(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物の吐出後、内容物が吐出口から漏出するのを抑制することについて改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容物の吐出後、内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装された外容器を備える容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、を備え、前記外容器には、前記内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成され、該吸気孔は、空気弁部によって外部との連通および遮断が切り替えられ、前記吐出キャップには、前記口部を閉塞する中栓部材と、該中栓部材に容器軸方向に貫設され、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通口と、前記中栓部材に、容器軸方向に沿った吐出口側から着座して前記連通口を閉塞するとともに、前記吐出口側に弾性変位することで前記連通口を開放する開閉弁部と、が設けられ、該開閉弁部には、容器軸方向に延在するとともに前記吐出口に連通し、かつ摺動体が容器軸方向に摺動自在に収容された収容筒部が備えられ
、前記摺動体および前記収容筒部は、前記摺動体が前記収容筒部内を摺動するときに、前記収容筒部内を通した前記内容器の内部と前記吐出口との連通が実質的に遮断されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、当該吐出容器から内容物を吐出するときには、まず、吐出口が下方を向くように吐出容器を傾けて吐出姿勢にしたり、容器本体を径方向の内側に押し込んで内容器内の圧力を上昇させたりすることで、内容器内の内容物により開閉弁部を押圧して前記吐出口側に弾性変位させ、連通口を開放させながら、内容器内の内容物を、連通口および吐出口を通して外部に吐出する。このとき摺動体は、当該摺動体の自重により、または内容器内の圧力が及ぼされることにより、収容筒部内を容器軸方向に沿った吐出口側に摺動する。
その後、吐出容器を元の正立姿勢に戻したり、容器本体の押し込みを停止、解除したりすることで、内容器内の内容物による開閉弁部への押圧力を弱め、開閉弁部を、前記内容器の内部側に復元変位させて連通口を閉塞し、内容器を密閉して内容物の吐出を停止する。このとき摺動体が、当該摺動体の自重や内容器内の圧力低下により収容筒部内を容器軸方向に沿った内容器の内部側に摺動し、収容筒部の内部において、摺動体よりも前記吐出口側に位置する部分が拡大する。これにより、開閉弁部が前記内容器の内部側に復元変位することと相俟って、吐出口内の内容物が吐出キャップの内側に引き込まれることとなる。
【0008】
以上のように、当該吐出容器によれば、内容物の吐出後、吐出口内の内容物を吐出キャップの内側に引き込むことができるので、内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる。
また内容物の吐出後、開閉弁部が復元変位することで連通口が閉塞されるので、内容物を吐出していない状態において内容器の密閉性を確保することができる。
【0009】
また、前記収容筒部は、前記連通口内に挿通されていてもよい。
【0010】
この場合、収容筒部が連通口内に挿通されているので、収容筒部を中栓部材から前記内容器の内部側に延在させることが可能になり、収容筒部が中栓部材から前記吐出口側に突出する突出量を抑えて吐出キャップの小型化を図ることができる。
【0011】
また、前記中栓部材には、前記収容筒部を径方向の外側から囲繞する保護筒部が、容器軸方向に沿った内容器の内部側に向けて突設されていてもよい。
【0012】
この場合、中栓部材に、前記保護筒部が前記内容器の内部側に向けて突設されているので、例えば吐出キャップと容器本体とを組み立てるときに、収容筒部を保護筒部により保護し、収容筒部が容器本体に突き当たること等を抑制することが可能になり、当該吐出容器を簡便に組み立て易くすることができる。
【0013】
また、前記収容筒部のうち、前記摺動体が摺動する部分の内周面には、容器軸方向に延在する縦溝または縦突条が形成されていてもよい。
【0014】
この場合、収容筒部のうち、摺動体が摺動する部分の内周面に、前記縦溝または前記縦突条が形成されているので、例えば縦溝または縦突条の周方向の大きさ等を調節することで、摺動体の外面と収容筒部の内周面との接触面積を調整し、摺動体が径方向にがたつくのを抑制するとともに摺動体をスムーズに摺動させることが可能となり、吐出口内の内容物を吐出キャップの内側に効果的に引き込むことができる。さらに前記接触面積を調整することで、摺動体の摺動速度を内容物に応じて調整することも可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物の吐出後、内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出容器について説明する。
図1に示すように、吐出容器10は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器11、および内容器11が内装されるとともに弾性変形可能な外容器12を備える容器本体13と、容器本体13の口部13aに装着され、内容物を吐出する吐出口14が形成された吐出キャップ15と、吐出キャップ15に着脱自在に装着され吐出口14を覆うオーバーキャップ16と、を備えている。
【0018】
ここで、容器本体13は有底筒状に形成され、オーバーキャップ16は有頂筒状に形成され、これらの容器本体13およびオーバーキャップ16の各中心軸は共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って吐出口14側を上側、内容器11の底部側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルとなっている。容器本体13は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより成形される。外容器12は、例えばポリエチレン樹脂製やポリプロピレン樹脂製等とされるとともに、内容器11は、例えば外容器12を形成する樹脂に対して相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製やエチレンビニルアルコール共重合樹脂製等とされている。
【0020】
容器本体13の口部13aは、上側に位置する上筒部17と、下側に位置し上筒部17よりも大径の下筒部18と、を備える二段筒状に形成されている。
上筒部17のうち、外容器12で構成された部分(以下、外上筒部という)17aの外周面には雄ねじ部が形成されている。前記雄ねじ部には、容器軸O方向に延在する連通溝が形成されている。外上筒部17aにおいて前記雄ねじ部より下側に位置する部分には、内容器11との間に外気を吸入する吸気孔19が形成されている。外上筒部17aの内周面には、上筒部17のうち、内容器11で構成された部分(以下、内上筒部という)17bが積層されている。内上筒部17bの上端部は、径方向の外側に折り返されて外上筒部17aの開口端上に配置されている。
【0021】
吐出キャップ15は、容器本体13の口部13aを閉塞する中栓部材20と、該中栓部材20を覆うとともに前記吐出口14が形成された有頂筒状の本体筒部材21と、これらの両部材20、21の間に配設された弁部材22と、を備えている。
中栓部材20は、外周縁部が容器本体13の口部13aの開口端上に配置された環状の底壁部23と、底壁部23から下方に向けて突設され容器本体13の口部13a内に嵌合されたシール筒部24と、底壁部23の外周縁部から立設された外筒部25と、底壁部23の内周縁部から立設された有頂筒状の内筒部26と、底壁部23に立設され、内筒部26を径方向の外側から囲繞するとともに外筒部25に径方向の外側から囲繞される中筒部27と、を備えている。これらの底壁部23、シール筒部24、外筒部25、内筒部26および中筒部27は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに一体に形成されている。
【0022】
中栓部材20には、吐出口14と内容器11の内部とを連通する連通口29が、容器軸O方向に貫設されている。連通口29は、内筒部26の頂壁部に、容器軸Oと同軸に配置されている。
また外筒部25の下端部には、径方向に貫通し、かつ下方に向けて開口する外気流通孔28が形成されている。外気流通孔28は、吸気孔19に連通している。
【0023】
本体筒部材21は、容器軸Oと同軸に配置されている。本体筒部材21の周壁部の内周面には、容器本体13の口部13aの前記雄ねじ部に螺着された雌ねじ部が形成されている。本体筒部材21の周壁部のうち、前記雌ねじ部よりも下側に位置する下端部内には、容器本体13の口部13aにおける下筒部18が気密状態で嵌合され、前記雌ねじ部よりも上側に位置する上端部内には、中栓部材20の前記外筒部25が嵌合されている。
【0024】
本体筒部材21の天壁部には、中栓部材20の前記連通口29に連通する吐出筒部30が立設されている。吐出筒部30は、容器軸O方向に延在するとともに容器軸Oに対してずらされて配置されている。吐出筒部30の上端部は、上方に向かうに従い漸次拡径しており、吐出筒部30の上端部内が前記吐出口14となっている。
また、本体筒部材21の天壁部において吐出筒部30を回避する部分には、本体筒部材21内と外部とを連通する外気導入孔31が形成されている。
【0025】
弁部材22は、中栓部材20の底壁部23と本体筒部材21の頂壁部との間に介装された区画筒部33と、吸気孔19と外気導入孔31との連通および遮断を切り替える空気弁部34と、中栓部材20に対して容器軸O方向に変位することで、前記連通口29を通した吐出口14と内容器11の内部との連通および遮断を切り替える開閉弁部40と、を備えている。
【0026】
区画筒部33は、中栓部材20と本体筒部材21との間の空間を、当該区画筒部33よりも径方向の内側に位置し吐出口14に連通する内側部分と、当該区画筒部33よりも径方向の外側に位置し外気導入孔31に連通する外側部分と、に区画している。区画筒部33は、容器軸Oと同軸に配置されており、区画筒部33の下端部は、中栓部材20の内筒部26と中筒部27との間に嵌合され、区画筒部33の上端部は、本体筒部材21の天壁部から下方に向けて突設された二重筒部の間に嵌合されている。
【0027】
空気弁部34は、区画筒部33における容器軸O方向の中央部から、径方向の外側に向けて環状に突設されている。空気弁部34は、弾性変形可能とされ、本体筒部材21の天壁部において前記外気導入孔31よりも径方向の外側に位置する部分に、下方から当接している。
【0028】
開閉弁部40は、中栓部材20に上方から着座することで連通口29を閉塞するとともに、中栓部材20に対して上方に向けて弾性変位可能とされている。開閉弁部40には、容器軸O方向に延在するとともに前記吐出口14に連通し、かつ摺動体43が容器軸O方向に摺動自在に収容された収容筒部35と、収容筒部35から径方向の外側に向けて突設されたフランジ部35aと、が備えられている。これらの収容筒部35およびフランジ部35aは一体に形成されている。
【0029】
収容筒部35は、中栓部材20の前記連通口29内に挿通されており、容器軸Oと同軸に配置されている。収容筒部35は、容器軸O方向の両側に開口しており、収容筒部35の下端開口部は、内容器11の内部に向けて開口している。収容筒部35は、上側に位置する基筒部(収容筒部のうち、摺動体が摺動する部分)36と、下側に位置し基筒部36よりも小径の補助筒部37と、これらの基筒部36と補助筒部37とを連結し、上方から下方に向かうに従い漸次縮径する縮径部38と、を備えている。
基筒部36は、中栓部材20の前記連通口29内に位置するとともに連通口29よりも小径となっており、連通口29のうち、連通口29の内周面と収容筒部35の外周面との間には、容器軸Oと同軸に配置された環状の連通隙間39が設けられている。
【0030】
フランジ部35aは、収容筒部35における容器軸O方向の中央部から、周方向の全周にわたって環状に突設されている。フランジ部35aは、中栓部材20における連通口29の開口周縁部に上方から着座することで前記連通隙間39を閉塞している。フランジ部35aは、区画筒部33の容器軸O方向の中央部に、周方向に間隔をあけて配設された複数の弾性連結片41を介して連結されている。
なお前記区画筒部33、空気弁部34、開閉弁部40および弾性連結片41は一体に形成されている。
【0031】
摺動体43は、収容筒部35の内部に設けられた台座部42に、上方に向けて離反可能に着座している。台座部42は、収容筒部35の縮径部38における内周面により構成されており、摺動体43が台座部42に着座することで、収容筒部35内を通した内容器11の内部と吐出口14との連通が遮断されている。摺動体43は、収容筒部35の基筒部36内を容器軸O方向に摺動自在に構成されており、外径が基筒部36の内径と同等とされた球状に形成されている。摺動体43および収容筒部35は、摺動体43が収容筒部35内を摺動するときに、収容筒部35内を通した内容器11の内部と吐出口14との連通が実質的に遮断されるように構成されている。なお、摺動体43の外面と基筒部36の内周面との間には、隙間がなくてもよく、微小な隙間があってもよく、また、収容筒部35は有底筒状に形成されていてもよい。
【0032】
ここで吐出キャップ15には、摺動体43が、収容筒部35の基筒部36から上方に離脱するのを規制する規制部44a、44bが備えられている。規制部44a、44bには、収容筒部35内に設けられた第1規制部44aと、本体筒部材21に設けられた第2規制部44bと、が備えられている。第1規制部44aは、収容筒部35の基筒部36の内周面から環状に突設されており、第1規制部44aの内径は摺動体43の外径よりも小さくなっている。第2規制部44bは、本体筒部材21の天壁部から下方に向けて突設されており、第2規制部44bの下端は収容筒部35の基筒部36内に位置している。なお、第2規制部44bは容器軸Oと同軸に配置されている。
【0033】
オーバーキャップ16は、吐出キャップ15における本体筒部材21の周壁部のうち、容器軸Oを間に挟んで吐出口14と反対側に位置する部分に、ヒンジ部を介して連結されている。なおオーバーキャップ16には、吐出筒部30内に着脱可能に嵌合される閉塞筒部が、下方に向けて突設されている。
【0034】
前記吐出容器10から内容物を吐出するときには、オーバーキャップ16を開放した後、まず、吐出口14が下方を向くように吐出容器10を傾けて吐出姿勢にした状態で、容器本体13を径方向の内側に押し込んでスクイズ変形(弾性変形)させ、内容器11を外容器12とともに変形させ減容させる。
すると内容器11内の圧力が上昇し、開閉弁部40が、内容器11内の内容物により押圧されて、弾性連結片41を弾性変形させながら容器軸O方向に沿った吐出口14側に弾性変位する。これにより、開閉弁部40のフランジ部35aが中栓部材20から前記吐出口14側に離反し、連通口29の前記連通隙間39が開放されることとなり、内容器11内の内容物が連通隙間39および吐出口14を通して外部に吐出される。このとき摺動体43は、当該摺動体43の自重と、収容筒部35の補助筒部37を通して及ぼされる内容器11内の圧力と、により収容筒部35の基筒部36内を前記吐出口14側に摺動する。
【0035】
その後、吐出容器10を元の正立姿勢に戻すとともに、容器本体13の押し込みを停止または解除すると、内容器11内の内容物による開閉弁部40への押圧力が弱められ、開閉弁部40が、弾性連結片41の弾性復元力により容器軸O方向に沿った内容器11の内部側に復元変位する。そして、開閉弁部40のフランジ部35aが中栓部材20に着座することで、連通口29の連通隙間39が閉塞されて内容器11が密閉され、内容物の吐出が停止される。このとき摺動体43が、当該摺動体43の自重や内容器11内の圧力低下により、収容筒部35の基筒部36内を前記内容器11の内部側に摺動し、収容筒部35の基筒部36の内部において、摺動体43よりも前記吐出口14側に位置する部分を拡大させながら前記台座部42に着座する。これにより、開閉弁部40が前記内容器11の内部側に復元変位することと相俟って、吐出口14内の内容物が吐出キャップ15の内側に引き込まれることとなる。
なお、収容筒部35の基筒部36内を摺動体43が容器軸O方向に摺動するとき、摺動体43の外面と基筒部36との内周面との間に隙間がない状態で摺動してもよく、前記引き込み作用が生じる程度の微小な隙間があいた状態で摺動してもよい。つまり、摺動体43の外面と基筒部36の内周面との間には、実質的に内容物が通過できない程度の隙間が設けられていてもよい。
【0036】
ここで、開閉弁部40により連通口29が閉塞され、かつ摺動体43が台座部42に着座した状態で容器本体13の押し込みを解除すると、内容器11が減容変形したまま外容器12が復元変形しようとする。このとき、内容器11と外容器12との間に負圧が発生し、この負圧が、吸気孔19を通して空気弁部34に作用することにより、空気弁部34が開状態となる。すると外気導入孔31、外気流通孔28および吸気孔19を通して外容器12と内容器11との間に外気が吸入される。そして、外容器12と内容器11との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁部34が復元変形して吸気孔19と外部とを遮断する。これにより、内容物の吐出後に内容器11の減容形状が保持される。
その後、再び容器本体13の外容器12をスクイズ変形させると、空気弁部34は閉状態とされていることから外容器12と内容器11との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器11が減容変形され、前述の作用により内容物が吐出される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、内容物の吐出後、吐出口14内の内容物を吐出キャップ15の内側に引き込むことができるので、内容物が吐出口14から漏出するのを抑制することができる。
また内容物の吐出後、開閉弁部40が、復元変位することで連通口29が閉塞されるので、内容物を吐出していない状態において内容器11の密閉性を確保することができる。
【0038】
また、収容筒部35が連通口29内に挿通されているので、収容筒部35を中栓部材20から下方に延在させることが可能になり、収容筒部35が中栓部材20から上方に突出する突出量を抑えて吐出キャップ15の小型化を図ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る吐出容器を説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0040】
図2に示すように、本実施形態に係る吐出容器50では、収容筒部35の基筒部36の内周面に容器軸O方向に延在する縦溝51が形成されている。縦溝51は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦溝51は、基筒部36の下半分に限定的に設けられている。
【0041】
また本実施形態では、収容筒部35の基筒部36の開口端縁と、本体筒部材21の天壁部と、の容器軸O方向に沿った間隔は、摺動体43の外径よりも小さくなっている。これにより、摺動体43が収容筒部35の基筒部36内を上方に向けて摺動したときに、摺動体43が基筒部36から上方に離脱する前に、摺動体43と本体筒部材21の天壁部とが当接することとなる。このように本実施形態では、本体筒部材21の天壁部が前記規制部を構成している。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器50によれば、収容筒部35の基筒部36の内周面に前記縦溝51が形成されているので、例えば縦溝51の周方向の大きさ等を調節することで、摺動体43の外面と収容筒部35の内周面との接触面積を調整し、摺動体43が径方向にがたつくのを抑制するとともに摺動体43をスムーズに摺動させることが可能となり、吐出口14内の内容物を吐出キャップ15の内側に効果的に引き込むことができる。さらに前記接触面積を調整することで、摺動体43の摺動速度を内容物に応じて調整することも可能となる。
【0043】
なお本実施形態では、縦溝51は、基筒部36の下半分に限定的に設けられているが、基筒部36の容器軸O方向の全長にわたって設けられていてもよい。また前記縦溝51に代えて、容器軸O方向に延在する縦突条(縦リブ)を形成してもよい。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る吐出容器を説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
図3に示すように、本実施形態に係る吐出容器60では、フランジ部35aは、収容筒部35の上端部から径方向の外側に向けて突設されている。また収容筒部35の下端部には、容器軸Oと同軸に配置された環状部が、径方向の内側に向けて突設されている。
そして本実施形態では、中栓部材20には、収容筒部35を径方向の外側から囲繞する保護筒部62が、下方に向けて突設されている。保護筒部62は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに収容筒部35よりも大径とされ、保護筒部62の内周面と収容筒部35の外周面との間には、周方向の全周にわたって延在し連通口29の前記連通隙間39に連通する環状隙間63が設けられている。なお図示の例では、保護筒部62の下端は、収容筒部35の下端よりも下方に位置している。
【0046】
また保護筒部62には、容器軸O方向に延在するスリット部62aが形成されている。スリット部62aは、保護筒部62を径方向に貫通している。スリット部62aは、保護筒部62の容器軸O方向の全長にわたって延在しており、保護筒部62の下端面に開口している。スリット部62aは、周方向に間隔をあけて複数配設されており、保護筒部62を周方向に複数の保護壁片に分割している。
【0047】
なおこれらの保護壁片は、連結部により互いに連結されていてもよい。この場合、保護壁片の径方向の変形が抑制されることとなる。
ここで前記連結部は、周方向に隣り合う保護壁片同士を連結してもよい。この場合、連結部が、スリット部62aに1つ、またはスリット部62aに容器軸O方向に間隔をあけて複数配置され、保護壁片同士のうち、周方向に対向し合う端面同士を互いに連結していてもよい。また前記連結部は、径方向に対向し合う保護壁片同士を連結してもよい。この場合、連結部が、保護壁片同士のうち、収容筒部35の下端よりも下側に位置する下端部同士を連結してもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器60によれば、中栓部材20に、前記保護筒部62が下方に向けて突設されているので、例えば吐出キャップ15と容器本体13とを組み立てるときに、収容筒部35を保護筒部62により保護し、収容筒部35が、容器本体13に突き当たること等を抑制することが可能になり、当該吐出容器60を簡便に組み立て易くすることができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記各実施形態では、摺動体43が、球状に形成されているものとしたが、これに限られるものではなく、容器軸方向に延在し、外周面が収容筒部の内周面上を容器軸方向に摺動可能な円柱状であってもよい。さらに例えば、摺動体は、容器軸方向に延在する棒状の基部と、基部における容器軸方向の両端部に基部より外径が大きい一対の摺動部と、を備え、摺動部が収容筒部内を摺動可能ないわゆるダンベル状であってもよい。その他、摺動体の少なくとも一部が、収容筒部の内周面上をその全周にわたって摺動可能であれば種々の形状を採用することができる。
【0050】
また前記各実施形態では、収容筒部35は容器軸Oと同軸に配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば収容筒部が、容器軸に対して径方向にずらされていてもよい。また収容筒部の軸線が、容器軸方向に対して傾斜して延在していてもよい。
さらに前記各実施形態では、連通口29は容器軸Oと同軸に配置されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば連通口が、容器軸に対して径方向にずらされていてもよい。また連通口の軸線が、容器軸方向に対して傾斜して延在していてもよい。
【0051】
また前記各実施形態では、収容筒部35が、連通口29内に挿通されているものとしたが、これに限られない。例えば開閉弁部が、吐出キャップに、容器軸方向に沿った吐出口側から着座することで連通口を閉塞する板状の弁本体を備え、収容筒部が弁本体に立設されていてもよい。
【0052】
また前記各実施形態では、吐出キャップ15の本体筒部材21の前記雌ねじ部が、容器本体13の口部13aの前記雄ねじ部に螺着されることとしたが、これに限定されるものではない。例えば容器本体の口部と本体筒部材とにそれぞれ嵌合凸部を形成してこれらをアンダーカット嵌合させることにより、吐出キャップを口部に装着することとしてもよい。
【0053】
また前記各実施形態では、外気導入孔31および空気弁部34が、吐出キャップ15に設けられているものとしたが、これに限られない。例えば、吸気孔が、外容器の底部に形成され、該外容器の底部に、外気導入孔が形成された有底筒状体が密封状態で外装され、該有底筒状体に空気弁部が設けられた構成を採用することも可能である。
【0054】
また前記各実施形態では、容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器と外容器とが別体に形成された二重容器であってもよい。
【0055】
また前記各実施形態では、吐出容器10から内容物を吐出するときには、吐出口14が下方を向くように吐出容器10を傾けて吐出姿勢にした状態で、容器本体13を径方向の内側に押し込んでスクイズ変形させるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、単に吐出容器10を傾けて吐出姿勢にすることにより、内容物を吐出口14から吐出させてもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。