特許第5865807号(P5865807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865807
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】シート処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/30 20060101AFI20160204BHJP
   B65H 31/26 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   B65H31/30
   B65H31/26
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-197382(P2012-197382)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2013-193880(P2013-193880A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/612,237
(32)【優先日】2012年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】曽我 直史
(72)【発明者】
【氏名】山本 幹夫
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−520753(JP,A)
【文献】 特開2009−298596(JP,A)
【文献】 特開2002−060118(JP,A)
【文献】 特開2012−101914(JP,A)
【文献】 特開2005−520753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00−31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを載置面上に積載する処理トレイと、
前記処理トレイに積載されたシートに所定の処理を施す処理部と、
前記処理トレイ上から排紙されたシートを積載するとともに、前記処理トレイからのシート搬送方向において、載置面の上流側端部の高さ位置が前記処理トレイの載置面の下流側端部よりも低い排出トレイと、
前記処理トレイ上に載置されたシートの後端部を押して、シートを前記排出トレイ上に移動させる排出部材と、
支持機構であって、
前記排出部材およびアームを駆動するモータと、
前記モータの駆動軸に連結されるピニオンギアと、
前記処理トレイの載置面に載置したシートの前記処理トレイ上から前記排出トレイ側に突き出た突出部分の下面を、シートが前記排出トレイの載置面に当接しないように支持する支持位置と、前記突出部分の下面を支持しない非支持位置との間を、前記処理トレイの載置面と平行に移動可能な前記アームであって、前記ピニオンギアと噛み合うラックが形成され、前記モータから前記ピニオンギアへ駆動力を伝達することで前記非支持位置と前記支持位置との間を移動する前記アームと、
を備えた支持機構と、
記処理トレイ上に載置されるシートを前記排出部材によって前記排出トレイ上に移動させ且つ前記支持位置にある前記アームにより前記突出部分の下面を支持した状態から、前記アーム前記非支持位置とすることによってシートを前記排出トレイ上に落下させる制御部であって、前記排出部材がシートを押し出す際の移動速度よりも遅い速度で前記アームを前記非支持位置へ移動させる制御部と、
を備えシート処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処理装置において、
前記制御部は、前記支持位置にある前記アームにより前記突出部分を支持されているシートの前記シート移動方向上流側端部を前記排出部材によって規制した状態で、前記アーム前記非支持位置とすることによってシートを前記排出トレイ上に落下させるシート処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート処理装置において、
前記制御部は、前記アームを前記支持位置とした状態で前記処理トレイ上にシートを積載させ、前記排出部材による前記シート移動方向への押し出し動作によって前記シートを前記排出トレイ上に移動させ、前記排出部材によりシート後端を規制した状態で前記アーム前記非支持位置まで移動させるシート処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート処理装置において、
前記制御部は、前記排出部材の押し出し動作開始前のホームポジションへの復帰を開始するタイミングよりも後に、前記アーム前記非支持位置への復帰動作を開始させるシート処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、所定の処理トレイに排出されるシートに所定の処理を施した後、当該処理後のシートを該処理トレイよりも一段低い排出トレイに排出するシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置にて画像を形成されたシートに対し、ステイプル、孔あけ、ソートなどのいわゆる「後処理」を施す後処理装置が知られる。
【0003】
また、上記のような従来の後処理装置の中には、画像形成装置等から搬送されてくるシートをまず所定の処理トレイに排出させ、処理トレイ上に積載されたシートに上述のような所定の処理を施すものが知られる。このような後処理装置において、処理トレイ上でシートへの所定の処理を施した後、当該処理後のシートを該処理トレイよりも一段低い排出トレイに排出する構成が知られる(例えば、特許文献1を参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、処理トレイ上から処理後のシートを一段低い排出トレイに送る際、この段差部分を過ぎたシート先端が垂れ下がってしまい、当該処理後のシート全体が排出トレイ上に排出される前に、垂れ下がった先端部分が排出トレイの載置面に当接してしまう場合がある。
【0005】
このようにシート先端だけが、一段低い位置にある排出トレイに当接してしまうと、その後のシート送り動作によって当該シートがさらに送りこまれることにより、シート先端がカールしてシートの下に巻き込まれたり、シートが座屈してしまったりする場合がある。
【0006】
このような現象は、後続して排出されるシートのシート詰まりや、所定の処理を施したシートの折れや破れ等の破損を引き起こすおそれがある。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、処理トレイ上にて所定の処理を施したシートを該処理トレイから該処理トレイよりも一段低い排出トレイに排出する際のシート排出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、シートを載置面上に積載する処理トレイと、前記処理トレイに積載されたシートに所定の処理を施す処理部と、前記処理トレイ上から排紙されたシートを積載するとともに、前記処理トレイからのシート搬送方向において、載置面の上流側端部の高さ位置が前記処理トレイの載置面の下流側端部よりも低い排出トレイと、前記処理トレイの載置面に載置したシートの前記処理トレイ上から前記排出トレイ側に突き出た突出部分の下面を、シートが前記排出トレイの載置面に当接しないように支持する支持位置と、前記突出部分の下面を支持しない非支持位置との間を、前記処理トレイの載置面と平行に移動可能な支持機構と、前記処理トレイ上に載置されたシートの後端部を押して、シートを前記排出トレイ上に移動させる排出部材と、前記処理トレイ上に載置されるシートを前記排出部材によって前記排出トレイ上に移動させ且つ前記支持位置にある前記支持機構により前記突出部分の下面を支持した状態から、前記支持機構を非支持位置とすることによってシートを前記排出トレイ上に落下させる制御部と、 を備えるシート処理装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
以上に詳述したように、本発明によれば、処理トレイ上にて所定の処理を施したシートを該処理トレイから該処理トレイよりも一段低い排出トレイに排出する際のシート排出技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態によるシート後処理装置の一例を示す構成図である。
図2】処理トレイおよび排出トレイの概略構成を示す外観斜視図である。
図3】処理トレイおよび排出トレイ付近の機構について説明するための部分縦断面図である。
図4】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。
図5】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図6】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図7】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図8】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図9】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図10】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図11】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図12】シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の動作説明図である。
図13】アーム70と爪部材31aの制御タイミングを示すタイミングチャートである
図14】爪部材31aの復帰時の移動速度よりも遅い速度でアーム70を移動させる機構の一例を示す図である。
図15】アーム70の戻り速度の遅延について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
一実施の形態によれば、シート処理装置は、処理トレイ、処理部、排出トレイ、支持機構、排出爪および制御部を備える。処理トレイは、処理対象としてのシートを載置面上に積載する。処理部は、前記処理トレイに積載されているシートに所定の処理を施す。排出トレイは、前記処理トレイ上から落下するシートを積載するとともに、前記処理トレイからのシート移動方向において、載置面の上流側端部の高さ位置が前記処理トレイの載置面の下流側端部よりも低い。支持機構は、前記処理トレイの載置面に載置されているシートの前記処理トレイ上から前記排出トレイ側に突き出している突出部分の下面を前記排出トレイの載置面に当接しないように支持する支持位置と、前記突出部分の下面を支持しない非支持位置との間で移動可能である。排出爪は、前記処理トレイ上に載置されているシートの前記シート移動方向上流側端部を押して、前記処理トレイ上に載置されているシートを前記排出トレイ上に移動させる。制御部は、前記処理トレイ上に載置されるシートを前記排出爪によって前記排出トレイ上に移動させ且つ前記支持位置にある前記支持機構により前記突出部分の下面を支持した状態から、前記支持機構を非支持位置とすることによってシートを前記排出トレイ上に落下させる。
【0013】
図1は、本実施の形態によるシート後処理装置の一例を示す構成図である。図2は、 処理トレイおよび排出トレイの概略構成を示す外観斜視図である。図3は、処理トレイおよび排出トレイ付近の機構について説明するための部分縦断面図である。
【0014】
図1において、100は画像形成装置であり、例えば複合機であるMFP(Multi-Function Peripherals)や、プリンタ、複写機等である。
【0015】
シート処理装置200は、画像形成装置100における画像形成済のシートの排出口から当該シートを受け取れる位置に隣接配置されている。
【0016】
MFP100によって画像が形成されたシートは、シート後処理装置200に搬送される。
【0017】
シート後処理装置200は、MFP100から供給されたシートに対し、例えば、ステイプル、孔あけ、ソート等のいわゆる「後処理」を行う。また、必要に応じてシートを中綴じしてから二つ折りにして排出する。
【0018】
続いて、シート後処理装置200の詳細について説明する。図1は、シート後処理装置200の概略構成を示す縦断面図である。
【0019】
MFP100によって画像が形成されたシートは、画像形成装置100の排出ローラにより排出されて、フィニッシャ200に供給される。
【0020】
シート後処理装置200は、待機トレイ21、処理トレイ22、及びステイプラ23(処理部)を有している。また、排出トレイ61と固定トレイ62を有している。排出トレイ61はモータ61Pの駆動軸に設けられたピニオンと、ラックLとから構成される昇降機構によって昇降可能である。MFP100の排出ローラによって排出されたシートは、シート後処理装置200の搬入口付近に設けられた入口ローラ24で受け取る。入口ローラ24は、上ローラと下ローラから構成される。
【0021】
入口ローラ24の下流側には給紙ローラ25を設け、入口ローラ24で受け取ったシートは、給紙ローラ25を介して待機トレイ21に送られる。給紙ローラ25は上ローラと下ローラから構成される。入口ローラ24から待機トレイ21までの間には、シートを給紙ローラ25に導くためのペーパーパス26を設けている。待機トレイ21の下方には、待機トレイ21から落下したシートを積載する処理トレイ22を配置している。
【0022】
待機トレイ21は、シートを積載するとともに、積載されたシートを下方に開放可能な構造になっており、所定の枚数のシートが蓄積されると待機トレイ21は開き、シートは、自重あるいは強制的に落下させる落下補助部材の作動により処理トレイ22に落下する。処理トレイ22は、ステイプラ23によりシートをステイプル(所定の処理)する間、シートを整合して支持する。
【0023】
処理トレイ22の載置面上に落下したシートは、ローラ27によってステイプラ23に導かれ、ステイプル(所定の処理)を行う。ローラ27は上ローラと下ローラから成り、不図示のモータによって駆動される。シート後処理装置200は、シートにステイプルする場合、待機トレイ21から処理トレイ22に落下した複数枚のシートを、搬送方向である縦方向に整合し、かつ搬送方向と直交する横方向に整合した上でステイプルする。なお、ここでは処理トレイ22上に載置されたシートに施す所定の処理がステイプルである場合を例示しているが、これに限られるものではなく、例えば孔あけ処理、製本処理等の他のいわゆる後処理としてシートに施される各種処理を採用可能である。
【0024】
また、シート後処理装置200は、シートが処理トレイ22に落下する際にシートの後端が落下する位置に、回転可能なパドル28を備えている。パドル28は、回転軸29に取り付けられ、待機トレイ21から落下してくるシートを処理トレイ22上にはたき落とし、シートをステイプラ23の方向に送る。
【0025】
図2において、処理トレイ22のステイプラ23側の端部には、シートの後端位置を規制するストッパ30を設けている。また、ソート又はステイプルしたシートを排出トレイ61まで搬送するため、搬送ベルト31と排出ローラ32を設けている。搬送ベルト31は、プーリ33と34の間に架けられている。また搬送ベルト31には、処理トレイ22上に載置されているシートの後端(シート移動方向上流側端部)を引っ掛けて押しながら処理トレイ22上に載置されているシートを排出トレイ61上に移動させる爪部材31a(排出爪)を取り付けている。給紙ローラ25、待機トレイ21、パドル28、横整合装置40、処理トレイ22は、入口ローラ24で受け取ったシートをステイプラ23に導くためのシート導入部を構成する。
【0026】
ローラ27の下ローラは、プーリ34と同軸上に配置されている。ローラ27は、整合したシートをステイプラ23の方向に導くときと、ステイプルしたシートを排出するときとで逆方向に回転する。また、プーリ33と排出ローラ32とは同じ軸に取り付けられており、この軸35には複数の排出ローラ32を回転可能に取り付けている。
【0027】
軸35は、シートの搬送方向に直交して配置しており、軸35の中間部にはプーリ33を取り付け、このプーリ33に搬送ベルト31を架けている。搬送ベルト31は、不図示のモータによって回転駆動され、シートの排出方向に沿ってステイプラ23と排出口との間で循環的に回転移動する。また排出ローラ32は、軸35の中央部と両サイドに取り付け、シートを排出トレイ61に排出する際に回転する。
【0028】
シート後処理装置200は、搬送ベルト31によって搬送したシートを、排出口から排出トレイ61上に排出し、排出トレイ61はモータ61Pにより昇降してシートを受け取る。搬送ベルト31、爪部材31a、排出ローラ32は、後処理したシートを排出口に導くためのシート排出部を構成する。なお、ここでの排出トレイ61は、処理トレイ22上から落下するシートを積載する。また、排出トレイ61の「載置面の上流側端部(図3を参照)」は、処理トレイ22から排出トレイ61へ向かうシート移動方向において、処理トレイの「載置面の下流側端部(図3を参照)」よりも低い高さ位置にある。
【0029】
また、シート後処理装置200は、待機トレイ21に積載したシートをステイプルすることなく、排出トレイ61上にそのまま排出する場合もある。この場合は、シートを処理トレイ22に落下させずに回転ローラ37によって排出トレイ61上に排出する。また後処理を要しないシートは搬送路26’を介して固定トレイ62へ排出することもできる。
【0030】
本実施の形態によるシート処理装置において、CPU801はシート処理装置における各種処理を行う役割を有しており、またMEMORY803、HDD804等に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。なお、CPU801は、同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)により代替することも可能であることは言うまでもない。また、HDD804についても同様に、例えばフラッシュメモリ等の記憶装置により代替可能である。
【0031】
MEMORY803は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができシート処理装置において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0032】
CPU801は、シート処理装置200に備わる各種モータ、各種搬送ローラ等、シート処理装置200に備わるすべてのハードウェアの駆動を制御する。
【0033】
続いて、シートを排出トレイ61の方向へ搬送する際の動作について説明する。
【0034】
シートを排出トレイ61の方向へ搬送する際、CPU801は、搬送ベルト31を図1における反時計回り方向に回転駆動させる。
【0035】
パドル28は、ホームポジションで待機トレイ21から落下してくるシートの後端を受ける。パドル28は、回転軸29に取り付けられており、回転軸29は不図示のモータによって回転駆動される。或いはモータの回転力を、ギア機構を介して回転軸29に伝えるようにしても良い。
【0036】
パドル28は、ホームポジションを基点として反時計回り方向に回転し、受けたシートの後端を、処理トレイ22上にはたき落とし、ステイプラ23の方向に送る。処理トレイ22上のシートをステイプラ23の方向に送る場合、ローラ27の上ローラは反時計回りに回転し、ローラ27の下ローラは時計回りに回転する。処理トレイ22上のシートを排出する場合には、ローラ27の上ローラは時計回り方向に回転し、ローラ27の下ローラは反時計回り方向に回転する。
【0037】
上述のように、シート後処理装置200では、複数のシートを処理トレイ22へ導く際に、待機トレイ21に一時的に積載するようにしている。この際、最初に待機トレイ21に積載されているシートが、後から搬送されてきたシートによって押し出されないようにする必要がある。またシートがカールしていると、パドル28が空回りすることがある。
【0038】
そこで、待機トレイ21への給紙を正確に行うため、ガイドアーム38とバイアスアーム39(図1参照)を設けている。即ち、待機トレイ21には給紙ローラ25を介してシートが搬送されるが、シートの後端側には、揺動可能なガイドアーム38を設けている。ガイドアーム38は、給紙ローラ25から待機トレイ21に送られるシートの動き及び姿勢を規制するものである。一般的に、片面印刷されたシートでは、インクが収縮するので、印刷面を下側とすると、シートは上方向にカールする。そこで、ガイドアーム38は、シートのカールを押える役割を有している。
【0039】
さらに、バイアスアーム39を、給紙ローラ25の取付軸に回動可能に支持している。
バイアスアーム39は、給紙ローラ25の排出側に突出しており、給紙ローラ25から搬
送されてくるシートの後端側が浮き上がらないように待機トレイ21に押さえ付ける押え部材として作用する。バイアスアーム39を駆動するため、モータMT10(後述)が利用される。また回転ローラ37は、給紙ローラ25から排出されたシートの進行方向に設けられ、シートを排出トレイ61に搬送するために使用する。
【0040】
シートが給紙ローラ25により回転ローラ37の方向へ搬送されるとき、回転ローラ37はシートの先端を搬送する方向に回転する。シートにはコシ(剛性)があるので、ガイドアーム38を上方に揺動させる。このときバイアスアーム39は上方に回動し、シートは、そのまま直線方向にガイドされて進む。シートは、直線方向にガイドされて進み、シートの後端が給紙ローラ25から外れると、給紙ローラ25は回転が停止する。そして、パドル28が回転し、シート後端の落下をアシストする。
【0041】
次に、バイアスアーム39は下方に回転し、先端部がシートを押し下げる。これによりシートの後端は待機トレイ21側に押し付けられる。またガイドアーム38は自重により同様に先端が下がり、バイアスアーム39及びガイドアーム38によって確実にシートを抑えることができる。
【0042】
そして、この状態でパドル28が回転し、処理トレイ12上にシートをはたき落とし、処理トレイ22へと導く。なお、バイアスアーム39を駆動する不図示のモータとバイアスアーム39間に伝達機構を設け、モータの逆回転によりバイアスアーム39が下方に回転するように制御することもできる。
【0043】
続いて、図3において、処理トレイ12付近に設けられたアーム70、およびアーム70を駆動する機構の詳細について説明する。
【0044】
シート処理装置200は、アーム70、モータ70mおよびピニオンギア70gを備える支持機構を有する。
【0045】
支持機構は、処理トレイ22の載置面に載置されているシートの処理トレイ22上から排出トレイ61側に突き出している突出部分(図7を参照)の下面を排出トレイ61の載置面に当接しないように支持する「支持位置」と、突出部分(図7を参照)の下面を支持しない「非支持位置」との間でアーム70を移動させることが可能となっている。
【0046】
具体的には、本実施の形態による支持機構は、処理トレイ22における載置面と平行に移動するアーム70(支持部材)を、処理トレイ22上から排出トレイ61上に突き出す「支持位置」と、処理トレイ上に位置する「非支持位置」との間で移動させる。
【0047】
具体的に、アーム70にはラック70Lが形成されており、モータ70mの駆動軸に連結されているピニオンギア70gとラック70Lとが噛み合うことにより、CPU801により正逆転自在に制御されるモータ70mの回転運動をアーム70の直線運動に変換している。
【0048】
図4は、シート処理装置において、待機トレイ21から落下するシートを処理トレイ22上に受ける際の処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。
【0049】
CPU801(制御部)は、モータ70mを駆動制御し、アーム70(支持部材)をまず「支持位置」まで移動させる(ACT101,図5)。
【0050】
CPU801(制御部)は、アーム70(支持部材)をまず「支持位置」とした状態で処理トレイ22およびアーム70上にシートを積載させる(ACT102,図6)。このように、アーム70を突き出した状態でシートを積載するため、処理トレイ20からはみ出す部分が垂れ下がることがない(ACT102,図7を参照)。
【0051】
CPU801(制御部)は、爪部材31a(排出爪)によるシート移動方向への押し出し動作によってシートを排出トレイ上に移動させる(ACT103,図8を参照)。
【0052】
CPU1(制御部)は、爪部材31aによりシート後端を規制(もしくは図9に示すように排出方向に押し出しながら移動)した状態でアーム70を「非支持位置」まで移動させる(ACT104,図9を参照)。
【0053】
すなわち、CPU801(制御部)は、「支持位置」にあるアーム70(支持機構)により突出部分を支持されているシートのシート移動方向上流側端部を爪部材31aによって規制した状態で、アーム70を「非支持位置」とすることによってシートを排出トレイ上に落下させる(図10図11を参照)。
【0054】
その後、CPU801(制御部)は、アーム70を「支持位置」まで移動させ、次のシート供給に備える(図12を参照)。図13は、アーム70と爪部材31aの制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【0055】
これにより、待機トレイ21から処理トレイ22上に落下して積載されるシートは、その先端が座屈したりカールしたりすることなく排出トレイ61上に積載される。
【0056】
また、CPU801(制御部)は、処理トレイ22上にすでに載置されているシートを爪部材31aによって排出トレイ61上へ向けて移動させ、「支持位置」にあるアーム70により突出部分の下面を支持した状態とし、この状態からアーム70を「非支持位置」とすることによってシートを排出トレイ61上に落下させることもできる。
【0057】
また、CPU801(制御部)は、アーム70が「非支持位置」にある状態で処理トレイ22上に積載されるシートを、「アーム70の支持位置への移動」と「爪部材31aによるシート移動方向への押し出し動作」とを協働させることによって排出トレイ61上に移動させることもできる。この場合、例えば、CPU801(制御部)は、爪部材31aとアーム70とをシート移動方向に向けて一体的に移動させる。
【0058】
CPU801(制御部)は、爪部材31aの押し出し動作開始前のホームポジション(例えば図3に示す位置)への復帰を開始するタイミングよりも後に、アーム70の「非支持位置」への復帰動作を開始させる。
【0059】
CPU801(制御部)は、アーム70の「非支持位置」への復帰時に、爪部材31aの復帰時の移動速度よりも遅い速度でアーム70を移動させる。
【0060】
なお、上述の例では、CPU801による制御によって、アーム70の「非支持位置」への復帰時に、爪部材31aの復帰時の移動速度よりも遅い速度でアーム70を移動させる例を示したが、これに限られるものではない。例えば、シート処理装置200は、アーム70の「非支持位置」への復帰時に、爪部材31aの復帰時の移動速度よりも遅い速度でアーム70を移動させる機構を採用することもできる。
【0061】
図14は、機構的にアーム70の戻り速度の遅延を作り出す構成例を示す図である。本構成では、アーム70が「支持位置」へ向けて延びる際には電磁クラッチ70cをONさせて、爪部材31aを移動させる際の駆動力を不図示のギアトレインを介して受け、駆動力として利用する。したがって、アーム70が「支持位置」へ向けて延びる際には、爪部材31aと一体的に移動する。図15は、アーム70の戻り速度の遅延について説明するための図である。
【0062】
また、アーム70の「非支持位置」への復帰時には、電磁クラッチ70cをOFFすることでねじりスプリング70sの復元力で自動的にホームポジションまで戻る。このねじりスプリング70sの復元力によるトルクに対してトルクリミッター70tを付加し、ねじりスプリング70sによるアーム70をホームポジションに戻そうとする力を緩和させることで、爪部材31aの戻り速度よりもアーム70の戻り速度を遅延させることができる。
【0063】
これによりシート後端を従来より長い時間支えることが可能となり、処理トレイ22から排出トレイ61へのシート搬送によるシート後端の整合性の乱れ等の発生をより抑制し、排出トレイ61に排出される際のシート後端の整列性を高めることができる。
【0064】
上述のシート処理装置での処理における各動作は、MEMORY803に格納されているシート処理プログラムをCPU801に実行させることにより実現されるものである。
【0065】
更に、シート処理装置を構成するコンピュータにおいて上述した各動作を実行させるプログラムを、シート処理プログラムとして提供することができる。本実施の形態では、発明を実施する機能を実現するための当該プログラムが、装置内部に設けられた記憶領域に予め記録されている場合を例示したが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様のプログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、回線上の伝送媒体などが挙げられる。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0066】
なお、プログラムは、その一部または全部が、動的に生成される実行モジュールであってもよい。
【0067】
また、上述の各実施の形態にてプログラムをCPUやMPUに実行させることにより実現される各種処理は、その少なくとも一部を、ASIC802にて回路的に実行させることも可能であることは言うまでもない。
【0068】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0069】
シート処理装置 200、22 処理トレイ、61 排出トレイ、70 アーム、31a 爪部材、31 搬送ベルト。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2009−018943号公報
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