特許第5866469号(P5866469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5866469
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】文書管理サーバ及び文書管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20160204BHJP
【FI】
   G06Q50/10 100
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-91906(P2015-91906)
(22)【出願日】2015年4月28日
【審査請求日】2015年4月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503124919
【氏名又は名称】株式会社リバネス
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真一郎
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−169945(JP,A)
【文献】 特開2001−209684(JP,A)
【文献】 特開2002−099649(JP,A)
【文献】 特開2005−316871(JP,A)
【文献】 特開2002−041849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と第2の端末に対し、それぞれ通信可能に接続されている文書管理サーバであって、
第1の端末から送信された、第1の文書と第2の文書を受信する文書受信手段と、
受信した第1の文書と第2の文書を格納する記憶手段と、
第1の端末と第2の端末が情報交換するための、第2の文書に付随した第2のコミュニケーション・ツールを作成する第2のコミュニケーション・ツール作成手段と、
第2の端末から送信された開示要求に応じて、第2の文書を第2の端末に開示する第2の文書開示手段と、
第1の端末及び/又は第2の端末から送信された開示要求に応じて、第1の文書を第1の端末に開示する第1の文書開示手段と、
第1の端末と第2の端末が情報交換するための、第1の文書に付随した第1のコミュニケーション・ツールを作成する第1のコミュニケーション・ツール作成手段と、
を備え、
前記第2のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末以外の端末が利用可能である掲示板またはチャット板であって、前記第1のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末、及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみが利用可能である掲示板またはチャット板である、文書管理サーバ。
【請求項2】
第2の文書は、第1の文書に記載の内容の一部を含む、請求項1に記載の文書管理サーバ。
【請求項3】
第1の文書は、研究資金獲得のための申請書、又は文書提供者の使用者もしくは研究資金の提供者において承継されなかった発明の発明届であって、第2の文書は、第1の文書の要旨である、請求項2に記載の文書管理サーバ。
【請求項4】
第2の端末から受信した検索キーワードを含む文書または前記検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の第2の文書を特定する文書検索手段を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の文書管理サーバ。
【請求項5】
第1の端末と第2の端末に対し、それぞれ通信可能に接続されている文書管理サーバを用いた文書管理方法であって、前記文書管理サーバは、文書受信手段、記憶手段、第1の文書開示手段、第2の文書開示手段、第1のコミュニケーション・ツール作成手段、第2のコミュニケーション・ツール作成手段を備え、
前記文書受信手段が、第1の端末からの第1の文書及び第2の文書を受信する工程と、
前記記憶手段が、文書受信手段が受信した第1の文書及び第2の文書を記憶する工程と、
前記第2のコミュニケーション・ツール作成手段が、第2の文書に付随した第2のコミュニケーション・ツールを作成する工程と、
前記第2の文書開示手段が、第2の端末からの開示要求に応じて、第2の文書を第2の端末に開示する工程と、
前記第1の文書開示手段が、第1の端末及び/又は第2の端末の要求に応じて、第1の文書を第1の端末に開示する工程と、
前記第1のコミュニケーション・ツール作成手段が、第1の文書に付随した第1のコミュニケーション・ツールを作成する工程と、
を含み、
前記第2のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末以外の端末が利用可能である掲示板またはチャット板であって、前記第1のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末、及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみが利用可能である掲示板またはチャット板である、文書管理方法。
【請求項6】
第2の文書は、第1の文書に記載の内容の一部を含む、請求項5に記載の文書管理方法。
【請求項7】
第1の文書は、研究資金獲得のための申請書、又は文書提供者の使用者もしくは研究資金の提供者において承継されなかった発明の発明届であって、第2の文書は、第1の文書の要旨である、請求項6に記載の文書管理方法。
【請求項8】
前記文書管理サーバがさらに文書検索手段を有し、
前記第2の文書開示手段が、第2の文書を第2の端末に開示する工程の前に、前記文書検索手段が、第2の端末から受信した検索キーワードを含む文書または前記検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の第2の文書を特定する工程を行う、請求項5〜7のいずれか1項に記載の文書管理方法。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか1項に記載の文書管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理サーバ及び文書管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オープンイノベーションに代表されるシステムによって、大学等の公的研究機関と、民間企業とのコミュニケーションや共同研究契約の締結が活発化しており、企業によるオープンイノベーションのためのプラットフォームが作成されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、公的研究機関においては、公的研究機関や所属研究者によって保管されている、競争的資金に不採択となった申請書や、公的研究機関による承継がなされなかった発明に関する発明届など、未公開の科学的、技術的知見を含む文書が多く存在しており、これらをオープンイノベーションに活用するシステムは存在しない。また、そのような文書は未公開であるがゆえに、不特定多数に公開することが望ましくない情報も含まれていることも多く、これら文書をオープンイノベーション等に活用することに対する障壁となっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】SneeeDs(登録商標)[平成27年4月27日検索]、インターネット<URL:https://sneeeds.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規な文書管理サーバ及び文書管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の形態として実現することができる。
【0006】
本発明の一実施態様によれば、第1の端末と第2の端末に対し、それぞれ通信可能に接続されている文書管理サーバであって、第1の端末から送信された、第1の文書と第2の文書を受信する文書受信手段と、受信した第1の文書と第2の文書を格納する記憶手段と、第1の端末と第2の端末が情報交換するための、第2の文書に付随した第2のコミュニケーション・ツールを作成する第2のコミュニケーション・ツール作成手段と、第2の端末から送信された開示要求に応じて、第2の文書を第2の端末に開示する第2の文書開示手段と、第1の端末及び/又は第2の端末から送信された開示要求に応じて、第1の文書を第1の端末に開示する第1の文書開示手段と、第1の端末と第2の端末が情報交換するための、第1の文書に付随した第1のコミュニケーション・ツールを作成する第1のコミュニケーション・ツール作成手段と、を備え、第2のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末以外の端末が利用可能であって、第1のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末、及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみが利用可能である、文書管理サーバが提供される。
【0007】
第2の文書は、第1の文書に記載の内容の一部を含んでもよい。
【0008】
第1の文書は、研究資金獲得のための申請書、又は文書提供者の使用者もしくは研究資金の提供者において承継されなかった発明の発明届であって、第2の文書は、第1の文書の要旨であってもよい。
【0009】
第2の端末から受信した検索キーワードを含む文書または検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の第2の文書を特定する文書検索手段を有してもよい。
【0010】
本発明の他の実施態様によれば、第1の端末と第2の端末に対し、それぞれ通信可能に接続されている文書管理サーバを用いた文書管理方法であって、文書管理サーバは、文書受信手段、記憶手段、第1の文書開示手段、第2の文書開示手段、第1のコミュニケーション・ツール作成手段、第2のコミュニケーション・ツール作成手段を備え、文書受信手段が、第1の端末からの第1の文書及び第2の文書を受信する工程と、記憶手段が、文書受信手段が受信した第1の文書及び第2の文書を記憶する工程と、第2のコミュニケーション・ツール作成手段が、第2の文書に付随した第2のコミュニケーション・ツールを作成する工程と、第2の文書開示手段が、第2の端末からの開示要求に応じて、第2の文書を第2の端末に開示する工程と、第1の文書開示手段が、第1の端末及び/又は第2の端末の要求に応じて、第1の文書を第1の端末に開示する工程と、第1のコミュニケーション・ツール作成手段が、第1の文書に付随した第1のコミュニケーション・ツールを作成する工程と、を含み、第2のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末以外の端末が利用可能であって、第1のコミュニケーション・ツールは、第1の端末と第2の端末、及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみが利用可能である、文書管理方法が提供される。
【0011】
第2の文書は、第1の文書に記載の内容の一部を含んでもよい。
【0012】
第1の文書は、研究資金獲得のための申請書、又は文書提供者の使用者もしくは研究資金の提供者において承継されなかった発明の発明届であって、第2の文書は、第1の文書の要旨であってもよい。
【0013】
文書管理サーバがさらに文書検索手段を有し、第2の文書開示手段が、第2の文書を第2の端末に開示する工程の前に、文書検索手段が、第2の端末から受信した検索キーワードを含む文書または検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の第2の文書を特定する工程を行ってもよい。
【0014】
本発明の更に他の実施態様によれば、上記文書管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【0015】
本発明の更に他の実施態様によれば、上記プログラムを格納するコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、新規な文書管理サーバ及び文書管理方法を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る、文書管理サーバを含むネットワーク構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、文書情報テーブルの構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、文書閲覧者情報テーブルの構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、掲示板雛形の図である。
図5】本発明の一実施形態に係る、文書管理方法の基本フローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る、文書D2のみを公開する方法の一例である。
図7】本発明の一実施形態に係る、文書削除フローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る、文書非公開設定フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態を挙げながら、本発明の実施形態を詳細に述べる。
【0019】
本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的に実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
【0020】
(1)文書管理サーバ
本発明に係る文書管理サーバの一実施形態を、図1〜4を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るサーバ1を含むネットワーク構成例を示す図である。
【0022】
サーバ1は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線等によるネットワークNを介して、任意数の端末T1と、任意数の端末T2と、相互に通信可能に接続されている。端末T1は、サーバ1に格納される文書を提供する文書提供者が使用する端末であり、端末T2は、当該文書を閲覧する文書閲覧者が使用する端末である。サーバ1へのアクセスの可否は任意に設定できるが、あらかじめ登録された文書提供者及び文書閲覧者のみがアクセスできるように設定することが好ましい。
【0023】
本発明において、文書提供者及び文書閲覧者は、特に限定されないが、文書提供者の例として、大学や研究所などの公的機関に所属する研究者が挙げられ、文書閲覧者の例として、民間企業に所属する従業員が挙げられる。
【0024】
サーバ1は、後述するデータベース110を記憶する記憶部11と、端末T1及び端末T2からの要求に応じて各種処理を行う演算部12と、端末T1及びT2からの要求を受け付け、各種処理結果を端末に送信する通信部13と、を備え、各部は、バスを介して電気信号を相互に送受信可能に接続されている。
【0025】
以下、各部について詳述する。
【0026】
(i)記憶部11
記憶部11は、文書提供者によって端末T1から送信された文書、後述する文書情報テーブル121、及び文書閲覧者情報テーブル122を含むデータベース110を格納する記憶手段の一例である。また、記憶部11は、コミュニケーション・ツールなどを記憶する記憶領域111を含む。以下、記憶部11の各要素について詳述する。
【0027】
本発明において、「文書」には、第1の文書(以下文書D1と称する)の電子データと、第2の文書(以下文書D2と称する)の電子データとがある。電子データの形式は、利用可能な任意の形式でよい。以下、単に「文書」と記載する場合は、文書D1又は文書D2を総称したものとする。
【0028】
文書D1は、文書提供者によって端末T1からサーバ1に送信され、サーバ1のデータベース110に格納される。文書D1は、本発明によって活用されることが考慮される以前に、文書提供者又は他の人物によって既に作成され、活用されていたものであることが好ましい。特に、その科学的及び/又は技術的情報は、データベースへの格納以前には公知になっていない内容を含んでいることが好ましい。文書D1は特に限定されないが、競争的資金に採択されなかった申請書等の、研究資金獲得のための申請書や、大学や研究所等の公的研究機関において、発明者の使用者による承継がなされなかった発明届、研究資金の提供者による承継がなされなかった発明届等が例示できる。その場合、文書D1には、今後行われる予定の研究内容、その研究の背景技術、その研究に関連したこれまでの成果、研究者の名前・連絡先等の詳細等が記載されている。
【0029】
文書D2は、文書D1に記載の内容の一部を含むが、その内容は、特に限定されず、文書D1の記載内容を纏めた要約であっても、文書D1の記載内容の一部をそのまま取り出したものでもかまわない。特に、文書D1の記載内容のうち、当該文書の作成者にとって一般に公開してもよい内容、及び/又は文書D1の記載内容に関連する語や句(以下、キーワードと称する)が含まれることが好ましい。
【0030】
文書提供者は、文書D1及び/又は文書D2の作成者でもよいし、作成者でなくてもよいが、文書提供者、文書D1及びD2の作成者は同一であることが好ましい。
【0031】
次に、文書情報テーブル121について詳述する。
【0032】
文書情報テーブルの構成例を、図2に示す。文書情報テーブル121は、各文書提供者に割り振られる文書提供者IDに、文書、文書ID、文書提供者氏名、文書提供者連絡先情報(メールアドレス等)、文書提供者端末情報、文書提供者パスワード、及び文書公開設定等の各項目が対応付けられて構成されている。
【0033】
「文書提供者ID」及び「文書ID」は、それぞれ文書提供者及び文書に固有の値であり、各文書提供者及び文書が識別できるものであれば、数字や文字の組み合わせ等、任意に設定されてよい。
【0034】
「文書公開設定」項目には、文書D1と文書D2とに、「文書非公開」または「文書公開」を表す、互いに異なる値が割り振られている。互いに異なる値の割り振りには、二つの数値をそれぞれに当てはめる場合以外に、文書D2の場合には値が割り振られており、文書D1には値は割り振られていない(つまりNull値)場合も含むが、これらに限定されず、互いが区別できるものであれば任意に設定してよい。この文書公開項目への値の割り振りによって、後述する本発明の方法において、文書D1及びD2が文書閲覧者の検索キーワードを含む場合に、文書D2であれば検索結果に表示され、文書D1であれば表示されなくすることが可能になる。
【0035】
「文書提供者連絡先情報」は、後述する文書閲覧者が連絡をとるための連絡先であって、メールアドレス、電話番号、ホームページなどの情報を含んでよいが、メールアドレスが含まれることが好ましい。連絡先は、文書提供者でもよいし、文書提供者と文書作成者が異なる場合は文書作成者の連絡先でもよく、目的に応じ任意に設定できる。
【0036】
「文書提供者端末情報」は、文書提供者がサーバ1にアクセスする端末T1に固有の値である。端末T1がほかの端末と区別できる値であれば、任意に設定できるが、MACアドレス等が例として挙げられる。
【0037】
「文書提供者パスワード」は、文書提供者がサーバ1にアクセスする際に必要なパスワードであり、文書提供者が設定しても、サーバ1が設定してもよい。
【0038】
なお、文書情報テーブル121は、必要に応じて更に項目を含んでもよく、例えば文書提供者のその他特定情報(所属機関、役職、年齢、性別等)や、文書D1及びD2の記載内容に関わる情報(研究又は開発期間、文書提供者以外の研究又は開発者の個人情報等)、文書D2のキーワード等の項目があげられるが、これらに限定されない。ここで、「文書D2のキーワード」項目は、文書作成者が、文書D2の内容に基づいて任意の語句を登録してもよいし、サーバ1が、文書D2の記載に基づいて任意の語句を登録してもよい。文書情報テーブル121に含まれる情報は、文書D1以外全て文書閲覧者に公開されてもよいし、文書提供者によって公開する情報と公開しない情報を任意に設定してもよい。
【0039】
文書閲覧者情報テーブル122は、端末T2を使用する各文書閲覧者に割り当てられた文書閲覧者IDに対し、文書閲覧者連絡先情報、文書閲覧者端末情報、文書閲覧パスワードの各項目が対応付けられている。文書閲覧者テーブル122の構成例を図3に示す。文書閲覧者情報テーブル122は、必要に応じて更に項目を含んでもよく、例えば文書閲覧者のその他特定情報(所属機関、役職、年齢、性別等)や、文書閲覧者の技術分野に関する情報(技術分野等)等の項目が挙げられるが、これらに限定されない。文書閲覧者連絡先情報、文書閲覧者端末情報、文書閲覧パスワードについては、文書提供者の場合と同様に扱うことができる。
【0040】
記憶領域111は、文書提供者によって文書D1及びD2がデータベース11に格納される際に、文書提供者ごとに設定されてもよい。記憶領域111内のコミュニケーション・ツール記憶領域124は、後述する本発明の方法において、文書閲覧者が文書について文書提供者とコミュニケーションするためのコミュニケーション・ツール、及びコミュニケーション・ツールにおける文書提供者及び文書閲覧者によるコメントやレスポンスを記憶するための領域である。
【0041】
コミュニケーション・ツールは、文書提供者及び文書閲覧者がコミュニケーションできれば、その形態は特に限定されず、例えば掲示板でもチャット板でもかまわない。例えば掲示板の場合、掲示板の生成時には、後述の演算部12によって、図4に示す掲示板雛形123の空欄に文書閲覧者及び文書提供者名が挿入される。掲示板の名前の設定は任意であり、例えば、文書閲覧者が設定してもよいし、掲示板の生成順番を表す番号でもよいし、文書に含まれるキーワードから選択されてもよい。掲示板の形式は任意のものを用いてもよいが、スレッド形式が例として挙げられる。
【0042】
文書D2に付随するコミュニケーション・ツールは、文書D2の記憶領域111への格納の際またはその後に生成される、1人の文書提供者と、複数の文書閲覧者とのコミュニケーションを行う場である。従って、端末T1及び端末T2以外の端末からもアクセスができ、利用可能である。文書提供者と特定の文書閲覧者が、この文書D2に関するコミュニケーション・ツールにおいてコミュニケーションを行った後、文書D1が当該文書閲覧者に公開された際に、文書D1に関するコミュニケーション・ツールが記憶領域111に生成される。文書D1に付随するコミュニケーション・ツールは、端末T1及び端末T2、及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみがアクセスでき、利用可能であって、この文書提供者と当該文書閲覧者及び/又は彼らの少なくとも一方が承認した者のみが閲覧可能であるので、これらの者の間で機密な事項や情報の交換が可能になる。
【0043】
(ii)演算部12
演算部12は、端末T1及び端末T2からの要求に対する各種処理を行う要素である。具体的には、文書情報テーブル121、文書閲覧者情報テーブル122の作成及び格納、端末T2からの文書検索キーワードに応じた検索結果の提示、コミュニケーション・ツール作成を行うほか、文書の提示処理、文書の破棄処理、文書公開設定の変更処理等が行われる。
【0044】
演算部12は、端末T1からの文書を通信部から受け取ると、その文書を記憶部11のデータベース110に格納するとともに、文書に付随した情報に従い、文書情報テーブル121に記載のIDを割り振り、文書情報テーブル121を更新し、記憶部11のデータベース110に格納する。そして、コミュニケーション・ツール作成手段によって、その文書に付随するコミュニケーション・ツールを作成し、記憶部に格納する。このコミュニケーション・ツールの詳細は、上述した通りである。
【0045】
一方、演算部12は、会員登録手段を有し、端末T2からの会員登録要求を受信すると、会員登録要求に付随した情報に従って文書閲覧者情報テーブルを作成し、記憶部11のデータベース110に格納する。
【0046】
また、演算部12は、文書検索手段を有し、端末T2からの検索キーワードを通信部から受け取ると、記憶部11のデータベース110に格納されている文書のうち、その検索キーワードを含む文書またはその検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の文書D2を特定し、抽出して記憶部11に格納するとともに、端末T2に提示する(すなわち、端末T2からアクセスできるようにする)。抽出された文書D2の数が多すぎる場合は、絞込み検索の要求を端末T2に送信するように通信部に指示したり、所定の数の文書だけを端末T2に提示したりしてもよい。
【0047】
演算部12は、文書開示手段を有し、端末T2からの特定の文書についての開示要求を通信部から受け取ると、指定された文書を端末T2に開示する。このとき、演算部12は、開示要求が行われたことや、開示要求を行った文書閲覧者の情報を端末T1に知らせるように、通信部13に指示してもよい。
【0048】
また、演算部12は、コミュニケーション・ツール制御手段を有し、コミュニケーション・ツールを制御して、端末T1と端末T2のコミュニケーションを可能にする。
【0049】
演算部12は、文書破棄手段または文書非公開手段を有し、端末T1からの文書破棄要求を通信部から受け取ると、文書をデータベースから破棄するか、又は、端末T1からの文書D2非公開要求を通信部から受け取ると、文書情報テーブル121の、文書D2の「文書公開設定」項目の値を、非公開に対応する値に書き換える。
【0050】
(iii)通信部13
通信部13は、端末T1及び端末T2から送信された文書や要求を受信するための受信手段、演算部12にそれら文書や要求を送ったり、演算部12からの指示に従って、端末T1及び/又は端末T2に各種処理結果を送信したりするための送信手段を有する。
【0051】
(2)端末T1及び端末T2
端末T1及び端末T2は、それぞれ文書提供者及び文書閲覧者が使用する端末である。
【0052】
文書提供者によって、端末T1から、ネットワークNなどを介して、サーバ1への登録、文書のサーバ1への送信のほか、文書の破棄要求や文書D2の非公開設定要求が、サーバ1に送信される。また、コミュニケーション・ツールへの書き込み送信が行われる。
【0053】
端末T2においては、文書閲覧者による、サーバ1に格納された文書のうち所望の文書を検索するためのキーワード送信、コミュニケーション・ツールへの書き込み送信が行われる。
【0054】
端末は、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末等が例として挙げられるが、文書を任意のネットワークを介してサーバに格納することができる端末であれば限定されない。
【0055】
(3)文書管理方法
本発明の一実施形態に係る、サーバ1における文書管理方法の基本フローの一例を、以下に説明する。
【0056】
図5は、その基本フローを示すフローチャートである。
【0057】
まず、端末T1から、ネットワークNを介してサーバ1に送信された文書D1及びD2を、通信部13が受信する(ステップS1)。
【0058】
文書提供者が端末T1を通じて文書をサーバ1に送信すると、サーバ1の演算部12は、受信した文書D1及びD2を、記憶部11のデータベース110に格納するとともに、文書情報テーブル121に記載のIDを割り振り、文書情報テーブル121を更新し、記憶部11のデータベース110に格納する。そして、文書D2に付随するコミュニケーション・ツールを作成し、データベース110に格納する(ステップS2)。このコミュニケーション・ツールの詳細は、上述した通りである。コミュニケーション・ツールを作成する時期は、文書格納と同時であってもよく、例えば、その後に文書に関して最初に開示要求を受け付けた時でもかまわない。
【0059】
一方、文書閲覧者が、端末T2を通じてサーバ1への会員登録要求を送信すると、会員登録要求に付随した情報に従い、演算部12は、文書閲覧者情報テーブルを作成し、記憶部11のデータベース110に格納する。こうして、文書閲覧者は会員になることができる。
【0060】
その後、文書閲覧者が、端末T2を通じて検索キーワードを入力して送信し、サーバ1がその検索キーワードを受信すると(ステップS3)、演算部12は、記憶部11のデータベース110に格納されている文書のうち、その検索キーワードを含む文書またはその検索キーワードをキーワードとして登録している1以上の文書D2を特定し、抽出して、文書閲覧者に抽出した文書D2の一覧を提示する(ステップS4)。提示方法は任意であるが、文書D2のデータベース110におけるアドレスの提示又はアドレスへのリンク表示が例として挙げられる。
【0061】
次いで、提示された文書D2の中から、文書閲覧者が、端末T2を通じて、内容を閲覧したい文書D2について開示要求を送信し、通信部13がその開示要求を受信(ステップS5)すると、演算部12は、その開示要求を受けて、指定された文書D2を、端末T2を通じて文書閲覧者に開示する(ステップS6)。このとき、演算部12は、開示要求が行われたことや、開示要求を行った文書閲覧者の情報を、端末T1を通じて文書提供者に伝えてもよい。それによって、文書提供者は、その文書に対する注目度などを知ることができる。
【0062】
文書閲覧者は、特定の文書D2について開示要求を送信し、開示を受けると、当該D2に付随するコミュニケーション・ツールにアクセスすることができるようになる。そして、文書閲覧者がこのコミュニケーション・ツールに質問などの書き込みをし、文書提供者がその質問に答える、というように、文書閲覧者と文書提供者が、このコミュニケーション・ツールを通じて会話が可能になる。このコミュニケーション・ツールは、当該文書閲覧者及び当該文書提供者以外の第三者である会員登録者も、その文書D2の開示を受けていれば閲覧することができる。あるいは、文書D2の開示とコミュニケーション・ツールへのアクセスは独立に制御されてもよく、各文書D2のコミュニケーション・ツールは、会員登録者であれば誰でもアクセス可能であるようにしてもよい。こうしたコミュニケーション・ツールの制御は、上述したように演算部12が行う。
【0063】
一方、文書閲覧者が、開示された文書D2の内容と文書D2に付随するコミュニケーション・ツールで行われたコミュニケーションを参考にし、文書D1について内容を閲覧したいと思い、端末T2を通じてサーバ1に対して文書D1に対する開示要求を送信すると、サーバ1はそれを受信し(ステップS7)、サーバ1の演算部12は、記憶部11のデータベース110における文書D1を文書閲覧者に開示する(ステップS8)とともに、演算部12は、D1に付随するコミュニケーション・ツールを作成し(ステップS9)、記憶部に格納し、当該文書閲覧者は、このコミュニケーション・ツールにアクセス可能になる。ここで、文書D1に付随する、このコミュニケーション・ツールには、当該文書閲覧者及び/又は当該文書提供者が特別にアクセスを許可した会員登録者もしくはその他の第三者がアクセス可能になってもよいが、基本的には、上記以外の第三者は当該コミュニケーション・ツールにはアクセス可能でないものとする。
【0064】
なお、ステップS3のより詳しいフローの一例を図6に示す。端末T2からのキーワードを含む文書を全て抽出すると(ステップS31)、演算部12は、文書情報テーブルを参照し、抽出された文書に対応付けられた文書公開設定項目の値が、公開に対応する値であるか否かを確認する(ステップS32)。公開に対応する値であった場合(ステップS32、YES)、その文書は文書D2であると判断し、検索結果にその文書を提示する(ステップS33)。文書公開設定項目の値が、公開に対応する値でなかった場合(ステップS32、NO)、その文書は文書D1であると判断し、検索結果にその文書を提示しない。
【0065】
次に、文書の公開が不必要になった場合の、文書破棄フロー及び非公開設定フローを説明する。
【0066】
図7に、文書破棄フローの一例を示す。
【0067】
端末T1からの文書D1及び/又はD2の破棄要求を通信部13が受信すると(ステップS12)、演算部12が、文書情報テーブル121の「文書提供者端末情報」を参照して、破棄要求がなされた文書D1及び/又はD2の文書提供者の端末からの要求であることを確認し(ステップS13)、該当する文書D1及び/又はD2を、データベース110から削除する(ステップS14)。以上によって、文書D1及び/又はD2の破棄処理が行われる。
【0068】
図8は、文書D2非公開設定フローの一例を示す図である。
【0069】
端末T1から、文書D1及び/又はD2非公開設定を通信部13が受信すると(ステップS22)、演算部12は、文書情報テーブル121の「文書提供者端末情報」を参照して、非公開設定がなされた文書D1及び/又はD2の文書提供者の端末からの要求であることを確認し(ステップS23)、該当する文書D1及び/又はD2に対応付けられた「文書公開設定」項目の値を、公開に対応する値から、非公開に対応する値に変更する(ステップS24)。以上によって、文書D1及び/又はD2の非公開設定処理が行われる。
【0070】
(4)本発明のその他の態様
また、本発明の方法は、コンピュータ可読な記憶媒体に、コンピュータに実行可能な指示を含むプログラムとして格納され、コンピュータによって実行されてもよい。
【0071】
更に、本発明は、受信した検索キーワードを含む論文や特許文献などを、ネットワークNを介して、外部のデータベースから抽出し提示したり、文書閲覧者による検索キーワードが多く含まれている文書の文書提供者に、その文書閲覧者を、「文書提供者とよりマッチする文書閲覧者」として提示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上の実施形態によって例示される本発明によって、今まで公開されずにいた科学的及び/又は技術的情報の要旨を公開する文書D2に関するオープンな掲示板によって、文書提供者が、複数の文書閲覧者とのコミュニケーションをする。そして、文書閲覧者が、当該情報の全体を含む文書D1を閲覧する際、クローズドな掲示板が作成され、文書提供者と文書閲覧者が、秘密裏に議論することができる。このいわば「2段階の公開と議論」によって、両者のコミュニケーションがよりよく計れるようになる。
【0073】
例えば、文書D1を、競争的資金等の研究資金に採択されなかった申請書や、研究機関による承継がなされなかった発明届等、すでに作成された文書をそのまま用いることによって、従来の方法に比べて、文書提供者による科学的及び/又は技術情報の利用に対する障壁を低くすることができる。そして、文書提供者が個別の研究者であって、文書閲覧者が企業である場合、本発明を用いることによって、両者間でのライセンス交渉などの契約交渉をスムーズに行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0074】
1・・・サーバ、11・・・記憶部、12・・・演算部、13・・・通信部、110・・・データベース、111・・・記憶領域、121・・・文書情報テーブル、122・・・文書閲覧者情報テーブル、123・・・掲示板雛形、124・・・掲示板用記憶領域
【要約】      (修正有)
【課題】新規な文書管理サーバ及び文書管理方法を提供する。
【解決手段】第1の端末から送信された文書を受信する文書受信手段と、受信した文書を格納する記憶手段と、第2の文書に付随した第2のコミュニケーション・ツールを作成する第2のコミュニケーション・ツール作成手段と、第2の端末から送信された開示要求に応じて第2の文書を第2の端末に開示する第2の文書開示手段と、第1の端末及び/又は第2の端末から送信された開示要求に応じて第1の文書を第1の端末に開示する第1の文書開示手段と、第1の文書に付随した第1のコミュニケーション・ツールを作成する第1のコミュニケーション・ツール作成手段とを備える。第2のコミュニケーション・ツールは第1の端末と第2の端末以外の端末が利用可能であって、第1のコミュニケーション・ツールは第1の端末と第2の端末及び/又は少なくとも一方が承認した端末のみが利用可能である。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8