【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1に係るLED照明装置について説明する。
図1A、
図1Bおよび
図1Cには、本実施例のLED照明装置1の背面図、側面図および正面図をそれぞれ示す。
図1Aは、本実施例のLED照明装置1を上方(背面2A側)からみた背面図、
図1Bは、同右側面図、
図1Cは、LED照明装置1を主発光面側から見た外観図を示す。
図1A〜
図1Cに示すLED照明装置1は、長手方向(
図1左右方向)に延設された照明装置本体2と、その背面に設置されたLED電源ユニット3とを備えている。2Aはヒートシンク、23Cは垂設部、23hは第2の開口窓部、5は第1の透光性プレート、6は化粧カバー、6aは開口部に各々対応するが、これらの構造・機能については後述する。
【0018】
本実施例のLED照明装置1は、鉄道車両のような輸送機器や建築物等、種々の機器や設備に設置が可能である。例えば、鉄道車両の場合には、LED電源ユニット3は、電源線31を介して、鉄道車両の車体側の電源供給用の端子台に接続される。この場合、電源として、AC電源およびDC電源のいずれを用いることも可能である。
【0019】
図1Dは、本発明のLED照明装置の適用対象の例として、複数(ここでは5個)のLED照明装置1を備えた1両編成の鉄道車両の模式図である。また、
図1Eは、
図1Dの鉄道車両の略縦断面図である。鉄道車両80は、架線81から電力を集電する集電装置82を屋根上に備え、この集電装置82によって集電された高電圧の電力が、鉄道車両80の床下に備えられた第2の電源装置83へ送電される。鉄道車両80の床下には、蓄電池または整流装置84及び第1の電源装置85も搭載されている。第2の電源装置83は、高電圧の電力を照明や空調装置等のサービス機器に供給できる低電圧の電力に変換し、整流装置84を経由して第1の電源装置85に電力を供給する。一方、第1の電源装置85は、電源線31を介して鉄道車両80の客室の天井等に装着されたLED照明装置1等のサービス機器に該電力を供給する。蓄電池は、第1の電源装置85と上記サービス機器とを結ぶ電源線31上に配置される場合が多いが、第1の電源装置85と第2の電源装置83の結線上に配置されていても構わない。なお、以下では、第2の電源装置、蓄電池、整流装置及び制御機能付きの第1の電源装置を纏めて、主電源装置と称する。
【0020】
図1Eに示すように、鉄道車両80の客室90内の天井の取付け部88に2列、すなわち、間に空調装置89を挟んで一対のLED照明装置1(1A,1B)が主照明装置として設置されている。なお、91は窓、92は座席を示している。一対のLED照明装置1(1A,1B)は、客室90内の座席92を照射すると共に、客室の左右の窓91の上の天井部近傍を柔らかく照明する、間接照明装置として、機能している。
【0021】
LED照明装置1は、長手方向に複数個、列をなすように順次繋がれ、後で詳細に述べる取り付け態様により、客室90内の天井の取付け部88に、その開口部を下方に向けて設置されている。
【0022】
複数のLED照明装置1は、主電源装置に対して、例えば直列、あるいは並列に接続されている。主電源装置には、LED照明システムを構成する機器として、LED照明装置1の他に、鉄道車両80の客室内の照度を監視する照度センサ86と、編成制御装置87とが接続されている。編成制御装置87は、トンネル位置などの路線情報および鉄道車両80に備えられるLED照明装置1の輝度を制御する調光指令等を処理する。照度センサ86により、鉄道車両80の車外環境の変化、例えば走行時間帯、走行位置、天候等の変化、に伴う客室内の照度の変化を検知し、照度情報として第1の電源装置85へ送る。第1の電源装置85は、路線情報や照度情報に基づき、客室内の照度が所定の範囲になるように、電源線31を介してLED照明装置1に供給する電流もしくは電力を制御する。このようなLED照明システムにより、鉄道車両80の客室内の照度が所望のレベルに維持される。
【0023】
なお、実施例3で後述するように、LED電源ユニット3と照明装置本体2とが分離されている形態もありうる。
【0024】
図2(
図2A、及び
図2B)に、本実施例のLED照明装置1の、
図1BのII−II線断面図を示す。本実施例のLED照明装置1の照明装置本体2は、大まかには、一面が開放面をなす概直方体状のフレーム20と、当該フレーム20に上記の開放面側から被せられる化粧カバー6とを含んで構成されている。分かりやすさを考慮し、
図2Aには、化粧カバー6がフレーム20から分離された状態のII−II線断面図を示しているが、実際には、
図2Bに示すように、化粧カバー6とフレーム20とは一体に組み合わされて使用される。
【0025】
フレーム20は、ベース部21と、当該ベース部21の左右両端部に設けられた側縁部22、23とを含んで構成される。フレーム20の縦断面はΠ字状であり、照明装置本体2の長手方向(
図1A〜
図1Cに示す背面図、側面図および正面図の紙面左右方向)に延設されている。このような形状のフレーム20は、例えばアルミ合金の押出加工により成形することができる。
【0026】
フレーム20のLED照明装置1の長手方向端部には、
図3に示すようにエンドプレート25が取り付けられており、上述したフレーム20の箱型形状の長手方向端部の壁面をなしている。
【0027】
ベース部21の上記開放面に対向する側はフレーム20の底面をなし、当該底面すなわち取付面に複数のLED発光素子10が実装された基板4が取り付けられる。一例として基板4は矩形の平板からなり、取付面も平坦な面となっている。ベース部21の電源ユニット対向面(基板4の取付面の裏面)には、フレーム長手方向へ形成された一対の凹部を介してヒートシンク2A(凸部)が形成されている。このヒートシンク2Aは、LED発光素子10への通電により発生する熱を外部へ逃がす機能を有する。アルミ自体の熱伝導性が良いため、本実施例では単なる凸部をヒートシンク2Aとして使用しているが、凸部を設けずに熱伝導性の良い金属薄膜や放熱性コーティングをベース部21裏面に設けてヒートシンク2Aとして機能させてもよい。あるいは、凸部の表面に金属薄膜や放熱性コーティングを設けてもよい。
【0028】
側縁部22は、ベース部21の左側側部から左方(
図2の左方)に張り出す上側張出部22Aと、その下方(同図下方)に間隔を隔てて配置され、同様に左方に張り出す下側張出部22Bとを有している。上側張出部22Aおよび下側張出部22Bは垂設部22Cにより上下方向(つまり照明装置本体2の厚み方向)に連結されている。下側張出部22Bには、側縁部23側に張り出した内側張出部22Dが設けられている。
【0029】
同様に、側縁部23は、ベース部21の右側側部から右方(
図2の右方)に張り出す上側張出部23Aと、その下方に間隔を隔てて配置され、同様に右方に張り出す下側張出部23Bとを有し、上側張出部23Aおよび下側張出部23Bは、垂設部23Cにより上下方向に連結される。また、下側張出部23Bにも、側縁部22側に張り出した内側張出部23Dが設けられている。
【0030】
上述の内側張出部22D、23Dは、フレーム20の長手方向に延在しており、本実施例では、内側張出部22D、23Dによって形成される開口を開放面と称する。また、この開放面の外側(
図2Aの紙面下側)には、上記内側張出部22D、23Dの下面と下側張出部22B、23Bの内壁面による凹部22b、23bが各々形成されている。
【0031】
上述の垂設部22C、23Cは、各々、フレーム20の側壁面をなしている。この側壁面(22C、23C)には、
図1Bに示すように、照明装置本体の長手方向に沿って間欠的に第2の開口窓部23hが貫通形成されている。第2の開口窓部23hは、照明装置本体2の長手方向に延びる長孔であって、上記長手方向に所定間隔を隔てて複数個設けられている。後述するが、第2の透光性プレート7は締結部材であるネジにより第2の開口窓部23hに固定されている。各第2の開口窓部23hには、第2の透光性プレート7が固定されている。本実施例では、第2の透光性プレート7としては、好ましくは難燃性または耐火性の樹脂製プレート(例えばポリカーボネート板)が用いられている。なお、第2の透光性プレートは原理的には必ずしも必要ではないが、第2の開口窓部23hを塞ぐ機能を奏するためフレーム20内部の防塵効果を有し、LED発光素子10表面への埃の付着による照度劣化を抑制できる。
【0032】
上述した各側縁部22、23における下側張出部22B、23Bは、LED照明装置1の幅方向(
図2の紙面左右方向)に間隔を隔てて相対しており、当該間隔により、フレーム20のベース部21と対向する第1の開口窓部20hが形成されている。第1の開口窓部20hは、フレーム20に化粧カバー6を取り付けた際に、第1の透光性プレート5が位置するように形成されている(
図2B参照)。
【0033】
次に、化粧カバー6について説明する。化粧カバー6は、フレーム20を下方から覆う部材であって、
図1Cに示されるように、外観上は、開口部6aを備え、端部に曲げ加工が施された板状部材である。開口部6aは、長手方向(
図2Aまたは
図2Bの紙面垂直方向)に延在している。
【0034】
図1BのV部分詳細図である
図3に示されるように、化粧カバー6の長手方向端部には、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に折り曲げられた折曲げ部63が形成されている。折曲げ部63は、照明装置本体2の端部を端面方向から覆っている。また、化粧カバー6の幅方向の端部には、後述する延設部61、62が形成されている。
【0035】
本実施例の場合、
図2Aに示されるように、化粧カバー6にはネジ穴29が設けられており、フレーム20の各下側張出部22B、23Bおよび内側張出部22D、23Dの下面にパッキン24のような緩衝部材を介して、締結部材28(例えばネジやボルト・ナットなど)により、フレーム20に対して脱着可能に固定される。
【0036】
本実施例のLED照明装置1は、構造が簡単であるため厚みが非常に薄く、更に開放面および第1の開口窓部20hと基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため(つまり、基板4が箱形状のフレーム20の底面に固定されているため)、化粧カバー6を取り外せば基板4に直ぐにアクセス可能である。従って、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定せず、化粧カバー6を脱着可能に構成することにより、基板4へのアクセス性が著しく向上し、LED発光素子10の破損・故障時における基板4の交換作業等、装置のメンテナンス性が向上する。無論、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定しても、照明装置の側方配光は可能であるが、メンテナンス性の観点からは、化粧カバー6は、フレーム20に対して脱着可能であった方が好ましい。
【0037】
開口部6aの裏面(フレーム20との対向面側)には、第1の透光性プレート5が設けられている。本実施例では、化粧カバー6を構成する板状部材のうち、開口部6aの周囲の部分を開口縁部60と称するが、第1の透光性プレート5はパッキン24により開口縁部60の裏面側に固定されている。第1の透光性プレート5をフレーム20側に固定する構成も実現可能であるが、装置のメンテナンス性を考慮すると、第1の透光性プレート5を化粧カバー6側に固定し、化粧カバー6と一体でフレーム20から脱着できる方が好ましい。
【0038】
また、化粧カバー6をフレーム20に取り付けた場合、
図2Bに示されるように、パッキン24は凹部22b、23b内に収納される。つまり、第1の透光性プレート5の外周縁部は、内側張出部22D、23Dと開口縁部60により、パッキン24を介して挟持されることになり、開口縁部60は、第1の透光性プレート5の外周縁部を保持する保持部として機能する。開口部6aと同様、第1の透光性プレート5は、長手方向(
図2の紙面垂直方向)に延在している。
【0039】
第1の透光性プレート5は、LED発光素子10から放出された光を照明装置本体2の下側に導き、かつ側方に反射または散乱させる機能を有する部材であり、好ましくは平板状のガラス板(例えば強化ガラス板)が用いられる。化粧カバー6が開放面を塞ぐように箱状のフレームに固定されることにより、第1の透光性プレート5が平坦な発光面を構成する。鉄道車両の場合、スキー板や楽器といった長尺の手荷物を車内に持ち込む乗客が存在する。従って、蛍光灯のような発光面に凹凸がある照明装置に比べて、発光面が平坦な照明装置の方が長尺の手荷物が引っ掛かりにくくなる。また、凹凸が無い分、床面から天井までの高さが高くなるため、上記の手荷物が当たりにくくなる。よって、発光面を平坦に構成する方が、発光面に凹凸のある場合に比べて照明装置の破損の確率を低くすることができる。
【0040】
第1の透光性プレート5の内面(
図2上側面)には、LED発光素子10から放出された光の一部を透過し、一部を反射または散乱させる拡散シート(図示せず)が設けられており、この拡散シートによって、LED発光素子10からの出射光を拡散して側方を照射することができる。また、拡散シートが設けられていることにより、第1の透光性プレート5の破損時に第1の透光性プレート5の飛散を防止できるようになっている。
【0041】
拡散シートとしては、偏光性を有するシートを採用してもよい。この場合には、拡散シートの縦横の向きを変えて第1の透光性プレート5に装着することにより、LED発光素子10からの出射光が第1の透光性プレート5に入射して拡散したときに、第1の透光性プレート5の発光面の見え方が変化する。例えば、第1の透光性プレート5が長手方向に直線状に発光して発光面が冷陰極管のように見えたり、あるいは第1の透光性プレート5が長手方向と直交する幅方向に縞模様に発光して発光面が立体的に見えたりするようになる。
【0042】
なお本実施例では、第1の透光性プレート5の反射・散乱機能を実現するため拡散シートを用いたが、ガラス繊維やポリカーボネート製の部材を用いれば、拡散シートを使用せずとも第1の透光性プレート5を作製することができる。ただし、ガラス板と拡散シートの組み合わせの方が光の損失が少なく、より照度の高い照明装置を実現することができる。
【0043】
また、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を色つきの透光性部材で構成してもよい。この場合、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を透過して外部へ照射される光に色が付くことになるが、色付きの第1の透光性プレートまたは第2の透光性プレートを有する複数のLED照明装置を並べて配置し、更にこれら複数のLED照明装置間で透光性プレートの色を変えることにより、カクテル照明のような効果を生むことができる。鉄道車両以外に適用した場合であってもこの効果が奏されることは言うまでもない。
【0044】
本実施例の化粧カバー6には、
図2に示すように、開口縁部60からそれぞれ両側方に延設された延設部61、62が設けられている。本実施例のLED照明装置1の場合、両側面の一方のみが発光する片面発光タイプの灯具であるため、延設部61,62の形状が異なっており、すなわち、延設部61,62の形状が左右非対称である。延設部61は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に立ち上がるとともに、フレーム20の側縁部22の上側張出部22Aまで延びる立壁部を形成しており、フレーム20の側縁部22を側方から覆っている。これは、延設部61が設けられた側からの発光が不要であるためである。延設部62は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって上方に湾曲しつつ傾斜する傾斜部を形成している。なお、延設部62の機能・作用については後述する。
【0045】
図4は、基板4上にLED発光素子10が実装された様子を示す模式図である。基板4の実装面には、基板4の長手方向(同図左右方向)に沿って配設された多数のLED発光素子10が搭載されている。この基板4は、絶縁シート(図示せず)を介して、ベース部21上に固定されている。
【0046】
本実施例のLED照明装置1においては、1台のフレーム20上に複数の基板が載置される。例えば、本実施例では、1個のLED照明装置1の構成要素の1つである照明装置本体2に取り付けられる基板4は、
図5に示したように、複数枚、例えば4枚の基板4A、4B、4C、4Dから構成されている(各基板4A〜4Dの実装面には、それぞれ多数のLED発光素子10が搭載されているが図示は省略した)。このように、本実施例のLED照明装置1は、LED発光素子を搭載する基板4が複数枚の基板に分割されて照明装置本体2に実装されているため、LED発光素子が破損・故障した場合の装置メンテナンスが容易である。つまり、全てのLED発光素子を1枚の基板に実装した場合、一部故障の場合であっても基板全てを交換する必要が生じるが、本実施例のLED照明装置1では、LED発光素子が複数枚の基板に分割されて装置に搭載されているため、LED発光素子全体を交換する必要が無い。
【0047】
図5に、一対のコネクタ(オス型コネクタ及びメス型コネクタ)を用いた複数枚の基板の電気的な接続関係を模式図で示す。各基板4A〜4Dの角部には、オス型コネクタ40が設けられており、隣り合う各基板は、相対する各オス型コネクタ40に嵌合する中継用のメス型コネクタ41により電気的に接続されている。また、基板4A、4Dの残りのオス型コネクタ40には、短絡用のメス型コネクタ41’が嵌合している。基板4Bの残りのオス型コネクタ40に嵌合するメス型コネクタ41”は、端子台30を介してLED電源ユニット3に接続されている。
図5の例では、基板4Aと4B、基板4Cと4D各々直列に、電源ユニット3に接続されている。このような一対のコネクタを用い複数枚の基板を接続して構成された1つの基板4が、各LED照明装置1の照明装置本体2に実装されている。
【0048】
次に、本実施例のLED照明装置1の動作について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、
図1BのVI−VI線断面図を示し、
図7はLED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図である。
【0049】
LED発光素子10から出射された光は、ベース部21と対向する第1の透光性プレート5に入射する。第1の開口窓部20h(換言すると第1の透光性プレート5)と基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため、各LED発光素子10から出射された光のうち第2の開口窓部23hに直接到達する光以外は、直下の第1の透光性プレート5に入射し、下方に透過したのち、照明装置本体2の外部に直接光として照射される。直接光の光路の一例を
図6、
図7中に実線で示した。また、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5で反射(全反射または一部反射)した後、垂設部23Cの第2の透光性プレート7を透過して第2の開口窓部23hの側方に間接光として照射される。間接光の光路は
図6、
図7中に一点鎖線で示した。このとき、第1の透光性プレート5の内面に拡散シートが装着されている場合には、第1の透光性プレート5の全面を主発光面として発光させることができるばかりでなく、当該拡散シートによる拡散光が第2の透光性プレート7を透過して側方に照射されるようになる。
【0050】
このように、第1の透光性プレート5での反射および(または)散乱を利用することで、簡易な構成で、照明装置の側方照射を実現することができる。
【0051】
次に、
図8を用いて、化粧カバー6の延設部62およびフレーム20の上側張出部23Aの機能について説明する。
図8は、LED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図であり、実線が直接光の光路、一点鎖線が間接光の光路を、二点鎖線が別の間接光の光路を示す。点線は、第2の透光性プレート7の中心を示す。LED発光素子10からの出射光のうち一部は、例えば、
図8の実線で示す光路を通って、第1の透光性プレート5を透過し、照明装置の下面を照射する。
【0052】
本実施例の場合、化粧カバー6の外側は上側に反った曲面部によって構成される延設部62をなしている。
図8中の一点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第2の透光性プレート7を直接透過した後、延設部62の内面で反射され、側方上部(
図8中の点線よりも紙面上側)を照射する。また一方、
図8中の二点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5裏面の拡散シートで反射した後、上側張出部23Aの内面で反射され、照明装置の側方下部(
図8中の点線よりも紙面下側)を照射するようになる。
【0053】
以上のように、化粧カバー6の幅方向の端部領域に上側に湾曲した延設部62を設け、かつフレーム20に上側張出部23Aを設けることにより、照明装置の側方を上側から下側までむらなく照射することができるようになる。
【0054】
この効果は、特に鉄道車両に本実施例のLED照明装置1を取り付けた場合に大きく、車両の天井側面や側広告等を従来の照明装置よりも明るく照射することが可能となる。
【0055】
例えば、
図1Eに示した一対のLED照明装置1のうち、左側のLED照明装置1Aは左側に延設部62があり、右側のLED照明装置1Bは右側に延設部62がある。これにより、延設部62からの光が車両の天井側面や側広告等を明るく照射する効果がある。
【0056】
このとき、延設部62の内面は、反射光量を増やすために、白色に塗装されている方が好ましい。この場合には、化粧カバー6の延設部62での反射を利用することで、照明装置本体2の側方から照射されるようになっているので、装置全体の構造を簡略化できる。
【0057】
また、以上の説明では、LED発光素子10からの出射光を照明装置本体2の側部からのみ側方へ照射するようにした例を示したが、
図9に示すように、照明装置本体2の長手方向の端部に装着したエンドプレート25に第3の開口窓部25aを貫通形成し、当該開口窓部25aに第3の透光性プレート8を装着することにより、LED発光素子10からの出射光を第3の透光性プレート8を透過させて、第3の開口窓部25aから端部方向に照射するようにしてもよい。
【0058】
本実施例によれば、装置全体の構造が簡素化され、付加的な複雑な機構無しに、主発光面として発光すると共に、照明装置本体の側方への配光が可能なLED照明装置を実現することができる。
また、装置全体の構造が簡素化されるため、非常に薄いLED照明装置を実現することも可能となる。
【実施例5】
【0069】
本実施例では、
図14ないし
図17を用いて、電源ユニット付きLED照明装置の取付方法の各態様について説明する。ここでは、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明する。実施例1から4で説明したLED照明装置1は、フレーム20の各側縁部22、23の各張出部22A、23Aまたは22B、23Bを用いて取付面に取り付けられる。
図14ないし
図17において、
図1から
図13に示された参照番号と同一の番号は、同一または相当部分を意味する。また、
図14ないし
図17では、LED照明装置1を概略図で示しており、照明装置本体2の基板、LED発光素子、第1、第2の透光性プレート、化粧カバー等は、図示を省略している。
【0070】
図14に示す取付態様は、鉄道車両の天井の天板16に貫通孔16aを形成し、LED電源ユニット3を当該貫通孔16aを介して天井の裏側に配置した例である。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各上側張出部22A、23Aが、これらを上下に挿通する取付ネジ15(締結部材)により天板16に取り付けられている。
【0071】
図15に示す取付態様は、天井に形成された凹部16bを利用して、当該凹部16b内にLED電源ユニット3を配置した例である。この場合、フレーム20の各上側張出部22A、23Aには、横断面略Π字状の取付金具17の下端が取付ネジ15により取り付けられている。取付金具17は、凹部16b内に配置されるとともに、取付ネジ18により、凹部16b内の天板16Aに取り付けられている。
【0072】
図14および
図15に示す取付態様では、照明装置本体2を天板16の下方に配置した例を示したが、
図16に示すものでは、フレーム20の各上側張出部22A、23Aが天井の裏側に配置されており、各上側張出部22A、23Aの下面は、取付ネジ15により、天板16の上面に取り付けられている。すなわち、この場合には、照明装置本体2の一部が天板16の上方に配置されている。
【0073】
図17に示す取付態様は、LED照明装置全体を天井の裏側に配置した例であり、LED照明装置1が天井に埋め込まれている。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各下側張出部22B、23Bの下面は、取付ネジ15(締結部材)により、天板16の上面に取り付けられている。この場合には、LED照明装置1の側方から光を照射する必要がないので、第2の透光性プレートは不要となる。
図17に示す取付態様の場合、天井面に凹凸が無くなるため、外観上、天井面がすっきりして見えるという効果がある。
【0074】
このように、LED照明装置1の取付けの際には、フレーム20の左右両側縁部22、23において上下方向に間隔を隔てた各張出部22A、22Bおよび23A、23Bを利用することにより、LED照明装置1の取付面への取付け作業が容易に行えるようになるとともに、種々の取付方法が可能になる。
【0075】
また、本実施例で説明した取付態様では、側縁部の張出部を介して、照明装置本体が取付面に取り付けられるようになっている。この場合には、張出部がベース部の側部から側方に張り出して設けられているので、この張出部を利用することにより、照明装置本体の取付面への取付け作業が容易に行えるようになる。また、各張出部が垂設部を挟んで照明装置本体の厚み方向に間隔を隔てて配置されているので、照明装置本体の厚み方向の2個所の位置で取付面に対する取付けを行える。
【0076】
なお、LED電源ユニット3を照明装置本体2の背面2Aに設置したことにより、照明装置本体2を取付面(例えば天井面)に据え付ける際には、電源ユニット3を取付面側の例えば端子台に接続する作業が容易になるとともに、電源ユニット単体のメンテナンス作業が容易になるという効果を奏する。
【0077】
以上、実施例5では、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明したが、本発明のLED照明装置は、ビル等の建物内の照明や住宅の室内用の照明等にも適用可能である。
本発明は、側方への照射光を簡単な機構で実現できるLED照明装置に好適である。