(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態では、前述のTBH工法を例にとって掘削孔の施工について説明するが、掘削孔の施工方法はこれに限らない。また、
図1、
図2、及び、
図4〜
図7では、後述するベースマシン2の走行手段(履帯21)の前後方向及び左右方向を、「前・後・左・右」の各記載で示している。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における掘削機の概略構成を示す。
図2は
図1のA−A断面を示す。
【0016】
掘削機1は、ベースマシン2、ブーム3、フレーム4、フレームジャッキ5、スイベルヘッド(回転ヘッド)6、回転掘削装置7、補助クレーン(揚重装置)8、及び、ケーシング圧入装置(パワーケーシングジャッキ)9により構成されている。ここで、ケーシング圧入装置9は、円筒状のケーシング(鋼管等)10をその外方から挟持して鉛直方向に地盤に圧入するものである。
【0017】
ベースマシン2は、その下部に装備された走行手段である履帯21と、ベースマシン本体22と、ベースマシン本体22を履帯21に対してその上方にて水平旋回させる旋回装置23とにより構成される。すなわち、ベースマシン2は、その下部に履帯21を装備した全旋回式ベースマシンである。ベースマシン2は、その履帯21により、地盤上を任意の方向に走行可能である。
【0018】
ブーム3は、矩形断面で所定の長さを有するブーム本体31とトップブラケット32とにより構成されている。
ブーム本体31は、その基端部が、水平方向に延びる第1枢支軸(図示せず)を介して、ベースマシン本体22の前側上部に枢支されている。
ブーム本体31の先端部にはトップブラケット32の基端部が取り付けられている。
【0019】
ブーム本体31の下側中央部には、油圧ジャッキであるブームジャッキ33の一端部が取り付けられている。また、ブームジャッキ33は、その他端部が、ベースマシン本体22の前側下部に取り付けられている。従って、ブームジャッキ33を伸縮させることにより、ブーム3(ブーム本体31)が前記第1枢支軸を介してベースマシン本体22に対して上下方向に揺動する。
ブーム3のトップブラケット32の前側下部(先端下部)には、下方に突出する図示しない取付ブラケットが設けられている。この取付ブラケットには、水平方向に延びる第2枢支軸34を介して、フレーム4の上端部が枢支されている。
【0020】
フレーム4は、
図2に示すように、前面開口のU字状断面を有して鉛直方向に延在し、所定の長さを有する。ここで、フレーム4は、ケーシング10内に挿入可能な大きさの断面で形成されている。
【0021】
図1に戻り、第2枢支軸34より下側のフレーム4の上部の背面には、左右一対の油圧ジャッキであるフレームジャッキ5の各々の一端部がそれぞれ取り付けられている。また、左右一対のフレームジャッキ5は、各々の他端部が、ブーム本体31の上部左右両側面にそれぞれ取り付けられている。尚、本実施形態では、左右一対のフレームジャッキ5(つまり2本のフレームジャッキ5)をフレーム4とブーム本体31とに取り付けているが、フレームジャッキ5の取付け本数はこれに限らず、例えば、左右いずれか一方のフレームジャッキ5のみ(つまり1本のフレームジャッキ5のみ)をフレーム4とブーム本体31とに取り付けてもよい。
【0022】
掘削機1による地盤掘削時には、
図1に示すように、フレームジャッキ5を短縮させる。この短縮時には、直立状態のフレーム4の水平方向の揺動がフレームジャッキ5により制限されるので、フレーム4の直立状態が保持される。
一方、ケーシング圧入装置9へのケーシング10の供給時には、後述する
図4(b)に示すようにフレームジャッキ5を伸長させる。この伸長時には、フレーム4は、その上端部の第2枢支軸34を中心として、ベースマシン本体22の前方(
図4(b)では、履帯21の左方)に揺動して傾斜する(すなわち、傾動する)。また、この伸長時には、傾斜状態のフレーム4の水平方向の揺動がフレームジャッキ5により制限されるので、フレーム4の傾斜状態が保持される。
ここで、フレームジャッキ5は、本発明における傾動装置に対応するものであり、その伸縮によって、フレーム4の上端部の第2枢支軸34を中心としてフレーム4を傾動させることが可能である。
【0023】
図2に示すように、フレーム4の内側の左右両側部には、それぞれ、スイベルヘッド6昇降用のフィードシリンダ41が設けられている。フィードシリンダ41は、そのロッド部の下端がフレーム4の下部に取り付けられており、油圧により、フィードシリンダ41のシリンダ部がフレーム4の延在方向に沿って往復移動する。
また、フレーム4の左右両側の前端部には、それぞれ、案内レール42が設けられている。この一対の案内レール42は、フレーム4の内方に向かって互いに対向するように配置されており、フレーム4の延在方向に延びて所定の長さを有する。ここで、スイベルヘッド6及び回転掘削装置7の回転軸は、一対の案内レール42間の中央を通過している。
【0024】
スイベルヘッド6は、フィードシリンダ41のシリンダ部の往復移動に応じて、案内レール42により案内されて、フレーム4の延在方向に沿って往復移動する。
スイベルヘッド6は、図示しないモータを駆動源として、鉛直方向を回転軸とする回転駆動力を出力する。
【0025】
図1に示すように、スイベルヘッド6を駆動源とする回転掘削装置7は、鉛直方向に直列に連結される複数のリバースロッド103と、リバースロッド103の下端(最先端)103aに設けられるリバースビット104と、により構成される。ここで、リバースビット104の外径はケーシング10の内径よりも小さい。
リバースロッド103は、その上端部103bがスイベルヘッド6に連結されて、スイベルヘッド6からの回転駆動力により鉛直方向を回転軸として回転する。この回転により、リバースロッド103の下端103aに位置するリバースビット104が、地盤を回転掘削する。
この回転掘削により発生する掘削土砂は、
図8を用いて説明したTBH工法と同様に、安定液(泥水)と共に、掘削孔11からリバースロッド103の内部を通過して前述のサクションポンプ108に吸引され得る。
【0026】
ここで、掘削機1では、
図2に示すように、フレーム4内に、フィードシリンダ41とリバースロッド103の少なくとも一部とが配置されている。また、左右のフィードシリンダ41間に、リバースロッド103の少なくとも一部が位置している。これにより、リバースロッド103がフレーム4の外方に位置する場合に比べて、リバースロッド103とフィードシリンダ41との間の距離が短いので、フィードシリンダ41の往復移動により生じる力をスイベルヘッド6及び回転掘削装置7(リバースロッド103)に良好に伝達してこれらを昇降させることができる。
【0027】
回転掘削装置7については、その少なくとも1つ(
図1では2つ)のリバースロッド103にスタビライザ71が設けられている。
【0028】
図3は、
図1に示す2つのスタビライザ71のうち上側のスタビライザ71の概略構成を示す。
スタビライザ71は、リバースロッド103の外周面より放射状に張り出す複数(
図3では4つ)のストッパ部材72により構成される。
【0029】
ストッパ部材72は、その先端部が、掘削孔11の孔壁近傍(
図3ではケーシング10の内周面近傍)に位置している。
ストッパ部材72の先端部には板状部材73が取り付けられている。
板状部材73は、掘削孔11の孔壁面に対応する円弧状断面を有して鉛直方向に延在し、所定の長さを有する。
【0030】
掘削機1による地盤掘削時には、スタビライザ71のストッパ部材72がストッパとして機能して、回転掘削装置7(リバースロッド103)の水平方向の揺動を抑制する。つまり、スタビライザ71は、本発明の減揺装置として機能して、回転掘削装置7(リバースロッド103)の水平方向の揺動を抑制する。
【0031】
図1に戻り、トップブラケット32は、補助クレーン8のブームとして機能している。
また、ブーム3のブーム本体31の基端側上部には補助クレーン8の揚重用ウインチ81が設置されている。
ウインチ81より引き出されたワイヤロープ82は、トップブラケット32に予め設置された複数のガイドプーリ83に掛け渡されて、それらの下方に位置する吊具(図示せず)に接続されている。従って、補助クレーン8は、ウインチ81によりワイヤロープ82を巻き上げることで、図示しない吊具を介して、重量物を吊り上げることができる。
【0032】
ベースマシン2(履帯21)の前方の地盤上には、ケーシング圧入装置9が配置されている。
ケーシング圧入装置9の中央空間部には、ケーシング10が挿入される。また、ケーシング圧入装置9は、ケーシング10をその外方から挟持して回転させつつ、鉛直方向に地盤に圧入する。
ここで、掘削機1による地盤掘削時には、スイベルヘッド6は、その回転軸が、ケーシング圧入装置9により圧入されるケーシング10の中心軸(回転軸)に略一致するように、ケーシング圧入装置9の上方に配置される。
【0033】
ケーシング圧入装置9には、例えば、前述の特許文献1に記載の回転式のケーシング圧入装置を用いることができる。尚、ケーシング圧入装置9は、回転式のものに限らず、いわゆる揺動式のものであってもよい。
ケーシング圧入装置9が前述の特許文献1に記載のケーシング圧入装置と同様の構成である場合には、分割されたリング(図示せず)を油圧シリンダ(図示せず)により緊縮させてケーシング10を保持するチャック装置(図示せず)を回転体(図示せず)に設け、この回転体を油圧モータ(図示せず)で回転させながら、回転体を回転可能に支持する昇降フレーム(図示せず)をスラストシリンダ(図示せず)により昇降させることで、ケーシング10の圧入(押込)・引抜を行うことが可能である。
【0034】
ケーシング圧入装置9は、図示しない連結部材(例えばロッド部材)を介して、ベースマシン2に連結固定することが可能である。ケーシング圧入装置9をベースマシン2に連結固定することにより、ケーシング圧入装置9はケーシング旋回力の反力をベースマシン2から得ることができるので、ケーシング10の地盤への圧入を安定的に行うことができる。
【0035】
次に、回転掘削装置7のリバースロッド103を継ぎ足す方法と、ケーシング圧入装置9にケーシング10を供給する方法とについて、
図1〜
図3に加えて
図4及び
図5を用いて説明する。
【0036】
図4及び
図5は、ベースマシン2(履帯21)の後方より見た、掘削機1の作動状態を示す。
【0037】
まず、
図1を参照して、掘削機1による地盤掘削によりスイベルヘッド6がフレーム4の下端部まで移動すると、掘削機1による地盤掘削を停止する。この後に、スイベルヘッド6より回転掘削装置7を分離させる。
【0038】
次に、ベースマシン本体22を履帯21に対して左に90°旋回させて、
図4(a)に示すように、ベースマシン本体22の前方を履帯21の左方に一致させる。これにより、フレーム4をケーシング圧入装置9の上方より退避させることができる。尚、フレーム4をケーシング圧入装置9の上方より退避させる場合には、前述のようにベースマシン本体22を履帯21に対して左に90°旋回させる代わりに、ベースマシン本体22を履帯21に対して右に90°旋回させてもよい。この後に、スイベルヘッド6に新たなリバースロッド103’の上端部を連結して、スイベルヘッド6を上昇させることにより、リバースロッド103’を引き上げる。また、地盤上を走行可能な台車13上に、新たなケーシング10’を直立させて載置する。尚、台車13の走行範囲内の地盤上に予め鉄板等を敷くことにより、台車13の走行を安定化させることが可能である。
【0039】
次に、
図4(b)に示すように、直立状態のフレーム4を第2枢支軸34を中心としてベースマシン本体22の前方(図では、履帯21の左方)に揺動させて傾斜状態にする。この後に、台車13を走行させて、傾斜状態のフレーム4の下方にケーシング10’を配置する。
【0040】
次に、ケーシング10’内にフレーム4の下端を挿入する。この後に、
図5(c)に示すように、フレーム4をその傾斜状態から直立状態に戻しつつ、台車13の走行によりケーシング10’を水平移動させてベースマシン2側に引き寄せる。これにより、ケーシング10’へのフレーム4の挿入が進行する。
【0041】
次に、
図5(d)に示すように、補助クレーン8によりケーシング10’を吊上げてフレーム4の下部とリバースロッド103’の下端部とを露出させる。この吊上げ時には、補助クレーン8は、ケーシング10’を、その内方にフレーム4を挿入させた状態で揚重する。
【0042】
次に、ベースマシン本体22を履帯21に対して右に90°旋回させてベースマシン本体22の前方を履帯21の前方に一致させる。これにより、ケーシング10’及びフレーム4がケーシング圧入装置9の上方に配置される。この後に、リバースロッド103’の下端部に回転掘削装置7の上端部を連結させる。この回転掘削装置7の連結時には、スイベルヘッド6の回転軸と、回転掘削装置7の回転軸と、ケーシング圧入装置9の中央軸(回転軸)とが略一致するように、それぞれが配置される。
【0043】
次に、補助クレーン8によりケーシング10’を下降させて、ケーシング圧入装置9にセットする。尚、ケーシング圧入装置9内に既設のケーシング10が位置している場合には、補助クレーン8により下ろされたケーシング10’が、ケーシング圧入装置9内の既設のケーシング10上に継ぎ足されることにより、ケーシング10’のケーシング圧入装置9へのセットが間接的に行われる。
【0044】
このようにして、掘削機1の全高を変えることなく、リバースロッド103’を継ぎ足すことができ、また、ケーシング圧入装置9にケーシング10’を供給することができる。また、回転掘削装置7は、ケーシング圧入装置9に挟持されたケーシング10’(10)内を通過しつつ、地盤を回転掘削することが可能である。また、ケーシング10’内にフレーム4、スイベルヘッド6及びフィードシリンダ41が挿入された状態で、回転掘削装置7による地盤の回転掘削を行うことが可能である。
【0045】
リバースロッド103’の継ぎ足しと、ケーシング圧入装置9へのケーシング10’の供給とが完了すると、掘削機1による地盤掘削が再開される。
この地盤掘削では、掘削機1のスイベルヘッド6を下降させつつ、スイベルヘッド6からの回転駆動力により、回転掘削装置7を回転させて、ケーシング10内を削孔する。これにより、孔壁がケーシング10によって覆われた掘削孔11が形成される。また、この削孔に並行して、ケーシング圧入装置9は、ケーシング10を回転させつつ地盤に圧入する。
【0046】
ここで、スイベルヘッド6の下降速度は、フレーム4に予め設置された速度センサ(図示せず)によって測定されて、この測定データが、ベースマシン2に予め設置された制御装置(図示せず)に伝達される。この制御装置では、測定されたスイベルヘッド6の下降速度に応じて回転掘削装置7の掘進速度を算出し、この掘進速度に同調させた圧入速度でケーシング10を地盤に圧入すべく、ケーシング圧入装置9のスラストシリンダの作動を制御する。このようにして、ケーシング圧入装置9は、回転掘削装置7の掘進速度に同調させた圧入速度で、ケーシング10を地盤に圧入することができる。
【0047】
図6は、鉄道の軌道の近傍で空頭制限がある場所での場所打ちコンクリート杭の施工を示す。
【0048】
図6に示すように、鉄道の軌道130に近接する低空頭な場所(鉄道の軌道130の近傍で空頭制限Lがある場所)にて場所打ちコンクリート杭を施工する場合には、空頭制限Lより全高が低い掘削機1によって掘削孔11を形成すると共に、この掘削孔11の孔壁を覆うようにケーシング10を地盤に圧入する。また、
図4及び
図5を用いて説明したように、リバースロッド103を継ぎ足すと共に、ケーシング圧入装置9にケーシング10を供給する。尚、ケーシング10を圧入する範囲(深さ)は、軌道130を含む近隣の既設構造物に変位や変形等の有害な影響が及ばないように対策を実施すべき範囲を考慮して設定される。掘削孔11の形成及びケーシング10の圧入完了後には、ケーシング圧入装置9のみを残して掘削機1を退避させ、掘削孔11内に鉄筋籠(図示せず)を建込み、生コンクリート(図示せず)を打設する。生コンクリート打設後にケーシング圧入装置9を用いてケーシング10を速やかに撤去することで、場所打ちコンクリート杭が構築される。以上のように掘削機1を用いて掘削孔11の形成とケーシング10の圧入とを行うことにより、掘削孔11の孔壁の崩壊や、それに伴う軌道130の支持地盤の緩みを抑制することができるので、掘削孔11の形成前に地盤改良や鋼矢板打設等の孔壁防護工事を行うことなく、確実に孔壁崩落を防護することができ、ひいては、施工コストを低減することができる。
【0049】
また、ケーシング10の圧入が近隣の既設構造物に変位や変形等の有害な影響を及ぼさないよう対策が必要な範囲でケーシング圧入装置9によるケーシング10の地盤への圧入を止め、それ以深では、掘削孔11内の泥水及びベントナイト溶液等の安定液で掘削孔11の孔壁を安定させながら、回転掘削装置7により地盤を回転掘削して掘削孔11を形成することができるので、使用するケーシング量を軽減して施工コストを低減することができる。
【0050】
本実施形態によれば、掘削機1は、地盤上に配置されるベースマシン2と、このベースマシン2に基端部が取り付けられたブーム3と、このブーム3の先端部に上部が枢支されて直立するフレーム4と、このフレーム4の上部の枢支軸(第2枢支軸34)を中心としてフレーム4を傾動させるフレームジャッキ(傾動装置)5と、フレーム4に沿って昇降するスイベルヘッド(回転ヘッド)6と、このスイベルヘッド6に上端部が連結されて、スイベルヘッド6からの回転駆動力により鉛直方向を回転軸として下端部が地盤を回転掘削する回転掘削装置7と、を備える。これにより、掘削機1の高さを変えずにフレーム4を傾動させることができるので、ケーシング10内にフレーム4を挿入することができ、ひいては、比較的低空頭な場所で、掘削孔11の形成とケーシング10の圧入とを並行して行うことができる。
【0051】
また本実施形態によれば、掘削孔11の孔壁を覆う円筒状のケーシング10を、その内方にフレーム4を挿入させた状態で揚重する補助クレーン(揚重装置)8を備える。これにより、ケーシング10を比較的簡素な構成で吊上げて、ケーシング圧入装置9の上方に移動させることができる。
【0052】
また本実施形態によれば、掘削機1は、補助クレーン(揚重装置)8より降ろされたケーシング10をその外方から挟持して鉛直方向に地盤に圧入するケーシング圧入装置9を備え、回転掘削装置7は、ケーシング圧入装置9により挟持されたケーシング10内を通過しつつ、地盤を回転掘削する。これにより、比較的簡素な構成で、掘削孔11の形成と並行してケーシング10の圧入を行うことができるので、場所打ちコンクリート杭の施工を効率良く行うことができる。
【0053】
また本実施形態によれば、掘削機1は、回転掘削装置7の水平方向の揺動を抑制する減揺装置(スタビライザ71)を備える。これにより、リバースビット104の水平方向での位置ずれを抑制することができるので、掘削孔11の精度を向上させることができる。
【0054】
また本実施形態によれば、スタビライザ71は、少なくとも1つのリバースロッド103の外周面より放射状に張り出して先端部が掘削孔11の孔壁近傍に位置するストッパ部材72により構成される。これにより、比較的簡素な構成で、リバースロッド103及びリバースビット104の水平方向の揺動を抑制することができる。
【0055】
また本実施形態によれば、ベースマシン2は、下部に走行手段(履帯21)を装備した全旋回式ベースマシンである。これにより、ベースマシン2として、汎用性のある既存の油圧ショベルのベースマシンを用いることができるので、掘削機1の製作コストを低減することができる。
【0056】
また本実施形態によれば、フレームジャッキ(傾動装置)5は、その一端部がフレーム4の上部に取り付けられ、他端部がブーム3に取り付けられて伸縮可能である。これにより、比較的簡素な構成で、フレーム4を傾動させることができる。
【0057】
図7は、本実施形態における掘削機1の変形例を示す。この変形例では、前述のブーム3の代わりとして、既存の油圧ショベルのベースマシン2に取り付けられた既存のブーム3’を用いている。また、ブーム3’の先端部には、フレーム4の上部が第2枢支軸34を介して枢支されている。また、フレームジャッキ5の代わりとして、ブーム3’に予め設置された一般的なアームジャッキ(油圧ジャッキ)15が用いられている。このアームジャッキ15は、その一端部が第2枢支軸34より上側のフレーム4の上端部に取り付けられており、他端部がブーム3’の上面中央部に取り付けられている。すなわち、アームジャッキ15は、本発明における傾動装置に対応するものであり、その伸縮によって、フレーム4の上部の第2枢支軸34を中心としてフレーム4を傾動させることが可能である。また、ベースマシン本体22の後部には、補助クレーン8の揚重用ウインチ81’が設置されている。
【0058】
尚、前述の実施形態では、ベースマシン2の走行手段として履帯21を用いて説明したが、走行手段はこれに限らず、例えば、走行手段として車輪を用いてもよい。
【0059】
また、前述の実施形態では、ベースマシン2の下部に走行手段を装備しているが、ベースマシン2の下部の構成はこれに限らず、例えば、スキッドフレーム等の基台により、ベースマシン2の下部を構成してもよい。
【0060】
また、前述の実施形態では、減揺装置として、ストッパ部材72により構成されるスタビライザ71を用いて説明したが、回転掘削装置7の水平方向の揺動を抑制するものであれば減揺装置はこれに限らず、例えば、ケーシング圧入装置9の周辺に仮杭を予め設置して、ケーシング圧入装置9へのケーシング10のセット後に、仮杭からフレーム4に控えを取って固定することで減揺装置を構成することにより、フレーム4の水平方向の揺動を抑制して、回転掘削装置7の水平方向の揺動を抑制してもよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、回転掘削装置7がリバースロッド103及びリバースビット104により構成されているが、回転掘削装置7は、スイベルヘッド6からの回転駆動力により鉛直方向を回転軸として下端部が地盤を回転掘削するものであればこれに限らず、例えば、回転掘削装置7は、オーガスクリューであってもよい。