(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
手前側と奥側に並列に設けた2つの基板搬送ライン、前記2つの基板搬送ラインのさらに手前側とさらに奥側に設けられた部品供給エリア、前記部品供給エリアから電子部品を吸着し前記2つの基板搬送ライン上のプリント基板それぞれに電子部品を装着する複数の装着ヘッド、および前記2つの基板搬送ライン、前記部品供給エリア、前記装着ヘッドを制御する制御装置を有する電子部品装着装置において、
前記制御装置は、電子部品装着装置の制御に関わるプログラムを保存する不揮発性メモリと、前記2つの基板搬送ライン上の基板それぞれに電子部品を装着するための動作用データおよび前記2つの基板搬送ラインそれぞれの機種データを保存する揮発性メモリと、CPUとを備え、
前記CPUは、前記2つの基板搬送ラインのいずれか一方の基板搬送ラインで生産する基板の機種変更時に、外部メモリから当該機種変更して生産する基板のパターンプログラムデータおよび関連する部品ライブラリデータを読み出し、前記揮発性メモリ内の機種変更する基板搬送ラインの機種データを書き換え、前記書き換えた機種データに基づいて前記動作用データを書き換えるときに、前記一方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データのうち、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データ以外の前記一方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データを書き換えるとともに、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データと、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データ以外の前記他方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データとの両方の書き換えをしないことを特徴とする電子部品装着装置。
請求項1記載の電子部品装着装置において、前記複数の装着ヘッドは、前記制御装置の制御により、前記2つの基板搬送ラインのいずれか一方の基板搬送ラインの基板に同時に電子部品を装着することを特徴とする電子部品装着装置。
手前側と奥側に並列に設けた2つの基板搬送ライン、前記2つの基板搬送ラインのさらに手前側とさらに奥側に設けられた部品供給エリア、前記部品供給エリアから電子部品を吸着し前記2つの基板搬送ライン上のプリント基板それぞれに電子部品を装着する複数の装着ヘッド、および前記2つの基板搬送ライン、前記部品供給エリア、前記装着ヘッドを制御する制御装置を有する電子部品装着装置の電子部品装着方法において、
前記2つの基板搬送ラインのいずれか一方の基板搬送ラインで生産する基板の機種変更時に、外部メモリから当該機種変更して生産する基板のパターンプログラムデータおよび関連する部品ライブラリデータを読み出し、前記揮発性メモリ内の機種変更する基板搬送ラインの機種データを書き換え、前記書き換えた機種データに基づいて前記動作用データを書き換えるときに、前記一方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データのうち、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データ以外の前記一方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データを書き換えるとともに、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データと、前記一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データ以外の前記他方の基板搬送ラインの動作に関する前記動作用データとの両方の書き換えをしないことを特徴とする電子部品装着方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、生産性の観点から、2つの基板搬送ライン(デュアル搬送ライン)を並列に設け、レーンU(基板搬送ラインU)およびレーンD(基板搬送ラインD)それぞれがプリント基板を搬送し、2つの基板に電子部品を装着する、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置が使用されていた。なお、本書では、以降、プリント基板を単に基板と称する。
図13は、従来の電子部品装着装置におけるデュアル搬送ラインについて説明するための図である。2枚の基板PU、PDそれぞれは、一対のシュートと呼ばれる並列に設けられたレールに挟まれて搬送される。部品供給エリアA1とA2には、電子部品等の部品(以下、単に電子部品と称する)が収納されている。
図13においては、基板PUは、並列に設けられた固定シュート13Uと可動シュート131によって部品装着エリアまで搬送される。
図13は、それぞれの部品装着エリアに基板PUと基板PDが搬送された状態である。部品装着エリアでは、基板PUは、電子部品を装着される。即ち、装着ヘッドH1は、部品供給エリアA1またはA2から電子部品を吸着し、部品装着エリアの基板PUの装着位置まで移動して電子部品を装着する。
同様に、基板PDは、並列に設けられた固定シュート13Dと可動シュート132によって部品装着エリアまで搬送される。部品装着エリアでは、基板PDは、電子部品を装着される。即ち、装着ヘッドH2は、部品供給エリアA1またはA2から電子部品を吸着し、部品装着エリアの基板PDの装着位置まで移動して電子部品を装着する。
機種変更を行うためには、機種変更する基板のサイズに合わせて並列に設けられたレーンの幅を変更する必要がある。
また、電子部品を基板に安定して装着するために、基板を多数のバックアップピンで下方から支持している。同様に、機種変更する基板に合わせて、電子部品を装着するための吸着ノズルを交換する必要がある。
さらに、機種変更してこれから生産する基板の生産枚数に関わるデータと作業設備データ(基板の吸着ノズルデータ、搬送に関わるレーン幅データ、およびバックアップピンの配置座標データ)を書き換える必要がある。
【0003】
このようなデュアル搬送ラインの電子部品装着技術としては、特許文献1に記載された例が知られている。
特許文献1には、2つの基板搬送ラインを並列に設けたデュアル搬送ラインを有する電子部品装着装置が開示されている。
特許文献1は、4つのシュートでの2つの基板搬送ラインを構成する電子部品装着装置において、前記4つのシュートの一端を構成する移動できない固定シュートを有し、固定シュートを有しない4つのシュートのうち移動可能な2つの可動シュートで構成される固定シュートを有しない他の基板搬送ラインを、当該搬送ラインに搬送される基板に電子部品を供給する部品供給エリアに近い位置に設定することによって、より生産性の向上を図ったものである。
【0004】
また、特許文献2には、作業員がタッチパネルスイッチを押圧することによって、基板の機種切り換えを伴う操作の記載がある。即ち、作業員が生産する基板の種類とプログラム名を選択すると、電子部品装着装置のCPU(Central Processing Unit)が、新しい基板の機種のパターンプログラムデータを読み取ることによって機種切り換えが行なわれるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に基板を生産運転するときには、初めに、電子部品装着装置が停止している状態(上流側へ基板を要求しない状態で、かつ電子部品の装着を停止している状態)において、作業管理者はモニタに表示された複数の基板の機種名から、これから生産する基板の生産機種を選択する。これによって、機種切り換え動作がなされたのでこの機種名が記憶装置に保存され、運転開始スイッチの操作により、選択された生産機種の基板に関わる内部データ(パターンプログラムデータや部品ライブラリデータ等)に基づいて、基板の生産運転が開始される。
また、上述の特許文献1および特許文献2のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置においても、2つの基板搬送ラインのうち、一方の基板搬送ラインを運転中に他方の基板搬送ラインの機種変更を実施する技術についての記載はない。
本発明の目的は、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置において、一方の基板搬送ラインが電子部品を装着動作中においても、他方の基板搬送ラインの機種変更が可能な電子部品装着装置および電子部品装着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の電子部品装着装置は、手前側と奥側に並列に設けた2つの基板搬送ライン
、2つの基板搬送ラインのさらに手前側とさらに奥側に設けられた部品供給エリア
、部品供給エリアから電子部品を吸着
し2つの基板搬送ライン上のプリント基板それぞれに電子部品を装着する複数の装着ヘッド、およ
び2つの基板搬送ライン
、部品供給エリア
、装着ヘッドを制御する制御装置を有する電子部品装着装置において
、制御装置は、電子部品装着装置の制御に関わるプログラムを保存する不揮発性メモリと
、2つの基板搬送ライン上の基板それぞれに電子部品を装着するための動作用データおよ
び2つの基板搬送ラインそれぞれの機種データを保存する揮発性メモリと、CPUとを備え
、CPUは
、2つの基板搬送ラインのいずれか
一方の基板搬送ラインで生産する基板の機種変更時に、外部メモリから当該機種変更して生産する基板のパターンプログラムデータおよび関連する部品ライブラリデータを読み出し
、揮発性メモリ内の機種変更する基板搬送ラインの機種データを書き換え
、書き換えた機種データに基づい
て動作用データを書き換えるときに、
一方の基板搬送ラインの動作に関する動作用データのうち、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する前記動作用データ以外の一方の基板搬送ラインの動作に関する動作用データを書き換えるとともに、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する動作用データと、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する動作用データ以外の他方の基板搬送ライン
の動作に関する動作用データとの両方の書き換えをしないことを第1の特徴とする。
【0008】
上記本発明の第1の特徴の電子部品装着装置において
、揮発性メモリはRAMであることを第2の特徴とする。
【0009】
上記本発明の第1の特徴の電子部品装着装置において
、不揮発性メモリはROMであることを第3の特徴とする。
【0011】
上記本発明の第1の特徴の電子部品装着装置において
、複数の装着ヘッドは
、制御装置の制御により
、2つの基板搬送ラインのいずれか一方の基板搬送ラインの基板に同時に電子部品を装着することを第
4の特徴とする。
【0012】
また本発明の電子部品装着方法は、手前側と奥側に並列に設けた2つの基板搬送ライン
、2つの基板搬送ラインのさらに手前側とさらに奥側に設けられた部品供給エリア
、部品供給エリアから電子部品を吸着
し2つの基板搬送ライン上のプリント基板それぞれに電子部品を装着する複数の装着ヘッド、およ
び2つの基板搬送ライン
、部品供給エリア
、装着ヘッドを制御する制御装置を有する電子部品装着装置の電子部品装着方法において
、2つの基板搬送ラインのいずれか
一方の基板搬送ラインで生産する基板の機種変更時に、外部メモリから当該機種変更して生産する基板のパターンプログラムデータおよび関連する部品ライブラリデータを読み出し
、揮発性メモリ内の機種変更する基板搬送ラインの機種データを書き換え
、書き換えた機種データに基づい
て動作用データを書き換えるときに、
一方の基板搬送ラインの動作に関する動作用データのうち、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する動作用データ以外の一方の基板搬送ラインの動作に関する動作用データを書き換えるとともに、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する動作用データと、一方の基板搬送ラインおよび他方の基板搬送ラインの両方の動作に関する動作用データ以外の他方の基板搬送ライン
の動作に関する動作用データとの両方の書き換えをしないことを第
5の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置において、一方のレーン(基板搬送ライン)が電子部品を装着動作中に、他方のレーンの機種変更が可能な電子部品装着装置および電子部品装着方法を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態を、
図1〜
図3を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
また、既に説明した
図13を含め、以降の各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の電子部品装着装置の一実施例の概略平面図である。100は電子部品装着装置、3は電子部品装着装置100の手前側と奥側に設けられた部品供給エリア、5aは固定シュート、5b、5cおよび5dは可動シュート、7は受渡部、8は可動シュート左右移動用レール、9は上下移動用レール、11は装着ヘッド体、16は装着ヘッド、19は部品認識カメラ、LU、LD、RUおよびRDはブロック、Pは基板、U、Dは基板搬送ライン、200は制御装置である。
【0018】
図1において、基板組立装着ラインを構成する電子部品装着装置100には、上流側と下流側に基板としての基板Pを搬送する図示しない搬送装置が設けられる。この搬送装置を挟んで、手前側と奥側には、電子部品を供給するための部品供給エリア3が配設され、さらに、駆動源により一方向(Y方向)に移動可能な一対のビームと、それぞれ複数(例えば、12本)の保持部材である吸着ノズルを着脱可能に備えて前記各ビームに沿った方向に各駆動源により移動可能でかつ回転可能な装着ヘッド16とが設けられている。
図1の電子部品装着装置100において、左側の上下に2ブロックLUおよびLD、右側の上下に2ブロックRUおよびRDの計4ブロック(符号は基本的にLUブロックのみに記す。)に分かれて設けられ、さらに、制御装置200を有している。それぞれのブロックには、部品供給エリア3、装着ヘッド16、装着ヘッド体11、および部品認識カメラ19が設けられている。
【0019】
部品供給エリア3には、例えば、周知のテープフィーダが多数設けられている。また、装着ヘッド体11には、装着ヘッド16が固定され、リニアモータ等のモータで構成する左右移動用レール8上を移動する。また、部品認識カメラ19は、基板Pへの装着時に各装着ヘッド16の吸着ノズルの位置補正をするために、吸着ノズルが吸着中の部品の吸着保持状態を撮像する。
【0020】
左右ブロックには、それぞれ上下移動用レール9が設けられている。上下移動用レール9は、リニアモータ等のモータで構成され、上下ブロックに共通の装着ヘッド体11を上下に移動する。また中央には、基板Pを搬送する4つのシュート5a、5b、5cおよび5dがあり、上側2本のシュート5cおよび5dが上側ブロック用の基板搬送ラインUを、下側2本のシュート5aおよび5bが下側ブロック用の基板搬送ラインDを構成する。基板Pは、受渡部7により振分けられ基板搬送ラインUまたはDに搬入される。4つのシュート5a、5b、5cおよび5dは、X方向に平行に、前後(手前側と奥側)に並列に設けられている。部品供給エリア3は、この2つの基板搬送ラインUおよびDのさらに手前側と奥側に設けられる。
基板Pは、各シュート5a、5b、5c、および5dに取り付けられた搬送モータによって各搬送ベルトを移動させることにより、搬入口から搬出口へと搬送される。
【0021】
図8は、
図1の電子部品装着装置におけるデュアル搬送ラインについて説明するための図である。2枚の基板PU、PDそれぞれは、一対のシュートと呼ばれる並列に設けられたレールに挟まれて搬送される。そして、部品供給エリアA1とA2には、電子部品等の部品(以下、単に電子部品と称する)が収納されている。
図8においては、基板PUは、並列に設けられた可動シュート5cと可動シュート5dによって部品装着エリアまで搬送される。
図8は、それぞれの部品装着エリアに基板PUと基板PDが搬送された状態である。部品装着エリアにおいて、基板PUは、電子部品を装着される。即ち、装着ヘッドH1は、部品供給エリアA1またはA2から電子部品を吸着し、部品装着エリアの基板PUの装着位置まで移動して電子部品を装着する。
同様に、基板PDは、並列に設けられた固定シュート5aと可動シュート5bによって部品装着エリアまで搬送される。部品装着エリアにおいて、基板PDは、電子部品を装着される。即ち、装着ヘッドH2は、部品供給エリアA1またはA2から電子部品を吸着し、部品装着エリアの基板PDの装着位置まで移動して電子部品を装着する。
なお、
図1の電子部品装着装置100の実施例では、左側の上下に2ブロックLUおよびLD、右側の上下に2ブロックRUおよびRDの計4ブロックに分かれて設けられたが、単に、上下に2ブロックのLUおよびLDが設けられている電子部品装着装置でも良い。
【0022】
なお、
図1および
図8の本発明のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置では、オーバードライブモーション方式を採用している。オーバードライブモーション方式の電子部品装着装置100のブロックLUおよびLDを合わせた左ブロックでは、左ブロック内に設けられた各装着ヘッド16(
図8の装着ヘッドH1およびH2)は、それぞれ、前後(手前側と奥側)の部品供給エリア3(
図8の部品供給エリアA1およびA2)から自由に電子部品を吸着可能であり、かつ、各吸着ヘッド16は、同一基板上に同時に装着可能である。またブロックRUおよびRDを合わせた右ブロックでも、同様に、右ブロック内に設けられた各装着ヘッド16は、前後(手前側と奥側)の部品供給エリア3から、それぞれ自由に電子部品を吸着可能であり、かつ、各吸着ヘッド16は、同一基板上に同時に装着可能である。
【0023】
図1の実施例では、4つの並列に設けられたシュートうち一番下側のシュート5aは基準の固定シュートであり、残りの3つのシュート5b、5cおよび5dは、上下(Y方向)に移動可能な可動シュートである。この可動シュート5b、5cおよび5dは、各シュートに取り付けられた図示しないモータによって独立して駆動され、可動シュート移動レール(図示しない)上を上下(Y方向)に移動する。
各シュート5a、5b、5c、および5dのそれぞれの基板位置決め部(図示しない)には、部品装着時に基板Pを支える基板バックアップ部(図示しない)がある。
なお、固定シュートおよび可動シュートの組み合わせは、
図8若しくは
図13のように、1本が固定シュートで残りが可動シュートである場合と、2本が固定シュートで残りがそれぞれの可動シュートに対する可動シュートである場合とが考えられ、更には、全てが可動シュートであっても良い。
【0024】
さて、前記搬送装置は、電子部品装着装置100の前後の中間部に配設され、各装着ヘッド6の吸着ノズルに吸着保持された電子部品を装着するために受渡部7から供給された基板Pを位置決め固定する基板位置決め部と、上流側装置から基板Pを受け継ぎ、かつ前記基板位置決め部で電子部品が装着された基板Pを下流側装置に搬送する受渡部7とから構成される。これら受渡部7および基板位置決め部は、基板Pの幅(搬送方向と直交する方向の幅)PWに合わせて間隔が調整できる一対の搬送コンベアから構成される。
【0025】
部品供給エリア3は、電子部品装着装置100の装置本体に着脱可能に複数並設され種々の電子部品をそれぞれその部品取出し部(部品吸着位置)に1個ずつ供給する部品供給ユニットとから構成される。この部品供給ユニットには、多数の電子部品をキャリアテープの凹部から成る各収納部に一定の間隔で収容したカバーテープで覆う収納テープが搭載されており、収納テープを間欠送りすると共にキャリアテープからカバーテープを剥離することで、部品供給ユニットの部品取出位置に電子部品が1個ずつ供給され、各収納部から装着ヘッド6の吸着ノズルにより取出される。
【0026】
各装着ヘッド6は、向き合うように各ビームの内側に設けられ、前記搬送装置の基板位置決め部上の基板Pや部品供給エリア3の部品供給ユニットの部品取出し位置上方を移動する。
部品認識カメラ19は、前記吸着ノズルに吸着保持された電子部品を撮像し、基板認識カメラは、基板Pの位置確認用の認識マークを撮像し、電子部品の位置および基板の位置を補正するための画像を取得する。制御装置200は、取得された画像を、画像処理して、電子部品装着装置100の各機器を制御し、電子部品を装着する位置を補正する。
【0027】
図2は、電子部品装着装置100の電子部品装着に関わる制御のための制御装置200の構成を示すブロック図である。21はCPU(Central Processing Unit)、22はROM(Read Only Memory)、23はRAM(Random Access Memory)、24はバスライン、25はモニタ、26はタッチパネルスイッチ、27はインタフェース、28は駆動回路、12は基板認識カメラ、13はY方向モータ、14はX方向モータ、17は上下軸モータ、18はθ軸モータ、29は認識処理装置、30は外部メモリ、31は管理用PC(Personal Computer)である。
CPU21は、制御手段、判定手段、およびチェック処理手段を備え、電子部品装着装置100の各要素(各機器)を統括制御している。電子部品装着装置100は、第2の記憶装置として、ROM22およびRAM23を備え、ROM22は、CPU21の制御に関わるプログラムを保存し、RAM23は、生産する機種毎の各種データを保存する。CPU21、ROM22およびRAM23は、バスライン24を介して接続されている。
また、CPU21には、操作画面等を表示する表示装置としてのモニタ25およびモニタ25の表示画面に形成された入力手段としてのタッチパネルスイッチ26がインタフェース27を介して接続されている。また、CPU21には、Y方向モータ13、X方向モータ14、上下軸モータ17、およびθ軸モータ18が駆動回路28およびインタフェース27を介して接続されている。
【0028】
CPU21は、第1の記憶装置としての外部メモリ30や、マイクロコンピュータ等を備えて、基板組立実装ラインを構成する各基板組立作業装置を統括管理する管理用PC31に接続されている。
そして、外部メモリ30には、生産する基板Pの機種毎に電子部品装着装置100を動かすためのパターンプログラムデータが保存され、各パターンプログラムデータは、基板PのX方向のサイズ、Y方向のサイズ、厚み、基板認識の有無などから構成される基板情報データ(
図3参照)、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、基板P内でのX座標、Y座標、および角度情報や、部品供給ユニットの配置番号等から構成される装着データ(
図4参照)、各部品供給ユニットのフィーダベース上における配置番号に対応した各電子部品の種類の情報である部品配置データ(
図5)、どの装着ヘッド6(ヘッド1は手前の装着ヘッド、ヘッド2は奥方)のどの位置(ノズル番号で示す)にどの種類の吸着ノズル5(ノズルID)が装着されているかを示すノズル配置データ(
図6参照)などから構成される。
【0029】
さらには、外部メモリ30には、この電子部品の種類(部品ID)毎に電子部品の特徴等に関する部品ライブラリデータ(
図7参照)が保存されている。即ち、この部品ライブラリデータは、例えば部品ID毎に、X方向およびY方向のサイズ、部品供給ユニットにおける電子部品の取り出しのための吸着位置などのデータから構成される。
【0030】
電子部品装着装置100は、新規に生産を開始する場合には、レーンの幅、バックアップピン、および吸着ノズルの交換を行うと共に、制御装置200のCPU21は、外部メモリ30から生産機種に関する上記データ(パターンプログラムデータおよび部品ライブラリデータ)を読み出し、基板搬送ラインUおよび基板搬送ラインDそれぞれについて、そのデータの内容を装置の制御に使う形式に変換して機種データDUおよび機種データDDを作成し、RAM23に保存している。その後、装着動作を停止中に、(1)機種データDUに依存するデータ、(2)機種データDDに依存するデータ、および(3)両者に共通な部品供給(フラックスユニット、リサイクルコンベアを含む)、ノズル等の作業設備データに依存するデータから動作用データEを作成し、RAM23に保存する。そして、CPU21は、RAM23から、例えば、装着ヘッドが装置内で実際にどの位置にどういう順番で移動するか等を指定する等の動作用データEに基づいて電子部品の装着を開始する。動作用データEのみでなく、必要に応じて機種データDUまたはDDに基づき生産運転(電子部品の装着)をしても良い。尚、機種データDU、DDは、それぞれ1つのファイルとしてまとまっているものなので、それを使用して生産運転している時には、変更することができない。
なお、RAM23は、RAMに限定する必要はなく、例えば、動作が高速で、CPU21と直接アクセス可能な揮発性メモリ等のメモリであれば良い。また、ROM22は、ROMに限定する必要はなく、例えば、書き換えが比較的困難で、電源が切断されても保存された内容を保持可能な不揮発性メモリであれば良い。
【0031】
また、生産中に一方の機種変更を行う場合について、基板搬送ラインUで部品装着する基板を基板PUに機種変更する実施例によって説明する。基板搬送ラインUで部品装着する基板を基板PUに機種変更するときには、制御装置200のCPU21は、外部メモリ30から当該機種変更して生産する基板のパターンプログラムデータおよび関連する部品ライブラリデータを読み出し、RAM23の変更前の基板の機種データを機種変更後に生産する基板PUの機種データDUに書き換える。書き換え後、CPU21は、動作用データの項目のうち、他方の基板搬送ラインDで現在の部品装着動作に使用している項目を除いた動作用データを、機種データDUに基づいて作成および書き換え、保存する。CPU21は、機種データDUに依存するすべての項目について、動作用データEのデータの書き換えが終了した場合には、RAM23の動作用データEに基づいて、基板搬送ラインUで基板PUについても、電子部品の装着を開始する。
【0032】
例えば、ここで、動作用データを作成中または書き換え中に一時停止の要因となるデータは、機種変更中の基板搬送ラインUの基板PUの生産に依存する(1)機種データDUに依存するデータではなく、(3)両者に共通の作業設備データに依存するデータから動作用データを作成し書き換えている時である。従って、CPU21は、この(3)両者に共通の作業設備データに依存するデータから動作用データを作成し書き換えている時には、運転中の一方の基板搬送ラインの参照しているデータについて、動作用データの作成または書き換えを行わないようにする。
その結果、一方の基板搬送ラインが運転(装着動作)中であっても、当該基板搬送ラインの運転(生産)を停止することなく、他方の基板搬送ラインの機種変更が可能となるため、生産効率が向上する。
【0033】
認識処理装置29は、インタフェース27を介してCPU21に接続され、基板認識カメラ12や部品認識カメラ19により撮像して取得された画像の認識処理を行い、その処理結果をCPU21に出力する。例えば、CPU21は、基板認識カメラ12や部品認識カメラ19により撮像された画像を認識処理(吸着ノズル18に吸着保持された電子部品或いは位置決めされた基板Pの位置ずれ量の算出など)するための指示を認識処理装置29に出力すると共に、認識処理結果を認識処理装置29から受取る。
【0034】
なお、電子部品装着装置100の機種変更は、例えば、搬入されてきた基板Pのバーコードを、バーコードリーダが読み出し、自動的に検出して切り換えることができる。
また例えば、管理用PC31またはホストコンピュータがバスライン24等を介して、基板変更制御信号を電子部品装着装置100のCPU21に送信することによって、当該電子部品装着装置100のCPU21が機種変更を実行する。
さらに、上述の方法の他に、作業員が、手動で機種変更をすることも可能である。例えば、作業員は、タッチパネルスイッチ26、キーボード等の入力装置から、機種変更の指示をする(あるいはバーコードリーダを使って、基板Pの機種名情報若しくはプログラム名に対応するデータを読み取る)と、インタフェース27を介してCPU21が機種変更プログラムを起動し、モニタ25に機種変更の操作画面を表示させる。作業員は、モニタ25の操作画面を、タッチパネルスイッチ26、キーボード等の入力装置を操作することによって機種変更を実行する。
【0035】
さて電子部品装着装置の機種変更を行うためには、従来技術でも説明したように、レーンの幅、バックアップピン、吸着ノズル、等の交換をする必要がある。
さらに、機種変更してこれから生産する基板の生産枚数に関わるデータと作業設備データ(基板の吸着ノズルデータ、搬送に関わるレーン幅データ、およびバックアップピンの配置座標データ、等)の書き換えをする必要がある。
しかし、以下の
図9を用いて説明するように、従来、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置において、一方のレーン(基板搬送ライン)が生産を継続中(運転中)に他方のレーンの機種変更を行うことができなかった。
【0036】
図9は、従来のデュアル搬送ラインの電子装着装置における機種変更時の動作用データの変更を説明するための図である。91はRAM23に保存されている動作用データ(E)、92は機種データ、92Uは基板搬送ラインUの機種データ(DU)、92Dは基板搬送ライン
Dの機種データ(DD)、95は機種変更する基板のパターンプログラムデータ(パターンプログラムデータ95は外部メモリ30に保存されている中から選択される)、96はパターンプログラムデータ95の部品配置データ、97はパターンプログラムデータ95の装着データである。なお、パターンプログラムデータ95には、他に、ノズルIDデータ、基板情報データ、等がある。
【0037】
図9において、機種変更の都度、制御装置のCPU21は、外部メモリ30から、機種変更する基板の機種のパターンプログラムデータ95を読み出し、機種データ92を書き換える。しかし、機種データ92は、2つの基板搬送ラインU、Dを纏めた1つのファイルとして作成されている。従って、デュアル搬送ラインのどちらか一方の基板搬送ラインの基板の機種変更であっても、この共通の機種データ92が変更される(書き換えられる)。
さらに、機種データ92が書き換えられた後、CPU21は、この書き換えられた機種データ92に基づいて、動作用データ(E)91のデータを書き換える。この場合、電子部品装着装置の装着動作時に、動作用データ91のデータの書き換えが行われると、現在装着中の部品に関わるデータが書き換えの最中には使用できない。このため、装置が停止してしまう。例えば、CPU21が、装着動作を行うために、RAM23の機種データ92の書き換えの最中のデータを読み出そうとしても、書き換え中のデータは読み出せない。その結果、CPU21は、当該データが無いと判断し、電子部品装着装置の動作を一時停止する。
【0038】
生産中の動作の一時停止が発生した場合には、作業者がまず一時停止発生の要因を調べ、部品切れ、パターンプログラムデータや部品ライブラリデータの間違い、等の要因に応じた対策を行う。CPU21は、この対策がされた場合には、一時停止発生の要因に対応するチェックを行い、対策がなされたと判定した後に、生産を再開する。
生産スケジュールは、計画通り行われることが望ましい。しかし、このような一時停止の発生は、生産のスケジュールを大幅に狂わすため、従来の電子部品装着装置は、どちらか一方の基板搬送ラインの基板の機種変更時には、装着動作を停止して機種変更を行うようにしていた。
本発明では、一方の基板搬送ラインが動作中であっても、他方の基板搬送ラインの機種変更が可能で、かつ、動作用データ(E)91の書き換え中にも動作が一時停止しないデュアル搬送ラインの電子装着装置を実現する。
【0039】
図10は、動作用データ91について、詳細に説明するための図である。101は基板搬送ラインDに関わるデータ領域、102は基板搬送ラインUに関わるデータ領域、103は基板搬送ラインDおよびUの両方に関わるデータ領域である。
図10に示すように、動作用データ91は、データ領域101、102および103で構成される。CPU21は、基板搬送ラインUの部品装着時には、基板搬送ラインUに関わるデータ領域102および基板搬送ラインDおよびUの両方に関わるデータ領域103から必要なデータを読み出すが、基板搬送ラインDに関わるデータ領域1
01のデータは使用しない。同様に、CPU21は、基板搬送ラインDの部品装着時には、基板搬送ラインDに関わるデータ領域101および基板搬送ラインDおよびUの両方に関わるデータ領域103から必要なデータを読み出すが、基板搬送ラインUに関わるデータ領域102のデータは使用しない。
【0040】
そこで、本発明のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置100は、従来の機種データ92を、基板搬送ラインUの機種データ(DU)112Uと、基板搬送ラインUの機種データ(DD)112Dとに分けてファイル化したものである。
さらに、本発明のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置100は、動作用データを、機種変更した機種データに関わるデータのみ書き換えるようにしたものである。
またさらに、本発明のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置100は、CPU21が現在装着動作のために使用中のデータについては、動作用データを書き換えないようにしたものである。そして、当該使用中のデータをCPU21が装着動作の使用を終わった時に、書き換えるようにしたものである。
【0041】
図11は、本発明のデュアル搬送ラインの電子装着装置100における機種変更時の動作用データの変更を説明するための図である。112Uは基板搬送ラインUの機種データ(DU)、112Dは基板搬送ライン
Dの機種データ(DD)である。
図10と同一の要素には同一の符号を付し、説明しない。
【0042】
図11において、生産中に一方の機種変更を行う場合について、基板搬送ラインUで部品装着する基板を基板PUに機種変更する実施例によって説明する。
機種変更の都度、制御装置200のCPU21は、外部メモリ30から、機種変更する基板の機種のパターンプログラムデータ
111を読み出し、機種データ112Uを書き換える。機種データ112Uには、運転中の他方の基板搬送ラインDの機種データは含まれていない。従って、デュアル搬送ラインの一方の基板搬送ラインの基板の機種変更である場合には、他方の基板搬送ラインに関わる機種データは変更されない(書き換えられない)。
さらに、機種データ112Uが書き換えられた後、CPU21は、この書き換えられた機種データ112Uに基づいて、動作用データ(E)91のデータを書き換える。この場合、電子部品装着装置100の部品装着動作時に、動作用データ91のデータの書き換えが行われると、現在装着中の部品に関わるデータが書き換え中には使用できない。このため、装置が停止してしまう。例えば、CPU21が、部品装着動作を行うために、RAM23の機種データ112Uの現在書き換え中のデータを読み出そうとしても、書き換え中のデータは読み出せない。その結果、CPU21は、当該データが無いと判断し、電子部品装着装置の動作を一時停止してしまう。
そこで、本発明では、CPU21は、動作用データ中の部品装着動作を行うために必要なデータを予め選択し、当該データを装着動作に使用する時には、当該データを書き換えず、他の書き換えが必要なデータについて書き換え処理する。そして、当該データを使用する装着動作が終了後に、当該データに関わる書き換えを行う。
なお、従来、動作用データと機種データは、カーネル空間のメモリであったが、本発明では、動作用データをカーネル空間のメモリ、機種データをユーザ空間のメモリとした。
【0043】
図12は、本発明のデュアル搬送ラインの電子部品装着装置の一実施例において、一方の基板搬送ラインが生産中に、他方の基板搬送ラインの基板の機種変更をする場合に、機種変更のために書き換えられた機種データに基づいて、動作用データを書き換える時の、CPU21の処理について説明するためのフローチャートである。
ステップS11では、書き換え処理する動作用データを選択する。
次にステップS12では、選択したデータを書き換えるために必要な時間を算出する。
ステップS13では、ステップS1
1で選択したデータが、算出された時間内に装着動作(運転)に使用するか否かを判定する。時間内に使用しない場合(No)にはステップS14の処理に移行し、時間内に使用する場合(Yes)にはステップS16の処理に移行する。
ステップS14では、動作用データの当該データを書き換える。
ステップS15では、動作用データの機種変更に関わる全てのデータについて、書き換えが終了したか否かを判定する。すべて終了した場合(Yes)には書き換え処理を終了し、まだ終了していない場合(No)にはステップS11の処理に移行する。
ステップS16では、当該データを書き換える順番を最後に変更するか(まだ、書き換えるデータが残っている場合)若しくは所定時間待機する(書き換えるデータがこのデータしかなくなった場合)ようにして、ステップS11の処理に移行する。
【0044】
上述の実施例によれば、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置において、一方の基板搬送ラインが運転中(生産中)であっても、運転中の基板搬送ラインを停止せずに、他方の基板搬送ラインの機種変更を実現することができる。この結果、生産効率が向上し、使い勝手の良いデュアル搬送ラインの電子部品装着装置を実現することができる。
【0045】
本発明は、デュアル搬送ラインの電子部品装着装置に限らず、デュアル搬送ラインを使用する半導体製造装置に適用可能である。
また、搬送ライン数が2である必要はなく、2以上であれば、適用可能である。