特許第5865961号(P5865961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5865961エレベータの押しボタン異常処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5865961
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】エレベータの押しボタン異常処理システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20160204BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   B66B3/00 R
   B66B5/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-139972(P2014-139972)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-16925(P2016-16925A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】後 呂 成 彦
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−097342(JP,A)
【文献】 特開平08−059107(JP,A)
【文献】 特開2005−212939(JP,A)
【文献】 特開2011−116537(JP,A)
【文献】 特開2006−016124(JP,A)
【文献】 特開平09−240951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの押しボタンに発生した異常を処理するエレベータの押しボタン異常処理システムであって、
前記押しボタンから発信される信号に基づいて、当該押しボタンの異常の有無を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段において異常が有ると判定された場合に、第1の報知として、異常が発生した前記押しボタンの押下を促す旨を報知する報知手段と、
前記第1の報知の際に、異常が発生した前記押しボタンを点滅させる点滅指示手段と、を備え、
前記第1の報知の後に前記異常判定手段が依然として前記押しボタンに異常が有ると判定した場合、前記報知手段は、第2の報知として、異常が発生している前記押しボタンの押下の方法を説明する報知を行い、
前記点滅指示手段は、前記第2の報知の際に、前記第1の報知の際の点滅間隔より短い点滅間隔で前記押しボタンを点滅させることを特徴とするエレベータの押しボタン異常処理システム。
【請求項2】
前記第1の報知の後に前記異常判定手段が前記押しボタンに異常が無いと判定した場合、前記押しボタンの異常が解消した旨を監視センターに通知する通知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの押しボタン異常処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの押しボタン異常処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのかご内には、ドアの開閉を操作するための開閉操作ボタンや、行き先階を登録するための行き先階操作ボタンなどを有するかご内操作盤が設けられている。また、乗場には、かごを呼ぶための呼び操作ボタンを有する乗場操作盤が設けられている。これらのボタンは、利用者がボタンを押下することによって押し込まれて信号を発信する押しボタンとして構成されていることが多い。
【0003】
上述のような押しボタンは、利用者の手によって押下されると押し込まれ、利用者の手が離れると押される前の状態に戻って復帰する。しかしながら、押しボタンが押し込まれた際に周囲の部材に引っ掛かり、押される前の状態に復帰しないという異常が発生することがある。このような異常が発生した場合には、利用者に不都合を与え得るため、これを防止するために、押しボタンの異常の発生の有無を診断または判定する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−46980号公報
【特許文献2】実開平5−294588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような異常が発生した押しボタンは、その後自然に押される前の状態に復帰して異常が解消されたり、エレベータの管理者や点検作業者が気づいて修理することで異常が解消されたりし得る。しかしながら、押しボタンの異常が長時間放置される可能性があり、利用者の利便性を損なうという課題が生じ得る。また、上述したような、知られている診断方法または判定方法では、発生した異常を解消させて迅速に復旧させるためにはまだ不十分である。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、異常が発生した押しボタンの迅速な復旧を図ることができるエレベータの押しボタン異常処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態によるエレベータの押しボタン異常処理システムは、エレベータの押しボタンに発生した異常を処理する。このエレベータの押しボタン異常処理システムは、押しボタンから発信される信号に基づいて、押しボタンの異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段において異常が有ると判定された場合に、第1の報知として、異常が発生した押しボタンの押下を促す旨を報知する報知手段と、第1の報知の際に、異常が発生した押しボタンを点滅させる点滅指示手段と、を備えている。
【0008】
また、実施の形態によるエレベータの押しボタン異常処理システムは、エレベータの押しボタンに発生した異常を処理する。このエレベータの押しボタン異常処理システムは、押しボタンから発信される信号に基づいて、押しボタンの異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段において異常が有ると判定された場合に、異常が発生した押しボタンに機械的振動を付与する振動付与手段と、を備えている。
【0009】
さらに、実施の形態によるエレベータの押しボタン異常処理システムは、エレベータの押しボタンに発生した異常を処理する。このエレベータの押しボタン異常処理システムでは、押しボタンから発信される信号に基づいて、押しボタンの異常の有無を判定する異常判定手段と、異常判定手段において異常が有ると判定された場合に、異常が発生した押しボタンに裏側から気体を噴出する気体噴出手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態におけるエレベータ装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、図1のエレベータ装置においてかご内を示す斜視図である。
図3図3は、図2のかご内に設けられたかご内操作盤を示す図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システムの構成を示す図である。
図5図5は、図4のエレベータの押しボタン異常処理システムのフローチャートを示す図である。
図6図6は、図1のエレベータ装置において乗場に設けられた乗場操作盤を示す図である。
図7図7は、本発明の第2の実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システムの構成を示す図である。
図8図8は、図6のエレベータの押しボタン異常処理システムにおける押しボタンを示す断面図である。
図9図9は、本発明の第3の実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システムの構成を示す図である。
図10図10は、図9のエレベータの押しボタン異常処理システムにおける押しボタンを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
まず、図1乃至図6を用いて、第1の実施の形態によるエレベータの押しボタン異常処理システムについて説明する。エレベータの押しボタン異常処理システムは、エレベータの押しボタンに発生した異常を処理するためのシステムである。ここでは、まず、エレベータ装置について図1を用いて説明する。
【0013】
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内を昇降自在なエレベータのかご(以下、単にかごと記す)3と、かご3に主ロープ4を介して連結された釣合錘5と、主ロープ4を介してかご3及び釣合錘5を昇降させる巻上機(昇降駆動部)6と、を備えている。主ロープ4は、巻上機6に連結されたトラクションシーブ7に巻き掛けられている。巻上機6には制御装置8が接続されている。このような構成において、制御装置8が巻上機6を制御することにより、巻上機6がトラクションシーブ7を回転駆動し、主ロープ4が巻き上げられて、かご3及び釣合錘5がそれぞれ昇降する。そして、かご3が、建物に設けられた複数の乗場9のうちの任意の乗場9に着床する。かご3が着床した際には、かご3に設けられたかごドア10および乗場9に設けられた乗場ドア11が開き、利用者が乗降可能になる。
【0014】
図2には、上述したかご3の内部が示されている。かご内操作盤20は、図2に示すように、かごドア10の近傍の壁面に設置されている。このかご内操作盤20は、かごの運転状況を表示したり、利用者がかご3を操作したりするためのものである。
【0015】
図3に示すように、かご内操作盤20は、かご3の壁面に取り付けられたベースパネル21と、ベースパネル21に設けられたアナウンス装置22および表示装置23と、を有している。このうちアナウンス装置22は、主に、かご3が着床した際に着床階を報知したり、非常時にエレベータ装置1の保守会社の監視センター(図示せず)と電話通信を行う際に先方の音声を出力して報知したりするためのものである。表示装置23は、主に、かご3の運転状況を表示するためのものであり、より具体的には、現在かご3が位置している階床や、かご3の昇降方向を表示するように構成されている。
【0016】
ベースパネル21には、各種押しボタン25、26、27が設けられている。より具体的には、かご3のかごドア10を開閉するために利用者が操作可能な開ボタン25および閉ボタン26と、かご3の行き先階登録を行うためにかご3内の利用者が操作可能な行き先階操作ボタン27が、ベースパネル21に取り付けられている。これらのボタン25〜27が押下されると、ボタン25〜27から制御装置8の制御部8a(図4参照)へ信号が送信され、制御部8aにおいて処理される。
【0017】
本実施の形態においては、上述した開ボタン25、閉ボタン26および行き先階操作ボタン27が、利用者が押下することによって操作される押しボタンとして構成されている。以下では、このうち、閉ボタン26に発生した異常を処理する場合を例にとって説明する。
【0018】
図4に示すように、エレベータの押しボタン異常処理システム30は、閉ボタン26(押しボタン)から発信される信号に基づいて、当該閉ボタン26の異常の有無を判定する異常判定手段31と、報知手段34と、を備えている。
【0019】
異常判定手段31は、閉ボタン26から制御部8aに送信される信号を検出する信号検出部32と、信号検出部32により検出された信号に基づいて、異常の有無を判定する異常判定部33と、を有している。例えば、異常判定部33は、信号検出部32により検出された信号の継続時間が所定の時間を超えた場合に、閉ボタン26に異常が発生したと判定するように構成することが好適である。すなわち、利用者によって押下された閉ボタン26が周囲の部材に引っ掛かることで押し込まれる前の状態に復帰しない異常が発生した場合、閉ボタン26が押下され続けて信号が送信され続ける。このため、異常判定部33を上述のように構成することにより、閉ボタン26の異常を検出することが可能となる。
【0020】
報知手段34は、異常判定手段31の異常判定部33において異常が有ると判定された場合に、第1の報知として異常が発生した閉ボタン26の押下を促す旨を報知する。このような第1の報知は音声または表示によって行うことができる。例えば報知手段34は、上述したかご内操作盤20のアナウンス装置22を含むことができ、この場合には、第1の報知を音声報知として行うことができ、閉ボタン26の押下を促す旨がかご3内にアナウンスされる。あるいは、報知手段34は、上述したかご内操作盤20の表示装置23を含むことができ、この場合には、第1の報知を表示報知として行うことができ、閉ボタン26の押下を促す旨が表示装置23に表示される。なお、報知手段34は、音声報知と表示報知の両方を行うようにしてもよい。
【0021】
報知手段34は、第1の報知の後に異常判定部33が依然として閉ボタン26に異常が有ると判定した場合、第2の報知として、異常が発生している閉ボタン26の押下の方法を説明する報知を行うことが好適である。このような第2の報知は、第1の報知と同様にしてアナウンス装置22による音声または表示装置23による表示によって行うことができるが、第1の報知が音声で行われた場合には音声で行い、表示で行われた場合には表示で行うことが好ましい。
【0022】
本実施の形態においては、エレベータの押しボタン異常処理システム30は、点滅指示手段35を更に備えている。点滅指示手段35は、上述した報知手段34による第1の報知の際に、異常が発生した閉ボタン26を点滅させるように構成されている。そして更に、点滅指示手段35は、報知手段34による第2の報知の際には、第1の報知の際の点滅間隔より短い点滅間隔で閉ボタン26を点滅させるようになっている。このような点滅指示手段35は、第1の報知の際に閉ボタン26に第1の点滅信号を送信することで、閉ボタン26を第1の点滅間隔で点滅させ、第2の報知の際に閉ボタン26に第2の点滅信号を送信することで、閉ボタン26を、第1の点滅間隔より短い第2の点滅間隔で点滅させる。
【0023】
さらに、本実施の形態においては、エレベータの押しボタン異常処理システム30は、通知手段36を更に備えている。通知手段36は、第2の報知の後に異常判定部33が依然として閉ボタン26に異常が有ると判定した場合、閉ボタン26の異常が継続している旨の通知を、エレベータ装置1の保守会社の監視センターに行う。また、通知手段36は、第1の報知の後に(場合によっては第2の報知の後に)、異常判定部33が閉ボタン26に異常が無いと判定した場合、閉ボタン26の異常が解消した旨をエレベータの管理者に通知する。
【0024】
上述した信号検出部32と異常判定部33とを含む異常判定手段31、点滅指示手段35、および通知手段36は、図1に示す制御装置8内に組み込むことができるが、かご内操作盤20内に組み込むこともできる。
【0025】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図5を用いて説明する。
【0026】
まず、閉ボタン26に異常が発生しているか否かが判定される(ステップS1)。この際、閉ボタン26から制御部8aに向けて発信される信号が信号検出部32により検出され、信号検出部32により検出された信号に基づいて、異常判定部33により異常の有無が判定される。
【0027】
閉ボタン26に異常が有ると判定された場合、報知手段34により、第1の報知として異常が発生した閉ボタン26の押下を促す旨がかご3内に報知される(ステップS2)。このことにより、かご3に乗車している利用者に、閉ボタン26に異常が発生していることを認識させることができると共に、異常が発生している閉ボタン26の押下を促して当該閉ボタン26の異常の解消を図ることができる。なお、閉ボタン26に異常が有ると判定された場合には、保守会社の監視センターにも通知される。
【0028】
ステップS2において、点滅指示手段35により、閉ボタン26を点滅させるようにしてもよい。この場合には、異常が発生している閉ボタン26を利用者に容易に認識させることができるとともに、閉ボタン26の押下を利用者により一層強く促すことができる。
【0029】
続いて、異常判定部33により、閉ボタン26の異常が解消しているか否かが判定される(ステップS3)。異常が解消していると判定された場合には、ステップS1の処理に戻り、閉ボタン26の異常が発生しているか否かの判定が改めて行われる。
【0030】
一方、異常が解消していないと判定された場合には、報知手段34により、第2の報知として異常が発生している閉ボタン26の押下の方法を説明する報知が行われる(ステップS4)。このことにより、かご3に乗車している利用者に、異常が解消していないことを認識させることができるとともに、異常が発生している閉ボタン26の押下の方法を伝えることができ、当該閉ボタン26の異常の解消を図ることができる。
【0031】
ステップS4において、点滅指示手段35により、閉ボタン26を、ステップS2における点滅間隔よりも短い点滅間隔で点滅させるようにしてもよい。この場合には、異常が解消していない閉ボタン26を利用者に容易に認識させることができるとともに、報知されている閉ボタン26の押下の方法の実行を利用者により一層強く促すことができる。
【0032】
次に、異常判定部33により、閉ボタン26の異常が解消しているか否かが判定される(ステップS5)。異常が解消していると判定された場合には、通知手段36により、閉ボタン26の異常が解消した旨が保守会社の監視センターに通知される(ステップS6)。このことにより、保守会社からの点検作業者の派遣を不要とすることができる。その後、ステップS1の処理に戻り、閉ボタン26の異常が発生しているか否かの判定が改めて行われる。
【0033】
一方、異常が解消していないと判定された場合には、通知手段36により、閉ボタン26に異常が継続している旨、保守会社の監視センターに通知される(ステップS7)。このことにより、保守会社から点検作業者が派遣され、閉ボタン26の修理を行い、異常の解消を図ることができる。
【0034】
このように本実施の形態によれば、閉ボタン26から発信される信号に異常が有ると判定された場合、第1の報知として、異常が発生した閉ボタン26の押下を促す旨が報知される。このことにより、かご3に乗車している利用者に、閉ボタン26に異常が発生していることを認識させることができると共に、異常が発生している閉ボタン26の押下を促して当該閉ボタン26の異常の解消を図ることができる。このため、異常が発生した閉ボタン26の迅速な復旧を図ることができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、第1の報知の後に依然として閉ボタン26に異常が有ると判定された場合、第2の報知として、異常が発生している閉ボタン26の押下の方法を説明する報知が行われる。このことにより、かご3に乗車している利用者に、異常が解消していないことを認識させることができるとともに、異常が発生している閉ボタン26の押下の方法を伝えることができ、当該閉ボタン26の異常の解消を図ることができる。
【0036】
なお、上述した本実施の形態においては、かご内操作盤20に設けられた閉ボタン26を対象として、この閉ボタン26に発生した異常を処理する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、開ボタン25や行き先階操作ボタン27を対象としてこれらのボタンに発生した異常を処理するように構成してもよい。また、異常処理の対象の押しボタンは、開ボタン25、閉ボタン26および行き先階操作ボタン27のうちの2つ以上とすることもできる。
【0037】
さらには、図6に示すように、乗場9に設けられた乗場操作盤40のボタンを対象にすることもできる。すなわち、乗場操作盤40は、乗場9で待機する利用者が上階へ向うかご3を呼び登録するための上呼びボタン41と、下階へ向うかご3を呼び登録するための下呼びボタン42と、を有しており、これら上呼びボタン41および下呼びボタン42のうちの少なくとも一つを対象とすることもできる。この場合においても、報知手段34は、乗場9に設けられたアナウンス装置または表示装置(いずれも図示せず)を含むことにより、第1の報知、第2の報知を乗場9に報知することが可能となる。
【0038】
また、上述した本実施の形態においては、エレベータの押しボタン異常処理システム30が、図4に示すように、異常判定手段31と報知手段34と点滅指示手段35と通知手段36とを備えている例について説明した。しかしながら、当該異常処理システム30は、このような構成に限られることはなく、閉ボタン26の異常の有無を判定して、第1の報知として、異常が発生した閉ボタン26の押下を促す旨の報知を行うことができれば、任意の構成とすることができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
次に、図7および図8により、本発明の第2の実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システムについて説明する。
【0040】
図7および図8に示す第2の実施の形態においては、押しボタンに異常が有ると判定された場合に、異常が発生した押しボタンに機械的振動が付与される点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
図7に示すように、本実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システム30は、異常判定手段31の異常判定部33において閉ボタン26に異常が有ると判定された場合に、異常が発生した閉ボタン26に機械的振動を付与する振動付与手段50を備えている。振動付与手段50は、例えば、圧電素子、または出力軸に偏心した錘が取り付けられた偏心モータにより構成することができる。このような振動付与手段50は、例えば、図8に示すように、閉ボタン26の近傍の周囲の部材に取り付けることにより、異常判定部33からの指令を受けて駆動され、閉ボタン26に機械的振動を付与することが可能となる。
【0042】
このように本実施の形態によれば、閉ボタン26から発信される信号に異常が有ると判定された場合、閉ボタン26に機械的振動が付与される。このことにより、押し込まれた状態で周囲の部材に引っ掛かっていた閉ボタン26が振動し、閉ボタン26の引っ掛かりを解消することができ、閉ボタン26を押し込まれる前の状態に復帰させることができる。このため、異常が発生した閉ボタン26の迅速な復旧を図ることができる。
【0043】
(第3の実施の形態)
次に、図9および図10により、本発明の第3の実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システムについて説明する。
【0044】
図9および図10に示す第3の実施の形態においては、押しボタンに異常が有ると判定された場合に、異常が発生した押しボタンに裏側から気体を噴出する点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図9に示すように、本実施の形態におけるエレベータの押しボタン異常処理システム30は、異常判定手段31の異常判定部33において閉ボタン26に異常が有ると判定された場合に、異常が発生した閉ボタン26に裏側から気体を噴出する気体噴出手段60を備えている。気体噴出手段60は、例えば、異常判定部33からの指令を受けて駆動され、圧縮された空気などの気体を閉ボタン26の裏面に噴出するように構成することができる。
【0046】
このように本実施の形態によれば、閉ボタン26から発信される信号に異常が有ると判定された場合、閉ボタン26に裏側から気体が噴出される。このことにより、押し込まれた状態で周囲の部材に引っ掛かっていた閉ボタン26に、押し込まれる前の状態に戻る方向に圧力を付加することができ、閉ボタン26を押し込まれる前の状態に復帰させることができる。このため、異常が発生した閉ボタン26の迅速な復旧を図ることができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0048】
20 かご内操作盤
22 アナウンス装置
23 表示装置
25 開ボタン
26 閉ボタン
27 行き先階操作ボタン
30 エレベータの押しボタン異常処理システム
31 異常判定手段
34 報知手段
35 点滅指示手段
36 通知手段
50 振動付与手段
60 気体噴出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10