特許第5869249号(P5869249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5869249
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】基板作業装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-161976(P2011-161976)
(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公開番号】特開2013-26551(P2013-26551A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】吉永 雅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚宏
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−281717(JP,A)
【文献】 特開2009−081456(JP,A)
【文献】 特開2004−221518(JP,A)
【文献】 特許第4384439(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作動装置によって構成され、基板に対して所定の作業を行う基板作業装置であって、
前記複数の作動装置の一部は、各自を特定するための自己特定符号が、特定される前記作動装置との対応関係を常に維持した状態で設けられるとともに、
前記自己特定符号と各自の特性を示す固有情報とを記憶した記憶装置が前記作動装置と分離可能に設けられ、
前記作動装置の前記自己特定符号を読み取る読取装置と、
前記読取装置で読み取られた前記作動装置の前記自己特定符号と当該作動装置に分離可能に設けられた前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性を判定する自己特定符号判定手段と、
前記自己特定符号に対応して前記記憶装置に記憶された前記固有情報の良否を判定する固有情報良否判定手段と、
前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号に対応する前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたときに、前記記憶装置に記憶され同一性がないと判定された前記自己特定符号及び前記記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、修正する修正手段と、
前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性があると前記自己特定符号判定手段により判定されるとともに、前記固有情報が良であると前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、又は前記自己特定符号及び前記固有情報が前記修正手段により修正されたときに、前記基板の生産準備を開始する生産準備決定手段と、
を備えていることを特徴とする基板作業装置。
【請求項2】
請求項において、前記複数の作動装置の一部に対応する前記自己特定符号及び該自己特定符号に対応する前記固有情報が記録保持され前記記憶装置と連結されたホストコンピュータをさらに備え
前記修正手段は、前記記憶装置に記憶され同一性がないと判定された前記自己特定符号及び前記記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、前記ホストコンピュータに記録保持された前記自己特定符号及び前記固有情報に基づいて修正することを特徴とする基板作業装置。
【請求項3】
請求項において、前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号の良否を判定する符号良否判定手段を設け、
前記修正手段は、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号が不良と前記符号良否判定手段により判定されたときに、
同一性がないと判定された前記自己特定符号、又は不良と判定された前記固有情報、又は不良と判定された前記自己特定符号を、前記ホストコンピュータに記録保持された前記自己特定符号又は前記固有情報に基づいて修正し、
前記生産準備決定手段は、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性があると前記自己特定符号判定手段により判定されるとともに、前記固有情報が良であると前記固有情報良否判定手段により判定され、かつ前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号が良であると前記符号良否判定手段により判定されたとき、又は前記自己特定符号及び前記固有情報が前記修正手段により修正されたときに、前記基板の生産準備を開始することを特徴とする基板作業装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項のいずれか1項において、前記読取装置は、前記所定の作業が行われる前記基板に付された位置決めマークを読み取るマーク認識用カメラ又は前記基板に所定作業として装着される部品を装着前に確認する部品認識用カメラであることを特徴とする基板作業装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき又は前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、作業者にその旨を報知する報知装置を備えることを特徴とする基板作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田をプリント印刷する場合や、半田が印刷された基板に電子部品を装着する場合に使用される基板作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板への電子部品の実装は、複数の工程を経て行なうため、基板に半田をプリント印刷する印刷装置や半田が印刷された基板に電子部品を装着する電子部品装着装置などの基板作業装置で構成される対基板作業システムが構成される。
【0003】
特許文献1には、対基板作業システムとして、作業ヘッドが、自身のID情報が記録されたID情報記録媒体を備え、当該システムが、作業ヘッドに関連するヘッド関連情報を対基板作業装置の外部において格納するヘッド関連情報外部格納部と、前記ID情報に基き前記ヘッド関連情報外部格納部から前記装着された作業ヘッドについてのヘッド関連情報を取得して認識するヘッド関連情報認識部とを備えることが記載されている。
【0004】
しかし、ヘッド関連情報外部格納部は外部のホストコンピュータに存在すると考えられ、このような外部の作業ヘッドに固有データを保管すると、常にデータのダウンロードが必要であり、ダウンロードのための時間を必要とするという問題があった。
【0005】
そのため、各構成ユニット(作動装置)である作業ヘッド自身内の電装品(制御基板)のメモリに固有情報を保有し、その固有情報を基に挙動させることが考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4384439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、固有情報が記憶保持された電装品が修理等のため交換され、それまでとは異なる固有情報となる場合があり、このような異なる固有情報で対基板作業システムが挙動すると、動作精度の低下やスループットの低下などの性能劣化を生じるおそれがあった。また、交換されたのが異なる装置の固有情報であった場合や固有情報自体のデータが破損している場合には、誤作動により装置が破損するという問題があった。
【0008】
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の作動装置で構成される基板作業装置において、作動装置の固有情報が記憶された電装品が交換等された場合に、異なる固有情報や破損された固有情報で作動装置が挙動するのを防止することができる基板作業装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明の特徴は、基板作業装置において、複数の作動装置によって構成され、基板に対して所定の作業を行う基板作業装置であって、前記複数の作動装置の一部は、各自を特定するための自己特定符号が、特定される前記作動装置との対応関係を常に維持した状態で設けられるとともに、前記自己特定符号と各自の特性を示す固有情報とを記憶した記憶装置が前記作動装置と分離可能に設けられ、前記作動装置の前記自己特定符号を読み取る読取装置と、前記読取装置で読み取られた前記作動装置の前記自己特定符号と当該作動装置に分離可能に設けられた前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性を判定する自己特定符号判定手段と、前記自己特定符号に対応して前記記憶装置に記憶された前記固有情報の良否を判定する固有情報良否判定手段と、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号に対応する前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたときに、前記記憶装置に記憶され同一性がないと判定された前記自己特定符号及び前記記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、修正する修正手段と、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性があると前記自己特定符号判定手段により判定されるとともに、前記固有情報が良であると前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、又は前記自己特定符号及び前記固有情報が前記修正手段により修正されたときに、前記基板の生産準備を開始する生産準備決定手段と、を備えていることである。
【0011】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項1の基板作業装置おいて、前記複数の作動装置の一部に対応する前記自己特定符号及び該自己特定符号に対応する前記固有情報が記録保持され前記記憶装置と連結されたホストコンピュータをさらに備え前記修正手段は、前記記憶装置に記憶され同一性がないと判定された前記自己特定符号及び前記記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、前記ホストコンピュータに記録保持された前記自己特定符号及び前記固有情報に基づいて修正することである。
【0012】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項2の基板作業装置において、前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号の良否を判定する符号良否判定手段を設け、前記修正手段は、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、又は前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号が不良と前記符号良否判定手段により判定されたときに、同一性がないと判定された前記自己特定符号、又は不良と判定された前記固有情報、又は不良と判定された前記自己特定符号を、前記ホストコンピュータに記録保持された前記自己特定符号又は前記固有情報に基づいて修正し、前記生産準備決定手段は、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号とに同一性があると前記自己特定符号判定手段により判定されるとともに、前記固有情報が良であると前記固有情報良否判定手段により判定され、かつ前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号が良であると前記符号良否判定手段により判定されたとき、又は前記自己特定符号及び前記固有情報が前記修正手段により修正されたときに、前記基板の生産準備を開始することである。
【0013】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項のいずれか1項の基板作業装置において、前記読取装置は、前記所定の作業が行われる前記基板に付された位置決めマークを読み取るマーク認識用カメラ又は前記基板に所定作業として装着される部品を装着前に確認する部品認識用カメラであることである。
【0014】
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項1又は2の基板作業装置において、前記読取装置で読み取られた前記自己特定符号と前記記憶装置に記憶された前記自己特定符号との同一性がないと前記自己特定符号判定手段により判定されたとき又は前記固有情報が不良と前記固有情報良否判定手段により判定されたとき、作業者にその旨を報知する報知装置を備えることである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、読取装置で読み取られた自己特定符号と記憶装置に記憶された自己特定符号とに同一性があると自己特定符号判定手段により判定がされたときは、作動装置と分離可能に設けられた記憶装置に記憶された自己特定符号が、特定される前記作動装置との対応関係を常に維持した状態で設けられた自己特定符号に一致していると確認できるので、記憶装置に記憶された固有情報も異なる装置の固有情報ではないと確認できる。これによって、以前とは異なった固有情報で作動装置が挙動するのを防止し、基板作業装置における動作精度の低下やスループットの低下などの性能劣化を防止することができる。
また、自己特定符号に対応して記憶装置に記憶された固有情報の良否を判定する固有情報良否判定手段を備えている。そのため、記憶装置に記憶された固有情報の同一性の判断に加えて、固有情報のデータの良否を判定することができる。これによって、自己特定符号が同一であるが、固有データが破損していたときなどでも、破損された固有情報データに基づいて基板作業装置が挙動することを防止することができる。
また、記憶装置に記憶され同一性がないと判定された自己特定符号及び記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、修正する修正手段を備えている。そのため、記憶装置に記憶された固有情報に同一性がない場合や固有情報データが破損している場合に、固有情報や固有情報データを自動修復することができる。
【0017】
請求項に係る発明によると、記憶装置に記憶され同一性がないと判定された自己特定符号及び記憶装置に記憶され不良と判定された前記固有情報を、ホストコンピュータに記録保持された自己特定符号及び固有情報に基づいて修正する修正手段を備えている。そのため、記憶装置に記憶された固有情報に同一性がない場合や固有情報データが破損している場合に、ホストコンピュータに保存された正しい固有情報により自動修復することができる。
【0018】
請求項に係る発明によると、記憶装置に記憶された自己特定符号の良否を判定する符号良否判定手段を備えている。そのため、記憶装置に記憶された自己特定符号のデータが破損している場合にも、ホストコンピュータに保存された正しい自己特定符号に基づいて自動修復することができる。
【0019】
請求項に係る発明によると、読取装置は、マーク認識用カメラ又は部品認識用カメラである。このように既存の設備を利用することが可能なので、自己特定符号を読み取るために新たに設備を設ける必要がなく、設備コストの低減を図ることができる。
【0020】
請求項に係る発明によると、読取装置で読み取られた自己特定符号と記憶装置に記憶された自己特定符号との同一性がないこと又は固有情報が不良であることが報知装置により報知され、その報知内容に基づいて作業者は迅速かつ的確に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る電子部品装着装置の概略を示す平面図。
図2】装着ヘッドに付されたIDを部品認識カメラで撮像する概要を示す図。
図3】主に制御装置の概要を示すブロック図。
図4】記憶部に記憶されたIDと読み取られた作動装置のIDとの同一性などを判定する手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
本発明に係る基板作業装置として電子部品装着装置に実施した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。
電子部品装着装置2は、複数台直列に並べられて実装ラインが構成される電子部品装着装置のうちの1つのモジュールの電子部品装着装置2を示しており、図1に示すように、基板3を搬入位置に搬入して所定の位置に位置決めする基板搬送装置4と、部品供給装置5と、基台6に対して水平方向であるX方向及びY方向に移動可能に支持された移動台8に設けられた装着ヘッド10を有する部品移載装置12及びマーク認識用カメラ14と、基台6に固定された部品認識用カメラ16と、部品移載装置12による装着を制御する制御装置18とを備えている。
【0023】
なお、この1つのモジュールの電子部品装着装置2が、作動装置に対応する。
【0024】
制御装置18は、基台6に設けられたコントロールボックス内に装備され、電子部品装着装置2とは分離可能に配置される。制御装置18は、図3に示すように、制御部20と演算部22と記憶装置としての記憶部24とから主に構成される。制御装置18は、実装ライン全体を管理するホストコンピュータ26にネットワーク28を介して接続されている。
【0025】
記憶部24には、各作動装置を特定する自己特定符号(ID)やそれに対応する固有情報が記憶されている。
【0026】
演算部22は、符号良否判定手段32、自己特定符号判定手段34、固有情報良否判定手段36、修正手段38及び生産準備決定手段40を備えている。
【0027】
符号良否判定手段32及び固有情報良否判定手段36は、データエラーを検出するプログラム例えばパリティチェック、CRC(Cyclic Rendun Check)等により、CPUでデータエラーのチェックを行なう。
【0028】
自己特定符号判定手段34は、記憶部24に記憶された作動装置に対応するIDと読取装置(マーク認識用カメラ14又は部品認識用カメラ16)で読取られた作動装置のIDとが、一致しているかをCPUで演算により判断する。
【0029】
修正手段38は、符号良否判定手段32及び自己特定符号判定手段34で、記憶部24に記憶されたID自体のデータが破損されている場合、記憶部24に記憶されたIDと読取装置で読取られた作動装置のIDとが不一致の場合に、ホストコンピュータ26に記憶されている正しいIDデータ及びそのIDデータに対応する固有情報を取り込んで、記憶部24に記憶されている破損されたIDデータを上書きすることで修正する。また、固有情報良否判定手段36で、作動装置の固有情報のエラーが検出された場合に、ホストコンピュータ26に記憶されている正しい固有情報を取り込んで、取り込んだ正しい固有情報で記憶部24に記憶されている破損された固有情報のデータを上書きすることで修正する。
【0030】
生産準備決定手段40は、符号良否判定手段32で正しいIDであると判定され、固有情報良否判定手段36により正しい固有情報であると判定され、自己特定符号判定手段34により自己特定符号(ID)が一致していると判定された場合、又は修正手段38で正しいデータに修正された場合に、作動装置で行なう生産準備の開始を決定する。
【0031】
基板搬送装置4は、いわゆるダブルコンベヤタイプで、各コンベヤは、X方向に延在するガイドレール42に沿って並設されて基板3を位置決めされた位置まで搬入する平行に設けられたコンベアベルト(図略)と、搬入された基板3を夫々支持する支持フレーム(図略)と、支持された基板3を実装される位置(所定の位置)まで上昇させる昇降装置(図略)と、実装される位置(装着位置)において基板3をクランプするクランプ装置(図略)とを夫々備えている。
【0032】
部品供給装置5は、前記基板搬送装置4の側部(図1において手前側)に複数のカセット式フィーダ44を並設して構成したものである。カセット式フィーダ44は、いずれも図略の前記スロットに離脱可能に取り付けた搬送部と、該搬送部の後部に設けた部品供給リールを保持するリール保持部と、ケース部の先端に設けた部品取出部を備えている。供給リールには電子部品(図略)が所定ピッチで封入された細長いテープ(図略)が巻回保持され、このテープがスプロケット(図略)により所定ピッチで引き出され、電子部品が封入状態を解除されて部品取出部に順次送り込まれる。カセット式フィーダ44にはコード(識別符号)が貼着され、このコードと電子部品のID・部品番号・封入数・部品重量等との対応データが、制御装置18にライン全体を管理するホストコンピュータ26から伝送された装着プログラムデータに予め記録されている。
基板搬送装置4の上方にはX方向移動ビーム46が設けられ、該X方向移動ビーム46はY方向に延在するとともに、前記基板搬送装置4に沿ってX方向に延在するX方向レール(図略)に沿って移動可能に設けられる。X方向移動ビーム46には、図1に示すように、移動台8がX方向移動ビーム46の側面に設けられたY方向レール(図略)にスライダ(図略)を介して移動可能に設けられている。該移動台8には装着ヘッド10を備えた部品移載装置12とマーク認識用カメラ14とが移動台8とともに移動可能に保持されている。X方向移動ビーム46はいずれも図略のボールねじ機構を介してサーボモータにより駆動され、移動台8は、図略のY方向移動用ボールねじ機構を介して図略のサーボモータにより駆動される。これらのX方向移動ビーム46及び移動台8により前記XYロボットが構成される。これらのサーボモータはその駆動を制御装置18によって制御される。制御装置18に設けられた記憶部24には、例えば1つのモジュールの電子部品装着装置2のID、該電子部品装着装置2のXYロボット8,46のX方向の後退端やY方向の後退端の位置などの固有情報が記憶されている。
【0033】
マーク認識用カメラ14の光軸はX方向及びY方向に直角なZ方向に平行になっている。マーク認識用カメラ14は、矩形状の視野を有している。
【0034】
マーク認識用カメラ14により撮像された撮像画像は、図略のA/D変換機を備えた図略の画像認識装置に入力される。画像認識装置は、撮像された画像を取込んで、参照マークからの情報を読み取る。そして、制御装置18に備えられた演算部22により参照マークの位置ずれを演算する。次にマーク認識用カメラ14が移動されるときには、この位置ずれを補正して移動する。
【0035】
このマーク認識用カメラ14は、読取装置に対応し、1つのモジュールの電子部品装着装置(作動装置)2に対応するIDマーク48が例えば基台6の端部上面に付され、この付されたIDマーク48を読み取るよう構成される。
【0036】
部品移載装置12は、前記前記移動台8と、移動台8によりX方向及びY方向と直角なZ方向に昇降可能に支持される装着ヘッド昇降装置(図略)と、装着ヘッド昇降装置に支持された装着ヘッド10とを備えている。装着ヘッド10には、図2に示すように、ノズルホルダ50が設けられ、ノズルホルダ50は図略の軸受により夫々軸方向に回転可能に支承されている。また、ノズルホルダ50は図略のガイド部材により上下動可能に支承されている。各ノズルホルダ50は図略のサーボモータで駆動されるノズルホルダ昇降装置(図略)によって夫々上下動駆動される。またノズルホルダ50は、図略の回転駆動機構及び回転駆動機構を駆動される図略のサーボモータにより、その中心軸回りに回転駆動される。
【0037】
ノズルホルダ50には夫々軸状の吸着ノズル52が嵌脱可能に嵌挿されている。吸着ノズル52の先端の負圧流路の開口は負圧空気が供給されることで電子部品が吸着保持されるようになっている。
【0038】
装着ヘッド10には、図2に示すように、装着ヘッド10の動作を制御する制御基板59が着脱可能に設けられ、制御基板59には記憶部60が設けられている。この記憶部60には、固有の装着ヘッド10を特定する自己特定符号やそれに対応する固有情報、例えば装着ヘッド10のID、装着ヘッド10の作動の上下端位置や電子部品を基板3に装着する装着位置の補正値などの固有情報が記憶されている。また、装着ヘッド10には装着ヘッド10に対応するIDマーク54が付されている。
【0039】
基板搬送装置4と部品供給装置5との間には、読取装置としての部品認識用カメラ16が設けられ、この部品認識用カメラ16によって前記吸着ノズル52に吸着された電子部品が撮像されて、生産される基板の種類に適合する種類の電子部品であるか、吸着状態良いか、部品自体の不良箇所がないか等が判定される。本実施形態においては、図2に示すように、装着ヘッド10の下面であって、ノズルホルダ50の脇部には作動装置とした場合の装着ヘッド10のIDマーク54が付され、IDマーク54を部品認識用カメラ16で下方から読み取るよう構成される。
【0040】
電子部品装着装置2には、基板データ、部品データ等を入力するためのキーボード等の入力装置56が制御装置18に接続されて設けられている。入力装置56にはディスプレイ58が併設され、ディスプレイ58の画面には基板データ、部品データ、演算データやマーク認識用カメラ14及び部品認識用カメラ16で撮像した画像が表示できるようになっている。また、記憶部24に記憶されているID及び固有情報が破損していると判定された場合や記憶部24に記憶されているIDとマーク認識用カメラ14で読み取られたIDとに同一性がないと判定された場合には、ディスプレイ58上で警告表示をして作業者に報知する。このディスプレイ58により報知装置が構成される。
【0041】
上記のように構成された電子部品装着装置2を使用して、作動装置としての1つのモジュールの電子部品装着装置2に対応する固有情報等が、正しいものであるか否かを判定する手順について、図4のフローチャートに基づいて以下に説明する。
まず、電子部品実装装置2の起動時において、制御装置18は、XYロボット8,46を駆動させ、マーク認識用カメラ14を1モジュールの電子部品装着装置2の図1において右端部上面に付されたIDマーク48の上方に移動させる(ステップ100(以下S100と略記する。))。
【0042】
次に、制御装置18は、IDマーク48をマーク認識用カメラ14により撮像する(S101)。
【0043】
次に、制御装置18は、記憶部24に記憶されているIDがデータとして正しいものであるかを、符号良否判定手段32により例えばCRCを使って判定する(S102)。
【0044】
記憶部24に記憶されているIDがデータとして破損している場合には、まず、ディスプレイ58で警告表示がなされ、作業者にIDがデータとして破損している旨が報知される。作業者によってIDが破損していることが確認されると、制御装置18は、電子部品装着装置2の撮像されたIDに基づいてホストコンピュータ26からバックアップデータを取得し、修正手段38によってバックアップデータのIDで破損しているIDのデータを上書きするとともに、そのバックアップデータのIDに対応する固有情報を取り込むことで書き換える(S103)。
【0045】
IDデータの修正がなされた後、S102に移行して記憶部24に記憶されたIDが正しいか再度判定される(S102)。
【0046】
記憶部24に記憶されているIDが正しい場合には、制御装置18は、自己特定符号判定手段34によりマーク認識用カメラ14で撮像されたIDマーク48と記憶部24に記憶されているIDとが同一であるか否かを判定する(S104)。
【0047】
マーク認識用カメラ14で撮像されたIDマーク48と記憶部24に記憶されているIDとが同一でないと判定されると、まず、ディスプレイ58で警告表示がなされ、記憶部24に記憶されたIDと読み取られたIDマーク48とが同一ではない旨がディスプレイ58で表示されて作業者に報知される。作業者によって前記両IDの同一性がないことが確認されると、制御装置18は、電子部品装着装置2の撮像されたIDに基づいてホストコンピュータ26からIDのバックアップデータを取得し、修正手段38によってバックアップデータのIDで記憶部24に記憶された誤ったIDのデータを上書きするとともに、そのバックアップIDに対応する固有情報を取り込むことで書き換える(S103)。
【0048】
IDデータの修正がされた後、S102に移行し、記憶部24に記憶されたIDが正しいか再度判定される(S102)。
【0049】
そして、IDデータが正しいと判定されると、電子部品装着装置2のIDマーク48と記憶部24が記憶しているIDとが同一であるか否かが再度判定される(S104)。
【0050】
電子部品装着装置2のIDマーク48と記憶部24に記憶されているIDとが同一であると判定されると、記憶部24が記憶している固有情報が正しいか否かが固有情報良否判定手段36により例えばCRCで判定される(S105)。
【0051】
記憶部24が記憶している固有情報が破損していると判定されると、記憶部24に記憶された固有情報が破損している旨がディスプレイ58で表示され、作業者に報知される。作業者によって固有情報が破損していると確認されると、制御装置18は、電子部品装着装置2の撮像されたIDに基づいてホストコンピュータ26からバックアップデータを取得し、修正手段38によってバックアップデータの固有情報で記憶部24の破損している固有情報のデータを上書きすることで書き換える(S106)。
【0052】
そして、記憶部24のIDが正しいか(S102)、電子部品装着装置2のIDマーク48と記憶部24が記憶しているIDが同一であるか(S104)が、順番に夫々同様に再度判定され、さらに、ステップ105において記憶部24が記憶している固有情報が正しいと判定されると、制御部24は電子部品を基板3に装着するための生産準備を開始する(S107)。
【0053】
制御装置18は、基板3を、電子部品装着装置2に搬入し、基板搬送装置4により所定搬送位置まで搬送し、さらに装着位置に位置決めされた基板に部品移載装置12により電子部品を装着する。
【0054】
なお、装着ヘッド10を作動装置とした場合、装着ヘッド10の作動を制御する制御基板59が、図3に示すように、前述の1つのモジュールの電子部品装着装置2における制御装置18に対応し、制御基板59に設けられた記憶部60は、前述の記憶部24に対応する。また、制御基板59が、制御部20、演算部22、符号良否判定手段32、自己特定符号判定手段36、修正手段38及び生産準備決定手段40を備え、ホストコンピュータ26にも同様に接続されている。
【0055】
そして、装着ヘッド10の記憶部を含む制御基板60が交換された場合に、装着ヘッド10に対応する固有情報等が、正しいものであるか否かの判定について、作動装置を1つのモジュールの電子部品装着装置2とした場合と同様に行うことができる。
これによって、制御基板59が、交換された場合などに、例えば吸着ノズル52の上下端位置の位置情報が異なった固有情報に基づいて、装着ヘッド10が挙動することを防止することができる。
【0056】
上記のように構成された電子部品装着装置2によると、マーク認識用カメラ14(又は部品認識用カメラ16)で読み取られた自己特定符号(IDマーク48又はIDマーク54)と記憶部24(又は記憶部60)に記憶されたIDとに同一性があると自己特定符号判定手段34により判定がされたときは、1つのモジュールの電子部品装着装置2と分離可能に設けられた記憶部24に記憶されたIDが(又は装着ヘッド10と分離可能に設けられた記憶部60に記憶されたIDが)、特定される電子部品装着装置2との対応関係を常に維持した状態で設けられたIDマーク48(又は特定される装着ヘッド10との関係を常に維持した状態で設けられたIDマーク54)に一致していると確認できるので、記憶部24(又は記憶部60)に記憶された固有情報も異なる電子部品装着装置(又は異なる装着ヘッド)の固有情報ではないと確認できる。これによって、同じ固有情報で挙動することを維持でき、電子部品装着装置2(又は装着ヘッド10)における動作精度の低下やスループットの低下などの性能劣化、動作異常を防止することができる。
【0057】
また、IDに対応して記憶部24,60に記憶された固有情報の良否を判定する固有情報良否判定手段36を備えている。そのため、記憶部24,60に記憶された固有情報の同一性に加えて、固有情報のデータの良否を判定することができる。これによって、IDが同一であるが、固有データが破損していたときなどでも、破損された固有情報データに基づいて電子部品装着装置2や装着ヘッド10が挙動することを防止することができる。
【0058】
また、記憶部24,60に記憶され、同一性がないと判定されたID及び記憶部24,60に記憶され不良と判定された固有情報を、ホストコンピュータ26に記録保持されたID及び固有情報に基づいて修正する修正手段38を備えている。記憶部24,60に記憶された固有情報に同一性がない場合や固有情報データが破損している場合に、ホストコンピュータ26に保存された正しい固有情報により自動修復することができる。
【0059】
また、記憶部24,60に記憶されたIDの良否を判定する符号良否判定手段32を備えている。そのため、記憶部24,60に記憶されたIDのデータが破損している場合にも、ホストコンピュータ26に保存された正しいIDに基づいて自動修復を行うことができる。
【0060】
また、読取装置は、既存のマーク認識用カメラ14又は部品認識用カメラ16である。このように既存の設備を利用することが可能なので、設備コストの低減を図ることができる。
【0061】
また、マーク認識用カメラ14又は部品認識用カメラ16で読み取られたIDマーク48又はIDマーク54と、記憶部24又は記憶部60に記憶されたIDとの同一性がないこと又は固有情報が不良であることが報知装置であるディスプレイ58に表示されることで作業者に報知され、その報知内容に基づいて作業者は迅速かつ的確に対応することができる。
【0062】
なお、上記実施形態において、IDの誤り・固有情報の誤りをチェックするCRCを必須のものとするものでなく、読取装置で読み取られたIDマークと記憶部に記憶されたIDとに同一性があると判定がされたときに、基板の生産準備を開始するものとしてもよい。
【0063】
また、読取装置を、マーク認識用カメラ及び部品認識用カメラとしたが、これに限定されず、例えば、ID等を読み取る専用のカメラやラインカメラでもよい。
【0064】
また、報知装置を、IDの同一性がない等を表示するディスプレイとしたが、これに限定されず、例えば、警告灯や警告音で作業者に知らせるものでも良い。
【0065】
斯様に、上記した実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の一例を示したものにすぎず、本発明はそのような具体的構成に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得るものである。
【符号の説明】
【0066】
2…作動装置(電子部品装着装置)、3…基板、14…読取装置(マーク認識用カメラ)、16…読取装置(部品認識用カメラ)、24…記憶装置(記憶部)、26…ホストコンピュータ、32…符号良否判定手段、34…自己特定符号判定手段、36…固有情報良否判定手段、38…修正手段、40…生産準備決定手段、48…ID(IDマーク)、54…ID(IDマーク)、58…報知装置(ディスプレイ)、60…記憶装置(記憶部)。
図1
図2
図3
図4