【課題を解決するための手段】
【0010】
(クラウド利用、−空間状況と意識状況の導入)
簡単に述べると、本発明は移動ルート(経路)に沿った主要な施設又は自然空間又は歴史空間の画
像情報とその施設・空間に関する音声情報を、ナビ装置上の(又はインターネット上の、又はクラウドコンピュータ上の)データベースから、場合により移動状態(空間状況)及び利用者の状況(意識状況)を勘案しながら、巧みに引出し、合成し、それらをナビ装置搭載のディスプレイにポップアップ
画像を表示し、音声再生器により音声(又は音楽、又は両者)を提供する。
【0011】
(ディバイスの連携化)
又このナビ装置は全ての必要な機能を具備しても良いが、ナビ装置の記憶容量や分析情報処理能力に限界があるので、好ましくは、ナビ本体及び利用者のスマートフォンなどの通信・情報処理機器との連携動作によって上記全ての必要な機能を分担して達成することも出来る。
【0012】
(発明の構成)
より具体的に述べると、本発明は、下記の通りである。
(本発明の機能)
ナビ装置に搭載した、地図画像を地図座標と関連づけて記憶した地図情報データベースと、ナビ装置、又はインターネット、又はクラウドコンピュータ上に記憶された施設(総合施設、建物、歴史建物等、公園、景観、歴史遺産など)、自然(山岳、河川、海岸、特別な植生地、地質に加え自然を構成する空間の物理現象及び環境データなど)、その他地球上の場所に関連した知るべき対象(オブジェクトのこと。以下同様)及び案内シナリオ(場所・ルートに関連する知識情報と音楽・文学作品を含む感性情報、以下同様)に関連した
画像情報とそれに関連した音声(音楽を含む、以下同様)情報を前記地図座標に関連づけて記憶した
画像情報及び音声情報データベースと、ナビ装置に搭載したディスプレイ及び音声再生器(ヘッドホン含む)とを用い、
前記ナビの移動又は停止中に、前記地図情報データベースから前記地図情報を自動的に読み出して、それを地図画像として現在位置が下側に進行方向が上側になるように前記ディスプレイに俯瞰図として表示し、又は平面地図として表示すると共に、前記現在位置の周辺の
画像情報及び音声情報を、前記
画像情報及び音声情報データベースから自動的に読み出して、前記
画像を前記ディスプレイ画面に
画像として表示すると共に、前記音声を前記
画像に同期して再生する方法において、前記
画像情報及び音声情報データベースは上位概念から下位概念に向けて少なくとも2階層のツリー状に分類して記憶したものであり、
画像及び音声の再生は上位階層から下位階層へ自動的に行い、前記
画像は前記ディスプレイに各階層が表示されるごとに地図
画像の対応する座標に関連づけてポップアップ又はズームアップ表示されることを特徴とする、各地点及び移動ルートに沿った施設、自然、その他オブジェクトに関する
画像及び音声の再生方法である。
(本発明の機能を支える基本原理)
本発明の機能は、以下に述べる利用者と対象(オブジェクト)との空間的な相互関係と認知に於ける原理的な関係(以下、原理関係)を有効に活用して構築される。すなわち、利用者の存在する空間の多種多様な潜在的価値を発掘し、その貴重な情報を広く人々に提供する使命を目指す。
一般に利用者は空間上を移動又は静止し、その座標から周辺座標にある対象(オブジェクト)を認知する。空間と認知の間には次の原理関係が成立している。
第1に、利用者の座標は、対象(オブジェクト)を眺め認知する潜在的に可能性を持つ
空間状況の幾何学的座標範囲(ここは、オブジェクトの特定の構図の光像が存在する、広義のアフォーダンス座標)に相当する。第2に、利用者が意思を働かせて、対象を眺めれば、その時対象の網膜像を経由し、その構図の認知が成立する。
これはある(特定の山を望み得るというアフォーダンスを持つ)場所からは、その特定の山(実空間にある)を特定の構図で望み得ることを考えれば(例えばセザンヌのサント・ヴィクトワール山の写生位置)、上記原理関係は容易に理解可能である。
この原理関係をベース(例えば、歴史的な回遊庭園の園路からの景観に価値を与えたデザインは、この座標と認知を結びつける代表例である。)として、空間状況の情報を利用し、前述のサービスを利用者の意向を勘案しつつ達成することが可能となる。
本発明では、この原理関係を仮想空間にも拡張している。
すなわち、ある空間に居る(移動、走行している)利用者がナビ画面上の地図画像で、特定の対象(施設など)が認知可能な位置座標(空間状況)にあるとき、同様に利用者の意向を加え、サービスが行なわれることになる。
この時、空間状況は安全のためにも活用されるが、これは後述する。
更に歴史上の空間や文学作品上などの仮想空間を対象としても、利用者の居る空間状況の座標との相互原理関係を形成して、利用者の意向を加え、サービスを的確に行うことを本発明はその特徴としている。
加えて、利用者の居る空間状況の座標と物理現象、環境データの存在する周辺の対象空間との相互原理関係を形成して、それ等の環境条件の空間分布を可視化するなどのサービスを行うことも本発明は、その特徴としている。(特許第3987620号との連携)
【0013】
(意識との関係)
オブジェクトの情報及び案内シナリオは空間状況の安全な位置座標のもとで、
画像と音声で提供されるが、ディスプレイに表示される
画像は表示の際にポップアップ又はズームアップするように工夫することで、カーナビ装置として利用の場合は短時間だけ運転者の注意を引きつけることができ、連続したテレビ、ビデオ画像に比して視線の移動がわずかで済み、音声・音楽の再生が大きい比重を占めるので、運転の安全を期することができる。
歩行ナビ利用の場合も同様の機能が利用出来るが、意識出来る時間と深さがカーナビに比べ十分確保可能である条件を活かし、音声・音楽の再生の比重を更に増し、又
画像の精度を高め、又より階層の多い高度なデータ構造を利用し得る。
【0014】
(時代・歴史への対応−4次元時空間データ構造の活用)
この場合、時代・歴史に関するサービスを行う時は、前記
画像情報及び音声情報データベースは、各々その内容が属する時代に分けられたレイヤー構造を利用する。
すなわち、現在、過去の複数の歴史、複数の未来の時代に対応するレイヤーに関連付けられた地図に対応する画像、音声をタイムリーに引き出し利用する。
これを具体的に述べる。(
図1)に示すように、空間(3次元)のレイヤーが時代軸(歴史、未来)(1次元)上に位置付けられ4次元に構成される。現在の時代レイヤー上には現在の地図が配置され、その上に各種の“もの”である施設、風景・自然のオブジェクト及び“人物”のオブジェクトが存在し、その上でいろいろな“こと”が時間(時代軸は普通の意味では時間軸であるが、ここでは混同を避けるため、時代軸を固定した場合にその時代の各種データを再生する実時間を時間と呼ぶ)をともなって起り得る仕組みを配置する。
すなわち、各レイヤー上に、前述の知識データと感性データが配置されている。又、時代を遡ぼった過去の時代の歴史レイヤーでは、同様に歴史地図が配置され、その上で各種の“もの”(施設、風景、自然)のオブジェクト及び人物のオブジェクトが存在し、その上で歴史上の“こと”が同じく時間をともなって起り得る仕組みを配置する。時代のレイヤーは複数配置することが出来る。
更に各レイヤー上では、サービスに対応する比較的短い時間が進行する。例えば、利用者が現在のレイヤーに対応し、空間を移動するとき、サービスが行なわれるが、これは通常10分から2時間程度までのサービス時間が一般的である。
そして、それより大きな時代を区分する時代軸に、各時代レイヤーが位置付けられている。この基本構造を活用してサービスが実行されるが、詳細は後述する。
【0015】
(空間状況と意識状況−エージェントの活用)
好ましい形態では、本発明は2種の状況情報、すなわち空間状況と意識状況を組み合わせて活用する。空間状況Sは、走行又は移動する空間自体の特性や変化する状況であり、意識状況Cは、利用者の利用時の意識や意向などの状況である。
空間状況Sは、移動している空間のうちで、特に道路が持つ固有の特性である。その道路を移動しているとき、そこから見える空間の景観の範囲、特徴、状況などが先ずある。加えて交差点や道路の状況(合流点、カーブ、道路の凹凸、混雑部、狭い道路幅、など安全に関する状況)がある。
従って、このような空間状況では、カーナビ利用の場合、運転者は安全上の注意を要することから、
画像情報及び音声情報データベースから
画像や音声の再生は制限される。交差点間のルートに加え、長い一本道、地方の高速道路などは通常は交差点などより安全であるので、これらのサービスが提供されることに適し、又、一時停車可能な路側スペースの存在も
画像や音声の再生を可能にする空間状況である(これは空間側が提供するサービスをシステムを通じ受け入れる潜在的可能性として広義のアフォータンスである)。
又、歩行利用の場合には、特に交通量が多く危険な道路などでは深く意識の内部に入るようなサービスの提供は行なわず、単純な経路指示等のみに限定するようにすることも出来る。これらは、サーバーを含む別個の道路データベースに関連付けてあらかじめ入力して記憶させておくことも出来るし、ナビ装置内に蓄積することもできる。
更には、空間状況センサーを有するナビ装置の場合は、周辺の車の騒音、風切り音などを検出分析し、深く意識の内部に入る種類のサービスから単純なサービスに切り替えることも出来る。
第2の意識状況Cは利用者の過去と現在の意識活動に依存してサービス利用を左右する状況である。利用者の意識状況はルート移動の目的や、個人の好みや気分により常に変化する。しかし、運転・ドライブ時には、運転操作に使われる意識は、運転の初心者を除き、余裕を持ってくる。(この時、脳の内部では運転操作の慣れによる基底核を経由する神経回路が働き、特別な意識を要すことなく運転可能となる。)この余裕意識に本情報提供サービスを受け容れる状況が生ずる。
しかしこの時も、利用者が直接サービスを受け入れ得る場面でも、手動による選択や、利用者が個別に入力することは最少限とし、事前設定、自動選択を主とする。
そして、この制御は、過去の意識状況の分析でサービスの種類(施設案内、イベント案内、歴史案内、文学シナリオ案内、自然環境案内ルートシナリオ利用など)を含めて事前設定と選択履歴を累積特徴化することにより、種々の場所に於ける意識状況の形成状況をデータベースに蓄積しておくことを活用しつつ行う。これは装置の内部の利用者のエージェント(システムの内部で利用者に代わりにふるまうソフトウェアー装置)により利用者の行動に表れる意識状況を体系的に類別蓄積し、活用出来る様にする。
これにより、利用者の意識状況を過去の履歴によりナビ装置に保持または呼び込み、移動時に利用者の位置、移動状況と空間状況Sと合わせ自動(自律)的に利用可能と判断制御することが出来る。
すなわち、利用者の意識C
Mは脳の内部にあり、システムが直接的には取り扱い情報処理を行えない。このため、利用者のエージェントを代わりに活用する。種々の場所(時間
)に於ける空間状況S(アフォーダンス)に対する利用者の意識(C
M)と行為(A
M)の対応関係を類別蓄積する。
その内容を類蓄積したエージェントによる代替意識(C
A)と代替行為(A
A)の関連性を活用し、任意の場所と時間に於いて、その空間状況Sに対応するエージェントの意識状況C
Aと行為A
Aを求めるのである。
この時、C
M及びA
MとA
Aが近い状況になる場合に利用者とナビ装置は、ある程度の共同意図を有して共調していることになる(
図6、
図8B)。
この共同意図は、システムに対する利用者の利用満足度など履歴から状況を自動的に分析し、フィードバックを行ない限界を把握しつつ機能を進化させることも出来る。これについては後述する。
【0016】
好ましい形態では、以上説明した空間状況及び意識状況を組み合わせて、安全で現実的かつ利用者(運転者、同乗者、歩行者等)のニーズに合わせたサービスを容易に構成し、提供する。
このためシステムは、カーナビ利用の場合走行車両が空間状況Sを満足する空間上を走行し、利用者の意識状況C
Mが成立したとみなされる時、その対象となるオブジェクトとなる
画像と音声(サービスの対象−Ladgetとも呼ぶ)が走行車両の現在地の周辺又は走行進行方向前方に存在する時、
画像及び音声データベースから自動的に
画像及び音声を読み出して本発明に従って
画像のポップ又はズームアップ表示及び音声の再生を実行する。
歩行ナビでの利用の場合も同様に、利用者が歩行に於ける空間状況Sを満足し、利用者の意識状況C
Mが成立(C
Aの成立)した時、利用者の視界に入りやすい空間環境からの情報(広義のアフォーダンス)に対応し、その周辺の
画像及び音声データベースから自動的に
画像及び音声を読み出して表示及び音声の再生を実行する。
【0017】
(具体的説明−組み合せ連携活用)
以下に本発明を具体的に説明する。
通信機能を持つカーナビ等のナビ本体A及び通信機能を持つスマートフォン等のライフナビ装置Bに分けて、説明する。
しかし、この装置A、Bの代わりに、通信機能を含めた全ての機能を有するナビ本体で一体的に実現可能であることは言うまでもない。
ナビ本体Aは、高機能の位置把握、方位、速度、道路マッチング能力等をGPS、ジャイロ及び補正ソフトウェア等により実現している。
この為、位置、方位、速度等のデータをナビ本体Aとライフナビ装置Bとの間の近接通信形成後、通信機能又はコネクターを介して、ライフナビ装置Bに送信伝送する。
この時、道路やルートの空間情報も同時にライフナビ装置Bに送信伝送する。
ライフナビ装置Bにはあらかじめ利用者のデータが蓄積されている。利用者は、日常的に(自動車に乗らない時も)ライフナビ装置Bを活用し、地図の活用、移動の企画、移動の実行、各種サイトの閲覧、施設の検索、イベントの調査、音楽のダウンロード再生、などを行っている。
そのためにライフナビ装置Bの内部(及び又はサーバー)には利用者の直近までの過去の趣味、嗜好データが蓄積されている。
ライフナビ装置Bは、これ等の履歴データを活用し、利用者の移動状況と合わせ意識状況C
Aを形成する。
【0018】
(オブジェクト分類の活用)
一方、空間のオブジェクトに関するデータベースは種々の形態で蓄積されている。本システムは、これ等を柔軟に活用する。
即ち、各種データベースを基本的に人間の基本的な行動である(1)食べる、(2)買う、(3)観る、楽しむ、(4)宿泊する、学ぶ、知る等から文化ゾーン、歴史ゾーン、著名建築、複合開発施設、芸術、イベント、アミューズメント、観光ビューポイントなどの分類に還元することは容易である。このデータベースの構成化については階層化されたデータベース化の方法(特開平11−328223号)を活用することも出来る。
これ等の分類化されたデータ構成が手元のカーナビ等のナビ装置、歩行ナビ装置、または、機能が2つに分離している場合にはナビ本体A又はライフナビ装置Bに同様にサーバーとの連携を含め、形成される。
【0019】
(オブジェクトの入手とサービス)
次にオブジェクトデータの入手及びサービスについて述べる。
オブジェクトデータの入手は、空間状況S及び意識状況Cの両方の条件が成立する対象によって絞られた分類領域にあり、移動中に移動周辺・前方の空間領域にある対象が絞られ、
画像及び音声データベースから
画像及び音声データがダウンロードされる。ダウンロードされた
画像及び音声データは、移動地点、方位、速度を含めた余裕タイミングの計算結果により、次々とタイムリーに地図画面上に
画像表示及び(又は)音声出力が実行される。
比較的大きな空間的エリアを有する領域である都市街区(例えば日本橋、銀座、青山通りなど)又は観光地(例えば伊豆、箱根、軽井沢、蓼科など)では地域全般や文化、歴史等の上位のデータを活用したシナリオによる出力も併用できる。
カーナビ利用の場合、車が停車出来る道路側部を持つことが空間状況Sにより把握された場所においては、その施設の細部に至る
画像や関連した音声がデータベースから読み出されて表示される。更に、意識状況に応じて例えば歴史空間に関するサービスにおいては、当該地域の歴史地図がダウンロードされ、ナビ装置又はナビ本体の画面が歴史地図に入れ替わり、歴史空間の解説を行うことが可能となる。
更に特許第3987620号による空間透視(手前の建築物の内部や背後、あるいはその場所にあった歴史建築)をナビ画面上で表示、解説を行うことも可能である。
【0020】
(サービス対象の選択−エージェント利用)
このサービス選択の段階で対象が多数存在する場合には、選択の基準によって自動的に絞り込む手段を講じることも出来る。
その場合、利用者のエージェントの機能を利用することは既に基本を述べた。(詳細は後述する)
選択に際して同一経路を移動した時、同じ施設が幾度も選択されることを防ぐため選択履歴は記憶され、記憶が残る短期日の間は選択されない様にすることも出来る。
更に選択においてランダム性を導入して、偶然による選択機能を組み込むことも出来る。
【0021】
(対象の角度範囲)
好ましい形態では、前記
画像及び音声情報の読み出しは、施設、自然、ルートに関連した地図座標が条件(a)現在位置から進行方向にみた一定の角度範囲内に含まれ、現在位置からの一定距離以内のものの条件に合う地図座標のものである。(カーナビ利用の場合は安全上、左右に狭角に、歩行ナビ利用の場合は広角も可能。)
【0022】
(対象の絞り込み方法)
ここで絞り込みには下記の幾つかの方法が選択出来、又その組み合わせも可能である。すなわち
(1)利用者の自由な興味をより重視した方法
(2)シナリオとの連携を重視した方法
(3)ランダム数により偶然性を加えた方法
以下各方法について説明する。
【0023】
(1)(利用者の自由な興味をより重視した方法)
この方法は、利用者が自由に興味のおもむくままに経路も選び、移動するときに活用される方法である。
利用者の興味のデータは、過去の実績をもとに区分されてデータベースに保存されている。
利用者とともにナビ装置が空間を移動して、空間上の地点Pに至った時を考える(
図2)。そのPからはオブジェクトBを直接見ることが出来るか、又はナビ画面上の通過経路近くに存在し、画面内で認識可能な状況で、かつ、オブジェクトBが利用者の興味の対象領域に含まれるか否かを判別する。含まれているとき、ナビ装置内のエージェントはオブジェクトBを(直接利用者が眺めるか又は画面内に表示しサービスを提供する)対象の候補とする。
すなわち利用者は、その説明ナレーションを聞くなどのサービスを受ける意図を形成する第1段階とする。
次に第2段階として、利用者がAの方向に近づいた時、その動き、ふるまいが検出され、それが利用者の意図としてエージェントが認識し、自己の意図とする。
これは利用者の意図と必ずしも直結するわけではないが、近い状況が形成される。そして、自動的に上記に関するサービスが開始される。
この時、サービス再生のためのデータをデータベースから入手処理するための時間を計算し、ナビ装置はその地点に至る前の時間からフィードフォワード的なデータ入手動作を行うことになる。
これを次々くりかえす。
以上の関係は(
図2)及び(
図6)に示してある。
この方法により、利用者は対象に興味を示しつつ、自由に空間を移動し、サービスを受けることが出来る。勿論対象の選択は、直接画面内Ladgetスイッチを押したり、対象に向けたポインターで選択する方法が併用可能であることは云うまでもない。
【0024】
(2)(シナリオとの連携を重視した方法)
この方法は、対象空間に関し、専門家がサービスシナリオを配置している場合に活用される。
利用者とともにナビ装置が空間を移動し、地図空間上にシナリオ(B、D、Eを含むルートシナリオ)が、事前に形成配置されている地点又はルート近くに至った時を考える。(
図2)
その地点PからはBに容易に近づき得る配置関係であり、利用者の興味の対象領域にルートシナリオが含まれるとき、ルートが地図画面に自動的に表示される。装置内のエージェントは、B、D、E・・・を(直接又は画面内で表示して)見える状況にする。そして何等かの信号(提案音、画面内ルートのフラッシュなど)を発し、利用者に伝える。
更に利用者がシナリオのルートに近づいた時、又は利用者が特定のシナリオルートを選択したとき、シナリオに含まれ、演出されたサービスが開始される。更にシナリオに合わせオブジェクトB、D、E・・・が次々と選択され個別の解説なども加えられる。これは、前述と同様に利用者の意図と直結するわけではないが近い状況が形成される。
そして、シナリオに沿ってサービスの再生が続けられる。
【0025】
(3)(ランダム数により選択する方法)
移動につれて、偶発的に対象を選択することで、多数のオブジェクトを取り扱い、又おもしろさも演出出来る。
この方法は、前記角度範囲にある利用者とオブジェクトとの距離の値に特定範囲のランダム数を掛けて得た値の内から最も小さい距離のオブジェクトを選択することも出来る。選択されるオブジェクト座標はナビ装置から最短距離に限らず比較的近いものの内で最も遠いものもある。
このような条件を満たす情報を優先的に読むことにより、同じ移動ルートを繰り返して利用する利用者または運転者でも、移動ルートに沿った主な施設に関する偶発性を重ねた新たな知識を得ることができる。
【0026】
(サービス情報の入力編集システム)
上記のサービスを各地域(世界の)多数の場所で利用するために必要となる入力編集システムについて以下に述べる。
入力編集システムは、コンピューターのアプリケーションとして動作する。編集を行うときは、アプリケーションをコンピューターにインストールし、起動することにより、編集画面ウインドウ(
図10)が現れる。
このウインドウには、(
図1)の4次元時空間データ構造及び(
図7)階層データ構造をベースとして、編集のための地図ウインドウ205、時間編集のためのタイムラインtをもつ時間編集ウインドウ206、時代レイヤー目盛Tをもつ時代レイヤーウインドウ209、コンテンツ群のウインドウ(3Dコンテンツデータウインドウ210、音声コンテンツウインドウ211、その他のウインドウ212など)が配置されている。この編集サブウインドウにコンテンツを次々とドラッグアンドドロップで配置してゆくことにより、編集を行なう。
シナリオに基づく空間へのコンテンツの配置は、地図ウインドウ205により行ない、ルートの移動に合わせたナレーションや音楽画像のタイミング配置は、時間軸を持つ時間編集ウインドウ206、ナレーション等のウインドウ207、画像等のウインドウ208を利用して行なう。
更に時代レイヤーを切替えるためには、時代レイヤーウインドウ209の目盛Tにより行なう。この一連の操作を行ない、プレビューを行なうことにより、サービス内容の確認を行なうことが出来る。
シナリオルートを特に指定せず、空間座標上の各所にコンテンツを配置する方法は、地図ウインドウ上に画像データや時間編集したナレーション、音楽をドラックアンドドロップすることにより行なう。
更に詳細は後述するが、この様な簡単かつ統一的な編集入力系を提供することにより、種々の地域、場所に関し、種々の歴史、芸術、文学紀行、建築、都市、環境、科学、自然、生物、地質などの専門家に参画を促す効果を求めるものである。