特許第5868935号(P5868935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5868935無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法、プログラム、無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5868935
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法、プログラム、無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/16 20060101AFI20160210BHJP
   H02J 3/26 20060101ALI20160210BHJP
【FI】
   H02J3/16
   H02J3/26
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-271701(P2013-271701)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126680(P2015-126680A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】八田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】田部 守
(72)【発明者】
【氏名】柴丸 昇
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−045661(JP,A)
【文献】 特開2003−348755(JP,A)
【文献】 特開2012−143139(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0169300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/00−29/26
H02G 1/00− 1/10
7/00− 9/12
H02J 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相配電線の無効電力を調整する無効電力調整装置の設置位置と、前記無効電力調整装置によって調整されるべき前記無効電力の調整量と、を定める無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法であって、
第1演算装置が、前記三相配電線の第1位置の電圧不平衡率の値が第1値以下となるように、前記第1位置の第1無効電力調整量を演算する第1ステップと、
第2演算装置が、前記第1無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第1電圧不平衡率を演算する第2ステップと、
第3演算装置が、前記三相配電線の第2位置の電圧不平衡率の値が第2値以下となるように、前記第2位置の第2無効電力調整量を演算する第3ステップと、
第4演算装置が、前記第2無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第2電圧不平衡率を演算する第4ステップと、
第1決定装置が、前記第2及び第4ステップの演算結果に基づいて前記設置位置を定める第5ステップと、
第2決定装置が、前記第1及び第3ステップの演算結果と、前記第5ステップの決定結果に基づいて前記調整量を定める第6ステップと、を含む
ことを特徴とする無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法。
【請求項2】
前記第5ステップは、前記第1電圧不平衡率の最大値が前記第2電圧不平衡率の最大値よりも小さい場合、前記第1位置を前記設置位置と定め、前記第1電圧不平衡率の最大値が前記第2電圧不平衡率の最大値よりも大きい場合、前記第2位置を前記設置位置と定める
ことを特徴とする請求項1に記載の無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法。
【請求項3】
前記第6ステップは、
前記第1位置が前記設置位置と定められている場合、前記第1無効電力調整量に応じた量を前記調整量と定める第7ステップと、
前記第2位置が前記設置位置と定められている場合、前記第2無効電力調整量に応じた量を前記調整量と定める第8ステップと、を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法。
【請求項4】
前記第7ステップは、
前記第1無効電力調整量を含む第1範囲内の第3無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第3電圧不平衡率の第1最大値を演算する第9ステップと、
前記第1範囲内の前記第3無効電力調整量とは異なる第4無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第4電圧不平衡率の第2最大値を演算する第10ステップと、
前記第1最大値が前記第2最大値よりも小さい場合、前記第3無効電力調整量を前記調整量と定め、前記第1最大値が前記第2最大値よりも大きい場合、前記第4無効電力調整量を前記調整量と定める第11ステップと、を含み、
前記第8ステップは、
前記第2無効電力調整量を含む第2範囲内の第5無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第5電圧不平衡率の第3最大値を演算する第12ステップと、
前記第2範囲内の前記第5無効電力調整量とは異なる第6無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第6電圧不平衡率の第4最大値を演算する第13ステップと、
前記第3最大値が前記第4最大値よりも小さい場合、前記第5無効電力調整量を前記調整量と定め、前記第3最大値が前記第4最大値よりも大きい場合、前記第6無効電力調整量を前記調整量と定める第14ステップと、を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法。
【請求項5】
前記第9ステップは、一日の第1時間における前記第3電圧不平衡率の最大値及び一日における前記第1時間とは異なる第2時間の前記第3電圧不平衡率の最大値のうちの大きい方を前記第1最大値として演算し、
前記第10ステップは、前記第1時間における前記第4電圧不平衡率の最大値及び前記第2時間における前記第4電圧不平衡率の最大値のうちの大きい方を前記第2最大値として演算し、
前記第12ステップは、前記第1時間における前記第5電圧不平衡率の最大値及び前記第2時間における前記第5電圧不平衡率の最大値のうちの大きい方を前記第3最大値として演算し、
前記第13ステップは、前記第1時間における前記第6電圧不平衡率の最大値及び前記第2時間における前記第6電圧不平衡率の最大値のうちの大きい方を前記第4最大値として演算する
ことを特徴とする請求項4に記載の無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法。
【請求項6】
三相配電線の無効電力を調整する無効電力調整装置の設置位置と、前記無効電力調整装置によって調整されるべき前記無効電力の調整量と、を定める無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置に、
前記三相配電線の第1位置の電圧不平衡率の値が第1値以下となるように、前記第1位置の第1無効電力調整量を演算する第1機能と、
前記第1無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第1電圧不平衡率を演算する第2機能と、
前記三相配電線の第2位置の電圧不平衡率の値が第2値以下となるように、前記第2位置の第2無効電力調整量を演算する第3機能と、
前記第2無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第2電圧不平衡率を演算する第4機能と、
前記第2及び第4機能の演算結果に基づいて前記設置位置を定める第5機能と、
前記第1及び第3機能の演算結果と、前記第5機能の決定結果に基づいて前記調整量を定める第6機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項7】
三相配電線の無効電力を調整する無効電力調整装置の設置位置と、前記無効電力調整装置によって調整されるべき前記無効電力の調整量と、を定める無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置であって、
前記三相配電線の第1位置の電圧不平衡率の値が第1値以下となるように、前記第1位置の第1無効電力調整量を演算する第1演算装置と、
前記第1無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第1電圧不平衡率を演算する第2演算装置と、
前記三相配電線の第2位置の電圧不平衡率の値が第2値以下となるように、前記第2位置の第2無効電力調整量を演算する第3演算装置と、
前記第2無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第2電圧不平衡率を演算する第4演算装置と、
前記第2及び第4演算装置の演算結果に基づいて前記設置位置を定める第1決定装置と、
前記第1及び第3演算装置の演算結果と、前記第1決定装置の決定結果に基づいて前記調整量を定める第2決定装置と、
を備えたことを特徴とする無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法、プログラム、無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電圧不平衡が発生する三相配電線が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−228045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、特許文献1の三相配電線も含め、三相配電線においては、例えば接続されている電力負荷の消費電力に基づいて発生する電圧不平衡の度合いを示す電圧不平衡率を低下させるために、無効電力調整装置が設置される。しかしながら、三相配電線が比較的長い距離に亘っており、無効電力調整装置の設置位置の候補が複数あるために、例えば三相配電線の電圧不平衡率を低下させるための無効電力調整装置の設置位置及び当該無効電力調整装置による無効電力の調整量を決定するのが煩雑となる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、三相配電線の無効電力を調整する無効電力調整装置の設置位置と、前記無効電力調整装置によって調整されるべき前記無効電力の調整量と、を定める無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法であって、第1演算装置が、前記三相配電線の第1位置の電圧不平衡率の値が第1値以下となるように、前記第1位置の第1無効電力調整量を演算する第1ステップと、第2演算装置が、前記第1無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第1電圧不平衡率を演算する第2ステップと、第3演算装置が、前記三相配電線の第2位置の電圧不平衡率の値が第2値以下となるように、前記第2位置の第2無効電力調整量を演算する第3ステップと、第4演算装置が、前記第2無効電力調整量に基づいて前記無効電力が調整されたときの、前記三相配電線の上流側から下流側に亘る第2電圧不平衡率を演算する第4ステップと、第1決定装置が、前記第2及び第4ステップの演算結果に基づいて前記設置位置を定める第5ステップと、第2決定装置が、前記第1及び第3ステップの演算結果と、前記第5ステップの決定結果に基づいて前記調整量を定める第6ステップと、を含むことを特徴とする無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定方法である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無効電力調整装置の設置位置及び調整量を定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における配電系統を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態における不平衡抑制装置のハードを示すブロック図である。
図3】本発明の第1乃至第4実施形態における不平衡抑制装置を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態における配電系統と対象位置とを示す図である。
図5】本発明の第1実施形態における配電線の各位置における電圧不平衡率を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態における各時間における電圧不平衡率の最大値を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の最大値との関係を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態における不平衡抑制装置の動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の最大値との関係を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の平均値との関係を示す図である。
図11】本発明の第4実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の平均値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
===配電系統===
以下、図1を参照して、本実施形態における配電系統について説明する。図1は、本実施形態における配電系統を示す図である。
【0011】
配電系統100は、負荷R1乃至R4に対して電力を供給するための電力系統である。配電系統100は、配電用変圧器101、配電線L100、負荷R1乃至R4、開閉器LS1、LS2、不平衡抑制装置3(無効電力調整装置の設置位置及び調整量決定装置)を有する。尚、開閉器及び負荷は夫々、配電系統100に複数設けられているが、説明の便宜上、例えば2個及び4個ずつ設けられていることとする。
【0012】
配電用変圧器101は、例えば一次側の電圧を所定の変圧比で変圧して、当該変圧された電圧を二次側から出力する装置である。配電用変圧器101の一次側は、送電線L200の一端に接続される。配電用変圧器101の二次側は、配電線L100の一端に接続される。
【0013】
配電線L100は、配電用変圧器101からの電力を負荷R1乃至負荷R4に供給するための三相配電線であり、上流側の配電用変圧器101から下流側の末端102に向かって延びている。配電線L100は、配電用変圧器101からのU相、V相、W相の三相交流電力を供給するための電力線である。配電線L100は、U相の電力を供給する配電線L1、V相の電力を供給する配電線L2、W相の電力を供給する配電線L3を有する。
【0014】
開閉器LS1、LS2は、配電線L100に設けられている、例えば計測機能付き開閉器である。開閉器LS1、LS2は夫々、配電線L100における開閉器LS1、LS2が設けられている位置の線電流、線間電圧、及び各相の力率を一定時間毎に計測し、計測結果を示す計測信号S1、S2を出力する。
【0015】
負荷R1乃至R4は、配電線L100に接続される例えば電灯負荷等の電力負荷である。負荷R1乃至R4は夫々、ノード71乃至74において配電線L1乃至L3のうち何れか二相(2本)の配電線に接続されて、電力が供給される。
【0016】
不平衡抑制装置3は、配電線L100の電圧不平衡を抑制するための装置である。不平衡抑制装置3は、計測信号S1、S2に示されている情報等に基づいて、無効電力補償機器(不図示)の設置位置、及び、配電線L100の電圧不平衡を抑制するために当該無効電力補償機器によって調整されるべき無効電力の値(「目標無効電力調整量」とも称する)を定める。
【0017】
無効電力補償機器(無効電力調整装置)とは、配電線L100における当該無効電力補償機器が設置されている位置の無効電力を調整して、配電線L100の電圧不平衡率を低減させる装置である。無効電力補償機器としては、例えば、SVC(Static Var Compensator)、電力用コンデンサ、シャントリアクトル等を含んでいる。無効電力補償機器は、無効電力補償機器毎に容量が定められている。
【0018】
容量とは、無効電力補償機器によって調整される無効電力の値の最大に対応している当該無効電力補償機器の装置容量である。例えば、無効電力補償機器の容量が200(kVar)の場合、当該無効電力補償機器によって調整できる無効電力の値の最大が200(kVar)となる。尚、配電線L100の電圧不平衡を抑制するためには、不平衡抑制装置3によって定められた目標無効電力調整量以上の容量を有する無効電力補償機器を、配電系統100に設けるのが望ましい。
【0019】
===不平衡抑制装置===
以下、図2及び図3を参照して、本実施形態における不平衡抑制装置について説明する。図2は、本実施形態における不平衡抑制装置のハードを示すブロック図である。図3は、本実施形態における不平衡抑制装置を示すブロック図である。
【0020】
不平衡抑制装置3は、CPU(Central Processing Unit)31、通信装置32、記憶装置33、表示装置34、入力装置35を有する。CPU31は、記憶装置33に記憶されているプログラムを実行することにより不平衡抑制装置3の各種機能を実現し、不平衡抑制装置3を統括制御する。記憶装置33には、前述のプログラム、各種情報が記憶されている。尚、各種情報には、配電線L100の電圧不平衡率及び対象位置61乃至64の無効電力調整量を算出するための配電系統100についての情報等が含まれていることとする。表示装置34は、不平衡抑制装置3の情報を表示するディスプレイである。入力装置35は、不平衡抑制装置3に対して情報を入力するための例えばキーボード、マウス等である。通信装置32は、ネットワーク300を介して、開閉器LS1、LS2を含む各種装置との間で通信を行う。
【0021】
不平衡抑制装置3は、更に、位置選定部36(第2及び第4演算装置、第1決定装置)、基準量演算部37(第1及び第3演算装置)、調整量決定部38(第2決定装置)、確認部39(「不平衡抑制装置3の各種機能」とも称する)を有する。尚、不平衡抑制装置3の各種機能は、記憶装置33に記憶されているプログラムのCPU31による実行により実現される。
【0022】
位置選定部36は、無効電力補償装置の設置位置を定める。基準量演算部37は、対象位置61乃至64の無効電力調整量、及び、基準無効電力調整量を算出する。調整量決定部38は、目標無効電力調整量(調整量)を定める。確認部39は、無効電力補償機器が設置された後の配電線L100の電圧不平衡率を演算し、当該無効電力補償機器の設置によって配電線L100の電圧不平衡率が低下することを確認する。
【0023】
===位置選定部===
以下、図4及び図5を参照して、本実施形態における位置選定部について説明する。図4は、本実施形態における配電系統と対象位置とを示す図である。尚、配電線L100は図1に示されるように3本あるが、説明の便宜上、1本の線として示されている。図5は、本実施形態における配電線の各位置における電圧不平衡率を示す図である。
【0024】
=対象位置=
対象位置61乃至64は、無効電力補償機器の設置位置としての候補となる位置である。対象位置61乃至64は、説明の便宜上4個示されているが、例えば2個であってもよいし、3個であってもよいし、5個以上であってもよい。対象位置61乃至64は、例えば、不平衡抑制装置3のユーザによる不平衡抑制装置3に対する情報の入力によって指定されることとしてもよい。
【0025】
=各位置における電圧不平衡率(図5)=
図5の横軸は、配電線L100における各位置に対応している。尚、横軸における配電用変圧器101が配電線L100における配電用変圧器101に接続される側の一端の位置に対応し、対象位置64が配電線L100における下流側の末端102の位置に対応している。縦軸は、電圧不平衡率を示している。曲線610、620、630、640は、1日におけるオフピークの時間T1の、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率を示している。
【0026】
曲線610は、無効電力補償機器が対象位置61に設置され、且つ、対象位置61における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているときの電圧不平衡率を示している。曲線620、630、640は、曲線610と同様な電圧不平衡率を示している。
【0027】
具体的には、曲線620は、無効電力補償機器が対象位置62に設置され、且つ、対象位置62における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているときの電圧不平衡率を示している。曲線630は、無効電力補償機器が対象位置63に設置され、且つ、対象位置63における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているときの電圧不平衡率を示している。曲線640は、無効電力補償機器が対象位置64に設置され、且つ、対象位置64における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているときの電圧不平衡率を示している。
【0028】
尚、対象位置61乃至64における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような無効電力の値を夫々、対象位置61乃至64の無効電力調整量とも称する。対象位置61乃至64の無効電力調整量は夫々、基準量演算部37によって算出される。
【0029】
=位置選定部による設置位置の選定=
位置選定部36は、不平衡抑制装置3が受信した計測信号S1、S2に示されている情報及び記憶装置33に記憶されている各種情報等に基づいて、各対象位置61乃至64に無効電力補償機器が設置されたときの配電線L100の電圧不平衡率を算出する。この位置選定部36による演算結果は、例えば曲線610、620、630、640に示されている電圧不平衡率となる。
【0030】
位置選定部36は、式(1)乃至式(4)に基づいて、配電線L100の電圧不平衡率を算出する。
【0031】
【数1】

尚、V1は正相電圧を示し、V2は逆相電圧を示し、Vuvは配電線L1、L2の相間電圧を示し、Vwuは配電線L1、L3の相間電圧を示し、Vvwは配電線L2、L3の相間電圧を示している。
【0032】
<曲線610に示される電圧不平衡率の演算>
位置選定部36は、無効電力補償機器が対象位置61に設置され、且つ、対象位置61の無効電力調整量に対応する値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているものとして、配電線L100の各位置の相間電圧を算出する。尚、例えば、位置選定部36は、配電線L100の線路インピーダンス及び計測信号S1、S2に示されている情報等に基づいて当該相間電圧を算出する。尚、位置選定部36は、開閉器LS1、LS2のうちの相間電圧を算出するべき位置に近い開閉器から出力された計測信号に示されている情報を用いて相間電圧を算出することとしてもよい。この後、位置選定部36は、算出された相間電圧を式1乃至式4に適用して電圧不平衡率を算出する。この演算結果は、例えば、曲線610に示される電圧不平衡率となる。
【0033】
尚、例えば、位置選定部36が、対称座標法を用いたり、所定の潮流計算プログラムを用いたりして、配電線L100の電圧不平衡率を算出することとしてもよい。
【0034】
<曲線620、630、640に示される電圧不平衡率の演算>
位置選定部36が曲線620、630、640に示される電圧不平衡率を算出する構成は、位置選定部36が曲線610に示される電圧不平衡率を算出する構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0035】
<設置位置の選定>
位置選定部36は、対象位置夫々に対応する電圧不平衡率のうちの最大値が最小となる電圧不平衡率における対象位置を無効電力補償装置の設置位置に定める。具体的には、例えば、曲線601、620、630、640夫々の最大値E22、E0、E23、E24のうちの最小となるのは、E0である。従って、位置選定部36は、最大値がE0となっている曲線620に対応する対象位置62を無効電力補償装置の設置位置に定める。
【0036】
===基準量演算部===
以下、図4を参照して、本実施形態における基準量演算部について説明する。
【0037】
基準量演算部37は、対象位置61乃至64の無効電力調整量を算出した後、対象位置61乃至64の無効電力調整量のうちの一つの無効電力調整量を基準無効電力調整量と定める。尚、基準無効電力調整量とは、目標無効電力調整量を算出するための基準となる量である。
【0038】
<対象位置62の無効電力調整量>
基準量演算部37は、例えば、不平衡抑制装置3が受信した計測信号S1、S2に示されている情報及び記憶装置33に記憶されている各種情報を式3乃至式6に適用して、対象位置62の無効電力調整量を算出する。
【0039】
【数2】

尚、IAFは、例えば、対象位置62における逆相電圧を打ち消すのに必要な電流に対応している。Zは、配電用変圧器101のインピーダンスと、配電線L100における対象位置と配電用変圧器101との間の線路インピーダンスとの和である。例えば、対象位置62の無効電力調整量を算出する場合、配電用変圧器101のインピーダンスと、対象位置62と配電用変圧器101との間の線路インピーダンスZ2との和がZとなる。配電線L100の定格電圧は、予め定められており例えば6600(V)である。
【0040】
<対象位置61、63、64の無効電力調整量>
基準量演算部37が対象位置対象位置61、63、64の無効電力調整量を算出する構成は、基準量演算部37が対象位置対象位置62の無効電力調整量を算出する構成と同様であるので、その説明については省略する。
【0041】
<基準無効電力調整量>
基準量演算部37は、位置選定部36によって定められた設置位置に対応する対象位置の無効電力調整量を基準無効電力調整量と定める。具体的には、例えば、対象位置62が無効電力補償装置の設置位置に定められている場合、基準量演算部37は、対象位置62の無効電力調整量を基準無効電力調整量と定める。
【0042】
===調整量決定部===
以下、図4乃至図7を参照して、本実施形態における調整量決定部について説明する。尚、対象位置62が設置位置と定められているときに調整量決定部38が目標無効電力調整量を定める構成と、対象位置61、63、64が設置位置と定められているときに調整量決定部38が目標無効電力調整量を定める構成とは同様であるので、対象位置62が設置位置と定められているときに調整量決定部38が目標無効電力調整量を定める構成についてのみ説明し、対象位置61、63、64が設置位置と定められているときに調整量決定部38が目標無効電力調整量を定める構成については、その説明を省略する。
【0043】
図6は、本実施形態における各時間における電圧不平衡率の最大値を示す図である。図7は、本実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の最大値との関係を示す図である。
【0044】
図6図7においては、設置位置としての対象位置62に無効電力補償機器が設けられ、基準無効電力調整量としての対象位置62の無効電力調整量に対応する値であるH0の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているものとしたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の最大値等が示されている。
【0045】
E0、F0、G0は、基準無効電力調整量の値としてのH0に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率のうちの最大値を示している。E0、F0、G0は夫々、1日におけるオフピークの時間T1、ピークの時間T2、夜間の時間T3における当該最大値を示している。尚、時間T1乃至T3において電圧不平衡率の最大値が変動しているのは、例えば、負荷R1乃至R4による消費電力の変動等に基づくものである。
【0046】
E1、F1、G1(図7)は、基準無効電力調整量の値であるH0に応じた値としてのH1に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率のうちの最大値を示している。E2、F2、G2は、基準無効電力調整量の値であるH0に応じた値としてのH2に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率のうちの最大値を示している。E3、F3、G3は、基準無効電力調整量の値であるH0に応じた値としてのH3に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率のうちの最大値を示している。E4、F4、G4は、基準無効電力調整量の値であるH0に応じた値としてのH4に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率のうちの最大値を示している。E1乃至E4は時間T1の最大値を示しており、F1乃至F4は時間T2の最大値を示しており、G1乃至G4は時間T3の最大値を示している。
【0047】
<電圧不平衡率の最大値の算出>
調整量決定部38は、E0、F0、G0を算出する。尚、例えば、調整量決定部38は、位置選定部36と同様にして配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率を算出した後、当該算出結果に基づいてE0、F0、G0を算出することとしてもよい。更に、調整量決定部38は、E0、F0、G0のうちの最大値を選択する。例えば、E0、F0、G0のうちの最大値がE0である場合、調整量決定部38は、E0、F0、G0のうちの最大値としてE0を選択する。
【0048】
調整量決定部38は、電力補償機器から出力される無効電力の値をH0に対応する値からH1に対応する値に変化させて、E1、F1、G1を算出した後、E1、F1、G1のうちの最大値として例えばG1を選択する。調整量決定部38は、電力補償機器から出力される無効電力の値をH1に対応する値からH2に対応する値に変化させて、E2、F2、G2を算出した後、E2、F2、G2のうちの最大値として例えばF2を選択する。調整量決定部38は、電力補償機器から出力される無効電力の値をH2に対応する値からH3に対応する値に変化させて、E3、F3、G3を算出した後、E3、F3、G3のうちの最大値として例えばE3を選択する。調整量決定部38は、電力補償機器から出力される無効電力の値をH3に対応する値からH4に対応する値に変化させて、E4、F4、G4を算出した後、E4、F4、G4のうちの最大値として例えばF4を選択する。
【0049】
尚、H1乃至H4は、H0を含む所定範囲内の値であることとする。所定範囲は、例えば、不平衡抑制装置3のユーザによる不平衡抑制装置3に対する情報の入力によって指定されることとしてもよい。又、所定範囲は、配電系統100に設けられる候補としての無効電力補償機器の仕様等に基づいて定められることとしてもよい。又、例えば、H1乃至H4は、図7に示される式によって算出されることしてもよい。尚、例えば、図7のH10は正の値であり、H0の5%程度の値であることとしてもよい。尚、H1乃至H4は例えば4個とされているが、4個以外の複数個であってもよい。
【0050】
<目標無効電力調整量の決定>
この後、調整量決定部38は、F2、G1、E0、E3、F4のうちの最小の値に対応する無効電力調整量を目標無効電力調整量と定める。例えば、F2、G1、E0、E3、F4のうちのG1が最小の値である場合、調整量決定部38は、G1に対応するH1を目標無効電力調整量と定める。
【0051】
===動作===
以下、図8を参照して、本実施形態における不平衡抑制装置の動作について説明する。図8は、本実施形態における不平衡抑制装置の動作を示すフローチャートである。
【0052】
不平衡抑制装置3は、各種情報を取得する(ステップSt11)。尚、各種情報は、入力装置35、通信装置32を介して不平衡抑制装置3に入力されることとしてもよい。
【0053】
基準量演算部37は、対象位置61乃至64の無効電力調整量を算出する(ステップSt12)。位置選定部36は、基準量演算部37の演算結果等に基づいて、無効電力補償装置の設置位置を定める(ステップSt13)。基準量演算部37は、位置選定部36の決定結果等に基づいて、基準無効電力量を決定する(ステップSt14)。調整量決定部38は、基準量演算部37の決定結果等に基づいて、目標無効電力調整量を決定する(ステップSt15)。
【0054】
この後、不平衡抑制装置3は、設置位置と目標無効電力調整量を示す情報を出力したり表示したりすることとしてもよい。
【0055】
例えば、不平衡抑制装置3のユーザは、設置位置と目標無効電力調整量を示す情報に基づいて、当該情報に示されている目標無効電力調整量に示されている値以上の無効電力を出力できる無効電力補償機器を選定し、当該選定された無効電力補償機器を設置位置に設置する。例えば、目標無効電力調整量の値がH1(例えば、342.4(kVar))であり、設置位置が対象位置62である場合、不平衡抑制装置3のユーザは、容量が200(kVar)の無効電力補償機器2台を対象位置62に設置する。この後、不平衡抑制装置3のユーザは、不平衡抑制装置3の確認部39の機能を用いて、無効電力補償機器の設置によって配電線L100の電圧不平衡率が低下することを確認する。
【0056】
[第2実施形態]
第2実施形態における不平衡抑制装置3B(図3)は、第1実施形態における不平衡抑制装置3の調整量決定部38を調整量決定部38Bに変更したものである。不平衡抑制装置3Bにおける調整量決定部38B以外の構成は、不平衡抑制装置3の構成と同様である。
【0057】
===調整量決定部===
以下、図3及び図9を参照して、本実施形態における調整量決定部について説明する。図9は、本実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の最大値との関係を示す図である。尚、図7と同様な構成には、同様な符号を付し、その説明については省略する。
【0058】
調整量決定部38Bは、E0、F0、G0の平均値としてJ0を算出する。調整量決定部Bは、E1、F1、G1の平均値としてJ1を算出する。調整量決定部38Bは、E2、F2、G2の平均値としてJ2を算出する。調整量決定部38Bは、E3、F3、G3の平均値としてJ3を算出する。調整量決定部38Bは、E4、F4、G4の平均値としてJ4を算出する。
【0059】
この後、調整量決定部38Bは、J0乃至J4のうちの最小の値に対応する無効電力調整量を目標無効電力調整量と定める。例えば、J0乃至J4のうちのJ1が最小の値である場合、調整量決定部38Bは、J1に対応するH1を目標無効電力調整量と定める。
【0060】
[第3実施形態]
第3実施形態における不平衡抑制装置3C(図3)は、第1実施形態における不平衡抑制装置3の調整量決定部38を調整量決定部38Cに変更したものである。不平衡抑制装置3Cにおける調整量決定部38C以外の構成は、不平衡抑制装置3の構成と同様である。
【0061】
===調整量決定部===
以下、図3及び図10を参照して、本実施形態における調整量決定部について説明する。図10は、本実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の平均値との関係を示す図である。尚、図7と同様な構成には、同様な符号を付し、その説明については省略する。
【0062】
図10においては、例えば、設置位置としての対象位置62に無効電力補償機器が設けられ、基準無効電力調整量としての対象位置62の無効電力調整量に対応する値であるH0の値に応じた値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているものとしたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値等が示されている。
【0063】
E10、F10、G10は、基準無効電力調整量の値としてのH0に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値を示している。E11、F11、G11は、H1に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値を示している。E12、F12、G12は、H2に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値を示している。E13、F13、G13は、H3に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値を示している。E14、F14、G14は、H4に対応する値の無効電力が無効電力補償機器から出力されたときの、配電線L100における上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の平均値を示している。E10乃至E14は時間T1の平均値を示しており、F10乃至F14は時間T2の平均値を示しており、G10乃至G14は時間T3の平均値を示している。
【0064】
調整量決定部38Cは、E10、F10、G10を算出する。尚、例えば、調整量決定部38Cは、位置選定部36と同様にして配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率を算出した後、当該算出結果に基づいてE10、F10、G10を算出する。調整量決定部38Cは、E0、F0、G0のうちの最大値として例えばE10を選択する。
【0065】
調整量決定部38Cは、E11、F11、G11を算出した後、E11、F11、G11のうちの最大値として例えばG11を選択する。調整量決定部38Cは、E12、F12、G12のうちの最大値として例えばF12を選択する。調整量決定部38Cは、E13、F13、G13を算出した後、E13、F13、G13のうちの最大値として例えばE13を選択する。調整量決定部38Cは、E14、F14、G14を算出した後、E14、F14、G14のうちの最大値として例えばF14を選択する。
【0066】
この後、調整量決定部38Cは、F12、G11、E10、E13、F14のうちの最小の値に対応する無効電力調整量を目標無効電力調整量と定める。例えば、F12、G11、E10、E13、F14のうちのG11が最小の値である場合、容量選択部38Cは、G11に対応する容量H1を目標無効電力調整量と定める。
【0067】
[第4実施形態]
第4実施形態における不平衡抑制装置3D(図3)は、第3実施形態における不平衡抑制装置3Cの調整量決定部38Cを調整量決定部38Dに変更したものである。不平衡抑制装置3Dにおける調整量決定部38D以外の構成は、不平衡抑制装置3Cの構成と同様である。
【0068】
===調整量決定部===
以下、図3及び図11を参照して、本実施形態における調整量決定部について説明する。図11は、本実施形態における対象位置の無効電力調整量と電圧不平衡率の平均値との関係を示す図である。尚、図10と同様な構成には、同様な符号を付し、その説明については省略する。
【0069】
調整量決定部38Dは、E10、F10、G10の平均値としてJ10を算出する。調整量決定部38Dは、E11、F11、G11の平均値としてJ11を算出する。調整量決定部38Dは、E12、F12、G12の平均値としてJ12を算出する。調整量決定部38Dは、E13、F13、G13の平均値としてJ13を算出する。調整量決定部38Dは、E14、F14、G14の平均値としてJ14を算出する。
【0070】
この後、調整量決定部38Dは、J10乃至J14のうちの最小の値に対応する容無効電力調整量を目標無効電力調整量と定める。例えば、J10乃至J14のうちのJ11が最小の値である場合、調整量決定部38Dは、J1に対応する容量H1を目標無効電力調整量と定める。
【0071】
前述したように、不平衡抑制装置3は、配電線L100の無効電力を調整する無効電力補償機器の設置位置と、当該無効電力補償機器によって調整されるべき無効電力の値を示す目標無効電力調整量と、を定める。不平衡抑制装置3は、位置選定部36、基準量演算部37、調整量決定部38を有する。基準量演算部37は、例えば、対象位置61における電圧不平衡率の値が所定値以下(例えば、略0)となるように、対象位置61に設置されている無効電力補償機器の出力に基づいて調整されるべき対象位置61の無効電力の値を示す対象位置61の無効電力調整量を演算する。位置選定部36は、無効電力補償機器が対象位置61に設置され、且つ、対象位置61の無効電力調整量に対応する値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているものとして、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率(「第1電圧不平衡率」とも称する)を演算する。基準量演算部37は、例えば、対象位置62における電圧不平衡率の値が所定値以下(例えば、略0)となるように、対象位置62に設置されている無効電力補償機器の出力に基づいて調整されるべき対象位置62の無効電力の値を示す対象位置62の無効電力調整量を演算する。位置選定部36は、無効電力補償機器が対象位置62に設置され、且つ、対象位置62の無効電力調整量に対応する値の無効電力が当該無効電力補償機器から出力されているものとして、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率(「第2電圧不平衡率」とも称する)を演算する。位置選定部36は、演算されている第1及び第2電圧不平衡率に基づいて、無効電力補償機器の設置位置を定める。調整量決定部38は、位置選定部36によって定められた設置位置、及び、演算された対象位置61、62の無効電力調整量に基づいて、目標無効電力調整量を定める。従って、無効電力補償機器の設置位置及び目標無効電力調整量を定めることができる。不平衡抑制装置3の決定結果に基づいて、目標無効電力調整量以上の容量を有する無効電力補償機器を選定し、選定された無効電力補償機器を設置位置に設置することにより、配電線L100の電圧不平衡率を低減させることができる。又、配電線L100に対して必要以上に無効電力補償機器が設置されるのを防止しして、無効電力補償機器について設備投資の金額を低減させることができる。
【0072】
又、第1電圧不平衡率の最大値が第2電圧不平衡率の最大値よりも小さい場合、位置選定部36は、対象位置61を無効電力補償機器の設置位置と定める。第1電圧不平衡率の最大値が第2電圧不平衡率の最大値よりも大きい場合、位置選定部36は、対象位置62を無効電力補償機器の設置位置と定める。従って、第1及び第2電圧不平衡率の最大値の大小に基づいて、設置位置を比較的容易かつ確実に決定することができる。
【0073】
又、対象位置61が無効電力補償機器の設置位置と定められている場合、調整量決定部38は、対象位置61の無効電力調整量に応じた量を目標無効電力調整量と定める。対象位置62が無効電力補償機器の設置位置と定められている場合、調整量決定部38は、対象位置62の無効電力調整量に応じた量を目標無効電力調整量と定める。従って、設置位置に基づいて、目標無効電力調整量を比較的容易かつ確実に決定することができる。
【0074】
又、調整量決定部38は、基準無効電力調整量の値としてのH0を含む所定範囲内の無効電力調整量を示す例えばH1に基づいて無効電力が調整されたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の最大値(例えば、図7のG1)を演算する。調整量決定部38は、基準無効電力調整量の値としてのH0を含む所定範囲内の無効電力調整量を示す例えばH1とは異なるH2に基づいて無効電力が調整されたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の最大値(例えば、F2)を演算する。例えば、G1がF2よりも小さい場合、調整量決定部38は、H1を目標無効電力調整量と定める。例えば、G1がF2よりも大きい場合、調整量決定部38は、H2を目標無効電力調整量と定める。従って、無効電力調整量を所定範囲内において変化させて、最適な無効電力調整量を目標無効電力調整量と定めることができる。つまり、配電線L100の電圧不平衡率を確実に低減させることが可能な目標無効電力調整量を定めることができる。
【0075】
又、調整量決定部38は、一日の時間T2におけるF1と時間T3におけるG1のうちの大きい方であるG1を、H1に基づいて無効電力が調整されたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の最大値とする。調整量決定部38は、一日の時間T2におけるF2と時間T3におけるG2のうちの大きい方であるF2を、H2に基づいて無効電力が調整されたときの、配電線L100の上流側から下流側に亘る電圧不平衡率の最大値とする。従って、例えば、時間毎に変動する負荷R1乃至R4の消費電力に基づく配電線L100の電圧不平衡率の変動を考慮して、目標無効電力調整量を定めることができる。
【0076】
尚、上記第1乃至第4実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0077】
第1実施形態においては、対象位置61乃至64における電圧不平衡率の値を所定値以下(例えば、略0)とするような無効電力の値を、基準量演算部37が算出することについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対象位置61乃至64夫々における電圧不平衡率の値を相互に異り且つ0より大きい値とするような無効電力の値を、基準量演算部37が算出することとしてもよい。又、所定値は、例えば3(%)等であり、不平衡抑制装置3のユーザによる不平衡抑制装置3に対する情報の入力によって指定されることとしてもよい。
【0078】
又、第1実施形態においては、対象位置夫々に対応する電圧不平衡率のうちの最大値が最小となる電圧不平衡率における対象位置を無効電力補償装置の設置位置と定めることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対象位置夫々に対応する電圧不平衡率のうちの最大値が2番目、3番目、4番目に小さくなる電圧不平衡率における対象位置を設置位置と定めることとしてもよい。
【0079】
又、第1実施形態においては、F2、G1、E0、E3、F4のうちの最小の値に対応する無効電力調整量を目標無効電力調整量と定めることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、F2、G1、E0、E3、F4のうちの2番目、3番目、4番目に小さい値に対応する無効電力調整量を目標無効電力調整量と定めることとしてもよい。又、不平衡抑制装置3が複数の設置位置及び目標無効電力調整量を定めることとしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
3、3B、3C、3D 不平衡抑制装置
36 位置選定部
37 基準量演算部
38、38B、38C、38D 調整量決定部
L1、L2、L3、L100 配電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11