22を延設するとともに、底板22下面より口頸部12外周に嵌合させる装着筒20を垂設し、周壁23外周に装着キャップC1の周壁30を嵌合係止可能に構成してなり、カバー筒Dを、装着キャップ周壁30外周に上端部を固定するとともに、下端部を容器体Aの胴部10外周への嵌合が可能に下方へ垂設してなる場合には、全体を極めてコンパクトに形成でき、しかも装着キャップC1からカバー筒Dを介して容器体Aの胴部10に至る略同一外径の外観良好な泡吐出器を得られる。
【0014】
容器体Aの胴部10外周上端部に、カバー筒Dの下端部が嵌合する嵌合用凹部13を設けた場合には、カバー筒
Dの容器体胴部10への嵌合がより行い易く、また、カバー筒D外面と容器体胴部10外面とを段差なく面一に形成できるため、より外観が良好となる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】泡吐出器の要部切欠側面図である。(実施例1)
【
図2】容器体が外れた状態の泡吐出器の要部切欠側面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は泡吐出器の一例を示すもので、泡吐出器1は、容器体Aと、連結部材Bと、フ ォーマーポンプCと、カバー筒Dと、オーバーキャップEとを備えている。
【0018】
容器体Aは合成樹脂製で、有底筒状の胴部10より
肩部11を介して口頸部12を起立しており、胴部10の外周上端には、周方向帯状の嵌合用凹部13を凹設している。
【0019】
連結部材Bは合成樹脂製で、口頸部12外周に螺合させる装着筒20を、中央に窓孔を穿設した底板22の下面より垂設し、底板22周縁部より上方へ周壁23を起立している。本例では、
図2に示す如く、フォーマーポンプCに予め装着固定しておく。その場合、フォーマーポンプCの後述するシリンダ部材C2外周に
連結部材の上部を位置させて下記の如く嵌着する。
【0020】
フォーマーポンプCは、装着キャップC1と、シリンダ部材C2と、作動部材C3とを備えている。
【0021】
装着キャップC1は、フォーマーポンプCを連結部材Bに固定するためのもので、連結部材周壁23外周に螺着させた周壁30の上端縁より、中央に作動部材C3を貫通させる窓孔を開口した頂壁31を延設している。
【0022】
シリンダ部材C2は、大径の空気用シリンダ40の下部に、小径の液用シリンダ41を同心円状に延設している。空気用シリンダ40は、周壁部の下端縁より底壁部を延設し、底壁部の内周縁に液用シリンダ41の上端縁を一体に連結して構成している。また、周壁部の上端を装着キャップC1の頂部裏面に嵌着して、装着キャップC1より垂設している。
【0023】
液用シリンダ41は、空気用シリンダ40の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部を延設し、底壁部の上面を吸込み弁用の弁座として構成し、液用シリンダ41内下部を上下動可能に装着されたポペット弁体46とで吸込み弁47を構成している。また、底壁部の中央開口縁より下方へパイプ嵌合筒を一体に垂設している。パイプ嵌合筒には吸い上げ用のパイプ48の上端を嵌着し、その下端を容器体A内下端部に垂下させている。
【0024】
作動部材C3は、液用シリンダ41内を摺動する液用ピストン50をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ40内を摺動する空気用ピストン52をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に吐出ヘッド53を嵌着している。そして、液用ピストン50下面に介在させたコイルスプリングsにより上方付勢状態で上下動可能に装着している。
【0025】
ステム51内には吐出弁54を備え、吐出弁上方にはメッシュ55を張設した筒体を設けて起泡層としている。更に、空気用ピストン52の内周縁部には空気吐出弁56を形成しており、この空気吐出弁56から起泡層下方の気・液混合室に連通する空気通路57を備えている。また、空気用ピストンには外気導入弁58を設けている。
【0026】
カバー筒Dは、装着キャップC1の外周に上端部を固定して下方へ垂設したもので、本例では、
図2に示す如く、連結部材BともどもフォーマーポンプCに予め装着固定しておく。その場合、フォーマーポンプCの装着キャップ周壁30の外周に上端部を固定して、下端部を容器体Aの胴部10外周に嵌着すべく、液用シリンダ41下部位置まで垂下している。カバー筒Dを固定する手段としては、接着、溶着、或いは嵌着等より適宜採用できる。また、カバー筒Dは、基本的に合成樹脂製で、単層構造であっても積層構造であっても良く、比較的肉薄のものが好ましく採用される。具体的に例示すれば、シュリンクフィルム、タックラベル、チューブスリーブ等が挙げられるが、これに限らない。
【0027】
オーバーキャップEは、装着キャップC1の周壁30外周上部に形成した嵌合凹部に周壁下端部を嵌合させて着脱可能に装着している。
【0028】
上記泡吐出器1は、
図2に示す如く、フォーマーポンプCに連結部材B及びカバー筒Dを装着したものを、容器体A内にパイプ48、シリンダ部材C2下端部を挿入して、装着筒20を口頸部12外周に螺合しつつ、カバー筒Dの下端部を容器体胴部10の外周上部に嵌合することで、容器体Aに装着することができる。本例では、容器体Aの胴部10外周上端部に嵌合用凹部13を備えているため、容器体胴部10の外周面とカバー筒Dの外周面と略面一に形成でき、上から下まで略同外径の泡吐出器を構成できる。尚、本例では容器体胴部10の外周面とカバー筒Dの外周面とを面一に形成した例を示しているが、本発明では、これらが必ずしも面一に形成されている場合に限られるものではなく、例えば、カバー筒Dの下端に段差があっても良い。
【0029】
上記フォーマーポンプCは、
図1の状態からオーバーキャップEを外して吐出ヘッド53を押し下げると、空気用ピストン52がステム51に対して相対的に上昇して空気吐出弁56が開き、また下降する空気用ピストン52により空気用シリンダ40内の空気が加圧されて空気通路57を介して気液混合室内に導入される。一方、液用ピストン50が下降してポペット弁体46を吸込み弁用の弁座に当接させるまで下降させるとともに、液用シリンダ41内の加圧液を吐出弁54を介して気液混合室に導入させ、ここで、気液を混合する。気液混合室で混合された気液は起泡層を通過して発泡し、吐出ヘッド53のノズルより泡として吐出される。
【0030】
吐出ヘッド53の押圧を解除するとコイルスプリングsの付勢力により作動部材C3が上昇し、その際空気用ピストン52がステム51に対して相対的に下降して空気吐出弁56が閉じ、空気用シリンダ40内の負圧化によって外気導入弁58が開いて外気が空気用シリンダ40内に導入される。一方、ステム51の上昇によりポペット弁体46は上昇し、吸込み弁47が開いて負圧化した液用シリンダ41内に容器体A内の液が導入され、その際吐出弁54は閉じる。
【0031】
容器体A内の液が無くなった場合には、フォーマーポンプCより容器体Aを外して液の詰め替えを行うことができ、或いは、液の充填されている詰め替え用の容器体Aを装着することで再使用が可能となる。
【0032】
尚、上記例では、カバー筒DをフォーマーポンプCに予め嵌着固定しておいた場合について説明したが、本発明ではカバー筒Dを予め容器体A側に固定しておいても良い。
【符号の説明】
【0033】
1…泡吐出器
A:容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部、13…嵌合用凹部
B:連結部材
20…装着筒、22…底板、23…周壁
C:フォーマーポンプ
C1…装着キャップ
30…周壁、31…頂壁
C2…シリンダ部材
40…空気用シリンダ、41…液用シリンダ、46…ポペット弁体、47…吸込み弁、
48…吸い上げ用のパイプ
C3…作動部材
50…液用ピストン、51…ステム、52…空気用ピストン、53…吐出ヘッド、
54…吐出弁、55…メッシュ、56…空気吐出弁、57…空気通路、
58…外気導入弁
D…カバー筒
E…オーバーキャップ
s…コイルスプリング