(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0032】
図1は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸(図示せず)と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面(タイヤ赤道線)CLに向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。タイヤ幅は、タイヤ幅方向の外側に位置する部分同士のタイヤ幅方向における幅、つまり、タイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから最も離れている部分間の距離である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面CL上にあって空気入りタイヤ1のタイヤ周方向に沿う線をいう。本実施の形態では、タイヤ赤道線にタイヤ赤道面と同じ符号「CL」を付す。
【0033】
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、
図1に示すようにトレッド部2と、その両側のショルダー部3と、各ショルダー部3から順次連続するサイドウォール部4およびビード部5とを有している。また、この空気入りタイヤ1は、カーカス層6と、ベルト層7と、ベルト補強層8とを備えている。
【0034】
トレッド部2は、ゴム材(トレッドゴム)からなり、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向の最も外側で露出し、その表面が空気入りタイヤ1の輪郭となる。トレッド部2の外周表面、つまり、走行時に路面と接触する踏面には、トレッド面21が形成されている。トレッド面21は、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なストレート主溝である複数(本実施の形態では4本)の主溝22が設けられている。そして、トレッド面21は、これら複数の主溝22により、タイヤ周方向に沿って延び、タイヤ赤道線CLと平行なリブ状の陸部23が複数形成されている。また、図には明示しないが、トレッド面21は、各陸部23において、主溝22に交差するラグ溝が設けられている。陸部23は、ラグ溝によってタイヤ周方向で複数に分割されている。また、ラグ溝は、トレッド部2のタイヤ幅方向最外側でタイヤ幅方向外側に開口して形成されている。なお、ラグ溝は、主溝22に連通している形態、または主溝22に連通していない形態の何れであってもよい。
【0035】
ショルダー部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向両外側の部位である。また、サイドウォール部4は、空気入りタイヤ1におけるタイヤ幅方向の最も外側に露出したものである。また、ビード部5は、ビードコア51とビードフィラー52とを有する。ビードコア51は、スチールワイヤであるビードワイヤをリング状に巻くことにより形成されている。ビードフィラー52は、カーカス層6のタイヤ幅方向端部がビードコア51の位置で折り返されることにより形成された空間に配置されるゴム材である。
【0036】
カーカス層6は、各タイヤ幅方向端部が、一対のビードコア51でタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返され、かつタイヤ周方向にトロイド状に掛け回されてタイヤの骨格を構成するものである。このカーカス層6は、タイヤ周方向に対する角度がタイヤ子午線方向に沿いつつタイヤ周方向にある角度を持って複数並設されたカーカスコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。カーカスコードは、有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。このカーカス層6は、少なくとも1層で設けられている。
【0037】
ベルト層7は、少なくとも2層のベルト71,72を積層した多層構造をなし、トレッド部2においてカーカス層6の外周であるタイヤ径方向外側に配置され、カーカス層6をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト71,72は、タイヤ周方向に対して所定の角度(例えば、20度〜30度)で複数並設されたコード(図示せず)が、コートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。また、重なり合うベルト71,72は、互いのコードが交差するように配置されている。
【0038】
ベルト補強層8は、ベルト層7の外周であるタイヤ径方向外側に配置されてベルト層7をタイヤ周方向に覆うものである。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に略平行(±5度)でタイヤ幅方向に複数並設されたコード(図示せず)がコートゴムで被覆されたものである。コードは、スチールまたは有機繊維(ポリエステルやレーヨンやナイロンなど)からなる。
図1で示すベルト補強層8は、ベルト層7のタイヤ幅方向端部を覆うように配置されている。ベルト補強層8の構成は、上記に限らず、図には明示しないが、ベルト層7全体を覆うように配置された構成、または、例えば2層の補強層を有し、タイヤ径方向内側の補強層がベルト層7よりもタイヤ幅方向で大きく形成されてベルト層7全体を覆うように配置され、タイヤ径方向外側の補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成、あるいは、例えば2層の補強層を有し、各補強層がベルト層7のタイヤ幅方向端部のみを覆うように配置されている構成であってもよい。すなわち、ベルト補強層8は、ベルト層7の少なくともタイヤ幅方向端部に重なるものである。また、ベルト補強層8は、帯状(例えば幅10[mm])のストリップ材をタイヤ周方向に巻き付けて設けられている。
【0039】
[実施の形態1]
図2は、本実施の形態に係る空気入りタイヤをタイヤ幅方向から視た外観図であり、
図3〜
図9は、凸部の短手方向の断面図である。
図10〜
図15は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの他の例を示す。
【0040】
図1に示すように構成された空気入りタイヤ1は、
図2に示すように、タイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。
【0041】
ここで、タイヤサイド部Sとは、
図1において、トレッド部2の接地端Tからタイヤ幅方向外側であってリムチェックラインLからタイヤ径方向外側の範囲で一様に連続する面をいう。また、接地端Tとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、かつ正規内圧を充填するとともに正規荷重の70%をかけたとき、この空気入りタイヤ1のトレッド部2のトレッド面21が路面と接地する領域において、タイヤ幅方向の両最外端をいい、タイヤ周方向に連続する。また、リムチェックラインLとは、タイヤのリム組みが正常に行われているか否かを確認するためのラインであり、一般には、ビード部5の表側面において、リムフランジよりもタイヤ径方向外側であってリムフランジ近傍となる部分に沿ってタイヤ周方向に連続する環状の凸線として示されている。
【0042】
なお、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいは、ETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
【0043】
凸部9は、
図2に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在して形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置されている。
【0044】
また、凸部9は、その短手方向の断面形状が、例えば、
図3〜
図9に示すように形成されている。
図3に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形とされている。
図4に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状とされている。
図5に示す凸部9は、短手方向の断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、四角形状の頂部が三角形であったり、四角形状の頂部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。
図6に示す凸部9は、短手方向の断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。
図7に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形の角を曲線とされている。
図8に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、
図7〜
図9に示すように、タイヤサイド部Sから突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。なお、本実施の形態において、凸部9は、長手方向で長さNおよび断面形状(タイヤサイド部Sからの突出高さHや短手方向の幅W)が一様に形成されている。
【0045】
また、凸部9は、タイヤ周方向で非均一に配置されている。具体的に、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向で当該凸部9間の角度θを変化して配置されている。
【0046】
凸部9間の角度θの変化とは、
図2に示すように、例えば、タイヤ周方向において、隣接する凸部9間の角度θに対して、他の凸部9間の角度θが異なり、かつこの異なる角度θの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことである。
【0047】
また、凸部9間の角度θの変化は、
図10に示すように、例えば、タイヤ周方向において、隣接する複数の凸部9間の角度が同じ組みθAと、この組みθAとは隣接する複数の凸部9間の角度θが異なっている同じ角度の組みθBとの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことであってもよい。
【0048】
また、凸部9間の角度θは、
図2および
図11に示すように、凸部9がタイヤ径方向に沿って直線状に延在して配置されている場合は、凸部9の延在方向そのものが角度θをあらわす。これに対し、
図11に示すように、凸部9がタイヤ径方向に対して傾斜して配置されている場合、
図12に示すように、凸部9が屈曲して配置されている場合、
図13に示すように、凸部9が湾曲して配置されている場合、
図14に示すように凸部9が蛇行して配置されている場合、または図には明示しないが、凸部9がジグザグに配置されている場合は、凸部9のタイヤ径方向の両端部を結ぶ基準線Kの中央K0の位置を角度θの基準とする。
【0049】
また、凸部9は、タイヤ径方向で分割して形成されていてもよい。この場合、
図15に示すように、例えば、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で凸部9間の角度θを均一として配置され、分割されたタイヤ径方向外側の凸部9Bがタイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置される。また、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置され、分割されたタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で凸部9間の角度θを均一として配置されていてもよい。さらに、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aおよびタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置されていてもよい。なお、分割される形態の凸部9は、
図15に示す以外に、タイヤ径方向で3つに分割されていてもよい。また、分割される形態の凸部9は、タイヤ周方向でオーバーラップして形成されていてもよい。
【0050】
このように、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも一方のタイヤサイド部Sに、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在する凸部9がタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置された空気入りタイヤ1において、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されている。
【0051】
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部Sに設けた凸部9によって、タイヤサイド部Sでの空気の流通促進効果および整流効果を得ることで、当該空気入りタイヤ1が装着される車両の空気抵抗の低減効果を維持し、車両の燃費を向上することが可能になる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されていることにより、凸部9に空気が衝突または乗り越えることにより生じ得るノイズを広い周波数に分散させ、車内騒音を低減することが可能になる。
【0052】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置される。
【0053】
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一、すなわち凸部9のタイヤ周方向のピッチが非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。なお、凸部9をタイヤ径方向で分割し、タイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置してもよく、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。
【0054】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9間の角度θの変化は、相互の角度比が0.95以下または1.05以上の範囲であることが好ましい。
【0055】
この空気入りタイヤ1によれば、上記範囲で凸部9間の角度θを変化させることで、車内騒音を低減する効果を顕著に得ることが可能になる。
【0056】
[実施の形態2]
図16および
図17は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの他の例をタイヤ幅方向から視た外観図である。
【0057】
図1に示すように構成された空気入りタイヤ1は、
図16に示すように、タイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。
【0058】
凸部9は、
図16に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在して形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置されている。
【0059】
また、凸部9は、その短手方向の断面形状が、例えば、
図3〜
図9に示すように形成されている。
図3に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形とされている。
図4に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状とされている。
図5に示す凸部9は、短手方向の断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、四角形状の頂部が三角形であったり、四角形状の頂部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。
図6に示す凸部9は、短手方向の断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。
図7に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形の角を曲線とされている。
図8に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、
図7〜
図9に示すように、タイヤサイド部Sから突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。なお、本実施の形態において、凸部9は、長手方向で断面形状(タイヤサイド部Sからの突出高さHや短手方向の幅W)が一様に形成され、かつタイヤ周方向で等間隔(タイヤ周方向で凸部9間の角度θが均一)に配置されている。
【0060】
また、凸部9は、タイヤ周方向で非均一に配置されている。具体的に、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置されている。
【0061】
凸部9の長さNの変化とは、
図16に示すように、例えば、タイヤ周方向において、隣接する凸部9の長手方向の長さNに対して、他の凸部9の長手方向の長さNが異なり、かつこの異なる長さNの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことである。
【0062】
また、凸部9の長さNの変化は、図には明示しないが、例えば、タイヤ周方向において、隣接する複数の凸部9の長さNが同じ組みと、この組みとは凸部9の長さNが異なっている同じ長さNの組みとの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことであってもよい。
【0063】
また、凸部9の長さNは、
図16に示すように、凸部9がタイヤ径方向に沿って直線状に延在して配置されている場合は、凸部9の延在方向が長さNをあらわす。これに対し、
図11に示すように、凸部9がタイヤ径方向に対して傾斜して配置されている場合、
図12に示すように、凸部9が屈曲して配置されている場合、
図13に示すように、凸部9が湾曲して配置されている場合、
図14に示すように凸部9が蛇行して配置されている場合、または図には明示しないが、凸部9がジグザグに配置されている場合は、凸部9をタイヤ周方向に投影した両端部間の距離を凸部9の長さNとする。
【0064】
また、凸部9は、タイヤ径方向で分割して形成されていてもよい。この場合、
図17に示すように、例えば、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で長手方向の長さNを均一として配置され、分割されたタイヤ径方向外側の凸部9Bがタイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置される。また、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置され、分割されたタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で長手方向の長さNを均一として配置されていてもよい。さらに、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aおよびタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置されていてもよい。なお、分割される形態の凸部9は、
図17に示す以外に、タイヤ径方向で3つに分割されていてもよい。また、分割される形態の凸部9は、タイヤ周方向でオーバーラップして形成されていてもよい。
【0065】
このように、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも一方のタイヤサイド部Sに、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在する凸部9がタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置された空気入りタイヤ1において、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されている。
【0066】
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部Sに設けた凸部9によって、タイヤサイド部Sでの空気の流通促進効果および整流効果を得ることで、当該空気入りタイヤ1が装着される車両の空気抵抗の低減効果を維持し、車両の燃費を向上することが可能になる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されていることにより、凸部9に空気が衝突または乗り越えることにより生じ得るノイズを広い周波数に分散させ、車内騒音を低減することが可能になる。
【0067】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置される。
【0068】
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。なお、凸部9をタイヤ径方向で分割し、タイヤ周方向で長手方向の長さを変化して配置してもよく、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。
【0069】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9の長さNの変動範囲が、タイヤサイド部Sのタイヤ径方向寸法h(
図1参照)に対して10[%]以上90[%]以下の範囲である。
【0070】
この空気入りタイヤ1によれば、上記範囲で凸部9の長手方向の長さNを変化させることで、車内騒音を低減する効果を顕著に得ることが可能になる。
【0071】
[実施の形態3]
図18および
図19は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの他の例をタイヤ幅方向から視た外観図である。
【0072】
図1に示すように構成された空気入りタイヤ1は、
図18に示すように、タイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。
【0073】
凸部9は、
図18に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在して形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置されている。
【0074】
また、凸部9は、その短手方向の断面形状が、例えば、
図3〜
図9に示すように形成されている。
図3に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形とされている。
図4に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状とされている。
図5に示す凸部9は、短手方向の断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、四角形状の頂部が三角形であったり、四角形状の頂部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。
図6に示す凸部9は、短手方向の断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。
図7に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形の角を曲線とされている。
図8に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、
図7〜
図9に示すように、タイヤサイド部Sから突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。なお、本実施の形態において、凸部9は、長手方向で長さNおよび短手方向の幅Wが一様に形成され、かつタイヤ周方向で等間隔(タイヤ周方向で凸部9間の角度θが均一)に配置されている。
【0075】
また、凸部9は、タイヤ周方向で非均一に配置されている。具体的に、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤサイド部Sから突出する高さH(
図3〜
図9参照)を変化して配置されている。
【0076】
凸部9の高さHの変化とは、例えば、タイヤ周方向において、隣接する凸部9の高さHがそれぞれ異なり、かつ高さHの異なる凸部9の配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことである。
【0077】
また、凸部9の高さHの変化は、例えば、タイヤ周方向において、隣接する複数の凸部9の高さHが同じ組みと、この組みとは凸部9の高さHが異なっている同じ高さHの組みとの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことであってもよい。
【0078】
また、凸部9は、タイヤ径方向で分割して形成されていてもよい。この場合、
図19に示すように、例えば、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で高さHを均一として配置され、分割されたタイヤ径方向外側の凸部9Bがタイヤ周方向で高さHを変化して配置される。また、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で高さHを変化して配置され、分割されたタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で高さHを均一として配置されていてもよい。さらに、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aおよびタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で高さHを変化して配置されていてもよい。なお、分割される形態の凸部9は、
図19に示す以外に、タイヤ径方向で3つに分割されていてもよい。また、分割される形態の凸部9は、タイヤ周方向でオーバーラップして形成されていてもよい。
【0079】
このように、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも一方のタイヤサイド部Sに、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在する凸部9がタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置された空気入りタイヤ1において、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されている。
【0080】
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部Sに設けた凸部9によって、タイヤサイド部Sでの空気の流通促進効果および整流効果を得ることで、当該空気入りタイヤ1が装着される車両の空気抵抗の低減効果を維持し、車両の燃費を向上することが可能になる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されていることにより、凸部9に空気が衝突または乗り越えることにより生じ得るノイズを広い周波数に分散させ、車内騒音を低減することが可能になる。
【0081】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向でタイヤサイド部Sから突出する高さHを変化して配置される。
【0082】
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。なお、凸部9をタイヤ径方向で分割し、タイヤ周方向で高さHを変化して配置してもよく、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。
【0083】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、高さHが変化して配置される凸部9は、その高さHの変動範囲が、1[mm]以上10[mm]以下である。
【0084】
この空気入りタイヤ1によれば、上記範囲で凸部9の高さHを変化させることで、車内騒音を低減する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、凸部9は、タイヤサイド部Sから突出する高さHが1[mm]以上10[mm]以下の範囲であることが、空気の流通促進効果および整流効果をより顕著に得るうえで好ましい。
【0085】
[実施の形態4]
図20および
図21は、本実施の形態に係る空気入りタイヤの他の例をタイヤ幅方向から視た外観図である。
【0086】
図1に示すように構成された空気入りタイヤ1は、
図20に示すように、タイヤサイド部Sにおいて、当該タイヤサイド部Sの面よりタイヤの外側に突出する凸部9が多数設けられている。
【0087】
凸部9は、
図20に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在して形成されたゴム材(タイヤサイド部Sを構成するゴム材であっても、当該ゴム材とは異なるゴム材であってもよい)からなる突条として形成され、かつタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置されている。
【0088】
また、凸部9は、その短手方向の断面形状が、例えば、
図3〜
図9に示すように形成されている。
図3に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形とされている。
図4に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形状とされている。
図5に示す凸部9は、短手方向の断面形状が台形状とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、四角形状の頂部が三角形であったり、四角形状の頂部がジグザグ状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、曲線を基にした外形であってもよい。
図6に示す凸部9は、短手方向の断面形状が半円形とされている。その他、図には明示しないが、凸部9の短手方向の断面形状は、例えば、半楕円形状であったり、半長円形状であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、直線および曲線を組み合わせた外形であってもよい。
図7に示す凸部9は、短手方向の断面形状が四角形の角を曲線とされている。
図8に示す凸部9は、短手方向の断面形状が三角形の角を曲線とされている。その他、図には明示しないが、四角形状の頂部が波形であったりする様々な形状であってもよい。また、凸部9の短手方向の断面形状は、
図7〜
図9に示すように、タイヤサイド部Sから突出する根元部分を曲線とした形状とされていてもよい。なお、本実施の形態において、凸部9は、長手方向で長さNおよび突出高さHが一様に形成され、かつタイヤ周方向で等間隔(タイヤ周方向で凸部9間の角度θが均一)に配置されている。
【0089】
また、凸部9は、タイヤ周方向で非均一に配置されている。具体的に、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、短手方向の幅W(
図3〜
図9参照)を変化して配置されている。
【0090】
凸部9の幅Wの変化とは、例えば、タイヤ周方向において、隣接する凸部9の幅Wがそれぞれ異なり、かつ幅Wの異なる凸部9の配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことである。
【0091】
また、凸部9の幅Wの変化は、例えば、タイヤ周方向において、隣接する複数の凸部9の幅Wが同じ組みと、この組みとは凸部9の幅Wが異なっている同じ幅Wの組みとの配置がタイヤ周方向で非均一であって一定とならないことであってもよい。
【0092】
また、凸部9は、タイヤ径方向で分割して形成されていてもよい。この場合、
図21に示すように、例えば、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で幅Wを均一として配置され、分割されたタイヤ径方向外側の凸部9Bがタイヤ周方向で幅Wを変化して配置される。また、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aがタイヤ周方向で幅Wを変化して配置され、分割されたタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で幅Wを均一として配置されていてもよい。さらに、図には明示しないが、分割されたタイヤ径方向内側の各凸部9Aおよびタイヤ径方向外側の各凸部9Bがタイヤ周方向で幅Wを変化して配置されていてもよい。なお、分割される形態の凸部9は、
図21に示す以外に、タイヤ径方向で3つに分割されていてもよい。また、分割される形態の凸部9は、タイヤ周方向でオーバーラップして形成されていてもよい。
【0093】
このように、本実施の形態の空気入りタイヤ1は、少なくとも一方のタイヤサイド部Sに、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在する凸部9がタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置された空気入りタイヤ1において、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されている。
【0094】
この空気入りタイヤ1によれば、タイヤサイド部Sに設けた凸部9によって、タイヤサイド部Sでの空気の流通促進効果および整流効果を得ることで、当該空気入りタイヤ1が装着される車両の空気抵抗の低減効果を維持し、車両の燃費を向上することが可能になる。しかも、この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されていることにより、凸部9に空気が衝突または乗り越えることにより生じ得るノイズを広い周波数に分散させ、車内騒音を低減することが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、タイヤ周方向で短手方向の幅Wを変化して配置される。
【0096】
この空気入りタイヤ1によれば、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。なお、凸部9をタイヤ径方向で分割し、タイヤ周方向で幅Wを変化して配置してもよく、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置される形態を実現することができ、車両の空気抵抗の低減効果を維持するとともに、車内騒音を低減する効果を得ることが可能になる。
【0097】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、幅Wが変化して配置される凸部9は、その幅Wの変動範囲が、0.5[mm]以上5[mm]以下である。
【0098】
この空気入りタイヤ1によれば、上記範囲で凸部9の幅Wを変化させることで、車内騒音を低減する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、凸部9は、幅Wが0.5[mm]以上5[mm]以下の範囲であることが、空気の流通促進効果および整流効果をより顕著に得るうえで好ましい。
【0099】
[実施の形態5]
本実施の形態の空気入りタイヤ1では、凸部9は、一方のタイヤサイド部Sに配置されており、
図22の本実施の形態に係る空気入りタイヤを車両外側から視た一部外観図に示すように、他方のタイヤサイド部Sに多数の凹部10が配置されていることが好ましい。
【0100】
凹部10は、例えば、
図22に示すように、タイヤサイド部Sの範囲において、タイヤ径方向およびタイヤ周方向に所定間隔をおいて配置されている。
【0101】
凹部10は、タイヤサイド部Sの面に開口する開口形状が、円形状、楕円形状、長円形状、多角形状などに形成されている。また、凹部10は、断面形状が、半円形状、半楕円形状、半長円形状、すり鉢形状、または矩形状などに形成されている。なお、
図22において凹部10は、タイヤ径方向およびタイヤ周方向に千鳥状に配置されているが、タイヤ径方向に並んで配置されていても、またはタイヤ周方向に並んで配置されていてもよい。
【0102】
例えば、車両装着時での車両内外の向きが指定され、車両外側となるタイヤサイド部Sに上述した凸部9を備え、車両内側となるタイヤサイド部Sに上述した凹部10を備える。
【0103】
車両内側および車両外側に対する向きの指定は、図には明示しないが、例えば、サイドウォール部4に設けられた指標により示される。なお、車両内側および車両外側の指定は、車両に装着した場合に限らない。例えば、リム組みした場合に、タイヤ幅方向において、車両の内側および外側に対するリムの向きが決まっている。このため、空気入りタイヤ1は、リム組みした場合、タイヤ幅方向において、車両内側および車両外側に対する向きが指定される。
【0104】
この場合、一般的な空気入りタイヤ付近における空気の流れを示す
図23のように、凸部9や凹部10を有さない空気入りタイヤ101は、車両100の走行によって、図中矢印a方向に車両の前側から後側に向けて空気の流れが生じる。この空気の流れaは、空気入りタイヤ101の車両内側では、空気入りタイヤ101と車両100との間を通って車両外側に膨らむように抜ける。また、空気入りタイヤ101の車両外側では、空気の流れは車両外側に膨らむように通過する。これらの空気の流れが、車両抵抗となる。
【0105】
これに対し、本実施の形態に係る空気入りタイヤ付近における空気の流れを示す
図24のように、車両外側に上述した凸部9を備え、車両内側に上述した凹部10を備える空気入りタイヤ1によれば、車両の前側から後側への空気の流れaは、空気入りタイヤ1の車両内側では、凹部10によって空気入りタイヤ1と車両100との間を通過する空気を乱流化させる。また、空気入りタイヤ1の車両外側においても、凸部9によって車両外側を通過する空気を乱流化させる。このため、空気入りタイヤ1の周囲に乱流境界層が発生し、車両内側では、車両後方において車両外側に抜ける空気の膨らみが抑制されるとともに、車両外側では、空気入りタイヤ1の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減して、燃費のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0106】
また、本実施の形態の空気入りタイヤ1では、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、車両内側となるタイヤサイド部Sに凸部9が配置されることが好ましい。
【0107】
車両内側に上述した凸部9を備える空気入りタイヤ1では、車両100の前側から後側への空気の流れa(
図24参照)は、空気入りタイヤ1の車両内側では、凸部9によって促進されるとともに整流される。このため、空気入りタイヤ1の車両内側を通過する空気の流れの乱れが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられ、車両の空気抵抗を低減して、燃費のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0108】
なお、車両装着時での車両内外の向きが指定されており、車両内側となるタイヤサイド部Sに凸部9が配置される場合、車両外側となるタイヤサイド部Sに凹部10が配置されることがより好ましい。
【0109】
この場合、車両100の前側から後側への空気の流れa(
図24参照)は、空気入りタイヤ1の車両内側では、凸部9によって促進されるとともに整流される。このため、空気入りタイヤ1の車両内側を通過する空気の流れの乱れが抑制される。一方、車両100の前側から後側への空気の流れa(
図24参照)は、空気入りタイヤ1の車両外側では、凹部10によって乱流化され、空気入りタイヤ1の周囲に乱流境界層が発生し、空気入りタイヤ1からの剥離を抑制される。このため、空気入りタイヤ1の車両外側を通過する空気の膨らみが抑制される。この結果、通過する空気の広がりが抑えられるため、車両100の空気抵抗がより低減され、燃費のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0110】
なお、上述した凹部10は、開口部の差し渡し寸法が0.5[mm]以上10[mm]以下の範囲を満たし、かつ深さが0.3[mm]以上2[mm]以下の範囲を満たすことが好ましい。
【0111】
凹部10の開口部の差し渡し寸法が0.5[mm]以上で、深さが0.3[mm]以上であれば、乱流発生効果が十分に得られる。一方、凹部10の開口部の差し渡し寸法が10[mm]以下で、深さが2[mm]以下であれば、空気抵抗を増大することなく乱流発生効果が得られる。
【0112】
ところで、上述した各実施の形態において、凸部9がタイヤ周方向で非均一に配置されている形態として、凸部9がタイヤ周方向で凸部9間の角度θを変化して配置される形態、凸部9がタイヤ周方向で長手方向の長さNを変化して配置される形態、凸部9がタイヤ周方向でタイヤサイド部Sから突出する高さHを変化して配置される形態、または凸部9がタイヤ周方向で短手方向の幅Wを変化して配置される形態についてそれぞれ説明した。これらの各形態は、それぞれ個々に適用されてもよく、または少なくとも2つを組み合わせて適用されてもよい。
【実施例】
【0113】
本実施例では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、燃費改善率や騒音レベル改善率に関する性能試験が行われた(
図25〜
図28参照)。
【0114】
燃費改善率の性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して、排気量1500[cc]+モータアシスト駆動の小型前輪駆動車に装着した。そして、燃費改善率の評価方法は、上記試験車両にて、全周2[km]のテストコースで時速100[km/h]にて50周走行した場合の燃費を計測した。そして、この計測結果に基づいて、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とし燃費改善率を指数評価する。この指数評価は、数値が大きいほど燃費改善率が向上されていることを示している。
【0115】
騒音レベル改善率の性能試験では、タイヤサイズ195/65R15の空気入りタイヤを、正規リムにリム組みし、正規内圧を充填して、排気量1500[cc]+モータアシスト駆動の小型前輪駆動車に装着した。そして、騒音レベル改善率の評価方法は、上記試験車両にて、テストコースを時速100[km/h]で走行したときの500[Hz]以上2000[Hz]以下の周波数帯の車内騒音を計測し合算した。この計測結果に基づいて、従来例の空気入りタイヤを基準(100)とし騒音レベル改善率を指数評価する。この指数評価は、数値が大きいほど騒音レベル改善率が向上されていることを示している。
【0116】
図25〜
図28において、従来例の空気入りタイヤは、車両装着時での車両外側のタイヤサイド部に、タイヤ径方向内外に亘って長手状に延在する凸部がタイヤ周方向に間隔をおいて多数配置されている。具体的に、凸部は、タイヤサイド部の中央でタイヤ径方向に沿って延在し、タイヤ周方向の数が24個、長さ50[mm]、高さ6[mm]、幅3[mm]とされている。
【0117】
一方、
図25において、実施例1〜実施例10の空気入りタイヤは、凸部をタイヤ周方向で非均一に配置したもので、タイヤ周方向で凸部間の角度を変化して配置されている。具体的に、凸部は、タイヤサイド部の中央でタイヤ径方向に沿って延在し、長さ50[mm]、タイヤ周方向の数が24個、高さ6[mm]、幅3[mm]とされている。そして、実施例3〜実施例10の空気入りタイヤは、角度変化の角度比が規定値とされている。また、実施例7および実施例10の空気入りタイヤは、一方のタイヤサイド部に凸部が配置され他方のタイヤサイド部に凹部が配置されている。実施例8および実施例10の空気入りタイヤは、車両内側に凸部が配置されている。実施例9の空気入りタイヤは、車両両側に凸部が配置されている。
【0118】
また、
図26において、実施例11〜実施例19の空気入りタイヤは、凸部をタイヤ周方向で非均一に配置したもので、タイヤ周方向で凸部の長さを変化して配置されている。具体的に、凸部は、タイヤサイド部の中央でタイヤ径方向に沿って延在し、タイヤ周方向の数が24個、高さ6[mm]、幅3[mm]とされている。そして、実施例13〜実施例19の空気入りタイヤは、長さ変化のタイヤサイド部に対する範囲が規定値とされている。また、実施例16および実施例19の空気入りタイヤは、一方のタイヤサイド部に凸部が配置され他方のタイヤサイド部に凹部が配置されている。実施例17および実施例19の空気入りタイヤは、車両内側に凸部が配置されている。実施例18の空気入りタイヤは、車両両側に凸部が配置されている。
【0119】
また、
図27において、実施例20〜実施例28の空気入りタイヤは、凸部をタイヤ周方向で非均一に配置したもので、タイヤ周方向で凸部の高さを変化して配置されている。具体的に、凸部は、タイヤサイド部の中央でタイヤ径方向に沿って延在し、長さ50[mm]、タイヤ周方向の数が24個、幅3[mm]とされている。そして、実施例22〜実施例28の空気入りタイヤは、高さ変化の変動範囲が規定値とされている。また、実施例25および実施例28の空気入りタイヤは、一方のタイヤサイド部に凸部が配置され他方のタイヤサイド部に凹部が配置されている。実施例26および実施例28の空気入りタイヤは、車両内側に凸部が配置されている。実施例27の空気入りタイヤは、車両両側に凸部が配置されている。
【0120】
また、
図28において、実施例29〜実施例37の空気入りタイヤは、凸部をタイヤ周方向で非均一に配置したもので、タイヤ周方向で凸部の幅を変化して配置されている。具体的に、凸部は、タイヤサイド部の中央でタイヤ径方向に沿って延在し、長さ50[mm]、タイヤ周方向の数が24個、高さ6[mm]とされている。そして、実施例31〜実施例37の空気入りタイヤは、幅変化の変動範囲が規定値とされている。また、実施例34および実施例37の空気入りタイヤは、一方のタイヤサイド部に凸部が配置され他方のタイヤサイド部に凹部が配置されている。実施例35および実施例37の空気入りタイヤは、車両内側に凸部が配置されている。実施例36の空気入りタイヤは、車両両側に凸部が配置されている。
【0121】
そして、
図25〜
図28の試験結果に示すように、実施例1〜実施例37の空気入りタイヤは、空気抵抗の低減効果を維持して燃費改善率が維持されるとともに、車内騒音が改善されていることが分かる。