(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光線路監視システムでは、センタ側伝送装置と加入者側伝送装置とを接続する光線路に光カプラ(センタ内に設置)を挿入し、その光カプラから加入者側伝送装置へ向けてパルス試験光を伝播させる構成を採用している。このため、特許文献1に記載の光線路監視システムでは、光カプラから加入者側伝送装置までの区間で発生した障害を検出することはできても、光カプラからセンタ側伝送装置までの区間で発生した障害を検出することはできない。
【0007】
光カプラからセンタ側伝送装置までの区間は、光線路の差し替え作業に伴う短時間障害(光線路の過屈曲や光線路の誤接続など)が発生し易い箇所である。しかしながら、特許文献1に記載の光線路監視システムを用いる限り、光カプラからセンタ側伝送装置までの区間で発生する、このような短時間障害を検出することは不可能である。
【0008】
また、OTDRを用いた障害箇所の特定には、通常、後方散乱光の測定を繰り返し行い、各測定において得られた後方散乱光の強度の時系列を平均化したものを用いる。したがって、OTDRを用いた障害箇所の特定には、通常、1本の光線路あたり30秒以上の時間を要する。このため、OTDRを用いた光線路のリアルタイム監視により、上述したような短時間障害を検出する試みは、従来、行われていなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光線路の全区間をリアルタイム監視することができ、上述したような短時間障害も検出可能な光線路監視システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係る光線路監視システムは、光線路に対して監視光を送出する送出手段と、前記送出手段から送出された前記監視光を分岐することにより、前記送出手段からの光路長が互いに異なる前記光線路の両端の各々に、前記監視光を送出する光スプリッタと、前記光線路の両端の各々に設けられ、当該光線路を伝送されてきた前記監視光を反射する反射手段と、前記光線路の一端で反射された前記監視光である第1の反射光の強度、および、前記光線路の他端で反射された前記監視光である第2の反射光の強度を測定する測定手段と、前記第1の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記一端までの区間における障害を検出し、前記第2の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記他端までの区間における障害を検出する障害検出手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本光線路監視システムによれば、測定手段によって測定された測定データ(第1の反射光の強度および第2の反射光の強度に対応するピークを含む)は、光線路における監視光の入力地点から一端までの区間および他端までの区間の障害状態が反映されたものとなる。したがって、本発明によれば、上記測定データに基づいて光線路の障害を検出しているため、上記入力地点に関わらず、光線路の略全区間の障害を検出することができる。
【0012】
また、本光線路監視システムによれば、光線路の両端に反射手段を設けているために、第1の反射光および第2の反射光は、いわゆる後方散乱光と比べてその強度が強いものとなる。このため、1度の測定により得られる測定データに示されている第1の反射光および第2の反射光の強度の測定値に基づいて、光線路の障害を容易かつ正確に検出することができる。また、この測定を連続して行うことで、光線路の障害をリアルタイムに監視することができる。
【0013】
そして、本光線路監視システムによれば、光スプリッタを設けるだけといった簡単な構成で、送出手段からの1回の監視光の送出により、光線路の両端の各々に監視光を送出することができる。したがって、両端の各々へ監視光を送出するための、それぞれの送出手段(例えば、2台の光パルス試験器)を設ける必要が無く、システム構成を簡素化することができ、システム全体のコストを削減することができる。
【0014】
そして、本光線路監視システムによれば、送出手段から光線路の両端までの光路長を互いに異ならせたことにより、光線路の両端において生じた反射光が、測定手段に同時に入力されることを回避することができる。これにより、両反射光の強度の識別が容易になるため、両反射光に基づく障害の検出を容易に行うことができる。
【0015】
上記光線路監視システムにおいて、前記障害検出手段は、前記測定手段による1回の測定で得られた前記第1の反射光および前記第2の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記一端までの区間および前記光線路の前記他端までの区間における障害を検出することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、従来のように複数回の測定結果の平均化処理を行う必要がないため、光線路の障害を短時間に検出することができる。特に、第1の反射光および第2の反射光の強度の測定値に基づいて、光線路の障害の検出を行っているため、上記平均化を行う必要なく、1回の測定データから正確に光線路の障害を検出することができる。
【0017】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記測定手段によって測定された前記第1の反射光の強度および前記第2の反射光の強度を基準データとして登録する基準データ登録手段をさらに備え、前記障害検出手段は、前記基準データ登録手段による登録が行われた後に前記測定手段によって測定された前記第1の反射光の強度および前記第2の反射光の強度と、前記基準データとして登録された前記第1の反射光の強度および前記第2の反射光の強度とを比較することにより、前記光線路の前記一端までの区間における障害および前記光線路の前記他端までの区間における障害を検出することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、測定データと基準データと比較するといった簡素な処理にもかかわらず、測定データおよび基準データの精度が高いため、光線路の障害を高い精度で検出することができる。特に、基準データとして、予め測定しておいた測定データを用いているために、ユーザによる事前設定の手間を軽減することができる。
【0019】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記光線路に挿入され、前記光スプリッタによって分岐された一の前記監視光を、前記光線路の一端に送出する第1の導光手段と、前記光線路に挿入され、前記光スプリッタによって分岐された他の前記監視光を、前記光線路の他端に送出する第2の導光手段とをさらに備えることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、光線路に1対の導光手段を挿入するだけの簡単な構成で、当該導光手段により、光線路への監視光の導光と、光線路からの反射光の分岐との、双方の機能を実現することができる。すなわち、上記1対の導光手段が、光線路における監視光の導光地点および分岐地点として機能する。したがって、監視光の導光および反射光の分岐の双方を実現するための、それぞれの手段を設ける別々に必要が無く、システム構成の簡素化および光線路の低損失化を図ることができる。
【0021】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記第1の導光手段および前記第2の導光手段は、WDMフィルタであることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、光線路に1対のWDMフィルタを挿入するだけの簡単な構成で、光線路に対する監視光の導光および反射光の分岐の双方を実現することができる。これにより、システム構成を簡素化することができ、システム全体のコストを削減することができる。特に、WDMフィルタを用いたことにより、光線路におけるデータ信号光(上り信号光および下り信号光)の伝送路損失を小さくすることができる。
【0023】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記第1の導光手段および前記第2の導光手段は、光カプラであることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、光線路に1対の光カプラを挿入するだけの簡単な構成で、光線路に対する監視光の導光および反射光の分岐の双方を実現することができる。これにより、システム構成を簡素化することができ、システム全体のコストを削減することができる。特に、光カプラを用いたことにより、より安価にシステムを構築することができる。
【0025】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記検出手段によって検出された障害をユーザに通知する通知手段をさらに備え、当該通知手段は、前記障害が検出されてから、前記障害が検出されなくなるまでの期間を、障害情報としてユーザに通知することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、光線路において発生した障害の継続時間をユーザに知らせることができ、ユーザは、この継続時間から障害発生事由を推定することが可能になる。
【0027】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記送出手段は、複数の光線路の各々に対して監視光を送出し、前記反射手段は、前記複数の光線路の各々の両端に設けられ、前記測定手段は、前記複数の光線路の各々の、前記第1の反射光の強度および前記第2の反射光の強度を測定し、前記障害検出手段は、前記複数の光線路の各々の前記第1の反射光の強度に基づいて、前記複数の光線路の各々の前記一端までの区間における障害を検出し、前記複数の光線路の各々の前記第2の反射光の強度に基づいて、前記複数の光線路の各々の前記他端までの区間における障害を検出することが好ましい。
【0028】
本発明によれば、複数の伝送路の各々の測定手段によって測定された測定データは、複数の光線路の各々の、監視光の入力地点からの一端までの区間および他端までの区間の障害状態が反映されたものとなる。したがって、本発明によれば、上記測定データに基づいて各光線路の障害を検出しているため、上記入力地点に関わらず、複数の光線路の各々の略全区間の障害を検出することができる。
【0029】
また、上記光線路監視システムにおいて、前記送出手段から送出された前記監視光を分岐することにより、前記複数の光線路の各々の両端に前記監視光を送出するための、複数の監視光を生成する光スプリッタをさらに備えることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、光スプリッタを設けるだけといった簡単な構成で、複数の光線路の各々の両端に監視光を送出することができる。したがって、複数の光線路の各々の両端へ監視光を送出するための、複数の送出手段(例えば、複数の光パルス試験器)を設ける必要が無く、システム構成を簡素化することができ、システム全体のコストを削減することができる。
【0031】
また、本発明に係る光線路監視方法は、送出手段が光線路に対して監視光を送出する送出工程と、前記送出工程で送出された前記監視光を分岐することにより、前記送出手段からの光路長が互いに異なる前記光線路の両端の各々に、前記監視光を送出する分岐工程と、前記光線路の両端の各々において、当該光線路を伝送されてきた前記監視光を反射する反射工程と、前記光線路の一端で反射された前記監視光である第1の反射光の強度、および前記光線路の他端で反射された前記監視光である第2の反射光の強度を測定する測定工程と、前記第1の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記一端までの区間における障害を検出し、前記第2の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記他端までの区間における障害を検出する障害検出工程とを含むことを特徴とする。
【0032】
本発明によっても、上記光線路監視システムと同様の効果を奏することができる。
【0033】
また、本発明に係る試験装置は、測定装置によって、監視光が光線路に送出され、前記測定装置から送出された前記監視光を光スプリッタが分岐することにより、前記測定装置からの光路長が互いに異なる前記光線路の両端の各々に、前記監視光が送出され、前記測定装置によって、前記光線路の一端において反射された前記監視光である第1の反射光の強度および前記光線路の他端において反射された前記監視光である第2の反射光の強度が測定された場合、前記第1の反射光の強度および前記第2の反射光の強度を示す測定データを前記測定装置から取得する測定データ取得手段と、前記第1の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記一端までの区間における障害を検出し、前記第2の反射光の強度に基づいて、前記光線路の前記他端までの区間における障害を検出する障害検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0034】
本発明によっても、上記光線路監視システムと同様の効果を奏することができる。
【0035】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを上記試験装置として機能させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記試験装置が備える前記各手段として機能させるプログラムである。
【0036】
本発明によれば、コンピュータが当該プログラムを実行することにより、このコンピュータは、上記試験装置と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、光線路の全区間をリアルタイム監視することができ、光線路の過屈曲や光線路の誤接続等の短時間障害も検出可能な光線路監視システムを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
〔実施形態1〕
本発明に係る光線路監視システムの第1の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0040】
(光線路監視システムの概要)
まず、
図1(a)を参照して、本実施形態に係る光線路監視システム10の構成について説明する。
図1(a)は、光線路監視システム10の構成を示すブロック図である。光線路監視システム10は、光線路20を監視するためのシステムであり、
図1(a)に示すように、試験装置100、OTDR110、光スプリッタ120、フィルタ130、および分岐モジュール140を備えている。
【0041】
(光線路20および伝送装置30)
光線路20は、インターネットやCATV等の通信ネットワークに組み込まれ、このような通信ネットワークにおいて、各種データの伝送機能を担うものである。光線路20においては、各種データにより変調された信号光が伝送される。このため、光線路20として、光ファイバが用いられている。
【0042】
光線路20の両端には、伝送装置30が接続される。伝送装置30は、それぞれ、信号光を送信、受信、送受信、または中継する装置である。ここでは、光線路20の一端に接続された伝送装置30を伝送装置30Aとし、光線路20の他端に接続された伝送装置30を伝送装置30Bとする。
【0043】
光線路20では、伝送装置30Aから伝送装置30Bに信号光(以下、「下り信号光」と記載)を伝送することが可能である。反対に、伝送装置30Bから伝送装置30Aに信号光(以下、「上り信号光」と記載)を伝送することも可能である。すなわち、この光線路20では、双方向通信を行うことが可能である。
【0044】
例えば、下り信号光としては、波長が1490nmの信号光が用いられ、上り信号光としては、波長が1310nmの信号光が用いられる。このように、下り信号光と上り信号光とで波長を異ならせることにより、1本の光線路20で下り信号光と上り信号光とを同時に伝送することが可能となる。
【0045】
(OTDR110)
OTDR110は、監視光を光線路20に対して送出するとともに、この監視光が光線路20において散乱または反射されることによって生じる戻り光の強度を測定する、いわゆる光パルス試験器である。
【0046】
OTDR110は、レーザダイオード等の光源を備えており、この光源から発せられた監視光を、入出力ポートから出力する。監視光としては、信号光(下り信号光と上り信号光)とは波長が異なるパルス光が用いられる。例えば、監視光としては、波長が1650nmのパルス光が用いられる。
【0047】
また、OTDR110は、フォトダイオード等の受光素子を備えており、この受光素子によって、入出力ポートから入力された戻り光を受光し、その強度に応じた値を有する電気信号を生成する。そして、OTDR110は、この電気信号をサンプリングすることによって、各時刻における戻り光の強度を示す時系列データを生成し、この時系列データを外部(試験装置100)に出力する。
【0048】
光線路監視システム10においては、以下に説明するように、OTDR110から出力された監視光を光線路20の両端の各々に対して送出することが可能となっている。これに応じて、OTDR110は、光線路20の両端の各々で生じた反射光の強度を測定することが可能となっている。
【0049】
(光スプリッタ120および分岐モジュール140)
光スプリッタ120および分岐モジュール140については、
図1(b)を参照して説明する。
図1(b)は、光スプリッタ120および分岐モジュール140の詳細な構成を示す図である。光スプリッタ120は、少なくとも第1のポート120A1、第2のポート120A2、および第3のポート120A3を備え、第1のポート120A1から入力された光を分波して第2のポート120A2および第3のポート120A3から出力するとともに、第2のポート120A2から入力された光と第3のポート120A3から入力された光とを合波して第1のポート120A1から出力するものである。上述したOTDR110の入出力ポートは、この光スプリッタ120の第1のポート120A1と、光ファイバを用いて接続される。
【0050】
一方、分岐モジュール140は、一対のWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)フィルタ(WDMフィルタ142AおよびWDMフィルタ142B)、カットフィルタ144等を備えて構成されている。
【0051】
WDMフィルタ142A(第1の導光手段)は、第1のポート142A1(反射ポート)、第2のポート142A2(共通ポート)、および第3のポート142A3(透過ポート)を備え、第1のポート142A1から入力された第1の波長(監視光の波長)の光を第2のポート142A2から出力し、第2のポート142A2から入力された第1の波長の光を第1のポート142A1から出力する。また、第2のポート142A2から入力された第2の波長(下り信号光の波長)の光を第3のポート142A3から出力し、第3のポート142A3から入力された第3の波長(上り信号光の波長)の光を第2のポート142A2から出力する。本実施形態においては、このWDMフィルタ142Aとして、例えば、誘電体多層膜フィルタ等を用いる。
【0052】
光線路監視システム100において、WDMフィルタ142Aは、下り信号光が第2のポート142A2から入力され、第3のポート142A3から出力されるように、光線路20に挿入される。また、上述した光スプリッタ120の第2のポート120A2が、このWDMフィルタ142Aの第1のポート142A1と、光ファイバを用いて接続される。なお、WDMフィルタ142Aのフィルタ特性が悪い場合、監視光が分岐モジュール140よりも下り側の下り信号光に混ざることを防ぐため、第3のポート142A3または第3のポート142Aと接続された光線路20には監視光の波長を遮断するカットフィルタ等が挿入されることがある。
【0053】
WDMフィルタ142B(第2の導光手段)は、第1のポート142B1(反射ポート)、第2のポート142B2(共通ポート)、および第3のポート142B3(透過ポートを備え、第1のポート142B1から入力された第1の波長(監視光の波長)の光を第2のポート142B2から出力し、第2のポート142B2から入力された第1の波長の光を第1のポート142B1から出力する。また、第2のポート142B2から入力された第2の波長(上り信号光の波長)の光を第3のポート142B3から出力し、第3のポート142B3から入力された第3の波長(下り信号光の波長)の光を第2のポート142B2から出力する。本実施形態においては、このWDMフィルタ142Bとして、例えば、誘電体多層膜フィルタ等を用いる。
【0054】
光線路監視システム100において、WDMフィルタ142Bは、上り信号光が第2のポート142B2から入力され、第3のポート142B3から出力されるように、光線路20に挿入される。また、上述した光スプリッタ120の第3のポート120A3が、このWDMフィルタ142Bの第1のポート142B1と、光ファイバを用いて接続される。なお、WDMフィルタ142Bのフィルタ特性が悪い場合、監視光が分岐モジュール140よりも上り側の上り信号光に混ざることを防ぐため、第3のポート142B3または第3のポート142B3と接続された光線路20には、監視光の波長を遮断するカットフィルタ等が挿入されることがある。この場合、WDMフィルタ142A(第3のポート142A3)とWDMフィルタ142B(第3のポート142B3)との各々に上記カットフィルタ等を設けてもよく、
図1(b)に示すように、WDMフィルタ142Aから出力された監視光と、WDMフィルタ142Bから出力された監視光との双方をカットすることが可能なカットフィルタ144を、WDMフィルタ142A(第3のポート142A3)とWDMフィルタ142B(第3のポート142B3)との間に設けてもよい。
【0055】
OTDR110から出力された監視光は、まず、光スプリッタ120の第1のポート120A1を介して光スプリッタ120に入力され、光スプリッタ120の第2のポート120A2および第3のポート120A3を介して光スプリッタ120から出力される。
【0056】
光スプリッタ120の第2のポート120A2を介して光スプリッタ120から出力された監視光(一の監視光)は、WDMフィルタ142Aの第1のポート142A1を介してWDMフィルタ142Aに入力され、WDMフィルタ142Aの第2のポート142A2を介してWDMフィルタ142Aから出力される。そして、WDMフィルタ142Aの第2のポート142A2を介してWDMフィルタ142Aから出力された監視光は、光線路20に入力され、伝送装置30Aに向かって光線路20を伝搬する。伝送装置30Aに向かう監視光により生じた戻り光は、これとは逆の経路を辿ってOTDR110に入力される。
【0057】
同様に、光スプリッタ120の第3のポート120A3を介して光スプリッタ120から出力された監視光(他の監視光)は、WDMフィルタ142Bの第1のポート142B1を介してWDMフィルタ142Bに入力され、WDMフィルタ142Bの第2のポート142B2を介してWDMフィルタ142Bから出力される。そして、WDMフィルタ142Bの第2のポート142B2を介してWDMフィルタ142Bから出力された監視光は、光線路20に入力され、伝送装置30Bに向かって光線路20を伝搬する。伝送装置30Bに向かう監視光により生じた戻り光は、これとは逆の経路を辿ってOTDR110に入力される。
【0058】
なお、分岐モジュール140は、光線路20上の任意の位置に挿入し得る。ただし、分岐モジュール140は、OTDR110からの光線路20の両端までの光路長が互いに異なるような位置に、挿入されることが好ましい。これにより、光線路20の両端において生じた反射光が、OTDR110に同時に入力されることが回避されるためである。OTDR110の時間分解能を考慮すると、OTDR110からの光線路20の両端までの光路長が互いに30cm以上異なっていれば好ましく、1m以上異なっていればさらに好ましい。なお、分岐モジュール140を光線路20の中点に挿入してもよく、この場合、光線路20以外の光路(例えば、光スプリッタ120の内部、光スプリッタ120と分岐モジュール140との間、分岐モジュール140の内部等)において、光線路20の一端までの光路を構成する光路長と、光線路20の他端までの光路を構成する光路長とを互いに異ならせることにより、上記両端部までの光路長を互いに異ならせることも可能である。
【0059】
また、本実施形態においては、2つのWDMフィルタ142A〜Bを、分岐モジュール140にモジュール化している。このため、分岐モジュール140の各ポートに光線路20および光スプリッタ120を接続しさえすれば、2つのWDMフィルタ142A〜Bが利用可能となる。
【0060】
(フィルタ130)
フィルタ130は、光線路20の両端の各々に設けられている。ここでは、光線路20と伝送装置30Aとの間に介在するフィルタ130をフィルタ130Aとし、光線路20と伝送装置30Bとの間に介在するフィルタ130をフィルタ130Bとする。
【0061】
フィルタ130は、光線路20から送信されてきた監視光を反射する一方、光線路20から送信されてきた信号光を透過するように構成されている。本実施形態では、フィルタ130として、監視光(1650nm)を反射し、かつ、信号光(1490nm,1310nm)を透過するファイバーブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)を用いているが、同様の機能を有するものであれば、誘電体多層膜フィルタ等、これ以外のものも採用し得る。
【0062】
上記したとおり、監視光は、光線路20の両端に対して送出される。このため、光線路20において発生する戻り光には、後方散乱光の他に、光線路20の一端において監視光がフィルタ130Aによって反射された反射光と、光線路20の他端において監視光がフィルタ130Bによって反射された反射光とが、それぞれ含まれることになる。
【0063】
(OTDR110による測定)
OTDR110は、上記したように、監視光を出力した後、各時刻における戻り光の強度を測定する。この戻り光には、(1)監視光が分岐モジュール140からフィルタ130Aまでの区間を伝播する際に生じる後方散乱光(以下、「第1の後方散乱光」と記載)と、(2)監視光がフィルタ130Aによって反射されて生じる反射光(以下、「第1の反射光」と記載)と、(3)監視光が分岐モジュール140からフィルタ130Bまでの区間を伝播する際に生じる後方散乱光(以下、「第2の後方散乱光」と記載)と、(4)監視光がフィルタ130Bによって反射されて生じる反射光(以下、「第2の反射光」と記載)とが含まれる。OTDR110は、この戻り光の各時刻における強度を示す時系列データを、試験装置100に対して出力する。
【0064】
監視光の伝搬速度は光速であるから、監視光がOTDR110から送出されてから、フィルタ130Aで反射されて、OTDR110に到達するまでの時間は、(フィルタ130Aまでの光路長×2/光速)によって求められる。すなわち、このフィルタ130Aまでの光線路20に伝送路断などの異常が無ければ、ある時刻にOTDR110から送出された監視光は、上記によって求められる時間の経過後の時刻tAに、OTDR110に到達する。よって、OTDR110から出力される時系列データには、フィルタ130Aまでの光路長に応じた時刻tAに、第1の反射光に対応するピーク(以下、「第1の反射ピーク」と記載)が表れることとなる。
【0065】
同様に、監視光がOTDR110から送出されてから、フィルタ130Bで反射されて、OTDR110に到達するまでの時間は、(フィルタ130Bまでの光路長×2/光速)によって求められる。すなわち、このフィルタ130Bまでの光線路20に伝送路断などの異常が無ければ、ある時刻にOTDR110から送出された監視光は、上記によって求められる時間の経過後の時刻tBに、OTDR110に到達する。よって、OTDR110から出力される時系列データには、フィルタ130Bまでの光路長に応じた時刻tBに、第2の反射光に対応するピーク(以下、「第2の反射ピーク」と記載)が表れることとなる。
【0066】
なお、時刻tA,tB以外の時刻における戻り光(後方散乱光)の強度は、時刻tA,tBにおける戻り光(反射光)の強度と比べて格段に小さく、測定の度に変化する。一方、時刻tA,tBにおける戻り光(反射光)の強度は、時刻tA,tB以外の時刻における戻り光(後方散乱光)の強度と比べて格段に大きく、測定の度に変化することがない。このため、第1および第2の反射光の強度は、1回の測定により得られた1つの時系列データのみから正確に特定することができる。なお、反射光の強度が後方散乱光の強度よりも格段に大きくなるのは、光線路20の両端に監視光を反射するフィルタ130を設けているからに他ならない。
【0067】
従来、OTDR110を用いて光線路の戻り光の強度を測定する場合、後方散乱光の光強度の時間的な揺らぎなどを考慮し、後方散乱光だけでなく反射光を測定する場合においても、処理方法を変えずに複数の測定結果を用いて平均化処理を行っていた。しかしながら、フィルタ130などにより反射強度をフレネル反射より十分に大きくした状態では、この反射強度の時間的なばらつきは非常に小さく、平均化処理を行う必要がないことを発明者は見出した。
【0068】
光線路20の分岐モジュール140からフィルタ130Aまでの区間において、損失を伴う何らかの障害が発生した場合、フィルタ130Aによって生じる第1の反射光の強度が弱まる。このため、OTDR110から出力される時系列データにおいても、時刻tAでの値が小さくなる。したがって、OTDR110から出力される時系列データの時刻tAにおける値hA’を、光線路20が正常なときに予め測定しておいた第1の反射ピークの強度hAと比較すれば、上記障害の有無を簡単かつ正確に判定することができる。
【0069】
同様に、光線路20の分岐モジュール140からフィルタ130Bまでの区間において、損失を伴う何らかの障害が発生した場合、フィルタ130Bによって生じる第2の反射光の強度が弱まる。このため、OTDR110から出力される時系列データにおいても、時刻tBでの値が小さくなる。したがって、OTDR110から出力される時系列データの時刻tBにおける値hB’を、光線路20が正常なときに予め測定しておいた第2の反射ピークの強度hBと比較すれば、上記障害の有無を簡単かつ正確に判定することができる。
【0070】
(試験装置100)
試験装置100は、OTDR110から出力された時系列データに基づいて光線路20を試験する装置である。例えば、試験装置100には、PCやサーバ等のいわゆるコンピュータ装置が用いられる。
【0071】
試験装置100は、OTDR110と接続されており、OTDR110と互いに通信することができる。試験装置100は、この通信を行うことにより、上述した測定の実行をOTDR110に指示したり、OTDR110から出力された時系列データを受信したりすることができる。
【0072】
試験装置100は、光線路20における障害を検出する(障害の有無を判定する)障害検出処理と、光線路20における障害を検出した場合に、その発生箇所を特定する障害箇所特定処理とを実行することができ、特に、前者の処理に特徴がある。
【0073】
試験装置100の障害検出処理は、OTDR110から出力される時系列データの時刻tA,tBにおける値hA’,hB’を、光線路20が正常なときに予め測定しておいた反射ピークの強度hA,hBと比較することにより実現される。この障害検出処理の詳細については、参照する図面を代えて後述する。
【0074】
なお、試験装置100は、ディスプレイやスピーカ等の出力デバイスに接続されている。これにより、試験装置100は、光線路20の障害を検出した場合、この障害をユーザに通知することが可能となっている。
【0075】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る試験装置100の機能構成について説明する。
図2は、試験装置100の機能構成を示すブロック図である。試験装置100は、
図2に示すように、制御部210、測定データ取得部212、基準データ登録部214、記憶部216、障害検出部218、および通知部220を備えている。
【0076】
なお、
図2においては、光線路20における障害を検出する障害検出処理に関するブロックと、光線路20が正常なときに障害検出処理に先行して実行される初期設定処理とに関するブロックとのみを示している。すなわち、試験装置100は、光線路20における障害を検出したときに実行される、その発生箇所を特定する障害箇所特定処理に関する不図示のブロックを備えていてもよい。
【0077】
(制御部210)
制御部210は、試験装置100の各部を制御するとともに、OTDR110との通信を介してOTDR110を制御する。例えば、制御部210は、測定の実行を指示する制御信号を、OTDR110に対して送信する。
【0078】
(測定データ取得部212)
測定データ取得部212は、初期設定処理および障害検出処理において、OTDR110から出力された時系列データを取得する。この時系列データのことを、以下では、「測定データ」と記載する。また、1つの測定データには、監視光を構成する1つのパルスにより生じた戻り光の強度の時系列が含まれているものとする。
【0079】
(基準データ登録部214)
基準データ登録部214は、初期設定処理において、測定データ取得部212が取得した測定データを利用して、反射ピークが生じる時刻tA,tBと反射ピークの強度hA,hBとを特定する。そして、特定した時刻tA,tBと強度hA,hBとを、基準データとして記憶部216に格納する。なお、基準データ登録部214により特定された反射ピークが生じる時刻tA,tBのことを、以下、「測定ポイント」とも記載する。
【0080】
本実施形態においては、反射ピークが生じる時刻tA,tBと反射ピークの強度hA,hBとを特定する方法として、測定データを波形としてディスプレイに表示し、時刻tA,tBと強度hA,hBとユーザに指定させる方法を採用する。ただし、公知のピーク検出アルゴリズム等を用いて、反射ピークが生じる時刻tA,tBと反射ピークの強度hA,hBとを、測定データから自動的に特定する方法を採用してもよい。
【0081】
(障害検出部218)
障害検出部218は、障害検出処理において、測定データ取得部212が取得した測定データの時刻tA,tBにおける値hA’,hB’を、基準データとして記憶部216に格納された反射ピークの強度hA,hBと比較することによって、光線路20における障害の有無を判定する。
【0082】
(通知部220)
通知部220は、障害検出処理において、障害検出部218によって検出された障害に関する障害情報を出力することにより、光線路20において障害が発生したことをユーザに通知する。例えば、通知部220は、この障害情報をディスプレイに表示する。さらに、通知部220は、警告音をスピーカから発したり、障害情報を電子メール等により所定の端末へ送信したりすることもできる。
【0083】
次に、
図3を参照して、試験装置100による初期設定処理および障害検出処理の手順を説明する。
図3は、試験装置100による初期設定処理および障害検出処理の手順を示すフローチャートである。
【0084】
(初期設定処理)
まず、制御部210が、OTDR110に対し、測定の実行を指示する(ステップS302)。この指示に従い、OTDR110は、監視光の送出と、戻り光の測定とを行い、試験装置100に対し、その測定結果を示す測定データを出力する。そして、測定データ取得部212が、OTDR110から出力された測定データを取得する(ステップS304)。
【0085】
測定データ取得部212は、取得した測定データを、基準データ登録部214に渡す。基準データ登録部214は、この測定データを波形としてディスプレイに表示し(ステップS305)、反射ピークが生じる時刻tA,tBと反射ピークの強度hA,hBとをユーザに指定させる。時刻tA,tBと強度hA,hBとがユーザにより指定されると、基準データ登録部214は、ユーザにより指定された時刻tA,tBと強度hA,hBとを、基準データとして記憶部216に格納(以下、「登録」と記載)する(ステップS306)。
【0086】
(障害検出処理)
初期設定処理が完了すると、試験装置100は、OTDR110に対し、測定の実行を指示する(ステップS308)。この指示に従い、OTDR110は、監視光の送出と、戻り光の測定とを繰り返し行い、試験装置100に対し、各測定によって得られた測定データを順次出力する。障害検出処理は、以下のステップを繰り返し実行することにより実現される。
【0087】
まず、測定データ取得部212が、OTDR110から出力された測定データを取得する(ステップS310)。測定データ取得部212は、取得した測定データを、障害検出部218に渡す。
【0088】
障害検出部218は、ステップS310において取得した測定データから、ステップS306において登録した時刻tA,tBにおける値hA’,hB’を抽出する。そして、抽出した値hA’を、ステップS306において登録した強度hAと比較し(ステップS312)、その差hA−hA’が予め定められた閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS314)。同様に抽出した値hB’を、ステップS306において登録したhBと比較し(ステップS312)、その差hB−hB’が予め定められた閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS314)。
【0089】
ステップS314において、差hA−hA’が閾値Th以上であると判定された場合、試験装置100は、時刻tA(測定ポイント)と差hA−hA’(レベル変化量)とを障害情報としてディスプレイに表示し(ステップS315)、ステップS316へ処理を進める。同様に、ステップS314において、差hB−hB’が閾値Th以上であると判定された場合、試験装置100は、時刻tBと差hB−hB’とを障害情報としてディスプレイに表示し(ステップS315)、ステップS316へ処理を進める。一方、ステップS314において、差hA−hA’が閾値Th未満であり、かつ、差hB−hB’が閾値Th未満であると判定された場合(ステップS314:No)、試験装置100は、ステップS310へ処理を戻す。
【0090】
ステップS316では、測定データ取得部212が、OTDR110から出力された新たな測定データを取得する。測定データ取得部212は、取得した新たな測定データを、障害検出部218に渡す。障害検出部214は、新たな測定データに基づいて、光線路20における障害の有無を判定する(ステップS318,S320)。
【0091】
ステップS318における比較、および、ステップS320における判定は、それぞれ、ステップ312における比較、および、ステップ314における判定と同様のものである。ただし、ステップ314において、差hA−hA’のみが閾値Th以上であると判定された場合、ステップ320における判定は、差hA−hA’についてのみ行えばよい。同様に、ステップ314において、差hB−hB’のみが閾値Th以上であると判定された場合、ステップ320における判定は、差hB−hB’についてのみ行えばよい。
【0092】
ステップS314において、差hA−hA’が閾値Th以上であると判定され(障害発生)、ステップS320において、差hA−hA’が閾値Th未満であると判定された場合(障害復旧)、試験装置100は、時刻tA(測定ポイント)と差hA−hA’(レベル変化量)とに加え、障害発生から障害復旧までの時間を障害情報としてディスプレイに表示し(ステップS328)、ステップ310へ処理を戻す。同様に、ステップS314において、差hB−hB’が閾値Th以上であると判定され、ステップS320において、差hB−hB’が閾値Th未満であると判定された場合、試験装置100は、時刻tBと差hB−hB’とに加えて、障害発生から障害復旧までの時間を障害情報としてディスプレイに表示し(ステップS328)、ステップS310へ処理を戻す。
【0093】
(測定データの一例)
次に、
図4を参照して、測定データの一例について説明する。
図4は、OTDR110から出力された測定データの一例を示すグラフである。
図4において、横軸は、時刻(監視光を送出してからの経過時間)を表し、縦軸は、戻り光の強度を表す。
【0094】
図4において、点線で示された測定データ402は、初期設定処理において得られる正常な測定データの例であり、実線で示された測定データ404は、障害検出処理において得られる異常な測定データの例である。
【0095】
ここで、第1の戻り光と第2の戻り光とは光スプリッタ120によって合波されるため、各測定データは、この合波された戻り光の強度を示すものとなっている。しかしながら、光線路監視システム10では、分岐モジュール140から各フィルタ130までの光路長を異ならせているため、各測定データにおいては、第1の反射ピークと第2の反射ピークとが、互いに異なる時刻に現れる。
【0096】
例えば、
図4に示す例では、測定データ402,404のいずれにおいても、フィルタ130Aまでの光路長に応じた時刻tAに、フィルタ130Aによって生じた第1の反射光のピークが現れており、フィルタ130Bまでの光路長に応じた時刻tBに、フィルタ130Bによって生じた第2の反射光のピークが現れている。
【0097】
既に説明したとおり、試験装置100は、初期設定処理において得られた測定データ402における反射ピークの強度hA,hBと、障害検出処理において得られた測定データ404の時刻tA,tBにおける値hA’,hB’とを比較することにより、光線路20における障害を検出する。
【0098】
図4に示す例において、測定データ404の時刻tAにおける値hA’は、測定データ402における第1の反射ピークの強度hAと略同一である。このことから、試験装置100は、光線路20の分岐モジュール140からフィルタ130Aまでの区間において、“障害が発生していない”と判断することができる。
【0099】
一方、
図4に示す例において、測定データ404の時刻tBにおける値hB’は、測定データ402における第2の反射ピークの強度hBよりも小さい。両者の差をd=hB−hB’とし、予め定められた閾値Thを1dBとすると、試験装置100は、差dが1dB以上である場合、光線路20の分岐モジュール140からフィルタ130Bまでの区間において、“障害が発生している”と判断することができる。
【0100】
このように、光線路監視システム10における障害検出処理は、予め設定された時刻tA,tBにおける戻り光の強度hA’,hB’を、予め設定された反射ピークの強度hA,hBと比較することにより実現される。この際、時刻tA,tBにおける戻り光の強度hA’,hB’は、上述したように、1つの測定データから特定される。このため、各障害検出処理は、ごく短時間で完了する。これにより、障害検出処理を短い間隔で繰り返し実行することができるので、光線路20のリアルタイムな監視を実現することが可能になる。
【0101】
さらに、時刻tA,tBにおける戻り光の強度hA’,hB’は、上述したように、測定の度に変化することがない。したがって、各障害検出処理は、ごく短時間で完了するにも関わらず、正確である。
【0102】
(障害情報の出力例)
図5は、試験装置100による障害情報の出力例を示す。
図5に示す画面500は、試験装置100に接続されたディスプレイに表示された画面であり、光線路における障害をユーザに通知するための画面である。この画面500は、測定データ表示欄510および障害情報通知欄520が設けられている。
【0103】
測定データ表示欄510には、初期設定処理において取得した測定データと、障害検出処理において取得した測定データとが、波形として表示される。ここで、障害検出処理において取得した測定データは、順次(例えば、試験装置100が測定データを取得する毎に)更新される。障害情報通知欄520には、障害検出処理において生成された障害情報が表示される。ここで、障害情報は、新たな障害が検出される度に追記される。この画面500により、ユーザは、光線路20における障害の発生状況を、リアルタイムに把握することが可能となっている。
【0104】
なお、
図5に示す例では、初期設定処理において取得した測定データが点線により表示され、障害検出処理において取得した測定データが実線により表示されているが、これらは、互いに異なる色で表示されてもよい。これにより、ユーザは、各反射ピークの低下具合を、視覚的に容易に把握することが可能となっている。
【0105】
また、
図5に示す例では、測定データ表示欄510に、縮小表示欄512と拡大表示欄514とが設けられている。縮小表示欄512には、広域(2km域)の測定データが縮小表示され、拡大表示欄514には、狭域(13m域)の測定データが拡大表示される。ユーザは、縮小表示欄512により、光線路20の概況を把握することができ、拡大表示欄514により、各反射ピークの低下具合を把握することができる。また、ユーザは、マウスやキーボード等の入力デバイスを操作することにより、拡大表示欄515に表示させる領域を、自由に移動させることができる。
【0106】
また、
図5に示す例では、障害情報通知欄520に、障害情報として、障害を検出した年月日(「Alarm Date」)、反射ピークが生じる時刻tA,tBのうち、強度が低下した反射ピークに対応する方の時刻を距離に換算したもの(「Alarm Distance(m)」)、障害の内容を示すメッセージ(「Message」)が示されている。障害情報通知欄520には、障害が発生する毎に、このような障害情報が1行ずつ追記されていく。また、上記メッセージには、障害発生から障害復旧までの時間(例えば、1行目における「2739ms」)が含まれている。これにより、ユーザは、障害事由を推定することができる。例えば、障害発生から障害復旧までの時間が数秒の場合には光コネクタの一時的な挿抜があったと推定し、1秒以下の場合にはファイバへの一時的な過屈曲があったと推定することができる。
【0107】
図5に示す例では、障害情報には、上記障害発生区間(分岐モジュール140から伝送装置30Aまでの間、もしくは分岐モジュール140から伝送装置30Bまでの間)の識別情報として、光線路長が用いられているが、もちろん、この障害発生区間の名称や、光線路の識別情報等、ユーザが障害発生区間を特定しやすい情報を用いることも可能である。
【0108】
試験装置100は、光線路20の障害を検出した場合、このような障害情報の表示に加えて、アラート音をスピーカから発したり、このような障害情報を各種通信回線(インターネット回線、電話回線、専用回線等)を介して他の端末装置へ送信したりすることが可能となっている。
【0109】
〔実施形態2〕
以下、本発明に係る光線路監視システムの第2の実施形態について説明する。本実施形態では、光線路監視システム12により、複数の光線路20を監視する例を説明する。
【0110】
なお、本実施形態に係る光線路監視システム12は、以下に説明する点を除き、第1の実施形態に係る光線路監視システム10と同様に構成されている。以下、主に第1の実施形態に係る光線路監視システム10との相違点について説明する。
【0111】
(光線路監視システムの概要)
まず、
図6を参照して、本実施形態に係る光線路監視システム12の構成について説明する。
図6は、光線路監視システム12の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、光線路監視システム12は、複数(図示した例では4つ)の光線路20を監視する構成となっている。
【0112】
各光線路20には、第1の実施形態と同様、1対のWDMフィルタ142A〜Bが挿入されている。分岐モジュール140は、これら複数対(図示した例では4対)のWDMフィルタ142A〜Bにより構成される。また、各光線路20の両端には、第1の実施形態と同様、フィルタ130A〜Bが設けられている。また、光スプリッタ120は、OTDR110から送出された監視光を分岐(図示した例では8分岐)することにより、監視光を各光線路20に挿入された1対のWDMフィルタ142A〜Bに送出する構成となっている。これにより、OTDR110から送出された監視光が、光スプリッタ120および分岐モジュール140を介して、各光線路20の両端に対して送出される。
【0113】
OTDR110は、各時刻における戻り光(複数の光線路20の各々で生じた戻り光を合波したもの)の強度を示す時系列データを生成し、生成した時系列データを試験装置10に対して出力する。試験装置100は、OTDR110から出力された時系列データに基づいて、複数の光線路20の各々における障害を検出する。
【0114】
各光線路20における分岐モジュール140から一方のフィルタ130Aまでの光路長は、その光線路20における分岐モジュール140から他方のフィルタ130Bまでの光路長とも異なるし、他の光線路20における分岐モジュール140から各フィルタ130A〜Bまでの光路長とも異なる。これにより、OTDR110から出力された測定データには、各光線路20の各フィルタ130A〜Bにより生じた反射光に対応するピークが互いに重なることなく含まれる。
【0115】
そして、いずれかの光線路20に伝送路断などの障害が発生した場合、その光線路20に対応する第1の反射光または第2の反射光の強度が弱まることとなる。そこで、本実施形態に係る試験装置100は、OTDR110から出力された測定データにおける各反射ピークの強度を監視することにより、各光線路20における障害を検出する。また、試験装置100は、いずれかの光線路20の障害を検出すると、試験装置100は、その障害をユーザに通知するようになっている。
【0116】
各光線路20に挿入されるWDMフィルタ142A〜Bは、分岐モジュール140によってモジュール化されている。このため、分岐モジュール140の各ポートに対応する光線路20を接続しさえすれば、全てのWDMフィルタ142A〜Bが利用可能となる。
【0117】
(試験装置100の機能)
本実施形態において、試験装置100が取得する測定データには、各光線路20の各フィルタ130A〜Bにより生じた反射光に対応するピークが含まれる。
【0118】
図6に示した例では、試験装置100が取得する測定データに8つの反射ピークが含まれることになる。この場合、試験装置100の基準データ登録部214は、初期設定処理において、測定データ取得部212が取得した測定データを利用して、これら8つの反射ピークの各々が生じる時刻tA1,tB1,…,tA4,tB4と、これら8つの反射ピークの各々の強度hA1,hB1,…,hA4,hB4とを特定し、基準データとして記憶部216に格納する。また、試験装置100の障害検出部218は、障害検出処理において、測定データ取得部212が取得した測定データの時刻tA1,tB1,…,tA4,tB4における値hA1’,hB1’,…,hA4’,hB4’を、基準データとして記憶部216に格納された反射ピークの強度hA1,hB1,…,hA4,hB4と比較することによって、光線路20における障害の有無を判定する。
【0119】
(障害情報の出力例)
図7は、本実施形態に係る試験装置100による障害情報の出力例を示す。
【0120】
図7に示すように、本実施形態では、画面500の測定データ表示欄510には、複数の光線路20の各々の測定データ(第1の反射光の強度および第2の反射光の強度)が波形として表示されている。これにより、ユーザは、各光線路20の各反射光のピークの低下具合を、視覚的に把握することが可能となっている。また、画面500の障害情報通知欄520には、複数の光線路20の各々において発生した障害を示す障害情報が表示される。ユーザは、この画面500により、複数の光線路20の各々における障害の発生状況を、リアルタイムに監視することが可能となっている。
【0121】
試験装置100は、複数の光線路20のいずれかの障害を検出する毎に、その障害に関する障害情報を障害情報通知欄520に追記する。これに応じて、障害情報通知欄520には、障害情報が1行ずつ表示されていく。
【0122】
図7に示す例では、障害情報通知欄520には、異なる光線路20で発生した障害に関する障害情報が表示されている。これは、異なる光線路20において障害が発生し、これらの障害が試験装置100によって検出されたためである。
【0123】
この障害情報には、障害の発生した光線路20およびその障害発生区間を識別するための情報の一例として、光線路長が含まれているため、ユーザは、この光線路長により、障害の発生した光線路20およびその障害発生区間を特定することができる。
【0124】
本実施形態に係る光線路監視システム12は、監視対象の光線路20が複数である点を除き、第1の実施形態に係る光線路監視システム10と同様である。したがって、本実施形態の光線路監視システム12は、複数の光線路20の各々に対して、その全区間の障害を検出することができる等、第1の実施形態に係る光線路監視システム10と同様の効果を奏することができる。
【0125】
なお、光線路20の数を4以上にする場合は、各光線路20にフィルタ130A〜BおよびWDMフィルタ142A〜Bを設け、光線路20の数に応じて、光スプリッタ120の分岐数を増やせばよい。このように、本発明に係る光線路監視システムは、光線路20の数を問わず、様々な形態で実施することができる。
【0126】
(分岐モジュールの構成の変形例)
図8は、分岐モジュール140の構成の変形例を示す。
図8に示す分岐モジュール140’は、第1の導光手段および第2の導光手段として、WDMフィルタ142AおよびWDMフィルタ142Bの代わりに、光カプラ142A’および光カプラ142B’を備えている点で、
図1(b)に示した分岐モジュール140と構成が異なる。
【0127】
光カプラ142A’は、第1のポート142A1’(分岐ポート)、第2のポート142A2’(共通ポート)、および第3のポート142A3’(分岐ポート)を備える。第1のポート142A1’からは監視光が入力される。そして、この監視光は、第2のポート142A2’から出力される。第3のポート142A3’からは上り信号光が入力される。そして、この上り信号光は、第2のポート142A2’から出力される。
【0128】
第2のポート142A2’からは下り信号光および監視光が入力される。光カプラ142A’は、第2のポート142A2’から入力された光を、予め定められた光量比で、第3のポート142A3’および第1のポート142A1’の各々から出力するように構成されている。例えば、
図8に示す例では、光カプラ142A’は、第2のポート142A2’から入力された光のうちの、90%の光量を第3のポート142A3’から出力し、残りの10%の光量を、第1のポート142A1’から出力するように構成されている。
【0129】
よって、第2のポート142A2’から下り信号光が入力されると、そのうちの10%の光量は、第1のポート142A1’から不要に出力されてしまう。そこで、この下り信号光がOTDR110へ伝搬されることを防ぐため、光カプラ142A’とOTDR110と間のいずれかの地点において、この下り信号光の波長をカットする装置を挿入するとよい。
図8に示す例では、光スプリッタ120とOTDR110との間に、下り信号光の波長をカットするバンドパスフィルタ115を設ける構成としているが、同機能を実現できる構成であれば、この構成に限らない。
【0130】
また、第2のポート142A2’から監視光が入力されると、そのうちの90%の光量は、第3のポート142A3’から不要に出力されてしまう。そこで、この監視光が分岐モジュール140よりも下り側に伝搬されることを防ぐため、第3のポート142A3’よりも下り側のいずれかの地点において、この監視光の波長を遮断する装置を挿入するとよい。
図8に示す例では、光カプラ142A’(第3のポート142A3)と光カプラ142B’(第3のポート142B3’)との間に、この監視光の波長をカットするカットフィルタ144を設ける構成としているが、同機能を実現できる構成であれば、この構成に限らない。
【0131】
光カプラ142B’は、第1のポート142B1’(分岐ポート)、第2のポート142B2’(共通ポート)、および第3のポート142B3’(分岐ポート)を備える。第1のポート142B1’からは監視光が入力される。そして、この監視光は、第2のポート142B2’から出力される。第3のポート142B3’からは下り信号光が入力される。そして、この下り信号光は、第2のポート142B2’から出力される。
【0132】
第2のポート142B2’からは上り信号光および監視光が入力される。光カプラ142B’は、第2のポート142B2’から入力された光を、予め定められた光量比で、第3のポート142B3’および第1のポート142B1’の各々から出力されるように構成されている。例えば、
図8に示す例では、光カプラ142B’は、第2のポート142B2’から入力された光のうちの、90%の光量を第3のポート142B3’から出力し、残りの10%の光量を、第1のポート142B1’から出力するように構成されている。
【0133】
よって、第2のポート142B2’から上り信号光が入力されると、そのうちの10%の光量は、第1のポート142B1’から不要に出力されてしまう。そこで、この上り信号光がOTDR110へ伝搬されることを防ぐため、光カプラ142B’とOTDR110と間のいずれかの地点において、この上り信号光の波長をカットする装置を挿入するとよい。
図8に示す例では、光スプリッタ120とOTDR110との間に、上り信号光の波長をカットするバンドパスフィルタ115を設ける構成としているが、同機能を実現できる構成であれば、この構成に限らない。
【0134】
また、第2のポート142B2’から監視光が入力されると、そのうちの90%の光量は、第3のポート142B3’から不要に出力されてしまう。そこで、この監視光が分岐モジュール140よりも上り側に伝搬されることを防ぐため、第3のポート142B3’よりも上り側のいずれかの地点において、この監視光の波長を遮断する装置を挿入するとよい。
図8に示す例では、光カプラ142A’(第3のポート142A3)と光カプラ142B’(第3のポート142B3’)との間に、この監視光の波長をカットするカットフィルタ144を設ける構成としているが、同機能を実現できる構成であれば、この構成に限らない。
【0135】
このように、分岐モジュールは、その機能を実現することができる構成であれば、どのような構成であってもよい。すなわち、
図1(b)に例示するように、WDMフィルタを用いても構成されていてもよく、
図8に例示するように、光カプラを用いて構成されていてもよい。また、
図1(b)に示す例では、WDMフィルタとしてショートパスフィルタを用いているが、これに限らず、例えば、ロングパスフィルタを用いて、反射ポートと透過ポートとを入れ替えることによっても同様の機能を実現することができる。なお、光カプラを用いた場合は、上り信号光および下り信号光の一部光量(
図8に示す例では、10%)が、光線路20から分岐されるため、また、光カプラから光線路20に不要に出力された監視光を遮断する装置を光線路20に設ける必要があるため、上り信号光および下り信号光の伝送路損失をより小さくするためには、WDMフィルタを用いる構成を採用することが好ましい。
【0136】
(プログラム、記憶媒体)
上記各実施形態で説明した試験装置100の各機能は、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0137】
例えば、試験装置100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラム及び各種データを格納する各種記憶装置(記録媒体)を備えている。そして、上記CPUが、上記各種記憶装置に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することによって、試験装置100の各機能を実現することができる。
【0138】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類等を用いることができる。
【0139】
なお、上記プログラムは、通信ネットワークを介して試験装置100に供給されてもよい。この通信ネットワークは、少なくとも上記プログラムを試験装置100に伝送可能であればよく、その種類はどのようなものであっても良い。例えば、通信ネットワークとしては、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
【0140】
また、上記プログラムを試験装置100に供給するための伝送媒体としても、どのような種類のものを利用しても良い。例えば、伝送媒体として、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線によるものを利用しても良い。また、伝送媒体として、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE80211無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線によるものを利用しても良い。
【0141】
(補足事項)
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0142】
例えば、実施形態では、分岐モジュール140にモジュール化されているWDMフィルタ142A〜Bを用いたが、モジュール化されていないWDMフィルタ142A〜Bを用いてもよい。また、実施形態では、OTDR110と試験装置100とが、互いに異なる装置として実現されているが、この代わりに、例えば、試験装置100の機能を備えたOTDR110を用いてもよい。