(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料や被検試料と試薬とを分注し、その混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24における各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25と、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30とを備えている。
【0011】
また、自動分析装置100は、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部51とを備えている。
【0012】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するサンプルディスク5とを備えている。また、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を保冷する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を保冷する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、円周上に配置された複数の反応容器3と、反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0013】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0014】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、混合液を収容する反応容器3に光を照射して測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
【0015】
そして、測光部13は、回転移動する反応容器3に光を照射し、その照射により反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、検出した信号に基づいて吸光度で表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0016】
図1の分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構及びこの機構を制御する制御部を備え、サンプルディスク5、試薬ラック1a及び試薬ラック2aを夫々回動する。また、反応ディスク4を回転する。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8及び第2試薬分注アーム9を夫々回動及び上下移動する。また、反応容器洗浄ユニット12を上下移動する。
【0017】
データ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0018】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0019】
また、演算部31は、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出し、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0020】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0021】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0022】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で各検査項目を分析する分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から検査対象となる検査項目を設定するための検査項目設定画面を表示する。
【0023】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎に分析パラメータを設定するための入力を行う。また、被検試料毎に識別情報及び検査対象となる検査項目を設定するための入力を行う。
【0024】
システム制御部51は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータの情報、被検試料毎の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0025】
以下、
図1乃至
図6を参照して、分析部24の測光部13及び反応容器3の構成について説明する。
【0026】
図3は、測光部13の構成を示した図である。この測光部13は、反応容器3に照射する光を発する光源60と、光源60からの光を制限する第1のスリット61と、第1のスリット61を通過した光を集光する集光レンズ62と、回転移動して集光レンズ62の光軸63を横切る反応容器3を透過した光を所定の範囲に絞り込む第2のスリット64とを備えている。
【0027】
また、測光部13は、第2のスリット64を通過した光を分光する回折格子65と、回折格子65により分光されたスペクトルを所定の波長毎に検出して電気信号に変換する光検出器66と、光検出器66からの検出信号を処理して吸光度としての標準データや被検データを生成する信号処理部67とを備えている。
【0028】
光源60は、例えばハロゲンランプであり、ハロゲンランプである場合の光源中心としてのフィラメントが光軸63上に配置されている。また、第1のスリット61は、光源60と集光レンズ62の間に配置され、光源60からの光が通過する開口が光軸63上に位置している。また、集光レンズ62は、反応ディスク4の回転により回転移動して光軸63を横切る測光位置Ptの反応容器3と第1のスリット61の間に配置される。
【0029】
また、第2のスリット64は、測光位置Ptの反応容器3と回折格子65の間に配置され、反応容器3からの光が通過する開口が光軸63上に位置している。そして、反応容器3を透過した光が回折格子65の有効範囲内に入るように絞り込む。また、回折格子65は、第2のスリット64を通過して入射した光を波長毎に所定の方向に分離する。
【0030】
光検出器66は、回折格子65からの波長毎の光の内の予め設定された複数波長の光を検出する複数の受光素子により構成され、回折格子65により波長毎に分離された複数波長の光を検出して電気信号に変換し、その変換した電気信号を検出信号として信号処理部67に出力する。また、信号処理部67は、光検出器66から出力された各検出信号を増幅及びアナログデジタル変換した後、吸光度で表される標準データや被検データを生成してデータ処理部30に出力する。
【0031】
図4は、反応容器3の構成の一例を示した断面図である。この反応容器3は、サンプル分注プローブ16、並びに第1及び第2試薬分注プローブ14,15より吐出される試料、並びに第1及び第2試薬の混合液を収容する反応容器本体70と、反応容器本体70に設けた測光部13からの光の光路を変換する第1のレンズ71と、反応容器本体70に設けた反応容器本体70内の混合液を透過した光を集光する第2のレンズ72とにより構成される。
【0032】
反応容器本体70は、光源60から照射される光の透過性に優れ、試料、第1試薬、第2試薬、分析部24の反応容器洗浄ユニット12で用いられる酸性洗浄液やアルカリ性洗浄液等の耐薬品性に優れた例えばプラスチック材により形成され、内部は平面により構成される四角柱状を成している。そして、上部に設けた開口部から吐出される試料並びに第1試薬及び第2試薬を収容する。
【0033】
第1のレンズ71は、反応容器3の測光位置Ptにおいて測光部13の集光レンズ62と反応容器本体70内の混合液の間に位置し、集光レンズ62からの光を反応容器本体70内の混合液中を平行に直進する平行光となる光路に変換するレンズである。このレンズは、例えば集光レンズ62からの光が入射する外壁面を凹面とし、混合液と接触する内壁面を平面とする反応容器本体70下端部近傍の一側側壁に形成された平凹レンズである。
【0034】
また、第1のレンズ71は、反応容器本体70一側の側壁及びこの側壁に対向する他側の側壁に直交する直線状の軸73を光軸とし、軸73が測光部13の光軸63と一致する測光位置Ptにおいて、焦点が集光レンズ62の焦点と一致する。そして、集光レンズ62からの光を屈折し、反応容器本体70内の混合液中を軸73に対して平行に直進する平行光となる光路に変換する。
【0035】
このように、第1のレンズ71を設けることにより、集光レンズ62からの光を平行光に変換して混合液に照射することができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合、軸73に対して平行な光と平行に近い散乱光のみを光検出器66に導くことが可能となり、不要な散乱光の検出を抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0036】
そして、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、第1のレンズ71を測光部13に設ける場合よりも集光レンズ62と第1のレンズ71間の距離を稼ぐことができるので、混合液に照射する光束を低下させることなく平行光のビーム幅を狭くすることができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合、不要な散乱光の検出をより抑制すると共に反応容器本体70内の混合液量を低減することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。
【0037】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第1のレンズ71を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0038】
第2のレンズ72は、混合液と接触する内壁面を平面とし、混合液を透過した光が出射する外壁面を凸面とする反応容器本体70下端部近傍の他側側壁に形成された軸73を光軸とする平凸レンズである。そして、測光位置Ptにおいて、反応容器本体70内の混合液を透過した平行光を測光部13における第2のスリット64開口又はこの開口近傍の光軸63上に集束させる。
【0039】
このように、第2のレンズ72を設けて混合液を透過した光を集光することにより、光検出器66で検出する光束の低下を低減することができるため、透過光を利用して凝集の変化を測定する場合の高い吸光度となる高濃度領域における測定精度の向上を図ることができる。
【0040】
また、第2のレンズ72を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第2のレンズ72を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0041】
また、第1及び第2のレンズ71,72を平凹レンズ及び平凸レンズとし、平凹レンズ及び平凸レンズの平面を反応容器本体70の内面と同一面とする平面を形成することにより、分析部24の反応容器洗浄ユニット12で反応容器本体70内を洗浄する際に、混合液の排出を容易にして残留を防ぐことができる。
【0042】
なお、
図5に示すように、反応容器本体70の一側及び他側外面を平面にした反応容器本体70aと、集光レンズ62からの光が入射する反応容器本体70aの一側平面に平面側を密着配置した平凹レンズである第1のレンズ71aと、混合液を透過した光が出射する反応容器本体70aの他側平面に平面側を密着配置した平凸レンズである第2のレンズ72aとにより構成される反応容器3aを用いて実施するようにしてもよい。これにより、反応容器3の場合と同様に、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に、反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。また、測光部13の小型化を図ることができる。
【0043】
また、
図6に示すように、反応容器本体70一側側壁の第1のレンズ71が形成される領域及び他側側壁の第2のレンズ72が形成される領域に開口部を設けた反応容器本体70bと、反応容器本体70bの一側側壁の開口部を封止し、平面側が反応容器本体70b内面と同一平面になるように配置された第1のレンズ71aと、反応容器本体70bの他側側壁の開口部を封止し、平面側が反応容器本体70b内面と同一平面になるように配置された第2のレンズ72aとにより構成される反応容器3bを用いて実施するようにしてもよい。これにより、反応容器3の場合と同様に、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に、反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。また、測光部13の小型化を図ることができる。
【0044】
更に、
図6に示した反応容器3bの反応容器本体70bを黒色材料により形成して実施するようにしてもよい。また、各反応容器本体70,70bの外面を黒色塗装等の黒色材料により覆って実施するようにしてもよい。また、反応容器本体70a外面の第1及び第2のレンズ71a,72a以外の部分を黒色塗装等の黒色材料により覆って実施するようにしてもよい。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出をより抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0045】
更にまた、各第1及び第2のレンズ71,71a,71b,72,72a,72bの表面を反射防止膜で覆うことにより、各第1及び第2のレンズ71,71a,71b,72,72a,72bに当たる光のエネルギーを低減することなく測定することができる。
【0046】
以上述べた実施形態によれば、第1のレンズ71を設けることにより、集光レンズ62からの光を平行光に変換して反応容器本体70内の混合液に照射することができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出を抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0047】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、第1のレンズ71を測光部13に設ける場合よりも混合液に照射する光束を低下させることなく平行光のビーム幅を狭くすることができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出を抑制すると共に反応容器本体70内の混合液量を低減することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。
【0048】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第1のレンズ71を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0049】
また、第2のレンズ72を設けて反応容器本体70内の混合液を透過した光を集光することにより、混合液を透過した光束の低下を低減することができるため、透過光を利用して凝集の変化を測定する場合の高い吸光度となる高濃度領域における測定精度の向上を図ることができる。
【0050】
また、第2のレンズ72を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第2のレンズ72を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。