【実施例】
【0085】
以下の実施例は本発明において例示した方法により得られるが、これらは本発明を限定解釈するものではない。
【0086】
(実施例1:エステルやアミド形状を形成する一般的なEDCカップリング方法)
3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸/クマル酸/インドール−3−酢酸(1当量、12mmol)、アミン類(ハイドロクロライド)/アルコール(1.2当量、14.4mmol)、HOBT(1当量、12mmol、アミンの場合)、Et
3N(6当量、72mmol、アミンの場合)/DMAP(1当量、12mmol、アルコールの場合)のDMF溶液に、EDCハイドロクロライド(1.2当量、14.4mmol)を0℃において加えた。その後、反応物の混合体を室温下、TLCでモニターして、反応終了まで一晩攪拌した。その後、混合物に氷冷H
2Oを加えて反応を停止し、エチルアセテートにより抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、N
2SO
4を用いて乾燥した。
【0087】
その後、当該有機相を真空下で濃縮した。濃縮したエチルアセテート抽出物は、シリカゲルカラムを通してクロマトグラフィーによって分離した。
【0088】
(実施例2:脱ベンジル化反応(水素化分解)の一般的方法)
メタノール−クロロホルム混合溶媒(5:1)(10mL)中、化合物と10%Pd/C(触媒)の混合物を、40psiで2h水素化分解し、溶液をシーライトを通して濾過し、触媒を除去した後、濾過液を真空下蒸発乾固させ、生成物を得た。
【0089】
(実施例3:SEGA(3a)の生成プロセス)
ベンジル3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)ベンゾネート(1a)
アセトン(50ml)溶媒中、没食子酸(4g、21.27mmol)、ベンジルクロライド(19.5ml、0.170mol)、tert−ブチルヨウ化アンモニウム(触媒)およびK
2CO
3(14.67g、106mmol)混合物を6時間還流した。当該混合物を濾過し、濾過ケーキをアセトンでよく洗浄した。濾過液と洗浄液を合わせ、真空下蒸発乾固させた。乾燥後の残留物をエチルアセテート(50mL)に溶解させ、H
2O(20×2mL)および塩水(30mL)で洗浄し、Na
2SO
4下蒸発乾固させた。粗残留物を、溶離液として5%エチルアセテート含有ヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製、白色固体の高純度1a(9.01g、80%)を得た。
R
f0.512(15%エチルアセテート含有ヘキサン);IR(neat)ν
max 2963.98、1707.17、1595.70;
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ5.12(s、6H)、5.32(s、2H)、7.25−7.42(m、22H);MS(ESI)m/z C
35H
30O
5の計算値:530.20;測定値:553.01[M+Na]
+。
【0090】
3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸(1b)
1a(4gm、7.54mmol)のエタノール溶液(40mL)に、20%KOH溶液(10mL)を添加した。反応物の混合体を2h還流した。エタノールを真空下蒸発させ、6N HClで中和させた。当該混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出し、塩溶液で洗浄した(20mL)。当該有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、蒸発乾固した。祖残留物を、溶離液として30%エチルアセテート含有ヘキサンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、白色固体の高純度3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸(1b)(2.78g、84%)を得た。R
f=0.515(50%エチルアセテート含有ヘキサン)。
IR(neat)ν
max 2958.05、1686.66、1596.47;
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ5.15(s、6H)、7.25−7.44(m、17H);MS(ESI)m/z C
28H
24O
5の計算値:440.16;測定値:463.23[M+Na]
+。
【0091】
3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−N−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)ベンズアミド(2a)
2aは、標準的なEDCカップリング法を用いて、3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸(860mg、1.95mmol)および5−ヒドロキシトリプタミンハイドロクロライド(496mg、2.34mmol)を縮合することにより、合成された。当該化合物は、2%メタノール含有クロロホルムを用いて溶出され、白色固体(874mg、75%)として分離された。R
f:0.470(5%メタノール含有クロロホルム)。
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ3.01(t、J=6.9Hz、2H)、3.64(t、J=7.05Hz、2H)、5.03(s、2H)、5.07(s、2H)、6.67(d、J=7.6Hz、1H)、6.99(s、1H)、7.05(s、1H)、7.17(s、2H)、7.19−7.46(m、16H);
13C NMR(75MHz、CDCl
3)δ24.66、40.61、71.76(2C)、74.79、102.59、106.14(2C)、111.78、123.02、126.95、127.26(6C)、127.57、127.83、128.08、128.18、128.18(6C)、129.58、131.06、136.35、137.12、137.83、140.25、140.84、149.99、152.25(2C)、167.31; MS(ESI)m/zC
38H
34N
2O
5の計算値:598.24;測定値:621.02[M+Na]
+。
【0092】
3,4,5−トリヒドロキシ−N−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)ベンズアミド(3a)
3aは、2aに水素添加することにより形成され、少し赤味を帯びた固体として分離された(83%)。R
f:0.512(エチルアセテート);mp:225−228℃。
IR(neat)ν
max3409.91、3365.55、3197.76、1577.66、1527.52、1444.58;
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ2.97(t、J=7.05Hz、2H)、3.60(t、J=6.9Hz、2H)、6.68(d、J=8.7Hz、1H)、6.85(s、2H)、7.01(s、1H)、7.04(s、1H)、7.17(d、J=8.7Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.42、41.78、103.60、107.75(2C)、112.38、112.62、112.66、124.26、126.33、129.42、133.10、138.07、146.65(2C)、151.08、170.49;HRMS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
17H
16N
2O
5Naの計算値351.0957;測定値:351.0948。
【0093】
(実施例4:2bの生成プロセス)
(E)−N−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド(2b)は、標準的なEDC合成法を用いて、クマル酸(150mg、0.914mmol)および5−ヒドロキシトリプタミンハイドロクロライド(232mg、1.09mmol)を縮合することにより、合成された。2bは55%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出し、赤味かかった半固体として分離された(182mg、62%)。R
f:0.58(エチルアセテート);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ2.93(t、J=7.35Hz、2H)、3.58(t、J=7.35Hz、2H)、6.41(d、J=15.9Hz、1H)、6.68(dd、J=8.7Hz、2.24Hz、1H)、6.80(d、J=8.7Hz、2H)、6.83(d、J=2.1Hz、1H)、7.04(s、1H)、7.17(d、J=8.7Hz、1H)、7.41(d、J=8.7Hz、2H)、7.47(d、J=15.6Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.41、41.65、101.15、112.52、112.69、113.12、116.26(2C)、118.52、124.48、127.52、129.15、130.42(2C)、133.57、141.62、154.54、160.16、169.60;MS(ESI)m/z C
19H
18N
2O
3の計算値:322.13;測定値345.07[M+Na]
+。
【0094】
(実施例5:2cの生成プロセス)
3−((2−((1H−インドール−3−イル)メチルアミノ)エチル)−1H−インドール−5−オル(2c)は、標準的なEDCカップリング法を用いて、5−ヒドロキシトリプタミンハイドロクロライド(50、0.235mmol)およびインドール−3−酢酸(293mg、1.67mmol)を縮合することにより、合成され、60%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出し、黄味を帯びた半固体として分離された(301mg、62%)。
R
f:0.512(エチルアセテート);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ2.80(t、J=6.9Hz、2H)、3.43(t、J=7.05Hz、2H)、3.64(s、2H)、6.66(dd、J=8.7Hz、J=2.1、1H)、6.70(s、1H)、6.90(s、1H)、7.00(t、J=7.35Hz、1H)、7.09−7.16(m、3H)、7.37(d、J=7.8Hz、1H)、7.47(d、J=7.8Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.07、34.12、41.26、101.22、109.33、112.37、112.55、112.67、112.89、119.35、120.13、122.62、124.24、125.03、128.45、128.91、133.26、138.04、154.85、174.75;MS(ESI)m/z C
20H
19N
3O
2の計算値:333.14;測定値356.19[M+Na]
+。
【0095】
(実施例6:TRGA(3b)の合成方法)
1. 化合物N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)ベンズアミド(2d)
2dは、標準的なEDCカップリング法を用いて、3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸(480mg、1.09mmol)およびトリプタミンハイドロクロライド(256mg、1.308mmol)を縮合することにより、合成された。2dは、0.5%メタノール含有クロロホルムを用いて溶出され、白色固体として分離された(482mg、76%)。R
f:0.538(1.5%メタノール含有クロロホルム);mp:105−107℃;IR(neat)ν
max 3413.77、1637.45、1579.59、1496.66;
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ2.96(t、J=6.14Hz、2H)、3.63(t、J=6.2Hz、2H)、4.89(s、4H)、4.96(s、2H)、6.08(bs、1H)、6.85(s、3H)、6.87−7.25(m、18H)、7.54(d、J=7.5Hz、1H)、8.21(bs、1H);
13C NMR(75MHz、CDCl
3)δ24.90、40.65、71.01(2C)、75.05、106.44(2C)、111.39、118.48、119.36、121.98、122.30、126.86、127.44(6C)、127.88、128.09、128.40(6C)、128.48、129.97、136.33、136.56(2C)、137.31、140.69、140.92、152.54(2C)、167.12;MS(ESI)m/z C
38H
34N
2O
4の計算値:582.25;測定値:605.07[M+Na]
+。
【0096】
2. N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3,4,5−トリヒドロキシベンズアミド(3b)
N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3,4,5−トリヒドロキシベンズアミド、TRGA(3b)は、2dを水素添加することにより生成され、赤味を帯びた半固体として分離された(81%)。
Rf:0.489(エチルアセテート);IR(neat)ν
max 3443.05、3323.46、3230.87、1649.19、1556.61;
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ3.04(t、J=7.35Hz、2H)、3.62(t、J=7.2Hz、2H)、6.85(s、2H)、6.98−7.12(m、3H)、7.34(d、J=7.4Hz、1H)、7.62(d、J=7.5Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.29、41.90、107.78(2C)、110.32、112.18、119.34、119.58、122.28、123.38、126.36、128.19、137.90、138.02、146.57(2C)、170.34; HRMS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
17H
16N
2O
4Naの計算値:335.1008、測定値:335.1003。
【0097】
(実施例7:2eの合成プロセス)
(E)−N−(2−(1H−インドール−3−イル)エチル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド(2e)は、標準的なEDCカップリング法を用いて、クマル酸(150mg、0.914mmol)およびトリプタミンハイドロクロライド(215mg、1.09mmol)を縮合することにより、合成された。2eは、45%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出し、黄味を帯びた固体として分離された(178mg、64%)。R
f:0.593(80%エチルアセテート含有ヘキサン);mp:135−138℃;
IR(neat)ν
max 3407.98、3367.48、3083.96、1650.95、1602.74、1442.66;
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ3.02(t、J=7.35Hz、2H)、3.60(t、J=7.2Hz、2H)、6.41(d、J=15.6Hz、1H)、6.80(d、J=8.4Hz、1H)、7.01(t、J=7.35Hz、2H)、7.09(t、J=7.35Hz、2H)、7.34(d、J=8.1Hz、1H)、7.41(d、J=8.1Hz、2H)、7.47(d、J=15.6Hz、1H)、7.59(d、J=8.4Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.37、41.59、112.21、113.26、116.68(2C)、118.52、119.30、119.60、122.31、123.40、127.70、128.74、130.54(2C)、138.12、141.70、160.43、169.25;MS(ESI)m/z C
19H
18N
2O
2の計算値:306.13;測定値:329.12[M+Na]
+ 。
【0098】
(実施例8:2fの合成プロセス)
N−((1H−インドール−3−イル)メチル)−2−(1H−インドール−3−イル)エタンアミン(2f)は標準的なEDCカップリング法を用いて、トリプタミンハイドロクロライド(300mg、1.53mmol)およびインドール−3−酢酸(293mg、1.67mmol)を縮合することにより、合成された。2fは、50%エチレン含有ヘキサンを用いて溶出され、黄味を帯びた半固体として分離された(301mg、62%)。
R
f:0.484(90%エチルアセテート含有ヘキサン);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ2.86(t、J=6.9Hz、2H)、3.43(t、J=7.05Hz、2H)、3.62(s、2H)、6.76(s、1H)、6.94−7.15(m、5H)、7.31(d、J=8.1Hz、1H)、7.35(d、J=8.1Hz、1H)、7.47−7.50(m、2H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.01、34.02、41.31、106.20、112.21、112.40、112.87、119.22、119.35、119.61、120.08、122.29、122.66、123.45、125.07、128.22、128.43、128.60、138.08、174.80;MS(ESI)m/z C
20H
19N
3Oの計算値:317.15;測定値:340.24[M+Na]
+ 。
【0099】
(実施例9:MEGA(3c)の合成プロセス)
化合物3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)−N−(2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)ベンズアミド(2g)
2gは、標準的なEDCカップリング法を用いて、1b(480mg、1.09mmol)および5−メトキシトリプタミン(248mg、1.308mmol)を縮合して合成され、0.5%メタノール含有クロロホルムを用いて溶出され、白色固体として分離された(565mg、84%)。R
f:0.517(1.6%メタノール含有クロロホルム);mp:125−128℃;
IR(neat)ν
max 3357.84、1637.45、1587.31、1552.59、1448.44;
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ3.03(t、J=7.05Hz、2H)、3.61(t、J=7.05Hz、2H)、3.74(s、3H)、500(s、4H)、5.05(s、2H)、6.09(bs、1H)、6.85(d、J=8.4Hz、1H)、6.93(s、2H)、6.99(s、1H)、7.05(s、1H)、7.25−7.36(m、16H)、8.05(bs、1H);
13C NMR(75MHz、CDCl
3)δ24.91、40.74、55.58、70.95(2C)、75.03、100.12、106.37(2C)、112.13、112.23、122.98、137.44、127.44(6C)、127.70、127.87、128.08、128.38(6C)、128.46、129.93、131.40、136.52(2C)、137.27、140.68、152.56(2C)、153.88、166.97;MS(ESI)m/z C
39H
36N
2O
5の計算値:612.26;測定値:635.10[M+Na]
+ 。
【0100】
3,4,5−トリヒドロキシ−N−(2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)ベンズアミド、MEGA(3c)
3cは、2gに水素添加することにより合成された(83%)。
R
f:0.481(90%エチルアセテート含有ヘキサン);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ3.00(t、J=7.05Hz、2H)、3.61(t、J=7.05Hz、2H)、3.76(s、3H)、6.75(d、J=8.7Hz、1H)、6.86(s、2H)、7.07(s、1H)、7.09(s、1H)、7.22(d、J=8.7Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ26.26、42.00、56.16、101.24、107.77(2C)、112.57、112.87、113.24、124.19、126.28、129.02、133.13、137.86、146.55(2C)、154.77、170.18。HRMS(ESI)m/z(M+Na)
+ C
18H
18N
2O
5Naの計算値:365.1113、測定値:365.1110。
【0101】
(実施例10:2hの合成プロセス)
(E)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−N−(2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)アクリルアミド(2h)は、標準的なEDCカップリング法を用い、クマル酸(150mg、0.914mmol)および5−メトキシトリプタミン(207mg、1.09mmol)を縮合することにより、合成された。2hは、25%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出され、黄味を帯びた固体として分離された(181mg、59%)。
R
f:0.424(80%エチルアセテート含有ヘキサン);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ2.97(t、J=6.9Hz、2H)、3.58(t、J=7.05Hz、2H)、3.78(s、3H)、6.38(d、J=15.6Hz、1H)、6.74−6.81(m、3H)、7.06(d、J=8.7Hz、2H)、7.22(d、J=8.7Hz、1H)、7.37(d,J=8.7Hz,2H)、7.47(d,J=15.9Hz,1H);
13C NMR(75MHz,CD
3OD)δ26.34、41.66、56.25、101.25、112.62、112.89、113.15、116.66(2C)、118.52、124.18、127.62、129.05、130.52(2C)、133.27、141.68、154.84、160.36、169.20;MS(ESI)m/z C
20H
20N
2O
3の計算値:336.14;測定値:359.07[M+Na]
+ 。
【0102】
(実施例11:2iの合成プロセス)
N−((1H−インドール−3−イル)メチル)−2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)エタンアミン(2i)は、標準的なEDCカップリング法を用いて、5−メトキシトリプタミン(48mg、0.25mmol)およびインドール−3−酢酸(50mg、0,28mmol)を縮合することにより合成された。2cは、50%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出し、黄味を帯びた固体として分離された(52mg、61%)。R
f:0.441(90%エチルアセテート含有ヘキサン)。
1H NMR (300MHz、CD
3OD) δ2.83(t、J=7.2Hz、2H)、3.43(t、J=7.05Hz、2H)、3.62(s、2H)、3.77(s、3H)、6.73−6.76(m、2H)、6.97−7.02(m、2H)、7.06(s、1H)、7.11(t、J=7.46Hz、1H)、7.20(d、J=8.7Hz、1H)、7.36(d、J=8.1Hz、1H)、7.46(d、J=7.8Hz、1H);
13C NMR (75MHz、CD
3OD) δ26.06、34.02、41.16、56.26、101.22、109.23、112.36、112.53、112.66、112.88、119.33、120.03、122.61、124.23、125.03、128.43、128.90、133.27、138.05、154.86、174.75;MS(ESI)m/z C
21H
21N
3O
2の計算値:347.16;測定値:370.28 [M+Na]
+。
【0103】
(実施例12:4dの合成プロセス)
tert−ブチル−2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチルカルバメート(4a)
5−ヒドロキシトリプタミンハイドロクロライド(500mg、2.35mmol)のクロロホルム(10mL)溶液に、炭酸水素ナトリウム(197mg、2.35mmol)水溶液(6mL)、塩化ナトリウム(500mg)およびジ−tert−ブチルオキシカルボニル無水物(512mg、10mmol)の3mLクロロホルム溶液を、続けて加えた。当該混合物を、よく撹拌しながら3h還流した。当該水相をクロロホルムで1回洗浄し、合わせた有機相を水(20mL)および塩水(10mL)で洗浄、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。有機層は減圧下除去された。粗残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精留され、4aが得られた。4aは、20%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出され、固体(621mg、95%)として分離された。
R
f:0.538(50%エチルアセテート含有ヘキサン);mp:55−57℃;
1H NMR (300MHz、CDCl
3)δ1.37(s、9H)、2.79(bs、2H)、 3.34、(bs、2H)、4.61(bs、1H)、5.56(bs、1H)、6.72(dd、J=8.7Hz、1.8 Hz、1H)、6.90(s、1H)、6.94(s、1H)、7.13(d、J=8.7Hz、1H)、8.16(bs、1H);
13C NMR(75MHz、CDC1
3) δ25.67、28.37(3C)、40.59、79.47、103.14、111.84(2C)、111.98、123.11、127.85、131.41、149.69、156.33;MS(ESI)m/z C
15H
20N
2O
3の計算値:276.14;測定値:299.14[M+Na]
+。
【0104】
3−(2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)−1H−インドール−5−イル3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)ベンゾエート(4b)
4bは、3,4,5−トリス(ベンジルオキシ)安息香酸(1b)(340mg、0.773mmol)およびtert−ブチル−2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチルカルバメート(4a)(256mg、0.927mmol)を縮合することにより合成された。4bは25%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出され、白色固体として分離された(250mg、56%)。
R
f:0.428(45%エチルアセテート含有ヘキサン);
1H NMR(300MHz、CDCl
3)δ1.43(s、9H)、2.86(t、J=7.2Hz、2H)、3.42(bs、2H)、4.63(bs、1H)、4.63(bs、1H)、5.18(s、6H)、6.77(d、J=7.5 Hz、1H)、6.99−7.03(m、2H)、7.27(s、 2H)、7.34−7.47(m、16H);
13C NMR(75MHz、CDC1
3) δ 25.60、28.34(3C)、40.58、71.16(2C)、75.12、79.21、103.04、109.44(2C)、110.76、111.75、111.89、 112.91、123.66、127.52(6C)、127.97、128.13、128.46、128.50(6C)、131.36、134.26、136.44、137.22、142.58、144.07、149.76、152.55(2C)、156.07、165.85;MS(ESI)m/z C
43H
42N
20
7の計算値:698.29;測定値:721.18[M+Na]
+。
【0105】
3−(2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)−1H−インドール−5−イル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(4c)
4cは、4bの水素添加により合成され、無色半固体として分離された(79%)。R
f:0.411(5%メタノール含有クロロホルム);
1H NMR(300MHz、CD
3OD) δ1.41(s、9H)、2.89(t、J =7.2Hz、2H)、3.3(t、J=7.05Hz、2H)、6.89(dd、J=10.2Hz、1.8Hz、1H)、7.135(s、2H)、7.26(s、2H)、7.36(d、J=10.2Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD) δ26.71、28.73(3C)、42.56、79.95、110.29、110.53(2C)、111.67、112.57、125.06、121.15、129.12、135.88、140.25、145.33、146.3、146.60(2C)、158.47、168.231;MS(ESI)m/z C
22H
24N
20
7の計算値:428.18;測定値451.06[M+Na]
+。
【0106】
3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−5−イル3,4,5−トリヒドロキシベンゾエート(4d)
0℃の、4c(50mg、0.116mmol)のCH
2Cl
2(100μL)溶液に、96%ギ酸(200μL)を滴下した。30分後、冷却槽を除去し、さらに1時間室温で撹拌し続けた。ギ酸を真空下除去し、残留物はメタノール(1mL)に溶解された。30%NH
3水溶液を用いて、当該溶液のpHを8に調整した。アルコール部を減圧下取り除き、4dを得た。生成物は、半固体として分離された(31mg、82%)。
1H NMR(300MHz、D
2O) δ2.77(t、J=6.7Hz、2H)、3.01(t、J=6.6Hz、2H)、6.73(d、J=8.7Hz、1H)、6.94(s、 2H)、7.08(bs、2H)、7.22(d、J=8.7Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CDC1
3) δ21.93、38.96、108.70、109.39、109.66(2C)、111.89、115.28、119.13、124.96、126.10、133.82、138.01、143.07、143.85(2C)、169.94; MS(ESI)m/z C
17H
16N
20
5の計算値:328.10;測定値:329.05[M+H]
+。
【0107】
(実施例13:5aの合成プロセス)
丸底フラスコ内で、メラトニン(48mg、0.21mmol)を脱水CH
2Cl
2(3ml)に溶かした。当該反応混合物を、液体窒素を用いたアセトン槽によって−78℃に冷却した。当該冷却反応物に、三臭化ホウ素(0.12ml、12mmol)を滴下し、さらに1時間当該温度において撹拌し続けた。その後、反応混合物を室温において一晩撹拌した。反応の終了はTLCでモニターした。反応混合物を、水および10%HClを添加して反応を停止し、エチルアセテートを用いて抽出した。合わせた有機相を水(20mL)および塩水(10mL)により洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。当該有機層を減圧下除去した。粗残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、N−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチル)アセトアミド(5a)を得た。6%メタノール含有クロロホルムを用いて溶出され、赤味を帯びた半固体(20mg、45%)として分離された。
R
f:0.451(10%メタノール含有クロロホルム);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ1.92(s、3H)、2.86(t、J=7.2Hz、2H)、3.44(t、 J=7.2Hz、2H)、6.67(dd、J=8.7Hz、2.22Hz、1H)、6.94(d、J=2.18Hz、1H)、7.01(s、1H)、7.16(d、J=8.5Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD) δ21.64、25.25、40.45、102.54、111.39、111.54、111.70、123.23、128.48、132.11、150.12、172.32;MS(ESI)m/z C
12H
14N
2O
2の計算値:218.10;測定値:241.11[M+Na]
+。
【0108】
(実施例14:6cの合成プロセス)
5−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−オキソペンタノイックアシッド(6a)
4a(235mg、0.851mmol)、DMAP(17.5mg、0.143mmol)のTHF溶液(5mL)に、Et
3N(179μL、1.276mmol)を加えた。グルタル酸無水物(126mg、1.105mmol)のTHF溶液3mLを当該溶液にゆっくりと滴下した。当該混合物をアルゴン下4時間撹拌し還流した。THFを真空状態で除去し、EtOAc5mLを加え、次いでH
2Oを10mL添加し、混合物を10分撹拌した。有機相を分離し、エチルアセテート(5mL×3)で抽出した。合わせた有機相を塩水(10mL)で洗浄し、Na
2SO
4を用いて乾燥した。有機層を減圧下除去した。粗残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、6aが得られた。シリカゲルに45%エチルアセテート含有ヘキサンを用いて溶出され、やや赤味を帯びた半固体(245mg、74%)が分離された。
R
f:0.511(80%エチルアセテート含有ヘキサン);
1H NMR(300MHz、 CDC1
3) δ1.42(s、9H)、2.09−2.14(m、2H)、2.54(t、 J=7.05Hz、2H)、2.68(t、J=7.05Hz、2H)、2.88(bs、 2H)、3.39(bs、2H)、4.67(bs、1H)、6.87(d、J= 8.4 Hz、1H)、7.00(bs、2H)、7.29(bs、1H)、8.24(bs、1H);
13C NMR(75MHz、CDCl
3) δ19.91、25.73、28.31(3C)、32.83、33.36、40.72、79.26、110.82、111.48(2C)、116.03、123.38、127.67、134.15、143.95、156.00、172.38、177.30; HRMS(ESI)m/z[M+Na]
+ C
20H
26N
2O
6Naの計算値:413.1689;測定値413.1800。
【0109】
3−(2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)−1H−インドール−5−イル 5−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンタノエート(6b)
1b(187mg、0.481mmol)、5−ヒドロキシトリプタミンハイドロクロライド(112mg、0.528mmol)およびEt
3N(337μL、2.40mmol)のDMF溶液(3mL)に、EDCハイドロクロライド(110mg、0.528mmol)を0℃で加えた。当該反応混合物を室温で一晩撹拌し、当該反応混合物を氷冷H
2O(5mL)の添加により停止、エチルアセテート(2×5mL)で抽出した。合わせた有機相を塩水(5mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。有機層は減圧下除去した。粗残留物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製され、6bを得た。55%エチルアセテート含有ヘキサンをシリカゲルに用いて溶出され、やや赤味を帯びた半固体が得られた(97mg、36%)。
R
f:0.525(エチルアセテート);
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ1.43(s、9H)、1.97−2.07(m、2H)、2.33(t、J=7.35Hz、 2H)、2.59(t、J=7.2Hz、2H)、2.99(bs、4H)、3.32(bs、 2H)、3.49(t、J=7.2Hz、2H)、6.68(dd、J=8.7Hz、1.8Hz、1H)、6.83(dd、J=8.7Hz、1.8Hz、1H)、6.96(d、 J=1.8Hz、1H)、7.03(s、1H)、7.21−7.18(m、2H)、7.27−7.34(m、2H);
13C NMR(75MHz、CD
3OD)δ20.90、24.96、25.36、27.43(3C),32.94、34.71、39.87、41.04、78.57、102.20、110.15、111.05、111.19、111.37、112.46、115.10、122.94、123.10、123.70、127.65、128.65、128.10、131.70、134.52、143.70、157.09、173.14、173.78;MS(ESI)m/z C
30H
36N
4O
6の計算値:548.26;測定値:571.25[M+Na]
+。
【0110】
3−(2−アミノエチル)−1H−インドール−5−イル 5−(2−(5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル)エチルアミノ)−5−オキソペンタノエート(6C)
0℃の6b(90mg、0.164mmol)CH
2Cl
2溶液(200μL)に96%ギ酸(400μL)を滴下した。30分後、冷却槽を除去し、室温においてさらに1時間撹拌し続けた。ギ酸を真空下除去した。残留物をメタノール(1mL)に溶解した。30%NH
3水溶液を用いて、溶液のpHを8に調整した。アルコール部を減圧化で除去した。6cは半固体として分離された(60mg、81.66%)。
1H NMR(300MHz、CD
3OD)δ1.95−2.02(m、2H)、2.32(t、J=6.9Hz、2H)、2.59(t、J=6.9Hz、2H)、2.89(t、J=6.9Hz、2H)、3.08(bs、2H)、3.20(t、J=6.6Hz、2H)、3.49(t、J=6.6Hz、2H)、6.67(d、J=8.4Hz、1H)、6.87(d、J=8.7Hz、1H)、6.96(s、1H)、7.03(s、1H)、7.17(d、J=8.4Hz、1H)、7.247(s、1H)、7.30(s、1H)、7.38(d、J=8.1Hz、1H);
13C NMR(75MHz、CD3OD) δ22.30、24.43、26.35、34.34、36.09、41.11、41.31、103.55、110.68、111.19、112.38、112.50、112.69、112.98、116.98、124.27、125.97、128.35、129.49、133.12、136.17、145.39、151.12、174.52、175.19; HRMS(ESI)m/z(M+H)
+ C
25H
28N
4O
4の計算値:449.2188、測定値:449.2182。
【0111】
(実施例15:試験管内での鉄還元抗酸化力(FRAP)アッセイを用いた抗酸化性の決定)
当該測定を96穴マイクロプレートで行った。FRAP試薬を、10mlアセテートバッファー(200mM、pH3−6)、1mlの2,4,6−トリス(2−ピリジル)−s−トリアジン(TPTZ)溶液(40mMのHCl中10mM)、および1mlの塩化鉄溶液(20mM)を蒸留水中で混合することによって調整した。1時間、当該混合物を37℃のウォーターバス中で保温した。96穴マイクロプレートに、1−25μMの範囲の様々な濃度に溶解された(メタノール中、化合物によっては水に溶解)検討中の化合物を25μL、3組設置し、直近に調整されたFRAP溶液(175μL)を当該サンプルに添加した。マイクロプレートリーダーによって、様々な経過時間で150分まで、595nmの吸光度をモニターした。175μLのFRAP溶液および25μLメタノールまたは水の混合物の吸光度を各経過時間で測定し、吸光度変化(ΔA)を計算するために、各経過時間におけるサンプルの吸光度から減じた。経過時間tにおけるFRAP値(FRAP value
t)は次の計算式によって計算される。
【0112】
【数1】
【0113】
Δa
tF1は、経過時間t(6分および65分)の、濃度10μMにおける検査対象のフラボノイドに関連した吸光度変化であり、Δa
tFe
2+は同一経過時間同一濃度における硫酸鉄に関連した吸光度変化である。(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267、Firuzi O、et al.、“Biochim.Biophys.Acta”、2005、1721、174−184)。
【0114】
(実施例16:試験管内でのフリーラジカルの除去活性(DPPHアッセイ))
2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)は安定なフリーラジカルであり、水素ラジカルまたは電子を受容でき、安定した反磁性分子となる。抗酸化剤は、水素を付加することによってDPPHを除去でき、当該結果はDPPHラジカルの紫色から黄色への変色によって視覚化される(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267、Ben Farhat、M.、et al.、“J.Agric.Food Chem.”、2009、57、10349−10356、Han J、et al.、“Wei Sheng Yan Jiu”、2009、38、596−598)。当該アッセイシステムは、10〜100μMの範囲の様々な濃度に溶解(メタノール中、化合物によっては水に溶解)された検討化合物1mL、およびメタノール(水に80% v/v)中DPPH(0.15mM)4mlを含み、よく混合させた。当該混合物を、遮光して27℃で30分静置した。同濃度のアスコルビン酸を陽性コントロールとした。当該溶液の吸光度は517nmにおける分光測定で測定され、吸光度の減少から様々なトリプタミン誘導体の抗酸化性を定量した。
【0115】
(実施例17:動物、およびインドメタシンおよびジクロフェナクにより誘発された胃損傷)
スプラギュ−ダウレイ(Sprague−Dwaley)ラット(180−220gm)を本研究において用いた。動物の各群(コントロールまたは実験用)を、24±2℃において、12時間の明暗サイクルで保持した。当該動物を、実験開始前24時間絶食させた。食物により生じる胃酸分泌の増加、およびそれにより胃損傷に影響を及ぼすことを避けるために、当該動物には水を自由に供給した。胃粘膜潰瘍は、記載の通り、インドメタシンを用いて生じさせた(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267, Biswas K.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2003、278、10993−11001,Bandyopadhyay U.、et al.、 “Life Sci.”、2002、71、2845−2865)。概要を記載すると、全動物を、コントロール、インドメタシンおよびテスト化合物の群に、分けた。体重1kgあたり48mgのインドメタシンを絶食した動物に経口投与し、胃潰瘍を生じさせた。薬を用いて前処理する群には、インドメタシンを用いた潰瘍誘発30分前に、動物に腹腔内に薬を与えた(体重1kgあたり50、20、10、5、3、1mg)。コントロール群には、インドメタシンを含有しない溶媒のみ与えた。インドメタシン処理の4時間後、動物を安楽死させ、胃を回収した。粘膜損傷を潰瘍指数として数え、症状なし=0、ピンヘッド潰瘍1つ=1、と数えた。全数の合計を、潰瘍指数を示した動物の数で割った。すべての生体実験は動物倫理委員会のガイドラインに従って行われた。ジクロフェナクが誘発した胃粘膜損傷に対するSEGAの効果を見るために、胃粘膜損傷をジクロフェナクの経口投与(75mgkg
-1)により発生させ、実験の残りをインドメタシンの場合に述べたのと同様の方法で行った。ジクロフェナクはインドメタシンと同様にピンヘッド潰瘍を発生させ、粘膜損傷を潰瘍指数として上述したように数えた。エタノールが誘発した胃粘膜損傷を、1mlの50%エタノールの経口投与によって発生させ(Banerjee R.K.、 “Life Sci”、2002、71、2845−2865)、4時間後当該動物を犠死させた。また寒冷抑制ストレスが誘発した胃粘膜損傷は、動物を4℃において3.5時間固定することによって発生させた(Banerjee R.K.、“Life Sci”、2002、71、2845−2865, “J Biol Chem”、2003、278、10993−11001)。
【0116】
(実施例18:組織学的検査)
異なる群の動物の胃組織をまずPBS(pH7.4)で数回洗浄し、その後10%バッファーホルマリンに12時間25℃で固定した。ホルマリン固定した組織をその後乾燥させ、半薄切片を用意するためにパラフィン中に包埋した(Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2008、283、14391−14401)。半薄切片はミクロトーンを用いて作成され、ヘマトキシリン−エンジン染色法を行うために、ポリ−L−リジンコートされたガラス面に貼付けられた。染色部分をマイクロスコープ(Leica DM−2500、ドイツ製)を用いて観測し、高解像度デジタルカメラを用いて記録した。
【0117】
(実施例19:インドメタシンが誘発した胃損傷に対する、SEGAの治療効果)
胃粘膜損傷をまず投与量48mgkg
-1のインドメタシン処理を行うことにより誘発させた。粘膜損傷を誘発した後4時間経過後に、動物の一部分を2つの異なった群、すなわち自然治癒およびSEGAが誘導する治癒、へ分けた(n=6)。当該時点を、治癒の0時間とした。当該時点において、SEGAが誘導する治癒群には、SEGAを50mgkg
-1投与(腹腔内投与)した(当該投与量は用量−反応曲線から定めた)。SEGAを用いずにインドメタシンのみ与えた動物を、自然治癒群とした。0時間から始め、全群の胃を、上述の潰瘍指数の測定(Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2008、283、14391−14401)および組織学的検査のために、それぞれ経過時間2時間、4時間、8時間において解剖した。
【0118】
(実施例20:ミトコンドリアの分離)
商業上入手可能なキット(Biochain)を、胃粘膜細胞からのミトコンドリア分離のために用いた。概要を述べると、胃粘膜の小片を、氷冷しながらペトリ皿上で、ミトコンドリア抽出バッファーを含有した状態で十分に細かく切り刻んだ。Ultra−Turrax T−25ホモジナイザーをセルの均質化に用いた。核や破壊されていない細胞を取り除くために、均質化された物質をまず10分間800×g遠心分離し、次いで、最終的にミトコンドリアの断片を得るために15分間12000×g遠心分離した。
【0119】
(実施例21:ミトコンドリア酸化ストレスの測定)
ミトコンドリア酸化ストレスは、以前より、タンパク質のカルボニル化、脂質の過酸化の測定、全チオール含有率、を測定することにより行われていた。(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267, Maity P.、 et al.、“J.Biol.Chem.”2009、284、3058−3068, Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2008、283、14391−14401, Maity P.、et al.、“J.Pineal Res.”2009、46、314−323)。
【0120】
ミトコンドリア酸化ストレスは、以前より、ミトコンドリアの全チオール枯渇、脂質過酸化、タンパク質のカルボニル化の測定、により研究されてきた。概要を述べると、チオールの含有量は5,5’−ジチオニトロ安息香酸(DTNB)との反応により測定され、当該反応により、412nmに測定されるTNB(チオニトロ安息香酸)の黄色の発色団が得られる。ミトコンドリアの脂質過酸化は、1mlのミトコンドリアフラクションの0.9%通常生理食塩溶液を、2mlのTBA−TCA混合物(それぞれ0.375% w/v、15% w/v)の0.25N HCl溶液に加えることにより分析され、15分間の混合および煮沸後、冷却され、遠心分離後、上澄み部の535nmの吸光度が測定された。テトラエトキシプロパンを標準とした。タンパク質カルボニルは、ジニトロフェニルヒドラジン(DNP)とカルボニル基の結合を測定する、標準的な発色定量法により測定され、362nmの吸光度が定量された。
【0121】
(実施例22:カスパーゼ−9およびカスパーゼ−3活性アッセイ)
胃粘膜組織の細胞質基質フラクションから、カスパーゼ−9およびカスパーゼ−3活性は、商業上入手可能なキットを用いて測定された(Biovision、Mountain View、CA、USA、Sigmaの各社)。概要を述べると、胃粘膜はカスパーゼ分解バッファー(それぞれのキットによって提供される)により均質化された。均質物を16000×gで15分間遠心分離した。上澄液を回収し、2種類のリアクションバッファー50μl(それぞれのキットによって提供される)と混合した。さらに、カスパーゼ−3に対してはAc−DEDV−pNa(最終濃度200μM)、カスパーゼ−9に対してはLEHD−pNA(最終濃度200μM)、の基質を加えた。混合物を37℃で1時間保温し、405nmの吸光度を測定した(Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2009、284、3058−3068, Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2008、283、14391−14401, Maity P.、et al.、“J.Pineal Res.”、2009、46、314−323)。
【0122】
(実施例23:セルの培養)
胃粘膜細胞を分離し、以前の記載(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267)から少し修正して培養した。ラットの胃粘膜を、100U/mlペニシリンと100μg/mlストレプトマイシンを含んだHBSS(pH7.4)の中に、切り抜いて入れた。粘膜を、その後細かく切り刻み、0.05%ヒアルロニダーゼおよび0.1%コラゲナーゼタイプIを含んだHBSS(pH7.4)中に、吊るした。懸濁液を、37℃30分、5%CO
2雰囲気下で振とうさせながら保温し、その後ステリルナイロンメッシュを通して濾過した。濾過水を600×g5分間遠心分離した。細胞のペレットをHBSS(pH7.4)で洗浄し、さらに遠心分離した。当該ペレットを、10%ウシ胎児血清(FBS)および100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよびゲンタマイシンを追加し、T25フラスコ内で、5mlのHans F−12メディア中、保温した。細胞を5%CO
2下37℃にて培養させ、治療前と90%一致するように成長させた。当該手順に従って得られた細胞の90%は、上皮特性を有していた。
【0123】
(実施例24:ミトコンドリア膜電位(ΔΨ
m)の測定)
ミトコンドリア膜電位(ΔΨ
m)を記載の通り測定した(Maity P.、et al.、 “J.Biol.Chem.”、2009、284、3058−3068, Maity P.、 et al.、“J.Biol.Chem.”、2008、283、14391−14401, Maity P.、et al.、“J.Pineal Res.”、2009、46、314−323)。ミトコンドリアは、前述の通り胃粘膜の断片から、ミトアイソレーション(Mitoisolation)キット(Biochain)を用いて分離された。各群(コントロール、インドメタシン、ジクロフェナク、およびSEGA前処理を行ったインドメタシンやジクロフェナク処理)から等量のミトコンドリア(25μg)を100μlのJC−1アッセイバッファー(550mMのKCl、50mMのATP、50mMのMgCl
2、50mMの亜硫酸ナトリウム、5mMのEGTAを含む、100mMのMOPS、pH7.5)中に取り、JC1(300nM)中25℃で15分間暗所にて保温した。各サンプルの蛍光(490nmの励起、JC−1単体の530nmの発光、JC−1総量の590nmの発光)をHitachi F−7000蛍光分光計を用いて測定した。ΔΨmは590nm/530nmの蛍光比を表す。
【0124】
(実施例25:ミトコンドリアの脱水素酵素活性アッセイ)
ミトコンドリア膜電位は、MTT([3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド])をホルマザン色素に還元する、ミトコンドリア脱水素酵素能を測定することによって検討されてきた(Pal C、et al.、“Free Radic Biol Med”、2010、49、2、258−267)。同数の胃粘膜の初代培養細胞を、12穴プレートの各ウェルに取り(10
6)、コントロール、インドメタシン処理(5mM)、SEGA(50μM)に加えてインドメタシン(5mM)の処理、の3群に分けた。16時間保温後、細胞を分離し、500×g5分間遠心分離し、上澄液を廃棄した。セルペレットを新しい細胞培地に再構成した。各群から最終体積100μlの細胞培地中の同数の細胞(10
5細胞)を、96穴プレートに3組採取した。MTT(最終濃度0.1%)溶液を、コントロールおよび実験群の両方の各ウェルに加え、よく撹拌し、37℃で3時間、CO
2恒温器で保温した。保温後、培地を慎重に吸引し、穴底部の不溶性ホルマザン結晶を、無水イソプロパノール中10%Triton X−100に加えて0.1N HClを含む、100μl MTT溶解溶液に溶解させた。MTT還元を570nm(ホルマザン色素の吸光度)において測定した。
【0125】
(実施例26:ミトコンドリア内の過酸化物の測定)
コントロールおよびインドメタシン処理の両方の培養胃粘膜から得た、分離された粘膜細胞を、ミトソックスを用いたミトコンドリア内過酸化物の検出に用いた。当該方法は、過酸化物に反応する蛍光プローブであり、製品カタログ記載のプロトコルに従って行われた(Maity P.、 et al.、“J.Biol.Chem.”、2009、284、3058−3068)。細胞はそれぞれHBSS(pH7.4)を用いた蛍光プローブによって染色され、製品プロトコル記載の通り37℃15分間暗所で保温された。保温後、細胞を、HBSSを用いて3回洗浄し、蛍光顕微鏡を用いて検査した(Leica, DM−2500, Leica Microsystems)。ミトソックスによる染色は赤色フィルターを用いて視覚化された。
【0126】
(実施例27:遊離鉄の測定)
コントロールおよびインドメタシン処理の両方の培養胃粘膜から得た、分離された粘膜細胞を、フェングリーンSK(Phen Green SK)を用いた遊離鉄の局在化に用いた。当該方法は、鉄に反応する蛍光プローブであり、製品カタログ記載のプロトコルに従って行われた(Maity P.、et al.、“J.Biol.Chem.”、2009、284、3058−3068)。細胞を、まずフェングリーンSK(20μm)を用いて、15分37℃暗所で保温した。保温後、当該細胞を、HBSSを用いて洗浄、続けて蛍光顕微鏡を用いて検査した(Leica,DM−2500,Leica Microsystems)。フェングリーンSKによる染色は、緑色フィルターを用いて視覚化された。
【0127】
(本発明の利点)
本発明において合成した誘導体は、いくつかの利点を有している。
1. 当該誘導体は、遊離鉄をキレート化でき、ROSを除去することによって酸化ストレスを妨げ、同時に試験管内で抗アポトーシス効果を提供することができる。
2. 当該誘導体は、生体内でROSを除去するだけでなく、鉄が媒介したOHの形成を妨げる能力を有する。当該誘導体は、NSAIDsが誘発した胃粘膜細胞におけるROS媒介アポトーシス活性化を妨げることによって、胃粘膜の酸化ストレスや胃疾患を予防することができる。
3. 本発明は、胃保護効果を有する新規小分子や、胃疾患に対する新薬発見のための新規方法を提供する。