【実施例】
【0019】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0020】
調製例1
2,2−ノルボルナンジメタノールの調製
5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール(東京化成工業(株)より市販)138.18gをエタノール481.63gに溶解し、5%Pd−C 6.92gを加え、水素風船を付け6時間撹拌した。Pd−Cを濾別後、反応溶液を濃縮し、乾燥することにより2,2−ノルボルナンジメタノール129.83gを得た(ガスグロマトグラフィーによる純度99.1%、収率92.9%)。
【0021】
実施例1
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管及びガスパージラインを備えた容量300mlのSUS製耐圧反応容器に、ジメチルスルホキシド70.07g、調製例1で調製した2,2−ノルボルナンジメタノール8.00g(0.044mol)及び純度95.0%の水酸化カリウム1.52g(0.031mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを0.18MPaの圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を0.18MPaに保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が90℃を越えないように制御し、約2時間反応させた。この間、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力を常に0.18MPaに保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして、反応液95.90gを得た。この反応液のガスクロ分析の結果、2,2−ノルボルナンジメタノールの転化は定量的に進行し、所望の2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの選択率は99.2%であった。
【0022】
次いで、上記反応液にヘプタン197g及び蒸留水190gを加え、撹拌及び濾過した後、上層を抜き出し、活性炭処理し、減圧濃縮した。この濃縮物をさらに減圧下(0.2kPa)に蒸留し、89℃〜93℃で留出した留分7.22gを集めた。この得られた留分は、NMRによる分析の結果、下記式で示される2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタンであった(ガスグロマトグラフィーによる純度99.5%、収率79.3%)。
【0023】
【0024】
得られた2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタンのNMR分析の特性吸収値は表Iに示す通りであった。また、得られた2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの
1H−NMRチャートを
図1に、
13C−NMRチャートを
図2に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
使用例1
重合開始剤及びルイス酸としては、HCl/ZnCl
2を用いた。シュレンク管に、実施例1で得た2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの9質量%トルエン溶液4.0mL、0.18%HCl溶液0.5mL、ZnCl
2溶液0.5mLを、この順に注射器で注入して、重合を開始した。トルエン中、−30℃、モノマー濃度0.30mol/L(ガスクロマトグラフィーの内部標準としてテトラリンを含有)、HCl濃度5.0mmol/L、ZnCl
2濃度2.0mmol/Lで行った。重合は、180分で重合率100%に達し、重合系にアンモニア水を少量加えたメタノールを加えて、重合を停止させた。
【0027】
生成ポリマーは、重合を停止した溶液を分液ロートに移し塩化メチレンで希釈し、イオン交換水で3回洗浄し、次いで有機層からエバポレーターにより溶媒を除去し、減圧乾燥して回収した。
【0028】
このポリマーは、メタノールによりデカンテーションして更に精製した。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は13,200で、分子量分布(Mw/Mn)は1.45、ガラス転移温度(Tg)は165℃、熱分解温度(Td)は337℃であった。なお、測定は、示差走査熱量測定装置(RIGAKU Thermo Plus DSC8230L)を用いて測定を行った(以下同じ)。
【0029】
使用例1で得たジビニルエーテルホモポリマーを塗料用原料に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、硬度が高く、乾燥性及び耐汚染性に優れた塗膜が得られた。
また、これをフォトレジスト用原料に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、良好な強度を有するレジストが得られた。
【0030】
実施例2
攪拌器、圧力ゲージ、温度計、ガス導入管及びガスパージラインを備えた容量300mlのSUS製耐圧反応容器に、ジメチルスルホキシド70.07g、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール(東京化成工業(株)より市販)7.00g(0.038mol)及び純度95.0%の水酸化カリウム1.30g(0.027mol)を仕込み、攪拌下に約60分間窒素ガスを流し、容器内を窒素にて置換した。次いで、反応容器を密封し、容器内にアセチレンガスを0.18MPaの圧力で圧入した。次いで、ゲージ圧力を0.18MPaに保ちながら徐々に昇温し、反応容器内温が90℃を越えないように制御し、約2時間30分反応させた。この間、逐次アセチレンガスを補充して反応容器内の圧力を常に0.18MPaに保った。反応終了後、残留するアセチレンガスをパージして、反応液81.99gを得た。この反応液のガスクロ分析の結果、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノールの転化は定量的に進行し、所望の5,5−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの選択率は99.9%であった。
【0031】
次いで、上記反応液にヘプタン160g及び蒸留水160gを加え、撹拌及び濾過した後、上層を抜き出し、減圧濃縮した。この濃縮物をさらに減圧下(0.3kPa)に蒸留し、96℃〜100℃で留出した留分6.50gを集めた。この得られた留分は、NMRによる分析の結果、下記式で示される5,5−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンであった(ガスグロマトグラフィーによる純度99.0%、収率81.5%)。
【0032】
【0033】
得られた5,5−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのNMR分析の特性吸収値は表IIに示す通りであった。また、得られた5,5−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの
1H−NMRチャートを
図3に、
13C−NMRチャートを
図4に示した。
【表2】
【0034】
使用例2
重合開始剤及びルイス酸は、HCl/ZnCl
2を用いた。シュレンク管に、実施例2で得た5,5−ビス[(エテニロキシ)メチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの9質量%トルエン溶液4.0mL、0.18%HCl溶液0.5mL、ZnCl
2溶液0.5mLを、この順に注射器で注入して、重合を開始した。トルエン中、−30℃、モノマー濃度0.30mol/L(ガスクロマトグラフィーの内部標準としてテトラリンを含有)、HCl濃度5.0mmol/L、ZnCl
2濃度2.0mmol/Lで行った。重合は、60分で重合率91%に達し、重合系に、アンモニア水を少量加えたメタノールを加えて、重合を停止した。
【0035】
生成ポリマーは、重合を停止した溶液を分液ロートに移し塩化メチレンで希釈し、イオン交換水で3回洗浄し、次いで有機層からエバポレーターにより溶媒を除去し、減圧乾燥して回収した。
【0036】
このポリマーは、メタノールによりデカンテーションして更に精製した。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は12,900で、分子量分布(Mw/Mn)は1.92、ガラス転移温度(Tg)は162℃、熱分解温度(Td)は271℃であった。
【0037】
使用例2で得たジビニルエーテルホモポリマーを塗料用原料に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、硬度が高く、乾燥性及び耐汚染性に優れた塗膜が得られた。
また、これをフォトレジスト用原料)に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、良好な強度を有するレジストが得られた。