(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアゾール容器のステムに繋がる押下げヘッドと、この押下げヘッドを取り囲む外筒部とともに内筒部を有してエアゾール容器に固定される容器カバーと、当該容器カバーの外筒部に対して回転可能に保持される操作部材と、当該操作部材と押下げヘッドとの間に形成された環状の隙間に配置されて操作部材の回転によって昇降可能なスライド部材とを備え、
容器カバーの内筒部を押下げヘッドの内側に配置して、当該押下げヘッドと容器カバーの内筒部に、押下げヘッドを回転不能に保持するとともに当該押下げヘッドを昇降可能に案内する第1の案内部を設け、
スライド部材は、押下げヘッドを取り囲む内筒部及び外筒部とともに、押下げヘッドに沿った上昇によって押下げヘッドの天壁に到達して押下げヘッドの押し下げを阻止する一方、その下降によって押下げヘッドを操作可能に露出させる天壁を有するものであって、
スライド部材の内筒部と押下げヘッドに、突起と当該突起を軸線方向に案内する第1の貫通孔からなり、スライド部材を回転不能に保持するとともに当該スライド部材と押下げヘッドを互いに昇降可能に案内する第2の案内部を設ける一方、
スライド部材の外筒部と操作部材に、突起と当該突起を案内する斜め溝からなり、第1及び第2の案内部と協働してスライド部材を昇降させる第3の案内部を設け、
更に、スライド部材の内筒部に、第1の貫通孔の下端から傾斜端を介して周方向に伸びて前記突起を周方向に案内する第2の貫通孔を形成し、スライド部材の内筒部と押下げヘッドに、第1、第2及び第3の案内部と協働して押下げヘッドを下降させるとともに、押下げヘッドから噴射される内容物を、第1の貫通孔を通してスライド部材の内側に放出させる第4の案内部が設けられていることを特徴とするエアゾール容器の操作切替機構。
請求項1において、容器カバーと操作部材にそれぞれ、互いに乗り越え可能な凸部を形成し、操作部材の回転角度を位置決めすることによってスライド部材を高さ方向に位置決めする位置決め部を有することを特徴とするエアゾール容器の操作切替機構。
請求項1又は2において、スライド部材の内筒部に、押下げヘッドの下端面が接触する少なくとも1つの突出部を設けるとともに、当該突出部が収納されて押下げヘッドの押下げを許容する窪みを当該押下げヘッドの下端面に設けたことを特徴とするエアゾール容器の操作切替機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その一方で、様々なニーズに応じて、新たな技術を提案していくことが重要であることも事実である。
【0005】
本発明の目的とするところは、押下げヘッドを直接操作することなく、不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を一連の操作で切り替えることができる新規なエアゾール容器の操作切替機構及びそれを備えるエアゾール容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明である、エアゾール容器の操作切替機構は、エアゾール容器のステムに繋がる押下げヘッドと、この押下げヘッドを取り囲む外筒部とともに内筒部を有してエアゾール容器に固定される容器カバーと、当該容器カバーの外筒部に対して回転可能に保持される操作部材と、当該操作部材と押下げヘッドとの間に形成された環状の隙間に配置されて操作部材の回転によって昇降可能なスライド部材とを備え、
容器カバーの内筒部を押下げヘッドの内側に配置して、当該押下げヘッドと容器カバーの内筒部に、押下げヘッドを回転不能に保持するとともに当該押下げヘッドを昇降可能に案内する第1の案内部を設け、
スライド部材は、押下げヘッドを取り囲む内筒部及び外筒部とともに、押下げヘッドに沿った上昇によって押下げヘッドの天壁に到達して押下げヘッドの押し下げを阻止する一方、その下降によって押下げヘッドを操作可能に露出させる天壁を有するものであって、
スライド部材の内筒部と押下げヘッドに、突起と当該突起を軸線方向に案内する第1の貫通孔からなり、スライド部材を回転不能に保持するとともに当該スライド部材と押下げヘッドを互いに昇降可能に案内する第2の案内部を設ける一方、
スライド部材の外筒部と操作部材に、突起と当該突起を案内する斜め溝からなり、第1及び第2の案内部と協働してスライド部材を昇降させる第3の案内部を設け、
更に、スライド部材の内筒部に、第1の貫通孔の下端から傾斜端を介して周方向に伸びて前記突起を周方向に案内する第2の貫通孔を形成し、スライド部材の内筒部と押下げヘッドに、第1、第2及び第3の案内部と協働して押下げヘッドを下降させるとともに、押下げヘッドから噴射される内容物を、第1の貫通孔を通してスライド部材の内側に放出させる第4の案内部が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、容器カバーと操作部材にそれぞれ、互いに乗り越え可能な凸部を形成し、操作部材の回転角度を位置決めすることによってスライド部材を高さ方向に位置決めする位置決め部を有することが好ましい。また、本発明では、スライド部材の内筒部に、押下げヘッドの下端面が接触する少なくとも1つの突出部を設けるとともに、当該突出部が収納されて押下げヘッドの押下げを許容する窪みを当該押下げヘッドの下端面に設けることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、上記操作切替機構を備えることを特徴とするエアゾール容器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スライド部材の天壁が押下げヘッドの天壁に到達することにより、押下げヘッドの押し下げを阻止することができる。これにより、エアゾール容器を誤噴射させることなく搬送することができる。
【0010】
一方、操作部材を回転させてスライド部材を下降させれば、押下げヘッドがスライド部材の天壁から露出することにより、押下げヘッドの押し下げが可能になる。これにより、使用者が押下げヘッドを押し下げることによって通常の噴射が可能になる。また、使用後に操作部材を逆回転させてスライド部材を上昇させれば、再び、スライド部材の天壁が押下げヘッドの天壁に到達することにより、押下げヘッドの押し下げを阻止することができる。
【0011】
また、スライド部材の天壁が押下げヘッドの天壁に到達する位置まで戻した後、更に操作部材をスライド部材が上昇する向きに回転させれば、押下げヘッドを傾斜端の分だけ、スライド部材に対して押し下げることができる。これにより、押下げヘッドが継続的に押し下げられることによって、エアゾール容器のガス抜きが可能になる。特に、本発明では、押下げヘッドから噴射される内容物が第1の貫通孔を通してスライド部材の内側に放出されるため、作業者がガス抜きの際に、残留物の影響を受けるのを防止できる。
【0012】
従って、本発明によれば、押下げヘッドを直接操作することなく、エアゾール容器の不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を一連の操作で切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。
【0015】
図1中、符号1は、内容物と共に圧縮ガスが充填されたエアゾール容器であり、図中、右半分の断面側ではその外形のみを模式的に示す。エアゾール容器1は、その肩部1aに環状のマウントカップ2が取り付けられており、マウントカップ2の取り付け部分は、環状の巻き締め部2aとしてなる。巻き締め部2aに取り囲まれた部分には、エアゾール用容器1内の図示せぬバルブに繋がるステム3が突出している。
【0016】
一方、符号10は、本発明の一実施形態である操作切替機構である。符号11は、操作切替機構10を構成する押下げヘッドである。押下げヘッド11は、使用者が押し下げる天壁11aを有し、この天壁(以下、「ヘッド天壁」)11aの外縁から外筒部(以下、「ヘッド外筒部」)11bが一体に垂下する。ヘッド天壁11aには、ヘッド外筒部11bの内側に、このヘッド外筒部11bから間隔を置いて内筒部(以下、「ヘッド内筒部」)11cが一体に垂下する。ヘッド内筒部11cは、ステム3に繋がり、その内側に噴射通路を形成する。
【0017】
符号12は、操作切替機構10を構成する肩カバー(容器カバー)である。肩カバー12は、エアゾール容器1に固定されるベース12aを有する。ベース12aは、巻き締め部2aに嵌合保持される固定部C1を有し、内筒部(以下、「カバー内筒部」)12bが設けられている。カバー内筒部12bは、ベース12aから押下げヘッド11の内側に向かって一体に起立する。カバー内筒部12bは、ヘッド外筒部11bの内側に配置されている。押下げヘッド11とカバー内筒部12bには、第1の案内部G1が設けられている。本形態では、第1の案内部G1は、
図1に示すように、ヘッド外筒部11bに設けられたスプライン突起(溝)11sとカバー内筒部12bに設けられたスプライン溝(突起)12sとが挙げられている。スプライン突起(溝)11s及びスプライン溝(突起)12sは、互いに軸線Oに沿ってスライド可能に噛み合わせることができる。これにより、押下げヘッド11は、肩カバー12に対して軸線O周りを空転することなく、カバー内筒部12bに沿って昇降させることができる。
【0018】
また、ベース12aには、エアゾール容器の肩部1aを保護する環状のカバー本体12cが設けられている。カバー本体12cには、カバー内筒部12bを取り囲むように外筒部(以下、「カバー外筒部」)12dが設けられている。カバー外筒部12dは、カバー本体12cから一体に起立するとともに、カバー内筒部12bから間隔を置いて配置されている。
【0019】
符号13は、操作切替機構10を構成するとともに、使用者が操作する操作部材である。操作部材13は、円筒形をしてなり、カバー外筒部12dに対して回転可能に保持される。本形態では、操作部材13の下端部(以下、「操作部材下端部」)13aは、その外周面が内向きに窪んで小径部として構成されている。これにより、操作部材13には、大径部としてなる残部13bとの間に段差13sを形成する。本形態では、操作部材13は、その操作部材下端部13aがカバー外筒部12dの内周面に対して回転可能に保持されるとともに、残部13bが操作部材13を回転させるための操作部として機能する。
【0020】
また、操作部材13と、容器カバー12にはそれぞれ、操作部材13を容器カバー12に対して抜け止め保持する固定部C2が設けられている。本形態では、
図2(a)に示すように、操作部材下端部13aには、軸線O周りを周回する環状溝13nと、この環状溝13nに繋がって軸線O周りを任意の長さで伸びる横溝13g
1が形成されている。一方、カバー外筒部12dには、
図2(b)に示すように、突起12pが設けられている。本形態では、固定部C2は、環状溝13n及び横溝13g
1と突起12pからなる。突起12pは、環状溝13n及び横溝13g
1の下端に軸線O周りにスライド可能に引っ掛かる。これにより、操作部材13は、カバー外筒部12dの内周面に対して回転可能に抜け止め保持される。
【0021】
更に、肩カバー12と操作部材13には、
図2(a)に示すように、操作部材13の軸線O周りの回転角度を位置決めする位置決め部Pが設けられている。本形態では、横溝13g
1には、複数の凸部13rが設けられている。凸部13rは、
図2(c)に示すように、軸線Oに沿って伸びる縦リブで構成されている。また、カバー外筒部12dには、横溝13g
1に沿ってスライド可能な凸部12rが設けられている。凸部12rも、
図2(c)に示すように、軸線Oに沿って伸びる縦リブで構成されている。本形態では、位置決め部Pは、例えば、
図2(a)に示すように、カバー外筒部12dに設けられた凸部12rと、操作部材下端部13aに設けられた複数の凸部13rが挙げられる。凸部12r及び13rは、互いに引っ掛かって係止される一方、一定以上の回転力が加わると互いに乗り越えることができる。更に本形態では、位置決め部Pは、図示のように、軸線Oを挟んで対称に、2箇所の位置に配置された位置決め部P1及びP2からなる。位置決め部P1では、凸部13rは、操作部材13を凸部12rから所定量だけ回転させた位置に位置決めする凸部13r
1及び13r
2と、横溝13g
1の一方の終端e1と隣接する位置に位置決めする凸部13r
3からなる。他方の位置決め部P2では、その一方の終端e1が位置決め部P1の他方の終端e2と向かい合うように配置されている。位置決め部P2では、凸部13rは、操作部材13を凸部12rから所定量だけ回転させたとき、横溝13g
1の他方の終端e2から離れた位置に位置決めする凸部13r
4からなる。位置決め部Pは、本形態のように、複数個所に配置することが可能であるが、本発明に従えば、少なくとも、1箇所に配置することができる。
【0022】
図1中、符号14は、操作切替機構10を構成する環状のスライダ(スライド部材)である。スライダ14は、押下げヘッド11と操作部材13との間に形成された環状の隙間に配置されている。スライダ14は、環状の天壁14aを有し、この天壁(以下、「スライダ天壁」)14aの内縁から内筒部(以下、「スライダ内筒部」)14bが一体に垂下する。本形態では、スライダ内筒部14bは、ヘッド外筒部11bを取り囲むように外側に配置される。また、スライダ内筒部14bとヘッド外筒部11bには、スライダ14を軸線O周りに回転不能に保持するとともに当該スライダ14と押下げヘッド11を互いに昇降可能に案内する第2の案内部G2が設けられている。本形態では、案内部G2は、
図3に示すように、ヘッド外筒部11bに設けられた突起11pと、スライダ内筒部14bに設けられた第1の貫通孔14s
1が挙げられている。第1の貫通孔14s
1は、軸線O(縦方向)に沿って伸びるとともに、突起11pを貫通させる。また、突起11pは、押下げヘッド11に設けられた噴射口Aに対して周方向(横方向)にずれた位置に設けられている。これにより、押下げヘッド11とスライダ14は、突起11pが第1の貫通孔14s
1に位置するときは、この貫通孔14s
1を形作る縁部に接触することで、互いに軸線O周りを空転することなく、軸線Oに沿って昇降(相対運動)させることができる。
【0023】
また、スライダ14は、そのスライダ天壁14aの外縁から外筒部(以下、「スライダ外筒部」)14cが一体に垂下する。スライダ14は、操作部材13の回転により昇降させることができる。本形態では、
図1に示すように、操作部材13とスライド部材14に、案内部G1,G2と協働してスライダ14を操作部材13の回転によって昇降させる第3の案内部G3が設けられている。案内部G3は、例えば、
図4に示すように、スライダ外筒部14cの下端部に設けられた突起14pと、操作部材13の内周面に形成された螺旋溝(斜め溝)13g
2が挙げられている。螺旋溝13g
2は、その形状に沿って突起14pを案内する。螺旋溝13g
2は、軸線O方向に沿って軸線O周りを傾斜させることにより構成されている。これにより、スライダ14は、操作部材13を軸線O周りに回転させることにより、肩カバー12に対して軸線O周りを空転することなく、昇降させることができる。
【0024】
本形態では、螺旋溝13g
2の一方の終端13e
1は、
図4に示すように、操作部材13の上端付近まで伸びている。すなわち、螺旋溝13g
2は、スライダ天壁14aがカバー内筒部12bに沿った上昇によってヘッド天壁11aに到達して押下げヘッド11の押し下げを阻止する位置まで伸びている。これに対し、螺旋溝13g
2の他方の終端13e
2は、スライダ14の下端まで伸びている。すなわち、螺旋溝13g
2は、スライダ天壁14aが押下げヘッド11を露出させて、その押下げができる位置まで伸びている。
【0025】
更にヘッド外筒部11bとスライダ内筒部14bには、
図3に示すように、スライダ内筒部14bに、案内部G1〜G3と協働して押下げヘッド11を下降させるとともに、押下げヘッド11から噴射される内容物を、第1の貫通孔14s
1を通してスライダ14の内側に放出させる第4の案内部G4が設けられている。本形態では、
図3に示すように、スライダ内筒部14bに、第1の貫通孔14s
1の下端から傾斜端14eを介して周方向に伸びて突起11pを周方向に案内する第2の貫通孔14s
2が形成されている。この場合、押下げヘッド11は、肩カバー12に対して回り止めされているので、
図4に示すように、スライダ14が操作部材13に対して上死点に到達した後、更に操作部材13をスライダ14が上昇する向きに回転させると、スライダ14は操作部材13とともに一体に回転(共回り)する。このため、
図3において、スライダ14の傾斜端14eが押下げヘッド11の突起11pを周方向から押圧することで、この傾斜端14eに沿って押下げヘッド11を下降させた後、突起11pを第2の貫通孔14s
2に引っ掛けて係止させる。加えて、突起11pは、第1の貫通孔14s
1に対して、噴射口Aが第1の貫通孔14s
1に整列するように設定されている。これにより、操作部材13をスライダ14を上昇させる方向にいっぱいまで回転させると、押下げヘッド11を強制的に下降させるとともに、押下げヘッド11の噴射口Aを第1の貫通孔14s
1に整列させることができる。
【0026】
次に、本実施形態の使用方法を説明する。
【0027】
まず、
図1の状態にあるときは、スライダ天壁14aがヘッド天壁11aに到達することにより、押下げヘッド11の押し下げを阻止することができる。これにより、エアゾール容器1を誤噴射させることなく搬送することができる。このとき、操作部材13は、
図2に示すように、位置決め部P1の凸部13r
1及び13r
2が肩カバー12の凸部12rに引っ掛かって位置決めされている。これにより、使用者等が操作部材13の操作部13bを一定以上の力で回転させない限り、エアゾール容器1の不使用状態を維持することができる。なお、押下げヘッド11の突起11pは、
図3に示すように、スライダ14の第1の貫通孔14s
1に整列する位置に配置されている。また、スライダ14の突起14pは、
図4に示すように、上端側の螺旋溝13g
2の終端13e
1に位置している。
【0028】
一方、
図2において、操作部材13を矢印の方向に回転させれば、操作部材13の凸部13r
1が肩カバー12の凸部12rを乗り越えることで、操作部材13の回転が可能になる。これにより、
図5に示すように、押下げヘッド11がスライダ天壁14aから露出してその押し下げが可能になる位置まで、スライダ14を下降させることができる。本形態では、操作部材13は、
図6に示すように、位置決め部P1の凸部13r
3が肩カバー12の凸部12rを乗り越えたのち、横溝13g
1の終端e1に接触するとともに、位置決め部P2の終端e1が肩カバー12の凸部12rに接触するまで回転させることができる。
【0029】
このとき、押下げヘッド11の突起11pは、
図7に示すように、スライダ14の第1の貫通孔14s
1に整列する位置に配置されているので、ヘッド11の昇降運動が確保される。また、スライダ14の突起14pは、
図8に示すように、螺旋溝13g
2に沿って下降することで、スライダ14を操作部材13に対して下降させることになる。
【0030】
加えて、本形態では、
図6に示すように、位置決め部P1の凸部13r
3が肩カバー12の凸部12rに引っ掛かることで、操作部材13の逆回転(
図6の矢印方向)を防止する。これにより、使用者等が操作部材13を一定以上の力で逆回転させない限り、エアゾール容器1の使用状態を維持することができる。この状態で、使用者が押下げヘッド11を押し下げれば、押下げヘッド11の噴射口Aから通常の噴射を行うことができる。
【0031】
一方、操作部材13を矢印の方向に逆回転させれば、操作部材13の凸部13r
3が肩カバー12の凸部12rを乗り越えることで、操作部材13の回転が可能になる。これにより、使用後に操作部材13を逆回転させてスライダ14を再度上昇させれば、
図1に示すように、再びスライダ天壁14aがヘッド天壁11aに到達することにより、押下げヘッド11の押し下げを阻止することができる。そして、スライダ14を
図1に示す位置まで戻した後、更にスライダ14が上昇する向きに操作部材13を回転させれば、
図9に示すように、押下げヘッド11をスライダ14に対して下降させることができる。本形態では、操作部材13は、
図10に示すように、位置決め部P1の凸部13r
2が肩カバー12の凸部12rを乗り越えたのち、横溝13g
1の終端e2が凸部12rに接触するとともに、位置決め部P2の凸部13r
4が肩カバー12の凸部12rを乗り越えたのち、横溝13g
1の終端e2が凸部12rに接触するまで回転させることができる。
【0032】
このとき、押下げヘッド11の突起11pは、位置決め部P1の凸部13r
2及び位置決め部P2の凸部13r
4が肩カバー12の凸部12rを乗り越えるまで、
図3に示すように、第1の貫通孔14s1と整列する位置にあるが、凸部13r
2及び凸部13r
4が凸部12rを乗り越えると、その横方向からスライダ14の傾斜端14eが押圧することで、傾斜端14eに沿って下向きに移動する。これにより、押下げヘッド11は、傾斜端14eの分だけ、スライダ14に対して押し下げることができる。更に、操作部材13を回転させると、突起11pは、
図11に示すように、第2の貫通孔14s
2に引っ掛かることで係止される。これにより、押下げヘッド11は継続的に押し下げられる。
【0033】
加えて、押下げヘッド11の噴射口Aは、
図11に示すように、スライダ14の第1の貫通孔14s
1に整列する位置に配置されているので、押下げヘッド11から噴射される内容物Mは、
図9に示すように、第1の貫通孔14s
1を通してスライダ14の内側に形成された空間Rに放出される。これにより、作業者がガス抜きの際に、残留物の影響を受けるのを防止できる。また、スライダ14の突起14pは、スライダ14が押下げヘッド11を収納しているときは、
図4に示すように、上端側の螺旋溝13g
2の終端13e
1に位置しているので、更に、スライダ14を上昇させる方向に操作部材13を回転させると、螺旋溝13g
2の終端13eに引っ掛かったままになる。このため、
図12に示すように、スライダ14は操作部材13と一体に回転することになる。すなわち、スライダ14は、肩カバー12に回り止めされた押下げヘッド11に対して回転することで、上述のように押下げヘッド11のみを下降させることができる。これにより、押下げヘッド11が継続的に押し下げられることによって、エアゾール容器1のガス抜きが可能になる。
【0034】
更に、本形態では、
図10に示すように、位置決め部P1の凸部13r
2が肩カバー12の凸部12rに引っ掛かるとともに、位置決め部P2の凸部13r
4が凸部12rに引っ掛かることで、操作部材13の逆回転(
図10の矢印と逆方向)を防止する。これにより、使用者等が操作部材13を一定以上の力で逆回転させない限り、エアゾール容器1のガス抜き状態を維持することができる。
【0035】
このように、本形態によれば、押下げヘッド11を直接操作することなく、エアゾール容器1の不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を一連の操作で切り替えることができる。なお、かかる構成によれば、操作部材13を逆回転させることにより、不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を一連の操作で適宜、切り替えることができる。
【0036】
特に、本形態では、肩カバー12と操作部材13に、操作部材13の軸線O周りの回転角度を位置決めする位置決め部Pを設けたことによって、スライダ14を高さ方向に位置決めすることができる。これにより、操作部材13の回転量を微調整することなく、不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を選択することができる。なお、本発明に従えば、位置決め部Pは、螺旋溝13g
2を不使用状態の高さ、使用状態の高さ及びガス抜き状態の高さにおいて、水平になるように構成することでも不使用状態、使用状態及びガス抜き状態を選択することができる。
【0037】
また、
図13は、本発明の第二の実施形態であって、その不使用状態を一の方向から一部断面で示す。本実施形態は、基本的な構成及び作用効果は、上述の実施形態と同様であり、同実施形態と実質的に同一の部分は、同一符号をもってその説明を省略する。
【0038】
本実施形態では、
図14に示すように、スライダ内筒部14bの下端内周面に突出部14fが形成されている。突出部14fは、同図に示すように、スライダ内筒部14bの下端面e
14と同一平面を形成するように設けられている。突出部14fは、
図13に示すように、スライダ14がヘッド天壁11aに到達しているとき、ヘッド外筒部11bの下端面11eが接触する。これにより、突出部14fは、ストッパとして構成されることで、押下げヘッド11の押下げを確実に防止することができる。また、スライダ14を下降させれば、
図15に示すように、突出部14fがヘッド外筒部11bの下端面11eから離間する。使用者が押下げヘッド11を押し下げることで、押下げヘッド11の噴射口Aから通常の噴射を行うことができる。
【0039】
加えて、本実施形態では、ヘッド外筒部11bの下端面11eが一部、
図14に示すように切り欠かれることで、この下端面11eに、窪み11gが形成されている。窪み11gは、突出部14fを収納することで、ガス抜きに必要な分だけ、押下げヘッド11の押下げを可能にする。本実施形態では、窪み11g及び突出部14fは、噴射口Aが第1の貫通孔14s
1に整列する位置で、窪み11gが突出部14fを収納するように設定されている。これにより、操作部材13をいっぱいまで回転させてスライダ14を上昇させても、押下げヘッド11を強制的に下降させることができるとともに、押下げヘッド11の噴射口Aを第1の貫通孔14s
1に整列させることができる。
【0040】
なお、本実施形態にあっては、スライダ14が押下げヘッド11に対して回転することにより、突出部14fが窪み11gに収納されるときに、例えば、窪み11gの側縁に傾斜をつけて、当該窪み11gの外観形状を下端面11eに向かって広がる台形状に構成し、或いは、突出部14fを変形及び復元可能に構成すれば、スムースな収納が実現できる。なお、窪み11gの側縁につけられた傾斜は、突出部14fが導入される側の少なくとも、片側一方の側縁に形成すればよい。
【0041】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、本発明に従えば、種々の変更を加えることができる。例えば、第1の貫通孔14s
1と第2の貫通孔14s
2は、操作部材13の下端を切り欠いてなるものであるが、本発明に従えば、操作部材13の下端を切り欠くことなく、スライダ内筒部14bに対して閉じられた開口部とすることもできる。肩カバー12の固定部C1は、巻き締め部2a以外に固定されるものとすることができる。また、操作部材13の残部(操作部)13bには、その外周面にローレット加工等を施すことで滑り止めを設けることができる。さらに、本実施形態では、スライダ天壁14aは、ヘッド天壁11aを内側に収納する高さまで上昇させることも可能である。