【実施例】
【0051】
[物性測定、成形、評価方法]
以下に実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお本発明における評価のための測定は以下の方法によった。
【0052】
1)相対粘度(ηr)
試料0.2gを精秤し、96%硫酸20mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式(1)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 (1)
【0053】
2)数平均分子量(Mn)
まず試料をフェノール/エタノール混合溶媒及び、ベンジルアルコール溶媒にそれぞれ溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液の中和滴定により求めた。数平均分子量は、アミノ末端基濃度及びカルボキシル末端基濃度の定量値から次式により求めた。
数平均分子量 = 2×1,000,000/([NH2]+[COOH])
[NH2] :アミノ末端基濃度(μeq/g)
[COOH]:カルボキシル末端基濃度(μeq/g)
【0054】
3)示差走査熱量測定(ガラス転移温度、結晶化温度及び融点)
JIS K−7121、K−7122に準じて行った。株式会社島津製作所製DSC−60を用い、各試料をDSC測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、急冷する前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で、300℃で5分保持した後、降温速度−5℃/分で100℃まで測定を行い、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tch)及び融点(Tm)を求めた。
【0055】
4)引張試験(引張弾性率及び引張破断伸び率)
JIS K−7161に準じて行った。作製した厚さ約100μmのフィルムを10mm×100mmに切り出して試験片とした。株式会社東洋精機製作所製ストログラフを用いて、測定温度23℃、湿度50%RH、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minの条件で引張試験を実施し、引張弾性率及び引張破断伸び率を求めた。
【0056】
5)黄色度:YI値測定
JIS K−7105に準じて行った。作製した厚さ約100μmのフィルムを50mm×50mmに切り出して試験片とした。測定装置は、日本電色工業株式会社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)を使用した。
【0057】
6)硫黄原子濃度(単位:ppm)
ジカルボン酸、又はポリエーテルポリアミドエラストマーをプレス機で錠剤成形し、蛍光X線分析(XRF)を実施した。株式会社リガク製の蛍光X線分析装置(ZSX Primus)を用い、管球はRh管球(4kw)を使用した。分析窓用フィルムはポリプロピレンフィルムを使用し、真空雰囲気下で、照射領域30mmφでEZスキャンを実施した。
【0058】
実施例1−1〜1−3(キシリレンジアミンとしてメタキシリレンジアミン、ジカルボン酸としてアジピン酸を使用)、及び、比較例1−1〜1−3
[実施例1−1]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸613.83g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6122g及び酢酸ナトリウム0.4264gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)542.35gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900:米国HUNTSMAN社のカタログによると、式(1)におけるx+zの概数は6.0、yの概数は12.5、概略重量平均分子量は900である)188.62gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.45、[COOH]=77.82μeq/g、[NH2]=51.63μeq/g、Mn=15450、Tg=57.7℃、Tch=111.8℃、Tm=232.8℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0059】
[実施例1−2]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.60g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6613g及び酢酸ナトリウム0.4606gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)489.34gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)359.28gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.35、[COOH]=73.24μeq/g、[NH2]=45.92μeq/g、Mn=16784、Tg=42.1℃、Tch=89.7℃、Tm=227.5℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0060】
[実施例1−3]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.60g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.5523g及び酢酸ナトリウム0.3847gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)516.52gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−600:米国HUNTSMAN社のカタログによると、式(1)におけるx+zの概数は3.0、yの概数は9.0、概略重量平均分子量は600である)119.76gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.49、[COOH]=76.70μeq/g、[NH2]=43.29μeq/g、Mn=16669、Tg=67.1℃、Tch=125.0℃、Tm=230.5℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0061】
(比較例1−1)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器に12−アミノラウリン酸(東京化成工業株式会社製)753.66g、アジピン酸56.84g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.5798g及び酢酸ナトリウム0.4038gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。240℃まで徐々に昇温しながら、そこへポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542:米国HUNTSMAN社のカタログによると、下式(2)で表され、a+cの概数は6.0、bの概数は9.0、概略重量平均分子量は1000である。R
2はプロピレン基を表す。)388.89gを滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.25、[COOH]=87.27μeq/g、[NH2]=73.12μeq/g、Mn=12470、Tm=165.0℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度190℃に設定したラボプラストミルを用いて押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0062】
【化3】
【0063】
(比較例1−2)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器に12−アミノラウリン酸(東京化成工業株式会社製)559.86g、アジピン酸95.00g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6398g及び酢酸ナトリウム0.4457gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。240℃まで徐々に昇温しながら、そこへポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)650.00gを滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.25、[COOH]=78.30μeq/g、[NH2]=92.61μeq/g、Mn=11703、Tm=139.0℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度190℃に設定したラボプラストミルを用いて押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1−3)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.5g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6210g及び酢酸ナトリウム0.4325gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)544.80gを滴下し約2時間重合を行い、ポリアミドを得た:ηr=2.10、[COOH]=104.30μeq/g、[NH2]=24.58μeq/g、Mn=15500、Tg=86.1℃、Tch=153.0℃、Tm=239.8℃。
得られたポリアミドを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例2−1〜2−3(キシリレンジアミンとしてメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンとの混合物、ジカルボン酸としてアジピン酸を使用)、及び比較例2−1
[実施例2−1]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸657.68g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6572g及び酢酸ナトリウム0.4578gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。270℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)407.58gとパラキシレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)174.68g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900、実施例1−1を参照)202.50gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.51、[COOH]=48.53μeq/g、[NH2]=88.72μeq/g、Mn=14572、Tg=59.5℃、Tch=98.0℃、Tm=249.9℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度270℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表2に示す。
【0067】
[実施例2−2]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸584.60g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6626g及び酢酸ナトリウム0.4616gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)343.22gとパラキシレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)147.10g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)360.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.34、[COOH]=75.95μeq/g、[NH2]=61.83μeq/g、Mn=14516、Tg=33.2℃、Tch=73.9℃、Tm=246.2℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度270℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表2に示す。
【0068】
[実施例2−3]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸511.53g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6484g及び酢酸ナトリウム0.4517gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。270℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)283.64gとパラキシレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)121.56g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)472.50gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.30、[COOH]=64.58μeq/g、[NH2]=59.15μeq/g、Mn=16164、Tg=27.8℃、Tch=58.8℃、Tm=240.8℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度270℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表2に示す。
【0069】
(比較例2−1)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にアジピン酸730.8g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6322g及び酢酸ナトリウム0.4404gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。275℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)476.70gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)204.30g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))の混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリアミドを得た:ηr=2.07、[COOH]=55.70μeq/g、[NH2]=64.58μeq/g、Mn=16623、Tg=89.0℃、Tch=135.0℃、Tm=257.0℃。
得られたポリアミドを、温度275℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例3−1〜3−13、及び比較例3−1〜3−2(ジカルボン酸としてセバシン酸を使用)
[実施例3−1]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸809.00g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6367g及び酢酸ナトリウム0.4435gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)539.35gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900、実施例1−1を参照)36.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.81、[COOH]=83.89μeq/g、[NH2]=40.93μeq/g、Mn=16024、Tg=54.0℃、Tch=103.0℃、Tm=190.7℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度250℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表3に示す。また、得られたポリエーテルポリアミドエラストマー中の硫黄原子濃度及びYI値の測定結果を表3に示す。
【0072】
[実施例3−2]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸768.55g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6644g及び酢酸ナトリウム0.4628gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)491.68gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)171.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.44、[COOH]=94.54μeq/g、[NH2]=40.24μeq/g、Mn=14839、Tg=37.6℃、Tch=71.0℃、Tm=187.8℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度235℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表3に示す。また、得られたポリエーテルポリアミドエラストマー中の硫黄原子濃度及びYI値の測定結果を表3に示す。
【0073】
[実施例3−3]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸687.65g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6612g及び酢酸ナトリウム0.4605gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)416.77gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)306.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.33、[COOH]=96.88μeq/g、[NH2]=37.00μeq/g、Mn=14939、Tg=22.2℃、Tch=43.0℃、Tm=182.8℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度220℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表3に示す。また、得られたポリエーテルポリアミドエラストマー中の硫黄原子濃度及びYI値の測定結果を表3に示す。
【0074】
[実施例3−4]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸626.98g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6636g及び酢酸ナトリウム0.4622gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)358.89gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)418.50gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.27、[COOH]=114.63μeq/g、[NH2]=42.19μeq/g、Mn=12753、Tg=7.9℃、Tch=30.7℃、Tm=180.7℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度195℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表3に示す。また、得られたポリエーテルポリアミドエラストマー中の硫黄原子濃度及びYI値の測定結果を表3に示す。
【0075】
[実施例3−5]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸566.30g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6543g及び酢酸ナトリウム0.4557gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)305.09gとポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)504.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.24、[COOH]=141.80μeq/g、[NH2]=83.03μeq/g、Mn=8895、Tm=175.5℃。また、得られたポリエーテルポリアミドエラストマー中の硫黄原子濃度及びYI値の測定結果を表3に示す。
【0076】
(比較例3−1)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸809.0g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6210g及び酢酸ナトリウム0.4325gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)544.80gを滴下し約2時間重合を行い、ポリアミドを得た:ηr=1.80、[COOH]=88.5μeq/g、[NH2]=26.7μeq/g、Mn=17300、Tg=61.2℃、Tch=114.1℃、Tm=191.5℃。
得られたポリアミドを、温度220℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
[実施例3−6]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.23g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6526g及び酢酸ナトリウム0.4546gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)386.99gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)165.85g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)36.90gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.81、[COOH]=53.34μeq/g、[NH2]=82.12μeq/g、Mn=14765、Tg=58.0℃、Tch=96.8℃、Tm=211.3℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度270℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0079】
[実施例3−7]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸768.55g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6644g及び酢酸ナトリウム0.4628gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)344.18gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)47.50g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)171.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.48、[COOH]=66.91μeq/g、[NH2]=82.80μeq/g、Mn=13360、Tg=27.6℃、Tch=72.8℃、Tm=207.6℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度265℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0080】
[実施例3−8]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸687.65g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6612g及び酢酸ナトリウム0.4605gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)291.74gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)125.03g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)306.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.36、[COOH]=66.35μeq/g、[NH2]=74.13μeq/g、Mn=14237、Tg=16.9℃、Tch=52.9℃、Tm=201.9℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度250℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0081】
[実施例3−9]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸626.98g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6636g及び酢酸ナトリウム0.4622gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)251.22gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)107.67g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)418.50gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.30、[COOH]=68.12μeq/g、[NH2]=70.55μeq/g、Mn=14423、Tg=6.7℃、Tch=34.7℃、Tm=196.9℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度245℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0082】
[実施例3−10]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸566.30g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6543g及び酢酸ナトリウム0.4557gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)213.56gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)91.53g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−900)504.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.27、[COOH]=75.93μeq/g、[NH2]=70.67μeq/g、Mn=13643、Tch=24.9℃、Tm=190.9℃。
【0083】
[実施例3−11]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.23g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6414g及び酢酸ナトリウム0.4468gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)388.94gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)166.69g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−600、実施例1−3を参照)12.30gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.87、[COOH]=38.27μeq/g、[NH2]=90.10μeq/g、Mn=15579、Tg=62.1℃、Tch=101.2℃、Tm=211.8℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0084】
[実施例3−12]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.23g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6463g及び酢酸ナトリウム0.4502gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)386.99gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)165.85g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−600)24.60gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.86、[COOH]=36.13μeq/g、[NH2]=94.50μeq/g、Mn=15310、Tg=60.4℃、Tch=99.0℃、Tm=211.7℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度260℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0085】
[実施例3−13]
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸728.10g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6446g及び酢酸ナトリウム0.4490gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)308.90gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)132.39g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))、及びポリエーテルジアミン(米国HUNTSMAN社製、商品名:ED−600)216.00gの混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリエーテルポリアミドエラストマーを得た:ηr=1.36、[COOH]=33.90μeq/g、[NH2]=102.39μeq/g、Mn=14675、Tg=26.8℃、Tch=67.8℃、Tm=202.1℃。
得られたポリエーテルポリアミドエラストマーを、温度250℃で押出成形を行い、厚さ約100μmの無延伸フィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0086】
(比較例3−2)
攪拌機、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積約3Lの反応容器にセバシン酸829.2g、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.6365g及び酢酸ナトリウム0.4434gを仕込み、容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを20ml/分で供給しながら170℃で溶融させた。260℃まで徐々に昇温しながら、そこへメタキシリレンジアミン(MXDA)(三菱ガス化学株式会社製)390.89gとパラキシリレンジアミン(PXDA)(三菱ガス化学株式会社製)167.53g(モル比(MXDA/PXDA=70/30))の混合液を滴下し約2時間重合を行い、ポリアミドを得た:ηr=2.20、[COOH]=81.8μeq/g、[NH2]=26.9μeq/g、Mn=18400、Tg=65.9℃、Tch=100.1℃、Tm=213.8℃。
得られたポリアミドを、温度240℃で押出成形を行い、厚さ約100μmのフィルムを作成した。このフィルムを用いて引張物性を評価した結果を表4に示す。
【0087】
【表4】
【0088】
表1〜4の結果より、本発明のポリエーテルポリアミドエラストマーは溶融成形性、結晶性、柔軟性、機械強度及び耐熱性がともに優れる材料であることがわかる。