特許第5866476号(P5866476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ビービーエムの特許一覧 ▶ 株式会社美和テックの特許一覧 ▶ 株式会社カイモンの特許一覧

<>
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000002
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000003
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000004
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000005
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000006
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000007
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000008
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000009
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000010
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000011
  • 特許5866476-ポストスライド装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5866476
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月17日
(54)【発明の名称】ポストスライド装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/02 20060101AFI20160204BHJP
   E01D 19/04 20060101ALI20160204BHJP
【FI】
   E01D19/02
   E01D19/04 Z
   E01D19/04 101
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-160406(P2015-160406)
(22)【出願日】2015年8月17日
【審査請求日】2015年8月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503121088
【氏名又は名称】株式会社ビービーエム
(73)【特許権者】
【識別番号】391051256
【氏名又は名称】株式会社美和テック
(73)【特許権者】
【識別番号】503121077
【氏名又は名称】株式会社カイモン
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(72)【発明者】
【氏名】合田 裕一
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−171624(JP,A)
【文献】 特開平08−218322(JP,A)
【文献】 特開昭56−039212(JP,A)
【文献】 特開2015−030993(JP,A)
【文献】 特開2001−234977(JP,A)
【文献】 特開2006−089940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に一方向移動係合部が形成された一対の断面コ字形のガイド部材と、
前記ガイド部材の一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成された変位伝達部材と、
一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかに配置され一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかを橋軸方向に伸縮させる復元性のある弾性部材と、
両側端部が前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止されるガイドプレートの下部に前記変位伝達部材に橋桁の橋軸方向の変位を伝達するブロック部を形成し、前記ガイドプレートの上部に弾性ゴムと上部連結プレートを一体化した上部部材と、
前記上部部材が固定される上部構造と、
を備え、
前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することを特徴とするポストスライド装置。
【請求項2】
下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に復元性のある弾性部材により橋軸方向に伸縮可能な一方向移動係合部が形成された一対の断面L字形のガイド部材と、
前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止され、両側端部に前記一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成されたガイドプレートの上に弾性ゴム及び上部連結プレートを一体化した上部部材と、
前記上部部材が固定される上部構造と、
を備え、
前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することを特徴とするポストスライド装置。
【請求項3】
一方向移動係合部と一方方向変位伝達部による一方向移動を一方向ギヤ同士の噛合又は一方向の移動のみを許容するピンと凹部の係合とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のポストスライド装置。
【請求項4】
前記復元性のある弾性部材をスプリング又は弾性ゴムで形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポストスライド装置。
【請求項5】
前記ガイド部材の橋軸方向の両端部にストパー部材を配置することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポストスライド装置。
【請求項6】
前記弾性ゴムの厚みを最小厚に設計することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポストスライド装置。
【請求項7】
前記ポストスライド装置をスライド支承装置と併用することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポストスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁と橋脚との間に配置される橋桁の温度変化による収縮力による変形を自動的に吸収可能なポストスライド装置。
【背景技術】
【0002】
橋脚又は橋台等の下部構造と橋桁等の上部構造との間に、弾性ゴム等の弾性部材を用いた支承装置が設置される。弾性部材を配置した支承装置は、通常(中立時)に水平方向に関して無荷重状態時における直立状態であることが、慣性力に対して有効性を発揮する上で前提条件となっている。長大橋の場合、橋桁の温度変化による伸縮力が非常に大きくなるので、弾性部材この変形を吸収するためには非常に大きな弾性部材の厚さが必要となる。
【0003】
このような橋桁の温度変化による変形に対応するために、弾性支承装置の弾性部材に橋桁の収縮変形方向と逆方向のせん断変形(予備せん断変形)を与えて設置すれば弾性部材の厚みを薄くすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−297409号公報
【特許文献2】特開2012−26164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弾性支承装置の弾性部材の予備せん断変形工法では、一定期間弾性部材の予備せん断変形を保持する予備せん断変形保持装置を必要とし、一定期間経過後、その予備せん断変形保持装置を撤去する。しかしながら、狭い作業空間での予備せん断変形保持装置の撤去作業には多くの時間を要するという問題を有する。
【0006】
本発明は、従来技術の持つ課題を解決する、構造が簡単で、橋桁の温度変化による変形に自動的に追随し、弾性ゴムの厚みを最小厚に設定することができ、後作業を無くすことが可能なポストスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポストスライド装置は、前記課題を解決するために、下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に一方向移動係合部が形成された一対の断面コ字形のガイド部材と、前記ガイド部材の一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成された変位伝達部材と、一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかに配置され一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかを橋軸方向に伸縮させる復元性のある弾性部材と、両側端部が前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止されるガイドプレートの下部に前記変位伝達部材に橋桁の橋軸方向の変位を伝達するブロック部を形成し、前記ガイドプレートの上部に弾性ゴムと上部連結プレートを一体化した上部部材と、前記上部部材が固定される上部構造と、を備え、前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のポストスライド装置は、下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に復元性のある弾性部材により橋軸方向に伸縮可能な一方向移動係合部が形成された一対の断面L字形のガイド部材と、前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止され、両側端部に前記一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成されたガイドプレートの上に弾性ゴム及び上部連結プレートを一体化した上部部材と、前記上部部材が固定される上部構造と、を備え、前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のポストスライド装置は、一方向移動係合部と一方方向変位伝達部による一方向移動を一方向ギヤ同士の噛合又は一方向の移動のみを許容するピンと凹部の係合とすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のポストスライド装置は、前記復元性のある弾性部材をスプリング又は弾性ゴムで形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のポストスライド装置は、前記ガイド部材の橋軸方向の両端部にストパー部材を配置することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のポストスライド装置は、前記弾性ゴムの厚みを最小厚に設計することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のポストスライド装置は、前記ポストスライド装置をスライド支承装置と併用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に一方向移動係合部が形成された一対の断面コ字形のガイド部材と、前記ガイド部材の一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成された変位伝達部材と、一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかに配置され一方向移動係合部又は一方向変位伝達部のいずれかを橋軸方向に伸縮させる復元性のある弾性部材と、両側端部が前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止されるガイドプレートの下部に前記変位伝達部材に橋桁の橋軸方向の変位を伝達するブロック部を形成し、前記ガイドプレートの上部に弾性ゴムと上部連結プレートを一体化した上部部材と、前記上部部材が固定される上部構造と、を備え、前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することで、部品点数が少なく、狭い作業空間での組み立て設置作業が容易で、橋桁の長期的なコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変形に対して橋軸方向の一方向にのみ自動的に追随し中立状態を維持するので弾性ゴムの厚みを薄くすることができ、薄型の装置とすることができ、工期終了時の後作業を著しく減らすことが可能となる。
下部構造に固定されたベースプレートと、ベースプレートに固定され橋軸方向に伸びるガイド溝と上楊力阻止部と少なくとも一方に復元性のある弾性部材により橋軸方向に伸縮可能な一方向移動係合部が形成された一対の断面L字形のガイド部材と、前記ガイド部材のガイド溝に橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止され、両側端部に前記一方向移動係合部と係合する一方向変位伝達部が形成されたガイドプレートの上に弾性ゴム及び上部連結プレートを一体化した上部部材と、前記上部部材が固定される上部構造と、を備え、前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して自動的に下部構造に対して橋軸方向の一方向のみに上部部材が変位することで、部品点数が少なく、狭い作業空間での組み立て設置作業が容易で、橋桁の長期的なコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変形に対して橋軸方向の一方向にのみ自動的に追随し中立状態を維持するので弾性ゴムの厚みを薄くすることができ、薄型の装置とすることができ、工期終了時の後作業を著しく減らすことが可能となる。
一方向移動係合部と一方方向変位伝達部による一方向移動を一方向ギヤ同士の噛合又は一方向の移動のみを許容するピンと凹部の係合とすることで、上部構造の温度変化による収縮力の変位方向にのみ移動し逆方向に移動しないので長期的温度変化による変位を吸収することが可能となる。
復元性のある弾性部材をスプリング又は弾性ゴムで形成することで、入手が容易で安価であるため製品の低価格に貢献することが可能となる。
ガイド部材の橋軸方向の両端にストッパー部材を配置することで、上部構造の下部構造に対する設定された変位以上の移動を阻止することが可能となる。
弾性ゴムの厚みを最小厚に設計することで、ポストスライド装置の薄型化に貢献することが可能となる。
ポストスライド装置をスライド支承装置と併用することで、ポストスライド装置を機能分離型支承装置のバッファとして使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態を示す図である。
図2】本発明の実施形態を示す図である。
図3】本発明の実施形態を示す図である。
図4】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
図5】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
図6】(a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
図7】本発明の実施形態を示す図である。
図8】本発明の実施形態を示す図である。
図9】本発明の実施形態を示す図である。
図10】本発明の実施形態を示す図である。
図11】本発明の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、本発明のポストスライド装置の使用状態の一実施形態を示す図である。
【0017】
図1に示されるように、上部構造としてのコンクリート製の橋桁1と下部構造としての橋台又は橋脚2との間にスライド支承装置3が設置される。橋桁1のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変形に追随し、橋桁1の収縮力による変形方向にのみ橋台又は橋脚2に対して移動するポストスライド装置7を、橋桁1の側面と橋台又は橋脚2間に設置する。
【0018】
ポストスライド装置7は、橋台又は橋脚2にアンカー部材8で固定されるベースプレート9を備えている。ベースプレート9には、互いに橋軸方向に平行に伸びるガイド部材10が固定される。
【0019】
図3(a)(b)に示されるように、ガイド部材10は、ガイド溝10aの上部に上楊力阻止部として機能する上部突起10bと下部に一方向移動係合部10dが形成される下部突起10cが形成された断面コ字形の部材である。一方向移動係合部10dは一対のガイド部材10のいずれか一方に形成しても両方に形成しても良い。ガイド部材10の橋軸方向の両端には、ストッパー部材11を固定する。
【0020】
図4(a)(b)は、一対のガイド部材10、10間に配置される変位伝達部材12の一実施形態を示す図である。変位伝達部材12は、ガイド溝10aの橋軸直角方向間の距離とほぼ同じ幅の補強部12aと、補強部12aの下部に補強部12aの幅より小さく両側がガイド部材10に形成された一方向移動係合部10dと係合する一方向変位伝達部12bが形成された伝達部12cを備えている。ガイド部材10の一方にのみ一方向係合部10dが形成されている場合は、変位伝達部材12の一方の側にのみ一方向変位伝達部12bを形成し、他方の側は直線状に形成する。変位伝達部材12の橋軸方向の長さは、ガイド部材10の橋軸方向の長さより短い。この実施形態では、左右の補強部12aと伝達部12cの間に変位伝達部材12を橋軸直角方向に伸縮させる復元性のある弾性部材13が配置される。復元性のある弾性部材13としては、弾性ゴムやスプリング等である。
【0021】
図5(a)(b)は、橋桁1にアンカー部材15で固定される上部部材14の一実施形態を示す図である。上部部材14は、ガイド部材12のガイド溝10aと係合するガイドプレート14aを備えている。ガイドプレート14aの橋軸直角方向の長さは、ガイド溝
10aの橋軸直角方向間の距離とほぼ同じとする。ガイドプレート14aの厚みと変位伝達部材12の厚みの和は、ベースプレート9の表面からガイド部材10の上部突起10bの下面間の高さとほぼ同じとし、ガイドプレート14aの上面がガイド部材10の上部突起10bの下面と密着し、上楊力が阻止される。
【0022】
ガイドプレート14aの下面には、変位伝達部材12に橋桁1の橋軸方向の変位を伝達するブロック部14bが固定される。ガイドプレート14aの上部に弾性ゴム14cと上部連結プレート14dを加硫成形により一体化する。
【0023】
図2は、橋台又は橋脚2に固定されたベースレート9上の一対のガイド部材10に、変位伝達部材12と上部部材14を組み込んだ状態を示す図である。
【0024】
図6は、図2のA−A線の切断面図である。この実施形態では、ガイド部材10に形成される一方向移動係合部10dと、変位伝達部材12に形成される一方向変位伝達部12bを一方向ギヤの噛合としている。
【0025】
橋桁1の温度変化による変位は、上部部材14のブロック部14bを介して変位伝達部材12に伝達され、橋桁1の温度変化の収縮力による変位方向にのみ橋台又は橋桁2に対して移動し、橋桁1のコンクリートの乾燥収縮と温度変化の膨張力による変位方向の移動は阻止される。また、ガイド部材10の橋軸方向の両端にはストッパー部材11が固定されており、変位伝達部材12のガイド部材10に沿った移動が制限される。図6に示される実施形態では、一対のガイド部材10の両方に一方向移動移動係合部10dを形成しているが、いずれか一方にのみ一方向移動移動係合部10dを形成し、変位伝達部材12の一方の側にのみ一方向変位伝達部12bを形成しても良い。
【0026】
図7は、ガイド部材10に形成された一方向移動係合部10dと変位伝達部材12の一方向変位伝達部12b間で橋軸直角方向に伸縮するための復元性のある弾性部材13をガイド部材10側に配置した実施形態を示す図である。図7に示される実施形態では、一対のガイド部材10の両方に一方向移動移動係合部10dを形成しているが、いずれか一方にのみ一方向移動移動係合部10dを形成し、変位伝達部材12の一方の側にのみ一方向変位伝達部12bを形成しても良い。
【0027】
図8は、ガイド部材10に形成される一方向移動係合部10dを先端が一方向に傾斜したピンとして、変位伝達部材12に形成される一方向変位伝達部12bをピンと係合する凹部とした実施形態を示す図である。
【0028】
ガイド部材10に形成される一方向移動係合部10dと変位伝達部材12に形成される一方向変位伝達部12bを上下に係合する形式にしても良いが、復元性のある弾性部材13を上下方向に配置する必要があり、ポストスライド装置7の高さが高くなるので、一方向係合部10dと一方向変位伝達部12bの係合は横方向の係合が望ましい。
【0029】
図9図10図11は、本発明のポストスライド装置7の他の実施形態を示す図である。この実施形態では、変位伝達部材12を省略し、上部部材14のガイドプレート14aの橋軸直角方向の両側に一方向変位伝達部14eを形成する。ベースプレート9に固定されるガイド部材10を断面L字形とし、ガイド部材10のガイド溝10aに復元性のある弾性部材13と一方向移動係合部10dを配置する。他の構成は、前述の実施形態と同様であるので省略する。 図9図10図11に示される実施形態では、一対のガイド部材10の両方に一方向移動移動係合部10dを形成しているが、いずれか一方にのみ一方向移動移動係合部10dを形成し、ガイドプレート14aの橋軸直角方向の一方の側にのみ一方向変位伝達部14eを形成しても良い。
【0030】
次に、ポストスライド装置7の作用について説明する。ポストスライド装置7は、橋桁1の側面と橋台又は橋脚2間に配置される。橋桁1のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変形に対しては、橋桁1が高温度により膨張した場合は、ガイド部材10の一方向移動係合部10dと変位伝達部材12又はガイドプレート14aの一方向変位伝達部12b又は14eの係合は、橋桁1の収縮力方向にのみ移動可能で逆方向の移動は阻止されているので弾性ゴム14cが変形して吸収する。
【0031】
橋桁1の低温による収縮力による変位に対しては、変位伝達部材12又はガイドプレート14aの一方向変位伝達部12b又は14eとガイド部材12の一方向移動係合部10dの係合を介して、上部部材14が橋台又は橋脚2に対して移動する。そのため、上部部材14は中立状態が保持されるので弾性ゴム14cを薄く設定することができる。
【0032】
ポストスライド装置7は、橋台又は橋脚2に固定されたガイド部材10に上楊力止めされ、上下、左右方向に隙間なく嵌合しているので移動の際のがたつきがなく正確に橋軸方向に移動する。工期終了時の後作業を著しく少なくすることができる。
【0033】
以上のように、本発明のポストスライド装置7によれば、部品点数が少なく、狭い作業空間での組み立て設置作業が容易で、橋桁の長期的な温度変化による変形に対して橋軸方向の一方向にのみ自動的に追随し中立状態を維持するので弾性ゴムの厚みを薄くすることができ、薄型の装置とすることができ、工期終了時の後作業を著しく減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1:橋桁、2:橋台又は橋脚、3:スライド支承装置、7:ポストスライド装置、8:アンカー部材、9:ベースプレート、10:ガイド部材、10a:ガイド溝、10b:上部突起、10c:下部突起、10d:一方向移動係合部、11:ストッパー部材、12:変位伝達部材、12a:補強部、12b:一方向変位伝達部、12c:伝達部、13:復元性のある弾性部材、14:上部部材、14a:ガイドプレート、14b:ブロック部、14c:弾性ゴム、14d:上部連結プレート、14e:一方向変位伝達部,15:アンカー部材
【要約】      (修正有)
【課題】構造が簡単で、橋桁の温度変化による変形に自動的に追随し、弾性ゴムの厚みを最小厚に設定することができ、後作業を無くすことが可能なポストスライド装置の提供。
【解決手段】上部構造又は下部構造に固定されたベースプレート9と、一方向移動係合部が形成された一対の断面コ字形のガイド部材10と、前記一方向移動係合部と係合する変位伝達部材12と、前記一方向移動係合部又は前記一方向変位伝達部のいずれかを橋軸方向に伸縮させる弾性部材13と、橋軸方向に摺動可能に係合し上楊力が阻止されるガイドプレートの下部に変位伝達部材12に橋桁の橋軸方向の変位を伝達するブロック部を形成し、前記ガイドプレートの上部に弾性ゴムと上部連結プレートを一体化した上部部材と、前記上部部材が固定される上部構造とを備え、前記上部構造のコンクリートの乾燥収縮と温度変化による変位に対して橋軸方向の一方向のみに前記上部部材が変位する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11