(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分は、前記ABSへ近づくほど互いの距離が近づくように設けられた第2の側面をそれぞれ有し、
前記第2の側面の間隔は、前記第1の領域部分との接続部分において0.1μm以上1.0μm以下であると共に前記第3の領域部分との接続部分において0.01μm以上0.1μm以下であり、
前記第2の領域部分におけるZ軸方向の長さは0.1μm以上2.0μm以下であり、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出している
請求項1記載の熱アシスト垂直磁気記録装置。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、ギャッププラズモン共振器として機能し、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出している
請求項1記載の熱アシスト垂直磁気記録装置。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出している
請求項1記載の熱アシスト垂直磁気記録装置。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分は第2の側面をそれぞれ有すると共に第1および第2の部分に区分され、前記第1の部分における前記第2の側面は前記第1の領域部分における前記第1の側面と連続し、前記第2の部分における前記第2の側面は放物線状の輪郭を有し、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において2.0μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出している
請求項1記載の熱アシスト垂直磁気記録装置。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有するように形成し、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分を、前記ABSへ近づくほど互いの距離が近づくように設けられた第2の側面をそれぞれ有するようにし、
前記第2の側面の間隔を、前記第1の領域部分との接続部分において0.1μm以上1.0μm以下であると共に前記第3の領域部分との接続部分において0.01μm以上0.1μm以下とし、
前記第2の領域部分におけるZ軸方向の長さを0.1μm以上2.0μm以下とし、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第3の側面をそれぞれ有すると共に一端がABSに露出するように形成する
請求項6記載の熱アシスト垂直磁気記録方法。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有するようにし、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有するようにし、ギャッププラズモン共振器として機能させ、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有すると共に一端がABSに露出するように形成する
請求項6記載の熱アシスト垂直磁気記録方法。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有するようにし、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有するようにし、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有すると共に一端がABSに露出するように形成する
請求項6記載の熱アシスト垂直磁気記録方法。
前記第1の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有するようにし、
前記第2の領域部分において、前記一対の金属部分を、第2の側面をそれぞれ有するようにすると共に第1および第2の部分に区分し、前記第1の部分における前記第2の側面を前記第1の領域部分における前記第1の側面と連続させ、前記第2の部分における前記第2の側面を放物線状の輪郭を有するようにし、
前記第3の領域部分において、前記一対の金属部分を、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有すると共に一端がABSに露出するように形成する
請求項6記載の熱アシスト垂直磁気記録方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、
図1(A)〜1(C)に示したような、TAMRを実現するヘッド構造が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
図1(A)は、従来のTAMRヘッドの、エアベアリング面(ABS)と直交する断面を表すものである。
図1(C)は、
図1(A)に示したTAMRヘッドの、ABSに露出した面を表す平面図である。
図1(B)は、スライダ110から眺めたレーザダイオード115の構成を表すものである。これらの
図1(A)〜1(C)から明らかなように、スライダ110では、磁気再生ヘッド111、PA(あるいはPG)112、WG113および磁極114が基体101の一側面に設けられ、固定されている。また、レーザダイオード(LD)115は、基体101の上面(ABSと反対側の面)に設けられている。LD115によって発振され、WG116から放出されたビームは、方向117に沿って偏光され、スライダ110においてWGモードと結合する。PG112は、正確なエッジプラズモン(EP)モード(鋭利な尖端での光エネルギーを閉じ込める(confine)ことが可能となるように、
図1(A)に示したようにY軸に沿った主電界成分117を有するもの)によって起動されることが要求される。このような理由から、WGおよびLDの光モードはY軸に沿った正確な偏光(polarization)を有するべきである。
【0008】
すなわち、LD115は、横磁界(TM)モードで動作する必要がある。LDは通常、TMモードで駆動するように設計および製造されたものではない。偏光方向がX軸に沿ったものである横電界(TE)モードで使用されるLDと比較して、高いコストを必要とするからである。より安価なLDが好まれる。
【0009】
また、従来技術では、高い光効率の実現のための他の重要な要件が開示されている。
【0010】
第1に、エッジプラズモンモードへ向かう結合WG光の効率は、PGにおける、回折限界光学モードとサブ回折限界光学モードとのモードサイズの不整合によって制限される。WGモードは高度に閉じ込められたプラズモンモードよりも大きいので、ごく僅かな光学エネルギーのみを移動することができる。第2に、PGに沿ったエッジプラズモンモードの伝播損失は、エッジプラズモンモードの高度の閉じ込め(性能)にとって重要である。第3に、エッジプラズモンモードにおける結合効率および伝播効率は、PG12における端面の変化に非常に敏感な傾向を示すので、厳しい製造誤差が要求される。第4に、PAもしくはPGは分離され、限られた体積を有するものである。
【0011】
また、最近、3つの領域を持つ構造が提案されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、放射エネルギーは、3つの領域が存在する面に対して垂直な方向において圧縮されることなく広がるので、その結果、従来は2次元の合焦のみが行われていた。また、非特許文献1では、モードを規定するための「TM」および「TE」の用語について本発明と異なる使い方をしている。本発明では、例えば、TMモードはダイオードの膜面に対して垂直な(光検出における偏光面に含まれる)主たる電界成分を有するものである。その方向は、ダイオードの積層方向(
図1(A),1(B)に示した方向117)と平行である。TEモードの偏光面は、積層面に平行な面内に含まれる。ダイオードを構成するスタックにおける成長方向(積層方向)は、それがレーザダイオードの内部応力の分布を決定するので、その点で意味がある。
【0012】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、いかにして、プラズモンデバイスの光学的効率を克服し、TAMRヘッドで消費されるレーザパワーを低減するか、について提案する。また、本発明では、新規の有効な、より一般的なTEモードのLDと共に駆動するのに適したPGを提供する。
【0013】
本発明の第1の目的は、TEモードのレーザダイオードを使用したTAMR装置を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、3次元の自己焦点を行い、2つのモード間での大きなオーバーラップを確保した結果、光導波路とプラズモンジェネレータとの結合効率を向上させることのできるTAMR装置を提供することにある。
【0015】
本発明の第3の目的は、金属膜の体積を大きくすることでプラズモンジェネレータにおける熱拡散を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の発明の目的は、ギャッププラズモンジェネレータを採用することで実現可能である。そのギャッププラズモンジェネレータは、TE偏光レーザダイオードを用いたときに、より容易に光導波路と効率的に結合する形状を有するものとする。
【0017】
一般のTEモードエッジ発光レーザダイオードは、スライダに設けられ、光導波路に入射されるようにビームが揃えられている。よって、ギャッププラズモンジェネレータは、同一面内で偏光されたこれらのデバイスの双方を伝播するという事実によって、導波路からエネルギーを受け取るために効率的に結合するように、(光導波路と)すぐ近くに位置している。
【0018】
本願発明の鍵となる特徴は、自己集光型のセルフフォーカシングギャッププラズモンジェネレータ(SGPG)であり、これは、その新規の形状によって3次元の自己集光機能を有している。このSGPGは、3つの領域(第1〜第3の領域)に区分される。第1の領域は、直線状であり、光導波路からエッジを介してもしくは直接的に、光エネルギーを受け取る部分である。第2の領域は、(光エネルギーが)ABSへ向けて伝播するとき、それをさらに横方向にGPを圧縮する部分である。第3の領域は、直線上もしくはテーパ状をなし、記録媒体から非常に近い距離で浮上し、高度に閉じ込められたエネルギーをもたらす。
【0019】
さらに、SGPGは、その内部の側壁が内側へ向けて傾斜しており、ABSおよび後方(ABSと反対側)の入射面の双方において台形状の断面を有している。 Y軸方向における非対称形状により、ギャッププラズモンはZ方向に伝播する際に圧縮される。ABSでの、より狭いギャップ幅と対向するように、できるだけ近くに垂直磁気ポールのエッジが配置される。
【0020】
本発明の構造は、Z軸と直交する断面が一定幅であるギャッププラズモンジェネレータと比較して、より高い光効率を有している。なぜなら、1)入り口部分におけるWGモードとGPモードとがより大きく重複しており、2)第2の領域における傾斜した金属のウォールによって、GPが断熱的に集束および圧縮され、3)光エネルギーの大部分が誘電性のギャップに存在するので伝播損失が低減されるからである。
【0021】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置は、ABSに露出した第1の面と、この第1の面とZ軸方向において離間して平行をなす第2の面とを有するスライダと、スライダにおける第1の面と第2の面との間に設けられ、ABSに露出した一端面を含むPMPと、スライダの第2の面に配置され、Z軸方向へレーザビームを射出するTEモードのLDと、スライダの第2の面から第1の面へ向けてZ軸方向へ延在し、レーザビームとの最適な結合がなされるように配置されたWGと、 Z軸方向と直交するY軸方向においてPMPとWGとの間に設けられ、Z軸方向へ延在し、PMPと対向するPMP対向面と、WGと対向するWG対向面とを含むSGPGとを備える。SGPGは、Y軸方向およびZ軸方向の双方と直交するX軸方向において誘電体ギャップを介して対向配置された一対の金属部分を含み、LDの側からABSへ向けて順に配置されると共に互いに結合した第1から第3の領域部分に区分され、一対の金属部分のX軸方向の相互間隔は、WG対向面からPMP対向面へ向かうほど小さくなると共に、Z軸方向に沿ってABSへ近づくほど小さくなり、WGを伝播する光学的放射がSGPGと結合し、PMPから0.1μm以内の位置に50nmの幅で集束されたプラズモン放射としてABSに現れる。
【0022】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録方法は、磁気記録媒体に対して行うものであって、ABSに露出した第1の面と、この第1の面とZ軸方向において離間して平行をなす第2の面とを有するスライダを用意することと、第1の面と第2の面との間に、ABSに露出した一端面を含むPMPを設けることと、スライダの第2の面に、Z軸方向へレーザビームを射出するTEモードのLDを配置することと、スライダの第2の面から第1の面へ向けてZ軸方向へ延在し、レーザビームとの最適な結合がなされるようにWGを配置することと、Z軸方向と直交するY軸方向においてPMPとWGとの間に、Z軸方向へ延在し、PMPと対向するPMP対向面と、WGと対向するWG対向面とを含むSGPGを設けることとを含むものである。ここでは、SGPGを、Y軸方向およびZ軸方向の双方と直交するX軸方向において誘電体ギャップを介して対向配置された一対の金属部分を含み、LDの側からABSへ向けて順に区分されて互いに結合した第1から第3の領域部分を含むようにし、一対の金属部分を、そのX軸方向の相互間隔が前記WG対向面から前記PMP対向面へ向かうほど小さくなると共にZ軸方向に沿ってABSへ近づくほど小さくなるように形成し、WGを伝播する光学的放射がSGPGと結合し、PMPから0.1μm以内の位置に50nmの幅で集束されたプラズモン放射としてABSに現れるようにする。
【0023】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置および熱アシスト垂直磁気記録方法では、SGPGにおける一対の金属部分を、そのX軸方向の相互間隔がWG対向面からPMP対向面へ向かうほど小さくなると共にZ軸方向に沿ってABSへ近づくほど小さくなるようにした。これにより、SGPGを伝播する光エネルギーがより集束され、ABSにおいて近接場光のピーク強度が向上し、かつ、そのスポットがより小さくなる。
【0024】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置および熱アシスト垂直磁気記録方法では、WGは、Y軸方向においてSGPGと重なり合うように、SGPGから0.1μm以内の位置に離間して、かつ、その端縁がABSに露出し、もしくはABSから1μm以下の位置となるように設けられ、光学的放射のエッジ結合がSGPGと前記WGとの間で生じているとよい。その場合、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、ABSへ近づくほど互いの距離が近づくように設けられた第2の側面をそれぞれ有し、第2の側面の間隔は、第1の領域部分との接続部分において0.1μm以上1.0μm以下であると共に前記第3の領域部分との接続部分において0.01μm以上0.1μm以下であり、第2の領域部分におけるZ軸方向の長さは0.1μm以上2.0μm以下であり、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているとよい。
【0025】
あるいは、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、ギャッププラズモン共振器として機能し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているとよい。
【0026】
あるいは、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているとよい。
【0027】
あるいは、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は第2の側面をそれぞれ有すると共に第1および第2の部分に区分され、第1の部分における第2の側面は第1の領域部分における第1の側面と連続し、第2の部分における第2の側面は放物線状の輪郭を有し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において2.0μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているとよい。
【0028】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置および熱アシスト垂直磁気記録方法では、SGPGは、WGの直下に0.2μm以内の位置に設けられており、SGPGとWGとの間に直接的な放射結合が生じているとよい。その場合、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、ABSへ近づくほど互いの距離が近づくように設けられた第2の側面をそれぞれ有し、第2の側面の間隔は、第1の領域部分との接続部分において0.1μm以上1.0μm以下であると共に第3の領域部分との接続部分において0.01μm以上0.1μm以下であり、第2の領域部分におけるZ軸方向の長さは0.1μm以上2.0μm以下であり、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているとよい。また、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、ギャッププラズモン共振器として機能し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているようにしてもよい。あるいは、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.2μm以上1.6μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第2の側面をそれぞれ有し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているようにしてもよい。あるいは、第1の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.1μm以上1.0μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下の長さに亘って互いに平行に延在する第1の側面をそれぞれ有し、第2の領域部分において、一対の金属部分は第2の側面をそれぞれ有すると共に第1および第2の部分に区分され、第1の部分における第2の側面は第1の領域部分における第1の側面と連続し、第2の部分における第2の側面は放物線状の輪郭を有し、第3の領域部分において、一対の金属部分は、X軸方向において0.01μm以上0.1μm以下の間隔で対向すると共にZ軸方向において0.2μm以下の長さに亘って延在する第3の側面をそれぞれ有し、一端がABSに露出しているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置および熱アシスト垂直磁気記録方法によれば、SGPGにおける一対の金属部分に挟まれた誘電体ギャップのABSに平行な断面の面積を、ABSへ向かうほど縮小するようにした。よって、磁気記録媒体の記録面上における所定のスポットを効率的に加熱することができ、その結果、記録密度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の熱アシスト垂直磁気記録装置(以下、端にTAMR装置という。)および熱アシスト垂直磁気記録方法は、以下に述べる実施態様の記載により理解される。
【0032】
図2は、本実施態様のTAMR装置における概略構成を表す。このTAMR装置は、スライダ10と、標準的な端面発光型のレーザダイオード(LD)25とを備える。
図2(A)は、このTAMR装置の概略構成を表す、ABSと直交する断面図である。
図2(B)は、このTAMR装置のABSにおける平面構成を表す平面図である。
図2(C)は、スライダ10から眺めたときの、LD25の構成を表す断面図である。スライダ10は、ABSに露出した面10S1と、この面10S1とZ軸方向において離間して平行をなす面10S2とを有する。LD25は、スライダ10の面10S2に配置され、Z軸方向へTEモードのレーザビームを射出するものである。さらに、スライダ10における面10S1と面10S2との間には、ABSに露出した一端面を含む垂直磁気ポール(PMP)14と、光導波路(WG)13と、セルフフォーカシングプラズモンジェネレータ(SGPG)22とが基体1の一側面に設けられている。光導波路(WG)13は、面10S2から面10S1へ向けてZ軸方向へ延在し、LD25からのレーザビームとの最適な結合がなされるように配置されている。SGPG22は、Z軸方向と直交するY軸方向においてPMP14とWG13との間に設けられ、Z軸方向へ延在し、PMP14と対向するPMP対向面22S1と、WG13と対向するWG対向面22S2とを含んでいる。WG13の、SGPG22とは反対側には磁気抵抗効果(MR)素子11を含む再生ヘッドが設けられている。さらに、スライダ10は、記録磁界を誘導する電流が流れるコイル18と、磁気ヨーク19とが設けられている。なお、スライダ10における、基体1上に設けられた各構成要素の隙間は絶縁層Zによって充填されている。
【0033】
射出されるレーザビームの偏光方向27は、
図2(B)に示したようにLD25の各層の成長方向であるY軸方向と直交するX軸方向である。導波路(WG)13がTEモードで励起されたとき、このモードでの放射エネルギーの偏光は、未だX軸方向となっている。これは、
図2(A)および2(C)に示したように、GPG22がWG13の近くに配置されることにより実現される。
図2(C)に示したように、ギャッププラズモン(GP)モードにおける偏光方向29がX軸方向であるので、WGモードからGPモードに至るまで光エネルギーを効率的に結合するからである。
【0034】
図3に、SGPG22の詳細な構成を示す。
図3(A),3(B)は、SGPG22の、ABSと平行な断面(XY平面)の断面図であり、
図3(C)は、SGPG22の、ABSと直交する断面(XZ平面)の断面図であり、
図3(D)は、SGPG22の一部の斜視構成を表わす斜視図である。
【0035】
SGPG22は、従来の構造から設計変更された所定形状を有することにより、3次元のセルフフォーカシングを行う機能を有している。SGPG22は、書き込み対象とする磁気記録媒体のトラック幅方向対応したX軸方向において、ギャップ22Gを介して対向配置された一対の金属部分22A,22Bからなるものである。一対の金属部分22A,22Bは、Al(アルミニウム),Au(金),Ag(銀)もしくはそれらの合金などの金属からなる。
ギャップ22Gは、TaOx,Al
2 O
3 ,SiONまたはMgOなどの誘電体によって構成される。また、SGPG22は、LD25の側からABSへ向けて順に配置されると共に互いに結合した第1から第3の領域部分S1〜S3に区分されている。
【0036】
第1の領域部分S1は、直線領域であり、WG光を、一対の金属部分22A,22Bに挟まれたギャップ22Gを伝播するギャッププラズモン(GP)放射と結合させるものである。第2の領域部分S2は、ABSへ向かって伝播するGP放射を横方向(X軸方向)にさらに圧縮する部分である。第3の領域部分S3は、直線状でもテーパ形状でもよいが、高度に圧縮されたエネルギーをさらに、SGPG22の直下(Z方向の延長上)に位置する磁気記録媒体へ輸送するものである。
図3(A)は、SGPG22におけるABSと反対側(レーザビームの入射側)の面22Tを表しており、
図3(B)は、SGPG22におけるABSに露出した面を表している。いずれにおいても、一対の金属部分22A,22Bの対向面(側壁)22AS,22BSが傾斜し、ギャップ22Gが逆台形状の断面を有している。このようにギャップ22GがY軸方向において非対称の形状となっているので、GP放射は、Z軸方向へ伝播する際に、ギャップ22Gにおける広ギャップ領域222から狭ギャップ領域221へ圧縮される。狭ギャップ領域221および広ギャップ領域222とは、それぞれ、一対の金属部分22A,22Bの相互間隔が、最も狭い領域および最も広い領域である。ABSにおいては、ギャップ22Gの断面が台形、三角形または矩形状のいずれであるかに関わらず、光エネルギーは、光学的な回折限界スポットよりも遙かに小さい領域に閉じ込められる。
図3(A)〜3(D)からわかるように、SGPG22では、一対の金属部分22A,22BのX軸方向の相互間隔は、WG対向面22S2からPMP対向面22S1へ向かうほど小さくなると共に、Z軸方向に沿ってABSへ近づくほど小さくなるような構造となっている。特に、
図3(D)により、GP放射が、どのようにしてY方向およびZ方向の双方において同時に圧縮されるかを理解することができる。
【0037】
PMP14(
図2(C)参照)は、SGPG22における狭ギャップ領域221と対向する側に位置するので、PMP14のエッジと、SGPG22とが極めて近接して配置されることとなる。
【0038】
なお、XZ平面におけるSGPG22の断面形状は、さらにデバイスの全体効率を高めるために変更されてもよい。
【0039】
例えば、
図4(A)に示したように、第1の領域部分S1では、対向面22AS,22BSが0.1μm以上1μm以下の間隔を空けて平行に対向すると共に、Z軸方向において0.05μm以上2.0μm以下の長さに亘って延伸している。第2の領域部分S2では、対向面22AS,22BSが0.2μm以上1.6μmの間隔を空けて平行に対向すると共にZ軸方向において0.1μm以上2.0μm以下に亘って延伸している。第2の領域部分S2は、ギャッププラズモン共振器として機能する。第3の領域部分S3では、対向面22AS,22BSが0.01μm以上0.1μm以下の間隔を空けて平行に対向すると共にZ軸方向においてABSに至るまで0.2μm、もしくはそれ以上に亘って延伸している。
【0040】
また、
図4(B)に示したSGPG22の例は、
図4(A)に示したものと似ているが、
図4(B)における第1の領域部分S1の寸法が、
図4(A)における第2の領域部分S2の寸法とほぼ同等である。同様に、
図4(B)における第2の領域部分S2の寸法が、
図4(A)における第1の領域部分S1の寸法とほぼ同等である。
【0041】
図4(C)では、第1の領域部分S1は、平行に対向する側面を有しており、それらは0.1μm以上1.0μm以下の間隔を隔てて0.1μm以上2.0μm以下に亘ってZ軸方向へ延伸している。第2の領域部分S2は、第1の領域部分S1と継ぎ目なく連続した輪郭を有している。しかし、第1の領域部分S1から約0.5μm離れた位置から、第2の領域部分S2の側面は、焦点が第3の領域部分S3の入射側端面に位置する放物線を描くように集束する。第2の領域部分S2の放物線形状は、ギャッププラズモンを圧縮するための代替方法を提供するものである。第3の領域部分S3は、0.01μm以上0.1μmの間隔で互いに平行に対向する側面を有し、ABSへ向けて最大0.2μm程度延在している。
【0042】
このように、本実施態様のSGPG22は、Z軸方向において一定の断面を有し、高い光効率を発揮するものである。その要因としては、以下のものが考えられる。
1)第1の領域部分S1において、WGモードとGPモードとのY軸方向での重複部分を有すること。
2)第2の領域部分S2における側面の傾きによる、GP放射の断熱的なフォーカシングおよび圧縮がなされること。
3)光エネルギーの大半がギャップ22Gに存在することにより伝播損失の低減がなされること。
【0043】
SGPG22の構成材料は、レーザビームの波長およびWG13の構成材料の誘電率を考慮して決定される。一般的な指針は、比較的長く(約1〜10μmに亘って)伝播する表面プラズモンをサポートする金属を選択することである。SGPG22の各領域部分は、最善の光効率を得るため、それぞれ個別に設計することが可能である。例えば、第1の領域部分S1におけるX軸方向に沿った横方向の寸法は、WGモードのサイズと整合するように設計され、第2の領域部分S2における対向面22AS,22BSの傾斜角度、X軸方向に沿った寸法、およびZ軸方向の寸法はGP放射における断熱的フォーカシング(adiabatic focusing)が可能となるように、かつ、Z軸方向へ伝播する際のGP放射の伝播損失が最小化されるように設計され得る。第3の領域部分S3の存在は、製造時のラッピング処理の誤差を許容するものである。
【0044】
WG13は、Y軸方向においてSGPG22と重なり合うように、SGPG22から0.1μm以内の位置に離間して、かつ、その端縁がABSに露出し、もしくはABSから1μm以下の位置となるように設けられている。これにより、PG放射のエッジ結合がSGPG22とWG13との間で生じている。
【0045】
XY断面におけるフォーカシングによる効果を示すために、有限要素モード解析法を用いてGPモードを計算し、その強度分布を求めた。
図5(A),5(B)では、矩形状の断面を有するギャップ122GおよびそれをX軸方向に挟む金層122A,122Bの厚さ(Y軸方向の寸法)を変えて比較した。一方、
図6(A),6(B)では、本実施態様の台形の断面を有するギャップ22Gにおける幅の寸法を変えて比較した。
図5(A),5(B)に示したように、矩形状断面のギャップ122Gの場合、より厚みの大きな金層122A,122Bで挟まれていると、Y軸方向においてはGPモードを圧縮することができない。金層122A,122Bおよびギャップ122Gの厚さを小さくすることでX軸方向およびY軸方向の双方においてGPモードを圧縮することができる。しかしながら、この非常に限定されたモードがさらなる損失性を示して、効果的モード指数(effective mode index)が著しく増大する。原理上は、GP放射がABSへ向けて伝播する際、徐々に減少する厚さを有する金属薄膜を提供することで、効率性および電界の閉じ込めの双方を実現することができる。
【0046】
断面が台形状のギャップ22Gを用いることにより、GPモードは非対称となり、電界は狭ギャップ領域221において圧縮される。実際、2つのエッジプラズモン(EP)モードは、励起され、
図6に示したようにGPモードによって互いに結合する。金属層の厚さを変えることなく、非対称GP(AGP)モードの、X軸方向およびY軸方向の双方におけるさらなる圧縮(制限)がギャップ幅の減少により実現され得る。
【0047】
ここで、改善された光学効率を示すために、有限差分時間領域(FDTD:Finite-Difference Time-Domain)法を用いてPG構造へ入射されるWG光の全波電磁結合(full-wave electromagnetic coupling)のシミュレーションをおこなった。シミュレーションモデルは、光導波路、プラズモンジェネレータ、WGおよびPGを取り囲むクラッド材、およびABSでの空域(airspace)を含むものである。
【0048】
2つのデザイン、すなわち、断面形状が同一の台形である一定のエッジプラズモンジェネレータと、断面形状が(ABSへ向かうほど)徐々に縮小する台形であるセルフフォーカシングギャップPGについて以下のように判断された。EPGデザインにおいては、TM_WGモードが励起源となる。一方、GPGデザインにおいては、TE_WGモードが励起源となる。単純化のため、SGPGにおける直線状の第1および第3の領域部分S1,S3は、このシミュレーションモデルには含まないこととした。
【0049】
図7(A),7(B)および
図8(A),8(B)は、従来技術として開示された(Z軸方向において)一定断面を有するPG構造のシミュレーション結果を表している。
図7(A)は、PGの上面から20nmの距離におけるXZ平面での電界強度分布を表している。
図7(B)は、PGの中心を通るYZ平面での電界強度分布を表している。
図8(A)は、ABSから20nmの距離におけるXY平面での電界強度分布を表している。WGモードからSP波への光波の結合は、
図7(A),7(B)の電界強度分布において明確に示されている。SP波は、ABSに露出した端面からの反射により、定常波パターンを形成する。XY平面における電界強度分布は、PGの尖端周辺に限定された光スポットに対応している。11.08という値に規格化されたピーク強度(
図8(A)参照)は、比較的効率の良いPGによる輸送の結果に伴う光学ニアフィールドの改善を示している。
【0050】
これに対し、
図9(A),9(B)は、本発明の構造(ABSへ向けて徐々に断面積を縮小する台形状のギャップ22Gを有する構造)についてのシミュレーション結果を示す。Y軸方向におけるGP放射によって実現されるフォーカシングおよび圧縮効果は、
図9(A)のYZ平面での電界強度分布に示されているように、電界がギャップの一方の側においてより圧縮されているときに最も良好な状態となる。SGPG22の傾斜方向に沿ったGP放射におけるフォーカシング効果は、
図9(B)に明確に示されている。GPエネルギーは、GP放射がABSへ向けて伝播するときに徐々に圧縮されているので、ABSにおける強度は著しく改善される。
【0051】
ABSから20nmの位置では、台形状の断面を有するギャップ22Gを含むSGPG22は、29.51のピーク強度を形成する。すなわち、本発明の構造では、WG光との効率的な結合をさらに向上させる直線状の第1の領域部分S1を用いることなしに、(
図7A(3)の)2.8倍程度までピーク強度が向上している。電界強度分布は、また、X軸方向およびY軸方向の双方において非常に小さなスポット径(20nm未満)を示している。20nmという狭いギャップ幅の側において、そのスポットは形成されている。
【0052】
図7〜
図9に示したモデリング結果は、一例としてPGおよび光近接場圧縮によってもたらされるピーク強度に関し、従来に対する非対称ギャッププラズモンジェネレータ(GPG)の改善を実証(demonstrate)している。上記の結果は、テーパ構造はGPエネルギーを凝縮し、結果として光近接場(optical near field)が向上することを明確に示している。整合する導波路のデザインの最適化、直線状の第1の領域部分S1を含むこと、第2の領域部分S2のテーパ角度および長さの調整、および台形断面におけるフレア角度の調整を行うことで、レーザダイオードから磁気記録媒体におけるホットスポットまでの全体の光学エネルギーの伝播効率のさらなる改善が見込まれる。
【0053】
図10(A)〜10(C)は、本実施態様のTAMR装置の要部を拡大して示した断面図である。
図10(A)は、TAMR装置におけるABSと直交する積層断面を表し、
図10(B),10(C)は、それぞれ、
図10(A)に示したXB−XB線およびXC−XC線に沿った矢視方向の断面を表す。すなわち、
図10(B)は、ABSに露出した端面におけるPMP14、SGPG22およびWG13の構成を表し、
図10(C)は、SGPG22におけるABSと反対側の後端面におけるPMP14、SGPG22およびWG13の断面構成を表す。PMP14は、記録動作の際、磁気記録媒体における粒子の磁化方向を反転させるための記録磁界を生成する。SGPG22は、プラズモンモードを磁気記録媒体へ輸送し、プラズモン電界エネルギーによって、磁気記録媒体の一部を局所的に加熱する。この加熱により、磁気記録媒体の一部における磁気異方性を減少させ、PMP14からの記録磁界によって容易に磁化方向が反転するようになる。WG13は、光波をTAMRヘッドへ外部(例えばLD25)から取り込み、光学モードをSGPG22のギャッププラズモンモードへ結合させる。SGPG22における一対の金属部分22A,22Bの相互間隔は、TAMRヘッドのトレーリング側において最小であり、いくらかのスペースを隔ててPMP14と対向している。PMP14、SGPG22およびWG13は、TAMR装置のABSに完全に露出している。SGPG22は、
図3および
図4に示した形状のものを用いることができる。
【0054】
図11(A)〜11(C),12(A)〜12(C)は、それぞれ、本実施態様の変形例1,2としての断面図を表わすものであり、
図10(A)〜10(C)にそれぞれ対応するものである。変形例1は上記実施態様と類似している。
【0055】
変形例1(
図11(A)〜11(C))は、WG13がABSから後退(リセス)していることを除き、上記実施態様と同様の構成を有している。この変形例では、SGPG22およびWG13の相互の結合が、それらの重複部分で生ずる。
【0056】
変形例2(
図12(A)〜12(C))は、
SGPG22がABSに露出している点で上記実施態様と共通しているが、
SGPG22の入射側に(ABSと反対側に)WG13が設けられている点で、上記実施態様と異なった構成を有している。この構造では、光学エネルギーにより、WGモードとGPモードとの結合が直接的に形成される。
【0057】
本発明のSGPGと、従来のエッジPGとの主な相違点、およびそれに伴う本発明の利点としては以下のようなものが挙げられる。
1.一般的なエッジPGは、TMモードのレーザダイオードを必要とする。TMモードのレーザダイオードは非標準的なアイテムであり、高価である。これに対し、本発明のSGPGは、TEモードのレーザダイオードを用いることができる。これは標準的なアイテムであり、より安価でもある。
2.SGPGは3次元セルフフォーカシング形状を有する。一方、(従来の)EPGはABSと直交する方向において一定の断面形状を有する。このため、SGPGは、以下の(i)から(v)の利点を有する。
(i)光導波路との大きな重複によりWG光とGPモードとの結合が効率的に行われるように、光学効率が改善される。
(ii)上記(i)の理由により、レーザダイオードを駆動するために要する電力を低減することができる。
(iii)PGによる電力消費を低減することができる。
(iv)金属膜の体積を大きくすることで、PG内部の温度分布を改善することができる。
(v)磁気記録ポールに対応するように、光学ホットスポットの配置および配列をより簡単化することができる。
【0058】
このように、本実施の形態のTAMR装置およびそれを用いた熱アシスト磁気記録方法によれば、SGPG22における一対の金属部分22A,22Bに挟まれたギャップ22GのABSに平行な断面の面積を、ABSへ向かうほど縮小するようにした。よって、磁気記録媒体の記録面上における所定のスポットを効率的に加熱することができ、その結果、記録密度の向上を図ることができる。
【0059】
以上、特定の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態において説明した態様に限定されず、本発明の趣旨から外れることがない限りにおいて、製造方法、プロセス、材料、構造などについての種々の変形が可能である。例えば、上記実施態様では、WGおよびSGPGの結合がオットーモード(Otto mode)を介して実現されることについて述べた。しかしながら、当業者であれば、クレッチマンモード(Kretschmann mode)を直ちに代用することが可能である。