特許第5869855号(P5869855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5869855
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】錘下げ振り及び位置合せ方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/10 20060101AFI20160210BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20160210BHJP
【FI】
   G01C15/10
   E04G21/18 B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-258734(P2011-258734)
(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公開番号】特開2013-113654(P2013-113654A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
(72)【発明者】
【氏名】津恵 直美
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−025310(JP,U)
【文献】 実開平01−170752(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00−15/10
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める位置合せ装置において、
2個の錘下げ振りを有し、各錘下げ振りは長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなることを特徴とする位置合せ装置。
【請求項2】
前記2個の錘下げ振りのうちの一方の錘下げ振りは2本の水糸のうちの一方の水糸に引っ掛けられ、他方の錘下げ振りは他方の水糸に引っ掛けられる請求項1に記載の位置合せ装置。
【請求項3】
2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める錘下げ振りにおいて、
長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなり、
前記長細状錘が、板状体の長手方向中央に凹部を有してなることを特徴とする錘下げ振り。
【請求項4】
2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める錘下げ振りにおいて、
長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなり、
前記長細状錘の両端に、追加錘を備えてなることを特徴とする錘下げ振り。
【請求項5】
2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める位置合せ方法において、
長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなる2個の錘下げ振りを用い、
上記水糸の交点を形成している2本の水糸のうちの一方の水糸に対し、該交点の近傍で該交点を挟む2位置に、2個の錘下げ振りのうちの一方の錘下げ振りにおける長細状錘の両端に設けた紐を引っ掛け、上記水糸の交点を形成している2本の水糸のうちの他方の水糸に対し、該交点の近傍で該交点を挟む2位置に、2個の錘下げ振りのうちの他方の錘下げ振りにおける長細状錘の両端に設けた紐を引っ掛け、
2本の水糸の交点と2個の錘下げ振りの交点との合致線上に水平位置を定める位置合せ方法。
【請求項6】
前記紐が、水糸に引っ掛けるためのフックを備えてなることを特徴とする請求項5に記載の位置合せ方法。
【請求項7】
前記長細状錘が、針状体であることを特徴とする請求項5又は6に記載の位置合せ方法。
【請求項8】
前記長細状錘が、板状体であることを特徴とする請求項5又は6に記載の位置合せ方法。
【請求項9】
前記長細状錘が、板状体の長手方向中央に凹部を有してなることを特徴とする請求項8に記載の位置合せ方法。
【請求項10】
前記長細状錘の両端に、追加錘を備えてなることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の位置合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錘下げ振り及び位置合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載の如く、2本の水平方向に張られた水糸の交点と、その交点の下方で水平方向に位置合せされた水平位置を定め、当該水平位置に目的物を位置決めして設置するための位置合せ方法がある。
【0003】
特許文献1に記載の位置合せ方法は、例えばベースモルタルの近くに突き立てられる縦長棒体にレーザー照射部を設け、照射部が照射するレーザー光線の垂直光を2本の水糸の交点を経由させてベースモルタル上に到達させ、レーザー光線が指し示すベースモルタル上に印を付ける。
【0004】
尚、レーザー照射部等を用いない簡易な位置合せ方法として、従来方法1〜3(図7図9)がある。
【0005】
従来方法1(図7)は、単純に2本の水糸1、2の交点Aの鉛直上と思われる視点Mから該交点Aの下方を見下ろし、この視線Lが到達した位置に目的物Tを設置する。
【0006】
従来方法2(図8)は、2本の水糸1、2の交点Aに錘下げ振り3の吊り糸3Aを当て、錘下げ振り3の直下の位置に目的物Tを設置する。
【0007】
従来方法3(図9)(特許文献2)は、2本の水糸1、2の交点Aに錘下げ振り3の吊り糸3Aのフック3Bを引っ掛け、錘下げ振り3の直下の位置に目的物Tを設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-336330
【特許文献2】特開2005-201643
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の位置合せ方法は、レーザー照射部を必要とするし、照射部が照射するレーザー光線を正しく鉛直線上に沿う垂直光に設定することに困難がある。
【0010】
従来方法1の単純目視では、視点Mを2本の水糸1、2の交点Aの正しく鉛直上に設定できず、視線Lが図7の破線の如くに傾斜し、水平位置の正確な位置合せができない。
【0011】
従来方法2では、2本の水糸1、2の交点Aを動かさないように、錘下げ振り3の吊り糸3Aをその交点Aに当てることに神経を使う。一方の片手で錘下げ振り3を持ち、他方の片手で目的物Tの位置決め作業を行なうので更に難しい作業になり、位置決め及び確認に時間がかかる。
【0012】
従来方法3では、錘下げ振り3のフック3Bが重力により、図9に示す如く、2本の水糸1、2の中央に行きたがり、その交点Aが本来の位置からずれてしまう。
【0013】
本発明の課題は、簡易な構成により、2本の水平方向に張られた水糸の交点と、その交点の下方で水平方向に位置合せされた水平位置を正確に定めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める位置合せ装置において、2個の錘下げ振りを有し、各錘下げ振りは長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなるようにしたものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記2個の錘下げ振りのうちの一方の錘下げ振りは2本の水糸のうちの一方の水糸に引っ掛けられ、他方の錘下げ振りは他方の水糸に引っ掛けられるようにしたものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める錘下げ振りにおいて、長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなり、前記長細状錘が、板状体の長手方向中央に凹部を有してなるようにしたものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める錘下げ振りにおいて、長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなり、前記長細状錘の両端に、追加錘を備えてなるようにしたものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める位置合せ方法において、長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられてなる2個の錘下げ振りを用い、上記水糸の交点を形成している2本の水糸のうちの一方の水糸に対し、該交点の近傍で該交点を挟む2位置に、2個の錘下げ振りのうちの一方の錘下げ振りにおける長細状錘の両端に設けた紐を引っ掛け、上記水糸の交点を形成している2本の水糸のうちの他方の水糸に対し、該交点の近傍で該交点を挟む2位置に、2個の錘下げ振りのうちの他方の錘下げ振りにおける長細状錘の両端に設けた紐を引っ掛け、2本の水糸の交点と2個の錘下げ振りの交点との合致線上に水平位置を定めるようにしたものである。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項に係る発明において更に、前記紐が、水糸に引っ掛けるためのフックを備えてなるようにしたものである。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に係る発明において更に、前記長細状錘が、針状体であるようにしたものである。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項5又は6に係る発明において更に、前記長細状錘が、板状体であるようにしたものである。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項に係る発明において更に、前記長細状錘が、板状体の長手方向中央に凹部を有してなるようにしたものである。
【0023】
請求項10に係る発明は、請求項5〜9のいずれかに係る発明において更に、前記長細状錘の両端に、追加錘を備えてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0028】
(請求項1、2、5
(a)2本の水糸の交点Aと、2個の錘下げ振りの交点Bとが、合致して見える位置に視点Mをもってくることにより、2本の水糸の交点Aから正しく鉛直上に視点Mを設定できる。両交点A、Bを通る視線Lが正しく鉛直線上に沿うものになり、2本の水糸の交点Aと、その交点Aの下方で水平方向に正しく位置合せされた水平位置Cを正確に定め、当該水平位置Cに目的物Tを位置決めして設置できる。
【0029】
(b)錘下げ振りの吊り糸を2本の水糸の交点Aに当てることがないので、その交点Aが本来の位置からずれることがない。
【0030】
(c)錘下げ振りを手に持たないため、2個の錘下げ振りのそれぞれの両端を2本の水糸に引っ掛けてしまえば手離れができる。両手とも目的物Tを動かすことに使え、目的物Tの位置決め作業に使える。正しく位置決めできたことの確認も一目でできる。従って、位置決め作業を迅速、高精度化できる。
【0031】
(d)錘下げ振りが重力により各水糸に沿って該水糸の中央方向に多少滑動しても、2個の錘下げ振りの交点Bも、2本の水糸の交点Aも水平位置は変わらない。従って、水平位置Cの位置合せ、目的物Tの位置決めに支障を生じない。
【0032】
(e)錘下げ振りを水糸に引っ掛けるだけで、自動的に重力により錘下げ振りの交点Bが正しく水糸の交点Aの鉛直下にくるので、位置決め作業を迅速、高精度化できる。
【0033】
(f)錘下げ振りを上から視たとき、錘下げ振りの太さ(幅)を水糸の太さに合せることにより、水糸の影に錘下げ振りが隠れてしまうことがないし、不必要に太い錘下げ振りの影に目的物Tが隠れてしまうことがなく、位置決め作業を損なうおそれがない。
【0034】
(g)錘下げ振りが長細状錘にて構成されることにより、2個の錘下げ振りの交点を安定的に形成できる。
【0035】
(h)錘下げ振りが長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐を取付けてなるとき、2個の錘下げ振りの間でそれらの両端の紐の長さを、それらの長細状錘の交点Bにおいて長細状錘同士が接触しない程度に違わせておくことにより、それらの長細状錘が互いに接触して2本の水糸の交点Aの鉛直直下ではない位置に静止してしまうことを回避できる。
【0036】
(請求項
(i)錘下げ振りの紐が水糸に引っ掛けるためのフックを備えることにより、錘下げ振りの両端を直ちに水糸に引っ掛けできる。
【0037】
(請求項
(j)錘下げ振りの長細状錘が針状体であるものとすることにより、錘下げ振りを上から視たときの長細状錘の太さ(幅)を上述(f)の如くに、水糸の太さに合せ易い。
【0038】
(請求項
(k)錘下げ振りの長細状錘が板状体であるものとするとき、長細状錘の錘機能を確保しながら、錘下げ振りを上から視たときの長細状錘の太さ(幅)を上述(f)の如くに、水糸の太さに合せ易い。このとき、錘下げ振りを上から視たときの長細状錘の板の厚さを水糸の太さと同等にしておくことが好ましい。
【0039】
(請求項3、9
(l)錘下げ振りの長細状錘が、板状体の長手方向中央に凹部を有するものとするとき、長細状錘の錘機能を具備しながら、長細状錘を軽量化できる。
【0040】
(請求項4、10
(m)錘下げ振りの長細状錘(針状体、板状体等)は2個の錘下げ振りの交点Bの近傍が針状又は板状等の長尺状であれば良く、それらの交点B以外の部位の形状は問わない。従って、長細状錘の両端に追加錘を備えることにより、長細状錘の錘機能を向上でき、例えば風による横振れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は錘下げ振りの一実施例を示す模式図である。
図2図2は錘下げ振りを用いた位置合せ方法を示す模式図である。
図3図3は目的物の位置決め過程を示す模式図である。
図4図4は錘下げ振りの長細状錘の太さと水糸の太さとの関係を示す模式図である。
図5図5は錘下げ振りの変形例を示す模式図である。
図6図6は錘下げ振りの変形例を示す模式図である。
図7図7は従来方法1を示す模式図である。
図8図8は従来方法2を示す模式図である。
図9図9は従来方法3を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1に示した錘下げ振り10は、図2に示す如く、2本のそれぞれ直交するX方向とY方向の水平方向に張られた水糸1、2の交点Aと、その交点Aの下方で水平方向に位置合せされた水平位置Cを定め、当該水平位置Cに柱脚ピン等の目的物Tを位置決めして設置するために用いることができる。尚、2本の水糸1、2は、直交するX方向とY方向に張られるものに限らず、単に交差する方向に張られるものでも良い。
【0043】
錘下げ振り10は、長細状錘11の両端に、水糸1又は水糸2に引っ掛けられる紐12、12が取付けられる。紐12は水糸1又は水糸2に引っ掛けるためのフック13を備える。本実施例では、長細状錘11を針状体21からなるものとしている。
【0044】
錘下げ振り10の両端のフック13を水糸1又は水糸2に引っ掛けたとき、長細状錘11たる針状体21が重力により、水糸1又は水糸2に沿ってそれらの水糸1、2の正しく鉛直直下に静止するように、針状体21、紐12、フック13の重量バランスが取られている。
【0045】
従って、錘下げ振り10を用いた位置合せ方法は以下の通りになされる(図2)。
(1)2個の錘下げ振り10を用意する。
交点Aを形成している2本の水糸1、2のうちの一方の水糸1に対し、該交点Aの近傍で該交点Aを挟む2位置に、1個の錘下げ振り10における長細状錘11(針状体21)の両端のフック13を引っ掛ける。
【0046】
交点Aを形成している2本の水糸1、2のうちの他方の水糸2に対し、該交点Aの近傍で該交点Aを挟む2位置に、もう1個の錘下げ振り10における長細状錘11(針状体21)の両端のフック13を引っ掛ける。
【0047】
2個の錘下げ振り10の長細状錘11(針状体21)から手を離し、長細状錘21を重力で安定位置に静止させる。このとき、錘下げ振り10が水糸1又は水糸2に沿って多少滑動してもかまわない。また、2個の錘下げ振り10の高さは違っていてもかまわない。
【0048】
(2)2本の水糸1、2の上から見下ろし、視点Mを、2本の水糸1、2の交点Aと、2本の錘下げ振り10、10の長細状錘11(針状体21)の交点Bとが合致して見える位置に置く。Lは視線を示す。視点Mの位置をそこから動かさず、両交点A、Bの合致線上に水平位置Cを定める。両交点A、Bの正しく鉛直線上に水平位置Cを定めることになる。
【0049】
(3)目的物Tを上述(2)の水平位置Cに位置決めする。
尚、目的物Tの上述(3)の位置決めは、例えば図3に示した通りとする。予め、ベースモルタル101に形成した穴102に無収縮グラウト103を充填し(図3(A))、目的物Tたる柱脚ピン104の中心にボルト105を取付け、このボルト105を穴102の無収縮グラウト103内に挿入する(図3(B))。柱脚ピン104を穴102の無収縮グラウト103内で水平移動させ(図3(C))、柱脚ピン104の上面に設けてある十字状罫書き線106を上述(2)の水平位置Cに合せる(図3(D))。
【0050】
ここで、図4は錘下げ振り10の長細状錘11(針状体21)の太さ(幅)D2と、水糸1、2の太さD1との関係を示している。
【0051】
図4(A)は、上から視たとき、D2<D1である。水糸1、2の影に長細状錘11が隠れているため、視点Mが水糸1、2の中心と長細状錘11の中心を結んだ線上からずれていても分からない。
【0052】
図4(B)は、上から視たとき、D2>D1である。不必要に太い長細状錘11の影に、目的物Tが隠れてしまうため(隠れる範囲K)、目的物Tを位置決めしにくくなる。
【0053】
図4(C)は、上から視たとき、D2=D1である。図4(A)、(B)の上述の不具合がなく、目的物Tを高精度に位置決めできる。
【0054】
図5は錘下げ振り10の変形例であり、長細状錘11として、針状体21に代わる板状体22としたものである。このとき、板状体22は長手方向中央に下向き凹部22Aを備える。
【0055】
図6は錘下げ振り10の更なる変形例であり、長細状錘11(針状体21)(板状体22でも可)の両端に、追加錘23を備えたものである。
【0056】
従って、図1図6に示した錘下げ振り10、及び錘下げ振り10を用いた位置合せ方法によれば、以下の作用効果を奏する。
【0057】
(a)2本の水糸1、2の交点Aと、2個の錘下げ振り10の交点Bとが、合致して見える位置に視点Mをもってくることにより、2本の水糸1、2の交点Aから正しく鉛直上に視点Mを設定できる。両交点A、Bを通る視線Lが正しく鉛直線上に沿うものになり、2本の水糸1、2の交点Aと、その交点Aの下方で水平方向に正しく位置合せされた水平位置Cを正確に定め、当該水平位置Cに目的物Tを位置決めして設置できる。
【0058】
(b)錘下げ振り10の吊り糸を2本の水糸1、2の交点Aに当てることがないので、その交点Aが本来の位置からずれることがない。
【0059】
(c)錘下げ振り10を手に持たないため、2個の錘下げ振り10のそれぞれの両端を2本の水糸1、2に引っ掛けてしまえば手離れができる。両手とも目的物Tを動かすことに使え、目的物Tの位置決め作業に使える。正しく位置決めできたことの確認も一目でできる。従って、位置決め作業を迅速、高精度化できる。
【0060】
(d)錘下げ振り10が重力により各水糸1、2に沿って該水糸1、2の中央方向に多少滑動しても、2個の錘下げ振り10の交点Bも、2本の水糸1、2の交点Aも水平位置は変わらない。従って、水平位置Cの位置合せ、目的物Tの位置決めに支障を生じない。
【0061】
(e)錘下げ振り10を水糸1、2に引っ掛けるだけで、自動的に重力により錘下げ振り10の交点Bが正しく水糸1、2の交点Aの鉛直下にくるので、位置決め作業を迅速、高精度化できる。
【0062】
(f)錘下げ振り10を上から視たとき、錘下げ振り10の太さ(幅)D2を水糸1、2の太さD1に合わせることにより、水糸1、2の影に錘下げ振り10が隠れてしまうことがないし、不必要に太い錘下げ振り10の影に目的物Tが隠れてしまうことがなく、位置決め作業を損なうおそれがない。
【0063】
(g)錘下げ振り10が長細状錘11にて構成されることにより、2個の錘下げ振り10の交点Bを安定的に形成できる。
【0064】
(h)錘下げ振り10が長細状錘11の両端に水糸1、2に引っ掛けられる紐12を取付けてなるとき、2個の錘下げ振り10の間でそれらの両端の紐12の長さを、それらの長細状錘11の交点Bにおいて長細状錘11同士が接触しない程度に違わせておくことにより、それらの長細状錘11が互いに接触して2本の水糸1、2の交点Aの鉛直直下ではない位置に静止してしまうことを回避できる。
【0065】
(i)錘下げ振り10の紐12が水糸1、2に引っ掛けるためのフック13を備えることにより、錘下げ振り10の両端を直ちに水糸1、2に引っ掛けできる。
【0066】
(j)錘下げ振り10の長細状錘11が針状体21であるものとすることにより、錘下げ振り10を上から視たときの長細状錘11の太さ(幅)D2を上述(f)の如くに、水糸1、2の太さに合せ易い。
【0067】
(k)錘下げ振り10の長細状錘11が板状体22であるものとするとき、長細状錘11の錘機能を確保しながら、錘下げ振り10を上から視たときの長細状錘11の太さ(幅)D2を上述(f)の如くに、水糸1、2の太さに合せ易い。このとき、錘下げ振り10を上から視たときの長細状錘11の板の厚さを水糸1、2の太さと同等にしておくことが好ましい。
【0068】
(l)錘下げ振り10の長細状錘11が、上述(k)の板状体22の長手方向中央に凹部22Aを有するものとするとき、長細状錘11の錘機能を具備しながら、長細状錘11を軽量化できる。
【0069】
(m)錘下げ振り10の長細状錘11(針状体21、板状体22等)は2個の錘下げ振り10の交点Bの近傍が針状又は板状等の長細状であれば良く、それらの交点B以外の部位の形状は問わない。従って、長細状錘11の両端に追加錘23を備えることにより、長細状錘11の錘機能を向上でき、例えば風による横振れを防止できる。
【0070】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める錘下げ振りにおいて、長細状錘の両端に水糸に引っ掛けられる紐が取付けられる。また、本発明は、2本の水平方向に張られた水糸の交点と水平方向に位置合せされた水平位置を定める位置合せ方法において、2本の水糸の交点の近傍にて、2本の水糸のそれぞれに2個の錘下げ振りのそれぞれの両端を引っ掛け、2本の水糸の交点と2個の錘下げ振りの交点との合致線上に水平位置を定める。これにより、簡易な構成により、2本の水平方向に張られた水糸の交点と、その交点の下方で水平方向に位置合せされた水平位置を正確に定めることができる。
【符号の説明】
【0072】
1、2 水糸
10 錘下げ振り
11 長細状錘
12 紐
13 フック
21 針状体
22 板状体
22A 凹部
23 追加錘
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9