特許第5865713号(P5865713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865713
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20160204BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   G01N35/02 A
   G01N21/03 Z
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-10392(P2012-10392)
(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公開番号】特開2013-148518(P2013-148518A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】丸山 玲子
(72)【発明者】
【氏名】金山 省一
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−225339(JP,A)
【文献】 米国特許第04619530(US,A)
【文献】 特開2001−108614(JP,A)
【文献】 特開平08−136445(JP,A)
【文献】 特開平09−051270(JP,A)
【文献】 実開平02−077658(JP,U)
【文献】 実開昭62−108855(JP,U)
【文献】 実開平05−034564(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 21/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注された被検試料と試薬の混合液を収容する反応容器に光を照射し、前記混合液を透過した光を検出して測定を行う測光部を備えた自動分析装置において、
前記反応容器は、前記混合液と接触する面が複数の平面により構成され、前記測光部から照射された光が入射する面が凹状に形成され、前記凹状の面から入射して当該混合液を透過した光が出射する面が凸状に形成されていることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記反応容器は、
前記測光部から照射された光が入射する一側側壁の外壁の面を前記凹状の面とし、入射した当該光が出射する前記一側壁の前記混合液と接触する内壁の面を平面とする平凹レンズと、
当該混合液を透過した光が入射する他側側壁の前記混合液と接触する内壁の面を平面とし、入射した当該光が出射する前記他側側壁の外壁の面を前記凸状の面とする平凸レンズとを
有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記測光部は、光を発する光源及びこの光源から照射された光を集光する集光レンズを有し、
前記平凹レンズは、前記集光レンズからの光を、前記混合液中を平行に直進する平行光となる光路に変換するレンズであり、
前記平凸レンズは前記混合液を透過した平行光をスリットに集光するレンズであることを特徴とする請求項に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記反応容器は、前記凹状の面及び前記凸状の面以外の外面が黒色材料により覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記平凹レンズ及び前記平凸レンズの表面が反射防止材料で覆われていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記測光部で測定を終了した前記反応容器内を洗浄する洗浄部を更に備える請求項1又は請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記洗浄部は、前記反応容器内から前記混合液を排出することを特徴とする請求項6に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記反応容器の内部は、四角柱状を成していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記反応容器は、前記測光部から照射された光の透過性を有し、耐薬品性を有するプラスチック材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記平凹レンズは、前記一側側壁及びこの一側側壁に対向する前記他側側壁に直交する直線状の軸を光軸とし、前記軸が前記集光レンズの光軸と一致する位置で前記集光レンズからの光を屈折して前記混合液中を前記軸に対して平行に直進する光路に変換することを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記平凸レンズは、前記一側側壁及びこの一側側壁に対向する前記他側側壁に直交する直線状の軸を光軸とし、前記軸が前記集光レンズの光軸と一致する位置で前記混合液中を透過した平行光を前記軸上に集束させることを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体に含まれる成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目を対象とし、被検試料と各検査項目の試薬との混合液を収容する反応容器に光を照射する。そして、混合液中の反応によって生ずる色調の変化を、混合液を透過した光を検出することにより測定し、被検試料中の様々な成分の濃度や酵素活性を求める。一方、免疫血清検査項目の多くは免疫血清検査装置が利用される。そして、例えばラテックス凝集法の試薬に含まれるラテックス粒子に固相化した抗原又は抗体の一方と、被検試料に含まれる免疫血清検査項目成分としての他方との抗原抗体反応による凝集の変化を、混合液中を散乱した散乱光を検出することにより測定する。
【0003】
最近では、検査における効率化とコスト削減が要求されており、できるだけ少ない分析装置で多くの検査項目が検査できることが望まれている。このような状況下で、多項目を高速で処理できる自動分析装置を利用して、免疫血清検査項目の分析が行われるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−108830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自動分析装置では、混合液中を透過した光の検出により凝集の変化を測定しようとすると、凝集した散乱体により散乱した散乱光も検出する。そして、高い吸光度では散乱光の影響が大きくなり単位濃度当たりの吸光度変化量が低下し、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度が低下する問題がある。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、高濃度領域における測定精度の向上を図ることができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、実施形態の自動分析装置は、分注された被検試料と試薬の混合液を収容する反応容器に光を照射し、前記混合液を透過した光を検出して測定を行う測光部を備えた自動分析装置において、前記反応容器は、前記混合液と接触する面が複数の平面により構成され、前記測光部から照射された光が入射する面が凹状に形成され、前記凹状の面から入射して当該混合液を透過した光が出射する面が凸状に形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る分析部の構成を示す斜視図。
図3】実施形態に係る測光部の構成の一例を示す図。
図4】実施形態に係る反応容器の構成の一例を示す断面図。
図5】実施形態に係る反応容器の構成の他の例を示す断面図。
図6】実施形態に係る反応容器の構成の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、標準試料や被検試料と試薬とを分注し、その混合液を測定して標準データや被検データを生成する分析部24と、分析部24における各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部25と、分析部24で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理部30とを備えている。
【0011】
また、自動分析装置100は、データ処理部30で生成された検量データや分析データを印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部50と、分析制御部25、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部51とを備えている。
【0012】
図2は、分析部24の構成を示した斜視図である。この分析部24は、標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器17と、試料容器17を保持するサンプルディスク5とを備えている。また、試料に含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬である例えば1試薬系及び2試薬系の第1試薬を収容する試薬容器6と、試薬容器6を保冷する試薬庫1と、試薬庫1に格納された試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aとを備えている。また、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、試薬容器7を保冷する試薬庫2と、試薬庫2に格納された試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aとを備えている。また、円周上に配置された複数の反応容器3と、反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク4とを備えている。
【0013】
また、サンプルディスク5に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を移動可能に保持するサンプル分注アーム10とを備えている。また、試薬ラック1aに保持された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を移動可能に保持する第1試薬分注アーム8とを備えている。
【0014】
また、試薬ラック2aに保持された試薬容器7内の第2試薬を吸引して第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を移動可能に保持する第2試薬分注アーム9とを備えている。また、混合液を収容する反応容器3に光を照射して測定する測光部13と、測光部13で測定を終了した反応容器3内を洗浄する反応容器洗浄ユニット12とを備えている。
【0015】
そして、測光部13は、回転移動する反応容器3に光を照射し、その照射により反応容器3内の試料及び第1試薬の混合液や、試料、第1試薬及び第2試薬の混合液を透過した光を検出する。そして、検出した信号に基づいて吸光度で表される標準データや被検データを生成し、生成した標準データや被検データをデータ処理部30に出力する。
【0016】
図1の分析制御部25は、分析部24の各分析ユニットを駆動する機構及びこの機構を制御する制御部を備え、サンプルディスク5、試薬ラック1a及び試薬ラック2aを夫々回動する。また、反応ディスク4を回転する。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8及び第2試薬分注アーム9を夫々回動及び上下移動する。また、反応容器洗浄ユニット12を上下移動する。
【0017】
データ処理部30は、分析部24の測光部13から出力された標準データや被検データを処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する演算部31と、演算部31で生成された標準データや分析データを保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0018】
演算部31は、測光部13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に対して予め設定された標準値から、標準値と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0019】
また、演算部31は、測光部13から出力された被検データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出し、読み出した検量データを用いて測光部13より出力された被検データから、濃度値や活性値として表される分析データを生成する。そして、生成した分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0020】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。
【0021】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データや分析データを印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、検量データや分析データを予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0022】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、検量データや分析データを表示する。また、自動分析装置100で各検査項目を分析する分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面を表示する。また、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び分析パラメータ設定画面で設定された検査項目の中から検査対象となる検査項目を設定するための検査項目設定画面を表示する。
【0023】
操作部50は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎に分析パラメータを設定するための入力を行う。また、被検試料毎に識別情報及び検査対象となる検査項目を設定するための入力を行う。
【0024】
システム制御部51は、CPU及び記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力された各検査項目の分析パラメータの情報、被検試料毎の識別情報及び検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部25、データ処理部30及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0025】
以下、図1乃至図6を参照して、分析部24の測光部13及び反応容器3の構成について説明する。
【0026】
図3は、測光部13の構成を示した図である。この測光部13は、反応容器3に照射する光を発する光源60と、光源60からの光を制限する第1のスリット61と、第1のスリット61を通過した光を集光する集光レンズ62と、回転移動して集光レンズ62の光軸63を横切る反応容器3を透過した光を所定の範囲に絞り込む第2のスリット64とを備えている。
【0027】
また、測光部13は、第2のスリット64を通過した光を分光する回折格子65と、回折格子65により分光されたスペクトルを所定の波長毎に検出して電気信号に変換する光検出器66と、光検出器66からの検出信号を処理して吸光度としての標準データや被検データを生成する信号処理部67とを備えている。
【0028】
光源60は、例えばハロゲンランプであり、ハロゲンランプである場合の光源中心としてのフィラメントが光軸63上に配置されている。また、第1のスリット61は、光源60と集光レンズ62の間に配置され、光源60からの光が通過する開口が光軸63上に位置している。また、集光レンズ62は、反応ディスク4の回転により回転移動して光軸63を横切る測光位置Ptの反応容器3と第1のスリット61の間に配置される。
【0029】
また、第2のスリット64は、測光位置Ptの反応容器3と回折格子65の間に配置され、反応容器3からの光が通過する開口が光軸63上に位置している。そして、反応容器3を透過した光が回折格子65の有効範囲内に入るように絞り込む。また、回折格子65は、第2のスリット64を通過して入射した光を波長毎に所定の方向に分離する。
【0030】
光検出器66は、回折格子65からの波長毎の光の内の予め設定された複数波長の光を検出する複数の受光素子により構成され、回折格子65により波長毎に分離された複数波長の光を検出して電気信号に変換し、その変換した電気信号を検出信号として信号処理部67に出力する。また、信号処理部67は、光検出器66から出力された各検出信号を増幅及びアナログデジタル変換した後、吸光度で表される標準データや被検データを生成してデータ処理部30に出力する。
【0031】
図4は、反応容器3の構成の一例を示した断面図である。この反応容器3は、サンプル分注プローブ16、並びに第1及び第2試薬分注プローブ14,15より吐出される試料、並びに第1及び第2試薬の混合液を収容する反応容器本体70と、反応容器本体70に設けた測光部13からの光の光路を変換する第1のレンズ71と、反応容器本体70に設けた反応容器本体70内の混合液を透過した光を集光する第2のレンズ72とにより構成される。
【0032】
反応容器本体70は、光源60から照射される光の透過性に優れ、試料、第1試薬、第2試薬、分析部24の反応容器洗浄ユニット12で用いられる酸性洗浄液やアルカリ性洗浄液等の耐薬品性に優れた例えばプラスチック材により形成され、内部は平面により構成される四角柱状を成している。そして、上部に設けた開口部から吐出される試料並びに第1試薬及び第2試薬を収容する。
【0033】
第1のレンズ71は、反応容器3の測光位置Ptにおいて測光部13の集光レンズ62と反応容器本体70内の混合液の間に位置し、集光レンズ62からの光を反応容器本体70内の混合液中を平行に直進する平行光となる光路に変換するレンズである。このレンズは、例えば集光レンズ62からの光が入射する外壁面を凹面とし、混合液と接触する内壁面を平面とする反応容器本体70下端部近傍の一側側壁に形成された平凹レンズである。
【0034】
また、第1のレンズ71は、反応容器本体70一側の側壁及びこの側壁に対向する他側の側壁に直交する直線状の軸73を光軸とし、軸73が測光部13の光軸63と一致する測光位置Ptにおいて、焦点が集光レンズ62の焦点と一致する。そして、集光レンズ62からの光を屈折し、反応容器本体70内の混合液中を軸73に対して平行に直進する平行光となる光路に変換する。
【0035】
このように、第1のレンズ71を設けることにより、集光レンズ62からの光を平行光に変換して混合液に照射することができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合、軸73に対して平行な光と平行に近い散乱光のみを光検出器66に導くことが可能となり、不要な散乱光の検出を抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0036】
そして、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、第1のレンズ71を測光部13に設ける場合よりも集光レンズ62と第1のレンズ71間の距離を稼ぐことができるので、混合液に照射する光束を低下させることなく平行光のビーム幅を狭くすることができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合、不要な散乱光の検出をより抑制すると共に反応容器本体70内の混合液量を低減することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。
【0037】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第1のレンズ71を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0038】
第2のレンズ72は、混合液と接触する内壁面を平面とし、混合液を透過した光が出射する外壁面を凸面とする反応容器本体70下端部近傍の他側側壁に形成された軸73を光軸とする平凸レンズである。そして、測光位置Ptにおいて、反応容器本体70内の混合液を透過した平行光を測光部13における第2のスリット64開口又はこの開口近傍の光軸63上に集束させる。
【0039】
このように、第2のレンズ72を設けて混合液を透過した光を集光することにより、光検出器66で検出する光束の低下を低減することができるため、透過光を利用して凝集の変化を測定する場合の高い吸光度となる高濃度領域における測定精度の向上を図ることができる。
【0040】
また、第2のレンズ72を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第2のレンズ72を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0041】
また、第1及び第2のレンズ71,72を平凹レンズ及び平凸レンズとし、平凹レンズ及び平凸レンズの平面を反応容器本体70の内面と同一面とする平面を形成することにより、分析部24の反応容器洗浄ユニット12で反応容器本体70内を洗浄する際に、混合液の排出を容易にして残留を防ぐことができる。
【0042】
なお、図5に示すように、反応容器本体70の一側及び他側外面を平面にした反応容器本体70aと、集光レンズ62からの光が入射する反応容器本体70aの一側平面に平面側を密着配置した平凹レンズである第1のレンズ71aと、混合液を透過した光が出射する反応容器本体70aの他側平面に平面側を密着配置した平凸レンズである第2のレンズ72aとにより構成される反応容器3aを用いて実施するようにしてもよい。これにより、反応容器3の場合と同様に、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に、反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。また、測光部13の小型化を図ることができる。
【0043】
また、図6に示すように、反応容器本体70一側側壁の第1のレンズ71が形成される領域及び他側側壁の第2のレンズ72が形成される領域に開口部を設けた反応容器本体70bと、反応容器本体70bの一側側壁の開口部を封止し、平面側が反応容器本体70b内面と同一平面になるように配置された第1のレンズ71aと、反応容器本体70bの他側側壁の開口部を封止し、平面側が反応容器本体70b内面と同一平面になるように配置された第2のレンズ72aとにより構成される反応容器3bを用いて実施するようにしてもよい。これにより、反応容器3の場合と同様に、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に、反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。また、測光部13の小型化を図ることができる。
【0044】
更に、図6に示した反応容器3bの反応容器本体70bを黒色材料により形成して実施するようにしてもよい。また、各反応容器本体70,70bの外面を黒色塗装等の黒色材料により覆って実施するようにしてもよい。また、反応容器本体70a外面の第1及び第2のレンズ71a,72a以外の部分を黒色塗装等の黒色材料により覆って実施するようにしてもよい。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出をより抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0045】
更にまた、各第1及び第2のレンズ71,71a,71b,72,72a,72bの表面を反射防止膜で覆うことにより、各第1及び第2のレンズ71,71a,71b,72,72a,72bに当たる光のエネルギーを低減することなく測定することができる。
【0046】
以上述べた実施形態によれば、第1のレンズ71を設けることにより、集光レンズ62からの光を平行光に変換して反応容器本体70内の混合液に照射することができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出を抑制することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ることができる。
【0047】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、第1のレンズ71を測光部13に設ける場合よりも混合液に照射する光束を低下させることなく平行光のビーム幅を狭くすることができる。これにより、透過光を利用して混合液中の凝集の変化を測定する場合の不要な散乱光の検出を抑制すると共に反応容器本体70内の混合液量を低減することができるため、高い吸光度となる高濃度領域の測定精度の向上を図ると共に反応容器本体70内に吐出させる試料、第1試薬、及び第2試薬の各液体の量を低減することができる。
【0048】
また、第1のレンズ71を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第1のレンズ71を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0049】
また、第2のレンズ72を設けて反応容器本体70内の混合液を透過した光を集光することにより、混合液を透過した光束の低下を低減することができるため、透過光を利用して凝集の変化を測定する場合の高い吸光度となる高濃度領域における測定精度の向上を図ることができる。
【0050】
また、第2のレンズ72を反応容器本体70に設けることにより、測光部13に設ける場合の第2のレンズ72を反応容器本体70から離間して配置する必要がないため、測光部13の小型化を図ることができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
3 反応容器
13 測光部
60 光源
61 第1のスリット
62 集光レンズ
63 光軸
64 第2のスリット
65 回折格子
66 光検出器
67 信号処理部
70 反応容器本体
71 第1のレンズ
72 第2のレンズ
73 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6