特許第5867024号(P5867024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5867024ゴルフボール成形用金型及びゴルフボールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5867024
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】ゴルフボール成形用金型及びゴルフボールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 45/00 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
   A63B45/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-259826(P2011-259826)
(22)【出願日】2011年11月29日
(65)【公開番号】特開2012-130670(P2012-130670A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】12/977,409
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓麻
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克典
(72)【発明者】
【氏名】大村 洋一
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第612981(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともゴルフボールの赤道線を分割基準線とする分割面を有する複数の割型を分離可能に接合してなり、その内壁面に多数のディンプル形成用突起が突設されているキャビティを有する金型本体と、先端面に複数のディンプル形成用突起が突設されており、かつ上記キャビティに進退可能なサポートピンとを具備し、該サポートピンが上記キャビティ内に進出して芯球体を支持すると共に、後退した状態で該サポートピンの先端面が上記キャビティ内壁面の一部を構成するゴルフボール成形用金型において、
上記サポートピンの先端面が上記キャビティの極を含み、かつその周縁が極から緯度10度の緯線と交差することを特徴とするゴルフボール成形用金型。
【請求項2】
上記サポートピンの先端面に3個以上のディンプル形成用突起が突設された請求項1記載のゴルフボール成形用金型。
【請求項3】
上記サポートピンの先端面に4個以上のディンプル形成用突起が突設された請求項2記載のゴルフボール成形用金型。
【請求項4】
上記サポートピンの先端面の周縁が、極から緯度8度の緯線と交差する請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール成形用金型。
【請求項5】
少なくともゴルフボールの赤道線を分割基準線とする分割面を有する複数の割型を分離可能に接合してなる金型のキャビティ内に芯球体を配置すると共に、この芯球体を金型に装備されたサポートピンで支持し、芯球体とキャビティ内壁面との間にカバー形成用材料を射出注入すると共に、上記サポートピンを後退させてカバーを成形するゴルフボールの製造方法において、上記金型として請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール成形用金型を用いるゴルフボールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアに1層又は2層以上のカバーを被覆したゴルフボールの成形、特に表面に多数のディンプルが形成されるカバーの最外層を形成するために好適に使用し得るゴルフボール成形用金型及びゴルフボールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフボールには、飛距離ばかりでなく、コントロール性や耐久性、打感(フィーリング)等の様々な性能が要求されている。通常、これらの性能の全てを一種類の材料のみで満足させることは難しい。そこで、ゴムや樹脂等を用いて形成されるソリッドコアや糸巻きコアの周囲に1層又は2層以上のカバーを被覆した構造とし、各層にそれぞれの機能を分担させることが一般に行われる。即ち、上記の層の数及び厚さ、並びに各層を構成する材料の配合等を調整することにより、飛距離重視としたり、コントロール性重視としたりするなど、プレーヤーの要求に応じた性能を発揮するようにしてきた。
【0003】
通常、このような構造を有するゴルフボールの最外層を形成するためには射出成形法を用いることが多い。具体的には、コア又は該コアに1層以上の中間層(カバーの最外層以外の層)を被覆した球体(以下、「芯球体」と表記する。)を所定の金型のキャビティ内に配置し、芯球体とキャビティ内壁面との間にカバー形成用材料を射出注入する方法が採られる。なお、この場合、最外層の形成と同時にキャビティ内壁面に多数設けられたディンプル形成用突起により多数のディンプルが形成される。
【0004】
従来、上記の方法でゴルフボールを製造する場合、図6に示す構造を有する金型が多く用いられていた。図6は、従来のゴルフボール成形用金型の一例を示す断面図であり、キャビティ内にカバー形成用材料を射出注入する前の状態を示している。
【0005】
図6において、従来金型10は、ゴルフボールの赤道線を分割基準線(パーティングライン)PLとする分割面で分割される上型20a及び下型20bを分離可能に接合してなり、その内壁面に多数のディンプル形成用突起が突設されているキャビティ3を有する金型本体20と、先端面に1個のディンプル形成用突起が突設されており、かつ上記キャビティ3に進退可能なサポートピン40とを具備するものである。上記サポートピン40は、上記キャビティ3内に進出して芯球体31を支持すると共に、後退した状態でその先端面が上記キャビティ3内壁面の一部を構成するようになっている。なお、ここでは特に図示しないが、上記サポートピン40は、いずれも断面円形であり、上型20a及び下型20bにそれぞれ3本ずつ、合計6本がキャビティ3の極Qを中心に120度回転対称となる位置に所定間隔離間して設けられている。
【0006】
また、上記金型10には、上記金型本体20の分割面に沿って所定開口面積を有するランナー50及び樹脂射出口60が形成され、図示しない公知の射出成形機からキャビティ3内壁面と芯球体31との間に公知のカバー形成用材料が射出注入されるようになっている。そして、上記カバー形成用材料の射出注入と共にキャビティ3内に進出していたサポートピン40が後退した後、冷却されることによりカバーの成形は終了する。その際、サポートピン40の位置におけるディンプルは、該サポートピンの先端面に形成されたディンプル形成用突起によって形成される。
【0007】
しかしながら、上記の金型10においては、芯球体31を配置して上下型を閉じた際、上記サポートピン40に無理な力が加わってたわみや位置ずれを生じて、成形後のボール表面に不均一なバリが発生したりすることがあった。ボール表面に不均一なバリができると、ボール全体を均一に研磨することが難しく、ディンプルの不均一化を招き、飛びのシンメトリー性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0008】
更に、上記サポートピン40の先端面は、通常、断面円形の部材の先端面を斜めに加工して、後退した状態でキャビティ3内壁面の一部を構成する形状とするため、そこに形成されるディンプル形成用突起は平面視楕円形状になってしまうことが多かった。このような平面視楕円形状のディンプルは、ボールの外観に悪影響を及ぼすことがあり、ディンプルデザインや金型設計の自由度を低下させる要因となっている。
【0009】
これに対し、特開平08−323772号公報:特許文献1及び米国特許出願公開第2009/0297653号明細書:特許文献2においては、金型内に配置する芯球体を図6に示したような細いサポートピンを複数本用いて支持するのではなく、先端面に複数のディンプル形成用突起が突設された大径サポートピンを設けたゴルフボール成形用金型が開示されている。しかしながら、これらの金型では、芯球体を支持する際の安定性は向上するものの、サポートピンの径が大きすぎるため、射出成形時にキャビティの極付近(サポートピン先端面の中央部)にガスがたまりやすく、外観不良の発生が懸念される。
【0010】
また、特表2002−542067号公報:特許文献3(これに対応する米国特許第6129881号明細書:特許文献4)、米国特許第7341687号明細書:特許文献5においては、上記の外観不良の問題を解決するために、上記の大径サポートピンにガス抜きピンを設けてキャビティの極付近のガス抜き具合を改善した金型が開示されているが、ガス抜きピンとサポートピンとを個別に作製する必要があり、余分なコストが発生してしまう。
【0011】
このように、ゴルフボールの成形性の向上を目指して、ゴルフボール成形用金型に対して様々な工夫がなされてきたが、上記の課題は未だ根本的な解決には至っていない。従って、ゴルフボールの成形性や、ディンプルデザイン及び金型設計の自由度等を更に向上させるためにも、上述した不都合を解消し得る新たな方策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平08−323772号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0297653号明細書
【特許文献3】特表2002−542067号公報
【特許文献4】米国特許第6129881号明細書
【特許文献5】米国特許第7341687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、特にゴルフボールのカバーの最外層を形成する場合に、キャビティ内に芯球体を安定して保持することができ、かつキャビティ内にカバー形成用材料を射出注入した際のガス抜けも良好で、外観不良や不都合なバリの発生を可及的に抑制し得、上述した生産上の不都合を生じることなく安定した成形を可能とするゴルフボール成形用金型及び該金型を用いたゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、下記のゴルフボール成形用金型及びゴルフボールの製造方法を提供するものである。
[1]少なくともゴルフボールの赤道線を分割基準線とする分割面を有する複数の割型を分離可能に接合してなり、その内壁面に多数のディンプル形成用突起が突設されているキャビティを有する金型本体と、先端面に複数のディンプル形成用突起が突設されており、かつ上記キャビティに進退可能なサポートピンとを具備し、該サポートピンが上記キャビティ内に進出して芯球体を支持すると共に、後退した状態で該サポートピンの先端面が上記キャビティ内壁面の一部を構成するゴルフボール成形用金型において、
上記サポートピンの先端面が上記キャビティの極を含み、かつその周縁が極から緯度10度の緯線と交差することを特徴とするゴルフボール成形用金型。
[2]上記サポートピンの先端面に3個以上のディンプル形成用突起が突設された[1]記載のゴルフボール成形用金型。
[3]上記サポートピンの先端面に4個以上のディンプル形成用突起が突設された[2]記載のゴルフボール成形用金型。
[4]上記サポートピンの先端面の周縁が、極から緯度8度の緯線と交差する[1]〜[3]のいずれか1項記載のゴルフボール成形用金型。
[5]少なくともゴルフボールの赤道線を分割基準線とする分割面を有する複数の割型を分離可能に接合してなる金型のキャビティ内に芯球体を配置すると共に、この芯球体を金型に装備されたサポートピンで支持し、芯球体とキャビティ内壁面との間にカバー形成用材料を射出注入すると共に、上記サポートピンを後退させてカバーを成形するゴルフボールの製造方法において、上記金型として[1]〜[4]のいずれか1項記載のゴルフボール成形用金型を用いるゴルフボールの製造方法。
【0015】
本発明のゴルフボール成形用金型によれば、所定の条件を満たす形状を有するサポートピンを設けたことにより、芯球体をキャビティ内の中心に安定して保持することができるので、偏心を生じることなく均一な構造のゴルフボールを得ることができると共に、カバー形成用材料をキャビティ内に射出注入した際のキャビティの極付近におけるガス抜けも良好で外観不良を起こすこともない。更には、従来の金型において懸念されていたサポートピンのたわみや位置ずれに起因する不均一なバリを生じることもないので、良好な成形品を容易かつ確実に得ることができ、ゴルフボールの生産性の向上に寄与することができる。また、本発明の金型で用いるサポートピンの形状は、ディンプルデザインの制約を受けることがないので、ディンプルデザインや金型設計の自由度を著しく向上させることができる。そして、従来提案された大径サポートピンに設けられるガス抜きピンを別途作製する必要もなくコスト的にも優位なものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のゴルフボール成形用金型を用いることにより、外観不良や不均一なバリの発生等の不都合を生じることなく良好な成形品を容易かつ確実に得ることができ、ゴルフボールの生産性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例に係るゴルフボール成形用金型の断面図である。
図2図1で示したゴルフボール成形用金型のサポートピンの先端部近傍を拡大した斜視図である。
図3図2で示したサポートピンを先端面側から見た平面図である。
図4】本発明の他の実施例に係るゴルフボール成形用金型のサポートピンを先端面側から見た平面図である。
図5】本発明の更に別の実施例に係るゴルフボール成形用金型のサポートピンを先端面側から見た平面図である。
図6】従来のゴルフボール成形用金型の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のゴルフボール成形用金型につき、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明において、金型の分割基準線(パーティングライン)と分割面の用語は以下のように定義する。分割基準線とは、金型を複数個に分割する際の基準となる線であり、例えば、2分割型の金型である場合、上型と下型とが接合する基準となる線を意味し、直線状である。一方、金型の分割面とは、上記分割基準線に基づいて分割された各割型が接合する接触部分を意味する。なお、上記分割面に上記分割基準線を跨ぐディンプル形成用突起を具備する場合、分割面は該ディンプル形成用突起による凸部及び該凸部に対応する凹部を有するものとなる。本発明において、上記分割面の形状は、金型の仕様に応じて適宜設定し得るものであり、特に制限されるものではない。
【0019】
本発明のゴルフボール成形用金型は、少なくともゴルフボールの赤道線を分割基準線とする分割面を有していればよく、その分割数は金型の仕様に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。例えば、分割面が1つである2分割金型のように金型の分割面の数を少なくした場合は、金型の製造コストやディンプル配列の制限を減らすことができる。一方、分割面を複数設けて多数の割型に分割した場合は成形品の離型性を向上させることができる。そのため、ここでは説明を簡単にするために、ゴルフボールの赤道線を分割基準線として分割した2分割型の金型を例として説明する。
【0020】
図1に、本発明のゴルフボール成形用金型の一実施例を示す。
図1は、本発明の一実施例に係るゴルフボール成形用金型の断面図であり、ここに示された金型1は、ゴルフボールの赤道線を分割基準線PLとする分割面を有する上型2a及び下型2bを分離可能に接合してなり、その内壁面に多数のディンプル形成用突起が突設されているキャビティ3を有する金型本体2と、先端面に複数のディンプル形成用突起が突設されており、かつ上記キャビティ3に進退可能なサポートピン4とを具備するものである。また、上記金型本体2の分割面に沿って所定開口面積を有するランナー5及び樹脂射出口6が形成され、図示しない公知の射出成形機からキャビティ3内壁面と芯球体31との間に公知のカバー形成用材料が射出注入されるようになっている。なお、カバー形成用材料が射出注入された際、キャビティ3内のガスは、金型本体2とサポートピン4との隙間を通じて外部へ放出される。
【0021】
図1において、上記サポートピン4は、上記キャビティ3内に進出して芯球体31を支持すると共に、カバー形成用材料の射出注入後には後退した状態でその先端面が上記キャビティ3内壁面の一部を構成するようになっている。また、このサポートピン4は、従来用いられている大径サポートピンの形状とは異なり、先端面に複数のディンプル形成用突起が突設されると共に、後述する条件を満足するものである。以下、本発明のゴルフボール成形用金型1に適用し得るサポートピン4の形状について具体的な例を挙げながら詳しく説明する。
【0022】
図2及び図3に、本発明の条件を満足するサポートピン4の形状の一例を示す。図2は該サポートピン4の先端近傍を拡大した斜視図であり、図3図2に示したサポートピン4を先端面側から見た平面図である。また、図3中の符号Qは、キャビティ3の極を示し、二点鎖線で描かれる円L1,L2は、それぞれ上記極Qから緯度10度及び8度の緯線を示す。
【0023】
上記サポートピン4は、その配設位置に対応してゴルフボール表面に設定された4個のディンプルを先端面に転写したものであり、その先端面は、3個のディンプル形成用突起41bを正三角形状に配置して該ディンプル形成用突起41bの辺縁に沿った円弧状の頂点を有する正三角形を想定すると共に、この正三角形の中心部分にもう1個のディンプル形成用突起41aを配置し、該正三角形の3辺を隣接する金型本体2側のディンプル形成用突起41’の辺縁に沿って内側へと円弧状に湾曲させた形状を有する。そして、該先端面の周縁と上記各ディンプル形成用突起41a,41bとの間に所定の幅を有する陸部領域42(成形後のボール表面において、ディンプルが形成されない陸部に相当する領域)が設けられ、上記4個のディンプル形成用突起41a,41bが先端面に完全に包含された状態となっている。ここで、上記サポートピン4の形状は、ディンプルデザインに応じて適宜設定し得るものであり、特に制限されるものではないが、成形時に芯球体を安定して支持する観点から対称性を有していることが好ましく、特に全体として線対称又は回転対称となるようにディンプル形成用突起が配置されるようにすることが好ましい。なお、図2及び図3において、上記ディンプル形成用突起41a,41bはいずれもの平面視円形状であり、その直径は約4mm(ゴルフボールの表面に直径4mmのディンプルが形成される大きさ)である。
【0024】
また、上記サポートピン4は、芯球体31を安定して支持する観点から、先端面が上記キャビティの極Qを含んでいることが必要であり、好ましくは上記極Qと上記サポートピン4先端面の中心とを一致させることが推奨される。サポートピン4の先端面が上記の条件を満たさない場合は、芯球体31を安定して支持することが困難になるおそれがある。なお、図2及び図3に示した例では、サポートピン4先端面の中心及びディンプル形成用突起41aの中心は、極Qと一致している。
【0025】
次に、上記サポートピン4先端面の周縁が、極Qから緯度10度の緯線L1と交差することを必要とし、好ましくは極Qから緯度8度の緯線L2と交差することが推奨される。また、上記緯度の下限は、特に制限されるものではないが、極Qから緯度0.5度の緯線(図示せず)とすることができる。上記の条件を満足しない場合は、成形時に極Q付近のガスが抜け難くなり、外観不良を招くおそれがある。図2及び図3に示した例では、サポートピン4先端面の周縁は、極Qに向かって大きく内側に湾曲して、緯度10度及び緯度8度の緯線と交差している。そのため、極Q付近のガス抜け具合も良好である。
【0026】
一方、特に制限されるものではないが、サポートピン4先端面の周縁は、上記極Qから緯度40度の緯線を超えないことが好ましく、より好ましくは緯度35度、更に好ましくは緯度30度の緯線を超えないことが推奨される(これらの緯線は特に図示せず)。サポートピン4先端面の周縁が上記の緯線を超えた場合、サポートピン4の径が大きくなりすぎるため、成形時にサポートピン4を後退させることにより生じる空間全体に材料が行き届かないことがあり、充填不良となるおそれがある。なお、ここでは特に図示しないが、図2及び図3に示したサポートピン4の周縁最外部(周縁の中で極Qから最も遠い位置になる部分)は、極Qから緯度17.8度の緯線(図示せず)に一致している。
【0027】
また、上記陸部領域42の幅は、ディンプルデザインや金型設計等に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。即ち、必要に応じて先端面の周縁とディンプル形成用突起の辺縁とが一致する部分を持たせてもよい。
【0028】
サポートピン4先端面に形成するディンプル形成用突起の個数は、ディンプルデザインや金型の仕様等に応じて適宜し得、特に制限されるものではないが、芯球体を保持する際の安定性の観点から先端面に3個以上のディンプル形成用突起が突設されていることが好ましく、特に4個以上形成されることが推奨される。また、その上限についても特に制限はないが、20個以下とすることが好ましく、より好ましくは10個以下、更に好ましくは7個以下とすることができる。サポートピン4先端面に突設されるディンプル形成用突起の個数が多すぎた場合、サポートピン4の径が大きくなるすぎるため、成形時にサポートピン4を後退させることにより生じる空間全体に材料が行き届かないことがあり、充填不良となるおそれがある。
【0029】
上記サポートピン4と上型2a又は下型2bとの隙間は、成形時にサポートピン4がなめらかに摺動すると共に、バリの発生を最小限にとどめることができ、かつキャビティ3内のガスを速やかに外部へ放出することができる範囲とすればよく、特に制限されるものではないが、5〜50μmの範囲とすることが好ましい。上記の隙間が大きすぎた場合は、バリが大きくなることがあり、一方、隙間が小さすぎた場合は、キャビティ3内のガスが抜け難くなり、外観不良の発生を招くおそれがある。なお、図2及び図3では上記の隙間を25μmとしている。
【0030】
更に、本発明の条件を満足するサポートピンの形状の他の例を図4に示す。
図4は、上記サポートピンを先端面側から見た平面図である。また、図4中の符号Qは、上記と同様にキャビティ3の極を示し、二点鎖線で描かれる円L1,L2は、それぞれ上記極Qから緯度10度及び8度の緯線を示す。
【0031】
このサポートピン4は、上記図2及び3で示したサポートピン4のディンプル形成用突起41bの外側に、更にディンプル形成用突起41cを包含した円形部を加え、先端面に合計7個のディンプル形成用突起を突設した形状としたものであり、これも該サポートピン配設位置に対応してゴルフボール表面に設定された7個のディンプルを先端面に転写したものである。そして、上記と同様、該先端面の周縁と上記各ディンプル形成用突起41a,41b,41cとの間に所定の幅を有する陸部領域42が設けられ、上記7個のディンプル形成用突起41a,41b,41cが先端面に完全に包含された状態となっている。この場合、サポートピン4先端面の中心及びディンプル形成用突起41aの中心は極Qと一致しており、かつ各ディンプル形成用突起は全体として回転対称に配置されているため、成形時に芯球体31をより安定して保持できるようになっている。また、その周縁は、大きく内側に湾曲して極Qから緯度10度及び8度の緯線と交差しており、成形時に極Q付近のガスが抜けやすい形状となっている。なお、図4において、上記ディンプル形成用突起41a,41b,41cはいずれもの平面視円形状であり、その直径は約4mm(ゴルフボールの表面に直径4mmのディンプルが形成される大きさ)である。また、上記サポートピン4の周縁最外部は、極Qから緯度26.5度の緯線(図示せず)に一致しており、上記サポートピン4と上型2a又は下型2bとの隙間は25μmである。
【0032】
図5に、本発明の条件を満足するサポートピンの形状の更に別の例を示す。
図5は、上記サポートピンを先端面側から見た平面図である。また、図5中の符号Qは、上記と同様にキャビティ3の極を示し、二点鎖線で描かれる円L1,L2は、それぞれ上記極Qから緯度10度及び8度の緯線を示す。
【0033】
このサポートピン4は、3個のディンプル形成用突起41dを正三角形状に配置し、これら3個のディンプル形成用突起41dの外側にそれぞれ1個ずつディンプル形成用突起41eを加え、これら6個のディンプル形成用突起41e,41dと先端面の周縁との間に所定の幅を有する陸部領域42を設けたものである。これも該サポートピン配設位置に対応してゴルフボール表面に設定された6個のディンプルを先端面に転写したものである。そして、該先端面の周縁と上記各ディンプル形成用突起41d,41eとの間に所定の幅を有する陸部領域42が設けられていることから、上記6個のディンプル形成用突起41d,41eが先端面に完全に包含された状態となっている。
【0034】
上記サポートピン4の周縁は、各ディンプル形成用突起41d,41eの辺縁に沿った湾曲部を有すると共に、互いに隣接するこれら湾曲部がなだらかな曲線によって結ばれた形状を有している。特に、互いに隣接するディンプル形成用突起41d間において、その周縁は極Qに向かって大きく湾曲し、極Qから緯度10度及び8度の緯線と交差している。そのため、当該サポートピン4も、成形時に極Q付近のガスが抜けやすい形状となっている。この場合、上記ディンプル形成用突起41d,41eは全体として回転対称に配置されており、かつ上記サポートピン4先端面の中心がディンプル形成用突起41d,41eの対称中心及び極Qと一致していることから、成形時に芯球体31をより安定して保持できるようになっている。なお、図5において、上記ディンプル形成用突起41d,41eはいずれもの平面視円形状であり、その直径は約4mm(ゴルフボールの表面に直径4mmのディンプルが形成される大きさ)である。また、上記サポートピン4の周縁最外部は、極Qから緯度23.4度の緯線(図示せず)に一致しており、上記サポートピン4と上型2a又は下型2bとの隙間は25μmとしている。
【0035】
サポートピン4は、その先端面がキャビティ3内壁面を構成できるため、平面視円形のディンプル形成用突起を容易に形成することができる。なお、ディンプルのデザインによっては、ボール全体としての対称性等を保持した上で、多角形、涙形及び楕円形等の非円形のディンプル形成用突起を直接形成することもできる。そのため、ディンプルデザインの制約を受けることがなく、ディンプルデザインや金型設計の自由度は極めて高い。
【0036】
本発明のゴルフボール成形用金型に使用される材料は、特に制限されるものではなく、公知の材料を使用することができる。
【0037】
本発明のゴルフボール成形用金型を用いて、ゴルフボールを成形する場合、その方法及び条件等は、従来の金型を用いた場合と同様に行うことができる。より具体的に述べると、図1に示した2分割型の金型1を用いる場合には、まず、該金型1のキャビティ3内に芯球体31を配置すると共に、この芯球体31を金型1に装備されたサポートピン4で支持する。次に、上記芯球体31とキャビティ3内壁面との間に公知のカバー形成用材料をランナー5及び樹脂射出口6を通して射出注入すると共に、上記サポートピン4を後退させて、冷却固化した後、上下型を分離して成形品を取り出す。得られた成形品は、ゲートカットされ、常法による研磨処理を施してバリを除去した後、コアの周囲に1層又は2層以上のカバーが形成されたゴルフボールとなる。なお、ゴルフボールのデザイン性や耐久性を向上させるために、上記で得られたゴルフボールの表面に公知の方法でスタンプや塗装等の種々の処理を行うことは任意である。
【0038】
ここで上記のカバー形成用材料としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されるものでないが、アイオノマー樹脂、ウレタン樹脂等を好適に用いることができる。また、形成されるカバーの厚さについては、製造するゴルフボールの構造や材質等に応じて適宜設定することができ、特に制限されるものではない。
【0039】
上記の方法で製造されるゴルフボールにおいて、表面に形成されるディンプルの形状、個数及び配列等は、ボールの仕様に応じて適宜設定し得るものであり、特に制限されるものではない。例えば、ディンプルの形状については、円形に限られず、非円形の多角形、涙形、楕円形等から適宜選択することができる。また、上記ディンプルの直径については、特に制限されるものではないが、0.5〜6mmの範囲とすることが好ましい。そして、ディンプルの深さについても特に制限されるものではないが、0.05〜0.4mmの範囲とすることが好ましい。
【0040】
また、ディンプルがボール表面に占める表面占有率については、特に制限されるものではないが、空気力学的特性の観点から70%以上にすることが好ましく、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上とされる。本発明の金型を用いることで、高い表面占有率を有するボールを容易に製造することができる。
【0041】
以上、本発明につき、図面を参照して好適な実施態様について説明したが、本発明のゴルフボール成形用金型は、図面や上記実施態様の内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限りその構成を適宜変更することができる。即ち、金型の分割面の形状や分割数、並びに本発明で規定するサポートピンの配置位置及び個数等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更しても差し支えない。例えば、上記図1に示した金型において、上型2a及び下型2bに設けられたサポートピン4の形状は、必ずしも同一である必要はなく、ディンプルデザイン等に応じて異なる形状とすることができる。より具体的に述べると、図2及び図3に示したサポートピンを上型2aに設け、図4に示したサポートピンを下型2bに設けた構成とすることも任意である。更には、必要に応じて公知のピン等を追加することもできる。
【0042】
以上説明したように、本発明のゴルフボール成形用金型は、所定の条件を満たす形状を有するサポートピンを設けたことにより、芯球体をキャビティ内の中心に安定して保持することができるので、偏心を生じることなく均一な構造のゴルフボールを得ることができると共に、カバー形成用材料をキャビティ内に射出注入した際の極付近におけるガス抜けも良好で外観不良を起こすこともない。更には、従来の金型において懸念されていたサポートピンのたわみや位置ずれに起因する不均一なバリを生じることもないので、良好な成形品を容易かつ確実に得ることができ、ゴルフボールの生産性の向上に寄与することができる。また、本発明の金型で用いるサポートピンの形状は、ディンプルデザインの制約を受けることがないので、ディンプルデザインや金型設計の自由度を著しく向上させることができる。そして、従来提案された先端面に複数のディンプル形成用突起が突設された大径サポートピンで使用されるガス抜きピンを別途作製する必要もなくコスト的にも優位なものである。
【符号の説明】
【0043】
1 金型
2 金型本体
2a 上型
2b 下型
3 キャビティ
31 芯球体
4 サポートピン
41a,41b,41c,41d,41e ディンプル形成用突起
42 陸部領域
5 ランナー
6 樹脂射出口
PL 分割基準線
Q 極
L1 極から緯度10度の緯線
L2 極から緯度8度の緯線
図1
図2
図3
図4
図5
図6