(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0025】
[実施形態1]
<印字ヘッド機構の構成>
以下、
図1〜
図3を参照して、本実施形態1に係る印字ヘッド機構の構成につき説明する。
図1は、実施形態1に係る印字ヘッド機構を搭載する媒体処理装置の構成を示す図である。また、
図2及び
図3は、それぞれ、実施形態1に係る印字ヘッド機構の構成を示す図である。
【0026】
本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、主走査方向に摺動する印字ヘッド部8(
図2参照)を有しており、印字ヘッド部8によって、副走査方向に搬送される媒体15の印字面に印字する機構である。
【0027】
図1に示すように、印字ヘッド機構100は、媒体15に対して各種の処理を行う媒体処理装置1000に搭載されている。
図1(a)は、側面方向から見た媒体処理装置1000の内部の構成を示しており、
図1(b)は、上方向から見た媒体処理装置1000の内部の構成を示している。
【0028】
ここでは、媒体処理装置1000が通帳伝票プリンタとして構成されている場合を想定して説明する。「通帳伝票プリンタ」は、金融機関等の窓口に設置され、通帳や証書等の媒体15に印字するプリンタである。通帳伝票プリンタは、通常、インパクトプリンタとして構成されている。通帳伝票プリンタは、媒体15に印字する以外に、媒体15に貼付された磁気ストライプに書き込まれた磁気情報の読み取りや、媒体15に印字された文字情報の読み取り等も行うことができる。なお、媒体15は、帳票等の単票の媒体の場合もあれば、通帳等の冊子状の媒体の場合もある。
【0029】
媒体処理装置1000は、筐体の前面に、媒体挿入口1が設けられている。媒体挿入口1は、媒体15を筐体の内部に挿入するための開口部である。媒体処理装置1000は、媒体挿入口1の奥に、媒体15を走行させる搬送路7を有している。また、媒体処理装置1000は、搬送路7の両横に、媒体15が搬送路7の外に飛び出すのを防止するサイドフレーム2,3(
図1(b)参照)を有している。さらに、媒体処理装置1000は、搬送路7の経路上に、搬送ローラ対4,5と、印字ヘッド機構100とを有している。
【0030】
「搬送ローラ対4,5」は、それぞれ、媒体15を副走査方向に搬送するための搬送手段である。搬送ローラ対4,5は、それぞれ、搬送路7の上下に対向して配置された駆動ローラと従動ローラとによって構成されている。媒体処理装置1000は、搬送駆動部99a(
図1(b)参照)によって搬送ローラ対4,5の駆動ローラを回転駆動させて、媒体15を副走査方向に搬送する。
【0031】
「印字ヘッド機構100」は、媒体15に対して、印字面への印字処理を行う機構である。印字ヘッド機構100は、媒体15に印字する機能に加え、媒体15の主走査方向の幅を検知する機能を備えている。本実施形態1では、印字ヘッド機構100は、搬送ローラ対4と搬送ローラ対5との間に配置されている。
【0032】
図2に示すように、印字ヘッド機構100は、印字ヘッド部8とプラテン9と支持シャフト11とを有している。また、印字ヘッド機構100は、摺動駆動部99b(
図1(b)参照))も有している。
【0033】
「印字ヘッド部8」は、媒体15の印字面(
図2に示す例では、媒体15の上面)に印字する構成要素である。印字ヘッド部8は、印字時に主走査方向に摺動する摺動部材となる。
【0034】
印字ヘッド部8は、その先端付近に、印字ヘッドローラ10(
図2参照)を備えている。「印字ヘッドローラ10」は、印字ヘッド部8に加わる衝撃を緩和するためのローラである。印字ヘッドローラ10は、印字ヘッド部8の先端付近に、主走査方向に回転自在に軸支されている。
【0035】
「プラテン9」は、媒体15の非印字面(
図2に示す例では、媒体15の下面)に当接して、媒体15を支持する支持部材である。プラテン9は、搬送路7を挟んで、印字ヘッド部8に対向して主走査方向に延在して配置されている。
【0036】
プラテン9は、表面(媒体15の非印字面及び印字ヘッド部8に対向する側の面)が平坦な形状に形成されている。プラテン9は、上下方向に可動する構成になっている。プラテン9は、図示せぬ付勢手段によって上方向に付勢されており、媒体15がプラテン9の上を通過する際に、媒体15の厚さに応じて下方向に可動する。
【0037】
「支持シャフト11」は、印字ヘッド部8に設けられた図示せぬ係合部と係合して、印字ヘッド部8を摺動自在に支持する部材である。支持シャフト11は、主走査方向に延在して設けられている。
【0038】
「摺動駆動部99b(
図1(b)参照))」は、印字ヘッド部8を主走査方向に摺動させる構成要素である。印字ヘッド部8は、図示せぬ係合部によって支持シャフト11に係合されている。印字ヘッド機構100は、印字時に、摺動駆動部99bによって、その印字ヘッド部8を、支持シャフト11に沿って主走査方向に往復して摺動させる。
【0039】
また、印字ヘッド機構100は、フラップ機構101を有している。「フラップ機構101」は、表面が平坦な支持部材(ここでは、プラテン9)と支持部材の表面上を摺動する摺動部材(ここでは、印字ヘッド部8)との間にフラップ12を介在させることにより、支持部材と摺動部材との間にギャップを確保する機構である。
【0040】
印字ヘッド機構100は、フラップ機構101のフラップ12により、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に一定の厚さの印字ギャップ(隙間)を確保する。また、フラップ機構101のフラップ12は、媒体15の印字面を部分的にカバーして、媒体15の印字面を保護する。その結果、印字ヘッド機構100は、図示せぬインクリボンや、印字ヘッド部8の先端、印字ヘッドローラ10等が媒体15に接触して媒体15の印字面を汚すのを防止することができる。
【0041】
図3は、印字ヘッド機構100に用いるフラップ機構101の構成を示している。
図3(a)は、側面方向から見たフラップ機構101の構成を示しており、
図3(b)は、上方向から見たフラップ機構101の構成を示している。フラップ機構101は、フラップ12と回動部101aとを有している。
【0042】
「フラップ12」は、予め設けられた回動軸(
図3に示す例では、ベース支点13ba)を中心にして、回動する部材である。フラップ12は、例えば、マイラーフィルム(ポリエステル製のフィルム)等のような、合成樹脂系の材料によって構成されている。フラップ12は、柔軟性(可撓性)を得るために、樹脂によって、厚さが一定の、薄いシート状に形成されている。フラップ12は、例えば、マイラーフィルムによって構成される場合に、好ましくは、その厚さが0.1mm以上でかつ0.3mm以下になっているとよい。
【0043】
フラップ12は、その先端部12a(
図3(a)参照)が印字ヘッド部8の印字ヘッドローラ10(
図2参照)とプラテン9との間に配置される。媒体15は、フラップ12の先端部12aとプラテン9との間を通過する。このとき、フラップ12は、柔軟性(可撓性)が与えられているため、媒体15の印字面に沿って撓む。これにより、フラップ12は、先端部12aの下を通過する媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に一定の厚さの印字ギャップを確保する。また、このとき、フラップ12は、媒体15の印字面を部分的にカバーする。これにより、フラップ12は、媒体15の印字面を保護する。これらの作用により、フラップ12は、図示せぬインクリボンや、印字ヘッド部8の先端、印字ヘッドローラ10等が媒体15に接触して媒体15の印字面を汚すのを防止する。
【0044】
本実施形態1では、フラップ12は、矩形の形状に形成されている。そして、フラップ12は、主走査方向の幅が、プラテン9の主走査方向の幅以上の幅で、かつ、サイドフレーム2とサイドフレーム3との間の間隔よりも狭い幅に形成されている(
図3(b)参照)。また、フラップ12は、副走査方向の幅が、以下の(1)〜(2)の条件を満たす幅に設定されている(
図3(a)参照)。
(1)回動部101aに取り付けることができる、という条件。
(2)先端部12aを印字ヘッドローラ10(
図2参照)とプラテン9との間に配置することができる、という条件。
【0045】
フラップ12は、回動部101aによって、プラテン9の斜め上の位置で支持される。このとき、フラップ12は、柔軟性(可撓性)が与えられているため、その自重及び先端部12a(
図3(a)参照)に貼付された後記するギャッププレート14(
図3(a)参照)の重みによって撓み、先端部12aがプラテン9の上に載置された状態になる。その結果、フラップ12は、先端部12aが印字ヘッド部8とプラテン9との間に主走査方向に延在して配置された状態になる。
【0046】
なお、フラップ12は、後端部12b(
図3(a)参照)が搬送路7側に垂れて、媒体15(
図2参照)の進路を塞がないようにする必要がある。そこで、本実施形態1では、フラップ12は、後端部12bの位置が少なくとも媒体15の厚さより高い位置に維持されるように、後端部12bを搬送路7から離間させる方向の折り癖が付けられている。
【0047】
フラップ12は、印字時に、印字ヘッド部8がその先端部12aの上を摺動する。その際に、印字ヘッド部8の印字ヘッドローラ10(
図2参照)が、フラップ12の先端部12aの上に乗り上げる。そのため、フラップ12の先端部12aは、印字ヘッドローラ10と当接する部分が特に摩耗し易い。
【0048】
そこで、本実施形態1では、フラップ12は、印字ヘッドローラ10と当接する部分の全域に亘って、粘着剤や両面テープ等によってギャッププレート14が貼付されている。「ギャッププレート14」は、フラップ12を保護する薄板である。
【0049】
ギャッププレート14は、フラップ12の硬度よりも高い硬度の材料によって構成されている。これにより、ギャッププレート14は、フラップ12の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を得ている。このような材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属を用いることができる。
【0050】
ギャッププレート14は、印字ギャップを一定の厚さで確保するために、フラップ12とともに、媒体15の印字面に沿って撓むことが好ましい。そこで、本実施形態1では、ギャッププレート14は、柔軟性(可撓性)を得るために、表面が平坦な、厚さが一定の、薄板として形成されている。なお、ギャッププレート14は、例えば、ステンレス鋼(SUS)によって構成される場合に、厚さが0.1mm以上であれば、十分な剛性を確保することができる。ただし、ギャッププレート14は、厚さが厚くなり過ぎる(例えば、0.3mm程度になる)と、柔軟性(可撓性)が低下するため、印字に不具合を生じさせる。そのため、ギャッププレート14は、例えば、ステンレス鋼(SUS)によって構成される場合に、好ましくは、その厚さが0.1mm以上でかつ0.2mm以下になっているとよい。
【0051】
ここでは、ギャッププレート14が、ステンレス鋼(SUS)の鋼板として構成されているものとして説明する。また、ギャッププレート14が、一定の厚さに薄く形成されることにより、フラップ12と同等の剛性となっているものとして説明する。
【0052】
本実施形態1では、ギャッププレート14は、主走査方向の幅がフラップ12の主走査方向の幅と同じ幅の矩形の形状に形成されている(
図3(b)参照)。なお、ギャッププレート14の副走査方向の幅は、以下の(1)〜(2)の条件を満たせば、特に限定されない。
(1)印字ヘッドローラ10(
図2参照)とフラップ12との接触を防止する、という条件。
(2)フラップ12の先端部12aがプラテン9の上に載置されるように、フラップ12を十分に撓ませることができる、という条件。
【0053】
ギャッププレート14は、フラップ12の、印字ヘッドローラ10と当接する部分に貼付されることにより、その部分(以下、「貼付部分」と称する)を保護することができる。そのため、ギャッププレート14は、フラップ12の貼付部分の摩耗を抑制することができる。その結果、印字ヘッド機構100は、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に確保された印字ギャップ(隙間)の変動を抑制することができる。
なお、ギャッププレート14は、交換可能なように、フラップ12から引き剥がせることが好ましい。
【0054】
「回動部101a」は、予め設けられた回動軸を中心にして、フラップ12を回動させる構成要素である。本実施形態1では、回動部101aは、搬送ローラ対4(
図1参照)とプラテン9との間の位置で、かつ、プラテン9に対して、斜め上の位置に配置されている。回動部101aは、ベース13と回動駆動部99c(
図3(a)参照)とを有している。
【0055】
「ベース13」は、フラップ12を回動自在に支持する部材である。
図3に示す例では、「ベース13」は、板材13aと角材13bとによって構成されている。
【0056】
「板材13a」は、フラップ12が取り付けられる部材である。板材13aは、好ましくは、金属等の剛性の高い部材によって構成されるとよい。
図3に示す例では、板材13aは、長尺で、かつ、長手方向に略L字状に折り曲げられた形状になっている。
【0057】
図3(a)に示す例では、板材13aは、L字をなす一方の部位が略水平に配置されており、他方の部位が略垂直に配置されている。以下、一方の部位を「水平部位」と称し、他方の部位を「垂直部位」と称する。
【0058】
板材13aは、フラップ12が水平部位の下面に取り付けられる。また、板材13aは、垂直部位の内側の面が角材13bの正面側の面に対向するように、角材13bに取り付けられる。その結果、フラップ12は、その先端部12aが印字ヘッド部8の印字ヘッドローラ10(
図2参照)とプラテン9との間に配置された状態になる。
【0059】
板材13aは、主走査方向の幅が、フラップ12の主走査方向の幅よりも広い幅で、かつ、サイドフレーム2とサイドフレーム3との間の間隔よりも狭い幅に形成されている(
図3(b)参照)。
【0060】
なお、板材13aの副走査方向の幅(水平部位及び垂直部位の副走査方向の幅)は、以下の(1)〜(2)の条件を満たせば、特に限定されない。
(1)フラップ12を取り付けることができる、という条件。
(2)フラップ12を回動させる際に、周囲の部材に衝突しない、という条件。
【0061】
「角材13b」は、板材13aが取り付けられる部材である。角材13bは、好ましくは、金属等の剛性の高い部材によって構成されるとよい。
図3に示す例では、角材13bは、四角柱状に形成されており、正面側の面に板材13aが取り付けられている。
【0062】
角材13bは、両側の側面にベース支点13baを備えている。ベース支点13baは、角材13bの側面から突出する突起である。ベース支点13baは、円柱状に形成されている。ベース支点13baは、サイドフレーム2,3に設けられた円形の孔2a,3a(
図3(b)参照)に挿入されることにより、回動部101aの回動軸(軸体)として機能する。すなわち、回動部101aは、ベース13の角材13bがサイドフレーム2,3によって回動自在に軸支されており、ベース支点13baを中心にして回動する。
【0063】
角材13bは、ベース支点13baを除外した部分(各面)の主走査方向の幅が、サイドフレーム2とサイドフレーム3との間の間隔よりも狭い幅に形成されている。
図3(b)に示す例では、角材13bは、ベース支点13baを除外した部分の主走査方向の幅が、フラップ12の主走査方向の幅よりも広い幅で、かつ、板材13aの主走査方向の幅よりも若干狭い幅に形成されている。
【0064】
なお、角材13bの各面の副走査方向の幅は、以下の(1)〜(2)の条件を満たせば、特に限定されない。
(1)板材13aを取り付けることができる、という条件。
(2)フラップ12を回動させる際に、周囲の部材に衝突しない、という条件。
ただし、角材13bの各面の副走査方向の幅は、板材13aの水平部位及び垂直部位の副走査方向の幅と同程度のサイズであることが好ましい。そのため、角材13bの各面の副走査方向の幅は、好ましくは、板材13aの水平部位の副走査方向の幅と垂直部位の副走査方向の幅とが同じ幅であれば、その幅に、また、これらの幅が異なれば、小さい方の幅以上でかつ大きい方の幅以下の範囲の幅にするとよい。
【0065】
「回動駆動部99c(
図3(a)参照)」は、フラップ12を回動させる構成要素である。回動部101aは、印字ヘッド部8がフラップ12の上から外れた退避位置Ps(
図1(b)参照)に移動した後に、回動駆動部99cによって、予め設けられた回動軸(
図3に示す例では、ベース支点13ba)を中心にして、フラップ12の先端部12aをプラテン9から離間させる方向に、フラップ12を回動させる。
【0066】
なお、フラップ12は、前記した通り、樹脂によって、厚さが一定の、薄いシート状に形成されている。そのため、フラップ12は、柔軟性(可撓性)を有している。しかしながら、その厚さは、回動部101aがフラップ12を回動させたときに、その回動に伴って、フラップ12の先端部12aがプラテン9から離間する(持ち上がる)程度の剛性が確保された厚さになっている。
【0067】
<印字ヘッド機構の動作>
以下、
図4〜
図7を参照して、印字ヘッド機構100の動作につき説明する。
図4〜
図7は、それぞれ、実施形態1に係る印字ヘッド機構の動作例を示す図である。ここでは、印字ヘッド機構100を搭載する媒体処理装置1000の動作についても説明する。
【0068】
図4に示すように、媒体処理装置1000は、印字時に、媒体15が媒体挿入口1から挿入される。なお、
図4(a)は、側面方向から見た状態を示しており、
図4(b)は、上方向から見た状態を示している。
【0069】
すると、媒体処理装置1000は、搬送駆動部99a(
図1(b)参照)によって搬送ローラ対4,5の駆動ローラを回転駆動させて、媒体15を搬送路7に沿って副走査方向に搬送する。そして、媒体処理装置1000は、印字位置で媒体15を停止させる。
【0070】
このとき、媒体15は、
図5に示すように、プラテン9とフラップ12との間を通過する。その際に、印字ヘッド機構100は、フラップ12が媒体15をプラテン9に押さえつけながら、印字ヘッド部8が主走査方向に摺動して媒体15の印字面に印字する。
【0071】
なお、印字ヘッド機構100は、印字ヘッドローラ10が、印字ヘッド部8の摺動に伴って、フラップ12の先端部12aに当接して回転する。そのフラップ12の先端部12aの上面には、ギャッププレート14が貼付されている。したがって、印字ヘッドローラ10は、回転しながら、
図6に示すように、ギャッププレート14を介して、フラップ12の先端部12aの上に乗り上げて主走査方向に移動する。
【0072】
このとき、媒体15の印字面から印字ヘッド部8の先端までの印字ギャップ16(
図5参照)は、フラップ12とギャッププレート14と印字ヘッドローラ10とによって常に一定に保たれている。これにより、印字ヘッド機構100は、図示せぬインクリボンや、印字ヘッド部8の先端、印字ヘッドローラ10等が媒体15の印字面に当接することを回避しつつ、印字ヘッド部8を主走査方向に円滑に摺動させることができる。
【0073】
また、このとき、印字ヘッドローラ10は、ギャッププレート14が平らな薄い鋼板によって形成されているため、たとえ印字ヘッドローラ10の移動の途上に媒体15の段差部17(
図6参照)があっても、その段差部17を円滑に乗り越えることができる。そのため、印字ヘッド機構100は、印字ヘッド部8に加わる衝撃を緩和することができる。
【0074】
また、このとき、印字ヘッド機構100は、ギャッププレート14がフラップ12の先端部12aを保護するため、フラップ12の先端部12aの摩耗を抑制することができる。しかも、ギャッププレート14は、印字ヘッドローラ10を介して印字ヘッド部8からフラップ12に加わる押圧を分散する。そのため、印字ヘッド機構100は、これによっても、フラップ12が破断することを抑制することができる。このような印字ヘッド機構100は、フラップ12が摩耗したり破断したりすることを抑制することができるため、フラップ12を交換する必要がなくなる。そのため、印字ヘッド機構100は、維持コストを低減させることができる。
【0075】
印字ヘッド機構100は、印字が終了すると、
図7に示すように、印字ヘッド部8を予め設けられた退避位置Ps(
図1(b)参照)に退避させる。
【0076】
この後、媒体処理装置1000は、フラップ機構101の可動部101a(
図2参照)が、ベース支点13baを中心にして、フラップ12の先端部12aをプラテン9から離間させる方向に、フラップ12を回動させる。すなわち、フラップ機構101がフラップ12の先端部12aを持ち上げる。
【0077】
これにより、フラップ12が媒体15の印字面から離間した状態になる。その結果、媒体処理装置1000は、仮に媒体15が変形していても、媒体15をフラップ12に引っ掛けることなく、副走査方向に搬送することができる。
【0078】
なお、媒体処理装置1000は、再度、印字時になると、フラップ機構101の可動部101a(
図2参照)が、フラップ12の先端部12aをプラテン9に接近させる方向に、フラップ12を回動させる。すなわち、フラップ機構101は、フラップ12の先端部12aを降下させる。
【0079】
これにより、フラップ12の先端部12aがプラテン9の上に載置された状態になる。この後、媒体処理装置1000は、媒体15をフラップ12とプラテン9との間に搬送するとともに、印字ヘッド部8を退避位置Ps(
図1(b)参照)からフラップ12の上に戻して、媒体15の印字面に印字する。
【0080】
係る構成において、印字ヘッド機構100は、平らで厚さが一定の薄い鋼板(ギャッププレート14)を、フラップ12の先端部12aの上面に貼付することにより、印字ヘッド部8の繰り返しの摺動によるフラップ12の摩耗を防止することができる。そのため、印字ヘッド機構100は、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に確保された印字ギャップを常に一定の厚さに保つことができ、印字ギャップの変動を抑制することができる。
【0081】
また、鋼板(ギャッププレート14)は、平らで薄いため、樹脂系のフラップ12に貼り付けても、フラップ12の柔軟性(可撓性)を損なうことがない。したがって、フラップ12は、ギャッププレート14が貼付されていても、貼付されていない状態と同様の柔軟性(可撓性)を得ることができる。そのため、印字ヘッド部8は、ギャッププレート14が貼付されたフラップ12を介して、媒体15の段差部17(
図6参照)を円滑に乗り越えることができる。
【0082】
また、印字ヘッド機構100は、フラップ12を交換する必要がないため、維持コストを低減させることもできる。
【0083】
また、印字ヘッド機構100は、鋼板(ギャッププレート14)がフラップ12の先端部12aに貼付されることにより、
図8に示すような効果を得ることができる。
図8は、実施形態1に係る印字ヘッド機構の比較例との違いを示す図である。
図8は、比較例として、鋼板(ギャッププレート14)が先端部62aに貼付されていないフラップ62の状態を示している。
図8に示すフラップ62は、鋼板(ギャッププレート14)が先端部62aに貼付されていないため、先端部62aの形状が波打った状態になってしまう。このようなフラップ62を印字ヘッド機構に用いると、その印字ヘッド機構は、印字ギャップを一定にすることができない。そのため、その印字ヘッド機構は、フラップ62を回動させることにより、媒体15の位置をずらしてしまう可能性がある。
【0084】
これに対して、フラップ12は、鋼板(ギャッププレート14)が先端部12aに貼付されているため、先端部12aの形状が真っ直ぐな状態に矯正されている。このようなフラップ12を用いる印字ヘッド機構100は、フラップ12の先端部12aが真っ直ぐに矯正されているため、印字ギャップを一定にすることができる。その結果、印字ヘッド機構100は、フラップ12を回動させても、媒体15の位置をずらすことなく、媒体15を停止させ続けることができる。
【0085】
<本実施形態1に係るフラップの利点>
ところで、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、ギャッププレート14をフラップ12の先端部12aに貼付する構成となっている。このギャッププレート14が貼付されたフラップ12には、以下のような利点がある。
【0086】
ここでは、まず、以下の構成のフラップを比較例に係るフラップ62A(図示せず)とし、その欠点を説明し、その後に、本実施形態1に係るフラップ12の利点を、比較例に係るフラップ62Aの欠点と対比させて説明する。
【0087】
(比較例に係るフラップの構成)
ここでは、比較例に係るフラップ62A(図示せず)は、
図12及び
図13に示すフラップ62と同様の構成で、かつ、全体がステンレス鋼によって構成されているものとして説明する。また、ここでは、フラップ62Aを用いる印字ヘッド機構を「比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)」と称する。
【0088】
(比較例に係るフラップの欠点)
(1)比較例に係るフラップ62A(図示せず)は、以下に説明するように、印字ギャップが一定に保てなくなる、という欠点が発生する。
【0089】
例えば、比較例に係るフラップ62Aは、フラップ62Aの先端部に折り癖(曲げ)がつけられた構成となる。なお、折り癖をつける理由は、(1)フラップ62Aによって押さえつける媒体15の印字面とプラテン9(
図12及び
図13参照)の上面とを並行に配置させるため、及び、(2)印字後に、フラップ62Aの先端部を持ち上げて媒体15を下流側に搬送する際に、媒体15がフラップ62Aの先端部に引っ掛からないようにするためである。
【0090】
比較例に係るフラップ62Aは、前記した通り、フラップ62Aの先端部に折り癖が付けられた構成となる。その折り癖は、フラップ62Aの全体がステンレス鋼によって構成されるため、強度が強くなる。そのため、比較例に係るフラップ62Aは、媒体15への追従性が低下する。その結果、フラップ62Aは、印字ギャップが一定に保てなくなる。
【0091】
なお、比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)は、このようなフラップ62Aを用いるため、印字が薄くなる等の、不具合が発生する。
また、比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)は、媒体15の印字面とプラテン9の上面とを並行に配置させるために、印字ヘッドローラ10によって強い押圧でフラップ62Aをプラテン9に押さえつける必要がある。
【0092】
(2)比較例に係るフラップ62A(図示せず)は、媒体15を搬送する際に、媒体15の位置をずらす可能性がある、という欠点が発生する。
【0093】
例えば、比較例に係るフラップ62Aは、全体がステンレス鋼によって構成されるため、合成樹脂系の材料によって構成した従来例に係るフラップ62(
図12及び
図13参照)よりも、硬度が高くなる。比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)は、このようなフラップ62Aを用いるため、印字ヘッドローラ10によって強い押圧でフラップ62Aをプラテン9に押さえつける必要がある。その結果、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、印字ヘッドローラ10の周囲に、従来例に係るフラップ62を用いる場合よりも強い押圧がかかる。
【0094】
このような比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、媒体15を搬送する際に、印字ヘッドローラ10の周囲で、媒体15がフラップ62Aに接触する可能性がある。また、フラップ62Aは、硬度が高いため、撓み難い。そのため、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、仮に、媒体15を搬送する際に、媒体15がフラップ62Aと接触した場合に、媒体15とフラップ62Aとが点接触し易い。その結果、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、媒体15が点接触した箇所を支点にして回転する可能性がある。したがって、比較例に係るフラップ62Aは、媒体15の位置をずらす可能性がある。これにより、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、印字曲がりが発生する、という不具合が発生する。
【0095】
なお、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、媒体15を搬送する際に、印字ヘッド部8を持ち上げて、印字ヘッドローラ10をフラップ62Aから少し離間させる動作を行うことにより、媒体15を搬送する際に媒体15の位置をずらすという不具合を解消することができる。しかしながら、このような動作を行った場合に、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、印字処理時間が、増大する、という不具合が発生する。
【0096】
また、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、媒体15を搬送する際に、プラテン9を降下させて、プラテン9を印字ヘッドローラ10から少し離間させる動作を行うことによっても、媒体15を搬送する際に媒体15の位置をずらすという不具合を解消することができる。しかしながら、このような動作を行った場合も、比較例に係る印字ヘッド機構600Aは、印字処理時間が、増大する、という不具合が発生する。また、プラテン9を降下させる駆動機構が必要になるため、コストが上昇する、という不具合も発生する。
【0097】
(3)比較例に係るフラップ62A(図示せず)は、媒体15を損傷させる可能性がある、という欠点が発生する。
【0098】
例えば、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、フラップ62Aを介して印字ヘッドローラ10が媒体15を押さえつける。このとき、比較例に係るフラップ62Aは、柔軟性(可撓性)がないため、媒体15を損傷させる可能性がある。
【0099】
(比較例に係るフラップに対する本実施形態1に係るフラップの利点)
(1)本実施形態1に係るフラップ12は、媒体15への追従性を損なうことなく、高い耐磨耗性(フラップ12が磨り減らない特性)を得ることができる、という利点を有する。
【0100】
例えば、本実施形態1に係るフラップ12は、ギャッププレート14が印字ヘッドローラ10と当接する部分にのみ貼付される。また、ギャッププレート14は、平らな薄いステンレス鋼の鋼板として構成されている。そのため、本実施形態1に係るフラップ12は、媒体15への追従性を損なうことなく、高い耐磨耗性(フラップ12が磨り減らない特性)を得ることができる。
【0101】
(2)本実施形態1に係るフラップ12は、媒体15を搬送する際に、媒体15の位置がずれるのを防止することができる、という利点を有する。
【0102】
例えば、本実施形態1に係るフラップ12は、ギャッププレート14が貼付されていない部分が、容易に撓む構成になっている。また、ギャッププレート14は、薄い鋼板として構成されることにより、マイラーフィルムとほぼ同等の柔軟性(可撓性)が与えられている。そのため、ギャッププレート14は、媒体15の印字面と対向する側の面(下面)の略全面が媒体15の印字面の全面と均等に当接する。その結果、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、仮に、媒体15を搬送する際に、媒体15がギャッププレート14と接触しても、媒体15とギャッププレート14とが面接触する。その結果、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、比較例に係る印字ヘッド機構600Aと異なり、媒体15が点接触した箇所を支点にして回転することがない。したがって、本実施形態1に係るフラップ12は、媒体15を搬送する際に、媒体15の位置がずれるのを防止することができる。
【0103】
(3)本実施形態1に係るフラップ12は、媒体15が損傷するのを防止することができる、という利点を有する。
【0104】
例えば、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、フラップ12及びギャッププレート14を介して印字ヘッドローラ10が媒体15を押さえつける。このとき、本実施形態1に係るフラップ12及びギャッププレート14は、柔軟性(可撓性)が与えられているため、媒体15が損傷するのを防止することができる。また、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)よりも少ない負荷で媒体15を搬送することができる。
【0105】
(備考)
(1)比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)は、フラップ62Aが前記した欠点(2)を有するため、その欠点(2)を解消しようとすると、印字処理時間が増大する、という欠点がある。
これに対し、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、フラップ12が比較例に係るフラップ62Aのような欠点を有していないため、全体の処理速度が改善することができる。
【0106】
(2)比較例に係る印字ヘッド機構600A(図示せず)は、フラップ62Aの全体がステンレス鋼によって構成される。
これに対し、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、フラップ12が合成樹脂系の材料によって構成され、ギャッププレート14のみがステンレス鋼によって構成される。そのため、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、比較例に係る印字ヘッド機構600Aよりも製造コストを低減することができる。
なお、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、従来の印字ヘッド機構600(
図12及び
図13)と比較しても、構成要素としてギャッププレート14のみが増えるため、従来の印字ヘッド機構600とほとんど大差のない製造コストで製造することができる。
【0107】
以上の通り、本実施形態1に係る印字ヘッド機構100によれば、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に確保された印字ギャップの変動を抑制することができる。
【0108】
[実施形態2]
実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、ギャッププレート14が矩形に形成されている。そのため、印字ヘッド機構100は、印字ヘッド部8(
図6参照)が主走査方向に摺動する際に、印字ヘッドローラ10(
図6参照)が、ギャッププレート14の両端と直交する状態でギャッププレート14の上を乗り降りする。このとき、ギャッププレート14の端部が、めくれる可能性がある。そこで、本実施形態2は、ギャッププレートの端部をめくれ難くした印字ヘッド機構200を提供する。
【0109】
以下、
図9を参照して、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200の構成につき説明する。
図9は、実施形態2に係る印字ヘッド機構の構成を示す図である。
図9(a)は、側面方向から見た印字ヘッド機構200の構成を示しており、
図9(b)は、上方向から見た印字ヘッド機構200の構成を示している。
【0110】
本実施形態2に係る印字ヘッド機構200は、実施形態1に係る印字ヘッド機構100と比較すると、ギャッププレート14の代わりに、ギャッププレート18が貼付されたフラップ12を有するフラップ機構201を用いる点で相違している。
【0111】
実施形態1に係る印字ヘッド機構100は、
図3(a)に示すように、ギャッププレート14がフラップ12の先端部12aに貼付されている。そのギャッププレート14は、主走査方向の幅がフラップ12の主走査方向の幅と同じ幅の矩形の形状に形成されている(
図3(b)参照)。
【0112】
これに対して、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200は、
図9(a)に示すように、ギャッププレート18がフラップ12の先端部12aに貼付されている。そのギャッププレート18は、主走査方向の両端が斜め方向に切り欠けられた傾斜辺18aとして形成されている。そして、ギャッププレート18は、主走査方向の短い方の幅t2aがフラップ12の主走査方向の幅t1よりも広く形成されており、かつ、主走査方向の長い方の幅t2bがサイドフレーム2とサイドフレーム3との間の間隔よりも狭い幅に形成されている(
図9(b)参照)。なお、ギャッププレート18の副走査方向の幅は、実施形態1に係るギャッププレート14の副走査方向の幅と同様である。
【0113】
以下、
図10を参照して、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200の動作につき説明する。
図10は、実施形態2に係る印字ヘッド機構の動作例を示す図である。
【0114】
図10に示すように、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200は、印字時に、印字ヘッド部8(
図2参照)が、主走査方向に摺動して、フラップ12の幅t1(
図9(b)参照)の範囲内で印字を行う。
【0115】
その際に、印字ヘッドローラ10は、ギャッププレート18の傾斜辺18aに突入して、ギャッププレート18の上に乗り上がる。そして、印字ヘッド部8は、ギャッププレート18の上を主走査方向に移動し、その後に、反対側の傾斜辺18aからギャッププレート18の下に降りていく。印字ヘッドローラ10は、このような動作を印字ヘッド部8(
図2参照)の摺動に伴って繰り返し行う。
【0116】
係る構成において、印字ヘッド機構200は、ギャッププレート18の両端が傾斜辺18aとして斜め方向に切り欠けられている。そのため、印字ヘッド機構200は、印字ヘッドローラ10がギャッププレート18の上を円滑に乗り降りすることができる。その結果、印字ヘッド機構200は、ギャッププレート18の端部のめくれを防止することができる。
【0117】
また、印字ヘッド機構200は、ギャッププレート18の主走査方向の幅t2a,t2b(
図9(b)参照)をフラップ12の主走査方向の幅t1(
図9(b)参照)よりも大きくすることにより、ギャッププレート18のフラップ12への貼付を容易に行うことができ、その結果、製造の容易性を向上させることができる。
【0118】
以上の通り、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200によれば、実施形態1に係る印字ヘッド機構100と同様に、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に確保された印字ギャップの変動を抑制することができる。
【0119】
しかも、本実施形態2に係る印字ヘッド機構200によれば、ギャッププレート18の端部のめくれを防止することができる。また、ギャッププレート18のフラップ12への貼付を容易に行うことができ、その結果、製造の容易性を向上させることができる。
【0120】
[実施形態3]
本実施形態3は、実施形態2と同様に、ギャッププレートの端部をめくれ難くした印字ヘッド機構300を提供する。
【0121】
以下、
図11を参照して、本実施形態3に係る印字ヘッド機構300の構成につき説明する。
図11は、実施形態3に係る印字ヘッド機構の構成を示す図である。
図11(a)は、側面方向から見た印字ヘッド機構300の構成を示しており、
図11(b)は、上方向から見た印字ヘッド機構300の構成を示している。また、
図11(c)は、上方向から見た本実施形態3で用いるギャッププレート19の構成を示しており、
図11(d)は、背面方向から本実施形態3で用いるギャッププレート19の構成を示している。
【0122】
本実施形態3に係る印字ヘッド機構300は、実施形態2に係る印字ヘッド機構200と比較すると、ギャッププレート18の代わりに、ギャッププレート19が貼付されたフラップ12を有するフラップ機構301を用いる点で相違している。
【0123】
本実施形態3に係る印字ヘッド機構300は、
図11(a)に示すように、ギャッププレート19がフラップ12の先端部12aに貼付されている。そのギャッププレート19は、矩形に形成されており、主走査方向の両側の端部19b(
図11(d)参照)がプラテン9側に折り曲げられた形状に形成されている。
【0124】
ギャッププレート19は、主走査方向に延伸するボディ部分19aの幅がフラップ12の主走査方向の幅よりも広く、かつ、サイドフレーム2とサイドフレーム3との間の間隔よりも狭い幅に形成されている(
図11(b)参照)。また、ギャッププレート19は、フラップ12の先端部12aがプラテン9の上に乗ったときに、その両側の端部19bが、プラテン9に設けられた溝9aの中に入り込む構成になっている。なお、ギャッププレート19の副走査方向の幅は、実施形態1に係るギャッププレート14の副走査方向の幅と同様である。
【0125】
係る構成において、印字ヘッド機構300は、ギャッププレート19の両端19bがプラテン9側に折り曲げられている。そのため、印字ヘッド機構300は、ギャッププレート19の端部のめくれを防止することができる。
【0126】
また、印字ヘッド機構300は、実施形態2に係る印字ヘッド機構200と同様に、ギャッププレート19の主走査方向の幅をフラップ12の主走査方向の幅よりも大きくすることにより、ギャッププレート19のフラップ12への貼付を容易に行うことができ、その結果、製造の容易性を向上させることができる。
【0127】
以上の通り、本実施形態3に係る印字ヘッド機構300によれば、実施形態1に係る印字ヘッド機構100及び実施形態2に係る印字ヘッド機構200と同様に、媒体15の印字面と印字ヘッド部8との間に確保された印字ギャップの変動を抑制することができる。
【0128】
しかも、本実施形態3に係る印字ヘッド機構300によれば、実施形態2に係る印字ヘッド機構200と同様に、ギャッププレート19の端部のめくれを防止することができる。また、ギャッププレート19のフラップ12への貼付を容易に行うことができ、その結果、製造の容易性を向上させることができる。
【0129】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0130】
例えば、実施形態1では、ギャッププレート14がステンレス鋼(SUS)等の金属による鋼板である場合を想定して説明しているが、フラップ12を構成する樹脂よりも耐摩耗に優れた材料であれば、その材料を用いることが可能である。ただし、その材料は、フラップ12を媒体15の印字面に沿って撓ませることができるように、柔軟性(可撓性)を得ることができる材料であることが好ましい。
【0131】
また、例えば、実施形態1では、印字ヘッド機構100は、印字ヘッド部8が退避した後に、フラップ12を回動させる(フラップ12の先端部12aを持ち上げる)ものとして説明したが、これ以外の動作に起因してフラップ12を回動させる構成にすることもできる。
【0132】
また、例えば、実施形態1では、回動軸が回動部101aの角材13bの突起(ベース支点13ba)が回動軸(軸体)として機能する場合を想定して説明しているが、角材13bに円形の穴を設け、サイドフレーム2,3に円柱状の突起を設けて、そのサイドフレーム2,3に設けられた円柱状の突起を回動軸として機能させるようにしてもよい。
【0133】
また、例えば、フラップ機構101,201,301は、画像読取装置等の、プリンタ以外の媒体処理装置に搭載することが可能である。