(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧支持機構は、前記外側ケーシングの嵌合部と前記内側ケーシングの嵌合部の一方にねじ係合し、他方に押圧する支持パッドを有することを特徴とする請求項1に記載の回転機械。
前記外側ケーシングの嵌合部が凹形状をなし、前記内側ケーシングの嵌合部が凸形状をなし、前記支持パッドは、前記内側ケーシングの嵌合部にねじ係合することを特徴とする請求項2に記載の回転機械。
前記回り止め機構は、前記支持パッドの基端部に係止する係止部材と、前記係止部材を前記外側ケーシングまたは前記内側ケーシングに固定する固定部材とを有することを特徴とする請求項4に記載の回転機械。
前記外側ケーシングに対して前記内側ケーシングを径方向に移動自在に支持する芯出機構が設けられることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の回転機械。
上下に半割れ形状をなすケーシング内に軸受を介して回転軸が回転自在に支持されると共に、前記ケーシングの内部であって前記回転軸の外周側に内側ケーシングが設けられた回転機械において、
前記複数の燃焼器を被覆するように前記ケーシングにおける上部ケーシングを前記内側ケーシングの端部に径方向に嵌合する工程と、
支持パッドにより前記ケーシングと前記内側ケーシングとの嵌合部を前記回転軸の軸心方向に押圧支持する工程と、
を有することを特徴とする回転機械の組立方法。
前記支持パッドは、前記上部ケーシングと前記内側ケーシングの一方にねじ係合しており、前記上部ケーシングが前記内側ケーシングの端部に嵌合したとき、前記支持パッドを回転することで前記上部ケーシングと前記内側ケーシングの他方に押圧することを特徴とする請求項7に記載の回転機械の組立方法。
前記支持パッドにより前記上部ケーシングと前記内側ケーシングとを押圧支持した後、前記上部ケーシングと前記内側ケーシングに対して前記支持パッドの回り止めを行うことを特徴とする請求項8に記載の回転機械の組立方法。
上下に半割れ形状をなすケーシング内に軸受を介して回転軸が回転自在に支持されると共に、前記ケーシングの内部であって前記回転軸の外周側に内側ケーシングが設けられた回転機械において、
前記ケーシングにおける上部ケーシングと下部ケーシングとの締結を解除する工程と、
前記下部ケーシングに対して前記上部ケーシングを上昇させて離脱させる工程と、
前記ケーシング内部をメンテナンスする工程と、
前記上部ケーシングを前記内側ケーシングの端部に径方向に嵌合する工程と、
支持パッドにより前記上部ケーシングと前記内側ケーシングとの嵌合部を前記回転軸の軸心方向に押圧支持する工程と、
前記上部ケーシングを前記下部ケーシングに締結する工程と、
を有することを特徴とする回転機械のメンテナンス方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のガスタービンにあっては、燃焼器が支持される中間軸カバーは、外周端部が上部ケーシングの嵌合部に嵌合し、ボルトによって固定されており、燃焼器のメンテナンス時は、このボルトを弛緩して上部ケーシングを取り外すようにしている。ところが、中間軸カバーと上部ケーシングとのボルト締結部は、ガスタービンの運転時に高温となり、ボルトのねじ部が焼き付いてしまい、ボルトを弛緩することが困難となり、燃焼器のメンテナンスに支障をきたしてしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、ケーシングの取外しを容易として内部のメンテナンス性の向上を図る回転機械及び回転機械の組立方法、回転機械のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の回転機械は、ケーシング内に回転体が回転自在に支持される回転機械において、半割れ形状をなす上下の外ケーシング部から構成される外側ケーシングと、半割れ形状をなす上下の内ケーシング部から構成されて前記外側ケーシングの内側に設置される内側ケーシングと、前記外側ケーシングと前記内側ケーシングとにおける径方向嵌合部を前記回転体の軸心方向に押圧支持する押圧支持機構と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、押圧支持機構により外側ケーシングの内側に設置される内側ケーシングとを軸心方向に押圧支持していることから、外側ケーシングと内側ケーシングとの間にねじ係合部がなく、ねじ部の焼き付けを回避することができる。そのため、押圧支持機構による外側ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除するだけで、内側ケーシングから外側ケーシングを取外すことができる。また、押圧支持機構による外側ケーシングと内側ケーシングとの押圧が解除できなくても、外側ケーシングに対して径方向における外側に荷重を作用させることで、外側ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除しなくても外側ケーシングを取外すことができる。その結果、ケーシングの取外しを容易にして内部の構造物のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0009】
本発明の回転機械で、前記押圧支持機構は、前記外側ケーシングの嵌合部と前記内側ケーシングの嵌合部の一方にねじ係合し、他方に押圧する支持パッドを有することを特徴としている。
【0010】
従って、支持パッドを回転するだけで、支持パッドによる外側ケーシングと内側ケーシングとの押圧支持及び押圧の解除を行うことができ、外側ケーシングにおける組付作業及び解体作業の作業性を向上することができる。
【0011】
本発明の回転機械で、前記外側ケーシングの嵌合部が凹形状をなし、前記内側ケーシングの嵌合部が凸形状をなし、前記支持パッドは、前記内側ケーシングの嵌合部にねじ係合することを特徴としている。
【0012】
従って、外側ケーシングの凹形状をなす嵌合部に内側ケーシングの凸形状をなす嵌合部が嵌合したとき、支持パッドを回転するだけで、外側ケーシングに押圧支持または押圧解除することができ、作業性を向上することができる。
【0013】
本発明の回転機械で、前記支持パッドの回転を阻止する回り止め機構が設けられることを特徴としている。
【0014】
従って、支持パッドを回転して外側ケーシングと内側ケーシングを押圧支持したあと、回り止め機構により支持パッドの回転が阻止されることで、振動などにより外側ケーシングと内側ケーシングの押圧支持が解除されることが抑制される。
【0015】
本発明の回転機械で、前記回り止め機構は、前記支持パッドの基端部に係止する係止部材と、前記係止部材を前記外側ケーシングまたは前記内側ケーシングに固定する固定部材とを有することを特徴としている。
【0016】
従って、支持パッドを回転して外側ケーシングと内側ケーシングを押圧支持したあと、係止部材を支持パッドの基端部に係止し、固定部材により係止部材を外側ケーシングまたは内側ケーシングに固定する。そのため、簡単な構成で容易に支持パッドの回転を阻止することができ、また、固定部材が焼き付きを起こした場合、この固定部材を排除することで係止部材を取外すことができる。
【0017】
本発明の回転機械で、前記外側ケーシングに対して前記内側ケーシングを径方向に移動自在に支持する芯出機構が設けられることを特徴としている。
【0018】
従って、芯出機構により外側ケーシングに対して内側ケーシングが径方向に移動自在であることから、外側ケーシングと内側ケーシングに熱延びが発生しても、各ケーシングの中心がずれることがなくなる。
【0019】
また、本発明の回転機械の組立方法は、上下に半割れ形状をなすケーシング内に軸受を介して回転軸が回転自在に支持されると共に、前記ケーシングの内部であって前記回転軸の外周側に内側ケーシングが設けられた回転機械において、前記ケーシングにおける上部ケーシングを内側ケーシングの端部に径方向に嵌合する工程と、支持パッドにより前記ケーシングと前記内側ケーシングとの嵌合部を前記回転軸の軸心方向に押圧支持する工程と、を有することを特徴としている。
【0020】
従って、支持パッドにより上部ケーシングと内側ケーシングとを軸心方向に押圧支持していることから、支持パッドによる上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除するだけで、内側ケーシングから上部ケーシングを取外すことができる。また、支持パッドによる上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧が解除できなくても、上部ケーシングに対して径方向における外側に荷重を作用させることで、上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除して上部ケーシングを取外すことができる。その結果、ケーシングの取外しを容易として燃焼器のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0021】
本発明の回転機械の組立方法では、前記支持パッドは、前記上部ケーシングと前記内側ケーシングの一方にねじ係合しており、前記上部ケーシングが前記内側ケーシングの端部に嵌合したとき、前記支持パッドを回転することで前記上部ケーシングと前記内側ケーシングの他方に押圧することを特徴としている。
【0022】
従って、支持パッドを回転するだけで、支持パッドによる上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧支持及び押圧解除を行うことができ、上部ケーシングにおける組付作業及び解体作業の作業性を向上することができる。
【0023】
本発明の回転機械の組立方法では、前記支持パッドにより前記上部ケーシングと前記中間軸カバーを押圧支持した後、前記上部ケーシングと前記中間軸カバーに対して前記支持パッドの回り止めを行うことを特徴としている。
【0024】
従って、振動などにより上部ケーシングと内側ケーシングの押圧支持が解除されることが抑制される。
【0025】
本発明の回転機械のメンテナンス方法は、上下に半割れ形状をなすケーシング内に軸受を介して回転軸が回転自在に支持されると共に、前記ケーシングの内部であって前記回転軸の外周側に内側ケーシングが設けられた回転機械において、前記ケーシングにおける上部ケーシングと下部ケーシングとの締結を解除する工程と、前記下部ケーシングに対して前記上部ケーシングを上昇させて離脱させる工程と、前記ケーシング内部をメンテナンスする工程と、前記上部ケーシングを前記内側ケーシングの端部に径方向に嵌合する工程と、支持パッドにより前記上部ケーシングと前記内側ケーシングとの嵌合部を前記回転軸の軸心方向に押圧支持する工程と、前記上部ケーシングを下部ケーシングに締結する工程と、を有することを特徴としている。
【0026】
従って、支持パッドにより上部ケーシングと内側ケーシングとを軸心方向に押圧支持していることから、支持パッドによる上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除するだけで、内側ケーシングから上部ケーシングを取外すことができる。また、支持パッドによる上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧が解除できなくても、上部ケーシングに対して径方向における外側に荷重を作用させることで、上部ケーシングと内側ケーシングとの押圧を解除して上部ケーシングを取外すことができる。その結果、ケーシングの取外しを容易として燃焼器のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の回転機械及び回転機械の組立方法、回転機械のメンテナンス方法によれば、押圧支持機構(支持パッド)により上部ケーシングと内側ケーシングとを軸心方向に押圧支持しているので、ケーシングの取外しを容易として内部の構造物(燃焼器)のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る回転機械、回転機械の組立方法、回転機械のメンテナンス方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0030】
図14は、本実施形態のガスタービンの全体構成を表す概略図である。
【0031】
本実施形態のガスタービンは、
図14に示すように、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービンは、回転軸32の外側に軸心Oの方向に沿って圧縮機11とタービン13が配置されると共に、圧縮機11とタービン13との間に複数の燃焼器12が配置されている。そして、ガスタービンは、同軸上に図示しない発電機(電動機)が連結され、発電可能となっている。
【0032】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と複数の動翼24が空気の流動方向(後述するロータ32の軸心Oの方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。この圧縮機11は、空気取入口20から取り込まれた空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気を生成し、ケーシング14に供給する。この圧縮機11は、同軸上に連結された電動機により起動する。
【0033】
燃焼器12は、圧縮機11で圧縮されてケーシング14に溜められた高温・高圧の圧縮空気と燃料が供給され、燃焼することで、燃焼ガスを生成する。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と複数の動翼28が燃焼ガスの流動方向(ロータ32の軸心Oの方向)に交互に配設されている。そして、このタービン車室26には、下流側に排気車室29を介して排気室30が配設されている。排気室30は、タービン13に連結する排気ディフューザ31を有している。このタービン13は、燃焼器12からの燃焼ガスにより駆動し、同軸上に連結された発電機を駆動する。
【0034】
圧縮機11と燃焼器12とタービン13は、排気室30の中心部を貫通するように軸心Oの方向に沿ったロータ(回転軸)32が配置されている。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持されると共に、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定されている。また、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、空気取入口20側の端部に発電機の駆動軸が連結されている。
【0035】
そして、このガスタービンは、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0036】
圧縮機11にて、空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。タービンにて、燃焼器12で生成された高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13における複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。そして、タービン13を駆動した燃焼ガスは、排気ガスとして大気に放出される。
【0037】
このように構成されたガスタービンにて、燃焼器12は、圧縮機11とタービン13との間で、周方向に所定間隔で複数配置されている。そして、各燃焼器12は、中間軸カバーの外側に支持されており、この中間軸カバーは、外周端部が燃焼器ケーシングに連結されている。そのため、燃焼器をメンテナンスするとき、燃焼器ケーシングの締結を解除し、中間軸カバーとの連結を解除した後、燃焼器ケーシングを取り外して燃焼器のメンテナンス作業を行う。
【0038】
図1は、本実施形態のガスタービンにおける燃焼器の近傍を表す断面図、
図2は、中間軸カバーを表す正面図、
図3は、固定パッドによる中間軸カバーの取付部を表す正面図、
図4は、固定パッドによる中間軸カバーの取付部を表す
図3のIV−IV断面図、
図5は、
図4のV−V断面図、
図6は、
図3のVI−VI断面図である。
【0039】
図1及び
図2に示すように、燃焼器ケーシング(外側ケーシング)41は、ロータ32(
図14参照)の軸心Oの方向に沿った円筒形状をなしている。この燃焼器ケーシング41は、半割れ形状をなす上部ケーシング(外ケーシング部)42と下部ケーシング(外ケーシング部)43とから構成され、左右の外周フランジ部42a,43aが上下に密着して複数のボルト44により一体に連結されている。そして、上部ケーシング42は、外周フランジ部42aに切欠部42bが形成され、ジャッキ(昇降装置)45を配置可能となっている。
【0040】
また、燃焼器ケーシング41は、軸心Oの方向における一方に取付フランジ41aが形成され、他方に取付フランジ41bが形成されている。そして、燃焼器ケーシング41は、取付フランジ41aが圧縮機車室(ケーシング)21の取付フランジ21aと密着し、ボルト46により連結され、取付フランジ41bがタービン車室(ケーシング)26の取付フランジ26aと密着し、ボルト47により連結されている。
【0041】
この燃焼器ケーシング41は、周方向に所定間隔で複数の燃焼器12が装着されている。燃焼器外筒51は、燃焼器ケーシング41に形成された取付孔に配置されており、内部に所定間隔をあけて燃焼器内筒52が支持され、この燃焼器内筒52は、先端部に燃焼器尾筒53が連結されている。燃焼器内筒52は、内部の中心にパイロット燃焼バーナ54が配置されると共に、内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ54を取り囲むように複数のメイン燃焼バーナ55が配置されている。また、燃焼器尾筒53は、先端部がタービン静翼27に連結されている。
【0042】
また、燃焼器外筒51は、トップハット部56が嵌合し、複数の締結ボルト(図示略)により締結されており、このトップハット部56に燃料ポート57,58,59が設けられている。そして、図示しないパイロット燃料ラインがパイロット燃焼バーナ54の燃料ポート57に連結され、図示しないメイン燃焼ラインが各メイン燃焼バーナ55の燃料ポート58に連結され、図示しないトップハット燃焼ラインが燃料ポート59に連結されている。
【0043】
従って、高温・高圧の圧縮空気の空気流が燃焼器内筒52内に流れ込み、この燃焼器内筒52内にて、この圧縮空気がメイン燃焼バーナ55から噴射された燃料と混合され、予混合気の旋回流となって燃焼器尾筒53内に流れ込む。また、圧縮空気は、パイロット燃焼バーナ54から噴射された燃料と混合され、図示しない種火として燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器尾筒53内に噴出する。このとき、燃焼ガスの一部が燃焼器尾筒53内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出することで、各メイン燃焼バーナ55から燃焼器尾筒53内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。そして、燃焼ガスがタービン13に送られる。
【0044】
この複数の燃焼器12は、中間軸カバー(内側ケーシング)61に支持されている。この中間軸カバー61は、燃焼器ケーシング41内に配置され、軸心Oの方向に沿った円筒形状をなしている。この中間軸カバー61は、半割れ形状をなす上部ケーシング(内ケーシング部)62と下部ケーシング(内ケーシング部)63とから構成され、左右の外周フランジ部62a,63aが上下に密着して複数のボルト64により一体に連結されている。
【0045】
また、中間軸カバー61は、一端部61aと他端部61bが周方向に所定間隔をもって配置された複数のストラット61cにより連結され、軸心Oの方向における一端部61aが圧縮機11側に延出して燃焼器ケーシング41に連結され、他端部61bがタービン13側に延出して静翼27を支持している。中間軸カバー61は、冷却マニホールド61dを有し、この冷却マニホールド61dに供給された冷却空気を図示しない冷却通路を通して各静翼27内に供給している。
【0046】
そして、中間軸カバー61は、一端部61aから外方に向けた取付ブラケット65が延出され、燃焼器12は、燃焼器内筒52がこの取付ブラケット65を介して中間軸カバー61に支持されている。
【0047】
燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61の一端部61aは、径方向に嵌合し、その嵌合部が押圧支持機構71により軸心Oの方向に押圧支持されている。また、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61の一端部61aは、芯出機構72により径方向に移動自在に支持されている。この押圧支持機構71と芯出機構72は、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61における径方向におけるほぼ同位置で、周方向に所定間隔をあけて複数設けられている。
【0048】
押圧支持機構71において、
図3から
図6に示すように、燃焼器ケーシング41(上部ケーシング42)は、燃焼器12の取付位置より軸心O側に位置して凹形状をなす被嵌合部81が周方向に沿って形成されることで、リング形状をなす取付部82が形成されている。一方、中間軸カバー61は、一端部61aに凸形状をなす嵌合部83が形成され、嵌合部83に段部83aが形成されている。凹形状をなす被嵌合部81は、径方向における軸心O側に開口し、凸形状をなす嵌合部83は、径方向における外側に向いている。
【0049】
燃焼器ケーシング41における被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83が所定隙間Sをもって嵌合可能となっている。この場合、燃焼器ケーシング41は、上部ケーシング42と下部ケーシング43とから構成され、中間軸カバー61は、上部ケーシング62と下部ケーシング63とから構成されていることから、組付順序としては、下部ケーシング43、下部ケーシング63、上部ケーシング62、上部ケーシング42となる。
【0050】
燃焼器ケーシング41は、取付部82に軸心O方向に沿って貫通孔84が形成されている。一方、中間軸カバー61は、嵌合部83にねじ孔85と凹部86が形成されている。この場合、ねじ孔85が取付部82側に形成され、取付部82と反対側に凹部86が形成されており、凹部86の内径は、ねじ孔85の内径より大きく設定されている。燃焼器ケーシング41の被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83が嵌合したとき、貫通孔84とねじ孔85と凹部86が同心状に位置する。
【0051】
支持パッド87は、ねじ部87aと押圧部87bとを有し、基端部側(
図4にて、右側)にねじ部87aが形成され、先端部側(
図4にて、左側)に押圧部87bが形成されている。この場合、押圧部87bの外径は、ねじ部87aの外径より大きく設定されている。支持パッド87は、ねじ部87aが中間軸カバー61における嵌合部83のねじ孔85に螺合可能であり、押圧部87bが中間軸カバー61における嵌合部83の凹部86に侵入可能となっている。支持パッド87は、ねじ部87aが凹部86側からねじ孔85に螺合している。
【0052】
支持パッド87は、基端部に係止穴87cが形成されている。この係止孔87cは、六角形状をなす孔であり、所定の深さに設定されている。支持パッド87は、工具(例えば、トルクレンチ)T(
図13参照)における六角形状をなす係止部T1が係止穴87cに係止可能である。この工具Tを回転することにより支持パッド87を回転すると、この支持パッド87をねじ孔85の軸方向に沿って移動することができる。
【0053】
そのため、支持パッド87のねじ部87aが中間軸カバー61のねじ孔85に螺合し、押圧部87bが凹部86に侵入した状態で、燃焼器ケーシング41における被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83を嵌合し、取付部82が段部83aに当接することで位置決めされる。ここで、工具Tにおける係止部T1を貫通孔84から係止穴87cに係止し、工具Tにより支持パッド87を正回転すると、この支持パッド87がねじ孔85の軸方向に沿って前進し、押圧部87bが燃焼器ケーシング41における被嵌合部81に押圧すると共に、嵌合部83が取付部82に押圧することで、燃焼器ケーシング41が中間軸カバー61に押圧支持される。一方、工具Tにより支持パッド87を逆回転すると、この支持パッド87がねじ孔85の軸方向に沿って後退し、押圧部87bが燃焼器ケーシング41における被嵌合部81から離間すると共に、嵌合部83が取付部82から離間することで、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61との押圧支持が解除される。
【0054】
また、押圧支持機構71は、支持パッド87の回転を阻止する回り止め機構73が設けられている。この回り止め機構73は、支持パッド87の基端部に係止する係止部材としての係止ロッド91と、係止ロッド91を燃焼器ケーシング41に固定する固定部材としての固定板92と固定ボルト93とナット94とを有している。
【0055】
係止ロッド91は、基端部にねじ部91aが形成され、中間部にリング形状をなすフランジ部91bが設けられ、先端部に六角形状をなす係止部91cが設けられている。フランジ部91bは、燃焼器ケーシング41における取付部81の貫通孔84に嵌合可能であり、係止部91cは、支持パッド87の係止孔87cに係止可能である。固定板92は、第1貫通孔92aと第2貫通孔92bが形成されており、第1貫通孔92aに係止ロッド91のねじ部91aが貫通可能である。固定ボルト93は、固定板92の第2貫通孔92bに貫通可能であり、ねじ部93aが燃焼器ケーシング41の取付部82に形成されたねじ孔82aに螺合可能である。ナット94は、固定板92の第2貫通孔92bを貫通した係止ロッド91のねじ部91aに螺合可能である。
【0056】
そのため、回り止め機構73は、支持パッド87が燃焼器ケーシング41の被嵌合部81に押圧すると共に、嵌合部83が取付部82に押圧して燃焼器ケーシング41が中間軸カバー61に押圧支持された状態で、支持パッド87の回転を阻止する。係止ロッド91の係止部91cを貫通孔84から支持パッド87の係止穴87cに係止し、フランジ部91bを貫通孔84に嵌合する。そして、係止ロッド91のねじ部91aが固定板92の第1貫通孔92aに貫通するように燃焼器ケーシング41の取付部82に密着し、固定ボルト93のねじ部93aを固定板92の第2貫通孔92bから取付部82のねじ孔82aに螺合すると共に、ナット94を係止ロッド91のねじ部91aに螺合可能する。すると、係止ロッド91が燃焼器ケーシング41に固定されることでその回転が拘束され、係止ロッド91が掛止した支持パッド87の回転も拘束される。
【0057】
図7は、芯出ピンによる中間軸カバーの取付部を表す正面図、
図8は、芯出ピンによる中間軸カバーの取付部を表す
図7のVIII−VIII断面図、
図9は、芯出ピンによる中間軸カバーの取付部を表す
図7のIX−IX断面図、
図10は、
図9のX−X断面図である。
【0058】
芯出機構72において、
図7から
図10に示すように、燃焼器ケーシング41は、取付部82に軸心O方向に沿って貫通孔101が形成されると共に、この貫通孔101における周方向の両側にねじ孔102がそれぞれ形成されている。一方、中間軸カバー61は、嵌合部83に係合溝103が形成されている。この場合、取付部82の貫通孔101は、円形孔であるが、嵌合部83の係合溝103は、貫通孔101の内径より幅の狭い溝であり、嵌合部83の外周側に開放されている。燃焼器ケーシング41の被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83が嵌合したとき、貫通孔101と係合溝103が周方向における同位置になる。
【0059】
芯出ピン104は、円柱部104aとガイド部104bとを有し、基端部側(
図8にて、上側)に円柱部104aが形成され、先端部側(
図8にて、下側)にガイド部104bが形成されている。この場合、円柱部104aの外径とガイド部104bの最大外径は同じであるが、ガイド部104bは、外周面に互いに平行をなす平坦面104cが形成されることで、その幅が小さく設定されている。芯出ピン104は、円柱部104aが取付部82の貫通孔101に嵌合可能であり、ガイド部104bが嵌合部83の係合溝103に係合可能となっている。この場合、ガイド部104bは、平坦面104cが係合溝103の両面に接触する。また、芯出ピン104は、基端部にねじ孔104dが形成されており、図示しない工具をこのねじ孔104dに螺合することで、工具を介して芯出ピン104を貫通孔101及び係合溝103から抜き取ることができる。
【0060】
固定板105は、2個の貫通孔105aが形成されている。燃焼器ケーシング41の被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83が嵌合したとき、固定板105の各貫通孔105aと取付部における各ねじ孔102が同心状に位置する。2個の固定ボルト106は、固定板105の各貫通孔105aに貫通可能であり、ねじ部106aが取付部82の各ねじ孔102に螺合可能である。
【0061】
そのため、芯出ピン104は、円柱部104aが取付部82の貫通孔101に嵌合し、ガイド部104bが嵌合部83の係合溝103に係合しており、固定ボルト106により取付部82に固定された固定板105が密着して脱落が阻止されている。この状態で、芯出ピン104は、燃焼器ケーシング41側に固定され、ガイド部104bが係合溝103を介して中間軸カバー61に連結されている。ここで、係合溝103は、燃焼器ケーシング41及び中間軸カバー61の径方向に沿って設けられていることから、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61は、熱延びに対して中心位置がずれることなら相対移動することができる。
【0062】
ここで、本実施形態のガスタービンの組立方法(回転機械の組立方法)並びにガスタービンのメンテナンス方法(回転機械のメンテナンス方法)について説明する。
図11は、燃焼器のメンテナンス方法の作業手順を表すフローチャート、
図12及び
図13は、固定パッドによる中間軸カバーの固定方法を表す概略図である。
【0063】
本実施形態のガスタービンの組立方法は、複数の燃焼器12を被覆するように燃焼器ケーシング41における上部ケーシング42を中間軸カバー61の端部に径方向に嵌合する工程と、支持パッド87により燃焼器ケーシング41の被嵌合部81と中間軸カバー61との嵌合部83をロータ32の軸心方向に押圧支持する工程とを有している。
【0064】
また、本実施形態のガスタービンのメンテナンス方法は、燃焼器ケーシング41における上部ケーシング42の締結を解除する工程と、下部ケーシング43に対して上部ケーシング42を上昇させて離脱させる工程と、燃焼器12をメンテナンスする工程と、上部ケーシング42により複数の燃焼器12を被覆するように中間軸カバー61に径方向に嵌合する工程と、支持パッド87により上部ケーシング42と中間軸カバー61との嵌合部83をロータ32の軸方向に押圧支持する工程と、上部ケーシング42を締結する工程とを有している。
【0065】
ガスタービンのメンテナンス方法(ガスタービンの組立方法)を具体的に説明すると、
図11に示すように、ステップ11にて、燃焼器12におけるノズル部を取外す。このノズル部とは、
図1に示すように、パイロット燃焼バーナ54、メイン燃焼バーナ55、トップハット部56、燃料ポート57,58,59である。
図11に戻り、ステップS12にて、回り止め機構73を解除する。
図4及び
図6に示すように、固定ボルト93を弛緩すると共に、ナット94を弛緩して固定板92を取外し、貫通孔84から係止ロッド91を抜き取る。すると、支持パッド87は、係止穴87cから係止ロッド91の係止部91cが取り外されることで、支持パッド87の回り止めが解除される。
【0066】
なお、固定ボルト93やナット94が焼き付いて弛緩することができないとき、切断工具により固定ボルト93の頭部や係止ロッド91のねじ部91a(ナット94)を切断することで、貫通孔84から係止ロッド91を抜き取ることができる。
【0067】
図11に戻り、ステップS13にて、芯出ピン104を取外す。
図8に示すように、2個の固定ボルト106を弛緩して取付部82から固定板105を取外し、図示しない工具を芯出ピン104のねじ孔104dに螺合し、工具を介して芯出ピン104を貫通孔101及び係合溝103から抜き取る。
図11に戻り、ステップS14にて、燃焼器ケーシング41(上部ケーシング42)が固定されているボルト46,47を取外す。
図1に示すように、ボルト46を弛緩することで、上部ケーシング42と圧縮機車室21との締結を解除すると共に、ボルト47を弛緩することで、上部ケーシング42とタービン車室26との締結を解除する。
【0068】
図11に戻り、ステップS15にて、上部ケーシング42を取外す。
図2に示すように、複数のボルト44を弛緩した後、上部ケーシング42の外周フランジ部42aにおける切欠部42bと、下部ケーシング43における外周フランジ部43aとの間にジャッキ45を配置する。そして、このジャッキ45を伸長作動することで、下部ケーシング43に対して上部ケーシング42を持ち上げ、両者を分離させる。このとき、上部ケーシング42は、支持パッド87により中間軸カバー61に押圧支持されているが、ジャッキ45によりこの押圧支持力よりも大きな荷重を付与することで、下部ケーシング43から上部ケーシング42を分離させる。
【0069】
なお、上部ケーシング42を取外した後、
図13に示すように、工具Tにより支持パッド87を逆回転し、支持パッド87をねじ孔85の軸方向に沿って後退させ、押圧部87bを凹部86内に収納しておく。
【0070】
図11に戻り、ステップS16にて、燃焼器12のメンテナンス作業を行う。
図1に示すように、下部ケーシング43から上部ケーシング42が取外されると、複数の燃焼器12が露出することから、作業者は、燃焼器12のメンテナンス作業を行うことができる。
【0071】
図11に戻り、ステップS17にて、上部ケーシング42を取付ける。
図2及び
図12に示すように、上部ケーシング42を下降して下部ケーシング43上に載置すると共に、被嵌合部81を中間軸カバー61の嵌合部83に嵌合し、複数のボルト44を締結する。
図11に戻り、ステップS18にて、ボルト46,47により上部ケーシング42を固定する。
図1に示すように、ボルト46を締結することで、上部ケーシング42と圧縮機車室21とを締結すると共に、ボルト47を締結することで、上部ケーシング42とタービン車室26とを締結する。
【0072】
図11に戻り、ステップS19にて、芯出ピン104を取付ける。
図8に示すように、芯出ピン104の円柱部104aを取付部82の貫通孔101に嵌合し、ガイド部104bを嵌合部83の係合溝103に係合する。そして、取付部82に固定板105を密着させ、固定ボルト106によりこの固定板105を固定する。そのため、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61は、熱延びに対して中心位置がずれることから相対移動に支持される。
【0073】
図11に戻り、ステップS20にて、支持パッド87を取付ける。
図13に示すように、工具Tにおける係止部T1を貫通孔84から係止穴87cに係止し、工具Tにより支持パッド87を正回転する。すると、支持パッド87がねじ孔85の軸方向に沿って前進し、押圧部87bが燃焼器ケーシング41における被嵌合部81に押圧すると共に、嵌合部83が取付部82に押圧する。そのため、燃焼器ケーシング41に中間軸カバー61が押圧支持される。
【0074】
図11に戻り、ステップS21にて、回り止め機構73を装着する。
図4に示すように、係止ロッド91の係止部91cを貫通孔84から支持パッド87の係止穴87cに係止し、フランジ部91bを貫通孔84に嵌合する。そして、固定板92を第1貫通孔92aに係止ロッド91のねじ部91aが貫通するように取付部82に密着させ、固定ボルト93により固定板92を取付部82に固定すると共に、ナット94を係止ロッド91のねじ部91aに締結する。そのため、係止ロッド91が燃焼器ケーシング41に固定されることでその回転が拘束され、係止ロッド91が掛止した支持パッド87の回転も拘束される。
【0075】
図11に戻り、ステップS22にて、ノズル部を装着する。
図1に示すように、パイロット燃焼バーナ54、メイン燃焼バーナ55、トップハット部56、燃料ポート57,58,59を燃焼器12に取付ける。ここで、燃焼器12のメンテナンス作業が完了する。
【0076】
このように本実施形態の回転機械にあっては、半割れ形状をなす上下のケーシング42,43から構成される燃焼器ケーシング41と、半割れ形状をなす上下のケーシング61,62から構成されて燃焼器ケーシング41内で燃焼器12を支持する中間軸カバー61と、燃焼器ケーシング41の被嵌合部81と中間軸カバー61の嵌合部83をロータ32の軸方向に押圧支持する押圧支持機構71とを設けている。
【0077】
従って、押圧支持機構71により燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61とを軸方向に押圧支持していることから、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61との間にねじ係合部がなく、ねじ部の焼き付けを回避することができる。そのため、押圧支持機構71による燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61との押圧を解除するだけで、中間軸カバー61から燃焼器ケーシング41の上部ケーシング42を取外すことができる。また、押圧支持機構71による燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61との押圧が解除できなくても、上部ケーシング42に対して径方向における外側に荷重を作用させることで、上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧を解除して上部ケーシング42を取外すことができる。その結果、燃焼器ケーシング41の取外しを容易として内部の燃焼室のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0078】
本実施形態の回転機械では、押圧支持機構71として、中間軸カバー61の嵌合部83にねじ係合して上部ケーシング42の被嵌合部81に押圧する支持パッド87を設けている。従って、支持パッド87を回転するだけで、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧支持及び押圧解除を行うことができ、燃焼器ケーシング41における組付作業及び解体作業の作業性を向上することができる。
【0079】
本実施形態の回転機械では、上部ケーシング42の被嵌合部81が凹形状とし、中間軸カバー61の嵌合部83が凸形状とし、支持パッド87を中間軸カバー61の嵌合部83にねじ係合している。従って、上部ケーシング42の凹形状をなす被嵌合部81に中間軸カバー61の凸形状をなす嵌合部83が嵌合したとき、支持パッド87を回転するだけで、上部ケーシング42に押圧支持または押圧解除することができ、作業性を向上することができる。
【0080】
本実施形態の回転機械では、支持パッド87の回転を阻止する回り止め機構73を設けている。従って、支持パッド87を回転して上部ケーシング42と中間軸カバー61を押圧支持したあと、回り止め機構73により支持パッド87の回転が阻止されることで、振動などにより燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61の押圧支持が解除されることが抑制され、信頼性を向上することができる。
【0081】
本実施形態の回転機械では、回り止め機構73として、支持パッド87の基端部に係止する係止ロッド91と、係止ロッド91を上部ケーシング42に固定する固定板92と固定ボルト93とナット94とを設けている。従って、支持パッド87を回転して上部ケーシング42と中間軸カバー61を押圧支持したあと、係止ロッド91を支持パッド87の基端部に係止して上部ケーシング42に固定する。そのため、簡単な構成で容易に支持パッド87の回転を阻止することができ、また、固定ロッドが焼き付きを起こした場合、この固定ロッドを切除することで係止ロッド91を取外すことができ、信頼性を向上することができる。
【0082】
本実施形態の回転機械では、燃焼器ケーシング41に対して中間軸カバー61を径方向に移動自在に支持する芯出機構72を設けている。従って、芯出機構72により燃焼器ケーシング41に対して中間軸カバー61が径方向に移動自在であることから、燃焼器ケーシング41と中間軸カバー61に熱延びが発生しても、両者の中心がずれることはなく、装置の信頼性を向上することができる。
【0083】
また、本実施形態のガスタービンの組立方法にあっては、複数の燃焼器12を被覆するように燃焼器ケーシング41における上部ケーシング42を中間軸カバー61の端部に径方向に嵌合する工程と、支持パッド87により燃焼器ケーシング41の被嵌合部81と中間軸カバー61との嵌合部83をロータ32の軸心方向に押圧支持する工程とを有している。
【0084】
従って、支持パッド87により上部ケーシング42と中間軸カバー81とを軸心方向に押圧支持していることから、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧を解除するだけで、中間軸カバー61から上部ケーシング42を取外すことができる。また、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧が解除できなくても、上部ケーシング42に対して径方向における外側に荷重を作用させることで、上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧を解除して上部ケーシング42を取外すことができる。その結果、上部ケーシング42の取外しを容易として燃焼器12のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0085】
本実施形態のガスタービンの組立方法では、支持パッド87は、中間軸カバー61の嵌合部83にねじ係合しており、上部ケーシング42の被嵌合部81に中間軸カバー61の嵌合部83が嵌合したとき、支持パッド87を回転することで上部ケーシング42と中間軸カバー61を押圧する。従って、支持パッド87を回転するだけで、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧支持及び押圧解除を行うことができ、上部ケーシング42における組付作業及び解体作業の作業性を向上することができる。
【0086】
本実施形態のガスタービンの組立方法では、支持パッド87により上部ケーシング42と中間軸カバー61とを押圧支持した後、上部ケーシング42と中間軸カバー61に対して支持パッド87の回り止めを行う。従って、振動などにより上部ケーシング42と中間軸カバー61の押圧支持が解除されることが抑制され、信頼性を向上することができる。
【0087】
また、本実施形態のガスタービンのメンテナンス方法にあっては、燃焼器ケーシング41における上部ケーシング42の締結を解除する工程と、下部ケーシング43に対して上部ケーシング42を上昇させて離脱させる工程と、燃焼器12をメンテナンスする工程と、上部ケーシング42により複数の燃焼器12を被覆するように中間軸カバー61に径方向に嵌合する工程と、支持パッド87により上部ケーシング42と中間軸カバー61との嵌合部をロータ32の軸方向に押圧支持する工程と、上部ケーシング42を締結する工程とを有している。
【0088】
従って、支持パッド87により上部ケーシング42と中間軸カバー61とを軸方向に押圧支持していることから、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧を解除するだけで、中間軸カバー61から上部ケーシング42を取外すことができる。また、支持パッド87による上部ケーシング42と中間軸カバー61との押圧が解除できなくても、上部ケーシング42に対して径方向外側に荷重を作用させることで、上部ケーシング42を取外すことができる。その結果、燃焼器ケーシング41の取外しを容易として燃焼器12のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0089】
なお、上述した実施形態にて、押圧支持機構71として支持パッド87を設けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、支持パッド87にて、ねじ部87aと押圧部87bを一体に形成したが、別部材として一体に固定して構成してもよい。また、支持パッド87を中間軸カバー61側に設け、燃焼器ケーシング41側に押圧するように構成したが、支持パッド87を燃焼器ケーシング41側に設け、中間軸カバー61側に押圧するように構成してもよい。
【0090】
また、上述した実施形態にて、回り止め機構73として支持パッド87の六角形状の係止穴87cを形成し、係止ロッド91の六角形状の係止部91cが掛止するように構成したが、この形状は、六角形に限らず、他の多角形や十字形、複数の孔(突起)などであってもよい。また、固定部材として固定板92と固定ボルト93とナット94を設けたが、この構成に限定されるものではなく、係止部材を回転不能に固定されことができれば、いずれの構成であってもよい。
【0091】
また、上述した実施形態にて、内側ケーシングが支持する構造物として、中間軸カバー61が支持する燃焼器12としたが、この関係に限定されるものではない。また、本発明の回転機械をガスタービンに適用して説明したが、他の回転機械として、例えば、蒸気タービンに適用してもよい。