(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5869897
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】システムバスの防水構造
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20160210BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20160210BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20160210BHJP
【FI】
E04H1/12 301
A47K4/00
E03C1/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-17941(P2012-17941)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-155548(P2013-155548A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】397071436
【氏名又は名称】株式会社アールビー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高根 豪
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭43−005145(JP,B1)
【文献】
特開昭50−161047(JP,A)
【文献】
特開昭64−021140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47K 4/00
E03C 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
洗い場パンと、
少なくとも前記洗い場パンから立設し、かつ浴室の周囲を取り囲む複数の壁パネルと、
前記浴槽および前記洗い場パンの下方領域であって前記浴室の下方領域全体を覆い、かつ前記浴室の前記下方領域から立ち上がって前記複数の壁パネルの各々の外方を取り囲む防水パンと、
前記浴室の上方を覆う天井とを備え、
前記防水パンの上端部は、前記壁パネルと前記天井との間に挟みこまれて固定されている、システムバスの防水構造。
【請求項2】
浴槽と、
洗い場パンと、
少なくとも前記洗い場パンから立設し、かつ浴室の周囲を取り囲む複数の壁パネルと、
前記浴槽および前記洗い場パンの下方領域であって前記浴室の下方領域全体を覆い、かつ前記浴室の前記下方領域から立ち上がって前記複数の壁パネルの各々の外方を取り囲む防水パンとを備え、
前記防水パンの上端部には、前記壁パネルと建築躯体との間で前記壁パネルと前記建築躯体とのいずれかに押し当てることができるように折り曲げ部が形成されている、システムバスの防水構造。
【請求項3】
前記複数の壁パネルからなる前記浴室の壁部にはドア用開口部が設けられており、前記防水パンは前記ドア用開口部に対応する箇所に切欠部を有している、請求項1または2に記載のシステムバスの防水構造。
【請求項4】
前記ドア用開口部に取付けられたドア枠をさらに備え、
前記防水パンの前記切欠部の端部は前記ドア枠に固定されている、請求項3に記載のシステムバスの防水構造。
【請求項5】
前記防水パンは下面に排水部を有している、請求項1〜4のいずれかに記載のシステムバスの防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムバスの防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室用の防水パンは、たとえば実公平4−46636号公報(特許文献1)に開示されている。この公報には、洗い場パン、エプロン部および浴槽設置枠の三者が一体的に形成された浴室用の腰高防水パンが開示されている。
【0003】
またユニットバスなどの防水パンは、たとえば実公平7−54475号公報(特許文献2)に開示されている。この公報には、浴槽載置用パンと洗い場パンとが一体となった防水パンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4−46636号公報
【特許文献2】実公平7−54475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
システムバスは、生産・出荷し、現場へ輸送し、現場で組み立てるという工程を経て完成製品となるため、システムバスにおいては品質管理が困難で、水周りでの使用により経年的な劣化が発生しやすい。このため、上記2つの公報に記載の防水パンでは、外部への漏水が発生してしまう場合がある。漏水が発生した場合には、システムバスを内部に設置した建築物の建築躯体を傷めてしまうことがある。
【0006】
特に2階以上の階に設置される場合、二重防水パン構造にするなどの部品追加を行って水密性を確保しているが、コストや組立て時の手間の増加が顕著である。またこれに加えて、二重防水パン構造においても品質の管理が難しい。
【0007】
また上記2つの公報に記載の防水パンでは、システムバスの組立てが完了しても、湿式のシール材の乾燥には約24時間が必要であり、シール材は未硬化の状態で床下からの隙間風を受けることなる。これにより、シール材に気泡が入ったり、シール材が浮いてしまったりする。
【0008】
また床下からの外気が通気口などから流入するため、上記2つの公報に記載の防水パンでは、冬場にはシステムバスの部材が凍結しやすい状態となり、浴室全体も冷えやすい状態となる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、システムバスの外部への漏水を防止でき、かつシステムバスが床下からの隙間風を直接受けることを防止できるシステムバスの防水構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の
一および他のシステムバスの防水構造は、浴槽と、洗い場パンと、複数の壁パネルと、防水パンとを備えている。複数の壁パネルは、少なくとも洗い場パンから立設し、かつ浴室の周囲を取り囲んでいる。防水パンは、浴槽および洗い場パンの下方領域であって浴室の下方領域全体を覆い、かつ浴室の下方領域から立ち上がって複数の壁パネルの各々の外方を取り囲んでいる。
【0011】
本発明の
一および他のシステムバスの防水構造によれば、防水パンが浴室の下方領域全体と複数の壁パネルの各々の外方とを取り囲んでいる。このため、品質管理が困難な場合や、経年劣化が生じた場合であって浴槽、洗い場パン、壁パネルから漏水が発生した場合であっても、漏れ出た水を防水パンによって受けることができる。これにより、漏水で建築躯体を傷めることが防止できる。
【0012】
また本発明の
一および他の防水パンを用いることにより2階以上の階に設置する場合にも品質の確保が容易である。
【0013】
また防水パンが浴室の下方領域全体と複数の壁パネルの各々の外方とを取り囲んでいるため、防水パンで覆われた浴室の下方領域全体と壁パネルの外壁が床下からの隙間風を直接受けることが防止される。このため、その隙間風をシール材が受けることによりシール材に気泡が入ることや、シール材が浮いてしまうことが防止できるとともに、冬場のシステムバス部材の凍結や浴室全体の冷えも抑制できる。
【0015】
上記の
一のシステムバスの防水構造において、当該防水構造は、浴室の上方を覆う天井をさらに備えている。防水パンの上端部は、壁パネルと天井との間に挟みこまれて固定されている。これにより、防水パン内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0016】
上記の
他のシステムバスの防水構造において、防水パンの上端部には、壁パネルと建築躯体との間で壁パネルと建築躯体とのいずれかに押し当てることができるように折り曲げ部が形成されている。これにより、防水パンの上端部を壁パネルと建築躯体との間で支持できる。このため、防水パン内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0017】
上記の
一および他のシステムバスの防水構造において、複数の壁パネルからなる浴室の壁部にはドア用開口部が設けられており、防水パンはドア用開口部に対応する箇所に切欠部を有している。これにより、ドアの設置およびドアの開閉操作が可能となる。
【0018】
上記の
一および他のシステムバスの防水構造において、当該防水構造は、ドア用開口部に取付けられたドア枠をさらに備えている。防水パンの切欠部の端部はドア枠に固定されている。これにより、防水パン内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0019】
上記の
一および他のシステムバスの防水構造において、防水パンは下面に排水部を有している。このように排水部を設け、その排水部を建築物の外側(屋外)に伸ばすことで、建築躯体を傷めることなく防水パン内の水を排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明のシステムバスの防水構造によれば、防水パンが浴室の下方領域全体と複数の壁パネルの各々の外方とを取り囲んでいるため、システムバスの外部への漏水を防止でき、かつシステムバスが床下からの隙間風を直接受けることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造の構成を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1の状態から防水パンを除いた構成を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1のIII−III線に沿う概略断面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる貫通接続部の構成を示す部分断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの構成を示す概略斜視図である。
【
図6】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンを建築物内に設置した様子を示す概略斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造を建築物内に設置した様子を示す概略斜視図である。
【
図8】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造の防水パンの排水部を基礎内に通した様子を示す断面図である。
【
図9】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造の防水パンの排水部を基礎内に通した様子を示す部分破断斜視図である。
【
図10】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンに建築躯体の形状に合わせた段差を設けた構成を示す断面図である。
【
図11】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの上端部に折り曲げ部を設けた構成(成型・出荷時の形状)を示す部分拡大斜視図である。
【
図12】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの上端部に折り曲げ部を設けた構成(現場設置時の形状)を示す部分拡大斜視図である。
【
図13】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの上端部の折り曲げ部が壁パネルと建築躯体との間で壁パネルに押し付けられた様子を示す斜視図である。
【
図14】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの上端部がドア枠と天井との間に挟まれた様子を示す斜視図である。
【
図16】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの上端部が天井と壁パネルとの間に挟まれた様子を示す概略斜視図である。
【
図17】本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造に用いられる防水パンの切欠部の端部がドア枠に固定された様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施の形態におけるシステムバスの防水構造1は、防水パン2と、複数の壁パネル3と、洗い場パン4と、天井5と、浴槽6と、水栓金具(カラン)7と、架台8aと、複数の支持部8bとを主に有している。
【0023】
複数の壁パネル3、洗い場パン4、天井5および浴槽6は、浴室10の周囲を取り囲んでいる。浴槽6および洗い場パン4は、浴室10の下部に配置されている。浴槽6は、入浴者が入浴するためのものである。洗い場パン4は、浴室10の床面を構成している。
【0024】
架台8aは、建築物の床面に設置されるものであり、浴槽6を下から支持している。本実施の形態においては、架台8aは浴槽6を下から直接支持しているが、浴槽6の下に浴槽パン(図示せず)を配置し、複数の支持部8bで下から支持していてもよい。複数の支持部8bは、洗い場パン4を下から支持している。
【0025】
複数の壁パネル3は、浴槽6および洗い場パン4から立設し、かつ浴室10の周囲を取り囲んでいる。複数の壁パネル3からなる浴室10の壁部には、ドア用開口部3aが設けられている。このドア用開口部3aには、ドア(図示せず)を取付けるためのドア枠9が取付けられている。
【0026】
水栓金具7は、浴室10の内部に位置するように複数の壁パネル3からなる浴室10の壁部に取付けられている。この水栓金具7は、壁パネル3に設けた孔を通じて浴室10の内部と外部とを繋ぐための貫通接続部の1つである。具体的には水栓金具7は、
図4に示すように、壁パネル3を貫通するように設けた孔3bを通じて浴室10の外部に位置する配管7aに接続されている。また貫通接続部は、上記の水栓金具7だけでなく、浴室10の内部の壁パネル3に取付けられ、かつ壁パネル3に設けた貫通孔を通じて浴室10の外部から給電される浴室リモコンなどの電気機器であってもよい。
【0027】
天井5は、浴室10の上部を覆うように配置されている。
図1、
図3および
図5を参照して、防水パン2は有底筒状の形状(上方が開口された箱形状)を有している。この防水パン2は、浴槽6および洗い場パン4の下方領域であって浴室10の下方領域全体を覆い、かつ浴室10の下方領域から立ち上がって複数の壁パネル3の各々の外方(浴室10の外側)を取り囲んでいる。
【0028】
防水パン2は、ドア用開口部3aに対応する箇所に切欠部2bを有している。また防水パン2は、下面に排水部2aを有している。防水パン2は、全体が同じ軟質材よりなっていてもよく、また底部分が硬質材よりなるとともに立ち上がり部分が硬質材よりなっていてもよい。また防水パン2は、架台8aの脚や支持部8bと嵌合する形状を有していてもよい。
【0029】
防水パン2の材質は、防水パン2の全体を同じ軟質材とする場合には、たとえばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂などであることが好ましい。また防水パン2が軟質材と硬質材とを有する場合には、防水パン2の硬質材の材質は、たとえばポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂、FRP(Fiber Reinforced Plastics)、DCPD(ジシクロペンタジェン)などであることが好ましい。また防水パン2の軟質材の材質は、たとえばオレフィン系樹脂、エラストマー、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などであることが好ましい。硬質材と軟質材との接合方法には、インモールド、溶着、別部材の固定、カシメなどを用いることが好ましい。
【0030】
この防水パン2は、架台8aおよび複数の支持部8bの各々の下側に位置していることが好ましい。また防水パン2は、
図4に示すように貫通接続部(たとえば水栓金具7)の外方を覆うように貫通接続部の壁パネル3への取付け高さ位置よりも高い位置にまで伸びるように設けられている。
【0031】
次に、本実施の形態におけるシステムバスの防水構造1の建築物への設置方法について
図6〜
図10を用いて説明する。
【0032】
まず
図6を参照して、防水パン2が建築物内に設置される。なお建築物は、一般的には、基礎21と、その基礎21上に配置された土台22と、土台22上に立てられた複数本の柱23と、複数本の柱23の上部を繋ぐ梁と、梁により支持された天井部24とを主に有している。
【0033】
図7を参照して、防水パン2を設置した状態で、架台8a、浴槽6、洗い場パン4、複数の壁パネル3、天井5が建築物内に設置される。これにより、建築物内にシステムバスの防水構造1が設置される。
【0034】
なお防水パン2を建築物内に設置する際には、
図6、
図8および
図9に示すように、防水パン2の排水部2aが基礎21に設けた孔を通じて建築物の外部に伸ばされる。この排水部2aの建築物の外部に延びた先端には、蛇口(開閉弁)が取付けられていてもよい。この蛇口を定期的に開閉することにより、漏水しているか否かの定期的な検査が可能となる。
【0035】
またシステムバスの防水構造1の設置の際には、
図10に示すように、建築躯体である基礎21と土台22との間の段差Sを考慮することが好ましい。つまり基礎21と土台22との間の段差Sに沿うように防水パン2も段差2sを有していることが好ましい。これにより、建築躯体の形状に合わせて浴室10を最大限に広げることが可能となる。
【0036】
次に、本実施の形態における防水パン2の支持構造について
図11〜
図17を用いて説明する。
【0037】
図11を参照して、成型・出荷時の形状において、防水パン2の上端部に折り曲げ部2cが設けられていることが好ましい。また防水パン2は、折り曲げ部2cの下部に、他の部分よりも厚みの薄い折り返し部2dを有していることが好ましい。これにより、
図12に示すように、現場設置時において、折り返し部2dで防水パン2の上端部を折り返すことが可能となる。このように折り返すことにより
図13に示すように、建築躯体の柱23と壁パネル3との間で折り曲げ部2cを壁パネル3に押し当てることができる。これにより、防水パン2の上端部を柱23と壁パネル3との間で支持することが可能となる。
【0038】
図11〜
図13においては、折り曲げ部2cを折り返し部2dにおいて防水パン2の内側に折り返した場合について説明したが、折り曲げ部2cは折り返し部2dにおいて防水パン2の外側に折り返されてもよい。この場合には、建築躯体の柱23と壁パネル3との間で折り曲げ部2cを柱23に押し当てることができる。また防水パン2の上端部にビス止め用の孔2eを設け、この孔2eを通してビスを壁パネル3側から柱23にねじ込むことにより、防水パン2は柱23などの建築躯体に固定されてもよい。この折り曲げ部2cを押し付けることによる支持と、ビスによる固定とはそれぞれ個別に用いられてもよく、また併用されてもよい。
【0039】
また壁パネル3同士を接続する主柱の裏面に防水パン2の端部を引っ掛ける部分が設けられてもよい。これにより、防水パン2が主柱(縦桟)に引っ掛けられてもよい。
【0040】
図14および
図15を参照して、防水パン2の上端部は、天井5とドア枠9との接合部にまで伸び、かつ天井5とドア枠9の上枠との間で挟み込まれて固定されてもよい。また
図16を参照して、防水パン2の上端部は、天井5と壁パネル3との接合部にまで伸び、かつ天井5と壁パネル3との間で挟み込まれて固定されてもよい。
【0041】
図17を参照して、防水パン2の切欠部2bの端部は、ドア枠9に固定されてもよい。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0042】
本実施の形態のシステムバスの防水構造1によれば、
図1に示すように防水パン2が浴室10の下方領域全体と複数の壁パネル3の各々の外方とを取り囲んでいる。このため、品質管理が困難な場合や、経年劣化が生じた場合であって浴槽6、洗い場パン4、壁パネル3から漏水が発生した場合であっても、漏れ出た水を防水パン2によって受けることができる。これにより、漏水で建築躯体(基礎21、土台22、柱23など)を傷めることが防止できる。また浴槽パンを設け、その浴槽パンからの漏水があった場合も、建築躯体を傷めることを防止できる。
【0043】
また本実施の形態の防水パン2を用いることにより2階以上の階に設置する場合にも水密性を確保できる。
【0044】
また防水パン2が浴室10の下方領域全体と複数の壁パネル3の各々の外方とを取り囲んでいるため、防水パン2で覆われた浴室10の下方領域全体と壁パネル3の外壁が床下からの隙間風を直接受けることが防止される。このため、その隙間風をシステムバスのシール材が受けることによりシール材に気泡が入ることや、シール材が浮いてしまうことが防止できる。また、冬場のシステムバス部材の凍結や浴室10全体の冷えも抑制でき、保温効果が高まるとともに、部材の結露を防止することができる。
【0045】
また防水パン2の少なくとも一部に軟質材を用いることにより防水パン2を変形可能とすることができる。これにより、建築物の狭小スペース内にも防水パン2を搬入することができる。また防水パン2の底部を硬質材とすることにより、防水パン2底部の強度を向上させることができる。
【0046】
また本実施の形態の防水パン2は、
図4に示すように貫通接続部(たとえば水栓金具7)の外方を覆うように貫通接続部の壁パネル3への取り付け高さ位置よりも高い位置にまで伸びるように設けられている。これにより、壁パネル3の貫通孔3bを通じて漏水が発生した場合でも、漏れ出た水を防水パン2によって受けることができ、漏水で建築躯体を傷めることが防止できる。
【0047】
また本実施の形態の防水パン2の上端部は、
図14〜
図16に示すように天井5と壁パネル3およびドア枠9の少なくとも一方との接合部にまで伸び、かつ壁パネル3およびドア枠9の上枠の少なくとも一方と天井5との間に挟みこまれて固定されている。これにより、防水パン2内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0048】
また本実施の形態の防水パン2の上端部には、
図11〜
図13に示すように壁パネル3と建築躯体(たとえば柱23)との間で壁パネル3と建築躯体とのいずれかに押し当てることができるように折り曲げ部2cが形成されている。これにより、防水パン2の上端部を壁パネル3と建築躯体との間で支持することができる。このため、防水パン2内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0049】
また本実施の形態の防水パン2はドア用開口部3aに対応する箇所に切欠部2bを有している。これにより、システムバスへのドアの設置およびドアの開閉操作が可能となる。
【0050】
また本実施の形態の防水パン2の切欠部2bの端部は、
図17に示すようにドア枠9に固定されている。これにより、防水パン2内の密閉性を向上させることができ、漏水があった際に湿気が建築躯体側へ拡散することを防止することができる。
【0051】
また本実施の形態の防水パン2は、
図1に示すように下面に排水部2aを有しているため、その排水部2aを建築物の外側(屋外)に伸ばすことで、建築躯体を傷めることなく防水パン2内の水を建築物の外部へ排出することが可能となる。
【0052】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、システムバスの防水構造に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0054】
1 システムバスの防水構造、2 防水パン、2a 排水部、2b 切欠部、2c 折り曲げ部、2d 折り返し部、2e ビス止め用の孔、3 壁パネル、3a ドア用開口部、3b 貫通孔、4 洗い場パン、5 天井、6 浴槽、7 水栓金具、8a 架台、8b 支持部、9 ドア枠、10 浴室、21 基礎、22 土台、23 柱、24 天井部。