特許第5869438号(P5869438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5869438
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】コネクタカバー
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
   F16L57/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-146812(P2012-146812)
(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-9755(P2014-9755A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151597
【氏名又は名称】株式会社東郷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長屋 貴則
(72)【発明者】
【氏名】林 俊男
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−10108(JP,A)
【文献】 特開2006−64093(JP,A)
【文献】 特開2005−299700(JP,A)
【文献】 特開2006−22911(JP,A)
【文献】 特開2005−240945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプとチューブとを接続するコネクタにおけるパイプを接続するパイプ接続部、及び、チューブを接続するチューブ接続部を有するコネクタ本体の周囲を覆う筒状のコネクタカバーであって、
前記コネクタ本体の径方向に分割されかつ相互に係合可能に形成された2つの分割体で構成され、
前記2つの分割体のうちの少なくとも1つの分割体には、前記チューブ接続部に接続されたチューブの拡径部を嵌合する径大嵌合部と、該チューブの非拡径部を嵌合する径小嵌合部が形成されている
ことを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタカバーであって、
前記2つの分割体が前記コネクタ本体の径方向に関して非対称状に形成されていることを特徴とするコネクタカバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタカバーであって、
前記2つの分割体の相互間には、少なくとも一方の分割体の弾性を利用して相互間のがたつきを防止するがたつき防止手段が設けられていることを特徴とするコネクタカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプとチューブとを接続するコネクタの主体をなすコネクタ本体を保護するコネクタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコネクタカバーとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された実施形態2を従来例として説明する。図19はコネクタ及び保護部材を示す分解斜視図である。
図19に示すように、配管(本明細書でいう「パイプ」に相当する)100Pとチューブ100Tとを接続するコネクタ103において、配管100Pを接続する配管接続部(同、「パイプ接続部」)159、及び、チューブ100Tを接続するチューブ接続部111を有するコネクタ本体118には、その周囲を覆う筒状の保護部材(同、「コネクタカバー」)160が設けられる。保護部材160は、コネクタ本体118の径方向(左右方向)に分割された2つのカバー部(同、「分割体」)161,162で構成されている。両カバー部161,162は左右対称状に形成されている。コネクタ本体118の左右両側面には、取付凸部135が形成されている。また、両カバー部161,162の内側面には、取付凸部135に係合可能なボス穴部136が形成されている。
【0003】
そして、コネクタ本体118のチューブ接続部111にチューブ100Tを接続した後、コネクタ本体118に対して両カバー部161,162が取付凸部135とボス穴部136との係合を介して装着される。この両カバー部161,162によって、コネクタ本体118を外部衝撃から保護する保護部材160が構成される。なお、チューブ接続部111に接続されたチューブ100Tにおいて、チューブ接続部111により拡径された部分を拡径部といい、チューブ接続部111により拡径されない部分を非拡径部という。また、チューブ100Tの拡径部及びその拡径部に隣接する非拡径部が保護部材160により覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−22911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例の保護部材160によると、コネクタ本体118に対して両カバー部161,162が取付凸部135とボス穴部136との係合を介して装着する構造となっている。このため、コネクタ本体118に取付凸部135を形成しなければならず、コネクタ本体118に設計変更を余儀なくされるという問題があった。また、両カバー部161,162によりチューブ100Tを覆う部分が、チューブ100Tの拡径部を嵌合可能な単なる円筒状に形成されている。このため、両カバー部161,162とチューブ100Tの非拡径部との間に、外部に開口する環状の隙間(「開口隙間」という)が形成され、その開口隙間から両カバー部161,162内に異物が侵入するおそれがあった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、コネクタ本体に設計変更を必要とすることなく、カバー内への異物の侵入を防止することのできるコネクタカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とするコネクタカバーにより解決することができる。
請求項1に記載されたコネクタカバーによると、パイプとチューブとを接続するコネクタにおけるパイプを接続するパイプ接続部、及び、チューブを接続するチューブ接続部を有するコネクタ本体の周囲を覆う筒状のコネクタカバーであって、コネクタ本体の径方向に分割されかつ相互に係合可能に形成された2つの分割体で構成され、2つの分割体のうちの少なくとも1つの分割体には、チューブ接続部に接続されたチューブの拡径部を嵌合する径大嵌合部と、該チューブの非拡径部を嵌合する径小嵌合部が形成されている。この構成によると、コネクタ本体を間にして、両分割体を相互に係合することによって、コネクタ本体の周囲を覆うコネクタカバーが構成される。このため、従来例(図19参照)と異なり、コネクタ本体に設計変更を必要としない。また、2つの分割体のうちの少なくとも1つの分割体に備えた径大嵌合部にチューブの拡径部を嵌合するとともに、径小嵌合部にチューブの非拡径部を嵌合することにより、径小嵌合部とチューブの非拡径部との間の開口隙間を狭小化することができ、その開口隙間からカバー内への異物の侵入を防止することができる。
【0008】
請求項2に記載されたコネクタカバーによると、2つの分割体がコネクタ本体の径方向に関して非対称状に形成されている。したがって、2つの分割体を容易に判別することができる。
【0009】
請求項3に記載されたコネクタカバーによると、2つの分割体の相互間には、少なくとも一方の分割体の弾性を利用して相互間のがたつきを防止するがたつき防止手段が設けられている。したがって、がたつき防止手段により、少なくとも一方の分割体の弾性を利用して、2つの分割体の相互間のがたつきを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態にかかるコネクタカバーをコネクタに装着した状態で示す斜視図である。
図2】コネクタに装着する前のコネクタカバーを示す斜視図である。
図3】チューブを接続する前のコネクタを示す斜視図である。
図4】チューブを接続したコネクタを示す正断面図である。
図5】カバー本体を示す正面図である。
図6】カバー本体を示す左側面図である。
図7】カバー本体を示す平面図である。
図8】カバー本体を示す下面図である。
図9図5のIX−IX線矢視断面図である。
図10図5のX−X線矢視断面図である。
図11】カバー本体にコネクタを嵌合した状態を示す正面図である。
図12】蓋部材を示す正面図である。
図13】蓋部材を示す左側面図である。
図14】蓋部材を示す平面図である。
図15】蓋部材を示す下面図である。
図16図12のXVI−XVI線矢視断面図である。
図17図12のXVII−XVII線矢視断面図である。
図18図12のXVIII−XVIII線矢視断面図である。
図19】従来例にかかるにかかるコネクタ及び保護部材を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための一実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、例えば自動車等の車両の燃料タンクに設けられたパイプと、燃料配管系のチューブとを接続するコネクタを保護するコネクタカバーについて例示する。図1はコネクタカバーをコネクタに装着した状態で示す斜視図、図2はコネクタに装着する前のコネクタカバーを示す斜視図、図3はチューブを接続する前のコネクタを示す斜視図、図4はチューブを接続したコネクタを示す正断面図である。なお、説明の都合上、図4の正断面図を基に上下左右の方位を定めるが、コネクタ及びコネクタカバーの配置方向を特定するものではない。また、パイプ、チューブ、コネクタを説明した後にコネクタカバーについて説明する。
【0012】
図3に示すように、パイプ10は、例えば金属製で、丸パイプ状に形成されたパイプ本体10aを主体としている。パイプ本体10aの先端面から所定間隔を隔てた位置の外周面上には、周方向に連続するフランジ状のバルジ部10bが形成されている。なお、パイプ10は樹脂製でもよい。
また、チューブ12は、燃料配管用の2重チューブからなり、樹脂製の内チューブ部材13と、ゴム製の外チューブ部材14とを有する。なおチューブ12は、2重チューブに限らず、単一チューブでもよいし、3重以上の多重チューブでもよい。
【0013】
コネクタ20は、コネクタ本体21とリテーナ26とを備えている。なお、コネクタ20は、コネクタ本体21に対するパイプ10の嵌合の正否を確認するための図示しないチェッカー(例えば特開2004−251319公報参照)を備えていてもよい。また、コネクタ本体21に対するチェッカーの取外し方向は限定されるものではない。また、コネクタ本体21に対するリテーナ26の移動方向(スライド方向(後述する))は、適宜変更可能である。
前記コネクタ本体21は、例えば樹脂製で、90°のエルボ管状に形成されている。コネクタ本体21は、左端面を開口する横管部22と、横管部22の右端部から下方へ延びかつ下端面を開口する一端側の縦管部23とを有する。横管部22は、前記パイプ10を接続するパイプ接続部22(横管部と同一符号を付す)となっている。パイプ接続部22は、パイプ10を同軸状に挿入可能に形成されている。また、縦管部23は、前記チューブ12を接続するチューブ接続部23(縦管部と同一符号を付す)となっている。チューブ接続部23の外周面は略竹の子状に形成されている。また、チューブ接続部23の先端部(下端部)は、先細り状に形成されている。
【0014】
図4に示すように、前記チューブ接続部23を前記チューブ12(詳しくはチューブ部材13)内に圧入することによって、チューブ接続部23にチューブ12が接続される。なお、チューブ接続部23に接続されたチューブ12において、チューブ接続部23により拡径された部分を拡径部12aといい、チューブ接続部23により拡径されない部分を非拡径部12bという。また、チューブ接続部23に接続されたチューブ12のうち、拡径部12a及びその拡径部12aに隣接する非拡径部12bを、「チューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分」という。また、チューブ12の内チューブ部材13の先端部(上端部)13aは、外チューブ部材14の先端から露出されている。
【0015】
前記リテーナ26は、前記パイプ接続部22の左端部に対して径方向(図4において紙面表裏方向)にスライド可能に装着されている。リテーナ26は、パイプ接続部22にパイプ10を正規の接続位置まで挿入した状態で、前方の仮止め位置から後方のロック位置へスライドさせることによって、パイプ10(詳しくはバルジ部10b)を抜け止めする。なお、このようなパイプ接続部22及びリテーナ26にかかる構成は、例えば、前記特許文献1の他、特開2004−251319公報等に記載された構成と同様であるからここでの詳しい説明は省略する。
【0016】
次に、コネクタカバー30を説明する。図1に示すように、コネクタカバー30は、前記チューブ12が接続された前記コネクタ20のコネクタ本体21に装着されるようになっている。コネクタカバー30は、コネクタ本体21に対する装着状態において、リテーナ26の周辺部を除いたコネクタ本体21のパイプ接続部22、及び、チューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分(図4参照)を覆うエルボ型の筒状に形成されている。なお、本実施形態では、コネクタ20に対するパイプ10の接続は、コネクタカバー30の装着後に行うものとするが、コネクタカバー30の装着前に行ってもよい。また、コネクタカバー30の装着手順については後で説明する。
【0017】
図2に示すように、前記コネクタカバー30は、前記コネクタ本体21の径方向に二分割すなわち前後方向に面する一平面を分割面として2つの分割体31,60に分割されている。2つの分割体31,60はコネクタ本体21の径方向(前後方向)に関して非対称状に形成されている。後側に分割された分割体31は、例えば樹脂製で、一側面すなわち前面を開口する断面U字状に形成されている。また、前側に分割された分割体60は、例えば樹脂製で、板状に形成されている。後側の分割体31は、前側の分割体60に比べてコネクタ本体21の周囲を広範囲に覆うため、以下、カバー本体31(後側の分割体と同一符号を付す)という。また、前側の分割体60は、カバー本体31の前面開口部を閉鎖するため、蓋部材60(前側の分割体と同一符号を付す)という。なお、カバー本体31の断面U字状には、断面コ字状やこれらに類似する断面形状が含まれる。
【0018】
前記カバー本体31について説明する。図5はカバー本体を示す正面図、図6は同じく左側面図、図7は同じく平面図、図8は同じく下面図、図9図5のIX−IX線矢視断面図、図10図5のX−X線矢視断面図、図11はカバー本体にコネクタを嵌合した状態を示す正面図である。図5に示すように、カバー本体31において、前面を開口する溝部31aは逆L字状に形成されている。溝部31aは、前記コネクタ20(図4参照)のコネクタ本体21におけるリテーナ26の周辺部を除いたパイプ接続部22、及び、チューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分を前方(紙面表方)から嵌合可能に形成されている(図11参照)。また、カバー本体31のうち、パイプ接続部22を嵌合する部分を第1嵌合部33といい、チューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分を嵌合する部分を第2嵌合部40という。
【0019】
図5に示すように、前記第1嵌合部33の右端部の後側の内壁面には、溝径を小径化する座面部37が形成されている。座面部37は、前記コネクタ本体21のパイプ接続部22の右端部の球状部(図11に符号、22aを付す)の外側面に対応する凹曲面に形成されている(図6参照)。また、座面部37によりカバー本体31の剛性が高められている。また、第1嵌合部33の上壁部(符号、34を付す)の前縁部の中央部には、前方へ突出する第1位置決め凸部38が形成されている(図7参照)。第1位置決め凸部38は、左右方向に延びる横長四角形板状に形成されている。また、上壁部34には、該上壁部34を上下方向に貫通する第1係合孔39が形成されている(図9参照)。第1係合孔39は、左右方向を長くする長四角形孔状に形成されている。第1位置決め凸部38と第1係合孔39とは、前後に平行状をなしている。
【0020】
図11に示すように、前記第2嵌合部40において、前記コネクタ本体21のチューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分のうち、チューブ12の拡径部12aを嵌合する部分を径大嵌合部41といい、チューブ12の非拡径部12bを嵌合する部分を径小嵌合部45という。径大嵌合部41と径小嵌合部45とは、テーパ状部44によりなだらかに接続されている。また、径小嵌合部45の下端部の半円弧状の内周部には、溝径を小径化する狭小部46が形成されている(図8及び図9参照)。狭小部46は、チューブ12の非拡径部12bの外周面に対して所定の締め代をもって嵌合可能に形成されている(図11参照)。
【0021】
図5に示すように、前記径小嵌合部45の前端面の下端部すなわち径小嵌合部45の左壁部(符号、47を付す)及び右壁部(符号、48を付す)の前端面には、前方へ突出する角型突起状の第2位置決め凸部50が左右対称状に形成されている(図8参照)。また、径小嵌合部45の左壁部47及び右壁部48には、該壁部47,48を左右方向に貫通する第2係合孔51が左右対称状に形成されている(図10参照)。第2係合孔51は、上下方向を長くする長四角形孔状に形成されている(図9参照)。左壁部47及び右壁部48の前縁部の外側面には、第2係合孔51の前方(図10において上方)に位置する案内斜面53が左右対称状に形成されている。
【0022】
図5に示すように、前記第1嵌合部33の下壁部(符号、35を付す)と、前記第2嵌合部40の径大嵌合部41の左壁部(符号、42を付す)とのなす内角側の隅角部分には、逆三角板状の第1リブ55が形成されている。第1リブ55の下端部は、前記径小嵌合部45の左壁部46の下端部に向かって延びている。また、第1リブ55は、前後方向に面する一平面上に形成されている(図8参照)。また、第1リブ55によりカバー本体31の剛性が高められている。また、第1嵌合部33の下壁部35と第2嵌合部40の径大嵌合部41の左壁部42と接続部分には、溝部31a内へ突出する第2リブ57が形成されている(図5参照)。第2リブ57は、前後方向(図5において紙面表裏方向)に延びる角棒状に形成されている。第2リブ57は、コネクタ本体21のパイプ接続部22とチューブ接続部23とのなす内角側隅角部分に対して嵌合可能に形成されている(図11参照)。また、第2リブ57によりカバー本体31の剛性が高められている。
【0023】
前記蓋部材60について説明する。図12は蓋部材を示す正面図、図13は同じく左側面図、図14は同じく平面図、図15は同じく下面図、図16図12のXVI−XVI線矢視断面図、図17図12のXVII−XVII線矢視断面図、図18図12のXVIII−XVIII線矢視断面図である。図12に示すように、前記蓋部材60は、主体としての蓋板部60aを有する。蓋板部60aは、前記カバー本体31(図5参照)の前端面の外形とほぼ同じ外形形状に形成されている。蓋板部60aの上端部には、上面を開口する第1位置決め凹部61が形成されている。第1位置決め凹部61は、前記カバー本体31の第1位置決め凸部38に対して係合可能に形成されている(図18参照)。なお、第1位置決め凸部38と第1位置決め凹部61により本明細書でいう「第1位置決め手段」が構成されている。
【0024】
図12に示すように、前記蓋板部60aの下端部の左右両端隅角部には、下面及び外側面を開口する第2位置決め凹部62が左右対称状に形成されている。両第2位置決め凹部62は、前記カバー本体31の両第2位置決め凸部50に対して係合可能に形成されている。なお、両第2位置決め凸部50と両第2位置決め凹部62により本明細書でいう「第2位置決め手段」が構成されている。
【0025】
図13に示すように、前記蓋板部60aには、前記第1位置決め凹部61の下縁部から後方(図13において左方)へ突出する第1係止片63が形成されている。第1係止片63の後端部には、上方へ突出する係止爪63aが形成されている。また、第1係止片63は、左右方向に延びる長細板状に形成されている(図14参照)。第1係止片63の係止爪63aは、前記カバー本体31の第1係合孔39に対して係合可能に形成されている(図18参照)。なお、第1係合孔39と第1係止片63により本明細書でいう「第1係合手段」が構成されている。
【0026】
図12に示すように、前記蓋板部60aの下端部の左右両側縁部には、後方(図12において紙面裏方)へ突出する第2係止片64が左右対称状に形成されている。両第2係止片64は、上下方向に延びる長細板状に形成されている。また、両第2係止片64は、前記両第2位置決め凹部62の上側に隣接して形成されている。両第2係止片64の後端部には、対向方向に突出する係止爪64aが係止されている(図16参照)。また、両第2係止片64は、相反方向すなわち拡開方向へ弾性変形すなわち撓み変形可能に形成されている(図16中、二点鎖線64参照)。両第2係止片64の係止爪64aは、前記カバー本体31の両第2係合孔51に対してそれぞれ係合可能に形成されている。なお、第2係合孔51と第2係止片64により本明細書でいう「第2係合手段」が構成されている。
【0027】
図13に示すように、前記蓋板部60aの下縁部には、後方(図13において左方)へ突出する閉鎖片65が形成されている(図15参照)。閉鎖片65は、左右方向に延びる長細板状に形成されている。また、閉鎖片65の後端面(図15において下面)には、前記チューブ12の非拡径部12bに対して嵌合可能な凹型円弧状の嵌合面65aが形成されている。
【0028】
図12に示すように、前記蓋板部60aの上下方向の中央部には、後方(図12において紙面裏方)へ突出する左右一対の第3リブ66が左右対称状に形成されている。両第3リブ66は、上下方向に延びる長細板状に形成されている。また、両第3リブ66により蓋板部60aの剛性が高められている。また、両第3リブ66は、前記カバー本体31の径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部(符号、43を付す)の間に嵌合可能に形成されている(図17参照)。
【0029】
図17に示すように、前記両第3リブ66の外側面の間の間隔66Lは、前記カバー本体31の自由状態における径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43(図17中、二点鎖線42a,43a参照)の間の間隔41Lよりも所定量大きい間隔に設定されている。これにより、両第3リブ66が径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の間に嵌合したときには、径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43が相反方向すなわち拡開方向へ弾性変形すなわち撓み変形されるようになっている。また、両第3リブ66の先端部の外側面には、案内斜面66aが形成されている。案内斜面66aは、両第3リブ66を径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の間に嵌合する際に、径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の前端縁を案内する。なお、前記間隔66Lと間隔41Lとは同一寸法に設定することにより、両第3リブ66を嵌合したときに径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43が撓み変形しない構成とすることができる。
【0030】
前記両第3リブ66の基端部の外側面には、段付部67が左右対称状に形成されている。両段付部67は、蓋部材60をカバー本体31に装着したときに、前記カバー本体31の径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の前端面に対して当接可能に形成されている。カバー本体31の径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の前端面に対して両第3リブ66の段付部67(詳しくは後側面)が当接したときには、蓋板部60aの上下方向の中央部が前方へ弾性変形すなわち撓み変形されるようになっている(図13中、二点鎖線60a参照)。また、前記蓋板部60aの上端部の後側面(図12において紙面裏側面)には、上下方向に延びる左右の第4リブ68が形成されている(図12参照)。両第4リブ68により蓋板部60aの剛性が高められている。
【0031】
次に、前記チューブ12が接続された前記コネクタ20のコネクタ本体21に対する前記コネクタカバー30の装着手順について説明する(図2参照)。まず、カバー本体31の溝部31aに対して、チューブ12が接続されたコネクタ20のコネクタ本体21におけるリテーナ26の周辺部を除いたパイプ接続部22、及び、チューブ接続部23に接続されたチューブ12の接続部分を嵌合する(図11参照)。なお、パイプ接続部22と第1嵌合部33との間における隙間を小さく、又は、隙間無く設定することによって、両者22,33間のがたつきを防止することができる。また、第1嵌合部33の座面部37にパイプ接続部22の右端部の球状部22aが当接又は近接することによっても両者22,33間のがたつきを防止することができる。なお、本明細書でいう「隙間」とは、嵌合関係にある相互間において、部分的に最小となる部分における隙間のことをいう。
【0032】
また、カバー本体31の第2嵌合部40の径大嵌合部41には、チューブ12の拡径部12aが嵌合される。なお、本実施形態では、径大嵌合部41は、チューブ12の拡径部12aを所定の隙間をもって遊嵌状に嵌合可能に形成されている。これにより、径大嵌合部41に対するチューブ12の拡径部12aの嵌合に際しての両者12a,41間の干渉、及び、その嵌合後の摩擦を防止することができる。また、径大嵌合部41とチューブ12の拡径部12aとの間における隙間を小さく設定することによって、両者41,12a間のがたつきを防止することができる。
【0033】
また、カバー本体31の第2嵌合部40の径小嵌合部45には、チューブ12の非拡径部12bが嵌合される。本実施形態では、径小嵌合部45は、チューブ12の非拡径部12bを面接触状に嵌合可能に形成されている。これにより、径小嵌合部45とチューブ12の非拡径部12bとの間の開口隙間を閉鎖することができる。また、チューブ12の非拡径部12bに対してカバー本体31を支持することができる。
【0034】
また、径小嵌合部45の狭小部46は、チューブ12の非拡径部12b(詳しくは外チューブ部材14の非拡径部12b)の外周面に対して外チューブ部材14の弾性変形を利用して所定の締め代をもって嵌合される。これにより、チューブ12の非拡径部12bに対してカバー本体31を強固に支持することができる。また、カバー本体31の第2リブ57は、コネクタ本体21のパイプ接続部22とチューブ接続部23(詳しくは内チューブ部材13の先端部13a)とのなす内角側隅角部分に対して嵌合される。これにより、コネクタ本体21とカバー本体31との間のがたつきを防止することができる。
【0035】
続いて、蓋部材60をカバー本体31に装着する。すなわち、蓋部材60の第1係止片63の係止爪63aをカバー本体31の第1係合孔39に溝部31a側から差込むようにして、蓋部材60の下端部をカバー本体31に向けて押付ける。すると、第1係止片63の係止爪63aがカバー本体31の第1係合孔39に係合される(図18参照)。これにより、カバー本体31に対して蓋部材60の上端部が抜け止めされる。これとともに、カバー本体31の第1位置決め凸部38に対して蓋部材60の第1位置決め凹部61が係合される。これにより、カバー本体31に蓋部材60を位置決めすることができる。すなわち、カバー本体31に対する蓋部材60の上方への移動、及び、蓋部材60の上端部の左右方向の移動を防止することができる。これとともに、カバー本体31に対する蓋部材60の左右方向に関する位置決め強度を高めることができる。
【0036】
また、カバー本体31の第2嵌合部40の径小嵌合部45の左壁部47及び右壁部48の外側面に対して、蓋部材60の両第2係止片64が嵌合する。このとき、径小嵌合部45の左壁部47及び右壁部48の案内斜面53によって両第2係止片64の係止爪64aが摺動案内されることにより、両第2係止片64が拡開方向へ撓み変形(図16中、二点鎖線64参照)されていく。その後、径小嵌合部45の両第2係合孔51に対して両第2係止片64の係止爪64aが整合することによって、両第2係止片64が弾性復元し、両第2係止片64の係止爪64aが両第2係合孔51に係合される(図16参照)。これにより、カバー本体31に対して蓋部材60の下端部が抜け止めされる。これとともに、カバー本体31の第2位置決め凸部50に対して蓋部材60の両第2位置決め凹部62が係合される(図12参照)。これにより、カバー本体31に蓋部材60を位置決めすることができる。すなわち、カバー本体31に対する蓋部材60の下方への移動、及び、蓋部材60の下端部の左右方向の移動を防止することができる。
【0037】
なお、両第2係止片64の自由状態において両第2係止片64の先端部の間隔が径小嵌合部45の左壁部47及び右壁部48の外側面の間の間隔よりも少し狭くなるように、両第2係止片64が傾斜状に形成されている(図14及び図15参照)。これにより、両第2係合孔51に両係止爪64aが係合したときに、両第2係止片64を径小嵌合部45の左壁部47及び右壁部48の両外側面に対する密着性を向上することができる。
【0038】
また、蓋部材60の閉鎖片65の嵌合面65aがチューブ12の非拡径部12b(詳しくは外チューブ部材14の非拡径部12b)の外周面に対して嵌合する(図15参照)。これにより、チューブ12の非拡径部12bと蓋部材60との間の下端開口面を閉鎖することができる。なお、閉鎖片65の嵌合面65aは、チューブ12の非拡径部12bに面接触状に当接させるとよい。
【0039】
また、カバー本体31の第2嵌合部40の径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の間に対して、蓋部材60の両第3リブ66が嵌合される。このとき、両第3リブ66の案内斜面66aによって径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43が摺動案内されることにより、両壁部42,43が拡開方向へ撓み変形される(図17参照)。これにより、カバー本体31の弾性を利用して、カバー本体31と蓋部材60との間のがたつきを防止することができる。なお、径大嵌合部41の両壁部42,43と両第3リブ66とにより本明細書でいう「がたつき防止手段」、「第1がたつき防止手段」が構成されている。
【0040】
また、蓋部材60の両第3リブ66の段付部67がカバー本体31の径大嵌合部41の左壁部42及び右壁部43の前端面に当接することにより、蓋部材60(詳しくは蓋板部60a)の上下方向の中央部が前方へ撓み変形される(図13中、二点鎖線60a参照)。これにより、第1係合手段の第1係合孔39の前縁部に第1係止片63の係止爪63aが当接状態に付勢されるとともに、第2係合手段の第2係合孔51の前縁部に第2係止片64の係止爪64aが当接状態に付勢される。このため、カバー本体31と蓋部材60との間のがたつき、すなわち第1係合手段(第1係合孔39と第1係止片63)の係合によるがたつき、及び、第2係合手段(第2係合孔51と第2係止片64)の係合による両者31,60間のがたつきを防止することができる。なお、径大嵌合部41の両壁部42,43と、段付部67を有する両第3リブ66とにより本明細書でいう「がたつき防止手段」、「第2がたつき防止手段」が構成されている。
【0041】
上記のようにして、チューブ12が接続されたコネクタ20のコネクタ本体21に対するコネクタカバー30の装着が完了する(図1参照)。その後、パイプ10をコネクタ本体21のパイプ接続部22に挿入した後、リテーナ26を前方位置(仮止め位置)から後方位置(ロック位置)へ移動させることによって、パイプ10を抜け止めすればよい。
【0042】
なお、コネクタカバー30の装着完了状態において、コネクタ本体21のパイプ接続部22と蓋部材60の蓋板部60aとの間における隙間、及び/又は、チューブ12の拡径部12aと蓋部材60の蓋板部60aとの間における隙間は、小さく、又は、隙間無く設定するとよい。また、蓋部材60の両第3リブ66(図12参照)がチューブ12の拡径部12aに対して当接するように、両第3リブ66の前後方向の長さを設定することにより、チューブ12と蓋部材60との間のがたつきを防止することができる。また、蓋部材60の両第4リブ68(図12参照)がコネクタ本体21のパイプ接続部22に対して当接するように、両第4リブ68の前後方向の突出量を設定することにより、コネクタ本体21と蓋部材60との間のがたつきを防止することができる。
【0043】
前記コネクタカバー30(図1参照)によって、コネクタ本体21を外部衝撃から保護することができる。とくに、本コネクタカバー30は、チューブ12及びパイプ10を接続したコネクタ本体21のパイプ接続部22に対するチューブ接続部23の接続部分を外部衝撃から効果的に保護することができる。
【0044】
前記したコネクタカバー30によると、コネクタ本体21を間にして、カバー本体31及び蓋部材60を相互に係合することによって、コネクタ本体21の周囲を覆うコネクタカバー30が構成される。このため、従来例(図19参照)と異なり、コネクタ本体21に設計変更を必要としない。また、カバー本体31に備えた径大嵌合部41にチューブ12の拡径部12aを嵌合するとともに、径小嵌合部45にチューブ12の非拡径部12bを嵌合することにより、径小嵌合部45とチューブ12の非拡径部12bとの間の開口隙間を狭小化することができ、その開口隙間からコネクタカバー30内への異物の侵入を防止することができる。
【0045】
また、カバー本体31の径小嵌合部45をチューブ12の非拡径部12bに面接触状に嵌合したことにより、径小嵌合部45とチューブ12の非拡径部12bとの間の開口隙間を閉鎖することができ、コネクタカバー30内への異物の侵入の防止に効果的である。また、チューブ12の非拡径部12bに対してコネクタカバー30を支持することによって、チューブ12とコネクタカバー30との間のがたつきを防止することができる。
【0046】
また、カバー本体31及び蓋部材60がコネクタ本体21の径方向に関して非対称状に形成されている。したがって、カバー本体31と蓋部材60とを容易に判別することができる。また、車両に対するコネクタの搭載上の配置位置において、外部衝撃を受け易い範囲と外部衝撃を受け難い範囲とが非対称の場合には、その範囲に対応してカバー本体31及び蓋部材60を配置するとよい。例えば、外部衝撃を受け易い範囲にカバー本体31を配置し、外部衝撃を受け難い範囲に蓋部材60を配置するとよい。
【0047】
また、カバー本体31及び蓋部材60の相互間には、カバー本体31の弾性を利用して相互間のがたつきを防止する第1がたつき防止手段が設けられている。したがって、カバー本体31の径大嵌合部41の両壁部42,43と蓋部材60の両第3リブ66とによる第1がたつき防止手段により、カバー本体31の弾性を利用して、カバー本体31と蓋部材60との間のがたつきを防止することができる。
【0048】
また、カバー本体31及び蓋部材60の相互間には、蓋部材60(詳しくは蓋板部60a)の弾性を利用して相互間のがたつきを防止する第2がたつき防止手段が設けられている。したがって、カバー本体31の径大嵌合部41の両壁部42,43と、蓋部材60の段付部67を有する両第3リブ66とによる第2がたつき防止手段により、蓋部材60の蓋板部60aの弾性を利用して、カバー本体31と蓋部材60との間のがたつき、すなわち第1係合手段(第1係合孔39と第1係止片63)の係合によるがたつき、及び、第2係合手段(第2係合孔51と第2係止片64)の係合による両者31,60間のがたつきを防止することができる。
【0049】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、前記実施形態のエルボ管状のコネクタ本体21を備えるコネクタ20に限らず、例えば、パイプ接続部22及びチューブ接続部23を同一軸線上に備える直管状のコネクタ本体を備えるコネクタ等にも適用することができる。また、本発明は、例えば、特開2008−163976公報、特開平8−233181号公報等に記載されたコネクタ等にも適用することができる。また、前記実施形態では、2つの分割体31,60すなわちカバー本体31と蓋部材60とをコネクタ本体21の径方向に関して非対称状に形成したが、2つの分割体31,60はコネクタ本体21の径方向に関して対称状に形成してもよい。また、前記実施形態では、カバー本体31の径小嵌合部45をチューブ12の非拡径部12bに密嵌状に嵌合したが、カバー本体31の径小嵌合部45をチューブ12の非拡径部12bに遊嵌状に嵌合してもよい。また、コネクタカバー30のカバー本体31と蓋部材60とをインテグラルヒンジを介して連結してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…パイプ
12…チューブ
12a…拡径部
12b…非拡径部
20…コネクタ
21…コネクタ本体
22…パイプ接続部
23…チューブ接続部
30…コネクタカバー
41…径大嵌合部
45…径小嵌合部
31…カバー本体(分割体)
60…蓋部材(分割体)
図1
図2
図3
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図5
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