(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも前面側を除くその余の周面側を塞ぐことで仕切られた処理室を備えてなるフード本体を少なくとも備え、実験室の室内空間と面する前記前面側から前記処理室内に流入して取り込まれた空調空気を該処理室内で発生させた有害ガスを含む有害微細物質とともに前記フード本体の上面を塞ぐ天板部に設けられた通気口を介して強制的な空気引きを可能としたヒュームフードにおいて、
前記通気口の周縁部に位置する前記天板部上には、1以上の囲枠付きエアフィルタと前記通気口からの空気引きが可能な囲枠付きファンとをそれぞれの囲枠部を相手部位に対し気密状に当接させて囲枠体ユニットとして積み重ねられた状態での位置固定と、取出し・交換のためにその位置固定状態の解除とを自在とすべく、前記通気口の一側縁に沿わせた複数の近傍位置に配設される弾圧軸支ユニットと、各弾圧軸支ユニットにそれぞれの一端部側を上下方向への調整可能な弾圧力を伴った揺動を自在に軸支させて通気口の前記一側縁との対向する位置にある他側縁を越える長さが付与されて配設される複数本の支腕部と、その長さ方向での両端部に前記通気口の開口面方向を受け面とする受け片部を備えて前記支腕部のそれぞれの他端部側を連結する連結バーと、前記弾圧軸支ユニット近傍に付設された支持ピンを支点として前記通気口に覆設された前記囲枠ユニット側からのガスリークを阻止し得るようにやや押し込んで水平方向に各支腕部を位置させた際の前記受け片部のそれぞれの前記受け面への押圧付勢とその解除とを可能にして前記他側縁寄りの前記天板部上に配設される一対のクランプ体とで構成された囲枠体ユニット用着脱機構を配置し、
前記処理室内で発生する前記有害微細物質は、前記囲枠体ユニット用着脱機構を介して位置固定された前記囲枠体ユニットにおける前記囲枠付きファンにより空気引きされる流れに乗せて前記囲枠付きエアフィルタ内を強制的に通過させることで無害化し、流入して取り込まれた前記空調空気とともに前記室内空間側への還流を可能としたことを特徴とするヒュームフード。
前記囲枠体ユニットにおける前記囲枠付きエアフィルタは、前記通気口の周縁部との対面部位にその囲枠部がパッキンを介して配置されるメインフィルタと、その上位方向に配置されるバックアップフィルタとの少なくとも2層以上のフィルタ層を備える請求項1に記載のヒュームフード。
前記囲枠付きエアフィルタにおける前記メインフィルタと前記バックアップフィルタとは、前記メインフィルタが交換のために取り出された際、前記バックアップフィルタが新たなメインフィルタとして差替え配置され、新規のエアフィルタを前記バックアップフィルタとして用いる配置関係とした請求項2に記載のヒュームフード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、実験中に発生する有害ガスを屋外に設置されている排気ガス洗浄装置等の浄化処理手段側へとフード本体の天板部に配設した排気ダクトを介して強制的に排出処理する場合には、実験室の室内空間に供給されてフード本体の処理室の前面開口部から流入してしまう清浄な空調空気も有害ガスとともに屋外の浄化処理手段側へと排出されて無害化処理して大気中に放出されてしまうことから、その消費分を実験室の室内空間へと改めて空調空気を供給しなければならず、それだけ空調コストを増加させてしまう不都合があった。
【0006】
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、フード本体の処理室内で発生させた有害ガスを含む有害微細物質を実験室側から流入する空調空気とともにフード本体の天板部に設置した囲枠体ユニット用着脱機構を介して位置固定されている囲枠体ユニットを通過させて無害化することで、再度、実験室の内部空間側へと還流させて空調空気を無駄なく利用できるようにしたヒュームフードを提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、少なくとも前面側を除くその余の周面側を塞ぐことで仕切られた処理室を備えてなるフード本体を少なくとも備え、実験室の室内空間と面する前記前面側から前記処理室内に流入して取り込まれた空調空気を該処理室内で発生させた有害ガスを含む有害微細物質とともに前記フード本体の上面を塞ぐ天板部に設けられた
通気口を介して強制的な空気引きを可能としたヒュームフードにおいて、
前記通気口の周縁部に位置する前記天板部上には、1以上の囲枠付きエアフィルタと前記通気口からの空気引きが可能な囲枠付きファンとをそれぞれの囲枠部を相手部位に対し気密状に当接させて囲枠体ユニットとして積み重ねられた状態での位置固定と、取出し・交換のためにその位置固定状態の解除と
を自在
とすべく、前記通気口の一側縁に沿わせた複数の近傍位置に配設される弾圧軸支ユニットと、各弾圧軸支ユニットにそれぞれの一端部側を上下方向への調整可能な弾圧力を伴った揺動を自在に軸支させて通気口の前記一側縁との対向する位置にある他側縁を越える長さが付与されて配設される複数本の支腕部と、その長さ方向での両端部に前記通気口の開口面方向を受け面とする受け片部を備えて前記支腕部のそれぞれの他端部側を連結する連結バーと、前記弾圧軸支ユニット近傍に付設された支持ピンを支点として前記通気口に覆設された前記囲枠ユニット側からのガスリークを阻止し得るようにやや押し込んで水平方向に各支腕部を位置させた際の前記受け片部のそれぞれの前記受け面への押圧付勢とその解除とを可能にして前記他側縁寄りの前記天板部上に配設される一対のクランプ体とで構成された囲枠体ユニット用着脱機構を配置し、
前記処理室内で発生する前記有害微細物質は、前記囲枠体ユニット用着脱機構を介して位置固定された前記囲枠体ユニットにおける前記囲枠付きファンにより空気引きされる流れに乗せて前記囲枠付きエアフィルタ内を強制的に通過させることで無害化し、流入して取り込まれた前記空調空気とともに前記室内空間側への還流を可能としたことを最も主要な特徴とする。
【0008】
この場合、前記囲枠体ユニットにおける前記囲枠付きエアフィルタは、前記通気口の周縁部との対面部位にその囲枠部がパッキンを介して配置されるメインフィルタと、その上位方向に配置されるバックアップフィルタとの少なくとも2層以上のフィルタ層が形成されるように配置するのが好ましい。
【0009】
また、前記囲枠付きエアフィルタにおける前記メインフィルタと前記バックアップフィルタとは、前記メインフィルタが交換のために取り出された際、前記バックアップフィルタが新たなメインフィルタとして差替え配置され、新規のエアフィルタを前記バックアップフィルタとして用いる配置関係とするのが望ましい。
【0010】
【0011】
また、前記弾圧軸支ユニットは、前記天板部上に直立させた支杆体と、該支杆体に遊挿させた介在昇降片と、該介在昇降片と前記支杆体の頂端部との間に抜脱困難に介在配置された圧縮用コイルスプリングとを備え、前記支腕部は、それぞれの前記一端部を対応する前記介在昇降片に軸支させさせるようにするのが好ましい。
【0012】
さらに、前記クランプ体は、開閉操作用のレバー部と、該レバー部を閉操作した際に受け片部の前記受け面を押し下げてその位置を維持する押圧アーム部とを有するものを好適に用いることができる。
【0013】
さらにまた、前記囲枠体ユニットは、その流路中に設置された少なくとも1以上のセンサを介して前記有害微細物質の成分検知を可能にして配置され、前記囲枠付きファンは、前記センサにより前記有害微細物質の存在が検知されない限りその駆動電源のON制御が維持され、前記センサにより前記有害微細物質の存在が検知された際にはその駆動電源のOFF制御を可能とすることで、前記有害微細物質が前記囲枠体ユニットを通過して前記室内空気内へと還流するのを阻止可能とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、フード本体の処理室内で発生させた有害ガスを含む有害微細物質を実験室側から流入する空調空気とともにフード本体の天板部上に設置した囲枠体ユニット用着脱機構を介して位置固定されている囲枠体ユニットを通過させて無害化することで、再度、実験室の室内空間側へと還流させて空調空気を無駄なく利用して空調コストの低減に有効に寄与させることができる。
【0015】
また、囲枠体ユニットを構成する囲枠付きファンと1以上の囲枠付きエアフィルタとは、囲枠体ユニット用着脱機構を介することでガスリークのない囲枠ユニットとして位置固定したり、取出し・交換のためにその位置固定状態を解除することができるので、処理室内で行われる実験中に発生する有害微細物質の種類や成分等に応じたろ材材質を備えるエアフィルタへの交換も簡単、かつ、円滑に行うことができる。
しかも、囲枠体ユニット用着脱機構は、これを具備させることで、囲枠体ユニットを天板部の通気口側に対面合致させて配置した後、クランプ体が生成する押圧力を連結バーが備える受け片部の受け面に作用させて支腕部を支点である支持ピンを介して水平方向に位置固定した状態のもとで囲枠側を通気口の周辺部に密に、かつ、均等に押し付けることができるので、ガスリークを発生させないようにして囲枠体ユニットをフード本体側に簡単に配置することができる。また、フード本体側から囲枠体ユニットを取り外す際には、クランプ体が生成する押圧力を単に解除することにより、支腕部を支点である支持ピンを介して跳ね上げ方向に揺動させて囲枠付きエアフィルタ側に作用させていた押圧力をなくすことで、囲枠体ユニット側を容易に引き出すことができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、囲枠体ユニットにおける囲枠付きエアフィルタは、メインフィルタとバックアップフィルタとの少なくとも2層以上のフィルタ層を備えているので、メインフィルタを有害微細物質の一部が吸着されずに通過してしまうことがあっても、次段に控えるバックアップフィルタにより確実に吸着させることができるので、取り込まれた空調空気をより無害化して室内空間側へと再度還流させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、囲枠付きエアフィルタにおけるメインフィルタとバックアップフィルタとは、当初のメインフィルタが交換のために取り出された際、従前のバックアップフィルタが新たなメインフィルタとして差替え配置され、新規のエアフィルタを新たなバックアップフィルタとして用いる配置関係がとられているので、メインフィルタとバックアップフィルタとを効率よく使用することで、安全性の向上とフィルタ交換に要するコストの削減とを同時に図ることができる。
【0018】
【0019】
【0020】
請求項
4に係る発明によれば、弾圧軸支ユニットが支杆体と介在昇降片と圧縮用コイルスプリングとで構成されているので、該圧縮用コイルスプリングの弾圧により支腕部の一端部側にも押し付け力を確実に作用させることができる。
【0021】
請求項
5に係る発明によれば、クランプ体として開閉操作用のレバー部と受け片部の受け面を押し下げてその位置を維持する押圧アーム部とを備えているので、単にレバー部を介して開閉操作することで、囲枠体ユニット側を簡単に着脱することができるほか、その取り付け時の状態を安定的に維持することもできる。
【0022】
請求項
6に係る発明によれば、囲枠体ユニットは、少なくとも1以上のセンサを介して有害微細物質の成分検知を可能にして配置され、囲枠付きファンは、有害微細物質の存在が検知されない限りその駆動電源のON制御が維持され、有害微細物質の存在が検知された際にはその駆動電源のOFF制御を可能とすることで、有害微細物質が囲枠体ユニットを通過して室内空気内へと入り込むのを確実に阻止することができるので、処理室内に流入して取り込まれた空調空気の再利用をより安全に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るヒュームフードは、少なくとも前面側を除くその余の周面側を塞ぐことで仕切られた処理室を備えてなるフード本体を少なくとも備え、実験室の室内空間と面する前記前面側から前記処理室内に流入して取り込まれた空調空気を該処理室内で発生させた有害ガスを含む有害微細物質(以下、単に「有害微細物質」という。)とともに前記フード本体の上面を塞ぐ天板部に設けられた開口部を介して強制的な空気引きを可能にして形成されている。
【0025】
これを
図1および
図2に示す具体例に基づいて説明すれば、ヒュームフード11は、天板部14と左右の側板部16,17と背板部18と図示しない処理台部とで仕切られた処理室13の前面13a側に位置する開口部19にサッシ窓20を配置してなるフード本体12を備えて形成されている。
【0026】
しかも、ヒュームフード11は、実験室61の室内空間62と面する開口部19側から処理室13内に流入して取り込まれた空調空気を該処理室13内で発生させた有害微細物質とともに天板部14に設けられた略方形を呈する通気口15を介して強制的な排出が可能となって形成されている。
【0027】
この場合、通気口15の周縁部に位置する天板部14上には、1以上の囲枠付きエアフィルタ24と通気口15からの空気引きが可能な囲枠付きファン23とをそれぞれの囲枠部24a(25a,26a),23aを相手部位に対し気密状に当接させて囲枠体ユニット22として積み重ねられた状態での位置固定と、取出し・交換のためにその位置固定状態の解除とが自在な囲枠体ユニット用着脱機構32が配置されている。
【0028】
しかも、処理室13内で適宜の実験を行った際に発生する有害微細物質は、位置固定させてある囲枠体ユニット22内を囲枠付きファン24が生成する送風力を利用して強制的に通過させながら無害化した上で、開口部19側から処理室13内に流入した空調空気とともに室内空間62側へと還流させることができるようになっている。
【0029】
すなわち、天板部14の通気口15の周縁部を介して配置される囲枠体ユニット22は、
図2に示す例によれば、囲枠付きエアフィルタ24の一つとして最下位に配置されるメインフィルタ25と、該メインフィルタ25上に配置される囲枠付きファン23と、該囲枠付きファン23上に同じく囲枠付きエアフィルタ24の一つとして配置される第1のバックアップフィルタ26と、該バックアップフィルタ26上である最上位にこれも囲枠付きエアフィルタ24の一つとして配置される第2のバックアップフィルタ27とが積み上げられた4層構造のもとで形成されている。
【0030】
この場合、囲枠体ユニット22を構成している囲枠付きファン23と囲枠付きエアフィルタ24とは、それぞれが備えている囲枠部23a,24a(25a,26a)が相手部位に対し対面合致するように垂直方向に積み重ねて配置されることになる。
【0031】
すなわち、囲枠付きエアフィルタ24におけるメインフィルタ25は、その囲枠部25aと天板部14の通気口15の周縁部との間にパッキン29を介在させることで気密性を保持させて対面配置されることになる。このような気密性の保持は、メインフィルタ25の囲枠部25aと囲枠付きファン23の囲枠部23aとの間、囲枠付きファン23の囲枠部23aと第1のバックアップフィルタ26の囲枠部26aとの間、該第1のバックアップフィルタ26の囲枠部26aと第2のバックアップフィルタ27の囲枠部27aとの間のそれぞれにも、図示しないパッキンを介して対面配置することで付与できるようになっている。
【0032】
また、囲枠付きエアフィルタ24を構成しているメインフィルタ25と第1のバックアップフィルタ26と第2のバックアップフィルタ26とについては、ある実験を行うことにより発生するであろう特定の有害微細物質を予め想定しておき、該有害微細物質との関係で最も好ましいタイプのものが適宜選択使用されることになる。この場合に使用されるフィルタとしては、HEPAフィルタのほか、活性炭フィルタや化学的吸着性フィルタなど、その時々に発生する有害微細物質との関係で定まる適宜の吸着特性を備えるタイプのフィルタを選択することができる。
【0033】
この場合、メインフィルタ25と第1のバックアップフィルタ26と第2のバックアップフィルタ27とは、ある実験を行うことにより発生するであろう特定の有害微細物質との関係で定まる同一の特性を有するものを、例えば
図3(a)に示すように配置して囲枠付きエアフィルタ24として用いるようにするのが好ましい。なお、場合によっては、メインフィルタ25と第1のバックアップフィルタ26と第2のバックアップフィルタ27として、それぞれが非同一の特性を有するものを組み合わせて用いることもできる。
【0034】
囲枠付きエアフィルタ24をこのようにして配置することにより、
図3(a)中にAとして示されている従来からあるメインフィルタ25(囲枠付きエアフィルタ24)に交換する必要が生じた場合には、該メインフィルタ25を取り出し、その位置に従来からある第1のバックアップフィルタ26(囲枠付きエアフィルタ24)が
図3(b)に示すようにメインフィルタBとして配置され、
図3(a)ではBとして示されているフィルタ位置には、第2のバックアップフィルタ27(囲枠付きエアフィルタ24)が第1のバックアップフィルタCとして配置され、
図3(a)ではCとして示されているフィルタ位置には、新規の囲枠付きエアフィルタ24が第2のバックアップフィルタDとして
図3(b)に示すように配置されることになる。
【0035】
また、
図3(b)中にメインフィルタBとして示されている第1のバックアップフィルタ26を交換する必要が生じた場合には、該バックアップフィルタ26を取り出し、その位置に第2のバックアップフィルタ27が
図3(c)に示すようにメインフィルタCとして配置され、
図3(b)では第2のバックアップフィルタDとして示されてたフィルタ位置には、新規の囲枠付きエアフィルタ24が第2のバックアップフィルタEとして
図3(c)に示すように配置されることになる。このような位置移動は、必要に応じて順次繰り返し行われることになる。
【0036】
囲枠付きエアフィルタ24をこのようなローテーションで順に交換していく場合には、安全性をより確実に高めることができるばかりでなく、エアフィルタを効率よく使用してその交換コストを低く抑えることができる。
【0037】
また、囲枠体ユニット22は、流路内に設置された少なくとも1以上のガスセンサなどからなる適宜のセンサ28、
図2に示す例では、囲枠付きファン23側に設置された第1のセンサ28aと、最上位に位置する第2のバックアップフィルタ27の出口側に設置された第2のセンサ28bとを備えており、これらのセンサ28a,28bを介して流入する有害微細物質の成分を検知することができるようになっている。これらのセンサ28a,28bのうち、第1のセンサ28aとしては、有機系溶剤を検知できるタイプのものなど、発生する有害微細物質の種類に対応して検知できるタイプのものが、第2のセンサ28bとしては、囲枠付きエアフィルタ24側を通過しても吸着されなかった成分の有害微細物質を検知することができるタイプのものが、それぞれ選択使用されることになる。
【0038】
また、囲枠付きファン23は、センサ28により検知された成分が無害な非有害微細物質と判定されればその駆動電源のON状態が継続され、検知された成分が有害微細物質であると判定されれば駆動電源がOFFとされ、このようなON/OFF制御により取り込まれた空調空気とともに有害微細物質が囲枠体ユニット22側を経て室内空気62内へと環流するのを阻止することができるようになっている。
【0039】
図4は、この場合における囲枠付きファン23の駆動電源のON/OFF制御の処理手順例を示すフローチャート図であり、囲枠付きファン23のスイッチをON操作した上で、処理室13内で所定の実験が行われ、その際に有害微細物質が発生する。処理室13内で発生した有害微細物質は、取り込まれた空調空気とともに囲枠付きファン23に吸引されて天板部14の通気口15を経て囲枠体ユニット22内へと流入する。
【0040】
該囲枠体ユニット22内には、センサ28が設置されているので、流入した有害微細物質を検知することができる。通常は、流入した有害微細物質が囲枠付きエアフィルタ24を経ることで吸着除去して無害化することができるので、囲枠付きファン23もその駆動状態を持続して取り込まれた空調空気を室内空間62側に還流させながら実験も継続されることになる。
【0041】
しかし、何らかの都合でセンサ28により有害微細物質の存在が検知された際には、ヒュームフード11に設置されている表示ユニット71が備えるアラームが鳴ると同時に警告も表示され、囲枠付きファン23も駆動電源がOFFとなって運転を停止し、実験も中止される。
【0042】
そして、囲枠付きファン23の駆動電源をOFFとした状態のもとで、囲枠体ユニット用着脱機構32を操作して囲枠体ユニット22側の位置固定状態を解除し、囲枠付きエアフィルタ24を最適なものに交換した上で、実験が再開されることになる。つまり、実験室61の室内空間62には、いったんは処理室13内に取り込まれた空調空気も無害化された状態のもとで還流させることができることになる。
【0043】
一方、上記した囲枠体ユニット用着脱機構32の全体は、
図1および
図2に示されているように一対の弾圧軸支ユニット33,33と、該弾弾圧軸支ユニット33側にその一端部44側が各別に軸支された2本の支腕部43と、これら支腕部43の他端部46側を一体的に連結する連結バー53と、該連結バー53側に対しその位置固定とその解除とに必要な一対のクランプ体63,63とで構成されている。
【0044】
これらのうち、各弾圧軸支ユニット33は、フード本体12の天板部14に設けられ、かつ、平面形状が略方形を呈して覆設される囲枠体ユニット22側と略対面合致する面形状を呈する通気口15の一側縁15aに沿わせた複数の近傍位置に配設されている。
【0045】
これを
図5(a),(b)に基づいて詳しく説明すれば、弾圧軸支ユニット33のそれぞれは、天板部14上の囲枠体ユニット22の高さとの関係で定まる適宜の座高が付与されて位置固定される支台34を介して直立配置される支杆体35と、該支杆体35に遊挿配置される介在昇降片36と、該介在昇降片36と支杆体35の頂端部35aとの間に抜脱困難に介在配置される圧縮用コイルスプリング37とを備えて構成されている。
【0046】
この場合、その頂端部35aに雄ねじ部(図示せず)が刻入されている支杆体35には、介在昇降片36と圧縮用コイルスプリング37とを送り込み、該圧縮用コイルスプリング37を上から抑える座金38を配置した上で、例えばロックナットとして用いられる2個のナット39を頂端部35aに刻入された雄ねじ部に螺合することで圧縮用コイルスプリング37が抜脱困難に介在配置されることになる。
【0047】
しかも、圧縮用コイルスプリング37の圧縮の程度は、頂端部35aに刻入された図示しない雄ねじ部に対する2個のナット39の螺合位置を変えることによりその強弱を調整することができるようになっている。
【0048】
一方、支腕部43は、各弾圧軸支ユニット33側にそれぞれの一端部44側が上下方向への弾圧を伴った揺動を可能に軸支され、かつ、通気口15の一側縁15aとの対向する位置にある他側縁15bを越える長さが付与された2本構成となって配設されている。
【0049】
この場合、各支腕部43の一端部44は、介在昇降片36を両側から抱持する通孔(図示せず)付きの一側連結片45aと他側連結片45bとを備えた平面視略コ字形を呈する連結部45として形成されており、一側連結片45aの側は介在昇降片36に設けられた通孔36aを介して送り込まれる軸支杆40を介在昇降片36の内側に配置される止着材41で止着し、他側連結片45bの側も介在昇降片36に対し同様に配置される軸支杆40を止着材41で止着することにより、介在昇降片36に対し回動自在に連結されている。
【0050】
また、各支腕部43の他端部46は、連結バー48により一体的に連結されている。しかも、連結バー48は、その長さ方向での両端部に通気口15の開口面方向を受け面49aとする側面視略L字形を呈する受け片部49を備えて形成されている。
【0051】
しかも、支台34の上面34aにあって支杆体35の位置よりも内側に位置する部位には、支腕部43の一端部44側に対し支点として作用させるための支持ピン42が直立配置されており、各支腕部43は、通気口15に覆設された囲枠体ユニット22側からのガスリークを阻止し得るように、圧縮用コイルスプリング37の付勢力に抗してやや押し込む位置にて水平方向に支持ピン42を介して位置させることができるようになっている。なお、支持ピン42の突出長は、支腕部43が水平となって囲枠体ユニット22における第2のバックアップフィルタ27の囲枠部27aに均等に圧接できるように、該囲枠部27aの座高との関係で定まる適宜の長さとなっている。
【0052】
クランプ体53は、弾圧軸支ユニット33近傍に付設された支持ピン42を支点として通気口15に覆設された囲枠体ユニット22側からのガスリークを阻止し得るようにやや押し込むようにして受け片部49のそれぞれの受け面49aの押圧付勢とその解除とを可能にして通気口15の他側縁15b寄りの天板部14上に各別に配設されている。
【0053】
すなわち、各クランプ体53は、天板部14上に囲枠体ユニット22側の高さとの関係で定まる長さが付与され立設された支台57の上面57a側に本体部54が固定配置されている。そして、該本体部54には、開閉操作用のレバー部55が配設されており、該レバー部55を閉操作した際に受け片部49の受け面49aを押し下げてその位置を維持する押圧アーム部56を備えているものを好適に用いることができる。
【0054】
特にリンクと梃子の原理を利用して構成された「トグルクランプ」とも称されているものを用いる場合には、開閉操作のためのストロークを大きく確保することができるほか、小さな力で大きなクランプ力が得られ、かつ、フード本体12側から反力を受けてもロックが自動解除されることはないので、より安定した状態のもとで好適に用いることができる。
【0055】
次に、上記構成からなる本発明の作用・効果を
図6を参酌して説明すれば、天板部14の通気口15の周縁部上には、パッキン29を介在させた囲枠部25aを介して覆設されたメインフィルタ25(囲枠付きエアフィルタ24)と、囲枠部25a,23a相互が気密状態となってメインフィルタ25上に積み重ねられた囲枠付きファン24と、囲枠部23a,26a相互が気密状態となって囲枠付きファン24上に積み重ねられた第1のバックアップフィルタ26(囲枠付きエアフィルタ24)と、囲枠部26a,27a相互が気密状態となって第1のバックアップフィルタ26上に積み重ねられた第2のバックアップフィルタ27(囲枠付きエアフィルタ24)とで構成される囲枠体ユニット22が配置され、
図6(a)に示されているように、支腕部43の他端部47側を連結している連結バー48が備える受け片部49の受け面49aがクランプ体53が生成する押圧力を受けて支点である支持ピン42の突出長で定まる高さの水平方向にまで強制的に押し下げられる結果、支腕部43も略水平状態となった状態で位置固定されることになる。
【0056】
この場合、クランプ体53が開閉操作用のレバー部55と、該レバー部55を閉操作した際に受け片部49の受け面49aを押し下げてその位置を維持する押圧アーム部56とを備えるものである場合には、連結バー48側を手指で把持して押し上げながら押圧アーム部56を受け面49aに接触させた上でレバー部55を閉操作することにより、支腕部43を水平状態にして簡単に位置固定することができる。
【0057】
しかも、このとき、支腕部43の一端部44側は、支持ピン42が支点となって梃子のように作用して介在昇降片36と圧縮コイルスプリング37とがその付勢力に抗して押し上げられるので、支腕部43の一端部44側に対し縮退した圧縮コイルスプリング37による押し下げ方向での押圧力を作用させることができる結果、囲枠体ユニット22側の各囲枠部23a,24a,25a,26a,27aにおける通気口15の周縁部との対面部位の全体が強く押し付けられることになる。
【0058】
このため、囲枠体ユニット22の全体は、通気口15の周縁部に対するだけでなく、各囲枠部25a,23a,26a,27a部分をも均等に圧接させて密着配置することができることから、通気口15の周縁部や相互の囲枠状当接部位を封止してガスリークを発生させないようにして天板部14上に配置することができることになる。
【0059】
また、通気口153の周縁部に配置されている囲枠体ユニット22側を交換等の必要から取り外す際には、
図6(b)に示されているように、連結バー48の受け片部49に対して作用させているクランプ体53による押圧力を解除することにより、支持腕部43の一端部44側に常時作用している圧縮コイルスプリング37による押し下げ方向での押圧力により、支持ピン42を支点として支腕部43の一端部44を押し下げて他端部46側を跳ね上げるように揺動させることができる。
【0060】
この場合、クランプ体53が開閉操作用のレバー部55と、該レバー部55を閉操作した際に受け片部49の受け面49aを押し下げてその位置を維持する押圧アーム部56とを備えるものである場合には、単にレバー部55を開操作して押圧アーム部56を受け面49aから待避させることにより、簡単に支持腕部43を囲枠体ユニット22側から解放することができる。
【0061】
その結果、囲枠体ユニット22は、それぞれの囲枠部25a,23a,26a,27a部分が通気口14の周縁部側に強く押し付けられることがなくなり、
図6(b)に示す矢印方向へとメインフィルタ25(囲枠付きエアフィルタ24)、囲枠付きファン23、第1のバックアップフィルタ26(囲枠付きエアフィルタ24)、第2のバックアップフィルタ27(囲枠付きエアフィルタ24)の別に容易に引き出すことができるので、交換等に必要な作業を円滑に遂行することができる。つまり、
図3(a)〜(c)に示すようなローテーションでのエアフィルタの交換作業を迅速に、かつ、簡便に行うことができることになる。なお、交換等をした後の囲枠体ユニット22の全体は、上述した取り出し作業とは逆の手順を踏むことで、
図6(a)に示す状態へと極く容易に再配置することができる。
【0062】
このため、本発明によれば、フード本体12の処理室13内で発生させた有害微細物質を実験室61側から取り込まれた空調空気とともにフード本体12の天板部14上に設置した囲枠体ユニット用着脱機構32を介して位置固定されている囲枠体ユニット22を通過させた際に吸着して無害化した空調空気として再度、実験室61の室内空間62側へと還流させて無駄なく利用することで、空調コストの低減に有効に寄与させることができる。
【0063】
また、囲枠体ユニット22を構成する囲枠付きファン23と1以上の囲枠付きエアフィルタ24とは、囲枠体ユニット用着脱機構32を介することでガスリークをなくして簡単に位置固定することができるほか、処理室13内で行われる実験中に発生する有害微細物質の種類等に応じたろ材材質を備える囲枠付きエアフィルタ24への交換も円滑に行うことができる。
【0064】
さらに、囲枠体ユニット用着脱機構32
は、弾圧軸支ユニット33と複数本の支腕部43と連結バー48と一対のクランプ体53,53とを備えて形成されている
ので、囲枠体ユニット22を天板部14の通気口15側に対面合致させて配置した上で、クランプ体53が生成する押圧力を連結バー48が備える受け片部49の受け面49aに作用させることで、支腕部43を支点である支持ピン42を介して水平方向に位置固定した状態のもとでそれぞれの囲枠部25a,23a,26a,27a側を通気口15の周縁部側に密に、かつ、均等に押し付けることができるので、ガスリークを発生させないようにして囲枠体ユニット22をフード本体12側に簡単に配置することができる。
【0065】
また、フード本体12側から囲枠体ユニット22を取り外す際には、クランプ体53が生成する押圧力を単に解除することにより、支腕部43を支点である支持ピン42を介して跳ね上げ方向に揺動させて囲枠体ユニット22側に作用させていた押圧力をなくすことで、囲枠体ユニット22側を容易に引き出して交換することができる。
【0066】
また、弾圧軸支ユニット33が支杆体35と介在昇降片36と圧縮用コイルスプリング37とで構成されている場合には、該圧縮用コイルスプリング37の弾圧により支腕部43の一端部44側にも押し付け力を確実に作用させることができる。
【0067】
また、クランプ体53が開閉操作用のレバー部55と受け片部49の受け面49aを押し下げてその位置を維持する押圧アーム部56とを備えている場合には、単にレバー部55を介して開閉操作することで、囲枠体ユニット22側を簡単に着脱することができるほか、その取り付け時の状態を安定的に維持させることもできる。
【0068】
また、囲枠体ユニット22が通気口15の周縁部と対面する部位にパッキン29を介して配置されるメインフィルタ25と、最上位に配置される例えば第2のバックアップフィルタ27とを有する少なくとも2層以上のフィルタ層で構成される囲枠付きエアフィルタ24と、該囲枠付きエアフィルタ24におけるフィルタ層間に配置される囲枠付きファン23とで構成されている場合には、その取り付け時にパッキン29を介して通気口15をより確実に封止することができるばかりでなく、処理室13内で発生した有害微細物質は、囲枠付きファン23を介して囲枠付きエアフィルタ24内を強制的に通過させながら吸着して無害化した上で、取り込まれた空調空気とともに室内空間62へと還流させることができる。
【0069】
また、囲枠体ユニット22が流路内に設置された少なくとも1以上のセンサ28による流入した有害微細物質の検知を可能にして配置されている場合には、該センサ28をにより流入した有害微細物質ガスの無害化の程度に応じて囲枠付きファン23の駆動電源をON/OFF制御することができるので、実験作業中の安全性をより高めてやることができる。
【0070】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な内容は、これに限定されるものではない。例えば、ヒュームフード11におけるフード本体12は、少なくとも前面側を除くその余の周面側が塞がれてさえいればその具体的な構造を問わない。また、フード本体12の前面側に位置する開口部19は、図示例のように昇降するサッシ窓20によりその開度を調整できるようにしたり、左右方向に移動できる引き違い窓を設置したり、上縁部をフード本体12側に軸支させることで、手前側に引いた際に開けることができる開閉窓を設置したりすることができるほか、塞ぐための窓を備えない常にオープンな状態としておくこともできる。
【0071】
さらに、囲枠体ユニット22を構成している囲枠付きエアフィルタ24は、図示例のような3層となったフィルタ層のほか、メインフィルタ25と第1のバックアップフィルタ26もしくは第2のバックアップフィルタ27との2層となったフィルタ層とすることもできる。また、弾圧軸支ユニット33と支腕部43とは、図示例では2カ所に配置されているが、囲枠体ユニット22の面サイズとの関係で必要であれば、3カ所以上に設けるものであってもよい。さらに、クランプ体53は、図示例以外にも、受け片部49の受け面49aに押し下げ力を作用させてその状態を維持し得る構造を備えている適宜のものを用いることができる。