(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5866031
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気ガスシステムおよび内燃機関の排気ガスに添加される還元剤を調合するための方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20160204BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20160204BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20160204BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/24 N
F01N3/28 301C
B01D53/94 222
B01D53/94 400
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-551572(P2014-551572)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-508469(P2015-508469A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2013000067
(87)【国際公開番号】WO2013104544
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年9月9日
(31)【優先権主張番号】102012000597.0
(32)【優先日】2012年1月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ベックマン
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・デュヴィナーゲ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート・ヘルヴィッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・コビーラ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・リュッケルト
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ペペ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ライトシェーフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーアヒム・ショーメルス
【審査官】
山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−267225(JP,A)
【文献】
特開2010−180726(JP,A)
【文献】
特表2005−533963(JP,A)
【文献】
特開2011−236746(JP,A)
【文献】
特開2008−014213(JP,A)
【文献】
特開2009−228484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08− 3/38
B01D 53/86−53/90
B01D 53/94−53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを誘導するために、第1の円筒状排気ガス導管区間(2)および第2の円筒状排気ガス導管区間(3)を有する、内燃機関のための排気ガスシステムであって、
前記第1の排気ガス導管区間(2)には、前記第1の排気ガス導管区間(2)を通って流れる排気ガス中に還元剤を加えるためのインジェクションユニット(4)が配置されており、
前記第2の排気ガス導管区間(3)は、シリンダジャケット面、閉鎖されている第1の端部(6)および開放されている第2の端部(7)、および前記閉鎖されている端部(6)に隣接する前記シリンダジャケット面内の開口部(8)を有し、
前記第1の排気ガス導管区間(2)の開放されている端部(9)が前記第2の排気ガス導管区間(3)の前記開口部(8)と形状一致で連結され、前記第1の排気ガス導管区間(2)の開放されている前記端部(9)から流出する排気ガスが、前記第2の排気ガス導管区間(3)の長手方向の伸長に対して、少なくともほぼ直角の方向で、前記第2の排気ガス導管区間(3)の前記シリンダジャケット面内の前記開口部(8)を介して、前記第2の排気ガス導管区間(3)に流入することができるようにされている、内燃機関のための排気ガスシステムであって、
前記第2の排気ガス導管区間(3)の前記シリンダジャケット面内の前記開口部(8)が、前記第2の排気ガス導管区間(3)の長手方向の伸長方向に、その横方向に対するよりも、より大きな伸長を有すること、および
前記第2の排気ガス導管区間(3)が、前記シリンダジャケット面の前記開口部(8)の領域で、楕円形の横断面または2つの隣り合った円形部分に対応する横断面を有し、前記楕円形の横断面または前記2つの隣り合った円形部分に対応する横断面の各々の焦点周囲に、逆方向に回転する2つの渦巻を形成するものであることを特徴とする、内燃機関のための排気ガスシステム。
【請求項2】
前記インジェクションユニット(4)が、前記第1の排気ガス導管区間(2)と前記第2の排気ガス導管区間(3)との連結部位から距離を取った上流側に配置されており、前記距離は、前記第1の排気ガス導管区間(2)または前記第2の排気ガス導管区間(3)のいずれの直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の排気ガスシステム。
【請求項3】
前記第1の排気ガス導管区間(2)と前記第2の排気ガス導管区間(3)との連結部位から、前記第1の排気ガス導管区間(2)または前記第2の排気ガス導管区間(3)のいずれの直径より小さい距離を取った上流側で、前記第1の排気ガス導管区間(2)内に、少なくとも1つの平板形状のバッフルプレート(10)が配置され、前記インジェクションユニット(4)によって前記第1の排気ガス導管区間(2)内に加えられる還元剤が前記バッフルプレートに衝突するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の排気ガスシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバッフルプレート(10)が、前記第2の排気ガス導管区間(3)のシリンダジャケット面内の前記開口部(8)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の排気ガスシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッフルプレート(10)が、少なくともほぼ平面状に形成されており、前記バッフルプレートの平面の法線ベクトルは、少なくとも排気ガス流方向に対してほぼ直角に方向付けられていることを特徴とする、請求項3または4に記載の排気ガスシステム。
【請求項6】
複数のバッフルプレート(10)が設けられていることを特徴とする、請求項3〜5のうちのいずれか一項に記載の排気ガスシステム。
【請求項7】
前記バッフルプレートの平面的な伸長が、異なるように選択されていることを特徴とする、請求項6に記載の排気ガスシステム。
【請求項8】
前記第1の排気ガス導管区間(2)の円筒軸(11)は、前記第2の排気ガス導管区間(3)との連結部位領域で、前記第2の排気ガス導管区間(3)の横断面の中心領域に方向付けられていることを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の排気ガスシステム。
【請求項9】
前記第1の排気ガス導管区間(2)の円筒軸(11)が、前記第2の排気ガス導管区間(3)との連結部位領域で、前記第2の排気ガス導管区間(3)の横断面の中央よりも外側の領域に方向付けられていることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の排気ガスシステム。
【請求項10】
内燃機関の排気ガスシステムの第1の排気ガス導管区間(2)内に加えられる還元剤を調合するための方法であって、前記第1の排気ガス導管区間(2)に連結される第2の排気ガス導管区間(3)が、シリンダジャケット面、閉鎖されている第1の端部(6)および開放されている第2の端部(7)、および前記閉鎖されている端部(6)に隣接する前記シリンダジャケット面内の開口部(8)、並びに前記シリンダジャケット面の前記開口部(8)の領域で、楕円形の横断面または2つの隣り合った円形部分に対応する横断面を有し、前記加えられる還元剤が、前記第1の排気ガス導管区間(2)内に配置された気化装置で、少なくとも部分的に気化し、それに続いて内燃機関の排気ガスと共に、前記第2の排気ガス導管区間(3)の前記シリンダジャケット面の前記開口部(8)を通って、前記第2の排気ガス導管区間(3)の軸方向に対して少なくともほぼ直角に方向付けられた方向で、前記第2の排気ガス導管区間(3)内に流入し、前記第2の排気ガス導管区間(3)内に流入する排気ガスが、前記第2の排気ガス導管区間(3)の軸方向から見て、前記楕円形の横断面または前記2つの隣り合った円形部分に対応する横断面の各々の焦点周囲に、逆方向に回転する2つの渦巻を形成することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記2つの渦巻に対して、少なくとも前記第2の排気ガス導管区間(3)内の排気ガス入口領域で、少なくとも0.3の排気ガスのスワール数が達成されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記気化装置として複数の気化プレート(10)が設けられ、前記還元剤は、全ての気化プレート(10)に衝突するように前記第1の排気ガス導管区間(2)内へ噴射されること特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記還元剤が、前記気化プレート(10)の法線方向に対して最大の鋭角で前記第1の排気ガス導管区間(2)内へ噴射されること特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記還元剤が、排気ガス流に対して少なくともほぼ直角に前記第1の排気ガス導管区間(2)内に噴射されることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関の排気ガスシステムに関し、この排気ガスシステムは、排気ガス誘導のために第1の円筒状排気ガス導管区間および第2の円筒状排気ガス導管区間を有し、この場合、還元剤が添加された排気ガスが、第1の排気ガス導管区間から第2の排気ガス導管区間へと輸送される。さらに本発明は、内燃機関の排気ガスシステム内に添加される還元剤を調合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス後処理のために、ミネラルオイル燃料または尿素水溶液のような、元来の状態が液体状の還元剤が、燃焼機関の排気ガス内にしばしば添加される。この場合、液体の状態で加えられる還元剤の調合について、均一な分配の達成、および気化に関する問題が生じる。さらに、尿素水溶液の場合には、加水分解および/または熱分解によって、選択触媒還元脱硝装置に必要なアンモニアが尿素から遊離するという問題がある。このような問題を解決するためには、既に、調合区間、混合器および加水分解触媒を備えた排気ガスシステムのバリエーションが数多く提案されている。多数の解決方法の提案にもかかわらず、詳細には液体の状態で排気ガス内に加えられる還元剤の調合に関して、前述の意味で、さらに改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、内燃機関の排気ガス中に加えられる還元剤を、できる限り良好に調合することを可能にする装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を有する排気ガスシステム、および請求項10の特徴を有する方法によって解決される。
【0005】
本発明の排気ガスシステムは、排気ガスを誘導するために、第1の円筒状排気ガス導管区間および第2の円筒状排気ガス導管区間を有する。この場合、第1の排気ガス導管区間には、第1の排気ガス導管区間を通って流れる排気ガス中に還元剤を加えるためのインジェクションユニットが配置されている。第2の排気ガス導管区間は、シリンダジャケット面、閉鎖されている第1の端部および開放されている第2の端部、および閉鎖されている端部に隣接するシリンダジャケット面内の開口部を備えている。第1の排気ガス導管区間の開放されている端部は第2の排気ガス導管区間と形状一致で連結され、第1の排気ガス導管区間の開放されている端部から流出する排気ガスが、第2の排気ガス導管区間の長手方向の伸長に対して少なくともほぼ直角の方向で、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内の開口部を介して、第2の排気ガス導管区間に流入することができるようにされている。このようにして、第1の排気ガス導管区間が第2の排気ガス導管区間と接続する部位に隣接してで、還元剤が添加された排気ガスの主流の方向の少なくともほぼ90°の方向転換が生じ、これによって排気ガスの渦巻形成と、還元剤の排気ガスへの良好な混合が得られる。第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内の開口部は、第2の排気ガス導管区間の長手方向の伸長方向に、長手方向の伸長に対する横方向に比べて、より大きな伸長を有する。この開口部は、楕円形ないしは長円形であることが好ましい。しかし、シリンダジャケット面内にほぼ四角形の切り欠き部を設けることも可能である。この場合、長手方向の伸長は、横方向の伸長に比べて、約1.5から4倍の大きさであることが好ましい。この実施形態の結果として、第2の排気ガス導管区間内での排気ガス渦巻の特に安定した回転が可能になる。さらに、こうして第2の排気ガス導管区間を短く実施し、もしくは、これに続く排気ガス浄化ユニットまでの導管長さを短くすることによって、短い還元剤調合区間を備えた小型の排気ガスシステムの構造形状が可能になる。渦巻形成の結果として、またこれを条件とする混合の結果として、有利な仕方で、還元剤調合区間において、排気ガスに添加された還元剤を分配するための個別の混合器を用いないでおくことが可能になり、またこの混合器によって引き起こされる圧力低下を回避することが可能になる。このインジェクションユニットは、好ましくは液体として提供される還元剤が、細かく霧状化されて排気ガス内に噴射されるか、ないしは注入されるように形成されていることが望ましい。
【0006】
第1の排気ガス導管区間の開放された端部の縁輪郭は、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面の開口部の縁輪郭に対応しており、これらの2つの排気ガス導管区間は、たとえば溶接によって形状一致で接続されており、この輪郭に沿って接続されている。第1の排気ガス導管区間は、好ましくは第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面上で終端しており、したがって第2の排気ガス導管区間の内部空間には突出しない。第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内の開口部は、境界に直接接しているか、または好ましくは数ミリメートルという僅かな距離で、第2の排気ガス導管区間の終端側の閉鎖部に接して配置されている。これによって流れの死角が回避される。第2の排気ガス導管区間をその第1の端部で閉鎖するためには、導管横断面を覆う、詳細には平らに形成された端部カバーを設けることができ、この端部カバーの法線方向は、第2の排気ガス導管区間の円筒軸方向と同じ方向を向いている。第1の排気ガス導管区間および第2の排気ガス導管区間の横断面は、少なくともそれらの連結部位領域では、ほぼ同じであるが、この際には、違いが1.5倍未満であることが好ましい。第2の排気ガス導管区間の開放された端部から流出する排気ガスは、SCR触媒、加水分解触媒、酸化分解触媒、窒素酸化物貯蔵触媒または微粒子フィルタのような、触媒作用排気ガス浄化ユニットに導かれることが好ましい。
【0007】
本発明の実施形態において、インジェクションユニットは、第1の排気ガス導管区間と第2の排気ガス導管区間との連結部位から僅かに距離を取った上流側に配置されている。この距離は、好ましくは、排気ガス導管区間のうちの1つの直径より小さく、詳細には、その直径の2分の1または3分の1より小さい。このようにして、還元剤調合区間の構造容積、もしくは還元剤を調合するために還元剤を搬送する導管の長さを、特に短く保つことができる。
【0008】
本発明のさらなる形態では、第1の排気ガス導管区間と第2の排気ガス導管区間との連結部位から僅かに距離を取った上流側で、第1の排気ガス導管区間内に、少なくとも1つの平板形状のバッフルプレートが配置され、これに対して、インジェクションユニットによって第1の排気ガス導管区間内に加えられる還元剤が衝突する。この場合に、平板形状のバッフルプレートは、気化構成要素として作用する。好ましくは小さい水滴の形で存在する液体状の還元剤を気化させるために必要な熱エネルギーは、好ましくは、流れ込む排気ガスとの熱交換によって取り入れられる。ただし、バッフルプレートの独立した加熱を準備することも可能である。還元剤水滴が加熱されたバッフルプレートに衝突することによって、還元剤の少なくとも部分的な気化、および付加的には、衝突する還元剤水滴の大きさがさらなに小さくなる。これによって、排気ガス内での還元剤の分配は、主として水滴の形で存在する還元剤と比べて、改善する。さらに、気化過程は、排気ガスからの熱伝導だけの場合に比べて改善された、衝突した還元剤への気化プレートからの熱伝導によって、改善される。すでにバッフルプレート上で、少なくとも部分的には還元剤が気化する結果として、還元剤調合区間のさらなる短縮が可能になる。このバッフルプレートは、好ましくは、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内で、開口部の直上ないしは開口部の直前に配置されている。バッフルプレートの、第2の排気ガス導管区間の方に向いた端部を、たとえば開口部面内に配置するか、または第1の排気ガス導管区間の方向に数ミリメートルずれて配置することは可能であるが、ただし、このずれは、たかだか数センチメートルにとどめることが好ましい。このバッフルプレートは、平面状の、または表面積を拡大する隆起を備えた金属板として形成することができる。さらに、この金属板は、間隙または穿孔を設けて実施することができ、尿素分解を促進するか、または表面付着物形成を低下させるような、例えばチタンダイオキシドからなるコーティングを備えているか、または粗面化されていることができる。
【0009】
さらなる好ましい実施形態では、バッフルプレートは、少なくともほぼ平面状に形成されており、この場合、バッフルプレートの平面の法線ベクトルは、少なくとも排気ガス流方向に対してほぼ直角に方向付けられている。したがって、排気ガス流方向の方向ベクトルは、ほぼバッフルプレートの平面内にある。これによって、流れに対する抗力を低くすることが可能になる。好ましくは、法線ベクトルの方向は、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面の開口部領域で、少なくとも第2の排気ガス導管区間の円筒軸方向に対してほぼ平行に向けられている。
【0010】
本発明のさらなる形態において複数のバッフルプレートが設けられる場合には、インジェクションユニットによって排気ガス内にもたらされる還元剤の気化率は、さらに高くなる。これらのバッフルプレートは、好ましくは、相互に平行に方向付けられており、詳細には、一列に並んで前後に、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内の開口部上に配置されている。第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面内の開口部の大きさに応じて、2つから8つのバッフルプレートを設けることができる。好ましくは、4つのバッフルプレートが設けられている。インジェクションユニットから放射された還元剤の噴霧円錐に対して、これらのバッフルプレートは、各々が少なくとも部分的に噴霧円錐によって捉えられ、これによって還元剤の気化に貢献することができるように配置されている。このため、さらに、好ましくは、バッフルプレートの平面的な伸長が、さまざまな大きさで選択される。これに関連して、特に好ましいことは、インジェクションユニットからの距離が増すに従って、バッフルプレートの面が大きくなることである。この実施形態では、平面法線の方向から見て、1つのバッフルプレートは、隣接した次のバッフルプレートの表面領域の一部を覆うだけである。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、第1の排気ガス導管区間の円筒軸は、第2の排気ガス導管区間との連結部位領域で、第2の排気ガス導管区間の横断面の中心領域に方向付けられている。したがって、還元剤で強化された排気ガスの、第2の排気ガス導管区間内への供給は、第2の排気ガス導管区間のいわば中央で行われる。この実施形態の結果として、第2の排気ガス導管区間の中では、対向方向に回転する2つの排気ガス流渦巻が形成される。こうして、還元剤を排気ガス内で特に良好に混合することが可能になる。さらに、実際の排気ガス流路は、第2の排気ガス導管区間の幾何学的長さに比べて、より長くなる。こうして、排気ガス内に残った還元剤水滴の気化が改善される。還元剤が尿素である場合には、その加水分解もしくは熱分解もまた改善される。
【0012】
本発明のさらなる実施形態において、第2の排気ガス導管区間が、シリンダジャケット面の開口部の領域で、楕円形の横断面形状を有している場合には、排気ガス内での還元剤の分配は、さらに改善される。この場合には、上面図ではそれぞれがほぼ円形をした、2つの対向する排気ガス流渦巻が形成される。その結果として、排気ガス流渦巻は、特に安定している。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、第1の排気ガス導管区間の円筒軸が、第2の排気ガス導管区間との連結部位の領域で、第2の排気ガス導管区間の横断面の中心よりも外側の領域に方向付けられている。これにより、排気ガスは、中心よりも外側の方向で、詳細には、第2の排気ガス導管区間に対してほぼ接線方向で、第2の排気ガス導管区間内に導かれる。第2の排気ガス導管区間の、開口部領域では、そのために好ましくは円状の断面形状が設けられており、この断面形状との関連で、ほぼ全ての横断面を捉える排気ガス流渦巻の形成が可能になる。
【0014】
内燃機関の排気ガスシステムの第1の排気ガス導管区間内に加えられる還元剤を調合するための本発明の方法は、加えられる還元剤が、第1の排気ガス導管区間内に配置された気化装置上で少なくとも部分的に気化し、それに続いて内燃機関の排気ガスと共に、1つの方向で、第2の排気ガス導管区間のシリンダジャケット面の、第2の排気ガス導管区間の軸方向に対して少なくともほぼ直角に方向付けられた開口部を通って、第2の排気ガス導管区間内に流入し、その場合、第2の排気ガス導管区間内には、回転する排気ガス流が形成されるようになっている。気化装置によって可能となる、少なくとも部分的な気化の結果として、第2の排気ガス導管区間内へ排気ガスが供給された後の渦巻形成に関連して、特に良好な還元剤の調合を達成することができる。この場合には、還元剤調合区間の導管長さを短く保つことができ、小型の構造形状が可能になる。
【0015】
この方法の実施形態では、気化装置として複数の気化プレートが設けられ、還元剤は、全ての気化プレートに衝突するようにして第1の排気ガス導管区間内へ噴射される。これによって還元剤の気化が改善され、還元剤が気化プレートの法線方向に対して最大の鋭角で第1の排気ガス導管区間内へ噴射される場合には、特に高い気化率が達成される。このように、還元剤は、少なくともほぼ直角に気化プレートに衝突し、それによって気化プレート表面が良好に濡れるような仕方で噴射される。噴射される還元剤が気化プレートに衝突する角度は、好ましくは、気化プレートの法線方向に対して45度未満である。
【0016】
さらに、好ましくは、この方法のさらなる実施形態で、還元剤が排気ガス流に対して少なくともほぼ直角に第1の排気ガス導管区間内に噴射される。
【0017】
この方法のさらなる実施形態において、第2の排気ガス導管区間内に流入する排気ガスは、第2の排気ガス導管区間の軸方向から見て、2つの、逆方向に回転する渦巻を形成する。これによって、特に効果の高い、均一な、還元剤の排気ガスへの混合が達成される。望ましくは、安定した渦巻が形成され、この渦巻きが、好ましくは、渦巻混合区間の後に続く排気ガス浄化装置構成要素の入口側に達するまで、もしくは、必要に応じて設けられるハウジング流入ファネルの入口側に達するまで、少なくとも部分的には維持される。このことは、詳細には、第2の排気ガス導管区間の楕円形の横断面形状によって、少なくともほぼ円形をした、2つの逆対向に回転する渦巻が形成されるようになるときに達成される。
【0018】
本発明のさらなる利点、特徴および詳細は、好ましい実施例の下記の説明、および図面にもとづいて与えられる。前記の説明で言及された特徴および特徴の組み合わせ、ならびに下記の図面の説明で言及され、および/または図面内でのみ示されている特徴および特徴の組み合わせは、それぞれの場合に説明されている組み合わせに限らず、他の組み合わせまたは単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の排気ガスシステムの、還元剤調合区間を形成する部分区間の概略図である。
【
図2】
図1の還元剤調合区間内での排気ガス流パターンの概略図である。
【
図3】
図1に類似した、本発明の排気ガスシステムの、還元剤調合区間を形成する部分区間の、さらなる有利な実施形態の概略図である。
【
図4】本発明の排気ガスシステムの、還元剤調合区間を形成する部分区間の、さらなる有利な実施形態の概略図である。
【
図5】本発明の排気ガスシステムのバッフルプレートのための有利な実施形態である。
【
図6】還元剤調合区間と連結された排気ガス後処置構成要素を備える、本発明の排気ガスシステムの部分区間図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1で概略的に説明された、本発明の排気ガスシステムの部分図は、排気ガスシステム内に添加されるべき還元剤のための、還元剤調合区間1を形成する。この還元剤調合区間1は、第1の円筒状排気ガス導管区間2を備えており、この排気ガス導管区間は、その排出側の開放された端部9で、第2の円筒状排気ガス導管区間3に合流する。この合流部は、第2の排気ガス導管区間3のシリンダジャケット面内の開口部8上に配置されている。この合流部では、第1の排気ガス導管区間2が、その開放された端部9で、合流部の縁輪郭に沿って、鈍角に、また形状一致および材料一致で、第2の排気ガス導管区間3のシリンダジャケット面の開口部8の輪郭と連結されている。
【0021】
ここでは、第1の排気ガス導管区間2の断面図と、第2の排気ガス導管区間3の断面図は、両方とも、流入部位置では楕円形ないしは長円形の形をしている。それに応じて、開口部8も楕円形ないしは長円形の形を備えており、この場合、長円形に形作られた開口部8の長軸は、第2の排気ガス導管区間3の円筒軸12に平行に向けられている。したがって、長円形の開口部8のより長い伸長aは、第2の排気ガス導管区間3の円筒軸12の方向に延び、第1の排気ガス導管区間2と第2の排気ガス導管区間3の接続部における第1の排気ガス導管区間2のより長い伸長であり、これに対して直角に向けられた横方向の伸長bよりも大きい。この場合、a/bの比は、好ましくは、1.5と4の間の領域内にある。
【0022】
第1の排気ガス導管区間2の、第2の排気ガス導管区間3への少なくともほぼ直角な流入部に対応して、長円形の開口部8の比較的短い軸であり、もしくは流入位置での第1の排気ガス導管区間2の長円形の開口部8の比較的短い軸である軸bは、第2の長円形の排気ガス導管区間3の横断面の比較的長い軸dに対して、少なくともほぼ平行に向けられている。したがって、第2の排気ガス導管区間3の長円形の横断面の比較的短い軸cは、流入部において、第1の排気ガス導管区間2の円筒軸11に対して平行に向けられている。第2の排気ガス導管区間3の横断面の比較的長い軸dと横断面の比較的短い軸cとの比d/cは、好ましくは、1.5から2の間の領域にある。この場合、開口部8の比較的短い横断距離bは、好ましくは、第2の排気ガス導管区間3の横断面の比較的短い軸cよりも小さい。内燃機関の排気量が約1.6リットルから3.5リットルの領域については、横断面の比較的短い軸cは、好ましくは、30mmから100mmまでの領域で選択される。
【0023】
ここに示されていない内燃機関、特にディーゼルエンジンの排気ガスは、同じく
図1には示されていない排気ガス浄化ユニット、好ましくは酸化分解触媒から流出し、第1の排気ガス導管区間2内に流入し、第1の排気ガス導管区間2内を貫流する。第1の排気ガス導管区間2の円筒軸11に対して少なくともほぼ平行な排気ガス流方向は、ここでは破線の矢印5で示されている。この排気ガスは、第1の排気ガス導管区間2を貫流する際に、還元剤によって、好ましくはアンモニアの分解能を有する物質の溶液によって調合される。下記の説明では、一般性を制限することなく、この還元剤が尿素水溶液、略してHWL、であることが前提される。HWLによる排気ガスの調合は、インジェクションユニット4を用いた噴射を介して行われ、このインジェクションユニットは、第1の排気ガス導管区間2が第2の排気ガス導管区間3内へ流入する流入口の近傍で、第1の排気ガス導管区間2に配置されている。インジェクションユニット4と、排気ガス導管区間2、3の連結部位との間隔は、好ましくは、第1の排気ガス導管区間2の比較的長い横断面寸法aに比べて明らかに短く、特に好ましくは、第1の排気ガス導管区間2の比較的短い横断面寸法bに比べて短い。
【0024】
噴射された還元剤は、破線で示された矢印が示しているように、気化プレートとして働くバッフルプレート10に衝突し、このバッフルプレートは、第2の排気ガス導管区間3のシリンダジャケット面内の開口部8の上方に配置されている。気化された、または気化プレートから跳ね返った液体状の還元剤は、排気ガス流に捉えられ、排気ガス流とともに運ばれる。還元剤の噴射および気化の特性、ならびにバッフルプレートの形態、配列および機能については、下記の説明でさらに詳細に取り扱われる。
【0025】
HWLが加えられた排気ガスは、その次に第2の排気ガス導管区間3の円筒軸12方向に対して本質的に垂直方向で、開口部8を介して第2の排気ガス導管区間内に流入する。第2の排気ガス導管区間3内に流入した排気ガスは、この排気ガス導管区間の中を貫流案内され、開放された端部7から流出する。この開放された端部では、図示されていない排気ガス浄化装置構成要素が、好ましくは流入ファネルを介して、第2の排気ガス導管区間3と連結されている。この排気ガス浄化装置構成要素は、好ましくは、触媒作用および/またはろ過作用を有する構成部品である。第2の排気ガス導管区間3の開放された端部7には、好ましくは、ハウジングが接続されており、このハウジングの中に微粒子フィルタが収納されている。
【0026】
第2の排気ガス導管区間3は、開放された端部7の反対側に、閉鎖された端部6を有する。そのためには、例えば平らなキャップを溶接することができる。したがって、第1の排気ガス導管区間2から、第2の排気ガス導管区間3のシリンダジャケット面の中の開口部8を通り、第2の排気ガス導管区間2に流入する排気ガスは、その主流の方向について、ほぼ90°方向転換される。好ましくは、方向転換された排気ガスの主流に対して、流れの上流側にある開口部8の端部が、閉鎖された端部6に直接隣接するか、または、少なくともこの閉鎖された端部6の近傍に配置されている。これにより、第2の排気ガス導管区間3の閉鎖された端部6で、流れの死角が形成されることは回避される。
【0027】
第2の排気ガス導管区間3内に流入する排気ガスは、第2の排気ガス導管区間3の内壁の開口部8に対向する領域に衝突し、方向転換される。この際に、詳細には、ダクト横断面形状が楕円形である結果として、破線矢印5’で示されているように、2つの逆方向に回転する渦巻が発生する。2つの逆方向に回転する排気ガス渦巻の形成は、還元剤の調合に関して特別に有利であることが証明されている。この際に、一方では、場合によっては主に小さな水滴として存在する液状の還元剤、および特にすでに気化している還元剤の、均一な分配が改善される。他方では、渦巻の形成によって、HWLの気化が著しく改善される。最終的には、熱分解および/または加水分解によるアンモニアの遊離が改善される。さらに、開口部8に対向するダクト内壁に排気ガスが衝突することによって、排気ガス内に存在する水滴の分割がさらに進み、これによって、その後の気化が容易になる。ダクト内壁が濡れた場合には、この濡れたダクト壁がさらに気化面として働き、これによってHWLの気化がさらに改善される。
【0028】
二重渦巻の形成を明確にするために、
図2では、計算による流動シミュレーションにもとづく流動図が示されている。この流動図は、第2の排気ガス導管区間3の円筒軸12の方向で、還元剤調合区間1の部分図の上面図内に、流束を示している。この図から分かるように、第2の排気ガス導管区間3の中では、ほぼ楕円形の横断面の各々の焦点周囲を逆方向に回転する2つの渦巻流が形成され、これらの渦巻流は、直径が小さくなるにつれて理想的な円形に近づいていく。発明者によって確認されているとおり、望ましい渦巻の安定性を考慮すれば、渦巻がほぼ円形に形成されている場合が有利である。これは特に、第2の排気ガス導管区間3の長円形の横断面の比較的長い軸dが、比較的短い軸cに比べて、ほぼ2倍の大きさであることによって達成される。
図2に示されているように、第1の排気ガス導管区間2の比較的短い横断面寸法bを、2つの排気ガス導管区間2、3が連結している部位からの距離が離れれば離れるほど、大きくすることも可能である。このような仕方で、場合によっては、接続される排気ガス浄化装置構成要素のために備えられている流入ファネルの、比較的大きな寸法に向かって、連続的な移行を達成することができる。もちろん、このことは、類似の仕方で、他の横断面寸法a、c、dにも当てはまる。
【0029】
できる限り円形に近い排気ガス渦巻流を形成するためには、概略的に
図3に示されているように、2つの隣り合った円形部分に対応する、第2の排気ガス導管区間3の横断面を選択することも可能である。一般的には、第2の排気ガス導管区間3の中での優勢な排気ガス流と関連して、二重渦巻が形成され、この二重渦巻が200mm以上の、好ましくは300mm以上の導管長さに沿って、少なくともほぼこの長さに近くまで維持されるように、排気ガス導管区間2、3の横断面寸法が選択される。いずれにせよ、二重渦巻は、好ましくは、その後に続く排気ガス浄化構成要素の1つに、または、このために設けられている排気ガス流入ファネルに達成するまで維持されるように準備されている。発生した渦巻構造が崩れるのをできる限り遅くするために、横断面寸法は、少なくとも第2の排気ガス導管区間3内の排気ガス入口領域では、排気ガスの
スワール数が各々の渦巻の少なくとも0.3に達するように選択されることが準備されている。詳細には、排気ガス導管区間2、3の横断面寸法a、b、c、dは、内燃機関の排気量に応じて、入口
スワール数が少なくとも0.3に達するように実施することができる。
【0030】
上記の説明による、還元剤調合区間1の実施形態の有利点は、場合によっては、排気ガス導管区間2、3の横断面形状を変形させ、流れの状態を変更することによっても達成することができる。ただし、この場合には、ねじれを形成する特性を本質的に同じままで保つことが必要である。この意味で、同様に好ましい実施形態が
図4に示されており、この場合には、下記の説明では、上記で説明した実施形態に比べて、本質的な違いだけを取り扱う。
【0031】
図4に示した、本発明の排気ガスシステムの還元剤調合区間1のさらなる有利な実施形態は、
図1に示した実施形態に比べて、第1の排気ガス導管区間2から第2の排気ガス導管区間3内への、接線方向の排気ガス誘導が、本質的に異なる。このために、第1の排気ガス導管区間2は、第2の排気ガス導管区間3に対して中心よりも外側に取付けられている。したがって、第2の排気ガス導管区間3内に流入する排気ガスは、第2の排気ガス導管区間3の横断面の中心領域に向けられるのではなく、中心からずれた領域に向けられる。これによって、HWLが添加された排気ガスは、第2の排気ガス導管区間3に対して、ほぼ接線上で、第2の排気ガス導管区間内へ流入する。
【0032】
この実施形態では、第2の排気ガス導管区間3は、1つの円形の断面を有しており、このため二重渦巻に代わって、図示されているように1つの単純な渦巻が形成される。第2の排気ガス導管区間3の直径Dは、好ましくは、
図1に示されている楕円形の実施形態の横断面寸法cおよびdの領域内に位置する。典型的な自家用車エンジンの大きさでは、この直径は、好ましくは、30mmから150mmの領域にある。
【0033】
さらに、第1の排気ガス導管区間の断面形状は、ここでは方形に選択されている。この場合、
図1の実施形態で行われた寸法の数値、ならびに第2の排気ガス導管区間3内に形成される排気ガス渦巻の、渦巻強さに関する数値は、相変わらず有効である。排気ガス導管区間2、3の連結部位における、第1の排気ガス導管区間2の断面図の比較的長い辺aは、好ましくは、第2の排気ガス導管区間の直径Dに比べて、少なくとも同じ大きさであるように選択される。a/Dの比が1.5から3の領域にあることが特に好ましい。
図1の実施形態の場合にも、第1の排気ガス導管区間の横断面を方形にすることができることは自明である。
【0034】
下記の説明では、第1の排気ガス導管区間2と第2の排気ガス導管区間3の連結部位の上流側に設けられている、本発明に添って設けられた気化装置を取り扱う。そのためには、
図1を参照するが、この場合、説明は、
図4に例示した還元剤調合区間1の実施形態についても同様に当てはまる。
【0035】
気化装置は、少なくとも1つの、ただし好ましくは8つまでのバッフルプレート10を備えている。
図1では、単なる例として、3個のバッフルプレート10が示されているにすぎない。気化プレートとしても機能を果たすバッフルプレート10は、平面な金属板として形成されており、その法線方向は、少なくとも第1の排気ガス導管区間2の円筒軸11に対してほぼ直角であり、したがって、排気ガス流方向に向けられている。このバッフルプレート10は、好ましくは、相互に等間隔に配置されている。このように流れに有利な方向に向けられている結果、平行構成要素10が流れに対して引き起こす抗力は皆無であるか、または、無視できる程度のものである。バッフルプレート10の下流側端部は、好ましくは、第2の排気ガス導管区間3のシリンダジャケット面内の開口部8と同じ面にあるか、または、排気ガス流方向に向かって数ミリメートルだけずれた位置に取り付けられている。バッフルプレート10の上流側端部は、本質的に、第1の排気ガス導管区間2上に配置されているインジェクションユニット4の高さにある。この場合、インジェクションユニット4は、このインジェクションユニットがHWLを円筒軸11に対してほぼ直角に噴射できるように配置されている。ただし、噴射方向が僅かに排気ガス流方向に傾斜していることはあり得る。したがって、インジェクションユニット4から噴射されたHWLは、バッフルプレート平面の法線方向に対してほぼ直角に、あるいは、せいぜい鋭角に、バッフルプレート10に衝突する。
【0036】
バッフルプレート10上に生じるHWLの水滴は、バッフルプレート10の温度に応じて、再びこのバッフルプレートから飛び散るか、または、このバッフルプレートの表面を濡らし、その後に気化する。これらの2つの過程は、排気ガス内でのHWLの分配を補助する。バッフルプレート10上に生じた水滴が飛び散るのは、主に、バッフルプレート10の温度がライデンフロスト効果温度以上である時である。この場合、飛び散る水滴の大きさは、衝突する水滴に比べて小さくなり、これによって水滴の分配が改善される。そのうえ、HWLで強化された排気ガスをさらに搬送する際には、水滴が第2の排気ガス導管区間3の開口部8に対向しているダクト壁にさらに衝突する。この場合、水滴はさらに小さくなって飛び散り、もしくは、排気ガスに加えられたHWLの一部がさらに気化する結果になる。
【0037】
バッフルプレート10は、バッフルプレート10上でのHWLの調合を可能な限り最適化するために、全てのバッフルプレート10および好ましくはインジェクションユニット4に対向して位置する第1の排気ガス導管区間2の内壁も、少なくとも部分的には噴射ないしは噴霧円錐によって捉えられ、また濡らされるように実施されるか、もしくはインジェクションユニット4の吹付け方向に対して配置されている。このためには、排気ガス流方向から見て、バッフルプレート10が、インジェクションユニット4からのバッフルプレート10の距離が大きくなるにつれて、その上流側および/または下流側の端部が、排気ガス流方向に関連してずれるように、互いにずれて配置されていることが有利である。インジェクションユニット4からのバッフルプレート10の距離が大きくなるにつれて、バッフルプレートの長さが、すなわち、バッフルプレート10の排気ガス流方向および/または対向する方向への広がりが、大きくなるように準備されていることができる。このような有利な梯形配置の例は、
図5aで概略的に示されている。
図5aで示されているように、バッフルプレート10の面の大きさが、インジェクションユニット4からのバッフルプレート10の距離が大きくなるにつれて同じく大きくなるように準備されていることができる。このようにして、インジェクションユニット4からさらに離れた位置でバッフルプレート10に衝突する、噴射されたHWLの部分は増大し、これによって、詳細には、「後方の」バッフルプレート10の調合効果が改善される。
図5aに示されているように、排気ガス流方向、または逆方向へのバッフルプレート10の幅の拡大も、少なくとも一部の領域では準備されることができる。本発明に従って排気ガス渦巻形成の前に設けられ、バッフルプレート10によって決定的に援助される、噴射されたHWLの気化に関連して、さらに示唆されるべきは、インジェクションユニット4に対向する第1の排気ガス導管区間2の内壁が、噴射ないしは噴霧円錐によって捉えられまた濡らされるように実施されていることが好ましいということである。こうして、ダクト内壁の濡らされた面は、付加的な気化面として働き、その場合には、ここでも衝突する液体水滴の飛び散りが生じ得る。
【0038】
バッフルプレート10の気化作用のさらなる改善は、その表面がノッチを有する場合に達成することができる。
図5bには、穴の空いた実施形態が例として示されている。
図5cでは、スリット形状が概略的に示されている。この場合、バッフルプレート面のノッチが、総面積の約5%から約50%を占める場合が有利である。さらに、バッフルプレートの表面形状形成が、いぼ状突起の形状で準備されることも可能である。付加的に、または代替として、粗面化および/またはコーティングも可能である。表面の粗さは、5μmから50μmまでの値の領域内にあることが好ましい。コーティングとしては、尿素の熱分解および/または加水分解を補助するための触媒のコーティングを設けることができる。付加的に、または代替として、尿素分解生成物の堆積に関して、被膜層形成に抗して作用する、コーティングを設けることができる。
【0039】
還元剤調合区間1では、詳細には、噴射および気化と、渦巻形成に関連した後続する流れの方向転換との、相乗作用的な共働効果によって、非常に効率の良い還元剤調合が可能になる。HWLを還元剤として使用する場合、効率が良いアンモニアの遊離が、短いダクト長さで、同時に非常に良好な均一な配分を伴って達成される。さらにこの還元剤調合区間1は、流れに対する特に低い抗力を特徴とする。例えば、排気ガスへHWLを添加する以前、および詳細には、その後の静的混合器のような、混合またはねじれ形成のための付加的な構成要素を省略することができる。これゆえに、示されまた説明されたように形成されている還元剤調合区間1は、複雑な構成であっても、特に小型化された本発明の排気ガスシステムの実施を可能にする。このため、複雑な構成の排気ガスシステムでも、排気ガス浄化に有効な構成要素に関して、完全にまたは少なくともその大部分を車両のエンジンルーム内に収納することが可能である。これによって、詳細には、エンジンブロックの側方への配置は、排気ガス浄化システムの温度的特徴に関連して、さらにまた利点を得ることができる。下記の説明では、これを、
図6を参照にして取り扱う。
【0040】
図6には、小型化された排気ガス後処理システムが示されており、このシステムは、還元剤調合区間1を介して相互に連結されている、排気ガス後処理構成要素のための、2つのハウジング13、18を備える。ここでは、上流側のハウジング13内に、酸化分解触媒が配置されている。下流側のハウジング18は、前後して、微粒子フィルタと、僅かな距離を持ってこれに加えてSCR触媒が配置されており、この場合、微粒子フィルタは、好ましくは、SCR触媒コーティングが施されている。上流側のハウジング13の排気ガス流入ファネル15は、図示されていないディーエンジンゼルの排気ガスを受け取り、このために、好ましくは、やはり図示されていない排気ターボチャージャの出口と連結されている。酸化分解触媒で処理された排気ガスは、ハウジング13からハウジング流出ファネル14を介して還元剤調合区間1の第1の排気ガス導管区間2に導かれる。第1の排気ガス導管区間2内では、接続部16上に設けられている、
図6には示されていない、インジェクションユニットを介して、HWLが排気ガス内に噴射される。上記で説明された、特に有効な調合によって、尿素を含む、ないしはアンモニアを含む排気ガスをハウジング18へ供給する回路は、特に短く実施されることができる。図から分かるように、第1の排気ガス導管区間2から第2の排気ガス導管区間3への移行の際の、前述の排気ガスの約90°の方向転換は、特に小型化された排気ガス後処理システムの構造形状を可能にする。熱および圧力損失は最小限となり、このことは特に効率のよい排気ガス浄化を可能にする。
図6に示されているように、上流側のハウジング13が少なくともほぼ鉛直に向けられており、また直接その後に続き、および還元剤調合区間1を介してハウジング13と連結されている下流側のハウジング18が少なくともほぼ水平に向けられて取り付けられている、本発明の排気ガスシステムの形態は、特に有利でありまた小型化であることが証明された。特に、下流側のハウジング18が、少なくとも部分的に、上流側のハウジング13と同一の測地高さに取り付けられている配列は、特に小型化であり、また空間を節約する。ハウジング18の中央軸が、ハウジング13の下流側端部と少なくともほぼ同じ、またはそれよりも高い測地高さであることは特に好ましい。