(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5868713
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】ウィンドボックスの支持構造体及びこれを備えたボイラの鉄骨構造体
(51)【国際特許分類】
F22B 37/24 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
F22B37/24 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-11074(P2012-11074)
(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2013-148317(P2013-148317A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】当瀬 紳介
(72)【発明者】
【氏名】横尾 博典
【審査官】
渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−257089(JP,A)
【文献】
実開平02−007406(JP,U)
【文献】
特許第2582522(JP,B2)
【文献】
特開2007−063941(JP,A)
【文献】
実開平06−030605(JP,U)
【文献】
米国特許第04286549(US,A)
【文献】
特開2003−164732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B37/00−37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの火炉壁面に配置されるウィンドボックスの支持構造体において、
前記ウィンドボックスを吊り下げる吊下げ部材が、ボイラの幅方向に沿って且つ前記火炉壁面に対向して複数設けられ、
前記ボイラの鉄骨構造体である鉄骨柱の間にトラス構造体が設けられ、
前記トラス構造体は、前記ボイラの鉄骨構造体である一の鉄骨梁である支持梁と、上辺の梁を形成する中間梁と、を含む構造であり、さらに、前記鉄骨柱と前記鉄骨梁とで形成される平面と同一平面内に配置され、
前記複数の吊下げ部材は、それぞれの一端が前記火炉壁面に設けられた吊り金具に取り付けられ、他端が前記鉄骨柱に取り付けられる、ことを特徴とするウィンドボックスの支持構造体。
【請求項2】
請求項1において、
隣接する二組以上の鉄骨柱の間に、前記支持梁と前記中間梁を含むトラス構造体をそれぞれ独立に設けることを特徴とするウィンドボックスの支持構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のウィンドボックス支持構造体を備え、前記鉄骨柱と前記鉄骨梁からなるボイラの鉄骨構造体であって、
前記トラス構造体が設置された鉄骨柱と前記ボイラ幅方向でその外側に位置する鉄骨柱との間に、前記支持梁のレベルより上側と下側のそれぞれの梁部材同士を結合する鉛直ブレースをそれぞれ設ける
ことを特徴とするボイラの鉄骨構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は火炉のウィンドボックスの支持構造体に係わり、特に、ボイラ鉄骨構造体の天井梁から吊り下げ支持されたボイラ本体における火炉のウィンドボックスの支持構造体及びこれを備えたボイラの鉄骨構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントに用いられる大型のボイラにおけるウィンドボックスの支持構造体及びこれを備えたボイラの鉄骨構造体に関する従来技術として、例えば特許文献1に示すように、ウィンドボックスを吊り下げる吊り替え梁6の一端をボイラ本体の上部壁に取り付けられた吊り金具10に連結し、吊り替え梁6の他端をボイラ支持鉄骨に取り付けられたコンスタントハンガー(調整吊り具)7に連結する構造が開示されています。この特許文献1の開示内容によると、このコンスタントハンガーは火炉の下部壁近傍のボイラ支持鉄骨2に取り付けられている。ボイラの熱膨張により下部壁や上部壁が伸張すると、上部壁に応じた吊り金具の相対移動をコンスタントハンガーのバネが吸収するようになっている。
【0003】
さらに、本発明に関するウィンドボックスの支持構造体とボイラ鉄骨構造体の前提技術となる従来構造について、
図3〜
図5を用いて説明する。
図3は従来技術に関するウィンドボックスの支持構造体及びこの支持構造体を備えたボイラの鉄骨構造体を示し、
図3(1)はボイラ本体を側面からみた断面図であり、
図3(2)はボイラ本体を前方から見た正面図である。
図4は従来技術に関するウィンドボックスの支持構造体をボイラ側面から見た断面図である。
図5は従来技術に関するボイラの鉄骨構造体を示す図であり、この鉄骨構造体に付設されウィンドボックスを吊り下げ支持するトラス構造体の構造と機能を示す図である。
【0004】
図3〜
図5において、ボイラ本体100は、燃料を燃焼させる火炉、火炉と異なる水平位置に設けられた後部伝熱壁3、後部伝熱壁3下部に位置するケーシング4、から構成され、ボイラ上部の天井梁103から吊り下げられてその荷重が支持されている。火炉は垂直管からなる上部壁1と傾斜管からなる下部壁2で構成され、火炉の下部壁外側にウィンドボックス5a,5bを設置し燃焼用空気を図示しないバーナや二段燃焼用空気ポート等を通じて火炉に投入している。なお、
図3(1)では、ボイラの前後二つの壁面にウィンドボックス5a,5bが設けられた例であるが、前壁側5aのみのボイラもある。
【0005】
このような傾斜管からなる下部壁を具えたボイラではウィンドボックス5の全荷重を下部壁2に負担させることは、下部壁2の機械的強度上の観点から困難であるため、ウィンドボックス5の荷重の一部は上部壁1に支持され、引いてはボイラ上部の天井梁103から支持され、残りの荷重は中間レベルの柱部材101から張り出した別設の張り出し鉄骨14に支持される(詳細は
図4を用いて後述する)。
【0006】
ボイラの主な鉄骨構造体は、水平方向の梁部材102とこれを支える柱部材101の組合せであり、ボイラ本体100は、図示しない吊下げ部材を介して、天井梁103により吊下げられる。
【0007】
ここで、ボイラ本体100の幅方向(
図3(2)の図示例で左右方向)に拡がる梁部材102と柱部材101を組合せた一組の鉄骨構造体について説明する。
図3(2)に示すように、ボイラ最前方の鉄骨構造体201は、基礎部分から最上部の梁部材102に達する少なくとも5本の柱部材101を備えている。柱部材101は、最も外側の101a,101e(以下、これらを外側柱と称すこともある)、ボイラ本体100より外側で101aと101eとの間に位置する101b,101d(以下、これらを内側柱と称すこともある)、ボイラ本体100のほぼ中央部に位置する101c(以下、これを中央柱と称すこともある)、からなる。そして、それらの柱部材101の間の水平方向には梁部材102が上下方向に複数段設置され、柱部材101と結合している。
【0008】
また、ボイラ最前方の鉄骨構造体201よりも後方で、ボイラ本体100前側のウィンドボックス5aを支持する支持構造体が設置される鉄骨構造体202についても、同様の柱部材101と梁部材102の組合せからなる。
【0009】
図4は、従来のウィンドボックスをボイラ本体100側面から見た支持構造体の図であり、
図3(1)の点線で囲った部分が、鉄骨構造体202側の該当部位付近である。ウィンドボックス5はウィンドボックスケーシング6、バックステー7、支持ポスト8で構成されており、バーナ9の荷重を含めウィンドボックスの荷重は支持ポスト8を経て吊りボルト10により上部に伝達される。
【0010】
ウィンドボックス上部に伝達された荷重は、ボイラ本体100の幅方向に沿って複数設けられた吊り替え梁11を介して、その一部は、バーチカルストラップと呼ばれる吊り金具12を介して上部壁1に伝達され、引いてはボイラ上部の天井梁103から支持されている。
【0011】
残りの荷重は、吊り替え梁11からコンスタントハンガー13を介してトラス構造体15を経由し、柱部材101から水平で奥行方向(ボイラ前後方向)に張り出した別設の張り出し鉄骨14から支持されている。換言すると、中間レベルの張り出し鉄骨14は、
図3(1)に示す鉄骨構造体202の内側柱101bと101dから、
図3(1)で、ウィンドボックス5aよりも上側において、鉄骨構造体202よりもボイラ後方側に張り出すように設けられるものである。
【0012】
図5(2)に示すトラス構造体(補強用斜め材)15は、その配置位置が水平の奥行き方向において、鉄骨構造体202の柱部材101と相前後しており、ボイラ本体100側に張り出している。トラス構造体15は、ウィンドボックス5の荷重が大きく、これを伝達する中間レベルの張り出し鉄骨14の両端を支持する幅方向(ボイラを正面から見た水平方向、
図5の左右方向)の柱間距離(内側柱101bと101dとの間隔)が広いため、曲げモーメント大となり部材サイズが大きく且つ大規模な構造となる。
【0013】
図5は、ボイラ前方から見た、鉄骨構造体202における鉛直ブレースの組構造の例(
図5(1))と、トラス構造体(
図5(2))と、梁モデルの簡略図(
図5(3)で、ウィンドボックス15の荷重の作用点とトラス構造体の対応)と、を示す。
図5(1)におけるA−A矢視図が
図5(1)の右側の図に対応し、当該右側の図のB矢視図、即ちトラス構造体が
図5(2)に対応している。また、当該トラス構造体の梁に作用するウィンドボックス5の質量の作用点を
図5(3)の「W」で表現しており、内側柱101bと101d間に亘って荷重Wが掛かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−340305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記の特許文献1を含めた
図3〜
図5の従来技術においては、内側柱101bと101dとの間隔は大型のボイラでは例えば約35m程度と大きく、鉄骨構造体としての強度を保つため、
図5(1)に示すように、鉄骨構造体202のウィンドボックス5の荷重支持部(張り出し鉄骨14が接続される柱部材101のレベル)の直上および直下において、中央柱101cとその左右の内側柱101b,101dとを接続するように鉛直ブレース171を設置している。
【0016】
このため、ウィンドボックス5の支持構造体は、これらの鉛直ブレース171との干渉を回避するため、上述の張り出し構造(柱部材101b,101dに対してトラス構造体15がボイラ前後方向の張り出し鉄骨14で結合される構造)が採られ、部材サイズが大きく且つ大規模な構造となっていた。
【0017】
本発明の課題は、ウィンドボックスの荷重を伝達するトラス構造体を含めたウィンドボックスの支持構造体と当該支持構造体を備えたボイラ鉄骨構造体に用いられる諸部材のサイズ小型化を図り、全体として物量を低減することにある。より詳しくは、コンスタントハンガーと鉛直ブレースの配置上の干渉を回避するように、鉛直ブレースの配置を組み換え、ウィンドボックス荷重の一部を支持する鉄骨の張り出しを無くすることにより、トラス構造を含めた鉄骨物量を低減する構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
ボイラの火炉壁面に配置されるウィンドボックスの支持構造体において、前記ウィンドボックスを吊り下げる吊下げ部材が、ボイラの幅方向に沿って且つ前記火炉壁面に対向して複数設けられ、前記ボイラの鉄骨構造体である鉄骨柱の間にトラス構造体
が設けられ、前記トラス構造体は、前記ボイラの鉄骨構造体である一の鉄骨梁である支持梁と、上辺の梁を形成する中間梁と、を含む構造であり、さらに、前記鉄骨柱と前記鉄骨梁とで形成される平面と同一平面内に配置され、前記複数の吊下げ部材は、
それぞれの一端が前記火炉壁面に設けられた吊り金具に取り付けられ、他端が前記鉄骨柱に取り付けられる、構成とする。
【0019】
また、前記ウィンドボックスの支持構造体において、隣接する二組以上の鉄骨柱の間に、前記支持梁と前記中間梁を含むトラス構造体をそれぞれ独立に設けること。さらに、前記ウィンドボックス支持構造体を備え、前記鉄骨柱と前記鉄骨梁からなるボイラの鉄骨構造体であって、前記トラス構造体が設置された鉄骨柱と前記ボイラ幅方向でその外側に位置する鉄骨柱との間に、前記支持梁のレベルより上側と下側のそれぞれの梁部材同士を結合する鉛直ブレースをそれぞれ設けること。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ボイラの鉄骨構造体の強度を保持しながら、ウィンドボックスの支持構造体およびこれに関連するボイラの鉄骨構造体の大幅な物量低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係るボイラの鉄骨構造体を示す図であり、この鉄骨構造体に付設されウィンドボックスを吊り下げ支持するトラス構造体の構造と機能を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るウィンドボックスの支持構造体をボイラ側面から見た詳細断面図である。
【
図3】従来技術に関するウィンドボックスの支持構造体及びこの支持構造体を備えたボイラの鉄骨構造体を示し、
図3(1)はボイラ本体を側面からみた断面図であり、
図3(2)はボイラ本体を前方から見た正面図である。
【
図4】従来技術に関するウィンドボックスの支持構造体をボイラ側面から見た詳細断面図である。
【
図5】従来技術に関するボイラの鉄骨構造体を示す図であり、この鉄骨構造体に付設されウィンドボックスを吊り下げ支持するトラス構造体の構造と機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係るウィンドボックス支持構造体とこれを備えたボイラ鉄骨構造体について、
図1と
図2を参照しながら以下説明する。
図1は本発明の実施形態に係るボイラの鉄骨構造体を示し、この鉄骨構造体に付設されウィンドボックスを吊り下げ支持するトラス構造体の構造と機能を示す図であり、
図1(1)はボイラの鉄骨構造体202における鉛直ブレースの組構造の構造例であり、
図1(2)は梁モデルの簡略図であって、ウィンドボックスの荷重の作用点とトラス構造体の対応関係を示す説明図である。また、
図2は本実施形態に係るウィンドボックスの支持構造体をボイラ側面から見た詳細断面図である。
【0023】
図面において、1は上部壁、2は下部壁、5はウィンドボックス、6はウィンドボックスケーシング、7はバックステー、8は支持ポスト、9はバーナ、10は吊りボルト、11は吊り替え梁
(本発明の「吊下げ部材」に相当する)、12は吊り金具、13はコンスタントハンガー、15はトラス構造体、16は主鉄骨、101は柱部材(鉄骨柱)、102は梁部材(鉄骨梁)、103は天井梁、112a〜112dはウィンドボックス支持レベルの梁部材、114は中間梁(鉄骨)、171は鉛直ブレース、172は鉛直ブレース、120は支柱部材、130はブレース部材、201はボイラ最前方の鉄骨構造体、202はウィンドボックス支持用の鉄骨構造体、301はウィンドボックス支持レベル、をそれぞれ表す。
【0024】
本発明の実施形態に係るウィンドボックス支持構造体は、その詳細について
図2の説明で後述するが、吊りボルト10、吊り替え梁11、吊り金具11、上部壁1、コンスタントハンガー13、中間梁(鉄骨)114、トラス構造体15などを有している。そして、これらの構成要素で支持されたウィンドボックス5の荷重が鉄骨構造体202側に伝達される梁部材(
図1に示すウィンドボックス支持レベル301における梁部材)としては、外側柱101aと内側柱101bとに結合される梁部材112a、内側柱101bと中央柱101cとに結合される梁部材112b、中央柱101cと内側柱101dとに結合される梁部材112c、内側柱101dと外側柱101eとに結合される梁部材112d、から構成されている。上述した構成要素の存在自体は、
図3〜
図5に示す従来技術と同様である。
【0025】
図1において、梁部材112bと梁部材112cはトラス構造体15の構成の一部を成している(以下、支持梁と称すこともある)。トラス構造体15は、支持梁112b,112cと、隣接する柱部材101bと101c間、101cと101d間に水平に配される鉄骨114(以下、中間梁と称すこともある)と、支柱部材120と、ブレース部材130と、などによって形成される。トラス構造体15の支持梁112b,112cはボイラの鉄骨構造体202の梁部材102が兼用している。
図1に示す構成例によると、トラス構造体15は、互いに隣接する二組の柱、すなわち内側柱101bと中央柱101c、内側柱101dと中央柱101cとをそれぞれ独立して結合するように二組設置される。
【0026】
また、ウィンドボックス支持レベル301とその上側および下側の梁レベルとを結合する鉛直ブレース172は、互いに隣接する外側柱と内側柱との間を結合するように設けられる(柱部材101aと101bとの間、及び柱部材101dと101eとの間に設置)。これに対して、
図5に示す従来技術では、中央柱101cと左右の内側柱101b,101dとの間に鉛直ブレース171が設けられている。
【0027】
本実施形態では、中間梁114、および支持梁112bまたは112cを含めたトラス構造体15は、ウィンドボックスの荷重を支持する部材であると同時に、ウィンドボックス支持レベル301とその上側および下側の梁レベルにおける鉄骨構造体202の変形を抑制して、鉛直ブレース172と相俟って強度を従来の鉄骨構造体202と同等以上に保持することができる。
【0028】
ここで、外側柱101a,101eと内側柱101b,101dの柱間距離をdout、内側柱101b,101dと中央柱101cの柱間距離をdinとすると、dout<din の関係がある。
図5に示す従来技術では、鉄骨構造物の大きな変形を防ぐため、中央柱と左右の内側柱との間に鉛直ブレース171を設ける必要があった。このため、従来の鉛直ブレース171は、上述した柱間距離の関係によって、長く且つ重量も大きくなっていた。
【0029】
本実施形態は、鉄骨構造物の大きな変形を、中間梁114を含めた二組のトラス構造体15と鉛直ブレース172とによって防ぐものであり、本実施形態の鉛直ブレース172は従来技術の鉛直ブレース171に比べて短く且つ軽量にできる。ここで、本実施形態ではトラス構造体を二組として説明しているが、本発明はこの二組が必須要件ではなくて、ウィンドボックスの荷重、ボイラ鉄骨構造体202の強度によっては一組であってもよく、また、三組以上であってもよい。
【0030】
図2は本実施形態に係るウィンドボックスの支持構造体をボイラ側面から見た断面図である。吊り替え梁11を設けて、吊り替え梁11の一端の荷重は、吊り金具12を介して上部壁1(上部壁1はスリングボルトによって天井梁103に吊り下げられている)に伝達する手法は従来技術と同じ構造である。ここで、本実施形態においては、吊り替え梁11の一端の荷重が上部壁1に伝達されることとしているが、本発明は荷重伝達の対象が上部壁1に限定されることはなく、上部壁を含む火炉壁であればよい。
【0031】
また、吊り替え梁11の他端はコンスタントハンガー13を介してウィンドボックスの荷重を、柱部材101間に設けた支持梁(鉄骨)112並びに主鉄骨16で支持する。
図2と
図1に示すように、支持梁112(ウィンドボックス支持レベル301の梁部材102が兼用している)と中間梁114(トラス構造体15の上辺の梁部材)とトラス構造体15は、同一の垂直平面内に配置されている(
図4に示す従来技術では、柱部材101と梁部材102から形成される平面と、トラス構造体15の平面とは、張り出し鉄骨14の存在によって、ボイラ前後方向において異なっている)。さらに、コンスタントハンガー13もその吊り下げ条体との結合部分が当該同一の垂直平面内に収容されるようになっている。
【0032】
図1(2)に示す本実施形態に係る鉄骨構造体のモデル簡略図によると、
図5(3)に示す従来構造のモデル簡略図と比較して、中央部に主鉄骨(中央柱101c)があることによってサポート点が増加するため、本実施形態の曲げモーメントは従来構造に対して、1/2にすることが可能である。
【0033】
また、本実施形態は、トラス構造体15におけるウィンドボックス荷重の作用点Wと上部壁1又は下部壁2との距離(ボイラ前後方向の間隔)を広げたことになり(張り出し鉄骨14を無くしたことにより)、吊りボルト10と作用点Wの距離が
図4に示す従来構造より広くなるため、従来の張り出し鉄骨14と主鉄骨16にて支持していたウィンドボックス荷重の割合が小さくなる。したがって、本実施形態では、鉄骨構造体202側に伝達されるウィンドボックス荷重を支持する構造物(鉄骨114を含むトラス構造体15、コンスタントハンガー13)のサイズ・物量の低減が可能になる。このように、本実施形態ではコンスタントハンガーと鉛直ブレースの干渉を回避するため、鉛直ブレースの配置を組み換え、鉄骨の張り出しを止めることにより、トラス構造を含めた鉄骨物量を低減する構造とすることができる。
【0034】
図4に示すように、従来、ボイラはボイラ上部を基準として運転中は下側に熱伸びするため、ウィンドボックス5の荷重を張り出し鉄骨14に伝達する部位にはコンスタントハンガー13を使用している。コンスタントハンガー13はボイラ運転中の熱伸びを吸収しウィンドボックス荷重を支持できる装置である。なお、ウィンドボックス5内のバーナー9は下部壁2と一体的に設置されていて、下部壁2の熱伸びに合わせてウィンドボックス5もその位置を下降させる必要があり、そのために、コンスタントハンガー13が設けられている。
【0035】
コンスタントハンガー13のサイズはボイラの熱伸び量と支持する荷重によって決定されるものであり、本実施形態では、支持するウィンドボックス荷重を上述のように小さくすることが可能であることから、コンスタントハンガー13のサイズも小さくすることが可能となり、コンスタントハンガー13のコスト低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 上部壁
2 下部壁
3 後部伝熱壁
4 ケーシング
5 ウィンドボックス
6 ウィンドボックスケーシング
7 バックステー
8 支持ポスト
9 バーナ
10 吊りボルト
11 吊り替え梁
12 吊り金具
13 コンスタントハンガー
14 ボイラ前後方向に張り出した張り出し鉄骨
15 トラス構造体
16 主鉄骨
100 ボイラ本体
101 柱部材(鉄骨柱)
102 梁部材(鉄骨梁)
103 天井梁
105 柱部材
112a〜112d ウィンドボックス支持レベルの梁部材(支持梁)
114 中間梁(鉄骨)
171 鉛直ブレース
172 鉛直ブレース
120 支柱部材
130 ブレース部材
201 ボイラ最前方の鉄骨構造体
202 ウィンドボックス支持用の鉄骨構造体
301 ウィンドボックス支持レベル