(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流1次電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部、前記コンバータ部により変換された直流電圧を平滑化する第1平滑回路部、並列に接続された第1抵抗及び第1スイッチを前記第1平滑回路部の1次側に接続した第1突入電流抑制回路、並びに、前記第1平滑回路部により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して垂直搬送機の回生主体の電動機へ出力する第1インバータ部からなる第1インバータ、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように前記第1インバータ部を制御する第1インバータ制御部を有する回生主体の電動機の駆動制御装置と、
前記コンバータ部の直流出力ラインの正極端子及び負極端子間に、直流電圧を平滑化する第2平滑回路部、並列に接続された第2抵抗及び第2スイッチを前記第2平滑回路部の1次側に接続した第2突入電流抑制回路、並びに、前記第2平滑回路部により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して力行主体の電動機へ出力する第2インバータ部からなる第2インバータ、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように前記第2インバータ部を制御する第2インバータ制御部を有する力行主体の電動機の駆動制御装置と、
前記コンバータ部の直流出力ラインの正極端子及び負極端子間に、第3抵抗及び第3スイッチを並列に接続した第3突入電流抑制回路を介して接続され、前記回生主体の電動機が回生運転している際に前記第1インバータ部の入力部に生ずる直流回生電力を貯蔵するキャパシタとを備え、
前記キャパシタは、前記垂直搬送機の回生主体の電動機の一連の動作の中で、最大の回生エネルギが発生する動作時間内において、前記回生主体の電動機が発生する前記回生エネルギを蓄電する際に流れる充電電流によって、前記回生主体の電動機の速度制御に必要とされる制動トルクを発生させることができる電流値になるような静電容量(C)と直流内部抵抗(R)を有していることを特徴とする垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタは、前記回生主体の電動機の速度制御に必要とされる制動トルクを発生させることができる電流値(Iave)に比べて、前記キャパシタの静電容量(C)と前記回生エネルギを前記キャパシタに蓄電したことによる電圧上昇値(ΔV)の積(C・ΔV)を前記動作時間(Ta)で除して求まる平均充電電流値(Ireg=C・ΔV/Ta)の方が大きくなる(Iave<Ireg)静電容量(C)を有しており、且つ、前記電圧上昇値(ΔV)を前記キャパシタの直流内部抵抗(R)で除して求まる電流値(I0=ΔV/R)が、前記平均充電電流値(Ireg)よりも大きくなる(I0>Ireg)直流内部抵抗(R)を有している請求項1記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタは、前記静電容量(C)と前記直流内部抵抗(R)の積から求まる時定数(T=C・R)と自然対数の底(e)を使って、時間(t)における電流残留率の計算式(e-t/CR)を用いて、前記電圧上昇値(ΔV)を前記キャパシタの直流内部抵抗(R)で除して求まる電流値(I0)の残留率を求め、この残留率が略零になる時間が前記動作時間(Ta)よりも短くなるような静電容量(C)と直流内部抵抗(R)を有している請求項2記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記第1平滑回路部に並列に接続した回生抵抗回路部のトランジスタのオン電圧が、前記キャパシタの耐電圧よりも低い請求項1〜3の何れか1項に記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタの有効蓄電可能容量が、前記垂直搬送機の1サイクル運転の中で発生する回生エネルギの合計以上である請求項1〜4の何れか1項に記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続されるとともに、前記直流出力ラインの正極端子と前記第1インバータの直流母線の正極端子とが短絡され、これと同時に前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなって前記第1インバータが運転可能になり、
前記第1インバータが運転可能になると同時に、前記第1インバータの直流母線の正極端子及び前記第2インバータの直流母線の正極端子を接続する第4スイッチがオンとなり、これと同時に前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなって前記第2インバータが運転可能になる請求項1〜5の何れか1項に記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続され、
前記キャパシタの充電と並行して前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなって前記第1インバータが運転可能になり、
前記キャパシタ及び前記第1平滑回路部の充電と並行して前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなって前記第2インバータが運転可能になる請求項1〜5の何れか1項に記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチ、及び前記第3突入電流抑制回路に直列に接続した第5スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続され、
前記交流1次電源の投入後は、前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなり、前記第1平滑回路部の充電と並行して前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなり、
前記第1平滑回路部及び前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第5スイッチがオンとなると、前記キャパシタの充電を開始するとともに、前記第1インバータ及び前記第2インバータが運転可能になる請求項1〜5の何れか1項に記載の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
垂直搬送機において、荷物を上から下に降ろす専用搬送機(荷降ろしリフタ)として使用する場合、下降動作では、ケージと荷物とを合わせた重量がバランス用ウェイトの重量よりも大きくなり、荷物を受け渡した後のケージのみの上昇動作では、バランス用ウェイトの重量がケージの重量よりも大きくなる。
このため、下降及び上昇の両方の動作において、昇降用電動機は、荷物を積んだケージ又はバランス用ウェイトによって(負荷によって)回されることになり、回生電力を発生する発電機として動作する。
【0007】
特許文献1のような垂直搬送機に蓄電装置と制御装置を設けることにより回生エネルギを利用する駆動制御装置は、その対象が、1台の電動機において、力行運転と回生運転とがある程度規則的に、交互に行われる場合に限定される。
即ち、特許文献1のような駆動制御装置は、電動機単体ごとに回生蓄電したエネルギを各電動機の力行運転時に使い切ることができれば有効なものであるが、回生運転が主体の垂直搬送機では、蓄電装置の蓄電量が満杯となった時点で回生電力の行き場がなくなり、直流母線間電圧が予め設定された制動ユニットのトランジスタの起動電圧に到達し、この直流母線間電圧が設定電圧以上の間は抵抗器に放電して熱エネルギとして捨ててしまうことになる。
また、実際の生産設備などで稼動している、荷物を上から下に降ろす専用搬送機として垂直搬送機を使用する場合、上述のとおり動作回数を重ねる度に回生エネルギは増加し続けるので、特許文献1のような駆動制御装置による省エネシステムでは十分でなく、他の力行運転が主体の設備と組み合わせて回生エネルギを消費しない限り、有効な省エネシステムを構築することは困難である。
その上、特許文献1の垂直搬送機の駆動制御装置の構成では、回生電力を双方向DC/DCコンバータを通して充放電するため、充電時及び放電時ともに電圧変換ロスを伴う欠点がある。
【0008】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、生産ライン等に用いる、回生運転の比率が高い垂直搬送機で発生する回生電力を有効活用することにより交流1次電源の消費を極力低減することができる、垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、前記課題解決のために、交流1次電源から供給された交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部、前記コンバータ部により変換された直流電圧を平滑化する第1平滑回路部、並列に接続された第1抵抗及び第1スイッチを前記第1平滑回路部の1次側に接続した第1突入電流抑制回路、
並びに、前記第1平滑回路部により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して垂直搬送機の回生主体の電動機へ出力する第1インバータ
部からなる第1インバータ、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように前記第1インバータ部を制御する第1インバータ制御部を有する回生主体の電動機の駆動制御装置と、前記コンバータ部の直流出力ラインの正極端子及び負極端子間に、直流電圧を平滑化する第2平滑回路部、並列に接続された第2抵抗及び第2スイッチを前記第2平滑回路部の1次側に接続した第2突入電流抑制回路、並びに、前記第2平滑回路部により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して力行主体の電動機へ出力する第2インバータ部からなる第2インバータ、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように前記第2インバータ部を制御する第2インバータ制御部を有する力行主体の電動機の駆動制御装置と、前記コンバータ部の直流出力ラインの正極端子及び負極端子間に、第3抵抗及び第3スイッチを並列に接続した第3突入電流抑制回路を介して接続され、前記回生主体の電動機が回生運転している際に前記第1インバータ部の入力部に生ずる直流回生電力を貯蔵するキャパシタとを備え、前記キャパシタは、前記垂直搬送機の回生主体の電動機の一連の動作の中で、最大の回生エネルギが発生する動作時間内において、前記回生主体の電動機が発生する前記回生エネルギを蓄電する際に流れる充電電流によって、前記回生主体の電動機の速度制御に必要とされる制動トルクを発生させることができる電流値になるような静電容量(C)と直流内部抵抗(R)を有していることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このような構成によれば、回生主体の電動機の駆動制御装置の第1インバータが、回生主体の電動機が回生運転している際に第1インバータ部の入力部に生ずる直流回生電力を貯蔵するキャパシタを備えるとともに、キャパシタに充電された電力を力行主体の電動機の駆動制御装置の第2インバータへ供給することができるので、例えば、同時限内において、力行電力が回生電力よりも大きくなるような組合せを行うことにより、回生電力を回生抵抗に熱エネルギとして捨てることなく、回生電力を100%有効に利用することができるため、生産ライン等に用いる、回生運転の比率が高い垂直搬送機で発生する回生電力を有効活用することにより交流1次電源の消費を極力低減することができる。
その上、回生電力を双方向DC/DCコンバータを通して充放電しないことから双方向DC/DCコンバータによる電圧変換ロスがないため、回生電力をキャパシタに効率的に蓄電することができるとともに、キャパシタに蓄電された回生電力を有効に活用することができる。
その上さらに、前記キャパシタは、前記垂直搬送機の回生主体の電動機の一連の動作の中で、最大の回生エネルギが発生する動作時間内において、前記回生主体の電動機が発生する前記回生エネルギを蓄電する際に流れる充電電流によって、前記回生主体の電動機の速度制御に必要とされる制動トルクを発生させることができる電流値になるような静電容量(C)と直流内部抵抗(R)を有しているので、垂直搬送機を予め決められた速度曲線に沿って目標通りに速度制御することができる。
【0011】
ここで、前記キャパシタは、前記回生主体の電動機の速度制御に必要とされる制動トルクを発生させることができる電流値(Iave)に比べて、前記キャパシタの静電容量(C)と前記回生エネルギを前記キャパシタに蓄電したことによる電圧上昇値(ΔV)の積(C・ΔV)を前記動作時間(Ta)で除して求まる平均充電電流値(Ireg=C・ΔV/Ta)の方が大きくなる(Iave<Ireg)静電容量(C)を有しており、且つ、前記電圧上昇値(ΔV)を前記キャパシタの直流内部抵抗(R)で除して求まる電流値(I
0=ΔV/R)が、前記平均充電電流値(Ireg)よりも大きくなる(I
0>Ireg)直流内部抵抗(R)を有していることが好ましい(請求項2)。
また、前記キャパシタは、前記静電容量(C)と前記直流内部抵抗(R)の積から求まる時定数(T=C・R)と自然対数の底(e)を使って、時間(t)における電流残留率の計算式(e
-t/CR)を用いて、前記電圧上昇値(ΔV)を前記キャパシタの直流内部抵抗(R)で除して求まる電流値(I
0)の残留率を求め、この残留率が略零になる時間が前記動作時間(Ta)よりも短くなるような静電容量(C)と直流内部抵抗(R)を有していることがより好ましい(請求項3)。
これらの構成によれば、キャパシタに回生エネルギを蓄電する際における最大の充電電流が垂直搬送機の回生主体の電動機の速度制御に必要な制動トルクを発生させることができる電流値であるので、垂直搬送機を予め決められた速度曲線に沿って目標通りに速度制御することができる。
【0012】
さらに,前記
第1平滑回路部に並列に接続した回生抵抗回路部のトランジスタのオン電圧が、前記キャパシタの耐電圧よりも低いと好ましい(請求項4)。
このような構成によれば、キャパシタの耐電圧よりも低い電圧でオンとなるトランジスタにより回生抵抗に電流が流れるので、キャパシタの電圧が耐圧(最大ピーク電圧)を超えることがなく、キャパシタが過電圧にならないように保護することができる。
したがって、回生電力の有効利用及びコストを勘案しながら、キャパシタの容量を小さくすることができる。
【0013】
さらにまた、前記キャパシタの有効蓄電可能容量が、前記垂直搬送機の1サイクル運転の中で発生する回生エネルギの合計以上であると好ましい(請求項5)。
このような構成によれば、回生エネルギを無駄にすることなくキャパシタに蓄電することができるので、回生エネルギをより有効に活用することができる。
【0014】
また、前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続されるとともに、前記直流出力ラインの正極端子と前記第1インバータの直流母線の正極端子とが短絡され、これと同時に前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなって前記第1インバータが運転可能になり、前記第1インバータが運転可能になると同時に、前記第1インバータの直流母線の正極端子及び前記第2インバータの直流母線の正極端子を接続する第4スイッチがオンとなり、これと同時に前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなって前記第2インバータが運転可能になると好ましい(請求項6)。
このような構成によれば、最初にキャパシタが充電され、次に第1インバータの第1平滑回路部が充電され、次に第2インバータの第2平滑回路部が充電されてからシステム全体が運転可能となるので、回生エネルギを100%回収して再利用できる。
【0015】
さらに、前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続され、前記キャパシタの充電と並行して前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなって前記第1インバータが運転可能になり、前記キャパシタ及び前記第1平滑回路部の充電と並行して前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなって前記第2インバータが運転可能になると好ましい(請求項7)。
このような構成によれば、交流1次電源の投入と同時に、キャパシタ、第1平滑回路部及び第2平滑回路部の充電を一斉に開始し、第1平滑回路部の充電完了確認により第1インバータが運転可能となり、第2平滑回路部の充電完了確認により第2インバータが運転可能となるので、キャパシタの充電完了を待ってシステム全体が運転可能になる構成と比較して、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間を大幅に短縮できる。
【0016】
さらにまた、前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチ、及び前記第3突入電流抑制回路に直列に接続した第5スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続され、前記交流1次電源の投入後は、前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなり、前記第1平滑回路部の充電と並行して前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなり、前記第1平滑回路部及び前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第5スイッチがオンとなると、前記キャパシタの充電を開始するとともに、前記第1インバータ及び前記第2インバータが運転可能になると好ましい(請求項8)。
このような構成によれば、第1平滑回路部及び第2平滑回路部の充電完了後に第5スイッチがオンになると、第1インバータ及び第2インバータが運転可能となるので、キャパシタの充電完了を待ってシステム全体が運転可能になる構成と比較して、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間を大幅に短縮できる。
その上、第1平滑回路部及び第2平滑回路部の充電完了後にキャパシタの充電を行うので、コンバータ部に掛かる負担が軽減される。
【0017】
また、前記キャパシタの電圧測定手段を備え、前記キャパシタは、前記交流1次電源が投入されて前記キャパシタの充電完了後にオンとなる前記第3スイッチ、及び前記第3突入電流抑制回路に直列に接続した第5スイッチによって、前記第3抵抗を介さずに直接前記直流出力ラインの正極端子に接続され、前記交流1次電源の投入後は、前記第1抵抗を通して前記第1平滑回路部が充電され、前記第1平滑回路部の充電完了後に前記第1スイッチがオンとなり、前記第1平滑回路部の充電と並行して前記第2抵抗を通して前記第2平滑回路部が充電され、前記第2平滑回路部の充電完了後に前記第2スイッチがオンとなり、前記第1平滑回路部及び前記第2平滑回路部の充電完了後に、前記電圧測定手段により測定した前記キャパシタの電圧値が予め設定された閾値未満である場合は、前記第5スイッチがオンとなって、前記キャパシタの充電を開始するとともに、前記第1インバータ及び前記第2インバータが運転可能になり、前記充電完了後に、前記電圧測定手段により測定した前記キャパシタの電圧値が予め設定された閾値以上である場合は、前記第5スイッチがオンとなって、前記キャパシタの充電完了とするとともに、前記第1インバータ及び前記第2インバータが運転可能になると好ましい(請求項9)。
このような構成によれば、第1平滑回路部及び第2平滑回路部の充電完了後に第5スイッチがオンになると、第1インバータ及び第2インバータが運転可能となるので、キャパシタの充電完了を待ってシステム全体が運転可能になる構成と比較して、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間を大幅に短縮できる。
その上、第1平滑回路部及び第2平滑回路部の充電完了後にキャパシタの充電を行うので、コンバータ部に掛かる負担が軽減される。
その上さらに、前記充電完了後に、前記電圧測定手段により測定した前記キャパシタの電圧値が予め設定された閾値以上である場合は、キャパシタ充電の待ち時間がないため、回生エネルギの再利用効率の低下が生じることがない。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置によれば、垂直搬送機の回生主体の電動機の駆動制御装置の第1インバータに備えたキャパシタが回生エネルギを蓄電し、この蓄電電力を力行主体の電動機の駆動制御装置の第2インバータへ供給することができるので、回生電力を有効活用することにより交流1次電源の消費を極力低減することができること等の顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1のブロック図に示すように、本発明の実施の形態1に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、垂直搬送機の回生主体の電動機M1の駆動制御装置Aと、力行主体の電動機M2の駆動制御装置Bとを備える。
ここで、駆動制御装置Aは、交流1次電源Pから供給された交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ部1(整流回路)、コンバータ部1により変換された直流電圧を平滑化する第1平滑回路部2、並列に接続された第1抵抗R1及び第1スイッチSW1を第1平滑回路部2の1次側に接続した第1突入電流抑制回路3、第1平滑回路部2により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して回生主体の電動機M1へ出力する第1インバータ部4(チョッパ回路)、並びに、第1平滑回路部2に並列に接続した回生抵抗回路部5からなる第1インバータINV1、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように第1インバータ部4を制御する第1インバータ制御部6を有する。
【0021】
また、駆動制御装置Bは、直流電圧を平滑化する第2平滑回路部7、並列に接続された第2抵抗R2及び第2スイッチSW2を第2平滑回路部7の1次側に接続した第2突入電流抑制回路8、並びに、第2平滑回路部7により平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換して力行主体の電動機M2へ出力する第2インバータ部9からなる第2インバータINV2、並びに、速度指令に応じた可変電圧可変周波数の交流電圧を出力するように第2インバータ部9を制御する第2インバータ制御部10を有する。
さらに、駆動制御装置Aは、コンバータ部1の直流出力ラインの正極端子P11及び負極端子N1間に、第3抵抗R3及び第3スイッチSW3を並列に接続した第3突入電流抑制回路11を介して接続され、回生主体の電動機M1が回生運転している際に第1インバータ部4の入力部に生ずる直流回生電力を貯蔵するキャパシタ12を備えている。
さらにまた、第1インバータINV1の直流母線の正極端子P12及び第2インバータINV2の直流母線の正極端子P2は第4スイッチSW4を介して接続され、第1インバータINV1の直流母線の負極端子(コンバータ部1の直流出力ラインの負極端子)N1及び第2インバータINV2の直流母線の負極端子N2は短絡される。
なお、キャパシタ12は、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの他、急速充放電が可能な特性を持った2次電池も含むものである。
【0022】
図1のブロック図及び
図2の流れ図に示すように、交流1次電源Pから第1インバータINV1に電力が供給されると、コンバータ部1(整流回路)から正極端子P11を経て、第3突入電流抑制回路11の第3抵抗R3を通してキャパシタ12が充電される。仮に交流1次電源Pの電圧が200VACとすると、キャパシタ12は282VDCまで充電される。
キャパシタ12への充電開始と同時に第1タイマが作動を開始し、第1タイマが所定時間を経過すると、即ちキャパシタ12への所定の充電時間が経過すると、第3突入電流抑制回路11の第3スイッチSW3がオンとなるため、キャパシタ12は第3抵抗R3を介さずに直接正極端子P12に接続され、正極端子P12に282VDCの直流電圧が印加され、引き続き第1突入電流抑制回路3の第1抵抗R1を通して第1平滑回路部2(平滑コンデンサC1)が充電される。
【0023】
第1平滑回路部2(平滑コンデンサC1)への充電開始と同時に第2タイマが作動を開始し、第2タイマが所定期間を経過すると、即ち第1平滑回路部2(平滑コンデンサC1)への所定の充電時間が経過すると、第1突入電流抑制回路3の第1スイッチSW1がオンとなって第1インバータINV1の運転可信号がオンになる。
第1インバータINV1の運転可信号がオンになると同時に第4スイッチSW4がオンとなって、第2インバータINV2の第2突入電流抑制回路8の第2抵抗R2を通して第2平滑回路部7(平滑コンデンサC2)が充電される。
第2平滑回路部7(平滑コンデンサC2)への充電開始と同時に第3タイマが作動を開始し、第3タイマが所定期間を経過すると、即ち第2平滑回路部7(平滑コンデンサC2)への所定の充電時間が経過すると、第2突入電流抑制回路8の第2スイッチSW2がオンとなって第2インバータINV2の運転可信号がオンになる。
以上のような手順を経て第1インバータINV1及び第2インバータINV2の運転可信号がオンになることにより、システム全体が運転可能となる。
以上の説明においては、キャパシタ12、第1平滑回路部2(平滑コンデンサC1)及び第2平滑回路部7(平滑コンデンサC2)の充電完了確認を、第1タイマ、第2タイマ及び第3タイマにより行っているが、このような充電完了確認を、電圧検出等の他の手段によって行うように構成してもよい。
【0024】
垂直搬送機が回生運転を行うと、回生主体の電動機M1で発生した回生電力は、第1スイッチSW1及び第3スイッチSW3がオンであるので、キャパシタ12に直接蓄電される。この時、力行主体の電動機M2が運転中である場合には、第2インバータINV2側へも回生電力が供給され、力行主体の電動機M2が停止している場合には、回生電力は全てキャパシタ12に充電され、キャパシタ12の蓄電電位を引き上げる。
仮に、キャパシタ12の蓄電電位が380VDCまで上昇すると、第1インバータ制御部6は、第1インバータINV1の平滑コンデンサC1の電位を検出し、回生抵抗回路部5のトランジスタTR1をオンにして回生電力を回生抵抗R4に流し、回生抵抗R4で熱エネルギとして消費することにより、キャパシタ12の過電圧を防止する。
また、力行主体の電動機M2が運転中に回生主体の電動機M1が停止した場合、キャパシタ12の電位が282VDC以上あれば、力行主体の電動機M2はキャパシタ12に蓄電された電力で運転を継続し、キャパシタ12の電位が282VDC未満であれば、力行主体の電動機M2は交流1次電源Pから電力供給を受けて運転を継続する。
以上の説明においては、回生電力を消費する力行主体の電動機の駆動制御装置Bにおいて、電動機M2及び第2インバータINV2がそれぞれ1台である場合を示したが、力行主体の電動機及びインバータは複数台であってもよい。ただし、力行主体の電動機1台の容量は、回生主体の電動機M1の駆動制御装置Aのコンバータ部1(整流回路)の電流制限値から、その電流容量を超えない電動機容量でなければならない。
【0025】
以上のような垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置によれば、回生主体の電動機M1の駆動制御装置Aの第1インバータINV1が、回生主体の電動機M1が回生運転している際に第1インバータ部4の入力部に生ずる直流回生電力を貯蔵するキャパシタ12を備えるとともに、キャパシタ12に充電された電力を力行主体の電動機M2の駆動制御装置Bの第2インバータINV2へ供給することができるので、例えば、同時限内において、力行電力が回生電力よりも大きくなるような組合せを行うことにより、回生電力を回生抵抗に熱エネルギとして捨てることなく、回生電力を100%有効に利用することができるため、生産ライン等に用いる、回生運転の比率が高い垂直搬送機で発生する回生電力を有効活用することにより交流1次電源Pの消費を極力低減することができる。
また、キャパシタ12に回生電力を充電又はキャパシタ12から回生電力を放電する際に、昇降圧用の双方向DC/DCコンバータを通したり、1次電源回生システムのように回生コンバータを通して1次電源側に回生電力を戻すシステムと比較して、コンバータを通さずにキャパシタ12に直接充放電するので、電圧変換ロスがないため、回生電力をキャパシタ12に効率的に蓄電することができるとともに、キャパシタ12に蓄電された回生電力を有効に活用することができる。
【0026】
次に、生産ライン等において回生電力を有効利用する、本発明の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置の検証実験等について説明する。
図3の垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置の実験設備の概略を示すブロック図及び動作説明図に示すように、この実験設備は、垂直搬送機V及び水平搬送コンベアHを備えている。
垂直搬送機Vは、スライドフォークにより水平方向に進退することができる荷受け部を備えたケージCAにより、高位置にあるワークWを低位置に移載するものである。
また、水平搬送コンベアHは、垂直搬送機Vにより受け渡されたワークWを載置した、図示しない非自走式の台車を、水平ループ状経路に沿って、フリクションローラ式駆動装置Dr.1〜Dr.9により搬送するものである。
【0027】
図3の機械装置諸元に示すように、垂直搬送機Vは、ワークWを積んで下降する際には、ケージ側が350kg(920kg(ケージ重量)+700kg(ワーク重量)−1270kg(ウェイト重量)=350kg)重くなり、空荷で上昇する際には、ウェイト側が350kg(1270kg(ウェイト重量)−920kg(ケージ重量)=350kg)重くなるため、下降及び上昇の両方の動作において、昇降用電動機は、回生電力を発生する発電機として動作し、昇降用電動機のインバータが、回生主体の昇降用電動機の駆動制御装置Aの第1インバータINV1である。
また、スライドフォーク駆動用電動機のインバータ及びフリクションローラ式駆動装置Dr.1〜Dr.9用電動機のインバータが、力行主体の電動機の駆動制御装置Bの第2インバータINV2及び第3インバータINV3である。
【0028】
図3中の動作S1〜S9(表1中の「動作説明」も参照。)にしたがって、垂直搬送機Vの1サイクル運転時における力行電力量及び回生電力量を求めた結果を表1に示す。表1中の電力量で、プラスになっているものが力行電力量であり、マイナスになっているものが回生電力量である。
ここで、動作S5及びS9に記載されている、
図3に図示していない補助DL(ドロップリフタ)は、測定試験のために下限の仮置台から上限までワークWを持ち上げるものであり、動作S5(補助DL下降待)は、補助DLがワークWを上限で受け渡し後、空荷で下限まで下降する際の待ち時間であり、動作S9(補助DL上昇待)は、補助DLがワークWを下限から上限まで持ち上げる際の待ち時間である。
【0030】
(キャパシタの仕様)
第1インバータINV1のキャパシタ12として、キャパシタモジュール2個を直列に接続した下記の仕様のものを使用した。
タイプ:電気二重層キャパシタ
定格電圧:DC378V
最大ピーク電圧:DC406V
静電容量(C):1.5F
直流内部抵抗(R):206mΩ
【0031】
(キャパシタの蓄電容量)
キャパシタ12の使用電圧範囲は、282V〜380Vであり、この使用電圧範囲における有効蓄電可能電力量Uは、次式(1)により求められる。
【0032】
U=(1/2)・C・(V1
2−V2
2)
=(0.5)・(1.5)・(380
2−282
2)=48,657J (1)
【0033】
本実験設備の場合、表1より、垂直搬送機Vの1サイクル運転で発生する回生電力量と力行電力量の相殺合計は1サイクル動作終了時10,395Jである。
それに対して、使用したキャパシタ12の蓄電可能容量は、式(1)のとおり、48,657Jであるので、十分な容量を有している。
本実験設備の場合、後述するキャパシタの過電圧保護機能があるので、キャパシタ容量としては、1サイクルの回生と力行の相殺電力量(10,395J)よりも更に小さい容量で済むことになる。以下にその理由を説明する。
先ず、キャパシタ12の使用電圧範囲(282VDC〜380VDC)に関し、その根拠を説明する。
【0034】
図1の交流1次電源Pの電圧が200VACであることから、第1インバータINV1のコンバータ部1(整流回路)で直流に変換されるとルート2倍の282VDCとなるので、1次電源Pが接続されている限り、キャパシタ12は常時この電圧に充電された状態となるため、下限電圧は282VDCになる。
また、一般的な200V系汎用インバータの場合、電動機M1から回生電力が第1インバータINV1に帰還すると、平滑コンデンサC1に蓄電され、コンデンサ両端の直流母線電圧を引き上げることになる。
【0035】
第1インバータ制御部6は、直流母線の電圧が380Vまで上昇したことを検出すると、回生抵抗回路部5のトランジスタTR1をオンにして平滑コンデンサC1に蓄電された回生電力を回生抵抗R4に流し、熱エネルギとして消費するように働く。
これらの動作は平滑コンデンサC1にキャパシタ12が並列に接続された状態においても同様であり、したがって、直流母線電圧は、常時282VDC〜380VDCの範囲に維持されることとなる。
なお、キャパシタ12は、上限電圧の380VDC以上の耐圧(最大ピーク電圧)を持つ必要があるが、キャパシタ12の最大ピーク電圧は、上記仕様のとおり406VDCであるため問題はない。
【0036】
以上のことから、キャパシタ12の蓄電容量は十分な余裕があり、耐電圧もクリアしているため、キャパシタ12として、静電容量が小さいものを選定し、コストを抑える方法が得策である。また、第1インバータINV1の回生抵抗R4への放電開始電圧(380VDC)がキャパシタ12の耐電圧未満であるので、仮に蓄電電力が増加して、キャパシタ電位が上昇しても、耐電圧まで到達する前に回生抵抗R4への放電が行われるため、キャパシタ12が過電圧になることがないように保護することができる。即ち、第1インバータINV1は、キャパシタ12の過電圧保護機能を有している。
【0037】
(キャパシタ電位の変化)
表1の垂直搬送機Vの動作S1〜S9によるキャパシタ12の蓄電エネルギ量及び蓄電電位の変化を表2に示す。なお、水平搬送コンベアHのフリクションローラ式駆動装置Dr.1〜Dr.9用電動機は、常時4台の電動機(100W/1台)が運転しているものとする。
【0039】
表2から、キャパシタ電位が282V未満になろうとした際には1次電源Pから電力供給を受けるため、キャパシタ電位は282V未満には低下しないことがわかる。
例えば、表2の中で、動作S4(上限まで上昇:低速上昇)、動作S5(上限待機:補助DL下降待)、及び、動作S9(下限待機:補助DL上昇待)の3動作中においては、キャパシタ12の蓄電エネルギが59,643Jを下回ろうとするので、電位の高い1次電源Pから電力が供給され、キャパシタ電位は282Vを維持する。
また、キャパシタ電位が上昇して380Vを超えると、上述のとおり回生抵抗回路部5のトランジスタTR1がオンになるので、回生エネルギが回生抵抗R4で熱エネルギとして消費されるため、キャパシタ電位は380V以上に上昇しないように構成されているが、本実験設備の場合、正常に動作している限り、キャパシタ電位は最高で約293.1Vまでしか上昇しないことがわかる。
したがって、マニュアル操作等で予めキャパシタ12にエネルギが蓄電されていない限り、連続運転を実施しても、回生抵抗回路部5のトランジスタTR1のオン電圧(380V)まで電圧上昇することはない。
【0040】
以上のことから、要求される回生電力蓄電用キャパシタ12の有効蓄電可能容量としては、1サイクル中の回生エネルギの合計ではなく、また、回生と力行エネルギの相殺でもない、1サイクル中の連続した一つの動作(上昇または下降など、表2では、動作S1及びS2(中間まで上昇:高速上昇及び低速上昇))で発生する最大の回生エネルギ(表2では、7,387J)を蓄電できれば良いことになる。
このような有効蓄電可能容量を持ったキャパシタ12を使用することで、コスト低減化を図ることができる。また、回生抵抗回路部5と組み合わせることにより、過電圧になることもない。
なお、動作条件に制約を付けなければ、キャパシタ12の有効蓄電可能容量としては、1サイクル中に発生する回生エネルギの合計容量以上を持てば良いことになる。
そして、
図3のように、1サイクル運転中に垂直搬送機Vで発生する回生エネルギよりも大きなエネルギを必要とする力行主体の水平搬送コンベアHを垂直搬送機Vと組み合わせて使用することにより、回生エネルギを100%有効利用することが可能となる。
【0041】
(制動抵抗回路による回生エネルギ処理)
キャパシタ12に流れる充電電流により十分な制動トルクが得られるか否かを確認する目的で、キャパシタ12を使用せずに回生エネルギを熱エネルギとして消費する従来の制動抵抗回路を使ったインバータ駆動電動機の制御と比較する。
図4に概略構成を示す従来の制動抵抗回路13を使った駆動系の駆動制御装置のブロック図において、インバータメーカの選定ソフトを使って選定した制動抵抗R5を使用し、制動抵抗R5に流れる電流値を計算することで、垂直搬送機Vを限られた時間内に決められた位置に停止させるための回生電流値を明確にすることができる。
【0042】
ただし、ここで注意しなければならないのは、回生エネルギをキャパシタ蓄電する場合では充電電流は連続して流れるが、制動抵抗回路13を使って熱エネルギとして消費する場合では抵抗回路に流れる電流はオンとオフを繰り返す間欠動作となる点である。
よって、制動抵抗回路13を用いた構成におけるオンとオフの比率からデューティーサイクルを求め、これに制動抵抗R5に流れる電流を掛けた平均電流を求め、この平均電流を比較対象とすればよい。
【0043】
垂直搬送機Vの電動機、インバータ及び制動抵抗等の各仕様を以下に示す。
電動機(M1):3相200V,5.5kW,4極
インバータ(INV1):3相200V,5.5kW
内蔵平滑コンデンサ(C1):3120μF
回生トランジスタ(TR1)のオン電圧:379V以上
回生トランジスタ(TR1)のオフ電圧:379V未満(遅延時間を加味すると377V以下)
制動抵抗(R5):20Ω
【0044】
(制動抵抗を流れる平均回生電流)
回生エネルギが平滑コンデンサC1に蓄電され、両端の電圧が379Vを越えると、制動抵抗回路13のトランジスタTR1がオンになる。この時制動抵抗R5(20Ω)に流れる電流の最大値Imaxは、次式(2)により求められる。
【0045】
Imax=379/20=18.95A (2)
【0046】
トランジスタTR1がオンとなって制動抵抗R5に電流が流れ、平滑コンデンサC1の電位が下がると、トランジスタTR1はオフとなって再度充電が始まる。
このようなオンとオフのデューティーサイクル(実測で求めた数値27%を使用)を式(2)で求めた電流の最大値Imaxに掛けることにより、平均回生電流Iaveは、次式(3)により求められる。
【0047】
Iave=Imax・Duty=(18.95)・(0.27)=5.1A (3)
【0048】
(キャパシタに回生エネルギを蓄電する際の充電速度)
キャパシタ12に要求される条件として、上述のとおり、電動機M1が発生する回生エネルギを蓄電できるだけの容量と、接続回路と蓄電エネルギによる定格電圧とが必要となるが、それ以外に要求される条件として、回生エネルギを蓄電する際の充電速度がある。
表1の中において、1サイクル動作中の最短時間に最大の回生エネルギが帰還する動作について、その時のキャパシタ充電電流が何アンペアであって、その充電電流値で必要な制動トルクが得られ、限られた時間内に電動機が発生する回生エネルギをキャパシタ12に充電できるか否かを検証してみる。
【0049】
これは、垂直搬送機Vを予め決められた速度曲線に沿って、目標通りに制御できるか否かを判断する材料となる。
なお、「必要な制動トルク」に関する判断は、キャパシタ回生において、
図4に示した制動抵抗回路13による回生エネルギを熱エネルギに変換する処理と同じタイミングで、回生エネルギをキャパシタ12に充電できるか否かにより判断する。
表1の中で、最短時間に最大の回生エネルギが発生する動作は、動作S1の「高速上昇」中の「高速上昇&減速」であって、この動作時間2.7秒間に5,244Jの回生エネルギが発生しており、この回生エネルギがキャパシタ12に蓄電される場合において、キャパシタ12の電圧上昇並びに充電電流及び充電エネルギがいくらになるかを計算により求める。ただし、キャパシタ12は予め300Vまで充電されているものとし、平滑コンデンサC1は考慮しない。
【0050】
300V(V2)にチャージされたキャパシタ12に2.7秒間で5,244Jのエネルギが蓄電されるので、式(1)を用いて、蓄電後のキャパシタ電圧V1は、次式(4)により求められる。
【0051】
V1=√(2・(5,244)/1.5+300
2)=311.4V (4)
【0052】
即ち、キャパシタ電圧は、300Vから311.4Vへ11.4V(ΔV)上昇する。
次に、2.7秒間(動作時間(回生エネルギの発生時間)Ta)におけるキャパシタ12の充電に必要な平均電流Iregは、次式(5)により求められる。
【0053】
Ireg=C・ΔV/Ta
=(1.5)・(11.4)/2.7=6.33A (5)
【0054】
まとめると、2.7秒間の回生運転において、キャパシタ12に対し、6.33Aの平均充電電流Iregを流すと、5,244Jの回生エネルギを蓄電することができる。
その結果、当初300Vだったキャパシタ電位は11.4V上昇して311.4Vとなる。
式(3)による制動抵抗R5を流れる平均回生電流Iaveと、式(5)によるキャパシタ12の充電に必要な平均充電電流Iregとを比較すると、Iave<Iregであるので、キャパシタ12の静電容量は問題ない。
【0055】
(キャパシタの充電速度(パワー密度))
続いて、キャパシタ12の性能に関し、直流内部抵抗とエネルギの充電時間について検討する。
仮に、5,244Jの回生エネルギが2.7秒間に発生するのではなく、瞬時に発生したとして、そのエネルギをどの程度の時間でキャパシタ12が吸収(充電)できるか検討する。
【0056】
蓄電による電圧上昇は11.4V(ΔV)であり、キャパシタ12の直流内部抵抗Rは0.206Ωであるから、蓄電による電圧上昇ΔVをVとして表した
図5(a)に示すキャパシタ12の充電回路と等価である。
この等価回路の時定数Tは、T=CR=(1.5)・(0.206)=0.31sであり、充電電流iの変化の速さは直流内部抵抗Rが小さいほど速いことがわかる。静電容量Cについても同様の傾向であるが、静電容量Cは蓄電容量に関係するので配慮が必要である。
また、
図5(a)の等価回路における時間tによる充電電流iの変化を示した
図5(b)から、電圧上昇値(ΔV=V)をキャパシタ12の直流内部抵抗Rで除して求まる電流値I
0が、2秒経過後には略零(I
20=0.09A)になり、5,244Jの回生エネルギは、約2秒でほとんど(99.84%)がキャパシタ12に充電されることがわかる。
よって、電流値I
0の残留率が略零(0.16%)になる時間(約2秒)が、回生エネルギの発生時間(動作時間Ta)である2.7秒よりも十分に短いので、キャパシタ12の充電速度は問題ない。
【0057】
(キャパシタ選定条件)
以上の検討結果に基づくキャパシタ12の選定条件を以下にまとめる。
(a)従来から広く使われているインバータメーカの選定ソフトにより、垂直搬送機Vの最適な制御を実施する上で必要なブレーキユニットの容量と、それに接続する制動抵抗値を求める。
(b)次に、インバータの平滑コンデンサの仕様及びトランジスタのオン・オフ電圧パラメーターから、垂直搬送機Vが回生運転に入った際に制動抵抗回路に流れる平均電流値を求める。
(c)式(3)により求めた平均回生電流Iave(本実験設備の例では5.1A)が最短時間に最大の回生エネルギが発生する時の制動抵抗R5に流れる電流値であって、同条件下で、式(5)による平均充電電流Ireg(本実験設備の例では6.33A)との間にIave<Iregの関係が成立すれば、電動機に必要な制動トルクを発生させることができる。キャパシタ回生の場合、この平均充電電流を決める要素は静電容量である。
(d)回生運転継続時間内に発生したエネルギをキャパシタ12に充電できることが、限られた時間内に定位置に搬送機を停止させる必要条件である。その条件を判断するための要素が
図5(a)内に示すキャパシタ12の直流内部抵抗Rである。
(e)即ち、発生エネルギの蓄電によるキャパシタ12の電圧上昇値ΔV(11.4V)を直流内部抵抗R(0.206Ω)で除した電流値I
0(55A)が式(5)で求めた平均電流値Ireg(6.33A)よりも十分大きくなることと、キャパシタ12の静電容量Cと直流内部抵抗Rの積から時定数と残留率を求めて、
図5(b)のように先に求めた電流値I
0(55A)がどれだけの時間で略零となるかを調べ、その時間が回生エネルギの発生している時間(動作時間Ta)よりも十分短いことが条件となる。
【0058】
以上の検討結果から、回生電力を貯蔵するキャパシタ12を備えた本発明の垂直搬送機Vを含む駆動系の駆動制御装置に要求される条件を整理すると以下のようになる。
(1)キャパシタ12の有効蓄電容量として、垂直搬送機Vの1サイクル運転の中で、連続した一つの動作(上昇または下降など)で発生する最大の回生エネルギ量を蓄電できること。動作条件に制約を付けないとすると、1サイクル運転で発生する回生エネルギを蓄電できるだけの容量を有すること。
(2)キャパシタ12の耐電圧(最大ピーク電圧)が、組み合わせる回生抵抗回路部5のトランジスタオン電圧よりも高いこと。即ち、回生抵抗回路部5のトランジスタオン電圧が、キャパシタ12の耐電圧(最大ピーク電圧)よりも低いこと。
(3)キャパシタ12に回生エネルギを充電する際の平均充電電流とエネルギ吸収速度に関し、上述の(キャパシタ選定条件)の(a)から(e)の条件を全て満足すること。
(4)キャパシタ12のオーバーフロー対策として、組み合わせる回生抵抗回路部5は、キャパシタ12が満杯時に回生抵抗R4に回生電力を流し込んだ際に垂直搬送機Vの必要とされる制動トルクが得られる電流値が流せること。
(5)垂直搬送機Vの発生する回生エネルギを有効利用するために、組み合わせる力行主体の搬送機の消費エネルギは回生エネルギよりも大であること。不足する力行エネルギは1次電源から供給され、運転は継続される。
なお、上記(1)〜(5)の条件の中で、回生電力を有効利用して垂直搬送機Vを予め決められた速度曲線に沿って目標通りに速度制御できるようにするために特に重要な条件は、(3)である。
【0059】
図1のブロック図及び
図2の流れ図に示す実施の形態1に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、最初にキャパシタ12の充電を行い、次に第1インバータINV1の平滑コンデンサC1の充電を行い、次に第2インバータINV2の平滑コンデンサC2の充電を行うことでシステム全体が運転可能となる。
このようにキャパシタやコンデンサの充電を段階的に実施する理由は、第1インバータINV1のコンバータ部1(整流回路)の電流定格がキャパシタ12やコンデンサC1,C2の充電電流値の合計よりも低い場合に対応するためであり、このように段階的に充電を行う方式(以下において、「ステップ充電方式」という。)の利点は、回生エネルギを100%回収して再利用できる点である。
実施の形態1のステップ充電方式には、このような特長がある反面、段階的に充電を行うことから、第1インバータINV1及び第2インバータINV2の運転可信号がオンとなってシステム全体が運転可能となるまでには、充電のための一定時間(例えば、3分程度)を待たなければならないという欠点もある。
例えば、自動車の生産ライン等においては、非常停止や重大な故障が発生した場合に制御盤の1次電源が遮断され、それによって安全が確保されるので、このような生産ラインに実施の形態1のステップ充電方式を採用した場合、異常の復旧後に電源投入をしても前記一定時間を待つ必要があり、システムの復旧に時間がかかって生産ロスに繋がるため、システムの復旧時間を短縮するという観点からは改良の余地がある。
以下の実施の形態2ないし4に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、システムの復旧時間(電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間)を短縮するためのものである。
【0060】
(実施の形態2)
図6のブロック図及び
図7の流れ図は、本発明の実施の形態2に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置を示すものであり、実施の形態1の
図1と同一符号は同一又は相当部分を示している。
キャパシタ12は、交流1次電源Pが投入されてキャパシタ12の充電完了後にオンとなる第3スイッチSW3によって、第3抵抗R3を介さずに直接直流出力ラインの正極端子P11に接続される。
また、キャパシタ12の充電と並行して第1抵抗R1を通して第1平滑回路部2の平滑コンデンサC1が充電され、第1平滑回路部2の充電完了後に第1スイッチSW1がオンとなって第1インバータINV1が運転可能になる。
さらに、キャパシタ12及び平滑コンデンサC1の充電と並行して第2抵抗R2を通して第2平滑回路部7の平滑コンデンサC2が充電され、第2平滑回路部7の充電完了後に第2スイッチSW2がオンとなって第2インバータINV2が運転可能になる。
【0061】
このように、実施の形態2に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置では、1次電源Pの投入と同時に、キャパシタ12、平滑コンデンサC1及び平滑コンデンサC2の充電を一斉に開始し(以下において、「一斉充電方式」という。)、第2タイマ及び第3タイマの待ち時間で夫々のインバータINV1及びINV2が運転可能となるので、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間は1秒未満であり、ステップ充電方式よりも大幅に短縮される。
なお、一斉充電方式では、充電電流が大きくなることから、コンバータ部1(整流回路)の電流定格を十分な容量にする必要がある。
【0062】
ここで、キャパシタ12の充電は平滑コンデンサC1,C2よりも長時間を必要とするので、一斉充電方式では、キャパシタ12の充電完了前に第1インバータINV1により駆動される電動機M1、及び第2インバータINV2により駆動される電動機M2が動作を始めることが起きる。
よって、回生主体の電動機M1が運転を始めると、キャパシタ12の充電状態にもよるが、帰還する回生電力がキャパシタ12に蓄電されずに回生抵抗R4で熱エネルギとして消費されることが起こり、キャパシタ12の充電完了までは、ステップ充電方式よりも回生エネルギの回収効率が低下する。
【0063】
(実施の形態3)
図8のブロック図及び
図9の流れ図は、本発明の実施の形態3に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置を示すものであり、実施の形態1の
図1と同一符号は同一又は相当部分を示している。
キャパシタ12は、交流1次電源Pが投入されてキャパシタ12の充電完了後にオンとなる第3スイッチSW3、及び第3突入電流抑制回路11に直列に接続した第5スイッチSW5によって、第3抵抗R3を介さずに直接直流出力ラインの正極端子P11に接続される。
【0064】
実施の形態3に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、交流1次電源Pの投入後は、第1インバータINV1内蔵の平滑コンデンサC1及び第2インバータINV2内蔵の平滑コンデンサC2の充電を最初に並行して行い、若干遅れて、第2タイマ及び第3タイマよりも設定時間が長い第5タイマがタイムアップした時点でキャパシタ12の充電を行う。
ここで、平滑コンデンサC1及びC2の充電が完了して第5タイマがタイムアップすると、電動機M1及びM2は運転可能となるため、電動機M1及びM2を運転しながらキャパシタ12の充電を行う(以下において、「動作並行充電方式」という。)。
【0065】
よって、動作並行充電方式では、第2タイマ及び第3タイマよりも設定時間が長い第5タイマの待ち時間で第1インバータINV1及び第2インバータINV2が運転可能となるので、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間は数秒程度であり、ステップ充電方式よりも大幅に短縮される。
その上、平滑コンデンサC1及びC2の充電とキャパシタ12の充電を第5タイマ(第5スイッチSW5)によって分割しているので、コンバータ部1(整流回路)に掛かる負担が軽減される。
ここで、動作並行充電方式では、キャパシタ12の充電完了前に第1インバータINV1により駆動される電動機M1、及び第2インバータINV2により駆動される電動機M2が動作を始めるので、回生主体の電動機M1が運転を始めると、キャパシタ12の充電状態にもよるが、帰還する回生電力がキャパシタ12に蓄電されずに回生抵抗R4で熱エネルギとして消費されることが起こり、キャパシタ12の充電完了までは、ステップ充電方式よりも回生エネルギの回収効率が低下する。
以上の実施の形態3における第2タイマ、第3タイマ、第5タイマ及び第6タイマ(
図9参照。)による充電完了確認は、電圧検出等の他の手段によって行うように構成してもよい。
【0066】
以下において、
図10に示す垂直搬送機の動作並行充電等価回路、並びに、
図11に示す、
図10の第5スイッチSW5がオンで第3スイッチSW3がオフの初期充電中における、時間による直流母線電圧(v1)並びにキャパシタ電圧(v2)及びキャパシタ充電電流(i)の変化を示す図を参照して、回生エネルギの回収効率の低下について説明する。
図11(a)に示す回生エネルギが発生しない場合に対して、
図11(b)に示す回生エネルギが発生する場合では、キャパシタ12の前記初期充電中において、回生主体の電動機M1から回生電力が帰還すると、先ず直流母線に接続された平滑コンデンサC1(数千μF/数百mΩ)に回生電力が流入する。この時点ではキャパシタ回路には数十Ωの突入電流抑制抵抗R3が接続されているので、平滑コンデンサC1に比べるとキャパシタ12の充電速度は非常に遅い。充電速度の速い平滑コンデンサC1は静電容量も小さいので、その電位は急激に上昇して直流母線電圧v1を引き上げる。
【0067】
その結果、直流母線電圧v1は電圧値v1aまで上昇するので、キャパシタ12の両端の電圧値v2aとの間に電位差が発生する。この電位差によって、突入電流抑制抵抗R3には、充電電流(ia=(v1a−v2a)/R3)が流れ出す。
この充電電流iaは電動機M1の回生運転が終了するまで流れるため、キャパシタ12は回生電力を蓄電して電圧値v2bまで上昇することとなる。
このような電動機M1の回生運転中における回生電力の大きさによっては、直流母線電圧v1aが回生トランジスタTR1のオン電圧を超えるようなことが起こり、回生電力はキャパシタ12に蓄電されることなく、回生抵抗R4で熱エネルギとして消費されることになる。このようにして、回生エネルギの再利用効率が低下することになる。
【0068】
(実施の形態4)
図12のブロック図及び
図13の流れ図は、本発明の実施の形態4に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置を示すものであり、実施の形態1の
図1と同一符号は同一又は相当部分を示している。また、
図12のブロック図は、実施の形態3の
図8のブロック図に対して、キャパシタ12の電圧測定手段を付加したものである。
実施の形態4に係る垂直搬送機を含む駆動系の駆動制御装置は、交流1次電源Pの投入後は、第1インバータINV1内蔵の平滑コンデンサC1及び第2インバータINV2内蔵の平滑コンデンサC2の充電を最初に並行して行い、平滑コンデンサC1及びC2の充電完了後、第5タイマの設定時間経過後に第5スイッチSW5をオンにしてキャパシタ12の充電を始める前に、前記電圧測定手段によってキャパシタ12の電圧値を測定しておき、キャパシタ12の電圧値が予め設定された閾値以上である場合はキャパシタ12の充電時間を待たずに充電完了とし、第5スイッチSW5と第3スイッチSW3を同時にオンにする。
前記電圧測定手段により測定したキャパシタ12の電圧値が、第5タイマの設定時間経過時に閾値未満である場合は、第5スイッチSW5をオンにして抵抗R3を通してキャパシタ12を充電し、キャパシタ12の電圧値が閾値を越えた時点で第3スイッチSW3をオンにする(以下において、「電圧検知による充電方式」という。)。
【0069】
よって、電圧検知による充電方式では、第2タイマ及び第3タイマよりも設定時間が長い第5タイマの待ち時間で夫々のインバータINV1及びINV2が運転可能となるので、電源投入からシステム全体が運転可能になるまでの時間は数秒程度であり、ステップ充電方式よりも大幅に短縮される。
その上、第5タイマの設定時間経過時にキャパシタ12の電圧値が閾値以上であればキャパシタ充電の待ち時間はなく、実施の形態3で説明したような回生エネルギの再利用効率の低下が生じることもない。
ただし、電圧測定手段により測定したキャパシタ12の電圧値が閾値未満である場合には、動作並行充電方式と同様に回生エネルギの再利用効率の低下が生じる場合がある。
以上の実施の形態4における第2タイマ、第3タイマ及び第5タイマ(
図13参照。)による充電完了確認は、電圧検出等の他の手段によって行うように構成してもよい。