(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関併設発電機によって充電される高電圧バッテリからの供給電力を変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力電力によって充電されると共に前記電力変換装置によって充電された電力を車載負荷へ供給する低電圧バッテリと、前記低電圧バッテリを搭載させたプレート体と、を備える車載用電源装置において、
前記電力変換装置は、
筐体部に内蔵される基板の板厚方向について一方を第1板厚方向とし其の他方を第2板厚方向とすると、前記第1板厚方向へ高放熱面が形成され且つ前記第2板厚方向へ低放熱面が形成され、前記低放熱面が前記低電圧バッテリの側面へ対面するよう隣接され、隣接する前記低電圧バッテリを伴って車載用内燃機関の格納室へ配設され、前記高圧バッテリに対して前記低電圧バッテリとともに独立配置が可能とされ、前記低電圧バッテリとともに前記プレート体へ搭載され且つ前記板厚方向を前記低電圧バッテリの側面へ対抗させた状態で前記プレート体に立位配置される、ことを特徴とする車載用電源装置。
前記高放熱面は、高熱伝導材から成るヒートシンクによって形成され、且つ、前記低放熱面は、前記ヒートシンクよりも熱伝導率の低い弱熱伝導材が用いられることを特徴とする請求項1に記載の車載用電源装置。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタ等といった蓄電装置の開発が目覚しく進み、これを受けて、自動車の電源システムの関係分野では、これらを電力源として用いた新たな車載用電源システムの検討が行われている。
【0003】
例えば、特開2003−244863号公報(特許文献1)では、複数種類のバッテリを用いた、所謂、二電源式の車載用電源システムが紹介されている。当該車載用電源システムは、
図6に示す如く、車載用内燃機関によって駆動されるモータージェネレータ(特許請求の範囲における内燃機関併設発電機)10と、モータージェネレータ10の発電電力によって充電される高電圧バッテリ20と、高電圧バッテリ10の後段に接続されるDC/DCコンバータ(特許請求の範囲における電力変換装置)30と、DC/DCコンバータ40が降圧させた電力によって充電される低電圧バッテリ40と、DC/DCコンバータ40を制御するコントローラ41と、車両に搭載される低電力負荷50と、冷却ファンの駆動力を発生させるファンモータ60とから構成される。このうち、高電圧バッテリ20は、リチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタといった二次電池を用いて36V〜60V程度の出力電圧を有し、低電圧バッテリ40は、周知の鉛蓄電池が用いられ12〜14V程度の出力電圧を有する。
【0004】
内燃機関が駆動されると、モータージェネレータ10は、印加された駆動力を電力へ変換し高電圧バッテリ10の充電を開始する。高電圧バッテリ20では、蓄積された電荷を放電することによって、DC/DCコンバータ30へ高電圧の電力を供給する。このとき、DC/DCコンバータ30では、其の電力を低電圧状態(約12V程度)へ変換させ、後段の低電圧バッテリ40を充電させる。また、特許文献1では、ファンモータ60がコントローラ41によって制御され、冷却ファンの風力によって、DC/DCコンバータ40が冷却される。
【0005】
このような電源システムでは、リチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタといったエネルギー密度の高い電力源と鉛蓄電池のようなエネルギー密度の低い電力源の双方を具備することで、電力消費量の高い負荷と電力消費量の低い負荷への電力供給を好適にさせる。また、高電圧バッテリにリチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタを用いることで、内部抵抗が低いというメリットを利用し、充電電荷量の多い高電圧バッテリ側の充電効率を向上させるものである。
【0006】
また、特開2007−253660号公報(特許文献2)では、「二電源式の車載用電源システム」の好適なレイアウト例が紹介されている。特許文献2に係る二電源式の車載用電源システムは、其の構成は特許文献1と略同等であり、高電圧バッテリの供給電力をDC/DCコンバータで変換し、当該DC/DCコンバータの出力電力で低電圧バッテリが充電される。そして、高電圧バッテリ及び低電圧バッテリ及びDC/DCコンバータをバスバーによって三者一体に結合させ、これにより成るアセンブルを内燃機関へ配置させている。
【0007】
このように、特許文献2では、高電圧バッテリ及び低電圧バッテリ及びDC/DCコンバータの全てを隣接配置させることにより、バスバーの長さ及びエンジンルーム内の配線長を短縮させ、抵抗電力損失の低下を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2の技術では、高電圧バッテリ及び低電圧バッテリ及びDC/DCコンバータの全てを一つのモジュール(以下、電源モジュールと呼ぶ)として構成させているので、当該電源モジュールの体格が大型化してしまう。このため、スペースの余裕が少ないエンジンルームでは、電源モジュールについてのレイアウト上の自由度が低下し、場合によっては、電源モジュールを所望の場所へ配置することが出来なくなるとの問題が生じる。
【0010】
特に、二電源式の車載用電源システムで用いられる高電圧バッテリは、リチウムイオン電池・リチウムイオンキャパシタ等のような高エネルギー密度のバッテリが用いられると、これを保護する為の然るべきレイアウトが要求される。しかし、特許文献2の技術では、電源モジュールが高電圧バッテリと一体不可分となる構成である為、エンジンルームに十分なスペースが準備されていなければ、高電圧バッテリを安全な場所へ配置することが出来なくなる。
【0011】
また、特許文献2では、高電圧バッテリと低電圧バッテリとの間にDC/DCコンバータを挟持した電源モジュールの構成例も紹介されている。これらバッテリが隣接配置されるDC/DCコンバータの側面は、広い表面積が確保される構造部であるところ、本来であればDC/DCコンバータの内蔵発熱素子のための放熱面として利用するのが好ましい。しかし、特許文献2のように、表面積の大きい両側面にバッテリが隣接されると、内蔵発熱素子の発熱量に適したヒートシンクを設けることが困難となり、十分な放熱性能を確保することが出来なくなる。
【0012】
例えば、鉛蓄電池にあっては、50〜60℃以上に達すると電解液の硫酸イオンが飽和状態となり、陽極板に結晶を堆積させるサルフェーションという現象が生じて、蓄電量が極端に低下してしまう。このため、鉛蓄電池の側壁には、ヒートシンクのような高温となる放熱面へ晒したくないという技術的事情がある。
【0013】
本発明は上記課題に鑑み、安全性の向上及び放熱性の改善をなし得る車載用電源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明では次のような車載用電源装置の構成とする。即ち、内燃機関併設発電機によって充電される高電圧バッテリからの供給電力を変換する電力変換装置と、前記電力変換装置の出力電力によって充電されると共に前記電力変換装置によって充電された電力を車載負荷へ供給する低電圧バッテリと、
前記低電圧バッテリを搭載させたプレート体と、を備える車載用電源装置において、
前記電力変換装置は、
筐体部に内蔵される基板の板厚方向について一方を第1板厚方向とし其の他方を第2板厚方向とすると、前記第1板厚方向へ高放熱面が形成され且つ前記第2板厚方向へ低放熱面が形成され、前記低放熱面が前記低電圧バッテリの側面へ対面するよう隣接され、隣接する前記低電圧バッテリを伴って車載用内燃機関の格納室へ配設され、前記高圧バッテリに対して前記低電圧バッテリとともに独立配置が可能とされ、
前記低電圧バッテリとともに前記プレート体へ搭載され且つ前記板厚方向を前記低電圧バッテリの側面へ対抗させた状態で前記プレート体に立位配置される、こととする。
【0015】
好ましくは、前記高放熱面は、高熱伝導材から成るヒートシンクによって形成され、且つ、前記低放熱面は、前記ヒートシンクよりも熱伝導率の低い弱熱伝導材が用いられることとする。
【0016】
好ましくは、前記弱熱伝導材は、樹脂製材料から成るカバー部を構成することとする。
【0017】
好ましくは、前記筐体は、前記ヒートシンクと前記カバー部とを少なくとも含む構成から成ることとする。
【0018】
好ましくは、前記ヒートシンクには、パワートランジスタの実装部が積層又は形成されていることとする。
【0019】
好ましくは、前記実装部の低放熱面側には、前記パワートランジスタの制御回路を実装させた制御回路基板が配置されていることとする。
【0020】
好ましくは、前記ヒートシンクには、前記実装部及び前記制御回路基板の何れも含まぬ領域へ大型発熱性素子が搭載されていることとする。
【0021】
好ましくは、前記低放熱面と前記低電圧バッテリの側面との間には、弱熱伝導性の弾性部材が間挿されていることとする。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る車載用電源装置によると、電源モジュールは、低電圧バッテリとDC−DCコンバータとで構成され、高電圧バッテリから独立させたので、当該電源モジュールの小型化が図られる。これにより、電源モジュール及び高電圧バッテリの双方のレイアウト上における自由度が向上し、特に、高電圧バッテリを安全な位置へ配置させることが可能となる。
【0023】
また、本発明に係る車載用電源装置によると、電源モジュールが高電圧バッテリから独立されるので、DC−DCコンバータの側面に十分な広さの表面積を確保することができる。このため、DC−DCコンバータは、放熱量の異なる高放熱面及び低放熱面を形成させ、低放熱面に低電圧バッテリを隣接させ且つ当該低放熱面の反対方向へ高放熱面を配置させることで、低放熱面では低電圧バッテリの温度上昇を緩和させ且つ高放熱面では内蔵発熱素子からの熱量を効果的に放熱させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態につき図面を参照して説明する。
図1に示す如く、二電源式の車載用電源システムSYSは、内燃機関併設発電機110と、高電圧バッテリ120と、電力変換装置130と、低電圧バッテリ140と、車両に搭載される低電力負荷150とから構成される。そして、電力変換装置130は、電力の送電ラインによって適宜配線され、具体的には、送電ラインL1を介して高電圧バッテリ120及び内燃機関併設発電機110に接続され、送電ラインL2を介して低電圧バッテリ140に接続され、送電ラインL3及びL4を介してグランド電位と同電位にされる。尚、これらの送電ラインには、送電ケーブル又はバスバー等、種々の形態が採用され得るが、其の具体的態様については逐次説明する。
【0026】
内燃機関併設発電機(以下、モータージェネレータ)110は、発電機部及び入力軸及びプーリーを有し、内燃機関のチェーンベルトが動き出すと、入力軸にトルクが加えられ、発電部で電力を発生させる。モータージェネレータ110で発生した発電電力は、送電ラインL1を介して、電力変換装置130及び高電圧バッテリ120へ供給される。
【0027】
高電圧バッテリ120は、鉛蓄電池よりもエネルギー密度の高いバッテリが用いられ、高電圧バッテリ120の全体で36V〜60V程度の出力電圧に設定される。このように、高電圧バッテリ120は、通常用いられる鉛蓄電池と比較して高い出力電圧を有し、一方、安全面の保障から上限値が60V以内に制限される。高電圧バッテリは、例えば、リチウムイオン電池、又は、リチウムイオンキャパシタ等が用いられる。これらバッテリの内部抵抗は、鉛蓄電池の内部抵抗より低く、充電効率が非常に高い。特に、リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオン電池の負極と電気二重層の正極とを具備する構成とされ、リチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高く、低い内部抵抗によって充放電の動作が俊敏であるという特徴を有する。
【0028】
かかる高電圧バッテリ120は、モータージェネレータ110の発電電力によって充電される。ここでの充電は、高電圧バッテリ120の内部抵抗が低いので、充電効率が非常に良い状態で行われる。
【0029】
電力変換装置130は、パワートランジスタ、制御回路基板、絶縁トランス、フィルター回路等を備え、供給電力の電圧値を降圧させる電力変換回路が形成されている。本実施の形態にあっては、高電圧バッテリ120からの印加電圧を14V程度に降圧させるものとし、入力電力が直流状態であるところ、以後、DC/DCコンバータ130と呼ぶこととする。尚、DC/DCコンバータ130の構成については、
図3及び
図4によって詳細に説明することとする。
【0030】
低電圧バッテリ140は、送電ラインL2〜L4によって配線され、DC/DCコンバータ130に対して並列接続されている。低電圧バッテリ140には、周知の鉛蓄電池が用いられる。鉛蓄電池は、二酸化鉛の正極、海綿状鉛の負極、希硫酸の電解液から成り、硫酸イオンの移動によって充放電が行われる。かかる鉛蓄電池は、50℃〜60℃以上に到達すると、電解液中の硫酸イオンが飽和状態となり、蓄電量が極端に低下する特徴を有する(サルフェーション)。また、内部抵抗が高いとう特徴を有する。鉛蓄電池を用いた低電圧バッテリ140は、DC/DCコンバータ130の出力電力によって充電され、具体的には、最大14Vの印加電圧によって充電される。また、低電圧バッテリ140は、約12Vの出力電圧にて放電し、この電力を車載負荷へ供給する。
【0031】
低電力負荷150は、ミラー等のモータードライバ、パワーウィンドウ、照明等であって、12V以下の電圧で駆動される電子機器を指す。かかる低電力負荷150は、特許請求の範囲における「車載負荷」に相当する。
【0032】
このような低電力負荷150は、定格電圧が12V以下に設計されているので、36V〜60Vの高電圧バッテリ120から直接的に電力を受けることは出来ない。このため、本実施の形態に係る二電源式の車載用電源システムSYSのように、DC/DCコンバータの後段にバッテリ140を設けて、低電力負荷150の定格電圧に見合う電力供給を行う必要がある。
【0033】
一方、同電源システムSYSでは、高電圧バッテリ120がモータージェネレータ110の後段に設けられている。かかる回路構成とされることで、高電力系統には、高エネルギー密度とされる高電圧バッテリ120を用い、充電中の損失低減を可能としている。そして、高電圧バッテリ120は、放電電力によって、高電力系統の負荷(例えば、エアコン、セルモータ等)へ、十分な電力供給を可能とさせている。
【0034】
次に、
図2を参照し、DC/DCコンバータの構成について説明する。尚、
図2(a)は、DC/DCコンバータの各部分解図であって、
図2(b)は、DC/DCコンバータの完成図である。
【0035】
図2(a)に示す如く、DC/DCコンバータ130は、カバー部137及びヒートシンク133から成る筐体部と、当該筐体部に内蔵される回路部とから構成される。同図では、回路部を構成する基板(制御回路基板,実装部を指す)の実装面に垂直な方向を板厚方向とし、板厚方向のうち、カバー部の方向を第2板厚方向、カバー部の反対方向(ヒートシンクの方向)を第1板厚方向とする。
【0036】
カバー部137は、図示の如く、表面積の比較的大きい平状体137aと、これに一体的に形成される枠部137bとから成る。特に、平状体137aは、特許請求の範囲における低放熱面を構成し、以後、低放熱面137aと呼ぶこととする。カバー部137は、弱熱伝導材から成り、回路部から第2板厚方向への熱伝達を遮る役割を担う。このため、カバー部137には、金属材料を用いずに、樹脂製材料を用いるのが好ましい。特に、機械的強度及び耐熱性を十分に確保させる為、PBT,PPS,PET等を用いると良い。
【0037】
ヒートシンク133は、アルミダイキャスト等の高熱伝導性の材料によって形成される。当該ヒートシンク133は、図示の如く、第1板厚方向に放熱フィン133f、第2板厚方向に有底状の格納空間133gが形成されている。そして、ヒートシンク133は、格納空間133gに回路部を配置させており、当該回路部の発熱した熱量を第1板厚方向へ伝達させ、放熱フィン133fによって熱交換させる。以下、ヒートシンク133の第1板厚方向の面を、高放熱面133hと呼ぶこととする。
【0038】
本実施の形態では、カバー部137とヒートシンク133とによって筐体部が形成される。この筐体は、カバー部137とヒートシンク133との間で熱的な分断が行われ、カバー部137によって第2板厚方向への熱の流れを弱めさせる作用が働く。このように、表面積の大きい一方の面のみに熱の伝達経路を集中させることで、ヒートシンク側には高放熱面133hが形成され、カバー部137には低放熱面137aが形成されることとなる。尚、カバー部137とヒートシンク133との接合面は、パッキン部材又は接着層等を介在させ、防水性を確保させると良い。
【0039】
筐体部に内蔵される回路部は、図示の如く、パワー素子実装部131(特許請求の範囲における実装部)と、制御回路基板132と、フレーム134と、その他の回路素子によって構成される。このうち、パワー素子実装部131は、電気的絶縁性能が高く且つ熱伝達係数の高い材料が用いられ、例えば、アルミナ等の金属系セラミック基板が用いられる。当該パワー系実装部131は、パワートランジスタ、又は、これをパッケージ化させたパッケージ素子Tr等が実装され、熱伝達係数の高い接着層(又はグリス等)を介して、ヒートシンク133の格納空間133gの底面に積層される。かかる積層構造によると、パワートランジスタとヒートシンク133との間には、熱抵抗の高い材料が介在しないので、パワートランジスタで発生した熱量は、ヒートシンク133の高放熱面へ効果的に伝達されることとなる。尚、本実施の形態では、パワー素子用の基板を用いているが、これに限らず、ヒートシンク面に絶縁層を直接的に形成させ、更に其の上層に配線パターンを形成させた構造としても良い。
【0040】
フレーム134は、絶縁性の樹脂製材料から成形され、パワー素子実装部131を囲うような枠状体とされる。当該枠上状体は、インサートナット、複数の端子がインサート成形されている。インサート成形された端子は、一端は枠内のパワー素子実装部131に臨み、ボンディングワイヤを介してパワートランジスタの端子部に接続される。また、他端は、第2板厚方向に臨むよう固定されている。かかるフレーム134は、パワー素子実装部131を内部へ収容させるよう、格納空間133gの底面に載置され、図示されない締結部材又は接着剤等で固定される。
【0041】
制御回路基板132は、ガラスエポキシ基板等が用いられ、実装面には配線パターンが形成されている。当該実装面には、IC,マイコン,チップ抵抗等の様々な小型電気的素子、即ち、弱電電力で機能する電気的素子が実装される。これらの電気的素子は、パワートランジスタの駆動回路の一部を構成する。当該制御回路基板132は、図示の如く、パワー素子実装部131の第2板厚方向へ積層的に配置され、フレーム134に形成されたインサートナットにビス止めされる。ここで、フレーム134から第2板厚方向へ臨む端子郡は、制御回路基板132のスルーホール(図示なし)へ挿入され、適宜な配線パターン部に半田付けされる。従って、制御回路基板132の実装部品によって信号が生成されると、当該信号は、フレーム134の端子を介してパワートランジスタへ送られ、其のパワートランジスタを駆動させる。
【0042】
フレーム134の外部には、コイル部品136a,コンデンサ136b,充放電抵抗136c等の大型発熱性素子が配置される。一例として、コイル部品136aは、トランス又はフィルター回路を構成する。例えば、トランスは、電力変換装置の主要部品の一つとなるものであって、鉄心と一次コイル及び二次コイルとから構成される。また、フィルター回路は、コイル部品136aとコンデンサ136bとの組合せによって構成される。
【0043】
これらの大型発熱性素子136a〜136cは、熱伝達係数の高い絶縁シート又は絶縁接着層を介して、ヒートシンク133の底面に直接的に固定される。このように、大型発熱性素子136a〜136cは、パワー素子実装部131及び制御回路基板132の何れも含まぬ領域、即ち、パワー素子実装部131及び制御回路基板132の外部のヒートシンク領域に搭載されることで、好適な放熱構造が形成されることとなる。
【0044】
また、大型発熱性素子136a〜136cは、基板のような平面部品に比べて寸法が嵩むので、板厚方向に対しても一定の寸法を確保させなければならい。しかし、本実施の形態に係るDC/DCコンバータ130では、パワー素子実装部131及び制御回路基板132から成る二層構造を採用しているところ、大型発熱性素子136a〜136cによって生じた基板領域のデッドスペースを制御回路基板132で埋合わせることで、装置の高密度化・小型化が図られる。更に、この二層構造について、パワー素子実装部131の低放熱面側(第2板厚方向)へ制御回路基板132が配置されるので、当該制御回路基板132は、パワートランジスタで発生した熱量の遮断壁という役割を担うこととなる。
【0045】
ヒートシンク133には、出力端子133a,高圧端子133b,グランド端子133c,信号端子133dが設けられている。このうち、出力端子133aはバスバー(送電ラインL2)の端部を固定する端子であり、高圧端子133bはバスバー(送電ラインL1)の端部を固定する端子であり、グランド端子はバスバー(送電ラインL3)を固定する端子であり、信号端子133dはCAN(Control Aria Network)を介して情報通信が行われる端子とされる。これら端子を保持するコネクタ部は、電気的な絶縁性材料が用いられる。
【0046】
そして、上述した部品が組立てられると、DC/DCコンバータ130は、
図2(b)のような外形を呈する。DC/DCコンバータ130の駆動時には、高圧端子133bに印加された電力が変換され、出力端子133aから14V程度の電力を出力させる。このような電力変換が行われるとき、パワートランジスタ及び大型発熱性素子136a〜136cに大電流が流れ、これらの素子で熱量が発生する。かかる熱量は、上述した特長ある内部構造に基づき、放熱フィン133fを有する高放熱面133hへ集中的に供給されることとなる。一方、カバー部137の低放熱面137aでは、当該熱量の伝達経路が遮断されるため、温度上昇が効果的に抑えられることとなる。
【0047】
図3は、本実施の形態に係る車載用電源装置の構成が示されている。尚、
図3(a)には車載用電源装置の分解図が示されており、
図3(b)には組立て後の車載用電源装置が示されている。
【0048】
図3(a)に示す如く、本実施の形態に係る車載用電源装置100は、DC/DCコンバータ130及び低電圧バッテリ140から成る電源モジュールと、プレート体161と、ブラケット162と、取付具163とから構成される。
【0049】
低電圧バッテリ140は、上述したように、電解液,陽極層,及び,陰極層が構造体内部に形成されている。低電圧バッテリ140の外周構造は、本実施の形態にあっては、上面141a及び底面141f,及び,側面141b〜141eの略六面体とされている。低電圧バッテリ140の上面141aには、陽極端子142a及び陰極端子142bが設けられている。このうち、陽極端子142aは内部の陽極層に導通され、陰極端子142bは内部の陰極層に導通されている。
【0050】
プレート体161は、板体によって主要部が構成され、底面部161x及び外縁部161yが形成されている。また、底面部161xには、ボルト用雌ネジタップ161aが形成されている。当該底面部161xには、電源モジュール(DC/DCコンバータ130及び低電圧バッテリ140)が搭載される。そして、DC/DCコンバータ130は、図示されないボルト/ナットでプレート体161に固定され、低電圧バッテリ140は、取付具163が締結ボルト163aで底面部161xに固定されることで、取付具163の骨格部及び底面部161xによって把持される。プレート体161は、自動車のエンジンルームの適所に配置され、ブラケット162と共に所定箇所へボルト固定される。
【0051】
低電圧バッテリ140では、
図3(b)に示す如く、陽極端子142a及び陰極端子142bの各々に導通端子143及び144が挿入され、固定ボルト143a及び143bによって各々が固定される。そして、出力端子133aと導通端子143との間には、バスバー(送電ラインL2)が架橋され、当該バスバー(送電得ラインL2)の両端が固定ボルトで固定される。本実施の形態にあっては、かかる構造により、DC/DCコンバータ130の出力端子133aと低電圧バッテリ140の陽極端子142aとが導通され、DC/DCコンバータ130からの出力電力が低電圧バッテリ140に印加されることとなる。
【0052】
また、本実施の形態では、DC/DCコンバータ130の低放熱面137aが低電圧バッテリ140の側面141cへ対面するよう隣接されるので、DC/DCコンバータ130の出力端子133aと低電圧バッテリ140の陽極端子142aとが近接した状態で配置することが可能となる。このため、バスバー(送電得ラインL2)は、其の長さが短縮され、抵抗電力損失の低減が図られる。特に、陽極端子142aと同じ方向にDC/DCコンバータ140の出力端子を設けることで、
図3(b)に示す如く、陽極端子142aと出力端子133aとを最接近させることが可能となり、このような構造は、抵抗電力損失の低減に好適なものとなる。
【0053】
また、DC/DCコンバータ130の第1板厚方向は、高電圧バッテリ120といった構成が別の場所へ設置されるので、隣接する構造物は存在しなくなる。このため、当該方向では、ヒートシンクの設計自由度が向上し、十分な放熱構造を形成させることが可能となる。
【0054】
図4は、本実施の形態に係る車載用電源装置を側面141e側から観察した状態が示されている。但し、DC/DCコンバータ130については、筐体内に形成される内部構造が示されている。図示の如く、本実施の形態に係る車載用電源装置130は、DC/DCコンバータ130の低放熱面137aが低電圧バッテリ140の側面141cへ対面するよう隣接され、一方、DC/DCコンバータ130の高放熱面133hが低電圧バッテリ140の反対方向(第1板厚方向)に配される。このため、DC/DCコンバータ内のパワートランジスタ又は大型発熱性素子等で発生した熱量は、ヒートシンク133fが配される高放熱面(第1板厚方向)へ優先的に熱伝達されるため、バッテリ側(第2板厚方向)への熱伝達量は抑制される。従って、低電圧バッテリ140では、DC/DCコンバータ130が駆動されても当該装置から熱量を受けることが殆ど無く、温度上昇を招く危険度が低くなる。よって、低電圧バッテリ140では、サルフェーションが発生し難くなり、温度上昇に伴う蓄電量の低下という不具合が解消される。
【0055】
また、本実施の形態では、低電圧バッテリ140の外周構造のうち、表面積の大きい側面141cにDC/DCコンバータ130が隣接するよう配置される。このため、DC/DCコンバータのヒートシンク133fを当該側面141cの範囲で設定することが可能となり、十分な放熱面積のヒートシンク133fを設計することが可能となる。このため、従来例のような放熱ファンを省略することも可能となる。
【0056】
ここで、DC/DCコンバータ130と低電圧バッテリ140との隙間部には、弾性部材(弾性シート等)が間挿されるのが好ましい。何故なら、車載用電源装置100は、振動及び自動車の挙動が激しく伝わるエンジンルーム内に固定されるので、弾性部材は、振動に伴う両者間の衝撃を緩和させる上で好適な構成となる。特に、其の弾性部材は、弱熱伝導性の材質が用いられるのが好ましい。弱熱伝導部材とは、例えば、エラストマー等の高分子材料が其の一つとされる。このように、弾性部材170は、熱的絶縁性を具備することで、DC/DCコンバータ130と低電圧バッテリ140との間での、熱量の授受を遮る機能をも担うことが可能となる。
【0057】
図5(a)は、自動車1000のエンジンルームにおける車載用電源装置のレイアウト例が示されている。図示の如く、エンジンルーム1001(特許請求の範囲における格納室)には、内燃機関E/Gが中央部に配置され、当該内燃機関E/Gのタイミングチェーン近傍にモータージェネレータ110が固定される。モータージェネレータ110は、送電ライン(送電ケーブルL1a)を介して高圧バッテリ120に接続される。この高圧バッテリ120は、エネルギー密度が高いため、衝撃によって内部構造が損傷すると、発熱又は発火の原因となり得る。このため、エンジンルーム内のうち衝撃による影響の少ない場所に配置される。
【0058】
また、高電圧バッテリ120には、送電ライン(送電ケーブル又はバスバーL1b)を介してDC/DCコンバータ130が接続され、更に、DC/DCコンバータ130には、送電ライン(バスバーL2)を介して、低電圧バッテリ140が接続される。このように、DC/DCコンバータ130及び低電圧バッテリ140から成る電源モジュールE/Mは、高電圧バッテリ120とは別体である為、高圧バッテリ120に対して独立配置が可能となる。
【0059】
一般に、電力変換回路では、以下の式1が成り立つ。
E1・I1=η・E2・(DUTY・I2) ・・・式1
E1:高電圧バッテリの出力電圧
I1:送電ラインL1bに流れる電流
E2:DC/DCコンバータの出力電圧
I2:送電ラインL2に流れる電流
η:効率
DUTY:コンバータで制御されるDUTY比
【0060】
仮に、E1=42V,E2=14V,とすると、上記式1に基づいて以下の式2が得られる。
I1=(η・DUTY/3)・I2=K・I2 ・・・式2
式2の係数Kは、η及びDUTYの性質上、「K≪1」となる。即ち、DC/DCコンバータ130の通常運転中には、I2はI1より膨大な電流が流れることとなる。
【0061】
本実施の形態は、かかる事項に着目し、膨大な電流値I2が流れる送電ライン、即ち、DC/DCコンバータ130の後段のバスバーL2についてのみ距離を短縮して、抵抗電力損失の低減を図ろうとするものである。併せて、他の送電ラインについては、電流値が比較的に少なくなる為、高電圧バッテリ120のレイアウト上の自由度を向上させ、安全性の確保を最優先させる配線とする。
【0062】
従って、本実施の形態では、
図5(a)に示す如く、電源モジュールE/Mと高電圧バッテリ120とが独立配置されるので、高電圧バッテリ120は、安全なスペースへ優先的に配置することが可能となる。高電圧バッテリ120は、
図5(a)の場所に限定されるものでなく、適宜好適な位置が選択される。また、高電圧バッテリ120は、エンジンルーム内に限らず、シート底部又はトランクルームに搭載させても良い。このように、送電ラインL1a及びL1bについては極端に短くする必要が無いので、高電圧バッテリ120を自由に配置することが可能となり、これに伴い、衝撃等に対する安全性の確保が図られる。
【0063】
一方、電源モジュールE/Mは、高電圧バッテリ120から別体とされることで小型化が図られ、これにより、レイアウト上の自由度が向上する。また、上述したように、電源モジュールE/Mは、バスバーL2を短くする構成がとられているので、車載用電源システムにおいて電流値が膨大となる部分での抵抗電力損失の低減が図られる。特に、バスバーL2に流れる電流は、内部抵抗の高い鉛蓄電池140の充電電流とされるところ、当該鉛蓄電池140での充電効率の低下が緩和される。
【0064】
尚、本実施の形態にあっては、電源モジュールE/Mのレイアウトが
図5(a)に限定されるものでなく、安全性,スペース,電力損失等に基づいて適宜変更され得る(
図5b参照)。