(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の画像表示装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、本発明が想定する画像表示装置100の典型的使用例である。
画像表示装置100は、レーザー光を走査ミラーで反射させ、光線のラスター走査により投射面に画像を表示(描画)させるものである。
図1において、画像表示装置100は、一例として自動車10に搭載されている。画像表示装置100からは所望の画像を表示させるように調整された画像光束L1が発射(出力)される。この画像光束L1は、フロントガラス11での反射を介して運転者Pの眼に入射し、網膜上に像を結ぶ。同時に、フロントガラス11には外界からの光L2も入射して透過していく。したがって、外界からの光L2と画像表示装置100の画像光束L1とがオーバーレイ(重畳)し、運転者Pの視界には外界の実景と画像表示装置100によって発射された画像とが同時に見えることになる。
【0016】
図2は、画像表示装置100の全体構成を示す機能ブロック図である。
画像表示装置100は、画像信号処理部110と、光射出ユニット120と、結像光学系150と、タイミング処理部160と、中央制御部180と、を備える。
各機能部の構成および動作を以下に説明する。
【0017】
画像信号処理部110は、ビデオインターフェース111と、ビデオデコーダ112と、メモリコントローラ113と、フレームメモリ114と、データバッファ115と、光源駆動部116と、を備える。
【0018】
ビデオインターフェース111を介して原画像信号が入力される。
ビデオデコーダ112は、画像種別に応じてその原画像信号をデコード処理する。例えば、原画像信号がアナログ画像信号(コンポーネント映像信号)である場合には、デコード処理により、原画像信号を、3色(RGB)のデジタル色信号で構成されるデジタル画像信号と、水平同期信号と垂直同期信号とを含む同期信号と、に分離する。
【0019】
メモリコントローラ113は、書込み部113Wと読出し部113Rとを有する。
図3は、映像信号の処理の流れを示す図である。
書込み部113Wは、ビデオデコーダ112で処理した映像信号をフレームメモリ114に一旦書き込んでバッファさせる。そして、読出し部113Rは、指定されたドットクロックに基づいてフレームメモリ114から画像データを主走査線の一ラインずつ読み出す。このとき、読出し部113Rは、レーザー走査型のプロジェクションディスプレーに適したタイミングで画像データを読み出すとともに後段に出力する。すなわち、読出し部113Rは、タイミング処理部160で調整されたタイミング信号(ドットクロック、表示期間指示信号)に合わせて画像データを読み出す。
このように読み出された画像データはデータバッファ115に一時保持される。
【0020】
データバッファ115には一ラインずつ読み出された画像データが一時保持され、さらに、画像データは順に光源駆動部116に出力される。
【0021】
光源駆動部116は、D/A変換部を備え、画像データに応じて光射出ユニット120の光源である各半導体レーザーダイオードに駆動電流を印加して各半導体レーザーダイオードを所望の輝度で発光させる。
光射出ユニット120の光源としては、RGB3色を得るため、赤色レーザーダイオード、青色レーザーダイオード、および、緑色レーザーダイオードが設けられている(具体的な構造は
図5を参照)。
それに合わせて、光源駆動部116としても、赤色ドライバ116Rと、緑色ドライバ116Gと、青色ドライバ116Bと、を備えている。
【0022】
なお、当然のことであるが、画像データを構成する各画素データは、
図4に示すように、画素ごとにR(赤)、G(緑)、B(青)の3色で構成される色情報を有する。
それぞれのドライバ116R、116G、116Bはおのおの各画素の各色の情報に応じて半導体レーザーダイオードに電流を印加することで、色情報に応じた輝度で各半導体レーザーダイオードを発光させる。
【0023】
光射出ユニット120は、光源部130と、走査ミラー部200と、シャッター135と、を備える。
図5は、光射出ユニット120の斜視図であり、光源部130と走査ミラー部200とは一例としてユニット化されている。
光源部130は、3色のレーザーダイオード132R、132G、132Bと、複数のミラー133A、133B、133C、133Dと、複数の集光レンズ134と、を有する。
レーザーダイードとしては、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色のレーザー(レーザー光)をそれぞれ出力する、赤色レーザーダイオード132R、緑色レーザーダイオード132Gおよび青色レーザーダイオード132Bが設けられている。
なお、本実施形態は、3色より多いレーザーダイオードを用いた構成にも適用可能であるし、1色や2色のレーザーダイオードを用いた構成にも適用可能である。
【0024】
ミラー133B、133Cはそれぞれ所定の波長の色を透過または反射させるダイクロイックミラーである。
光源部130が出力する光の経路を簡単に説明すると、第1ミラー133Aは緑色レーザーダイオード132Gが出力する緑色レーザーを直角に反射して反射光を赤色レーザーの光路に導く。
第2ミラー133Bは、赤色レーザーダイオード132Rが出力する赤色レーザーを透過させるとともに緑色レーザーを反射して両者を合波する。
第3ミラー133Cは、前記第2ミラー133Bからの光を透過させるとともに、青色レーザーダイオード132Bが出力する青色レーザーを反射する。
これにより三つのレーザー光を一軸に合波した光束として、最後に第4ミラー133Dによって前記光束を走査ミラー部200に所定の角度で入射させる。
なお、光路上に集光レンズ134が適宜配置されており、レーザー光を集光させる。
各集光レンズの光学特性および配置位置は、次段の結像光学系150との関係で決定される。
【0025】
なお、
図5において、光射出ユニット120の背面側に回路基板が設けられ、この回路基板上に画像信号処理部110、タイミング処理部160および中央制御部180が組み込まれており、例えば全体としてモジュール化されている。
【0026】
次に、シャッター135について説明する。
シャッター135は、光射出ユニット120において、光源部130と走査ミラー部200との間に配設されている。
図5においては、第3ミラー133Cと第4ミラー133Dとの間で、揺動可能に設けられたシャッター135が光路に対して出入自在に設けられている例を図示している。
図6は、シャッター135の周辺部分の拡大図である。
シャッター135は、軸136を中心として揺動可能であり、また、軸136に歯合したモータ(不図示)によって揺動駆動される。
シャッター135は光を遮光する部材で形成されている。
シャッターが光路に入っていない状態では、レーザー光は遮られずに光源部130から発射されるが、シャッターが光路に入った状態ではレーザー光が遮られ、光源部130から光が発射されない。仮にレーザーダイオード132R、132G、132Bに駆動電流が印加されてレーザーダイオード132R、132G、132Bから光が発射されていたとしても、シャッターを閉じていれば光は網膜に到達しない。
【0027】
なお、本明細書では、シャッター135が光路に入ってレーザー光を遮っている状態を、シャッター135が閉じている、と表現することもある。
また、シャッター135が光路に入っていない状態を、シャッター135が開いている、と表現することもある。
シャッターの駆動タイミングについては後述する。
【0028】
次に、走査ミラー部200の構成を説明する。
走査ミラー部200は、いわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスであって、半導体集積回路の加工技術を応用して製造される。走査ミラー部200は、互いに直交する二つの揺動軸を有する二軸駆動可能であって、一面にミラーを有する。ミラーを揺動させることにより、光源部130から出力された、三つのレーザー光を一軸に合波した光束である画像光束をラスタースキャン(ラスター走査)するよう反射する。
【0029】
走査ミラー部200の典型的構造を
図6を参照して説明する。
図7において、(A)は走査ミラー部200の平面図であり、(B)は断面模式図である。
なお、断面模式図においては、見易いように、誤解のない範囲でハッチングは省略した。
また、説明の都合上、
図7(A)における上下方向をy軸方向、左右方向をx軸方向として説明する。
【0030】
走査ミラー部200は、光を主走査方向および副走査方向に偏向させるように二軸駆動する光偏向素子210と、光偏向素子210を支える支持基台部250と、を備える。
光偏向素子210は、Si(シリコン)ウェハから周知の半導体プロセスで作製される。
光偏向素子210は、
図7(A)においてx軸方向の両端に配置された二つの支持部220L、220Rと、前記二つの支持部220L、220Rの間において全体として副走査方向に揺動する副走査揺動体部230と、二つ支持部220L、220Rと副走査揺動体部230とを繋ぐ二つのアーム240L、240Rと、を有する。
二つのアーム240L、240Rは、上下方向のほぼ中央で支持部220L、220Rと副走査揺動体部230とを繋ぎ、これにより、副走査揺動軸Xsを揺動軸として副走査揺動体部230が揺動可能になっている。
【0031】
次に、副走査揺動体部230は、枠を構成する枠体231と、枠体231の枠内において枠体231から離間した状態で支持された主走査揺動片部232と、枠体231の内縁と主走査揺動片部232とを繋ぐ四つのL型梁部233A、233B、233C、233Dと、四つの圧電素子234A、234B、234C、234Dと、ミラー235と、二つの磁石236U、236Dと、を備える。
【0032】
L型梁部233A、233B、233C、233Dは、枠体231のうちのy軸に平行な内辺と、主走査揺動片部232のx軸に平行な辺と、を連結している。
このとき、L型梁部233A、233B、233C、233Dは、主走査揺動片部232の左右中央に近接した位置において主走査揺動片部232と連結されている。これにより、主走査揺動軸Ysを揺動軸として主走査揺動片部232が揺動可能になっている。
【0033】
そして、四つL型梁部233A、233B、233C、233Dにおいて、x軸に平行な部分に圧電素子234A、234B、234C、234Dが配置されている。圧電素子234A、234B、234C、234Dは、詳しくは図示しないが、下部電極と上部電極との間に圧電体膜を挟んだ積層構造である。
【0034】
ミラー235は、主走査揺動片部232の一面に形成されている。ミラー235は、反射率の高い金属(例えばAlやAu)の蒸着によって形成できる。
ここまでの構造で明らかなように、ミラー235は、アーム240L、240Rによる支持によって副走査方向に揺動するとともに、L型梁部233A、233B、233C、233Dの支持によって主走査方向にも揺動できる。
【0035】
二つの磁石236U、236Dは、主走査揺動片部232においてy軸に沿った上下にそれぞれ配置されている。ミラー235が形成された面を表面とすると、磁石236U、236Dは副走査揺動体部230の裏面に貼設されている。
【0036】
支持基台部250は、台部251と、二つの電磁コイル252U、252Dと、を有する。電磁コイル252U、252Dは、それぞれ磁石236U、236Dと対になるように配置されている。
【0037】
最後に、電気的配線について説明する。
4つの圧電素子234A、234B、234C、234Dが設けられているところ、二つの圧電素子234A、234Bで主走査揺動片部232に振動を誘起し、二つの圧電素子234C、234Dで主走査揺動片部232の振動を検出する。
すなわち、
図7(A)において、主走査揺動軸Ysを間にして左側に配置されている二つの駆動用圧電素子234A、234Bには駆動信号を印加する。すると、左側の二つの駆動用圧電素子234A、234Bの振動がL型梁部233A、233Bを介して主走査揺動片部232に伝達され、主走査揺動片部232が主走査揺動軸Ysを揺動軸として揺動する。また、主走査揺動軸Ysを間にして右側に配置されている二つの検出用圧電素子234C、234Dで主走査揺動片部232の振動を検出する。ここで、検出用圧電素子234C、234Dから得られる振動検出信号に対して所定の位相差をもった駆動電圧信号を駆動用圧電素子234A、234Bにフィードバックすることにより、主走査揺動片部232を共振駆動させることができる。
【0038】
また、電磁コイル252U、252Dには、所定周期で副走査揺動体部230を揺動させる駆動電流を印加する。
これにより、電磁コイル252U、252Dと磁石236U、236Dとが反発および接近を交互に繰り返し、副走査揺動体部230が副走査揺動軸Xsを揺動軸として揺動する。副走査方向の揺動は、非共振駆動であり、画像データの垂直駆動の周期に合わせて調整される。
【0039】
次に、結像光学部150について説明する。
図8は、光射出ユニット120から発射された画像光束L1が見る人の眼に到達するまでの光路を概略的に示した図である。
なお、結像光学部150の構成は、光射出ユニット120から射出された画像光束L1を見る人の眼に導くものであればよく、特定の構成に限定されるものではない。
後述する射出瞳拡大器としてのマイクロレンズアレイ(MLA)152が配設される位置も光源部130から出力される光束の光路上であればよい。
つまり、画像光束L1に基づく画像を見ているユーザの眼と、光源部130との間の光路上であればよい。
結像光学部150は、平面ミラー151と、マイクロレンズアレイ152と、平面ミラー153と、凹面ミラー154と、を備える。
また、
図8には、コンバイナ(combiner)としてのフロントガラス11と、を備える。
【0040】
マイクロレンズアレイ152は、光透過型であって、マイクロレンズをマトリックス状に配列したものである。マイクロレンズアレイ152は、レーザー特有のスペックルを低減する効果があり、放射角や色ムラを考慮して最適設計されている。そして、このマイクロレンズアレイ152によってレーザー光を拡散(放射)することにより、単位面積当たりのレーザー強度が小さくなる。これにより、眼に対する負担が軽くなり、光束が眼に入射しても安全である。
【0041】
走査ミラー部200で反射された光束L1は、マイクロレンズアレイ152上で一旦中間像を結ぶ。
その後、平面ミラー153、凹面ミラー154、フロントガラス11での反射を介して画像光束L1は見る者の眼に届く。
また、コンバイナとしてのフロントガラス11において、画像光束L1と外界からの実景とがオーバーレイされる。
【0042】
図9は、マイクロレンズアレイ152の設置態様を示す図である。
なお、マイクロレンズアレイ152における各マイクロレンズの配列形状については、一般的なマイクロレンズアレイにおける配列形状と同じような形状を用いることができるため、図示を省略している。
マイクロレンズアレイ152は、
図9に示すように、フレーム構造体140によって支持されることにより、その位置および姿勢が固定される。
フレーム構造体140は、窓部142を有する前面フレーム部141と、二つの側壁部144、144と、底面部145と、を有する。
二つの側壁部144、144と底面部145とで囲まれた空間に光射出ユニット120の全体または一部を収納することで、モジュール化してもよい。
【0043】
前面フレーム部141は、マイクロレンズアレイ152を嵌め付け可能な窓部142を有する。
図9では、窓部142は、四角形の一辺を取り去ったコ字型であるが、窓部142の形状は円形でも四角形でも良いことは当然である。
また、
図9では、窓部142を構成する3つの内側端面に溝条143を形成して、この溝条143にマイクロレンズアレイ152を嵌めているが、マイクロレンズアレイ152の固定方法も限定されるものではない。
【0044】
さらに、前面フレーム部141には、マイクロレンズアレイ152の存在(光源部130から出力される光束の光路上に配設されているか否か)を検出する検出手段が配設されている。
検出手段は、ここでは、光学式センサ146である。
光学式センサ146は、
図10に示すように、発光部146Eと受光部146Rとを備え、発光部146Eと受光部146Rとがマイクロレンズアレイ152を間にして互いに反対側に設置されている。そして、発光部146Eから光を発射すると、この光はマイクロレンズアレイ152を介して受光部146Rに到達する。このとき、マイクロレンズアレイ152が存在していれば、光が拡散されるので、受光部146Rで受光する光の強度が弱くなる。よって、受光強度が所定値以下であれば、マイクロレンズアレイ152が存在していると判断できる。
【0045】
一方、
図11は、マイクロレンズアレイ152が脱落した状態を示している。
図11のようにマイクロレンズアレイ152が脱落してしまうと、発光部146Eからの光が直接に受光部146Rに入射する。よって、受光強度が所定値を超えていれば、マイクロレンズアレイ152が無いと判断できる。
【0046】
受光部146Rによって光電変換された信号は、中央制御部180に出力される。
【0047】
次に、タイミング処理部160について説明する。
タイミング処理部160は、ミラー駆動制御回路161と、振動検出部162と、タイミング調整部170と、を備える。
ここで、タイミング処理が必要な事項としては、走査ミラー部200の主走査駆動制御、走査ミラー部200の副走査駆動制御、および、画像信号処理部110での画像処理タイミングを走査ミラー部200の駆動に合わせるためのタイミング信号の生成、がある。
【0048】
ミラー駆動制御回路161は、走査ミラー部200の主走査駆動制御を行う主走査駆動制御部161Hと、走査ミラー部200の副走査駆動制御を行う副走査駆動制御部161Vと、を備える。
【0049】
走査ミラー部200の主走査駆動制御について説明すると、走査ミラー部200の検出用圧電素子234C、234Dからの検出信号を振動検出部162で検出する。振動検出部162は、例えば、増幅回路やフィルタで構成することができる。検出された振動検出信号Snを主走査駆動制御部161Hにフィードバックし、走査ミラー部200が主走査方向で共振するように位相調整を行い、主走査駆動制御信号SHとして駆動用圧電素子234A、234Bに印加する。これにより、走査ミラー部200を主走査方向においては共振駆動させる。
【0050】
一方、副走査駆動制御部161Vは、画像データの垂直駆動の周期に合わせて走査ミラー部200を副走査方向に非共振駆動させる。副走査方向の振動周波数は、例えば、VGAであれば60Hzである。副走査駆動制御部161Vは、主走査駆動制御部161Hから出力される主走査駆動信号SHとタイミングを合わせながら、60Hzで走査ミラー部200を副走査方向で揺動させる副走査駆動信号SVを出力する。
【0051】
タイミング調整部170は、メモリコントローラの動作を走査ミラー部の駆動に合わせるようにタイミング処理する。具体的には、走査ミラー部の主走査方向の共振周波数を逓倍し、ドットクロックを生成する。ドットクロックは、タイミング信号として、読出し部113R、RGBデータバッファ115、光源駆動部116に供給される。
【0052】
このように生成されたタイミング信号(ドットクロック、表示期間指示信号)に基づいて描画が行われる動作を順に説明する。
まず、読出し部113Rは、ドットクロックのタイミングで画像データを一ラインずつ読み出してRGBデータバッファ115に出力する。
このRGBデータバッファ115に一時保持された画像データが順送りに光源駆動部116に送られる。すると、各色の半導体レーザーダイオードそれぞれが画像データで指示された輝度で発光駆動される。各色の輝度、主走査、副走査の駆動が同期することにより、各画素が適切に描画され、これによって、所望の画像データが描画されることになる。
【0053】
次に、中央制御部180の動作について説明する。
中央制御部180は、画像表示装置100全体の動作を制御している。
特に本実施形態においては、結像光学系150の状態を監視するとともに、結像光学系150の状態に応じてシャッター135の開閉動作およびレーザー発光のオン/オフ動作を管理する。
中央制御部180は、検出判定部181と、シャッター駆動制御部183と、光源駆動管理部182と、を有する。
【0054】
検出判定部181は、光学式センサ(検出手段)146から出力された光電変換信号に基づいてマイクロレンズアレイ152の有無を判定する。すなわち、光電変換信号を所定閾値と対比して、光電変換信号のレベルが閾値以下であればマイクロレンズアレイ152が存在していると判定する。一方、光電変換信号のレベルが閾値を超えていた場合には、マイクロレンズアレイ152が無いと判定する。
【0055】
シャッター駆動制御部183は、検出判定部181による判定結果に基づいて、シャッター135の開閉動作を制御する。
マイクロレンズアレイ152が有ると判定された場合、シャッター駆動制御部183は、シャッター135を開いた状態にする。この状態で半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bからレーザー光が発射されると、マイクロレンズアレイ152が有ると判定された場合の動作である通常動作になる。つまり、シャッター135を開いた状態で、例えば入力画像データに基づく画像をユーザが十分視認可能なように表示する。
【0056】
一方、マイクロレンズアレイ152が無いと判定された場合、シャッター駆動制御部183は、シャッターを閉じる。この場合、仮に半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bから光が発射されたとしても、シャッター135に遮られて、光は網膜に到達しない。
【0057】
上記のシャッター駆動制御部183による動作に加えて、以下のような光源駆動管理部182による動作を合わせて行ってもよい。
光源駆動管理部182は、検出判定部181による判定結果に基づいて、光源駆動部116の動作を管理する。
マイクロレンズアレイ152が有ると判定された場合、光源駆動管理部182は光源駆動部116の動作を許可する。
この場合、画像表示装置100としては、通常動作を行うことになる。
すなわち、光源駆動部116から光源部130の半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bに駆動電流が印加され、半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bからの光がユーザの眼に入射して、ユーザは画像を見ることができる。
このように、通常動作においては、例えば入力画像データに基づく画像をユーザが十分視認可能なように表示する。
【0058】
一方、マイクロレンズアレイ152が無いと判定された場合、光源駆動管理部182は光源駆動部116の動作を許可せず、光源駆動部116の動作を停止させる。
【0059】
中央制御部180は、電源がONになったときにはまず最初にマイクロレンズアレイ152の検出判定を行い、さらに、画像表示装置100が動作している間は常に検出判定を継続して行うことが好ましい。
なお、図示しない振動センサを設け、その振動センサによって所定値以上の振動を検出した場合に、検出判定を行うようにしてもよい。
【0060】
中央制御部180による管理動作を
図12のフローチャートを参照して説明する。
ユーザが画像表示装置100の電源をONにする(ST101)ことなどを契機として、まず、光学式センサ(検出手段)146が起動する(ST102)。
つまり、発光部146Eから光が発射され、その光が受光部146Rによって受光されることになる。
【0061】
検出判定部181は、受光部146Rから出力される光電変換信号に基づいてマイクロレンズアレイ152の検出判定を実行する。
光電変換信号のレベルが閾値以下であれば(ST104:YES)、マイクロレンズアレイ152が存在していると判定し、シャッター駆動制御部183は、シャッターを開にし(ST105)、光路を開いた状態にする。
さらに、光源駆動管理部182は光源駆動部116の動作を許可する(ST105)。したがって、通常動作となり、半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bからの光が眼に入射して像を形成する。
つまり、入力画像データに基づく画像を表示する。これによりユーザは画像を見ることができる。そして、終了条件(例えばユーザが電源をOFFにした等)が満たされるまでST103からST106のループを繰り返す(ST107)。
【0062】
ここで、ST104において、光電変換信号のレベルが閾値を超えていた場合(ST104:NO)、何らかの原因でマイクロレンズアレイ152が検出できていないことになる。
この場合、シャッター駆動制御部183は、シャッター135を閉じる(ST108)。
シャッターを閉じた状態を
図13に示す。これにより、仮に半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bからレーザーが発射されていても、シャッター135で即時に光を遮り、ユーザの眼に光が届かなくなる。さらに、光源駆動管理部182は光源駆動部116の動作を停止させてもよい(ST109)。すると、半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bの発光が停止されることになる。また、半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bをまだ発光させていない場合は、発光させることを許可しない。
【0063】
このような構成を有する第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
本実施形態では、マイクロレンズアレイ152の有無を検出して、マイクロレンズアレイ152が無い場合にはシャッター135を閉じるようにする。
これにより、マイクロレンズアレイ152による拡散を経た光だけが眼に入射し、拡散を受けないレーザー光が眼に入射することがなくなる。
したがって使用態様によって万が一にもマイクロレンズアレイ152が外れてしまったような場合であっても、レーザー光が眼に過剰な負担を掛けることはない。
【0064】
(変形例1)
上記実施形態では、シャッターが揺動することによってシャッターが光路に出入りする構成を例示したが、シャッターの構造や駆動機構が限定されないのはもちろんである。
例えば、
図14のようにスライド機構によってシャッターを開閉するようにしてもよい。さらには、図示しないが、一般的にカメラで使用されるシャッター機構や絞り機構を適用してもよいことはもちろんである。
このようなシャッター機構や絞り機構は、例えば、特開平6−98216号公報、特開2001−66659号公報、特開平8−220592号公報などに記載されている。
【0065】
(変形例2)
シャッターを設ける位置としては、半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bから網膜までの光路上であればどこでもよいことはもちろんである。
走査ミラー部200とマイクロレンズアレイ152との間にシャッターを設けてもよく、結像光学系150の内部にシャッターを設けてもよい。
図8でいうと、凹面ミラー154とフロントガラス11との間のように、レーザー光が外部に射出する直前にシャッターを設けてもよい。
なお、上記実施形態のように走査ミラー200の手前にシャッターを配置するようにするとシャッターを小さくできるので好ましいといえる。
【0066】
(変形例3)
上記実施形態では、シャッターは光を遮光するとしたが、完全に遮光しなくても、光を弱めるものであってもよい。光を弱めるものとしては、光を吸収して透過量を減少させるフィルタが例として挙げられる。
【0067】
また、シャッターとしてカラーフィルタを用いてもよい。この構成によれば、シャッターが閉じたときに光に色が付くので、異常が生じたことがユーザに分かりやすい。
【0068】
シャッターをフィルタとした場合、フィルタを閉じて輝度を落とした状態で故障(異常)を知らせるメッセージ画像を表示するようにしてもよい。そして、その後に全ての半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bの発光を止めてもよい。
【0069】
(変形例4)
検出手段は、光学式センサ146に限られず、機械式センサ147であってもよいことはもちろんである。
例えば、
図15に示すように、ロッド147Lをマイクロレンズアレイ152に当接させ、ロッド147Lの進退量に基づいてマイクロレンズアレイ152の有無を検出してもよい。
さらには、検出手段としては、光学式、機械式に限らず、マイクロレンズアレイ152の有無を検出するセンサであればよいのであり、その設置形態についても何ら限定されないのは明らかであろう。
【0070】
(変形例5)
上記実施形態においては、中央制御部180によってシャッターの開閉動作を管理する構成を説明した。
変形例5として、中央制御部180を介さずに、検出手段146からの出力信号で直接にシャッターの開閉動作をコントロールしてもよい。
例えば、
図16に示すように、光学式センサ(検出手段)146の出力信号で直接にシャッター135を開閉するようにする。すなわち、光学式センサ(検出手段)146の出力信号で直接にシャッターの駆動モータを制御する。
そして、マイクロレンズアレイ152が存在することを検出できていない場合には、シャッターを閉じて光を遮光する。
【0071】
(変形例6)
上記実施形態では、マイクロレンズアレイ152が無い場合には光源駆動部116の動作を停止させるとした。
つまり、マイクロレンズアレイ152が無い場合には半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bの発光が全て止まるとした。
ここで、マイクロレンズアレイ152が無い場合に、全ての半導体レーザーダイオード132R、132G、132Bの発光を止めてしまうのではなく、出力を弱くしてもよい。
例えば、光源駆動部116から光源部130への印加電流値を通常動作時よりも小さくしてもよく、例えば、半分にしてもよい。
【0072】
あるいは、マイクロレンズアレイ152が無い場合には、赤色光、緑色光および青色光のうちの一つ以上を停止させてもよい。
例えば、マイクロレンズアレイ152が無い場合に緑色光および青色光の発光を停止させ、赤色光だけを発光させてもよい。
【0073】
さらには、マイクロレンズアレイ152が無い場合には、赤色光、緑色光および青色光のうちの一つ以上を停止させ、かつ、発光する光については弱くしてもよい。
例えば、赤色半導体レーザーダイオード132Rだけを駆動し、かつ、その駆動電流も小さくする。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
射出瞳拡大器としてはマイクロレンズアレイ152に限らず、同等の作用を有するものであればよいのであり、例えば、マイクロスフィアや、ナノスフィア、散光器、ホログラフィック拡大器、回折格子などであってもよく、さらには、これらの二つ以上を組み合わせてもよい。
また、射出瞳拡大器の設置態様も
図9に限定されないのはもちろんである。
【0075】
上記説明では、走査ミラー部としては、一体で二軸駆動が可能なMEMSミラーを例示したが、水平方向に揺動するミラーと垂直方向に揺動するミラーとが別体になっているなど、上記の例示に限定されず種々変更が可能である。
【0076】
画像表示装置は、ヘッドアップディスプレイとしての車載タイプのみならず、ヘルメット内蔵型や眼鏡タイプなどのヘッドマウントディスプレイ、フロントプロジェクターなどに応用できることはいうまでもない。