【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため第1の構
成は、遊技機の本体に形成された開口部分を開閉する開閉扉に設けられ、前記開口部分を閉鎖した状態で前記開閉扉を施錠する施錠装置である。
【0008】
そして、前記開閉扉の裏側から隣接した位置関係で延出する一組の延出片からなり、該延出片それぞれを前記本体側に設けられた被嵌合部に挿入させた状態で、該延出片それぞれの先端側から前記開口部分の開口面に沿った反対方向に突出する突起の先端が前記被嵌合部の内周面または内径より外側に位置するまで、前記延出片それぞれを前記開口面に沿って相対的に変位させることにより、前記被嵌合部からの前記延出片の離脱を防止して前記開閉扉の施錠を実現する施錠機構と、前記開閉扉の前面側から鍵穴に嵌合した鍵の施錠操作および解錠操作を受けて順方向および逆方向へと回転するギヤを有するシリンダ錠と、前記シリンダ錠のギヤと噛み合うラック部を有し、該ラック部を介して前記ギヤによる順方向および逆方向への回動に連動して移動することにより、前記開口面に沿った方向へと往復運動する連動桿と、前記連動桿による往復運動を前記施錠機構の延出片それぞれに伝達させることで、該延出片を前記開口面に沿って相対的に変位させる伝達変位機構と、を備えている。
【0009】
このように構成された施錠装置であれば、延出片それぞれが相対的に変位し、各延出片の突起が被嵌合部の異なる領域に接触して施錠されることになるため、延出片と被嵌合部
との間で作用する力が、少なくとも被嵌合部またはその周辺における複数の領域に分散される。
【0010】
これにより、上記構成では、施錠した状態で開閉扉を開く方向に大きな力が加えられたとしても、一つの部材を挟み込んで施錠する構成と比べて被嵌合部およびその周辺が損傷・破損しにくいため、安定的かつ強固な施錠状態を実現できるだけでなく、大きな力により開閉扉が不正解錠されてしまうことを効果的に防止できる。
【0011】
また、この構成では、本体と開閉扉との隙間から差し込んだ針金などで延出片を変位させる、といった不正解錠に際し、一組の延出片それぞれを同時に変位させなければならないため、そのような変位を隙間から差し込んだ針金などで実施することが難しいことから、上記のような不正解錠を防止するのにも好適である。
【0012】
なお、上記構成において、施錠機構の延出片それぞれは、少なくとも被嵌合部に挿入可能な状態となる位置関係から、この被嵌合部から着脱不能な状態となる位置関係までの間で、それぞれ相対的に変位できるようにすればよい。
【0013】
また、上記構成において、伝達変位機構は、シリンダ錠における施錠操作および解錠操作に伴って一組の延出片を変位させるだけの構成としてもよいが、二組以上の延出片を設けると共に全ての延出片を変移させる構成とすることが、不正解錠の防止という観点では有効である。
【0014】
そこで、例えば、二組の延出片を同時に変位させるためには、上記構成を以下に示す第2の構
成のようにするとよい。
第2の構成において、前記連動桿は、該連動桿が往復運動をする方向に一定の長さを有し、該長さ方向の両端側それぞれから一定距離だけ離れた領域にラック部が形成されており、前記施錠機構は、前記連動桿における端部側それぞれに一組ずつが配置されており、前記伝達変位機構は、前記連動桿における端部側それぞれから、該端部側における往復運動を、該端部側に配置された前記施錠機構に対して伝達させる。
【0015】
この構成であれば、施錠機構は、連動桿の両端側に配置された二組の延出片により、二箇所での施錠を実現することができ、また、延出片が多くなることに伴い、全ての延出片を同時に変位させる不正解錠がより困難になるため、不正解錠の防止効果が高くなる。
【0016】
また、上記構成において、伝達変位機構は、連動桿による往復運動を伝達させた延出片それぞれを開口面に沿って相対的に変位させることができれば、その具体的な構成は特に限定されず、例えば、以下に示す第3の構
成のようにすることが考えられる。
【0017】
第3の構成において、前記前記伝達変位機構は、前記前記伝達変位機構は、一方の前記延出片を前記連動桿の端部側と連結した状態で、該延出片を前記連動桿の往復運動に従動させることにより、該延出片を前記連動桿と同じ方向に変位させて、他方の前記延出片を前記連動桿の端部側と連結すると共に、該延出片における先端から連結部分に至る領域を回転可能に固定させた状態で、該延出片を前記連動桿の往復運動に従動させることにより、該延出片を前記連動桿の往復運動と反対方向に傾倒するように変位させる。
【0018】
この構成であれば、一方の延出片が連動桿に従動するように連結され、他方の延出片が連動桿の往復運動と反対方向に傾倒するように連結されているため、連動桿を一方向に移動させるだけで、延出片それぞれを連動桿の移動方向およびその反対方向へと同時に変位させることができる。
【0019】
また、この構成において、施錠機構の延出片それぞれは、少なくとも被嵌合部に挿入可能な状態となる位置関係と、この嵌合部から着脱不能な状態となる位置関係と、の間で変位できればよいが、前者の「被嵌合部に挿入可能な状態となる位置関係」は、被嵌合部との間における延出片の挿入および離脱を容易ならしめるようにすることが望ましい。
【0020】
このためには、例えば、上記構成を以下に示す第4の構
成のようにすることが考えられる。
第4の構成において、前記施錠機構は、他方の前記延出片を、該延出片の変位方向に沿った平面に投影させた場合に、該延出片において前記被嵌合部に挿入される部分の幅が、一方の前記延出片において前記被嵌合部に挿入される部分の幅以下となるように傾倒させる位置関係と、前記延出片それぞれの突起の先端が前記被嵌合部の内周面または内径より外側に位置する位置関係と、の間で、前記延出片それぞれが前記開口面に沿って相対的に変位可能に構成されている。
【0021】
この構成であれば、他方の延出片が傾倒し、被嵌合部に挿入される部分の幅が一方の延出片において被嵌合部に挿入される部分の幅以下となるため、この状態において一組の延出片全体としての外径を小さくすることができる。そのため、この状態の延出片それぞれを被嵌合部に対して挿入および離脱させるに際して、延出片それぞれが被嵌合部に接触しにくくなり、これにより、被嵌合部との間における延出片の挿入および離脱を容易ならしめることができる。
【0022】
また、上記各構成では、以下に示す第5の構
成のように、前記連動桿は、前記伝達変位機構を介して、前記延出片それぞれにおける突起の先端を前記被嵌合部の内周面または内径より外側に位置させる方向に付勢されている、とよい。
【0023】
この構成であれば、延出片それぞれにおける突起の先端が被嵌合部の内周面または内径より外側に位置させる方向に連動桿が付勢されているため、シリンダ錠による解錠操作を行って連動桿経由で延出片それぞれを変位させない限り、延出片それぞれにより開閉扉を施錠したままの状態とすることができる。
【0024】
また、上記各構成では、以下に示す第6の構
成のように、前記施錠機構は、前記延出片それぞれが、該延出片における突起の先端を前記被嵌合部の内周面または内径より外側に位置させる方向に付勢されている、とよい。
【0025】
この構成であれば、延出片それぞれにおける突起の先端が被嵌合部の内周面または内径より外側に位置する方向に延出片それぞれが付勢されているため、シリンダ錠による解錠操作を行って連動桿経由で延出片それぞれを変位させない限り、延出片それぞれにより開閉扉を施錠したままの状態とすることができる。
【0026】
また、上記各構成において、本体側に設けられる被嵌合部は、一組の延出片を挿入することができれば、その具体的な構成は特に限定されないが、例えば、本体側に形成された所定形状の貫通孔としたり、スリットとしたりすることが考えられる。
【0027】
この後者のように、被嵌合部をスリットとする場合には、上記各構成を以下に示す第7の構
成のようにすることが考えられる。
第7の構成では、前記本体側において前記施錠機構それぞれに対応する領域に設けられた一対の柱状部材が、前記延出片それぞれの変位方向に一定間隔を空けて配置されてなり、一方の前記柱状部材から他方の前記柱状部材までの空間が前記被嵌合部として、該被嵌合部に対して前記延出片が挿入される。
【0028】
この構成であれば、柱状部材の一方から他方までの空間として形成されるスリットを被嵌合部として、ここに延出片を挿入させることができる。
なお、この構成における柱状部材は、断面が円形の円柱であってもよいし、断面が多角形の角柱であってもよいが、延出片の通過を容易ならしめるためには、以下に示す第8の構
成のようにするとよい。
【0029】
第8の構成において、前記柱状部材それぞれは、少なくとも他方の前記柱状部材と対向する外周面が曲面状に形成されている。
この構成であれば、少なくとも柱状部材それぞれの対向する外周面が曲面状となっているため、これら柱状部材における一方から他方までの空間を延出片が通過する際、延出片が柱状部材の外周面と接触した場合の接触面積つまり抵抗が小さくなる結果、その通過を容易ならしめることができる。
【0030】
なお、この構成における柱状部材は、それぞれの対向する外周面が曲面状となっていればよく、円柱の柱状部材をそのまま用いたり、角柱の柱状部材それぞれにおいて対向する外周面のみを曲面状として用いたりしてもよい。
【0031】
また、上述した柱状部材については、以下に示す第9の構
成のように、それぞれの先端がフランジ状に形成されている、とよい。
この構成であれば、開閉扉を開く方向に大きな力が加えられ、その開放方向に向けて柱状部材が傾倒したとしても、延出片が柱状部材におけるフランジ状の先端側に引っ掛かるため、こうして引っ掛かることで不正解錠されてしまうことを防止できる。
【0032】
また、上述したように、柱状部材の間を延出片が通過することを容易ならしめるためには、上記第7から9のいずれかの構成を以下に示す第10の構
成のようにすることが考えられる。
【0033】
第10の構成において、前記柱状部材は、それぞれが柱状に形成されており、該柱状の領域を取り囲む円筒状のスリーブが回転自在に取り付けられている。
この構成であれば、柱状部材が、柱状の領域に回転可能なスリーブを取り付けた構造となっているため、これら柱状部材の一方から他方までの空間を延出片が通過するに際し、柱状部材の外周面と接触した場合の接触抵抗をスリーブの回転により減衰させることができる結果、その通過をより一層容易ならしめることができるようになる。