特許第5867874号(P5867874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5867874動的に調整される心肺蘇生圧迫パラメータを用いる蘇生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5867874
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】動的に調整される心肺蘇生圧迫パラメータを用いる蘇生システム
(51)【国際特許分類】
   A61H 31/00 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
   A61H31/00
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-513347(P2013-513347)
(86)(22)【出願日】2011年6月2日
(65)【公表番号】特表2013-532012(P2013-532012A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】US2011038936
(87)【国際公開番号】WO2011153356
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年4月30日
(31)【優先権主張番号】61/350,865
(32)【優先日】2010年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ゲイリー エイ.
【審査官】 久郷 明義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0119706(US,A1)
【文献】 特表2009−507609(JP,A)
【文献】 特表2006−525078(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0215114(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心停止被害者の蘇生に使用するための蘇生システムであって、前記蘇生システムは、
救命心疾患治療を受けている患者からの心電図信号つまりECG信号の、まとまりのあるショック非適応のリズムを監視するようにプログラムされたECGモニタと;
ECGの細動を誘発するリスクのある受攻期が現われそうな時間を特定するようにプログラムされたプロセッサであって、前記プロセッサはECG信号の値に基づき、胸部圧迫立下がり速度、胸部圧迫立上がり速度、および胸部圧迫立下がり保持時間のうちの少なくとも1つを選択するようにプログラムされたことと;
受攻期中に細動を誘発するリスクを低減するように決定された、患者に実施すべき胸部圧迫を表すパラメータを生じさせる信号を生成するためのトリガ回路と
を有する、蘇生システムであって、
前記パラメータは胸部圧迫立下がり速度、胸部圧迫立上がり速度、および胸部圧迫立下がり保持時間のうちの少なくとも1つを用いて、実行されるべき胸部圧迫を引き起こすデータを含む、
蘇生システム
【請求項2】
前記受攻期は、少なくともT波の一部の間にある、
請求項記載の蘇生システム
【請求項3】
パラメータを生じさせる前記信号は、ECG信号の特定された形態学的特徴の結果として生成される、
請求項記載の蘇生システム
【請求項4】
前記ECGモニタは、ECG信号に加えて血流を示す1以上の生理学的信号を監視するように構成され、
前記トリガ回路は、患者にとって血流を最大限にする一方で、胸部圧迫を表すパラメータを、細動誘発のリスクを最小限にするように変更するように構成される、
を有する、請求項記載の蘇生システム
【請求項5】
パラメータを生じさせる前記信号は、コンピュータ制御された機械的胸部圧迫装置の胸
部圧迫パラメータを制御する1以上の制御信号を有する、
請求項記載の蘇生システム
【請求項6】
前記蘇生システムはさらに、患者に治療レベルのエネルギーを供給するように構成された電磁治療エネルギー発生器を有する、
請求項記載の蘇生システム
【請求項7】
前記ECGモニタは、患者に貼付した電極から受取られたECG信号から、胸部圧迫運動アーチファクトをフィルタリングするように構成される
請求項記載の蘇生システム
【請求項8】
前記プロセッサは、患者に除細動ショックを供給する間のショック間期に、パラメータを生じさせる前記信号を生成するためのプロファイルを変更するように構成される
請求項記載の蘇生システム
【請求項9】
前記プロセッサは、心電図サイクルでECG信号の細動を誘発するリスクのある受攻期が現われそうな時間を決定するべく、
ECG周期を決定するために少なくとも2ECGサイクルの時間を特定することと;
少なくとも2ECGサイクルの1つの受攻期から時期を拡張することによって、受攻期が現われそうな時間を決定することと
実行するように構成される、請求項記載の蘇生システム
【請求項10】
患者の心臓が胸部圧迫に誘発された細動を受けやすいECG波形の時期を含めて、患者のECG波形の1以上の部分を特定して、胸部圧迫の発生受攻期における運動を回避するように仕向ける1以上の信号を生成するようにプログラムされたECG分析器と;
前記ECG分析器から信号を受取り、受取った信号に調和して患者胸部の立上がり、立下がり、または立上がりと立下がりに対して出される指示を生じさせるように構成されたトリガ回路と
を有する、胸部圧迫システムであって、
前記ECG分析器は、前記プロセッサはECG信号の値に基づき、胸部圧迫立下がり速度、胸部圧迫立上がり速度、および胸部圧迫立下がり保持時間のうちの少なくとも1つを判定するように構成され、
前記トリガ回路は、前記パラメータは胸部圧迫立下がり速度、胸部圧迫立上がり速度、および胸部圧迫立下がり保持時間のうちの前記判定された少なくとも1つを用いて、実行されるべき胸部圧迫立上がり、胸部圧迫立下がり、および胸部圧迫立上がりと立下がりを引き起こすように構成された、
胸部圧迫システム
【請求項11】
前記胸部圧迫システムはさらに、前記トリガ回路からの指示に応答して、心停止を起こした患者に自動胸部圧迫を施すように構成された胸部圧迫アクチュエータを有する、
請求項10記載の胸部圧迫システム。
【請求項12】
前記胸部圧迫システムはさらに、患者に貼付した電極から受取ったECG信号から、胸部圧迫運動アーチファクトをフィルタリングするように構成された信号処理ユニットを有する、
請求項10記載の胸部圧迫システム。
【請求項13】
前記分析器はさらに、患者に除細動ショックを供給する間のショック間期に信号を生成するためのプロファイルを変更するようにプログラムされている、
請求項10記載の胸部圧迫システム。
【請求項14】
前記分析器はさらに、患者のT波期前後の時期にわたって胸部圧迫を深部相に保持し、受攻期が経過し終わるまで立上がりを遅らせるようにプログラムされている、
請求項10記載の胸部圧迫システム。
【請求項15】
前記分析器は、
ECG周期を決定するために少なくとも2ECGサイクルの時間を特定することによって、ECGのT波部分が現われそうな時間を決定することと;および
少なくとも2ECGサイクルの1つのT波から時期を拡張することによって、T波部分が現われそうな時間を決定することと
を実行するようにプログラムされている、
請求項10記載の胸部圧迫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心室細動のような心臓異常のある患者に、機械的胸部圧迫装置を用いることを含め、胸部圧迫を実施するためのシステムと技術に関する。
【背景技術】
【0002】
事故が原因で生じる突然の心停止や心外傷など突然の健康問題によって、毎年何千人も死亡したり、永久損傷を被ったりしている。これらの問題の被害者を蘇生させるために迅速かつ的確な処置をすることは、このような状況で肯定的な結果に至るために必須である。たとえば突然の心停止で助かるチャンスは、効果的な処置を施すのが1分遅れる毎に10パーセント低下すると言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,220,235号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】リンク、エスティス「機械的に誘発される心室細動(心臓震盪)」心臓リズム第4巻第4号、2007年4月。
【非特許文献2】CritCareMed2000Vol.28、No.11(Suppl.)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
心停止を起こした患者の蘇生処置は、一般に患者の気道を確保し、患者に人工呼吸を施し、胸部を圧迫して患者の心臓、脳、およびその他の重要臓器に血流を送ることを含む。患者がショック適応の心臓リズム(心室細動または無脈性心室頻拍)を持っていたら、蘇生は、除細動治療も有することがある。そのような行動と並行して、患者の治療心電図(ECG)信号を電子的に把捉、表示、および監視することで、蘇生者は、患者の心臓が正常か正常に近い動作に戻った時点を決定し、また心臓がショック適応のリズムを呈する時点を決定できる。心室細動(VF)を起こした患者の約半分は、心室細動転換に成功した後数分内に心室細動を再発し、再転換が必要となることがある。蘇生中に心室細動が繰り返し再発することで、患者の生存率は低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、心室細動または類似の疾患を起こした患者もしくは被害者に改良された胸部圧迫を施すために使用できるシステムと技術について記す。特に、ECG波形で示されるT波の領域にある人の心臓サイクルは、心臓のサイクルの受攻期を表す。これは心臓のサイクルにおいて心室が再分極している部分であり、以下に論じるように、胸部圧迫または減圧を用いた外部からの心臓の物理的操作が原因で心臓が心室細動に入るか、または再び入る時期である。これは特に、心臓がショックで細動から出て、無脈性電気活動(PEA)のようにまとまりのあるリズムに入るときに言える。この時期は、受攻期と呼ぶことができる。
【0007】
ここに記す技術によって、患者から受取ったECG測定値に調和して機械的胸部圧迫装置の動作を制御することなどによって、受攻期には胸部圧迫を用いた心臓の運動は減少するか、または皆無となって、受攻期の間は、圧迫または減圧のための運動が回避される。また、心臓は、強い除細動ショックやエピネフリンなどの薬剤を受けた直後に特に攻撃さ
れやすくなるが、本明細書に記す技術は、特にそのような時期に突然の圧迫や減圧を避けることができる。たとえば患者にショックが与えられた直後に圧迫または減圧が起こる速度を最小限にし、ショックを与えた後に時間が経過して心臓がショックから一層回復した後で増すことができる。
【0008】
一実施形態において、心停止被害者の蘇生に使用するための蘇生システムが開示される。このシステムは、救命心疾患治療を受けている患者からの心電図(ECG)信号のまとまりのあるショック非適応のリズムを監視するようにプログラムされたECGモニタと、ECGの細動を誘発するリスクのある受攻期が現われそうな時間を特定するようにプログラムされたプロセッサと、受攻期中に細動を誘発するリスクを最小化するように調整されるべき胸部圧迫を表すパラメータを生じさせる信号を生成するための制御回路のリズムを監視するようにプログラムされたECGモニタとを有する。
【0009】
別の実施形態において、医療胸部圧迫法が開示される。この方法は、救命心疾患治療を受けている患者からの心電図サイクルの心電図(ECG)信号を監視して、どこでECG信号がまとまりのあるショック非適応のリズムを呈するか把握し、ECGの細動を誘発するリスクのある受攻期が現われそうな心電図サイクルの時間を決定し、受攻期中に細動を誘発するリスクを最小化するように調整されるべき胸部圧迫を表すパラメータを生じさせる信号を生成することを有する。
【0010】
以下に論じる実施形態の幾つかは、適切な条件下において、1以上の利点を提供する。たとえば機械的胸部圧迫システムは、十分な容積の血流を供給する一方で、患者の心臓が再び細動するチャンスを少なくするように制御できる。このような制御は、コンピュータを介して自動的に行われるので、その応答性と性能を高め、蘇生者がその他の事柄に集中できるようにする。代替として、このような方策は、手動胸部圧迫にも用いることができ、自動圧迫または手動圧迫のもとで患者が心臓有害事象を生き延びるチャンスを高める。
【0011】
添付の図面と以下の説明に1以上の実施形態の詳細が示されている。その他の特徴と利点は、説明と図面、および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】単一のECGサイクルとサイクル中の可能な胸部圧迫プロファイルとの比較を示す。
図1B】除細動ショックと可変な胸部圧迫プロファイルのECG波形の比較を示す。
図2】動的に制御された胸部圧迫を、患者に施すシステム例を図式的に示す。
図3】ECG波形に調和して胸部圧迫を制御するプロセス例のフローチャートである。
図4】救命システムの構成要素の動作例を示す活動図である。
図5】立下がり相と立上がり相で異なる速度を有する圧迫波形の例を示す。
図6】深部相で深さは一定に保持されていないが、徐々に減少して立上がり速度をさらに最小化する圧迫波形を示す。
図7】心肺蘇生(CPR)フィードバック機構のスクリーンショット例である。
図8】本明細書で論じられているように医療装置を操作するために使用できる一般的なコンピューティングシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、突然心停止を起こした患者に対する胸部圧迫を患者の心臓リズムに調和させて、患者が再び心臓細動またはその他の有害な心臓状態に入るチャンスを減らすことができるメカニズムについて記す。一般に、2つの異なる技術を単独で、または組合わせて
用いることができる。第一に、物理的な圧迫運動と減圧運動のタイミングをECG波形に調和させて、このような運動が心臓サイクルの受攻期の間は起こらないか、またはこのような時期には最小限になるようにできる。たとえば圧迫装置を制御して、受攻期が経過し終わるまで圧迫が開始しないか、またはすでに開始した圧迫を受攻期の終わりまで維持し、それから圧迫をリリースするか、またはECGのR波と同期させるが圧迫の時間は、短縮して、圧迫の立上がりが攻撃されやすいT波と重ならないようにできる。第二に、圧迫が(立下がり相または立上がり相で)起こる相対速度は、ショック間期にわたり変化できる。たとえば速度は、ショックを供給した直後には最小であり、次のショックの開始に近づくに連れてはるかに大きくなることができる。このようにして、ショックサイクルの終わりに大きいポンピング出力を提供すること(それによってまた次のショックの効果を増すこと)によって血液循環を最大化できる一方、心臓が攻撃されやすいサイクルの開始時に心臓への干渉を最小化できる。
【0014】
立下がりと立上がりの速度も個々に独立に調整して血流を最大化する一方で、再細動のリスクを最小化できる。たとえば一般に再細動を受けにくい時期であるECGのR波に立下がりを同期させることによって、立下がりの速度を最大化して(たとえば立下がり時間25〜150ミリ秒)深さが最大となる圧迫サイクルの部分の時間を増す一方、それとは独立に立上がり速度を低下させる(たとえば100ミリ秒以上、好ましくは150ミリ秒以上)。その結果、攻撃されやすいT波の間に立上がりが起ころうとも、再細動のリスクは低減される(図5参照)。
【0015】
深部相の時間中に深部相の深さを調整して、立上がり時点で深さを最小にすることもできる。この結果として同じ立上がり時間に対して速度が低くなり、再細動のリスクが最小になる(図6)。
【0016】
このような要点は、相互に連係して通信する一連の医療装置を用いて実現できる。たとえば患者の胸部の上に置かれた電極を通して除細動器を患者に接続して、ショックを与える電気的入力を患者に供給できることはよく知られている通りである。また、患者の胴の回りに巻くバンドの形をした機械的胸部圧迫器も使用でき、除細動器およびまたECG機械から受取った信号に反応することができる。胸部圧迫は、除細動器またはその他の装置から指示されて救命者が手動で行うこともできる(たとえば音声指示や除細動器のディスプレイ上の視覚的フィードバック)。加えて、患者のその他のパラメータを追跡して、患者に対する胸部圧迫のタイミングと速度の決定に組み入れることができる。このような医療装置は、それぞれ本明細書で論じる他の1以上の装置と組合わせて利便性と可搬性のために共通のハウジングに入れてもよい。以下に、これらのシステムと技術に関する詳細を記す。
【0017】
図1Aは、単一のECGサイクルと、ECG信号を発生した患者にサイクル中に加えられる可能性のある胸部圧迫プロファイルとの比較100を示す。総じてここに表現されているものは人の心臓の特性を示す時系列であり、これらの特性に対応するように実現できる胸部圧迫プロファイルと一緒に提供されてよい。単一の心拍に対する典型的な心臓ECG波形は、図の上部に示されている。この波形は、よく知られているように、PRインターバル104、QRSインターバル106、およびSTインターバル108を有する。また、QRSインターバル106(QRS群を含む)とSTインターバルは、合わせてQTインターバル110を構成する。ECG波形もしくはトレースは、典型的な12リード構成などを介して患者の皮膚の上に置かれた電極によって把捉された心臓の電気活動を表す。
【0018】
PRインターバル104は、P波の開始からQRS群の開始まで延びており、電気パルスが心臓の洞結節からAV結節を通って心室に入る行程にかかる時間を反映している。Q
RS群、および拡張によってQRSインターバル106は、心臓の心室の急速な脱分極を反映している。この時間域における波形の振幅が大きいのは、心室の筋肉量が比較的大きいことを反映している。STインターバル108は、心室が脱分極される時期である。QTインターバル110は、QRSインターバル106とSTインターバル108との組合せである。長時間のQTインターバルは、心室頻拍と突然死のリスク要因である。
【0019】
図中に文字Tで示された、典型的に受攻期102に対応するT波は、心室の再分極または回復を表す。
このECG波形によって表された電気的変化は、各々の心臓サイクルまたは心拍の間に心臓内で起こる複合的な化学的および機械的変化の関数である。具体的には、心拍を生じさせる心臓の筋肉細胞すなわち心筋細胞の作用は、興奮刺激の整然とした伝播の結果であり、これは心筋組織の急速な脱分極と緩慢な分極を招く。このような作用を生じさせる心筋活動電位は、イオンすなわち電荷を帯びた原子がイオンチャンネルを通って流れる結果である。イオンチャンネルは、細胞の原形質膜にあいている孔で、イオンが電気化学的勾配の下方に流れるのを許すことによって原形質膜にわたる電圧勾配を制御する。たとえば心臓組織の電位依存性カリウムチャンネルは、脱分極すると開いて、カリウムが細胞から流出するのを許し、また膜電位の再分極を許して活動電位を終了させる。イオンが他のイオンチャンネルを通って適切に流れると、同様にそれらの細胞の固有の電気的状態と心臓内の固有の電気活動に影響し、心臓の効果的な調和したポンピングが起こり得る。
【0020】
心臓組織に加えられる物理的な力は、心臓内のイオンチャンネルの構成に影響を与えることがある。たとえば前胸強打などの形で胸骨に鋭い打撃を受けると、あるイオンチャンネルは、通常より長い時間にわたり開いた状態または閉じた状態を続け、それによって心臓の脱分極または再分極に影響すると考えられている。
【0021】
同様に、心臓震盪は、心臓に問題のない人の胸骨に鋭い打撃を加えることによって心室細動が誘発されるプロセスである。これは稀ではあるが、野球のボールなどの物体が人の胸骨に強く当たったときに起こり得る。人は、一般に心臓サイクルのT波部分の短い時間に心臓震盪を起こす可能性がある。心臓震盪を伴う物理的な衝撃が心臓組織のイオンチャンネルの自然の開閉に干渉し、それによってチャンネルを通るイオンの流れに影響を及ぼし、また逆に電気的興奮が適切に調和して心臓組織を通過する能力に不利に影響することがあり得る。
【0022】
ある研究(非特許文献1)において、非虚血性心筋症のブタモデルでT波の初期相が最も脆弱であることが発見された。心臓が顕著な虚血期に陥るか、1回以上の高圧除細動ショックの発作によって心停止を起こした患者においては、この脆弱期は、多くの場合に著しく拡張されると思われるが、これはリンクの研究でも観察された。このように細動誘発に対して脆弱な窓は、T波とおおよそ対応するに過ぎず、細動誘発の蓋然性は、T波の間、直前および直後のサブインターバルで変わるであろう。
【0023】
2通りの胸部圧迫プロファイル112と114は、T波内またはT波前後で心臓に物理的に干渉することで心臓は再び細動するか、または類似の有害反応を引き起こすことがあるという理解に基づく技術を表したものである。プロファイル112と114は、それぞれECGの時間軸と整合したX軸上の時間を表し、また患者の胸部の圧迫または減圧のレベル、たとえば胸骨の垂直運動のインチ数または同等の測定値を表す。
【0024】
プロファイル112は、受攻期102を完全に回避するように時間的に調整された圧迫を表す。具体的には、圧迫は、PRインターバル104の開始時に始まり、ほぼPRインターバルとQRSインターバルの一部を通して維持され、それからリリースされる。次いでプロファイル112は、受攻期102の間はリリースされた状態にとどまる。プロファ
イル112は、ここではプロファイル112における諸相の関連するタイミングを例示する目的で示されている。このようなプロファイルは、例示的であり、典型的ではないであろう。なぜなら圧迫の速度は、1分間60サイクルを下回り、圧迫は、典型的なものより長く維持されているからである。実際の操作においては、第2の立下がり・立上がりサイクルが典型的にプロファイル112に示されたものであろう。
【0025】
同じことはプロファイル114にも言える。しかしながらこの例で図示されているように、プロファイル114の立下がりは、受攻期102をわずかに越えている。したがって実際問題として連続サイクルと反復サイクルにおける胸部圧迫の通常のタイミングで、受攻期102が起こる前に立上がりを完了する時間は、ないであろう。その結果、ここでは立上がりが始まる前に、圧迫が維持されて受攻期102を通して拡張される。プロファイル112と114の例のいずれにおいても、いつ立下がりを適用し、またいつ立上がりを許すかの決定は、ECG信号を監視して、胸部圧迫器の操作または救命者に対するフィードバックをECG信号に調和させて行われ、そうして受攻期102の間は、圧迫運動(立下がりまたは立上がり、または両者)を回避するか、または減らすことになろう。
【0026】
一般に圧迫をP波の間に開始することは、有害な血流力学的作用のために望ましくなく、立下がりは、R波の直後、すなわちちょうど心臓が等容性収縮期を開始しているときに開始するのが最も有利であるから、立下がりは、R波の直後に起こるように時間的に調整されることが好ましい。最適な血行動態を達成するためには深部時間は、250ミリ秒のオーダーであるべきだが、これは立上がりがECGの脆弱な部分と同じ時間に起こることを意味しよう。そのような場合には、立上がりの速度を独立に減少させるので細動は、起こらない。圧迫の立下がり相は、R波の付近、すなわち心臓が圧迫に起因する細動誘発を比較的受けにくいときに起こるので、立上がり相が受攻期の間に起こったら、立下がり速度は、立上がり相の速度よりも著しく高く保たれよう。
【0027】
上記のように、圧迫が介護者によって手動で供給されるとき、圧迫を患者のECGサイクルと同期させることができる。このような状況において、立下がり速度と立上がり速度のいずれも、受攻期に細動誘発のリスクが十分に減少する閾値以下に低下させることができる。
【0028】
したがってこのような技術を用いることで、救命者は、心肺機能蘇生を施す間に心室細動誘発が起こるチャンスを減らすことができる。受攻期の間は、胸部圧迫の運動を回避または最小化しながら、十分な血液循環を提供するように特定の圧迫プロファイルを選択できる。
【0029】
図1Bは、除細動ショックの間の時期に対するECG波形と、この時期に対する可変な胸部圧迫プロファイルの比較を示す。この例では、多数の心臓サイクルが単一の圧迫プロファイル例との時間的な整合において示されている。この例では立上がり相と立下がり相は、受攻期を完全に回避するように示されているが、そのような運動は、速度を限界値以下に保つなど制御されたやり方ではあれ、心臓サイクルの受攻部分で起こり得る。
【0030】
サイクルは、ちょうど除細動ショック124が患者に与えられた左端で開始する。続いてECG120は、このショックの後で、後続のショックの直前における患者の心臓の波形を示している。後続のショックはまだ起こっていないが、表示されたトレースの右端から離れていよう。図中央の破線は、2回のショックの間に起こったであろう追加の心臓サイクルを示す。
【0031】
この圧迫プロファイル例は、患者の心臓サイクルの受攻期の間は立下がりまたは立上がりの運動を回避する努力と、立下がりと立上がりの速度をサイクルのショックからショッ
クまでの周期の間に心臓がショックから回復する関数として変更する努力の両方を示している。初めに注記すると、当業者ならばショックから生じるECG波形120は、図に示されているほど明確に繰り返すことはなく、ここでは波形の種々の部分を強調するために各心拍に対する標準的な正常のECG波形が示されていることを理解するであろう。
【0032】
圧迫プロファイルは、患者の心臓に対する有害な衝撃を回避するために、システムによって種々の方法で構成された。たとえば圧迫運動は、種々の受攻期126A〜126Gのすべてにおいて低減または回避される。このようにする理由と、このようにするメカニズムについては、上に図1Aに関連して論じた。具体的には、ECG波形120を公知の技術で監視および分析して波形の種々異なる部分を特定し、将来いつ波形の特定の部分が繰り返されるかを特定して予測することできる。
【0033】
第2の要点は、圧迫と減圧の相対速度が図の左側と比べて図の右側で増加していることであるが、これはECG波形120と圧迫プロファイル122が図の中央で2つの部分(初めの部分128Aと後の部分128B)に分割されていることを認識すれば理解しやすい。特に、プロファイル122に示されているように、プロファイルの立上がりエッジと立下がりエッジの傾きは、ショック124後の時間が経過するに連れて急になっており、立下がりと立上がりがショック124から遠ざかるとより鋭い(速い)ことを示している。急なエッジに現われているように立下がりと立上がり速度が高くなることによって、低い速度と比較して循環の容積が増すであろう。これは一般にプロセスの全部分において好ましいことであろうが、ショック124が起こった直後では、心室細動(VF)誘発のリスクがあるため実用的ではない。加えて、図の右端の時間、つまり次のショックが起こると思われる時間までに、より鋭い運動のために準備的な血液の循環量が増すことによって、ショックがより効果的になるのを助けることができる。
【0034】
したがって速度と深さは、最初に(特定のショックの後で)最良の血行動態を基準にして最適な設定より低く設定し、立下がりまたは立上がりの結果として誘発された電気活動に対するECGを監視しながら徐々に増すことができる。この電気活動は、共通に異所性拍動と呼ばれる。典型的にこれらの異所性拍動は、細動を誘発する脆弱なT波の間に起こる。関連するパラメータを徐々に増すことで、異所性拍動は、振幅が減少し、それによって細動のリスクも低くなる。立下がりまたは立上がりの結果として異所性拍動が検出されたら、他の圧迫パラメータに有害に影響することなく圧迫波形の特定の部分を調整することができる。
【0035】
心臓に電気的刺激を低レベルでペーシングパルスなどに合わせて供給してもよく、そのような入力に対する心臓の反応を監視して、受攻期付近の細動を回避する能力を含め、心臓の現在の状態を決定することができる。このようなパルスは、T波相の間に発せられて、パルスによって誘発される心臓の内因性電気活動を監視できる。このような活動の形状は、心臓が入力に対してどのように反応するかに関するプロセス、およびこのような情報を用いて影響を与えることができる圧迫速度および/またはタイミングを含めて圧迫プロファイルを知らせる。
【0036】
異所性拍動がトリガされたら、圧迫のタイミングを変えて細動誘発に攻撃されやすい時間帯のタイムリミットがいつであるか決定することができる。
このような理解によって、受攻期の間は、高められた圧迫速度を回避するだけでなく、心臓がこの最も脆弱な状態にあるとき、すなわち体外式除細動器によって心臓にショックが与えられた直後にあまり過酷ではない圧迫速度も提供するように、胸部圧迫装置を制御し、または介護者に指示することができる。このような懸念から、心肺蘇生(CPR)またはその他の救命手順を実施している間も、効果的な血液循環のために十分強い圧迫を施すことが説明されよう。
【0037】
図1Aのプロファイル112と114、および図1Bの上のプロファイルは、圧迫プロファイルが伝統的なプロファイルから変えられてよいことの具体例を示しており、伝統的なプロファイルは、サイクルで繰り返され、各サイクルのプロファイルは、先行および後続のサイクルと一致している。当該サイクルは、それぞれ複数の圧迫/減圧サイクルを包含する圧迫/減圧サイクル(図1A)またはショックサイクルであってよい。本明細書ではプロファイルの何らかの変化について論じたが、プロファイル112と114は、1つの圧迫/減圧サイクルと次の圧迫/減圧サイクルとの間で変えることもできる。そのような変更は、たとえば圧迫または減圧を開始するタイミングを変え、および/または圧迫または減圧の速度もしくは保持期の長さを変える(たとえば受攻期が経過するまで保つ)ことで行うことができ、標準的なプロファイルにおけるその他の変更も受攻期を回避する必要を特定することがない場合に実施されるように設定されてよい。同様に、ショックの間の時期には上述した以外の変更も提供されてよいが、一般にこのような変更は、典型的にショックの直後よりもショックからさらに後の時間でより攻撃的な作用を含む。
【0038】
図2は、動的に制御された胸部圧迫を患者に施すシステム200の例を図式的に示す。一般にシステム200は、突然の心停止の被害者、たとえば被害者202に救命介護を提供するために使用できる幾つかの医療装置を有する。種々の装置は、単一のユニットおよび/または多数のユニットの一部であってよく、被害者202の種々のリアルタイムの物理的パラメータを監視し、構成要素間で、および中央介護装置などの遠隔システムと通信して、被害者202に介護を施し、または被害者202を介護している介護者204に指示を出すために使用できる。
【0039】
この例における被害者202は、突然心停止に陥ったと見られる個人で、介護者204によって手当てされている。介護者204は、救命技術の訓練をあまり受けたことがない民間人の救護者、救急医療技士(EMT)、医師またはその他の医療装置専門家であってよい。この例の介護者204は、単独で行動しているか、またはパートナー救急医療技士など他の1名以上の介護者に補佐されて行動していてもよい。
【0040】
被害者202は、被害者202に対して治療が施された位置にいる。たとえば1組の除細動器電極210が典型的なやり方で患者の胴に取り付けられ、携帯用の体外式除細動器208と有線接続されている。除細動器208は、たとえば典型的な自動体外式除細動器(AED)、専門的除細動器、またはその他類似のタイプの除細動器であることができる。被害者202は、換気バッグ206も装着されており、被害者の肺に強制空気を送り込んで被害者202の人工呼吸を補助する。除細動器208と換気バッグ206は、よく知られた方法で異なる介護者によって調和して操作され得る。また、換気バッグ206は、種々のセンサと送信器を装備して除細動器208と電子的に通信することができる。たとえば換気バッグ206に体積流量センサを装備して、被害者との間の空気流の体積に関するデータを除細動器208に送り、除細動器208は、そのような情報を中継し、またはそのような情報を用いて、被害者202に除細動を施す方法に影響を与えることができる。
【0041】
タブレット型コンピュータ214も他の装置と通信している状態で示されており、介護者204によって操作されている。タブレットは、介護者204にとって一般的な電子指令所として用いられ、被害者202またはその他の事項に関する情報を受取り、他の介護者と通信し、システム200における種々の構成要素の動作を制御するための入力を提供する。タブレット214は、一方ではブルートゥースまたはワイファイ、他方では第三世代または第四世代携帯電話など、短距離および長距離無線の通信能力を備えることができる。介護者204は、タブレット型コンピュータ214に情報、たとえば被害者202の状態を記述する情報やその他類似の情報を入力でき、これが介護者204によって認識お
よび記録される。タブレット214は、また被害者202に関するリアルタイムの情報、たとえば血圧、脈拍、および類似のリアルタイムの患者パラメータを検知する多数のセンサとデータ通信してもよい。介護者204は、情報をタブレット214に入力して、被害者202に使用されている1台以上の医療装置を制御することもできる。たとえば使用者は、被害者202に施す治療のタイプ、強さ、速度または調整を調節できる。
【0042】
胸部圧迫ユニット(CCU)216は、他の装置と物理的に統合されるか、または独立の内蔵ユニットとして被害者202に使用するために提供されてよい医療装置の1つである。一実施形態において、胸部圧迫ユニット216は、患者の上部胸郭周りに置かれた負荷分散バンドを介して胸部圧迫を供給する。胸部圧迫ユニット216は、たとえばゾール
メディカル コーポレイション(チェルムスフォード、マサチューセッツ州)から出ている非観血式心肺蘇生ポンプ「オートパルス」の形を取ることができる。このような装置は、被害者の胸部を均等に収縮させ、それによって被害者202の体内の血流を改善する。
【0043】
主処理装置(MPU)212内の種々の構成要素は、動的に調整されて胸部圧迫ユニット216と同期させることが可能な胸部圧迫を施すために使用されてよく、圧迫は、ECG波形と時間的に調和されて胸部圧迫ユニット216に送信される。
【0044】
ある状況において胸部圧迫ユニット216が利用できず、介護者204が胸部圧迫218を手動で行うことがある。そのような場合には、介護者204にスピーカ236aとディスプレイ224を介して視聴覚フィードバックを提供することができる。このようなフィードバックは、介護者204に、必要ならば圧迫をあまり強くなく、または異なる速度で行うように指示することができる。フィードバックは、介護者に被害者の介護において別様に指示してもよい。
【0045】
この例で示されるように、被害者202の現在のリアルタイムの状態または物理的パラメータを特徴付ける多数の異なる入力信号が受取られる。たとえばECG信号222は、主処理装置212によって受取られて、被害者202の現在のリアルタイムのECG波形を表すことができ、除細動器208に接続されたリードによって把捉され得る。
【0046】
SpO2信号223、または循環流または灌流の直接的または間接的な測定値であるその他の生理学的に導出された信号もボックス224で把捉され、さらに被害者202に、いつ、どのような力で胸部圧迫を加えるべきか決定するために用いることができる。
【0047】
図2は、SpO2信号のように入力信号の具体的な例を示しているが、装置は、生理学的信号の関連する任意の組合わせを用いることができ、ECG、心臓出力の測定値、心拍数の測定値、血圧、酸素飽和度(SpO2)、心音(心音図法を含む)、心臓イメージング(超音波を含む)、インピーダンスカルジオグラフィーを含むが、これらに限らない。圧迫パラメータは、圧迫の特徴または測定値の関連する任意の組合わせを使用でき、圧迫速度、圧迫深度、負荷サイクル、立下がりと立上がりの速度、圧迫中の胸郭内圧、圧迫中の胸腔内圧、胸骨位置、速度または加速度、;胸壁または胸骨の歪みまたは変形;胸部に加えられる力、機械的胸部圧迫器によって胸部を圧迫するために使用される圧力を含むが、これらに限らない。
【0048】
胸骨の運動信号226も主処理装置212への入力として検知され、被害者202に施された胸部圧迫のレベルを決定するためのフィードバックループを提供する。具体的には、胸骨の運動信号226からのフィードバックによって圧迫が胸骨内で特定の程度の運動(たとえば2インチの垂直運動)に達したことが示されるまで、主処理装置212は、圧迫信号を胸部圧迫ユニット216に供給し続ける。
【0049】
胸骨の運動信号226に基づくフィードバックは、介護者が細動を誘発するリスクを最小化するために施すべき立下がり速度または立上がり速度の量をフィードバックするのにも用いられる。フィードバックは、音声プロンプト、たとえば「もっとゆっくりリリースしてください」の形か、またはディスプレイ224を介する視覚的指示(図7参照)であってよく、この場合「リリース」の言葉の上のバーは、各救命者が施すそれぞれの圧迫の立上がり速度に比例して満たされるが、立上がり速度が、細動誘発のリスクが過大であると判定される限界を超えたと決定されると赤になる。したがって救命者の目標は、「リリース」バーの満たされた部分を赤にすることなく最大化することである。音声と視覚のフィードバックの調和した組合わせも提供されてよい。
【0050】
信号処理ユニット228は、患者から受取ったECG入力などの入力をフィルタリングして、さらにマイクロプロセッサ230によって分析するために設けられている。たとえば信号処理ユニット228は、入力信号からノイズをフィルタリングでき、ECGデータの場合は被害者202の胸部圧迫運動によって生成されたアーチファクトを除去するために、このようなアーチファクトをフィルタリングできる。このようなECG信号の準備は、SEE−THRUCPRと呼ばれてよく、特許文献1で論じられている要領で実施でき、その教示内容は、参照によって全体が本明細書に組み入れられる。
【0051】
計算は、ECGの特性、具体的にはECG波形のST部分を用いて実施されてよい。たとえばST上昇は、虚血性傷害を示し、圧迫で誘発された細動の開始に対する感度が高まった可能性がある。ST特性またはECGのその他のパラメータの測定に基づき、圧迫のパラメータ(たとえば立上がり速度または立下がり速度)に対する最大安全閾値を計算できる。最大安全閾値を決定するためのプロセスは、状態変数、たとえば供給されたショックの数、直前のショックに対して供給された電流またはエネルギーの量、累積エネルギーまたはすべてのショックに対して供給された電流の総量、ECGの特定の形態学的特性、たとえばT波の振幅と反転、QRS時間、R波の曲率または鋭さなども考慮してよい。
【0052】
胸骨の運動信号とECGの同時記録を含む臨床データセットおよび患者の転帰に関するデータ、または動物モデルによる前臨床検査のレトロスペクティブなデータ分析に基づいて、細動誘発のリスクを予測できる統計的モデルを開発できる。この統計的モデルは、逆に患者に施すべき適切な圧迫プロファイルを決定し、患者のECGデータと時間を整合させるために使用できる。統計的モデルは、線形または非線形回帰方程式の形式であってよく、そのような技術を多重ロジスティック回帰として使用できる。
【0053】
回帰方程式に対しては上述したように多数の入力、たとえば圧迫深度、立上がり速度と立下がり速度、圧迫相のT波に対するタイミング、および除細動エネルギー、ショックの数など蘇生情報、またはST上昇、T波振幅などのECG情報などがあり、これらが入力ベクトルを形成する。したがって回帰方程式は、入力ベクトルXが1×n次元行列であるような行列計算を形成し、ここにnは入力変数の数であり、回帰変換行列はn×n行列である。出力ベクトルYは1×n行列であり、各要素は、特定のパラメータが細動を誘発する確率である。
【0054】
入力行列は、ECG、その他の生理学的信号、たとえばSpO2、またはその他の灌流測定値と蘇生情報要素のみを有することができ、p個の要素で1×p行列を形成する。これはp×q次元の変換行列であり、ここにqは、最適化されるべき圧迫パラメータ、たとえば立上がり速度と立下がり速度、深部時間などの数である。先験的に導出された統計と、圧迫パラメータが血流に与える効果の理論的モデルに基づいて、当業者に知られている最適な制御方法、たとえばポントリャーギンによって紹介されたハミルトニアン制御理論、または代替としてガウス、ラドーまたはロバット擬スペクトル最適制御を用いて、細動
誘発のリスクを最小化しながら最大血流を達成することができる。
【0055】
圧迫パラメータが血流に与える効果の理論的モデルは、非特許文献2に記されているように循環系の数学的記述であってよい。この記事が述べているように、多数の出版物に微分方程式のシステムが記載されている。この記事の具体的な例では、「人の循環は、血液の流路に設けられている抵抗によって接続された7つのコンプライアンスチャンバーで表される。コンプライアンスは、胸部大動脈、腹部大動脈、上大静脈と右心、腹部静脈と下肢静脈、頸動脈、および頸静脈に対応している。加えて、胸郭は、肺血管と左心のコンプライアンスを表すポンプを有する。このポンプは、圧力を加えると血液を心臓自体から大動脈弁を通って圧送する心臓のような心臓ポンプとして、または圧力を加えると血液を肺血管床から左心を通って末梢に圧送するグローバル胸郭ポンプとして機能するように構成できる。モデルにおけるコンプライアンスと抵抗を規定するために、教科書通りの「体重70kgの人」を表す生理学的変数に対する値を用いる。血管コンダクタンス(1/抵抗)の頭部、胸部、および尾部構成要素への分散は、種々の身体領域への心臓出力の分散を反映している」。このときモデルへの入力は、胸部圧迫中のリアルタイムの胸骨運動波形である。
【0056】
マイクロプロセッサ/分析器230は、ECG波形データを含む患者のリアルタイムのパラメータに関する入力情報を受取り、そのようなデータに関する分析を行って、胸部圧迫ユニット216によって実行される圧迫と減圧を引き起こし、もしくは動的に調整し、またはディスプレイ224上に示されてスピーカ236aによって通知されるフィードバックプロンプトを修正するために設けられている。この例においては、(a)ECG波形と、(b)随意に除細動器208によって与えられるショックと、(c)胸部圧迫ユニット216に提供される信号とが、以上および以下に論じる方法で調和されて、ECGに調和して胸部圧迫ユニット216を作動させる。したがってたとえば主処理装置212は、ECG信号222を受取り、そのECG信号を監視して、信号の反復(すなわち患者の心臓サイクル)の速度と信号における現在の位置を決定でき、またそのような情報を用いて次の受攻期に対する制限時間を計算できる。そのような制限を用いてマイクロプロセッサ/分析器230は、記憶されているソフトウェアコードを実行して、被害者202に適用されるべき圧迫プロファイルを計算ができ、被害者202にとって受攻期中には胸部圧迫ユニット216の圧迫/減圧運動が回避され、および/またはショックが加えられた直後の時期には運動の速度が減少し、ショックが加えられてからさらに後で、次のショックが加えられる前の時点に近い時点で増加するようにできる。
【0057】
トリガ回路238は、適当な時点で主処理装置212によって合図されて、胸部圧迫ユニット216に被害者202に対する圧送とリリースを行わせるのに必要な信号を生成する。このようなプロセスで胸骨の運動信号226が把捉されて、主処理装置212は、達成された圧迫または減圧のレベルを決定でき、よく知られた閉ループ制御技術を用いて胸部圧迫ユニット216に送られる信号を適当に調整できる。
【0058】
このときシステム200によって実行されるプロセスは、連続的な周期的プロセスであり、ECGデータが主処理装置212に流入して処理されて、連続的な一連の胸部圧迫が被害者202に施され、介護者204が(たとえば何らかのパラメータを変更し、または被害者202が正常もしくは持続的な心臓リズムを回復したらプロセスを終了することによって)介入するまで除細動器208からのショックに調和される。特定の1回の胸部圧迫は、他の特定の1回の胸部圧迫と圧迫プロファイルが異なってよく、それは圧迫または減圧の開始の相対的タイミング、圧迫または減圧の速度、圧迫と減圧の間の保持時間の長さ、および圧迫サイクルの全体の長さを含む。
【0059】
胸部圧迫動作および/または被害者202に関して講じられるその他の動作は、手動で
行ってもよく、主処理装置212を含め種々の装置の指示を受けることができる。上述した圧迫プロファイルの各々の変更も、手動プロセスによって指示され得る。たとえば調和された胸部圧迫の時間と速度は、マイクロプロセッサ/分析器によって計算でき、よく知られているようにオーディオプロセッサ/スピーカユニット236aおよび236bによって音声で通知されてよい。たとえばビープ音のメトロノームを用いて、心肺蘇生(CPR)中に受攻期の圧迫または減圧を回避するためにいつ被害者202の胸部を圧迫すべきか介護者204に指示できる。また、ディスプレイ224は、調和された視覚的フィードバックを提供してもよく、たとえばECG波形を示し、被害者202に対する圧迫深度のグラフを示し、さらに被害者202の介護において介護者204を補佐するのに有益なその他の類似のデータを示すことができる。
【0060】
メトロノームのペースが突然変化すると手動胸部圧迫を行っている人を動揺させる恐れがあるため、予測プロセスは、多数の圧迫サイクルの「先を見る」ことができ、数回先の脈拍の波形に特定のエリア、たとえば受攻エリアを特定する。続いてシステムは、徐々にメトロノームのペースを変えるので、救命者は、変化についていくことができ、心臓波形に対して特定の位置、特定の速度で圧迫/減圧を続けることができる。
【0061】
図3は、ECG波形に調和して胸部圧迫を制御するためのプロセス例のフローチャートである。一般にこのプロセスは、反復および連続するプロセスであり、患者からのECGデータが監視および分析されて、患者の心臓に再細動またはその他の問題を生じさせる傾向がある圧迫または減圧の速度を回避するように、患者に胸部圧迫を提供する。
【0062】
プロセスは、ボックス302で開始し、所定時間にわたり1以上の患者入力が監視される。このような入力は、ECG波形または患者の心臓におけるECG活動を表すデータ、その他患者からの可能な入力を含んでよい。ECG波形は、たとえば12リードシステムからよく知られた方法で計算される電圧の増加と減少を含む典型的な形状であってよい。
【0063】
ボックス304でプロセスは、ECG波形のT波部分(近づきつつあるサイクルまたはサイクルの近づきつつある部分)に対するタイミングを決定する。このような決定は、種々のよく知られた方法で行うことができ、これには1心臓サイクルにリアルタイムで入ってくるECGデータを典型的なECG波形のプロファイルに一致させて、波形に沿った特定の点に加えて波形の始まりと終わりを決定することを含む。このような決定は、多数の心臓サイクルにわたって行うことができ、それによって平均的な波形を決定し、この平均的な波形(先行するnサイクルの移動平均として維持されてよい)を将来に拡張する。たとえば心臓が除細動器によってショックを受けた後、この波形の特徴はあまり明確ではなくなり、時間とともに正常な特性に戻り始めるであろう。波形の特徴の特定は、そのような数サイクル先を見てよく、この波形が正常の状態、速度、および形状に戻る時間にわたり更新されてよい。
【0064】
このような監視と分析は、連続的であってよく、そのような波形の特徴が将来の心臓サイクルでいつ現われるかを予測するために他の技術の傾向線を用いることができる。たとえば次の心臓サイクルの推定長さや、当該サイクル内の受攻ゾーンの相対的位置に関して決定できる。そのような観察に基づき、これから現われる受攻ゾーンの境界を計算できる。
【0065】
ボックス306ではECG波形の進展が監視されて、受攻期が現われそうな将来の時間の計算を可能にする。そのような情報を用いて、圧迫波形がボックス308で決定される。圧迫波形はいつ、どんな速度と変位で胸部圧迫装置がECG波形に調和して患者に対して作動されるか、または心肺蘇生(CPR)実施中に介護者が指示され、もしくはフィードバックされるかを規定する。圧迫波形またはプロファイルは、患者に適切なレベルの循
環を提供する一方で、患者において心臓が再細動を誘発する可能性のある時期にECG波形と相対的に調整された圧迫速度を回避するように計算される。
【0066】
ボックス310では、圧迫波形の計算に続くプロセスによって立下がりと立上がりがトリガされる。このようなトリガは、連続的プロセスの一部であってよく、そこにおいてECG波形が監視され、ECG波形に対する将来のタイミングが決定され、本明細書で論じられたようにECG波形と整合するように圧迫波形が計算される。また、ボックス312に示されているように、同様に圧迫がトリガされてもよく、心室細動(VF)を誘発する恐れのある速度を回避するために、圧迫の速度を低めるか、またはその発生を遅らせ、もしくは加速させることができる。 図4は、救命システムの構成要素に対する動作例を示す活動図である。一般に、この図は、緊急医療の場面で使用される種々の医療装置によって行われる特定の動作を構成例において示している。この例では装置は、患者からの心電図信号を表すデータを生成する心電図装置と、患者の種々のパラメータを分析して患者を除細動するための電気ショックを生成する除細動器と、患者を治療する他の装置に調和して患者に自動的に機械的胸部圧迫を施すために使用される機械的装置である胸部圧迫器とを有する。このプロセスは、たとえば図2に示すシステム200のようなシステムによって実行されてよいが、このシステムの参照は、単に例示のために行うものである。
【0067】
プロセスは、ボックス402で始まり、主処理装置212の心電図機能が被害者の心臓にショック適応のリズムを検出して報告する。次に除細動器208がボックス404でショックを供給して、被害者の心臓機能を正常な持続的状態に戻そうと努める。心臓にこのようなショックを与えると心臓のECG波形に実質的な効果を及ぼし、これが主処理装置212の心電図機能によって検出され、ボックス406でECG波形の継続的表現に記録される。点線で示されているように、このような波形の報告は、プロセス全体を通して連続することができる。主処理装置212からのデータは、心電図装置と通信する任意の装置によって取得され得る。このような通信は、タブレット214(システムの他の構成要素と通信し、これらを管理するアプリケーションを搭載した一般的なタブレット型コンピュータでよい)などの装置との無線短距離データ通信リンク215を形成することによって確立される。
【0068】
ボックス408で主処理装置212は、心肺蘇生(CPR)動作の指示において救命者に対する指示を開始する(この指示はショックが提供される前に出されていることもある)。このような指示は、主処理装置212から救命者に音声で出される人工呼吸を実施する指示、患者に干渉しない指示、およびその他の類似の指示を含んでよい。それと同時にボックス410では、主処理装置212はECG波形を分析している。このような分析は、波形を追尾して、この波形の種々異なる部分が将来のサイクルで現われそうか決定する努力を含め様々な形態を取ってよい。そのような分析は、たとえばT波の特性を特定し、次に受攻期を決定するために使用できるT波の内部または前後の波形部分を特定することで、各サイクルに対して受攻期を特定することにつながる。
【0069】
ボックス414で胸部圧迫ユニット216は、前記プロセスによって計算された関連する受攻ゾーンで高い胸部運動速度を回避するように調和されて胸部圧迫を実施する。典型的に、ECGの処理は、主処理装置212内で行われ、その処理に基づいて主処理装置212は、制御信号を胸部圧迫ユニット216に送って圧迫パラメータを調整する。この処理は分散されてもよく、主処理装置212は、ECGおよびその他の関連する患者データと生理学的データを胸部圧迫ユニット216に送り、次に胸部圧迫ユニット216がECGデータを処理して最適な圧迫パラメータを決定する。
【0070】
加えて、患者は、ボックス404で供給された電気ショックから時間とともにさらに先へ進み、立下がりと立上がりの速度が増して(ボックス416)、胸部圧迫ユニット21
6または介護者204からさらに大きい血流力学的効果が患者に提供される。最後にボックス418で主処理装置212は、追加のショックが必要であること(および患者がショック適応のリズムを有すること)を決定して、他の構成要素に調和しながらショックを供給する。たとえばショックを与えるときに胸部圧迫ユニット216が自動的に停止され、ショックが供給された後で再開されてよい。
【0071】
ここに示すプロセスは、連続的に反復されてよく、主処理装置212は、心臓の活動に対する信号を再取得し、これらの信号を分析して再び心臓サイクルのリズムを決定し、心臓のリズムを乱すチャンスを最小化するために圧迫をより緩やかに行うか、まったく行うべきではない時間上の位置を決定する。
【0072】
図8は、医療装置を本明細書で論じられているように操作するために使用できる一般的なコンピューティングシステム800の模式図である。システム800は、一実施形態に従い上述したいずれかのコンピュータ実施方法と関連して説明した操作のために使用できる。システム800は、プロセッサ810、メモリ820、記憶装置830、入力/出力装置840を有する。各々の構成要素810、820、830、840は、システムバス850を用いて相互に接続されている。プロセッサ810は、システム800内部で実行の指示を処理することができる。一実施形態において、プロセッサ810は、シングルスレッドプロセッサである。別の実施形態においてプロセッサ810は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ810は、メモリ820または記憶装置830に保存されている指示を処理して、ユーザインターフェースに対するグラフィック情報を入力/出力装置840に表示することができる。
【0073】
メモリ820は、情報をシステム800内部で記憶する。一実施形態において、メモリ820は、コンピュータ可読媒体である。一実施形態において、メモリ820は、揮発性メモリユニットである。別の実施形態において、メモリ820は、非揮発性メモリユニットである。
【0074】
記憶装置830は、システム800に対して大容量記憶を提供できる。一実施形態において、記憶装置830は、コンピュータ可読媒体である。種々異なる実施形態において記憶装置830は、フロッピー(登録商標)ディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってよい。
【0075】
入力/出力装置840は、システム800に対して入力/出力動作を提供する。一実施形態において、入力/出力装置840は、キーボードおよび/またはポインティングデバイスを有する。別の実施形態において、入力/出力装置840は、グラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイユニットを有する。
【0076】
上記の特徴は、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはこれらの組合わせにおいて実現できる。装置は、プログラム可能なプロセッサで実行するための情報担体、たとえば機械可読記憶装置に具体的に保存されるコンピュータプログラム製品において実現できる。方法ステップは、上記の実施形態の機能を果たすための指示のプログラムを実行するプログラム可能プロセッサによって、入力データを操作して出力を生成することで実施できる。上記の特徴は、プログラム可能なシステム上で実行できる1以上のコンピュータプログラムにおいて有利に実現でき、これはデータと指示をデータ記憶システム、少なくとも1台の入力装置および少なくとも1台の出力装置から受取り、およびこれらに送るように結合された少なくとも1台のプログラム可能なプロセッサを有する。コンピュータプログラムは、何らかの活動を実行し、または何らかの結果をもたらすために直接または間接にコンピュータ内で使用できる一連の指示である。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語
を有する任意の形式のプログラミング言語で記述でき、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、構成要素、サブルーチンとして、コンピュータ環境における使用に適したまたはその他のユニットを有する任意の形式で展開できる。
【0077】
指示のプログラムの実行に適したプロセッサは、例を挙げると、汎用および専用マイクロプロセッサ、任意の種類のコンピュータ単独プロセッサまたは多重プロセッサの1つを有する。一般にプロセッサは、指示とデータをリードオンリーメモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から受取る。コンピュータの本質的な要素は、指示を実行するためのプロセッサと、指示およびデータを記憶するための1台以上のメモリである。一般にコンピュータは、データファイルを記憶するための1台以上の大容量記憶装置を有し、又はこれらと通信するように作動的に結合されている。このような装置は、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクを有する。コンピュータプログラムの指示とデータを具体的に保存するのに適した記憶装置は、すべての形式の非揮発性メモリを有し、例を挙げるとEPROM、EEPROMフラッシュメモリ装置などの半導体メモリ装置、内蔵ハードディスクやリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、およびDVD−ROMディスクを有する。プロセッサとメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補完され、またはこれに組み込まれている。
【0078】
使用者との相互作用を提供するために、特徴は、使用者に情報を表示するCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ装置と、キーボードと、使用者がコンピュータに入力するためのマウスまたはトラックボールなどのポインティングデバイスを有するコンピュータで実現できる。
【0079】
特徴は、データサーバなどのバックエンド構成要素を有する、またはアプリケーションサーバやインターネットサーバなどのミドルウェア構成要素を有する、またはグラフィカルユーザインターフェースやインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンド構成要素、またはこれらの任意の組合わせを有するコンピュータシステムで実現できる。システムの構成要素は、通信ネットワークなどデジタルデータ通信の任意の形式または媒体によって接続できる。通信ネットワークの例は、たとえばLAN、WAN、およびインターネットを形成するコンピュータとネットワークを有する。
【0080】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを有することができる。クライアントとサーバは、一般に互いに離れており、典型的にネットワークを通して交信する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント・サーバ関係を有するコンピュータプログラムに基づいて生じる。
【0081】
コンピュータシステムは、電子患者介護記録を実装するためのソフトウェア、たとえばZOLLデータシステムのePCRソフトウェア(ブルームフィールド社)を含んでよい。このソフトウェアは、患者情報および治療相互作用を登録、保存および送信する能力を提供する。コンピュータは、しばしば入院前の使用向けに高耐久化された、いわゆる「タブレット型」コンピュータシステムであるが、アイフォーンまたはアイパッドの形を取ってもよい。患者にエピネフリンを投与したことを示す情報などのデータは、携帯「タブレット型」コンピュータから主処理装置212にリアルタイムで送信されることが好ましい。エピネフリンは、心室細動誘発のリスクを高めることがあるので、その投与の通知は、主処理装置が圧迫パラメータを調整して、心室細動誘発リスクをさらに低減するために使用されてよい。患者に提供されるその他の別個の治療、または種々のセンサによって検知される患者の状態のパラメータもタブレットに供給して、患者に圧迫と減圧を施す量、タイミング、力または速度に組み入れることができる。以上、幾つかの実施形態が記載された。しかしながら、本発明の精神と範囲を逸脱することなく種々の変容を行い得るものと
理解すべきである。したがってその他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1A
図1B
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