【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Proceedings of the American Association for Cancer Research Annual Meeting,2010年 4月,Abstract 4720,<http://cancerres.aacrjournals.org/content/70/8_Supplement/4720.short>
【文献】
遺伝子不安定性の機能解析及び遺伝子変異推測モデルの構築による乳癌卵巣癌ハイリスクキャリアーの同定と発,2010年 5月,p.1-38
【文献】
Cytogenetic and Genome Research,2008年,Vol.123, No.1-4,p.183-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の乳がん発症感受性の判定方法としては、上記[A群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上のDNAコピー数多型を検出する方法や、上記[B群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上のDNAコピー数の減少、及び/又は上記[C群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上のDNAコピー数の増加を検出する方法(但し、医師による診断行為を除く。)であれば特に制限されず、また、本発明の乳がん発症感受性の判定用キットとしては、上記[A群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上のDNAコピー数多型を検出するための、プライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えるキットや、上記[B群]及び/又は[C群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上のDNAコピー数多型を検出するための、プライマーセット若しくはプローブ、又はそれらの標識物を備えるキットであれば特に制限されず、ここで「DNAコピー数多型」とは、1細胞あたりのゲノムDNAコピー数が、染色体の特定の領域で2コピーよりコピー数が増加又は減少している状態のことをいい、「DNAコピー数多型を検出する」とは、DNAコピー数の増減の程度及びDNAコピー数多型の頻度を検出することをいい、「DNAコピー数多型」の中には「遺伝子コピー数多型」も含まれる。
【0017】
上記[A群]、[B群]及び[C群]におけるヒト染色体領域は、「NCBI;March 2006 human reference sequence(Build 36.1)」のヒト染色体位置情報に基づいており、バージョンの更新等によりかかるヒト染色体位置情報に変更があった場合には、対応する染色体領域を適宜選択することができる。
【0018】
上記[A群]におけるヒト染色体領域から1つの領域のDNAコピー数多型を検出することで乳がん発症感受性を判定することもできるが、判定の精度を高めるために、2つ以上の領域、好ましくは3つ以上の領域、より好ましくは5つ以上の領域のDNAコピー数多型を検出することもでき、これらのように複数の領域のDNAコピー数多型を検出する場合、ハイスループットで検出できるため、マイクロアレイ法を用いることが好ましい。また、DNAコピー数多型のコピー数の増減をより正確に検出するために、[A群]におけるヒト染色体領域から選ばれる特定の領域又はその近傍の領域である、[B群]や[C群]におけるヒト染色体領域を判定対象とすることが好ましい。[A群]におけるヒト染色体領域とその近傍の領域との差は、10kb(キロ塩基長)以内が好ましく、より好ましくは5kb以内、特に2kb以内を好適に例示することができる。
【0019】
上記DNAコピー数多型を検出する方法としては、ヒト血液又はヒト組織を検出試料として用い、例えばマイクロアレイ法、定量PCR(Polymerase Chain Reaction)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法、FISH(Fluorescence in situ hybridization)法、SMAP(Smart Amplification Process)法等により検出する方法を挙げることができるが、ハイスループットで検出する場合、マイクロアレイ法が好ましく、DNAコピー数多型の増減を高精度に検出する場合、定量PCR法が好ましい。
【0020】
上記マイクロアレイ法に用いられるマイクロアレイ(マイクロチップ)は、ヒト染色体断片からなるプローブが支持体上の定められた領域に固定されているマイクロアレイ(マイクロチップ)であり、マイクロアレイ(マイクロチップ)の支持体としては、ハイブリダイゼーションに使用可能なものであればよく、例えばガラス、シリコン、プラスチックなどの基板や、ニトロセルロース膜、ナイロン膜等を好適に用いることができる。かかるマイクロアレイ(マイクロチップ)は、当業者に公知の任意の方法で製造することができるが、市販品を用いることもできる。例えば、Roche社製の2.1M Array(登録商標)、Macrogen社製のMAC Array(登録商標)、SPECTRAL GENOMICS社製のSpectralChip(登録商標)等の市販品を挙げることができ、これらの中でもRoche社の2.1M Arrayを好適に例示することができる。
【0021】
上記ハイブリダイゼーションとしては、例えばCy−3、Cy−5等の蛍光物質であらかじめ標識した染色体DNAと、マイクロアレイ(マイクロチップ)表面上に固定されたプローブとが、ハイブリダイゼーションできればよく、ハイブリダイゼーションの条件は、モレキュラー・クローニング ア・ラボラトリーマニュアル(Molecular cloning A laboratory manual)、第2版、第9.52−9.55頁(1989)等から適宜選択することができる。
【0022】
上記定量PCR法としては、例えば競合的PCR法、リアルタイムPCR法等を挙げることができるが、汎用性に優れているため、リアルタイムPCR法が好ましい。リアルタイムPCR法における増幅されるDNAを検出する方法としては、蛍光色素を結合させたプローブ(TaqManプローブ)を用いたTaqMan法(特許第2825976号)や、SYBR(登録商標)Green Iなどのインターカレーターを用いたインターカレーター法等を挙げることができるが、プライマーによる特異性にプローブによる特異性が加わり特異性がより高いため、TaqMan法が好ましい。リアルタイムPCR法は、通常のサーマルサイクラー及び分光蛍光光度計が一体化されたリアルタイムPCR専用装置を用いて実施することができる。
【0023】
本発明の乳がん発症感受性の判定方法において、DNAコピー数を定量PCR法によって検出するために用いるプライマーセットとしては、検出する染色体領域を増幅できるプライマーセットであれば、プライマー配列の長さ、ヒト染色体領域とアニーリングする部位等は、DNAの増幅効率や特異性を考慮して適宜選択することができる。上記[B群]及び[C群]における染色体領域を検出するために、例えば、Applied Biosystems社製のプライマーセットを、Applied Biosystems社のホームページ(http://www5.appliedbiosystems.com/tools/cnv/)等から製品番号を検索し、注文することにより入手することができ、「1p36.12 (21,375,430−21,375,511)(配列番号1)」を検出するプライマーセットとして「Hs06535529_cn」を、「3q26.1 (163,706,172−163,706,287)(配列番号2)」を検出するプライマーセットとして「Hs03103056_cn」を、「15q26.3 (99,845,920−99,846,025)(配列番号3)」を検出するプライマーセットとして「Hs03899300_cn」を、「15q26.3 (99,847,947−99,848,043)(配列番号4)」を検出するプライマーセットとして「Hs03908783_cn」を、「15q26.3 (99,848,547−99,848,623)(配列番号5)」を検出するプライマーセットとして「Hs03898338_cn」を、「22q12.3 (35,473,730−35,473,804)(配列番号6)」を検出するプライマーセットとして「Hs04093415_cn」を、「22q12.3 (35,475,937−35,476,043)(配列番号7)」を検出するプライマーセットとして「Hs04090898_cn」を、具体的に挙げることができる。
【0024】
上記LAMP法としては、特定の遺伝子領域を増幅するための複数のプライマー、鋳型DNA、鎖置換型DNA合成酵素、dNTP等を混合し、一定温度(65℃付近)で一定時間反応させ、反応液の濁度により増幅を検出する方法を挙げることができる。
【0025】
上記FISH法としては、染色体標本の標的とするゲノム領域に、ハイブリダイズ可能なDNA配列を有するプローブをFITC(Fluorescein isothiocyanate)、TRITC(Tetramethyl rhodamin isothiocyanate)、CyDye(登録商標)などの蛍光物質で標識したプローブDNAと、染色体領域とをハイブリダイゼーションさせ、それにより得られる蛍光シグナルの数量を蛍光顕微鏡下で計数する手法を挙げることができる。また、標的とする対象領域と同一染色体上に存在するDNAに対しては、プローブを異なる蛍光で標識し、同時にハイブリダイゼーションを行うと、コピー数異常をより正確に評価することが可能となる。
【0026】
上記SMAP法としては、特定の遺伝子領域を増幅するための複数のプライマー、鋳型DNA、鎖置換型DNA合成酵素、dNTP等を混合し、一定温度(60℃付近)で一定時間反応させ、反応液の蛍光強度により増幅を検出する方法を挙げることができる。
【0027】
乳がん発症感受性の判定方法の精度を高めるために、上記[B群]及び/又は[C群]から2つ以上の領域を選択し、判別分析を行うことが好ましく、費用対効果や作業効率を考慮した場合、2つの領域を選択して判別分析を行うことが好ましく、選択する2つの領域の組合せとしては、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)との組合せや、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)との組合せや、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せや、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)との組合せや、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)との組合せや、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せや、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)と、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)との組合せや、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)と、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)との組合せや、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せや、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)と、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)との組合せや、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)と、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)との組合せや、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せや、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)との組合せや、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)との組合せや、配列番号1で示される塩基配列からなる、1p36.12 (21,375,430−21,375,511)と、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)との組合せや、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)との組合せや、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)との組合せや、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,847,947−99,848,043)と、配列番号5で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,848,547−99,848,623)との組合せや、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)と、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)との組合せや、配列番号2で示される塩基配列からなる、3q26.1 (163,706,172−163,706,287)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せや、配列番号6で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,473,730−35,473,804)と、配列番号7で示される塩基配列からなる、22q12.3 (35,475,937−35,476,043)との組合せを挙げることができ、これらの中でも、配列番号3で示される塩基配列からなる、15q26.3 (99,845,920−99,846,025)と、配列番号4で示される塩基配列からなる、15q26.3 [99,847,947−99,848,043]との組合せが好ましい。
【0028】
上記判別分析としては、あらかじめどのサンプル(検出試料)がどの群(健常者群又は乳がん患者群)に属すのかというデータをもとに、どの群に属すのかわからないサンプルがどの群に属すのかを判別する関数(判別関数)を求める手法であれば制限されず、判別関数のうち、線形判別関数として、例えば超平面・直線による判別関数等を挙げることができ、非線形判別関数として、例えば超曲面・曲線によるマハラノビス氾距離による判別関数等を挙げることができる。
【0029】
上記[A群]に含まれる、以下の[A−1群]におけるヒト染色体領域から、少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の増加が有意に認められた場合、あるいは、上記[A群]に含まれる、以下の[A−2群]におけるヒト染色体領域から、少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の減少が有意に認められた場合、判定対象の乳がん発症感受性(乳がん発症リスク)が高いと判定することができる。
[A−1群]
1q44 (246,855,947−246,857,101)
1q44 (246,857,101−246,858,266)
22q12.3 (35,474,202−35,477,701)
[A−2群]
2p16.3 (52,603,488−52,605,502)
2p16.3 (52,605,502−52,606,645)
2p16.3 (52,606,645−52,625,528)
2p16.3 (52,625,528−52,634,972)
2p16.3 (52,636,079−52,636,901)
3q26.1 (163,698,399−163,714,957)
3q26.1 (163,714,957−163,716,880)
3q26.1 (163,716,880−163,718,292)
6p25.3 (256,364−307,220)
6p25.3 (307,220−324,877)
7p13 (43,968,813−43,969,989)
7p13 (43,969,989−43,973,917)
7p13 (44,033,292−44,046,944)
7p13 (44,965,401−44,966,288)
8p11.23−p11.22 (39,351,598−39,352,968)
8p11.23−p11.22 (39,352,968−39,505,316)
8p11.23−p11.22 (39,505,316−39,506,703)
15q25.2 (80,700,012−80,703,055)
15q25.2 (80,703,055−80,704,239)
16p13.3 (1,374,245−1,386,928)
16p13.3 (1,409,635−1,451,145)
16p13.3 (2,530,856−2,531,917)
16p13.3 (4,688,278−4,689,410)
17p11.2 (18,864,114−18,866,684)
17q12 (33,593,624−33,606,100)
22q11.21 (18,698,449−18,701,734)
22q11.21 (18,708,863−18,718,104)
22q11.21 (18,744,485−18,751,648)
22q11.21 (18,751,648−18,757,015)
22q11.21 (18,763,247−18,764,375)
22q11.21 (18,764,375−18,766,608)
22q11.21 (18,766,608−18,767,909)
22q11.21 (18,767,909−18,803,304)
22q11.21 (18,851,650−18,854,853)
22q11.21 (18,861,035−18,862,757)
22q11.21 (20,129,733−20,132,553)
22q11.21 (20,139,367−20,140,478)
22q11.21 (20,142,316−20,143,929)
22q11.21 (20,157,427−20,158,507)
22q11.21 (20,158,507−20,163,759)
22q11.21 (20,163,759−20,166,938)
22q11.21 (20,166,938−20,189,915)
22q11.21 (20,189,915−20,194,583)
22q11.21 (20,194,583−20,198,780)
22q11.21 (20,198,780−20,206,030)
22q11.21 (20,206,030−20,233,462)
22q11.21 (20,233,462−20,239,367)
22q11.21 (20,239,367−20,243,220)
22q11.21 (20,243,220−20,244,301)
Xq26.3 (134,686,768−134,710,721)
Xq26.3 (134,715,826−134,718,277)
【0030】
また、上記[A群]に含まれる、以下の[A−3群]におけるヒト染色体領域から、少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の増加が有意に認められた場合、あるいは、上記[A群]に含まれる、以下の[A−4群]におけるヒト染色体領域から、少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の減少が有意に認められた場合、判定対象の乳がん発症感受性(乳がん発症リスク)が低いと判定することができる。
[A−3群]
2p16.3 (52,603,488−52,605,502)
2p16.3 (52,605,502−52,606,645)
2p16.3 (52,606,645−52,611,965)
2p16.3 (52,611,965−52,620,153)
2p16.3 (52,620,153−52,622,543)
2p16.3 (52,622,543−52,636,901)
2p16.3 (52,636,901−52,638,223)
2q24.3 (165,544,576−165,563,420)
3q26.1 (163,701,862−163,705,223)
7q31.1 (109,240,145−109,241,260)
9p11.2 (43,752,248−43,754,446)
9q12−q13 (69,950,626−70,000,416)
9q12−q13 (70,000,416−70,026,246)
15q11.2 (19,054,967−19,055,863)
15q11.2 (20,081,406−20,091,581)
15q11.2 (20,091,581−20,146,200)
22q11.1 (14,529,177−14,551,306)
[A−4群]
1p36.12 (21,373,559−21,374,437)
1p36.12 (21,374,437−21,376,929)
1p36.12 (21,376,929−21,378,068)
8p23.1 (7,331,151−7,366,894)
8p23.1 (7,384,482−7,385,717)
8p23.1 (7,385,717−7,675,644)
8p23.1 (7,675,644−7,677,003)
8p23.1 (7,729,310−7,756,222)
8p23.1 (7,766,308−7,785,964)
8p23.1 (7,789,316−7,796,881)
8p23.1 (7,796,881−7,804,843)
8p23.1 (7,804,843−7,812,725)
10p12.31 (22,644,992−22,646,132)
10p12.31 (22,646,132−22,647,050)
10p12.31 (22,648,356−22,654,917)
10p12.31 (22,654,917−22,656,057)
10q21.3 (66,977,059−66,982,379)
11q13.1 (64,298,883−64,299,791)
11q13.1 (64,299,791−64,300,705)
11q13.1 (64,300,705−64,303,775)
11q13.1 (64,303,775−64,305,075)
11q13.1 (64,305,075−64,309,752)
11q13.1 (64,309,752−64,310,507)
15q26.3 (99,847,229−99,848,361)
15q26.3 (99,848,361−99,851,910)
16p12.1 (22,587,790−22,590,317)
16p12.1 (22,602,200−22,605,904)
16p12.1 (22,605,904−22,610,525)
16p12.1 (22,612,746−22,614,711)
17q21.31 (39,786,143−39,789,781)
17q21.31 (39,789,781−39,791,475)
19q13.33 (55,769,626−55,774,306)
19q13.42 (60,579,276−60,581,130)
19q13.42 (60,581,130−60,582,666)
19q13.42 (60,582,666−60,588,237)
19q13.42 (60,588,237−60,589,160)
19q13.42 (60,589,160−60,589,969)
19q13.42 (60,597,122−60,598,638)
19q13.42 (60,598,638−60,599,772)
19q13.42 (60,599,772−60,601,009)
22q12.3 (35,472,904−35,474,202)
【0031】
また、上記[B群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の減少が有意に認められた場合、あるいは、上記[C群]におけるヒト染色体領域から少なくとも1つ以上選択して、判定対象と対照となる健常者や乳がん患者のDNAコピー数多型をそれぞれ検出し、両DNAコピー数を比較して、判定対象にDNAコピー数の増加が有意に認められた場合、判定対象の乳がん発症感受性(乳がん発症リスク)が高いと判定することができる。なお、本発明における、乳がん発症感受性を判定するためのデータを収集する方法や乳がん治療の予後を予測するためのデータを収集する方法には、判定対象と対照となる健常者のDNAコピー数多型の検出結果をデータとして収集する工程が含まれる。
【0032】
本発明の乳がん発症感受性の判定用キットにおけるプライマーセットとしては、[A群]におけるヒト染色体領域の上流及び下流の配列の一部とアニーリングしうる相補的なプライマーセットであれば、プライマー配列の長さ、該ヒト染色体領域とアニーリングする部位、増幅するDNAの長さ等は、DNAの増幅効率や特異性を考慮して適宜選択することができる。上記プライマーセットがアニーリングする染色体領域としては、[A群]におけるヒト染色体領域から選ばれる特定の領域又はその近傍の領域である、[B群]や[C群]におけるヒト染色体領域を判定対象とすることが好ましい。
【0033】
本発明の乳がん発症感受性の判定用キットにおけるプローブとしては、[A群]におけるヒト染色体領域の全部又は一部がハイブリダイゼーションするプローブであればよい。上記プローブがハイブリダイゼーションする染色体領域としては、[A群]におけるヒト染色体領域から選ばれる特定の領域やその近傍の領域である、[B群]や[C群]を判定対象とすることが好ましい。上記プローブの標識としては、例えばビオチン、蛍光、
32P等を挙げることができる。
【0034】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
1.マイクロアレイによる乳がん発症感受性に関わるDNAコピー数多型領域の同定
1−1 材料
〔1〕30名の健常女性末梢血より抽出したDNA30検体(健常者群)
〔2〕30名の孤発性乳がん患者末梢血より抽出したDNA30検体(乳がん患者群)
〔3〕30名の健常女性末梢血より抽出したDNAを1本のチューブにまとめたプールDNA(リファレンスDNA)
【0036】
1−2 方法
1−2−1 DNAの蛍光標識(Nimblegen Dual-Color DNA Labeling Kit[Roche社]を製品プルトコルに準拠し使用)
あらかじめ、Cy3-Random Nonamer及びCy5-Random Nonamer中に、それぞれRandom Primer Buffer998.25μl並びにβメルカプトエタノール1.75μlを入れて希釈する。
【0037】
(1)テストDNAの標識
〔1〕2本の0.5mlチューブを用意し、各チューブ内に以下を入れる。
テストDNA1μg(乳がん患者あるいは健常女性末梢血由来DNA)
希釈済みCy-3-Random Nonamers 40μl
Nuclease-free水を加えて全量80μlとする。
〔2〕98℃10分インキュベーション後、氷上で2分インキュベーションする。
〔3〕各チューブに以下の試薬類を加える。
10mM dNTP Mix 10μl
Nuclease-free水 8μl
50U/μl Klenow Fragment 2μl
〔4〕37℃で一晩インキュベーション。
〔5〕各チューブにStop Solution(0.5M EDTA)10μlを加える。
〔6〕各チューブに5M NaCl11.5μlを加える。
〔7〕各チューブにイソプロパノール110μlを加える。
〔8〕2本のチューブ内容物を1本の1.5mlチューブ内にまとめる。
〔9〕よく混ぜた後、室温で10分間インキュベーション。
〔10〕12,000gで10分間遠心後、上澄みをピペットで吸って除去する。
〔11〕各チューブに冷やした80%エタノール500μlを加えて、12,000gで2分間遠心後、上澄みをピペットで吸って除去する。
〔12〕遮光下で自然乾燥させDNAをペレット化する。
〔13〕−20℃で保存。
【0038】
(2)リファレンスDNAの標識
〔1〕2本の0.5mlチューブを用意し、各チューブ内に以下を入れる。
リファレンスDNA1μg(30名の健常女性末梢血由来プールDNA)
希釈済みCy-5-Random Nonamers40μl
Nuclease-free水を加えて全量80μlとする。
〔2〕98℃10分インキュベーション後、氷上で2分インキュベーション。
〔3〕各チューブに以下の試薬を加える。
10mM dNTP Mix 10μl
Nuclease-free水 8μl
50U/μl Klenow Fragment 2μl
〔4〕37℃で一晩インキュベーション。
〔5〕各チューブにStop Solution(0.5M EDTA)10μlを加える。
〔6〕各チューブに5M NaCl11.5μlを加える。
〔7〕各チューブにイソプロパノール110μlを加える。
〔8〕2本のチューブ内容物を1本の1.5mlチューブ内にまとめる。
〔9〕よく混ぜた後、室温で10分間インキュベーション。
〔10〕12,000gで10分間遠心後、上澄みをピペットで吸って除去する。
〔11〕各チューブに冷やした80%エタノール500μlを加えて、12,000gで2分間遠心後、上澄みをピペットで吸って除去する。
〔12〕遮光下で自然乾燥させDNAをペレット化する。
〔13〕−20℃で保存。
【0039】
1−2−2 ハイブリダイゼーション
〔1〕各ペレットに20μlの精製水を加えて20分間静置後、ボルテックスをかける。
〔2〕DNA濃度を測定する。
〔3〕以下を0.5mlチューブ内に入れる。
蛍光標識されたテストDNA 34μg
蛍光標識されたリファレンスDNA 34μg
精製水を加えて全量を12.3μlとする。
〔4〕NimbleGen Hybridization Kit(Roche社製)の以下の試薬を0.5mlチューブ内に入れる。
2X Hybridization Buffer 29.5μl
Hybridization Component A 11.8μl
Alignment Oligo 1.2μl
〔5〕〔3〕の溶液中に、〔4〕の溶液31.7μlを加える。
〔6〕95℃5分インキュベーションの後、42℃で5分以上インキュベーションする。
〔7〕2.1M array(Roche社製)にNimblegen HX1 Mixer(Roche社製)をセットし、42℃のヒートブロック上に静置。
〔8〕〔5〕の溶液41μlを2.1M arrayに注入する。
〔9〕Nimblegen hybridization system(Roche社製)に2.1M arrayスライドをセットし、72時間ハイブリダイゼーションを行う。
【0040】
1−2−3 洗浄(NimbleGen Wash Buffer Kit及びNimbleGen Array Processing Accessories(Roche社製)を使用)
〔1〕洗浄液1、2及び3を作製する。
1)洗浄液1(2セット)
水(VWR社製) 225ml
10X Wash Buffer I 25ml
1M DTT 25μl
2)洗浄液2(1セット)
水(VWR社製)225ml
10X Wash Buffer II 25ml
1M DTT 25μl
3)洗浄液3(1セット)
水(VWR社製) 225ml
10X Wash Buffer III 25ml
1M DTT 25μl
〔2〕40℃に温めた洗浄液1に2.1M arrayを浸し、Nimblegen HX1 Mixerを取り除く。
〔3〕2.1M arrayを洗浄液1中で10〜15秒間揺らして、hybridization bufferを除去する。
〔4〕2.1M arrayを洗浄液1(室温)中で2分間しっかり揺らして洗浄する。
〔5〕2.1M arrayを洗浄液2(室温)中で1分間しっかり揺らして洗浄する。
〔6〕2.1M arrayを洗浄液3(室温)中で15秒間しっかり揺らして洗浄する。
〔7〕遠心器にてスライドを乾燥させる。
【0041】
1−2−4 アレイスライドのスキャニング及びデータ解析
〔1〕マイクロアレイスキャナGenePix 4000B(Axon instruments社製)に2.1M arrayをセットしアレイの蛍光スキャニングを行う。
〔2〕取得した蛍光画像ファイルをNimbleScan v2.5ソフトウェア(Roche社製)にて解析を行い、2.1M arrayにおける各プローブの蛍光強度情報を得る。
〔3〕Nexus copy numberソフトウェア(version5、BioDiscovery社製)にて健常者及び乳がん患者におけるコピー数多型領域を比較し、乳がん発症に関わるCNP領域を同定する。
【実施例2】
【0042】
2.定量PCRによる検証試験
マイクロアレイで得られたデータを基に、定量PCRにて1p36.12、3q26.1,15q26.3及び22q12.3領域のCNPを評価した。なお、コントロールとして、14番染色体のリボヌクレアーゼP(RNase P)(配列番号8)遺伝子領域のコピー数を定量した。
【0043】
2−1 材料
〔1〕:健常女性末梢血より抽出したDNA216検体(健常者群)
〔2〕:乳がん患者(女性)末梢血より抽出したDNA193検体(乳がん患者群)
〔3〕:1−1〔3〕の30名の健常女性末梢血由来プールDNA(リファレンスDNA)
【0044】
2−2 方法
〔1〕以下の試薬類を加える。
5ng/μl DNA 2μl
TaqMan Genotyping Master Mix(Applied Biopsystems社製) 5μl
TaqMan Copy Number Assayプローブ・プライマーセット(Applied Biopsystems社製) 0.5μl
TaqMan Copy Number Reference Assay RNase P(Applied Biopsystems社製) 0.5μl
精製水 2μl
【0045】
PCRプライマー及びプローブはApplied Biosystems社のホームページ(http://www5.appliedbiosystems.com/tools/cnv/)からプレデザイン製品を検索し、使用した。用いたTaqMan Copy Number Assayプローブ・プライマーセットは以下の表1、
図1、
図2、
図3及び
図4に示す(Applied biosystems社ホームページ〔http://www5.appliedbiosystems.com/tools/cnv/〕参照)。なお、定量PCRにより増幅した染色体領域の塩基配列は、以下の「〔3〕定量PCR解析及びPCR増幅産物の塩基配列の同定」の項目で示す方法により同定した(表1、「PCR増幅領域の塩基配列」参照)。同定した塩基配列を基に、定量PCRにより増幅した染色体領域を、NCBI;March 2006 human reference sequence(Build 36.1)をベースとした位置情報として示した(表1、「染色体領域」参照)。
【0046】
【表1】
【0047】
〔2〕定量PCR
7900HT FastリアルタイムPCRシステム(Applied Biopsystems社製)を用いて以下の表2に示すPCR反応を行った。
【0048】
【表2】
【0049】
〔3〕定量PCR解析及びPCR増幅産物の塩基配列の同定
CopyCallerソフトウェア(Applied Biopsystems社製)にてTaqMan Copy Number Assayプローブ・プライマーセットのコピー数を解析した。リファレンスDNA(RNaseP、配列番号8)における当該TaqMan Copy Number Assayプローブ・プライマーセットのコピー数を2と仮設定し、テストサンプルにおける相対的コピー数を算出した。定量PCRにより増幅したPCR産物の塩基配列を同定するために、PCR産物をpGEM(登録商標)−T Easy vector(プロメガ社製)へクローニングした後、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列検出用サンプルを調製し、DNAシークエンサー(Applied Biosystems社製)にてPCR産物の塩基配列を決定した。
【実施例3】
【0050】
3.結果
3−1 マイクロアレイ結果
乳がん患者群と健常者群において、〔1〕いずれかの群におけるコピー数変化の頻度が25%以上であり〔2〕両群間のコピー数変化頻度に統計学的有意差があった(Fisher検定でP値が0.05未満)CNP領域を以下の表3〜6に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
表中の「オッズ比」とは、要因(DNAコピー数多型)と結果(乳がん)との関連を示す指標であり、オッズ比は0〜無限大に分布する。オッズ比が1より小さい場合、DNAコピー数多型を有する者を乳がん発症感受性が低いと判定することができ、オッズ比が1より大きい場合、DNAコピー数多型を有する者を乳がん発症感受性が高いと判定することができる。表3中の一番上のデータを例に示すと、染色体座位1q44の246,855,947−246,857,101領域(1,154塩基長)のコピー数増加の頻度が健常者群では30例中8人(26.7%)、乳がん患者群では30人中17人(56.7%)であり、乳がん患者において当該領域コピー数増加が有意に高頻度に認められた(P=0.035、オッズ比3.6)。このように、個々のCNPの中に乳がん発症体質を予測できる領域が存在することが明らかとなった。
【0056】
3−2 定量PCR結果
(1)定量PCR法
マイクロアレイ法より同定した表3〜6に示した染色体領域や、その近傍の領域を用いて、上記「2−2 方法」の項目で示した方法で定量PCR法を行った。具体的に用いた領域は、「1p36.12 21,375,430−21,375,511」、「3q26.1 163,706,172−163,706,287」、「15q26.3 99,845,920−99,846,025」、「15q26.3 99,847,947−99,848,043」、「15q26.3 99,848,547−99,848,623」、「22q12.3 35,473,730−35,473,804」、及び「22q12.3 35,475,937−35,476,043」の、計7領域である。
【0057】
〔1〕
図5及び表7(Hs06535529_cn):プライマーセット(Hs06535529_cn)で増幅される染色体領域(1p36.12 [21,375,430−21,375,511])の0.5未満のDNAコピー数は、健常者群では216例中36例(16.7%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中107例(55.4%)と、乳がん患者群において0.5未満のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P<0.0001、オッズ比6.2、Fisher検定)。
【0058】
〔2〕
図6及び表7(Hs03103056_cn):プライマーセット(Hs03103056_cn)で増幅される染色体領域(3q26.1 [163,706,172−163,706,287])の3.5以上のDNAコピー数は、健常者群では216例中22例(10.2%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中76例(39.4%)と、乳がん患者群において3.5以上のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P<0.0001、オッズ比5.7、Fisher検定)。
【0059】
〔3〕
図7及び表7(Hs03899300_cn):プライマーセット(Hs03899300_cn)で増幅される染色体領域(15q26.3 [99,845,920−99,846,025])の1.5未満のDNAコピー数は、健常者群では216例中56例(25.9%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中148例(76.7%)と、乳がん患者群において1.5未満のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P<0.0001、オッズ比9.4、Fisher検定)。
【0060】
〔4〕
図8及び表7(Hs03908783_cn):プライマーセット(Hs03908783_cn)で増幅される染色体領域(15q26.3 [99,847,947−99,848,043])の0.5未満のDNAコピー数は、健常者群では216例中22例(10.2%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中46例(23.8%)と、乳がん患者群において0.5未満のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P=0.0003、オッズ比2.8、Fisher検定)。
【0061】
〔5〕
図9及び表7(Hs03898338_cn):プライマーセット(Hs03898338_cn)で増幅される染色体領域(15q26.3 [99,848,547−99,848,623])の1.5未満のDNAコピー数は、健常者群では216例中64例(29.6%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中161例(83.4%)と、乳がん患者群において1.5未満のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P<0.0001、オッズ比11.9、Fisher検定)。
【0062】
〔6〕
図10及び表7(Hs04093415_cn):プライマーセット(Hs04093415_cn)で増幅される染色体領域(22q12.3 [35,473,730−35,473,804])の9.0以上のDNAコピー数は、健常者群では216例中0例(0.0%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中8例(4.1%)と、乳がん患者群において9.0以上のDNAコピー数頻度が有意に高かった(P=0.0023、オッズ比19.8、Fisher検定)。
【0063】
〔7〕
図11及び表7(Hs04090898_cn):プライマーセット(Hs04090898_cn)で増幅される染色体領域(22q12.3 [35,475,937−35,476,043])の12.0以上のDNAコピー数は、健常者群では216例中0例(0.0%)であったのに対し、乳がん患者群では193例中7例(3.6%)と、乳がん患者群において12.0以上のDNAコピー数の頻度が有意に高かった(P=0.0049、オッズ比17.4、Fisher検定)。
【0064】
上述した〔1〕〜〔7〕の定量PCRによる解析結果から、カットオフ値(乳がん患者と健常者とを判定するために定める値)を設定することにより、健常者郡と比べ乳がん患者群の方が、陽性とする乳がん患者を有意に判定できた。この結果から、上記7つの領域において、DNAコピー数多型を有する者を乳がん発症感受性が高いと判定することができることが明らかとなった。
【0065】
(2)判別分析
定量PCR法によりDNAコピー数を測定した上記7つの領域の中から様々な組合せパターンの2つの領域を選択し、判別分析を行った。結果を
図12〜32及び表8に示す。
【0066】
〔1〕
図12及び表8(Hs06535529_cnとHs04093415_cnとの組合せ):
図5及び
図10で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(−0.5695)+[Hs04093415_cnコピー数]×(0.0236)+(0.7142)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは159名(感度:82.4%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは112名(特異度:51.9%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs06535529_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「1p36.12 (21,375,430−21,375,511)」のコピー数のことをいい、「Hs04093415_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs04093415_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「22q12.3 (35,473,730−35,473,804)」のコピー数のことをいう。
【0067】
〔2〕
図13及び表8(Hs06535529_cnとHs04090898_cnとの組合せ):
図5及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(−0.5699)+[Hs04090898_cnコピー数]×(0.0252)+(0.697)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは158名(感度:81.9%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは111名(特異度:51.4%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs04090898_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs04090898_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「22q12.3 (35,475,937−35,476,043)」のコピー数のことをいう。
【0068】
〔3〕
図14及び表8(Hs06535529_cnとHs03899300_cnとの組合せ):
図5及び
図7で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(0.1403)+[Hs03899300_cnコピー数]×(−2.9466)+(4.2074)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは142名(感度:73.6%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは163名(特異度:75.5%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03899300_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs03899300_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「15q26.3 (99,845,920−99,846,025]」のコピー数のことをいう。
【0069】
〔4〕
図15及び表8(Hs06535529_cnとHs03898338_cnとの組合せ):
図5及び
図9で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(0.1399)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−3.7991)+(5.2721)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは152名(感度:78.8%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは162名(特異度:75.0%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03898338_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs03898338_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「15q26.3 (99,848,547−99,848,623)」のコピー数のことをいう。
【0070】
〔5〕
図16及び表8(Hs06535529_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図5及び
図6で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(−0.6651)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.6624)+(−0.8498)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは145名(感度:75.1%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは144名(特異度:66.7%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs03103056_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「3q26.1 (163,706,172−163,706,287)」のコピー数のことをいう。
【0071】
〔6〕
図17及び表8(Hs06535529_cnとHs03908783_cnとの組合せ):
図5及び
図8で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(−0.3911)+[Hs03908783_cnコピー数]×(−0.3972)+(1.0298)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは154名(感度:79.8%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは119名(特異度:55.1%)であった。なお、「Hs06535529_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03908783_cnコピー数」とは、プライマーセット(Hs03908783_cn)で増幅される染色体領域のコピー数、すなわち「15q26.3 (99,847,947−99,848,043)」のコピー数のことをいう。
【0072】
〔7〕
図18及び表8(Hs04093415_cnとHs04090898_cnとの組合せ):
図10及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04093415_cnコピー数]×(−0.2285)+[Hs04090898_cnコピー数]×(0.1834)+(−0.0272)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは35名(感度:18.1%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは184名(特異度:85.2%)であった。なお、「Hs04093415_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs04090898_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0073】
〔8〕
図19及び表8(Hs04093415_cnとHs03899300_cnとの組合せ):
図7及び
図10で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04093415_cnコピー数]×(0.0423)+[Hs03899300_cnコピー数]×(−2.6949)+(3.9423)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは147名(感度:76.2%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは161名(特異度:74.5%)であった。なお、「Hs04093415_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03899300_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0074】
〔9〕
図20及び表8(Hs04093415_cnとHs03908783_cnとの組合せ):
図8及び
図10で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04093415_cnコピー数]×(0.0316)+[Hs03908783_cnコピー数]×(−0.9415)+(1.1523)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは138名(感度:71.5%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは130名(特異度:60.2%)であった。なお、「Hs04093415_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03908783_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0075】
〔10〕
図21及び表8(Hs04093415_cnとHs03898338_cnとの組合せ):
図9及び
図10で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04093415_cnコピー数]×(0.0342)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−3.5383)+(5.0218)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは152名(感度:78.8%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは162名(特異度:75.0%)であった。なお、「Hs04093415_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03898338_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0076】
〔11〕
図22及び表8(Hs04093415_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図6及び
図10で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04093415_cnコピー数]×(0.005)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.5142)+(−1.3547)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは118名(感度:61.1%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは113名(特異度:52.3%)であった。なお、「Hs04093415_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0077】
〔12〕
図23及び表8(Hs04090898_cnとHs03899300_cnとの組合せ):
図7及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04090898_cnコピー数]×(0.0385)+[Hs03899300_cnコピー数]×(−2.6967)+(3.9289)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは146名(感度:75.7%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは161名(特異度:74.5%)であった。なお、「Hs04090898_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03899300_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0078】
〔13〕
図24及び表8(Hs04090898_cnとHs03908783_cnとの組合せ):
図8及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04090898_cnコピー数]×(0.031)+[Hs03908783_cnコピー数]×(−0.943)+(1.137)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは139名(感度:72.0%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは130名(特異度:60.2%)であった。なお、「Hs04090898_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03908783_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0079】
〔14〕
図25及び表8(Hs04090898_cnとHs03898338_cnとの組合せ):
図9及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04090898_cnコピー数]×(0.0191)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−3.5282)+(5.0233)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは152名(感度:78.8%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは162名(特異度:75.0%)であった。なお、「Hs04090898_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03898338_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0080】
〔15〕
図26及び表8(Hs04090898_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図6及び
図11で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs04090898_cnコピー数]×(0.0114)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.513)+(−1.3697)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは117名(感度:60.6%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは115名(特異度:53.2%)であった。なお、「Hs04090898_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0081】
〔16〕
図27及び表8(Hs03899300_cnとHs03908783_cnとの組合せ):
図7及び
図8で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=Hs03899300_cnコピー数×(−6.7554)+Hs03908783_cnコピー数×(2.823)+(6.4471)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは162名(感度:83.9%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは175名(特異度:81.0%)であった。なお、「Hs03899300_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03908783_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0082】
〔17〕
図28及び表8(Hs03899300_cnとHs03898338_cnとの組合せ):
図7及び
図9で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs03899300_cnコピー数]×(−0.6719)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−2.929)+(5.2098)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは154名(感度:79.8%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは164名(特異度:75.9%)であった。なお、「Hs03899300_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03898338_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0083】
〔18〕
図29及び表8(Hs03899300_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図6及び
図7で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs03899300_cnコピー数]×(−3.0532)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.7876)+(2.4915)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは153名(感度:79.3%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは162名(特異度:75.0%)であった。なお、「Hs03899300_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0084】
〔19〕
図30及び表8(Hs03908783_cnとHs03898338_cnとの組合せ):
図8及び
図9で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs03908783_cnコピー数]×(0.7877)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−4.5371)+(5.5065)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは163名(感度:84.5%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは163名(特異度:75.5%)であった。なお、「Hs03908783_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03898338_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0085】
〔20〕
図31及び表8(Hs03908783_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図6及び
図8で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs03908783_cnコピー数]×(−1.1372)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.6815)+(−0.3227)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは137名(感度:71.0%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは144名(特異度:66.7%)であった。なお、「Hs03908783_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0086】
〔21〕
図32及び表8(Hs03898338_cnとHs03103056_cnとの組合せ):
図6及び
図9で得られた結果を基に判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs03898338_cnコピー数]×(−3.4991)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.4852)+(3.7572)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは157名(感度:81.4%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは160名(特異度:74.1%)であった。なお、「Hs03898338_cnコピー数」とは、上述のとおりであり、「Hs03103056_cnコピー数」とは、上述のとおりである。
【0087】
上述の判別分析〔1〕〜〔21〕の結果から、感度及び特異度に着目した場合、〔16〕に示した判別分析、すなわちプライマーセット(Hs03899300_cn)で増幅される染色体領域(15q26.3 [99,845,920−99,846,025])と、プライマーセット(Hs03908783_cn)で増幅される染色体領域(15q26.3 [99,847,947−99,848,043])との組合せによる判別分析が、最も優れていることがわかった(感度:83.9%、特異度:81.0%)。さらに、7つの組合せ(Hs06535529_cn、Hs03103056_cn、Hs03899300_cn、Hs03908783_cn、Hs03898338_cn、Hs04093415_cn、及びHs04090898_cn)について、判別分析を行ったところ、線形判別式(Y=[Hs06535529_cnコピー数]×(−0.4128)+[Hs04093415_cnコピー数]×(0.02)+[Hs04090898_cnコピー数]×(−0.001)+[Hs03899300_cnコピー数]×(−5.6747)+[Hs03908783_cnコピー数]×(3.311)+[Hs03898338_cnコピー数]×(−1.8864)+[Hs03103056_cnコピー数]×(0.6107)+(5.8360)を用いて、判別得点Yを求めることができる。判別得点0以上を乳がん発症感受性ありとし、判別得点0未満を乳がん発症感受性なしとした場合、真の乳がん患者193名中でこの判別式により「乳がん」と判定(判別得点が0点以上)されたのは172名(感度:89.1%)であるのに対し、真の健常者216名中で「乳がんではない」と判定(判別得点が0点未満)されたのは171名(特異度:79.2%)であった。この結果は、上記7つの組合せにより、健常者と乳がん患者とを有意な差をもって判別することもできるが、上記〔16〕で示した2つの組合せで十分判別できることを示している。
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】