特許第5867083号(P5867083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5867083ネガ型感光性樹脂組成物およびそれを用いた保護膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5867083
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物およびそれを用いた保護膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20160210BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160210BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20160210BHJP
【FI】
   G03F7/075 511
   G03F7/004 501
   G06F3/041 495
【請求項の数】3
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2011-525758(P2011-525758)
(86)(22)【出願日】2011年4月4日
(86)【国際出願番号】JP2011058494
(87)【国際公開番号】WO2011129210
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年3月24日
(31)【優先権主張番号】特願2010-92802(P2010-92802)
(32)【優先日】2010年4月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】荒木 斉
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 充史
(72)【発明者】
【氏名】岡沢 徹
【審査官】 石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−331173(JP,A)
【文献】 特開2010−039056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/004−7/075
G06F3/041−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下である、エチレン性不飽和結合を有するポリシロキサン、(B)光重合開始剤、(C)多官能モノマー、(D)ジルコニウム化合物を含有し、前記(D)ジルコニウム化合物が、平均粒径が100nm以下のジルコニウム酸化物粒子であるネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜。
【請求項3】
請求項1又は2記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる金属配線保護膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物、それを用いた保護膜およびタッチパネル部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハードコート材料の用途は多岐にわたり、例えば、自動車部品、化粧品などの容器、シート、フィルム、光学ディスク、薄型ディスプレイなどの表面硬度向上に用いられている。ハードコート材料に求められる特性としては、硬度、耐擦傷性の他に耐熱性、耐候性、接着性などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
ハードコート材料の代表例としては、ラジカル重合型のUV硬化型ハードコートがあり(例えば、非特許文献1参照)、その構成は、重合性基含有オリゴマー、モノマー、光重合開始剤およびその他添加剤である。UV照射によりオリゴマーおよびモノマーがラジカル重合することで架橋し、高硬度な膜を得る。このハードコート材料は硬化の所要時間が短く生産性が向上するうえに、一般的なラジカル重合機構によるネガ型感光性材料を用いることができ、製造コストが安価になるという利点を持つ。
【0004】
しかし、有機成分が多いため他のハードコート材料に比べ硬度、耐擦傷性が低く、UV硬化による体積収縮が原因となるクラックが発生するという課題があった。
【0005】
近年注目を浴びている静電容量式タッチパネルは、ハードコート材料の用途の一つである。静電容量式タッチパネルはガラス上にITO(Indium Tin Oxide)や金属(銀、モリブデン、アルミニウムなど)で作製したパターンを有する構造を持つ。このITOおよび金属を保護するために高い硬度、透明性、耐湿熱性を持つ膜が求められる。しかしながらこれらの性能を両立することは困難であり、この問題を解決するハードコート材料が求められていた。
【0006】
有機系ハードコート材料として、重合性基含有オリゴマー、モノマ、光重合開始剤およびその他添加剤を含有するUV硬化型コーティング組成物が知られている。かかる組成物はパターン加工性を有し、高い硬度と透明性を有する硬化膜を得ることができる。しかしながら、耐湿熱性に課題を有していた。
【0007】
耐湿熱性を改善する手法としては、シロキサンに金属キレート剤を添加する方法が知られている(特許文献1参照)。これは、チタンやジルコニウムキレート剤がシロキサンの架橋を促進させ、耐湿熱性を向上させるメカニズムと考えられている。
【0008】
また、金属キレート剤をシロキサンの重合触媒として用い、重合性官能基を導入することでネガ型感光性を付与する例も報告されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
その他、有機金属化合物を含有するネガ型感光性材料が報告されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開平07-331173号公報
【特許文献2】特開2008-203605号公報
【特許文献3】特開2007-308688号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】大原 昇ら著、「プラスチック基材を中心としたハードコート膜における材料設計・塗工技術と硬度の向上」、技術情報協会、2005年4月28日、301ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
非特許文献1の技術では、有機成分が多いため他のハードコート材料に比べ硬度、耐擦傷性が低く、UV硬化による体積収縮が原因となるクラックが発生するという課題があった。
【0012】
特許文献1の技術では、樹脂は主鎖および側鎖が疎水性のシロキサンに限られ、たとえば側鎖にカルボキシル基を有するシロキサンおよび、それ以外カルボキシル基含有の樹脂などの親水性樹脂に対する効果は定かではない。
【0013】
特許文献2の技術では、プリベーク時のシロキサンの架橋を抑えるためにシラノール基の含有量が少なく、アルカリ水溶液で現像する事は困難であった。
【0014】
特許文献3の技術では、金属膜を形成するため焼成を行い、有機成分は残存しない。したがって有機金属化合物が樹脂成分にどのような効果を与えるかは定かではない。
【0015】
以上のように、高硬度、高透明および高耐湿熱性を有しアルカリ現像液にてパターン加工可能なネガ型感光性材料が求められているものの、これまでその技術は確立されていなかった。
【0016】
本発明は、パターン加工性に優れ、UV硬化および熱硬化により高硬度、高透明であり、耐湿熱性の優れる硬化膜を与える、アルカリ現像可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明の目的は、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)多官能モノマー、(D)ジルコニウム化合物を含有するネガ型感光性樹脂組成物により達成される。
【0018】
また、本発明の目的は、上記のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなるタッチパネル保護膜により達成される。
【0019】
本発明の目的は、上記のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなる金属配線保護膜により達成される。
【0020】
また、本発明の目的は、上記のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を具備し、該硬化膜によりモリブデン含有金属配線が保護されているタッチパネル部材により達成される。
【0021】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、硬化膜形成用の組成物であることが好ましい。
【0022】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、保護膜形成用の組成物であることが好ましい。
【0023】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂が、エチレン性不飽和結合を有するアクリル樹脂であることが好ましい。
【0024】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂が、エチレン性不飽和結合を有するポリシロキサンであることが好ましい。
【0025】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)ジルコニウム化合物が、平均粒径が100nm以下のジルコニウム酸化物粒子であることが好ましい。
【0026】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)ジルコニウム化合物が、一般式(1)で表される化合物のいずれか1種類以上であることが好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
(Rは水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびその置換体を表し、RおよびRは水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基およびその置換体を表す。複数のR、RおよびRは同じでも異なっても良い。nは0〜4の整数を表す。)
【発明の効果】
【0029】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、パターン加工性に優れ、UV硬化および熱硬化により高硬度、高透明であり、耐湿熱性の優れる硬化膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】タッチパネル部材の製造における各工程後の概略上面図である。
図2】タッチパネル部材を表す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)多官能モノマー、(D)ジルコニウム化合物を含有する。
【0032】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、硬化膜形成用の組成物であることが好ましい。硬化膜とは、焼成または剥離液処理などによって樹脂成分をすべて除去する工程を経ず、光および/または熱によって硬化する事によって得られる膜の事を指す。該硬化膜の使用方法に特に制限はないが、たとえば、タッチパネル用保護膜、ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、パッシベーション膜、反射防止フィルム、金属配線保護膜などの各種保護膜および、タッチパネル用絶縁膜、TFT用絶縁膜、層間絶縁膜などの各種絶縁膜および、光学フィルター、カラーフィルター用フォトスペーサー、マイクロレンズなどが挙げられる。これらの中でも、高い硬度、透明性、耐湿熱性を有することから、保護膜として用いることが好ましい。保護膜とは、様々な下地素材を保護する目的で使用される硬化膜のことを意味する。該保護膜の使用方法に特に制限は無く、具体例としては上述したものが挙げられる。
【0033】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂を含有する。カルボン酸当量とは、カルボキシル基1mol量を得るのに必要な樹脂の重量を表し、単位はg/molである。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸当量が1,400g/molを越える場合には、ネガ型感光性樹脂組成物のアルカリ溶解性(現像性)に劣り、良好なパターンを形成することできず、また、現像できても現像後の残さを抑制できないか、現像液種に大きな制限が必要となるなどの問題が生じる。一方、アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸当量が200g/molに満たない場合には、露光部の膜減りを抑えることができず、また、耐湿熱性に劣るほか、解像度も劣る。かかる範囲であることにより、様々な現像条件で良好なパターンを形成することが可能となる。
【0034】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物に用いる、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合基を有することにより、架橋密度を向上させ、硬化膜の硬度を向上させることができる。カルボン酸当量の好ましい範囲は300g/mol以上1200g/mol以下であり、さらに好ましくは400g/mol以上800g/mol以下である。
【0035】
(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂としては、ポリシロキサン、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド等が挙げられる。(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂においては、少なくとも一部にはエチレン性不飽和二重結合基が導入されていることが、硬化膜の硬度を高くするのに好ましい。これら重合体のうち、エチレン性不飽和二重結合基の導入の容易さから、ポリシロキサン、アクリル樹脂がより好ましい。また、これら重合体を2種以上含有してもよい。
【0036】
(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂として好ましい例を次に挙げるが、これに限定されない。
【0037】
ポリシロキサンとしては、たとえばカルボキシル基および/またはジカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン化合物を加水分解し、該加水分解物を縮合して得られるものが好ましい。また、カルボン酸当量を調整するために、その他のオルガノシラン化合物を同時に用いることが好ましい。中でも、得られる硬化膜の硬度が高くなることから、エチレン性不飽和結合を有するオルガノシラン化合物を用いることが好ましい。
【0038】
加水分解反応の条件は適宜設定することができるが、例えば、溶媒中、オルガノシラン化合物に酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温以上110℃以下で1〜180分反応させることが好ましい。このような条件で加水分解反応を行うことにより、急激な反応を抑制することができる。反応温度は、より好ましくは30℃以上105℃以下である。
【0039】
加水分解反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。酸触媒としては、蟻酸、酢酸またはリン酸を含む酸性水溶液が好ましい。これら酸触媒の好ましい含有量は、加水分解反応時に使用される全オルガノシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上5重量部以下である。酸触媒の量を上記範囲とすることで、加水分解反応が必要かつ十分に進行するよう容易に制御できる。
【0040】
縮合反応の条件は、たとえば、上記のようにしてオルガノシラン化合物の加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、反応液をそのまま50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、反応させることが好ましい。また、ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒を添加してもよい。また、目的に応じて加水分解後に、生成アルコールなどを加熱および/または減圧下にて適量を留出、除去し、その後好適な溶媒を添加してもよい。
【0041】
カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下でありエチレン性不飽和結合を有するポリシロキサンとしては、たとえばカルボキシル基および/またはジカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン化合物とエチレン性不飽和結合を有するオルガノシラン化合物を加水分解し、該加水分解物を縮合して得られるものが好ましい。
【0042】
カルボキシル基を有するオルガノシラン化合物としては、たとえば3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル絡酸、4−ジメチルメトキシシリル絡酸、4−ジメチルエトキシシリル絡酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸などが挙げられる。
【0043】
ジカルボン酸無水物基を有するオルガノシラン化合物としては、たとえば3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物などが挙げられる。
【0044】
その他のオルガノシラン化合物としては、たとえばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。さらに、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシランなどを用いることにより、エチレン性不飽和二重結合基を容易に導入することができる。
【0045】
ポリシロキサンのカルボン酸当量は、H−NMRによりポリシロキサン中のシラノール基/カルボキシル基比率を算出した後、酸価を測定することで算出することが出来る。
【0046】
ポリシロキサンがエチレン性不飽和二重結合基を有する場合、その含有量に特に制限はないが、二重結合当量が150g/mol以上10,000g/mol以下であることが好ましい。上記範囲であることで、硬度と耐クラック性を高いレベルで両立出来る。二重結合当量はヨウ素価を測定することで算出できる。
【0047】
ポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、1,000以上100,000以下であることが好ましい。Mwを上記範囲とすることで、良好な塗布特性が得られ、パターン形成する際の現像液への溶解性も良好となる。
【0048】
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合したものが好ましい。ラジカル重合の触媒に特に制限はなく、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物や過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物など一般的に用いられる。
【0049】
ラジカル重合の条件は適宜設定することができるが、例えば、溶媒中、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよびラジカル重合触媒を添加し、バブリングや減圧脱気などによって反応容器内を十分に窒素置換したのち60℃以上110℃以下で30〜300分反応させることが好ましい。また、必要に応じてチオール化合物などの連鎖移動剤を用いてもよい。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキセニル、(メタ)アクリル酸4−メトキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−シクロプロピルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロペンチルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキシルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキセニルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−(4−メトキシシクロヘキシル)オキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル等が用いられる。スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物を共重合しても良い。
【0051】
カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下でありエチレン性不飽和結合を有するアクリル樹脂としては、たとえば(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合したのち、エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物を付加反応して得られるものが好ましい。エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物の付加反応に用いる触媒に特に制限はなく、公知の触媒を用いることが出来るが、たとえば、ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン等のアミノ系触媒、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸ジブチルスズ等のスズ系触媒、2−エチルヘキサン酸チタン(IV)等のチタン系触媒、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒およびアセチルアセトネートクロム、塩化クロム等のクロム系触媒などが用いられる。エチレン性不飽和二重結合基を有するエポキシ化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸α−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−プロピルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−ブチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸α−エチル−6,7−エポキシヘプチル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン等が用いられる。
【0052】
アクリル樹脂がエチレン性不飽和二重結合基を有する場合、その含有量に特に制限はないが、二重結合当量が150g/mol以上10,000g/mol以下であることが好ましい。上記範囲であることで、硬度と耐クラック性を高いレベルで両立出来る。二重結合当量はヨウ素価を測定することで算出できる。
【0053】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、2,000以上200,000以下であることが好ましい。Mwを上記範囲とすることで、良好な塗布特性が得られ、パターン形成する際の現像液への溶解性も良好となる。
【0054】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂の含有量に特に制限はなく、所望の膜厚や用途により任意に選ぶことができるが、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分中10wt%以上60wt%以下が一般的である。
【0055】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)光重合開始剤を含有する。(B)光重合開始剤は、光(紫外線、電子線を含む)により分解および/または反応し、ラジカルを発生させるものが好ましい。
【0056】
具体例としては、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキサイド、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0057】
これらのうち、硬化膜の硬度をより高くするためには、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物またはアミノ基を有する安息香酸エステル化合物が好ましい。
【0058】
α−アミノアルキルフェノン化合物の具体例としては、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル化合物の具体例としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、1−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)などが挙げられる。アミノ基を有するベンゾフェノン化合物の具体例としては、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。アミノ基を有する安息香酸エステル化合物の具体例としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどが挙げられる。
【0059】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(B)光重合開始剤の含有量の含有量に特に制限はないが、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分中0.1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。上記範囲とすることで、硬化を十分に進めることができ、かつ残留した重合開始剤の溶出などを防ぎ耐溶剤性を確保することができる。
【0060】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(C)多官能モノマーを含有する。光照射により上記(B)光重合開始剤によって(C)多官能モノマーの重合が進行し、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の露光部がアルカリ水溶液に対して不溶化し、ネガ型のパターンを形成することができる。多官能モノマーとは、分子中に少なくとも2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物をいい、特に限定するわけでないが、ラジカル重合のしやすい(メタ)アクリル基を有する多官能モノマーが好ましい。また、(C)多官能モノマーの二重結合当量は80g/mol以上400g/mol以下であることが、感度、硬度の点から好ましい。
【0061】
(C)多官能モノマーとしてはたとえばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカアクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタメタクリレート、トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、テトラペンタエリスリトールノナメタクリレート、テトラペンタエリスリトールデカメタクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカメタクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、(2−アクリロイルオキシプロポキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)−3、5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)−3、5−ジメチルフェニル]フルオレン、などが挙げられる。
中でも、感度向上の観点から、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、などが好ましい。また、疎水性向上の観点から、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどが好ましい。
【0062】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(C)多官能モノマーの含有量に特に制限はなく、所望の膜厚や用途により任意に選ぶことができるが、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分中10wt%以上60wt%以下が一般的である。
【0063】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)ジルコニウム化合物を含有する。(D)ジルコニウム化合物を含有することで、得られる硬化膜の耐湿熱性が向上する。カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基由来の親水性であるため耐湿熱性に乏しいが、(D)ジルコニウム化合物を含有することで硬化膜の耐湿熱性が向上する。これまでに、一部のジルコニウム化合物がポリシロキサンに対して耐湿熱性向上効果を持つことが知られているが(特許文献1参照)、該公知例ではポリシロキサンの側鎖が疎水性基に限られ、結果として得られる硬化膜も疎水性となるため、カルボキシル基などの親水性基を有する場合の効果は明かではなかった。本発明では、ポリシロキサンに限らず、親水性樹脂であるカルボキシル基含有アルカリ可溶性樹脂が、(D)ジルコニウム化合物を含有することで硬化膜の耐湿熱性が向上することを今回初めて見出した。その詳細なメカニズムについては明らかではないが、(D)ジルコニウム化合物が、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂の複数のカルボキシル基と反応する事によって架橋構造を形成し、膜密度が向上すると同時に、カルボキシル基由来の親水性が低減することにより、得られる硬化膜の耐湿熱性が向上するものと考えられる。(D)ジルコニウム化合物は、ジルコニウム原子を含む化合物であれば特に制限はないが、たとえば平均粒径が100nm以下のジルコニウム酸化物粒子や、一般式(1)で表される化合物が好ましい。ジルコニウム酸化物粒子の平均粒径は、さらに好ましくは、40nm以下である。ジルコニウム酸化物粒子の平均粒径を100nm以下とすることで、得られる硬化膜の白濁を防ぐことができる。
【0064】
【化2】
【0065】
(Rは水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基およびその置換体を表し、RおよびRは水素、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基およびその置換体を表す。複数のR、RおよびRは同じでも異なっても良い。nは0〜4の整数を表す。)
ここで、平均粒径とは、コールター法によって測定した粒度分布より求められるメディアン径を意味する。
【0066】
平均粒径が100nm以下のジルコニウム酸化物粒子は市販品を用いることができ、具体例としては、「バイラールZr−C20(商品名)」(平均粒径20nm、多木化学(株)製)、「ナノユースOZ−30M(商品名)」(平均粒径7nm)(日産化学工業(株)製)、「ZSL−10T(商品名)」(平均粒径15nm)、「ZSL−10A(商品名)」(平均粒径70nm)(以上、第一稀元素化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0067】
一般式(1)中、Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、フェニル基、ビニル基などが挙げられる。中でも化合物が安定であることからn−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基が好ましい。RおよびRは水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ビニル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、ベンジルオキシ基などが挙げられる。中でも合成が容易であり、かつ化合物が安定であることからメチル基、t−ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0068】
一般式(1)で表される化合物としては、たとえば、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラセカンダリブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラベンゾイルアセトネート、ジルコニウムテトラジベンゾイルメタネート、ジルコニウムモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムモノノルマルブトキシエチルアセトアセテートビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムモノノルマルブトキシトリアセチルアセトネート、ジルコニウムモノノルマルブトキシトリアセチルアセトネート、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルマロネート)、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(ベンゾイルアセトネート)、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(ジベンゾイルメタネート)などが挙げられる。中でも各種溶剤への溶解性および/または化合物の安定性の点からジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラフェノキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムテトラメチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルマロネート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテート、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)およびジルコニウムモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
【0069】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、(D)ジルコニウム化合物の含有量に特に制限はないが、平均粒径が100nm以下のジルコニウム酸化物粒子の場合はネガ型感光性樹脂組成物の固形分中1wt%以上60wt%以下が好ましく、それ以外の(D)ジルコニウム化合物の場合はネガ型感光性樹脂組成物の固形分中0.1wt%以上10wt%以下が好ましい。上記範囲であることにより、透明性、耐湿熱性を高いレベルで両立出来る。
【0070】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤を含有することで、樹脂組成物の保存安定性が向上し、現像後の解像度が向上する。重合禁止剤の含有量は、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分中0.01wt%以上1wt%以下が好ましい。
【0071】
重合禁止剤の具体例としては、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2,6−ジ(t−ブチル)−p−クレゾール、フェノチアジン、4−メトキシフェノールなどが挙げられる。
【0072】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有することで、得られる硬化膜の耐光性が向上し、パターン加工を必要とする用途では現像後の解像度が向上する。紫外線吸収剤としては特に限定はなく公知のものが使用できるが、透明性、非着色性の面から、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物が好ましく用いられる。
【0073】
ベンゾトリアゾール系化合物の紫外線吸収剤としては、2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−tert−ペンチルフェノール、2−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物の紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。トリアジン系化合物の紫外線吸収剤としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどが挙げられる。
【0074】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、溶媒を含有してもよい。各成分を均一に溶解し、得られる塗布膜の透明性を向上させることができる点で、アルコール性水酸基を有する化合物またはカルボニル基を有する環状化合物が好ましく用いられる。これらを2種以上用いてもよい。また、大気圧下の沸点が110℃以上250℃以下である化合物がより好ましい。沸点を110℃以上とすることで、塗膜時に適度に乾燥が進み、塗布ムラのない良好な塗膜が得られる。一方、沸点を250℃以下とした場合、膜中の残存溶剤量を少なく抑えることができ、熱硬化時の膜収縮をより低減できるため、より良好な平坦性が得られる。
【0075】
アルコール性水酸基を有し、大気圧下の沸点が110℃以上250℃以下である化合物の具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどが挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点からはジアセトンアルコールが好ましく、段差被覆性の点からはプロピレングリコールモノt−ブチルエーテルが特に好ましく用いられる。
【0076】
カルボニル基を有し、大気圧下の沸点が110℃以上250℃以下である環状化合物の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンなどが挙げられる。これらの中でも、γ−ブチロラクトンが特に好ましく用いられる。
【0077】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、上記以外の溶媒を含有してもよい。例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのアセテート類などが挙げられる。
【0078】
溶媒の含有量に特に制限はなく、塗布方法などに応じて任意の量用いることができる。例えば、スピンコーティングにより膜形成を行う場合には、ネガ型感光性樹脂組成物全体の50wt%以上95wt%以下とすることが一般的である。
【0079】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化を促進させる、あるいは硬化を容易ならしめる各種の硬化剤を含有してもよい。硬化剤としては特に限定はなく公知のものが使用できるが、具体例としては、窒素含有有機物、シリコーン樹脂硬化剤、各種金属アルコレート、各種金属キレート化合物、イソシアネート化合物およびその重合体、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。なかでも、硬化剤の安定性、得られた塗布膜の加工性などから金属キレート化合物、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体が好ましく用いられる。
【0080】
ポリシロキサンは酸により硬化が促進されるので、本発明のネガ型感光性樹脂組成物にポリシロキサンを使用する場合は熱酸発生剤などの硬化触媒を含有してもよい。熱酸発生剤としては特に限定はなく公知のものが使用できるが、芳香族ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレニウム塩などの各種オニウム塩系化合物、スルホン酸エステル、ハロゲン化合物などが挙げられる。
【0081】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、塗布時のフロー性向上のために、各種のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、“メガファック(登録商標)”「F142D(商品名)」、「F172(商品名)」、「F173(商品名)」、「F183(商品名)」、「F445(商品名)」、「F470(商品名)」、「F475(商品名)」、「F477(商品名)」(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、「NBX−15(商品名)」、「FTX−218(商品名)」((株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤、「BYK−333(商品名)」、「BYK−301(商品名)」、「BYK−331(商品名)」、「BYK−345(商品名)」、「BYK−307(商品名)」、「BYK−352(商品名)」(ビックケミー・ジャパン(株)製)などのシリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
【0082】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、溶解抑止剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
【0083】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度に特に制限はなく、塗布方法などに応じて任意の量の溶媒や溶質を用いることができる。例えば、後述のようにスピンコーティングにより膜形成を行う場合には、固形分濃度を5wt%以上50wt%以下とすることが一般的である。
【0084】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の代表的な製造方法について以下に説明する。
【0085】
例えば、(B)光重合開始剤、(D)ジルコニウム化合物とその他の添加剤を任意の溶媒に加え、撹拌して溶解させた後、(A)カルボン酸当量が200g/mol以上1,400g/mol以下であるアルカリ可溶性樹脂および(C)多官能モノマーを加えさらに20分〜3時間撹拌する。得られた溶液を濾過し、ネガ型感光性樹脂組成物が得られる。
【0086】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成方法について例を挙げて説明する。
【0087】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどの公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークする。プリベークは、50℃以上150℃以下の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1μm以上15μm以下とすることが好ましい。
【0088】
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(以下、PLA)などの露光機を用いて、10〜4,000J/m程度(波長365nm露光量換算)の光を所望のマスクを介してあるいは介さずに照射する。露光光源に制限はなく、i線、g線、h線などの紫外線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザーなどを用いることができる。その後、この膜をホットプレート、オーブンなどの加熱装置で150℃以上450℃以下の範囲で1時間程度加熱する露光後ベークを行ってもよい。
【0089】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、PLAによる露光での感度が100J/m以上4,000J/m以下であることが好ましい。前記のPLAによるパターニング露光での感度は、例えば以下の方法により求められる。組成物をシリコンウエハにスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて120℃で2分間プリベークし、膜厚2μmの膜を作製する。作製した膜をPLA(キヤノン(株)製「PLA−501F(商品名)」)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介して露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製「AD−2000(商品名)」)を用いて0.4wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で任意の時間パドル現像し、次いで水で30秒間リンスする。形成されたパターンにおいて、30μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅で解像する露光量を感度として求める。
【0090】
パターニング露光後、現像により露光部が溶解し、ネガ型のパターンを得ることができる。現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、コリンなどの4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液などが挙げられる。現像後、水でリンスすることが好ましく、続いて50℃以上150℃以下の範囲で乾燥ベークを行ってもよい。その後、この膜をホットプレート、オーブンなどの加熱装置で120℃以上280℃以下の範囲で1時間程度熱硬化することにより、硬化膜を得る。
【0091】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、ジルコニウム原子含有量が0.02wt%以上7.5wt%以下、炭素原子含有量が25wt%以上80wt%以下、ケイ素原子含有量が0.5wt%以上20wt%以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、透過率、硬度、耐湿熱性をバランス良く維持することが出来る。また、解像度は20μm以下であることが好ましい。硬化膜の膜厚に特に制限はないが、0.1μm以上15μm以下が好ましい。また、膜厚1.5μmにおいて硬度が4H以上、透過率が90%以上であることが好ましい。なお、透過率は波長400nmにおける透過率を指す。硬度や透過率は、露光量、熱硬化温度の選択によって調整することができる。
【0092】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、タッチパネル用保護膜、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルムなどの各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサーなどに用いることができる。これらの中でも、高い硬度と透明性を有することから、タッチパネル用保護膜として好適に用いることができる。タッチパネルの方式としては、抵抗膜式、光学式、電磁誘導式、静電容量式などが挙げられる。静電容量式タッチパネルは特に高い硬度が求められることから、本発明の硬化膜を好適に用いることができる。
【0093】
さらに、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、高い耐湿熱性を有することから、金属配線保護膜として好適に用いることができる。金属配線上に形成することにより、金属の腐食等による劣化(導電性の低下など)を防ぐことが出来る。保護する金属に特に制限はないが、たとえば、銅、銀、アルミニウム、クロム、モリブデン、チタン、ITO、IZO(酸化インジウム亜鉛)、AZO(アルミニウム添加酸化亜鉛)、ZnOなどが挙げられる。特にモリブデンを含有するタッチパネル部材において好適に用いることが出来る。ここでいうタッチパネル部材とは、電極および絶縁膜および/または保護膜を具備する、ガラスまたはフィルム基板であり、タッチパネル用センサー基板として用いることが出来る部材を指す。
【0094】
タッチパネル部材の作製方法に特に制限は無いが、例えば次のような方法が挙げられる。ガラス基板上に透明電極薄膜を任意の膜厚で形成し、レジスト材料をフォトリソグラフィー技術によりパターン加工、該透明電極のエッチング液による薬液エッチング、剥離液によるレジスト剥離工程を経て、X軸電極およびY軸電極の一部を形成する透明電極がパターン加工されたガラス基板を作製する(図1-a)。透明電極にはITO、IZO、AZO、ZnO、錫アンチモン酸、等の金属酸化物、または金、銀、銅、アルミニウム等の金属の薄膜などが上げられる。これらの透明導電極は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビーム蒸着等の物理的方法や化学的気相成長法など、従来より行われている方法によって形成する事が出来る。続いて後から形成する電極と交差する部位に、透明絶縁膜として本発明のネガ型感光性樹脂組成物より得られる硬化膜を形成する(図1-b)。その後、ICドライバとの接続配線およびY軸電極導通配線を、電極薄膜を任意の膜厚で形成したのち、レジストパターン加工、エッチング、レジスト剥離の工程を経て形成する(図1-c)。ここでの電極としては、前記透明電極材料に加え、モリブデン、モリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜(MAM)、モリブデン−ニオブ合金、クロム、チタン、チタン/アルミニウム/チタン積層膜(TAT)、アルミニウムなどが挙げられる。最後に、基板端部(図1-cの上辺左部および右辺下部)のICドライバとの接続部位以外の部分に透明保護膜を、本発明のネガ型感光性樹脂組成物より得られる硬化膜にて作製し、タッチパネル部材が得られる。図2は上記タッチパネル部材作製例の断面図である。
【実施例】
【0095】
以下に本発明をその実施例を用いて説明するが、本発明の様態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(合成例1:ポリシロキサン溶液(i)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸26.23g(0.10mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、ダイアセトンアルコール(以下、DAA)を185.08g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水55.8gにリン酸0.391g(仕込みモノマーに対して0.2wt%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。40℃で1時間撹拌した後、オイルバス温度を70℃に設定して1時間撹拌し、さらにオイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(i)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ8,000(ポリスチレン換算)であった。また、カルボン酸当量は620g/molであった。
(合成例2:ポリシロキサン溶液(ii)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸13.12g(0.05mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、DAAを174.74g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.9gにリン酸0.379g(仕込みモノマーに対して0.2wt%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール、水が合計110g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(ii)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ6,000(ポリスチレン換算)であった。また、カルボン酸当量は1,190g/molであった。
(合成例3:ポリシロキサン溶液(iii)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを27.24g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸65.58g(0.25mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、DAAを198.02g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水58.5gにリン酸0.416g(仕込みモノマーに対して0.2wt%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール、水が合計130g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(iii)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ7,000(ポリスチレン換算)であった。また、カルボン酸当量は280g/molであった。
(合成例4:ポリシロキサン溶液(iv)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを34.05g(0.20mol)、フェニルトリメトキシシランを39.66g(0.20mol)、3−トリメトキシシリル酪酸41.66g(0.20mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシランを82.04g(0.35mol)、DAAを182.22g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.0gにリン酸0.395g(仕込みモノマーに対して0.2wt%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにDAAを加えてポリシロキサン溶液(iv)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ8,000(ポリスチレン換算)であった。また、カルボン酸当量は640g/molであった。
(合成例5:ポリシロキサン溶液(v)の合成)
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを68.10g(0.50mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.50mol)、3−メチル−3−メトキシブタノール(以下、MMB)を143.37g仕込み、40℃のオイルバスに漬けて撹拌しながら水54.0gにリン酸0.167g(仕込みモノマーに対して0.1wt%)を溶かしたリン酸水溶液を滴下ロートで10分かけて添加した。次いで合成例1と同条件で加熱撹拌したところ、副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサンのMMB溶液に、ポリマー濃度が40wt%となるようにMMBを加えてポリシロキサン溶液(v)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCにより測定したところ8,000(ポリスチレン換算)であった。また、カルボン酸当量は0g/molであった。この合成例5は特許文献1に記載された態様である。
(合成例6:アクリル樹脂溶液(a)の合成)
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3g、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、PGMEA)を50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を23.0g、ベンジルメタクリレートを31.5g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを32.8g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを12.7g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂溶液(a)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(a)に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂の重量平均分子量は18,000、カルボン酸当量は560g/molであった。
(合成例7:アクリル樹脂溶液(b)の合成)
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3g、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)を50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を16.8g、ベンジルメタクリレートを34.4g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを36.9g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを11.9g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂溶液(b)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(b)に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂の重量平均分子量は13,000、カルボン酸当量は890g/molであった。
(合成例8:アクリル樹脂溶液(c)の合成)
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を33.9g、ベンジルメタクリレートを34.4g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを36.9g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを14.0g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂溶液(c)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(c)に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂の重量平均分子量は24,000、カルボン酸当量は340g/molであった。
(合成例9:アクリル樹脂溶液(d)の合成)
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を8.24g、ベンジルメタクリレートを35.5g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを45.5g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを10.7g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂溶液(d)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(d)に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂の重量平均分子量は9,000、カルボン酸当量は4,600g/molであった。
(合成例10:アクリル樹脂溶液(e)の合成)
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を69.5g、ベンジルメタクリレートを7.9g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを9.9g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを12.8g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂溶液(e)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(e)に固形分濃度が40wt%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂の重量平均分子量は40,000、カルボン酸当量は140g/molであった。
【0096】
合成例1〜9の組成をまとめて表1に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
各実施例・比較例における評価方法を以下に示す。
(1)透過率の測定
作製したネガ型感光性樹脂組成物を5cm角のテンパックスガラス基板(旭テクノガラス板(株)製)にスピンコーター(ミカサ(株)製「1H−360S(商品名)」)を用いて500rpmで10秒回転した後、1,000rpmで4秒回転してスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW−636(商品名)」)を用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚2μmの膜を作製した。作製した膜をパラレルライトマスクアライナー(以下PLAという)(キヤノン(株)製「PLA−501F(商品名)」)を用いて超高圧水銀灯を光源として露光し、オーブン(エスペック(株)製「IHPS−222」)を用いて空気中230℃で1時間キュアして膜厚1.5μmの硬化膜を作製した。
【0099】
得られた硬化膜について、紫外−可視分光光度計「UV−260(商品名)」(島津製作所(株)製)を用いて、400nmの透過率を測定した。なお、膜厚は大日本スクリーン製造(株)製「ラムダエースSTM−602(商品名)」を用いて屈折率1.55で測定した。以下に記載する膜厚も同様である。
(2)硬度の測定
前記(1)記載の方法で得られた膜厚1.5μmの硬化膜について、JIS K 5600-5-4(1999)に準拠して鉛筆硬度を測定した。
(3)耐湿熱性
モリブデンスパッタ膜を具備するガラス上に、前記(1)記載の方法で硬化膜を作製した後、気温85℃、湿度85%のオーブン(エスペック株式会社、「EX−111(商品名)」)内に300時間放置する試験を行った後、モリブデンの変色度合いを評価した。また、モリブデンスパッタ膜のみのガラス基板も同時に試験を行い、試験前後の変色度合いの指標とし、以下のように判定した。
【0100】
5:試験前後で、硬化膜下のモリブデンに変色が見られない。
【0101】
4:試験前後で、硬化膜下のモリブデンが硬化膜に覆われていないものと比較し、1割程度変色した。
【0102】
3:試験前後で、硬化膜下のモリブデンが硬化膜に覆われていないものと比較し、2割程度変色した。
【0103】
2:試験前後で、硬化膜下のモリブデンが硬化膜に覆われていないものと比較し、4割程度変色した。
【0104】
1:試験前後で、硬化膜下のモリブデンが硬化膜に覆われていないものと比較し、6割程度以上変色した。
(4)パターン加工性
(4−1)感度
ネガ型感光性樹脂組成物Aをシリコンウエハにスピンコーター(ミカサ(株)製「1H−360S(商品名)」)を用いて500rpmで10秒回転した後、1,000rpmで4秒回転してスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製「SCW−636(商品名)」)を用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚2μmのプリベーク膜を作製した。得られたプリベーク膜に、PLAを用いて超高圧水銀灯を光源として、感度測定用のグレースケールマスクを介して100μmのギャップで露光した。その後、自動現像装置(「AD−2000(商品名)」、滝沢産業(株)製)を用いて、水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAH)の0.4wt%(または2.38wt%)水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。
【0105】
露光、現像後、30μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。露光量はI線照度計で測定した。
(4−2)解像度
最適露光量における現像後の最小パターン寸法を測定した。
(4−3)現像後残さ
前記(4−1)に記載の方法でシリコンウエハ上にパターン加工した後、未露光部の溶け残り程度により以下のようにして判定した。
【0106】
5:目視では解け残りが無く、顕微鏡の観察においても50μm以下の微細パターンも残渣がない。
【0107】
4:目視では解け残りが無く、顕微鏡観察において50μm以上のパターンには残渣がないが、50μm以下のパターンには残渣がある。
【0108】
3:目視では解け残りが無いが、顕微鏡観察において50μm以上のパターンに残渣がある。
【0109】
2:目視で、基板端部(厚膜部)に解け残りがある。
【0110】
1:目視で、未露光部全体に解け残りがある。
(実施例1)
黄色灯下にて1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](「イルガキュアOXE−01(商品名)」チバスペシャリティケミカル製)0.277gをDAA2.846g、PGMEA2.317gに溶解させ、ジルコニウムジノルマルブトキシビス(エチルアセトアセテート)(70wt%1−ブタノール溶液)(「オルガチックスZC−580(商品名)」、マツモトファインケミカル製)0.227g、シリコーン系界面活性剤である「BYK−333(商品名)」(ビックケミージャパン(株)製)のPGMEA1wt%溶液0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコールのPGMEA1wt%溶液1.661gを加え、撹拌した。そこへ、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(「“カヤラッド(登録商標)”DPHA(商品名)」、新日本化薬製)のPGMEA50重量%溶液5.538g、ポリシロキサン溶液(i)6.923gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−1)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−1)について、前記方法で透過率、硬度、耐湿熱性、パターン加工性を評価した。
(実施例2)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにポリシロキサン溶液(ii)を用いる以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−2)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−2)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。ただし、現像液には2.38wt%TMAH水溶液を用いた。
(実施例3)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにポリシロキサン溶液(iii)を用いる以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−3)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−3)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例4)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにポリシロキサン溶液(iv)を用いる以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−4)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−4)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例5)
黄色灯下にて2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(「イルガキュア907(商品名)」チバスペシャリティケミカル製)0.503g、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(「EAB−F(商品名)」保土谷化学工業(株)製)0.026gをDAA3.030g、PGMEA2.515g、「ZC−580(商品名)」0.227g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.588gを加え、撹拌した。そこへ、「DPHA」(50wt%PGMEA溶液)5.294g、ポリシロキサン溶液(i)6.617gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−5)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−5)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例6)
イルガキュアOXE−01の替わりにエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(「イルガキュアOXE−02(商品名)」チバスペシャリティケミカル製)を用いる以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−6)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−6)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例7)
「DPHA(商品名)」の代わりにトリペンタエリスリトールオクタアクリレート(「V#802(商品名)」、大阪有機化学(株)製)を用いる以外は、実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−7)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−7)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例8)
「DPHA(商品名)」の代わりに「V#802(商品名)」(50%PGMEA溶液)3.323gと9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(「BPEFA(商品名)」、大阪ガスケミカル製)(50wt%PGMEA溶液)2.215gを用いる以外は、実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−8)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−8)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例9)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.277g、DAA2.846g、PGMEA2.016g、「ナノユースOZ−30M(商品名)」(メタノール溶液、固形分=30.9wt%)0.538g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.661gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50%PGMEA溶液)5.538g、ポリシロキサン溶液(i)6.923gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−9)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−9)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例10)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.239g、DAA3.410g、PGMEA0.846g、「ナノユースOZ−30M(商品名)」(メタノール溶液、固形分=30.9wt%)3.098g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.436gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50%PGMEA溶液)4.787g、ポリシロキサン溶液(i)5.984gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−10)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−10)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例11)
「ナノユースOZ−30M(商品名)」0.538gの代わりに、「バイラールZr−C20(商品名)」(メタノール溶液、固形分=20wt%)を0.831g用いる以外は実施例9と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−11)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−11)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例12)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.277g、DAA2.846g、PGMEA2.388g、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(「ナーセムジルコニウム(商品名)」、日本化学産業製)0.166g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.661gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50wt%PGMEA溶液)5.538g、ポリシロキサン溶液(i)6.923gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−12)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−12)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例13)
ナーセムジルコニウムの添加量を0.017gとする以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−13)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−13)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例14)
ナーセムジルコニウムの添加量を0.323gとする以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−14)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−14)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例15)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムテトラプロポキシドを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−13)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−13)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例16)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムテトラフェノキシドを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−14)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−14)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例17)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムテトラ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)を用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−15)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−15)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例18)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムテトラメチルマロネートを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−16)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−16)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例19)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムテトラベンゾイルアセトネートを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−17)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−17)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例20)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコニウムモノノルマルブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)を用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−18)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−18)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例21)
ナーセムジルコニウムの替わりにジクロロビス(η5−シクロペンタジエニル)ジルコニウムを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−19)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−19)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例22)
ナーセムジルコニウムの替わりにビス(η5-シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドヒドリドを用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−20)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−20)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例23)
ナーセムジルコニウムの替わりにジルコノセンビス(トリフルオロメタンスルホナート) テトラヒドロフラン付加物を用いる以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(S−21)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(S−21)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例24)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−1)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−1)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例25)
ポリシロキサン溶液(ii)の替わりにアクリル樹脂溶液(b)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例2と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−2)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−2)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。ただし、現像液には2.38wt%TMAH水溶液を用いた。
(実施例26)
ポリシロキサン溶液(iii)の替わりにアクリル樹脂溶液(c)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例3と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−3)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−3)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例27)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例5と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−4)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−4)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例28)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例6と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−5)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−5)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例29)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例7と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−6)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−6)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例30)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例8と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−7)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−7)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例31)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例9と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−8)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−8)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例32)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例10と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−9)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−9)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例33)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例11と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−10)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−10)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例34)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例12と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−11)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−11)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例35)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例13と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−12)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−12)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例36)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例14と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−13)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−13)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例37)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例15と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−14)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−14)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例38)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例16と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−15)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−15)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例39)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例17と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−16)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−16)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例40)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例18と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−17)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−17)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例41)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例19と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−18)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−18)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例42)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例20と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−19)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−19)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例43)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例21と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−20)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−20)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例44)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例22と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−21)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−20)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例45)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(a)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例23と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(A−22)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(A−20)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(実施例46)
以下の手順に従い、タッチパネル部材を作製した。
(1)ITOの作製
厚み約1mmのガラス基板にスパッタリング装置HSR−521A((株)島津製作所製)を用いて、RFパワー1.4kW、真空度6.65×10−1Paで12.5分間スパッタリングすることにより、膜厚が150nmで、表面抵抗が15Ω/□のITOを成膜し、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製「OFPR−800」)を塗布し、80℃で20分間プリベークして膜厚1.1μmのレジスト膜を得た。PLAを用いて、得られた膜に超高圧水銀灯をマスクを介してパターン露光した後、自動現像装置を用いて2.38wt%TMAH水溶液で90秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、40℃のHCl/HNO/HO=18/4.5/77.5(重量比)混合溶液に80秒浸すことでITOをエッチングし、50℃の剥離液(ナガセケムテックス(株)製「N−300」)で120秒処理することでフォトレジストを除去し、膜厚200オングストロームのパターン加工された透明電極を有するガラス基板を作製した。
(2)透明絶縁膜の作製
得られたガラス基板上にネガ型感光性樹脂組成物(A−1)を用い、上述の評価の方法の手順に従い透明絶縁膜を作製した。
(3)モリブデン/アルミニウム/モリブデン積層膜(MAM)配線の作製
得られたガラス基板上に、ターゲットとしてモリブデンおよびアルミニウムを用い、エッチング液としてHPO/HNO/CHCOOH/HO=65/3/5/27(重量比)混合溶液を用いる以外は(1)と同様の手順によりMAM配線を作製した。
(4)透明保護膜の作製
得られたガラス基板上にネガ型感光性樹脂組成物(A−1)を用い、上述の評価の方法の手順に従い透明保護膜を作製した。
【0111】
テスターを用いて接続部の導通テスト実施したところ、電流の導通が確認された。
(比較例1)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(d)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(H−1)を得た。ここで、アクリル樹脂溶液(d)のカルボン酸当量は4,600g/molであった。得られた樹脂組成物(H−1)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。なお、未露光部が2.38wt%TMAH水溶液に溶解せず、パターン加工が出来なかったため、それ以外の評価は現像を行わずに行った。
(比較例2)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにアクリル樹脂溶液(e)を用い、DAAの替わりに同量のPGMEAをさらに加える以外は実施例1と同様に行い、樹脂組成物(H−2)を得た。ここで、アクリル樹脂溶液(e)のカルボン酸当量は140g/molであった。得られた樹脂組成物(H−2)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(比較例3)
黄色灯下にて、PGMEA4.740g、「ZC−580(商品名)」0.249g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.742gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50wt%PGMEA溶液)5.806g、アクリル樹脂溶液(a)7.258gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、樹脂組成物(H−3)を得た。この樹脂組成物(H−3)に光重合開始剤は含まれていない。得られた樹脂組成物(H−3)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。なお、露光部・未露光部ともに0.4wt%TMAH水溶液に溶解性し、パターン加工が出来なかったため、それ以外の評価は現像を行わずに行った。
(比較例4)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.277g、PGMEA3.778g、「ZC−580(商品名)」0.237g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.661gを加え、撹拌した。アクリル樹脂溶液(a)13.846gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、樹脂組成物(H−4)を得た。この樹脂組成物(H−4)に多官能モノマーは含まれていない。得られた樹脂組成物(H−4)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(比較例5)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.285g、PGMEA4.990gシリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.709gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50wt%PGMEA溶液)5.696g、アクリル樹脂溶液(a)7.120gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、樹脂組成物(H−5)を得た。この樹脂組成物(H−5)にジルコニウム化合物は含まれていない。得られた樹脂組成物(H−5)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(比較例6)
黄色灯下にて、「OXE−01(商品名)」0.285g、PGMEA2.262g、DAA2.846g、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(1wt%PGMEA溶液)0.2000g(濃度100ppmに相当)、4−t−ブチルカテコール(1wt%PGMEA溶液)1.709gを加え、撹拌した。「DPHA(商品名)」(50wt%PGMEA溶液)5.696g、ポリシロキサン溶液(i)7.120gを加えて、撹拌した。次いで0.45μmのフィルターでろ過を行い、樹脂組成物(H−6)を得た。この樹脂組成物(H−6)にジルコニウム化合物は含まれていない。得られた樹脂組成物(H−6)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。
(比較例7)
ポリシロキサン溶液(i)の替わりにポリシロキサン溶液(v)を用いる以外は実施例1と同様に行い、ネガ型感光性樹脂組成物(H−7)を得た。得られたネガ型感光性樹脂組成物(H−7)を用いて、実施例1と同様にして評価を行った。なお、未露光部が0.4wt%TMAH水溶液に溶解しなかった。
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【符号の説明】
【0115】
1:ガラス基板
2:透明電極
3:透明絶縁膜
4:配線電極
5:透明保護膜
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、タッチパネルの保護膜などの各種ハードコート膜の他、タッチパネル用絶縁膜、液晶や有機ELディスプレイのTFT用平坦化膜、金属配線保護膜、絶縁膜、反射防止膜、反射防止フィルム、光学フィルター、カラーフィルター用オーバーコート、柱材などに好適に用いられる。
図1
図2