(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貯湯タンクの中央部分の上下2箇所に、前記貯湯タンク内の水温を測る温度センサを設け、上側の第1温度センサの検出温度が所定の第1基準温度以下になると前記ヒートポンプ給湯機の運転を開始し、下側の第2温度センサの検出温度が所定の第2基準温度以上になると前記ヒートポンプ給湯機の運転を停止することを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
前記第1温度センサが、前記貯湯タンク内の前記中央出水口と同じ上下位置付近または前記中央出水口より高位置の水温を測定可能に設けられ、前記第2温度センサが、前記貯湯タンク内の前記中央入水口と同じ上下位置付近の水温を測定可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の給湯システム。
前記第2温度が、前記戻り配管内の前記第1温度調整機の他方の入水口に循環する水の温度変動範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の給湯システム。
前記第1温度調整機と前記第2温度調整機の夫々が、2つの入水口から流入する温度差のある2系統の水の流入量を、動力源が不要なサーモエレメントによって調整することにより、出水温度を自動的に調整し、温度調整された水を出水口から出水するサーモスタット式の自動ミキシングバルブであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
掛かる問題を解決するために、
図4に示されるように、循環水を補助加熱機5で加熱せず、温度低下した循環水の一部を貯湯タンク2の上部に戻し、その減少分を貯湯タンク2からの高温水で補い、給湯負荷3への給湯温度を維持する給湯システムが提案されている(例えば、下記特許文献1の
図1等参照)。しかし、
図4に示される従来システムでは、貯湯タンク2に温度低下した循環水が戻ることで、貯湯タンク2内の中間温度層が拡大するという問題が生じる。
【0008】
更に、上述の補助加熱機5による加熱の問題と、貯湯タンク2内の中間温度層が拡大する問題を解決するために、
図5に示されるように、高温水を貯湯する貯湯タンク2に加えて、補助タンク6を備え、温度低下した循環水を補助タンク6に一時的に貯湯し、その減少分を貯湯タンク2からの高温水で補い、給湯負荷3への給湯温度を維持する給湯システムが提案されている(例えば、下記非特許文献1、下記特許文献1の
図5等参照)。
図5に示される従来システムでは、貯湯タンク2内の中間温度層の拡大は回避されるものの、貯湯タンクを2槽設けることにより、設備コストが高騰するとともに、システムの制御が複雑化するという問題が生じる。
【0009】
更に、上述の補助加熱機5による加熱の問題を解決するために、補助加熱機5に代えて、貯湯タンク2内に熱交換器を設け、貯湯タンク2内の高温水との熱交換により、温度低下した循環水を加熱することも考えられるが(例えば、下記特許文献2等参照)、貯湯タンク2内の貯湯温度の低下が避けられないため、
図4に示される従来システムと同様に、貯湯タンク2内の中間温度層が拡大するという問題が生じる。
【0010】
ところで、ヒートポンプ給湯機1のエネルギ消費効率(成績係数:COP)は、入水温が低いほど高くなる特性があり、貯湯タンク2の下部から供給される低温水の温度は低い方が、COPが高くなり好ましい。このため、貯湯タンク2内の中間温度層が拡大することで、入水温が高くなると、ヒートポンプ給湯機1のエネルギ消費効率が低下し、非効率になる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易なシステム構成により低コストで高効率に給湯負荷への即時給湯が可能な給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、ヒートポンプ給湯機と、前記ヒートポンプ給湯機で加熱された温水を貯湯して給湯負荷に供給する貯湯タンクを備えて構成される給湯システムであって、
前記貯湯タンクの上部の上部出水口から取り出した高温水を、一方の入水口から受け入れて、前記高温水より低温の第1温度に調整して、給湯配管を経由して前記給湯負荷に供給する第1温度調整機と、
前記貯湯タンクの中央部分の中央出水口から取り出した中間温度層の温水を、一方の入水口から受け入れて、前記中間温度層の温水温度が、前記第1温度より低温の第2温度より高温の場合に、前記第2温度に調整して、前記第1温度調整機の他方の入水口に供給する第2温度調整機と、
前記給湯配管の前記給湯負荷側の端部と、前記貯湯タンクの中央部分の前記中央出水口より下側に設けられた中央入水口との間を接続するとともに、途中で分岐して、前記第1温度調整機の他方の入水口及び前記第2温度調整機の出水口と接続する戻り配管と、
前記貯湯タンクの下部の下部入水口及び前記第2温度調整機の他方の入水口と接続し、前記第2温度より低温の低温水を供給する給水配管と、
前記給湯配管または前記戻り配管に設けられた循環ポンプと、
を備えてなることを特徴とする給湯システムを提供する。
【0013】
更に、上記特徴の給湯システムは、前記貯湯タンクの中央部分の上下2箇所に、前記貯湯タンク内の水温を測る温度センサを設け、上側の第1温度センサの検出温度が所定の第1基準温度以下になると前記ヒートポンプ給湯機の運転を開始し、下側の第2温度センサの検出温度が所定の第2基準温度以上になると前記ヒートポンプ給湯機の運転を停止するように構成されているのが好ましい。
【0014】
ここで、前記第1温度センサが、前記貯湯タンク内の前記中央出水口と同じ上下位置付近または前記中央出水口より高位置の水温を測定可能に設けられ、前記第2温度センサが、前記貯湯タンク内の前記中央入水口と同じ上下位置付近の水温を測定可能に設けられていることが好ましい。
【0015】
更に、上記特徴の給湯システムは、前記第1基準温度が、前記第2温度より高温、更には、前記第1温度以上に設定されていることが好ましい。
【0016】
更に、上記特徴の給湯システムは、前記第2温度が、前記戻り配管内の前記第1温度調整機の他方の入水口に循環する水の温度変動範囲内に設定されていることが好ましい。
【0017】
更に、上記特徴の給湯システムは、前記第1温度調整機と前記第2温度調整機の夫々が、2つの入水口から流入する温度差のある2系統の水の流入量を、動力源が不要なサーモエレメントによって調整することにより、出水温度を自動的に調整し、温度調整された水を出水口から出水するサーモスタット式の自動ミキシングバルブであることが好ましい。
【0018】
更に、上記特徴の給湯システムは、前記貯湯タンク内に、前記中央入水口に接続する2重管構造を備え、前記2重管構造の内管と外管の各管壁に貫通孔が設けられ、前記戻り配管から前記中央入水口を介して、前記2重管構造の前記内管内に流入した水が、前記内管の管壁に設けられた前記貫通孔を介して、前記2重管構造の前記外管と前記内管の間の中間領域に流入し、前記中間領域に流入した水が、前記外管の管壁に設けられた前記貫通孔を介して、前記貯湯タンク内に流入するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
上記給湯システムによれば、給湯負荷が無い状態(例えば、給湯栓(蛇口)やシャワー等の給湯端末での温水消費が無い状態)においては、給湯配管から給湯端末に供給された第1温度の温水は、当該給湯端末で消費されずに、戻り配管を経由して、その殆ど(第1の戻り水)が、前記第1温度調整機の他方の入水口に循環し、残りの一部(第2の戻り水)が、中央入水口から貯湯タンクの中央部分の中間温度層に戻る。第1温度調整機では、給湯配管での放熱により、温度低下した当該第1の戻り水が、貯湯タンクの上部から供給される高温水と混合して、第1温度に調整され、つまり、元の温度に回復して給湯配管に再度供給されるため、給湯負荷が急に発生しても、瞬時に第1温度に調整された温水を給湯端末に供給することができる。ここで、貯湯タンクの上部から供給される高温水の減少分を補充するため、中央入水口から貯湯タンクの中央部分の中間温度層に、第1温度より低下した第2の戻り水が流入するため、貯湯タンクの上部の高温度層に流入する従来の構成と比較して、中間温度層の拡大が抑制される。また、外部の補助熱源や補助タンク等を必要としないため、経済的である。
【0020】
また、給湯負荷が発生している状態では、給湯配管から供給される温水は、給湯端末に供給され、戻り配管から第1温度調整機の他方の入水口に循環する第1の戻り水は殆ど無く、また、中央入水口から貯湯タンクの中央部分の中間温度層に戻る第2の戻り水も無いので、第1温度調整機の他方の入水口には、第2温度調整機で第2温度に調整された温水が入水し、貯湯タンクの上部から供給される高温水と混合して、第1温度に調整され、給湯負荷に供給される。ここで、第1温度調整機の他方の入水口には、低温の給水ではなく、貯湯タンクの中央部分の中間温度層の温水が使用されるため、中間温度層が縮小される。このため、中間温度層が拡大することによるヒートポンプ給湯機のエネルギ消費効率及び稼働率が低下するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る給湯システム(以下、適宜「本発明システム」と称す)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。本実施形態では、
図3に示す従来の給湯システムと同じ構成要素及び同じ部位には、本発明の理解の容易のために同じ符号を付して説明する。
【0023】
図1は、本発明システムの一実施形態における概略構成を模式的に示すシステム構成図である。尚、図中の実線は水路の配管(管路)を示しており、点線は制御用の信号線を夫々示している。
図1に示すように、本発明システムは、ヒートポンプ給湯機1、貯湯タンク2、循環ポンプ4、逆止弁V1、第1の温度調整機MV1、及び、第2の温度調整機MV2を備えて構成される。更に、上述の各機器を相互に接続する配管として、給湯配管L1、戻り配管L2、中間配管L3、給水配管L4、加熱用往路配管L5、及び、加熱用復路配管L6を備えて構成される。
【0024】
ヒートポンプ給湯機1は、ヒートポンプ回路の冷媒として例えばCO
2を採用したCO
2ヒートポンプで構成され、貯湯タンク2の下部出水口25から加熱用往路配管L5を経由して入水口11に入水した低温水をヒートポンプ回路の凝縮器からの放熱と熱交換して加熱して、出水口12から加熱用復路配管L6を介して貯湯タンク2の上部入水口22に供給する。ヒートポンプ給湯機1内には図示しない循環ポンプが設けられ、加熱用往路配管L5と加熱用復路配管L6を介して、ヒートポンプ給湯機1と貯湯タンク2間で水が循環するように構成されている。尚、当該図示しない循環ポンプは、加熱用往路配管L5または加熱用復路配管L6に設けても良い。ヒートポンプ回路の圧縮機は、例えば、3相誘導電動機で構成され、商用電力(3相200V)を電源として作動するものとする。
【0025】
本実施形態では、ヒートポンプ給湯機1は、外部からの制御に依らずに、設定された出水温となるように自動的に出水温度制御されるように構成されている。尚、本実施形態では、一例として90℃に設定されている。
【0026】
貯湯タンク2は、本実施形態では、一槽式のものを想定し、貯湯タンク2の壁部には、貯湯タンク2内に水が流入する入水口、及び、貯湯タンク2内から水が流出する出水口が、夫々設けられている。具体的には、上部出水口21と上部入水口22がタンク上部に、中央出水口23と中央入水口24がタンク中央部分に、下部出水口25と下部入水口26がタンク下部に、夫々設けられている。中央出水口23は、中央入水口24より上側に位置している。尚、本実施形態では、特に断らない限り、タンク内の各部の位置関係は、上下方向の位置関係を示す。従って、タンク中央部分は、タンク内の上下方向における中間部分を意味する。
【0027】
更に、貯湯タンク2には、貯湯タンク2内の中央部分の上下2箇所の水温を検出する第1温度センサT1と第2温度センサT2が設けられ、夫々の検出温度に基づいて、ヒートポンプ給湯機1の運転の開始及び停止が制御される。ヒートポンプ給湯機1は、第1温度センサT1の検出温度が所定の第1基準温度以下になると運転を開始し、第2温度センサT2の検出温度が所定の第2基準温度以上になると運転を停止する。尚、当該温度制御機能は、
図1に示す例では、ヒートポンプ給湯機1に内蔵されているものとするが、外部制御盤によるものとして良い。尚、第1及び第2温度センサT1,T2は、夫々の検出温度をヒートポンプ給湯機1に直接出力する構成、或いは、対応する第1または第2基準温度との比較結果をヒートポンプ給湯機1に出力する構成の何れであっても良い。
【0028】
本実施形態では、第1温度センサT1は、第2温度センサT2の取り付け位置PT2より上側の取り付け位置PT1に、中央出水口23と略同じ位置(高さ)P23に設けられている。また、第2温度センサT2は、中央入水口24と略同じ位置(高さ)P24に設けられている。そして、第1基準温度が60℃に、第2基準温度が60℃〜70℃(好ましくは60℃)に夫々設定されている。
【0029】
貯湯タンク2の上部出水口21と給湯負荷3の間に給湯配管L1が設けられ、給湯配管L1の途中には、上流(貯湯タンク2)側に第1の温度調整機MV1が、下流(給湯負荷3)側に、循環ポンプ4と逆止弁V1が並列に設けられている。具体的には、給湯配管L1の上流部分が上部出水口21と第1の温度調整機MV1の一方に入水口の間に接続し、給湯配管L1の中間部分が温度調整機MV1の出水口と循環ポンプ4の1次側と逆止弁V1の入水口の間に接続し、給湯配管L1の下流部分が循環ポンプ4の2次側と逆止弁V1の出水口と給湯負荷3の間に接続している。
【0030】
給湯配管L1の下流側の端部から、給湯負荷3で使用されなかった温水を第1の温度調整機MV1の他方の入水口或いは貯湯タンク2内に戻して循環させる戻り配管L2が設けられている。戻り配管L2は、給湯配管L1の下流側の端部と貯湯タンク2の中央入水口24との間を接続するとともに、途中で分岐して、第1の温度調整機MV1の他方の入水口及び第2の温度調整機MV2の出水口と接続する。第2の温度調整機MV2の一方の入水口は、中間配管L3を介して、貯湯タンク2の中央出水口23と接続し、第2の温度調整機MV2の他方の入水口は給水配管L4と接続する。
【0031】
給水配管L4は、上水道、或いは、上水道の上水を貯留した給水タンク等の給水源(図示せず)と貯湯タンク2の下部入水口26及び第2の温度調整機MV2の他方の入水口の間を接続し、当該給水源からの給水を、貯湯タンク2及び第2の温度調整機MV2に供給する。給水配管L4からの給水温度は、タンク下部の水温と略同じで、例えば、中間期(冬期、夏期以外)においては、15℃程度が想定される。
【0032】
第1の温度調整機MV1は、貯湯タンク2のタンク上部の高温水(90℃)と、第2の温度調整機MV2または戻り配管L2から供給される温水を混合して、第1温度に調整して出水する。第2の温度調整機MV2は、貯湯タンク2のタンク中央部分の後述する中間温度層の温水と、給水配管L4からの低温水を混合して、第2温度に調整して出水する。本実施形態では、第1及び第2の温度調整機MV1,MV2として、サーモスタット式の自動ミキシングバルブを使用する。自動ミキシングバルブは、2つの入水口から流入する温度差のある2系統の水の流入量を、動力源が不要なサーモエレメントによって調整することにより、出水温度を設定温度(第1温度、第2温度)に自動的に調整し、温度調整された水を出水口から出水する。従って、自動ミキシングバルブは、温度調整のために電動弁の開度を調整する等の動力源が不要である。
【0033】
第1温度は、給湯負荷3で使用される温水温度に設定されており、本実施形態では、一例として、60℃に設定されている。第2温度は、第1温度より低温に、一例として、後述するように55℃に設定されている。つまり、第2温度は、第1の温度調整機MV1から第1温度(60℃)に調整されて給湯配管L1の中間部分以降に供給された温水の温度が、給湯配管L1及び戻り配管L2等での放熱により5℃程度低下することを想定して、設定されている。
【0034】
本実施形態では、給湯負荷3として、例えば、カラン(蛇口)やシャワー、浴槽等での温水の使用を想定しており、給湯負荷3が発生すると、貯湯タンク2内の高温水が、熱的及び量的にも消費される。また、給湯負荷3となるカラン(蛇口)やシャワー、浴槽等は、必ずしも、給湯配管L1の1箇所に設けられている必要はなく、給湯配管L1が途中で分岐して複数の給湯負荷3に並列的に温水を供給する形態でも良い。但し、分岐した給湯配管L1は、再度一箇所に合流して、戻り配管L2に接続するものとする。
【0035】
尚、上記各配管L1〜L6には、夫々、図示したもの以外に、開閉弁(2方弁)、逆止弁、減圧弁、定流量弁、安全弁、自動空気抜き弁等の内、適宜必要なものが介装されるものとし、図示を省略する。
【0036】
次に、
図1に示す本発明システムの動作について説明する。
【0037】
先ず、貯湯タンク2内への貯湯動作について説明する。給水配管L4から下部入水口26を介して貯湯タンク2内に低温水(例えば、15℃程度)の給水が貯まると、第1温度センサT1は、タンク内の水温が第1基準温度(60℃)以下であることを検知して、ヒートポンプ給湯機1の運転が開始される。これにより、貯湯タンク2の上部入水口22から90℃の高温水が供給されるため、90℃の高温水の高温層が下方に向けて拡大し、当初の低温水の低温層は、徐々に下側に押し下げられる。当該高温層の底部が、第2温度センサT2の取り付け位置PT2まで低下すると、第2温度センサT2が当該取り付け位置PT2付近の温水温度が第2基準温度(60℃〜70℃)以上であることを検知して、ヒートポンプ給湯機1の運転が停止される。この結果、取り付け位置PT2から上部までは、90℃の高温水で満たされる。当該貯湯状態を便宜的に「満貯湯状態」と称する。
【0038】
上記満貯湯状態において、給湯負荷3の発生していない待機状態が続くと、給湯配管L1に設けられた循環ポンプ4によって、給湯配管L1内の温水の大半(第1の戻り水)が、第1の温度調整機MV1の他方の入水口に戻り、残りの一部(第2の戻り水)が、貯湯タンク2のタンク中央部分に戻る。第2の戻り水と同量の高温水が、貯湯タンク2の上部出水口21から第1の温度調整機MV1の一方の入水口に供給され、第1の温度調整機MV1の出水口から第1温度(60℃)に調整された温水が、給湯配管L1の給湯負荷3側に供給される。これにより、給湯負荷3が瞬時に発生しても、所望の第1温度(60℃)に調整された温水を、給湯負荷3に供給可能な状態が維持される。
【0039】
当該待機状態では、第1温度より低温の第2の戻り水(55℃程度)が貯湯タンク2のタンク中央部分の位置P24付近に流入するため、また、第2の戻り水と同量の高温水が、貯湯タンク2の上部出水口21から第1の温度調整機MV1の一方の入水口に供給されるため、上記高温層の底部の位置が徐々に押し上げられ、当該高温層と取り付け位置PT2より下側の低温層との間に温度範囲が55℃程度から90℃未満の中間温度層が形成される。当該待機状態では、第2の戻り水は、タンク中央部分の位置P24に流入し、同量の高温水が貯湯タンク2の上部出水口21から流出するため、位置P24より下方の低温層には変化がない。つまり、中間温度層と低温層の境界領域は、位置P24(取り付け位置PT2)付近に維持される。
【0040】
当該待機状態が継続すると、高温層と中間温度層の境界領域が徐々に上昇して、取り付け位置PT1を超え、第1温度センサT1が、取り付け位置PT1付近の温水温度が第1基準温度(60℃)以下であることを検知すると、再びヒートポンプ給湯機1の運転が開始される。これにより、タンク下部の低温水が、ヒートポンプ給湯機1内に通流し、加熱された高温水(90℃)が、タンク上部に循環するため、一旦上昇した高温層と中間温度層の境界領域が、第2温度センサT2が取り付け位置PT2付近の温水温度が第2基準温度(60℃〜70℃)以上であることを検知するまで下降し、当該境界領域は、取り付け位置PT1とPT2の間に維持されることになる。
【0041】
ところで、上記待機状態では、ヒートポンプ給湯機1の運転中も中間温度層は緩やかに拡大し、高温層と中間温度層の境界領域の下降とともに、中間温度層と低温層の境界領域も位置P24(取り付け位置PT2)より下降する。ヒートポンプ給湯機1の運転が停止すると、中間温度層と低温層の境界領域は、その時点で下降が停止し、中間温度層は上方に向けて緩やかに拡大する。
【0042】
上記待機状態では、第1の戻り水の流量(F1)と第2の戻り水の流量(F2,但し、F2<F1)の合計(F1+F2)は、第1の温度調整機MV1の出水口から出水する温水の流量F0、つまり、循環ポンプ4の吐出流量に等しい(F0=F1+F2)。循環ポンプ4の吐出流量は、第1及び第2戻り水の温度が、給湯配管L1及び戻り配管L2等での放熱により、第1温度(60℃)より5℃程度低下して、大体第2温度(55℃)になるように調整される。或いは、循環ポンプ4の吐出流量を一定の低速値に設定した上で、第2温度が、給湯配管L1及び戻り配管L2等での放熱による温度低下を考慮して、第1及び第2戻り水の温度変動範囲内に設定されても良い。本実施形態では、循環ポンプ4は、給湯配管L1及び戻り配管L2等での放熱分を補うためだけに使用されるので、小容量のもので十分である。
【0043】
上記満貯湯状態において、或いは、上記待機状態が続いてタンク中央部分に中間温度層が形成された状態において、給湯負荷3が発生して給湯状態になると、つまり、カラン(蛇口)やシャワー、浴槽等への温水の供給が開始すると、貯湯タンク2の中央出水口23から出水した中間温度層の温水(55℃〜90℃)が、第2の温度調整機MV2において第2温度(55℃)に調整され、更に、第1の温度調整機MV1において、貯湯タンク2の上部出水口21から出水した高温水(90℃)と合流し、第1温度(60℃)に調整されて、給湯負荷3に供給される。尚、給湯負荷3に供給される温水の流量は、通常循環ポンプ4の吐出流量を上回るため、当該温水は、殆どが逆止弁V1を通過する。尚、本実施形態では、循環ポンプ4は、本発明システムの稼働中は、給湯負荷3の有無に関係なく常時稼働していることを想定している。
【0044】
本実施形態では、循環ポンプ4が、給湯負荷3より上流側の給湯配管L1に設けられているため、第1の温度調整機MV1から給湯負荷3に供給された温水の殆ど全部が、給湯負荷3に供給され、戻り配管L2に循環する戻り水は、待機状態より大幅に減少するか、或いは、無くなる。従って、第1の温度調整機MV1の他方の入水口には、第2の温度調整機MV2において、貯湯タンク2のタンク中央部分の中間温度層の温水(55℃〜90℃)と給水配管L4から供給される低温水(例えば、15℃程度)が混合され、第2温度(55℃)に調整された温水が供給される。尚、中間温度層の温水温度が、仮に第2温度(55℃)より低い場合は、第2の温度調整機MV2の他方の入水口には給水配管L4から低温水は供給されず、第2温度(55℃)より低温の中間温度層の温水がそのまま第1の温度調整機MV1の他方に入水口に流入することになるが、その場合は、第1の温度調整機MV1の一方の入水口に供給されるタンク上部の高温水の出水流量が増加して、第1の温度調整機MV1からの出水温度は、正常に第1温度(60℃)に維持される。
【0045】
当該給湯状態では、貯湯タンク2の上部出水口21から出水した高温水(90℃)とタンク中央部分の中央出水口23が出水した中間温度層の温水(55℃〜90℃)を補充するために、給水配管L4から下部入水口26を介して貯湯タンク2内に低温水(例えば、15℃程度)が供給される。また、第2の温度調整機MV2で、中間温度層の温水温度が55℃より高温である場合には、給水配管L4から上記低温水が、第2の温度調整機MV2に供給され、その分、中間温度層の温水の出水量が低下するため、給水配管L4から貯湯タンク2への上記低温水の供給量が低下する。
【0046】
以上のように、給湯負荷3に供給する第1温度(60℃)の温水の第1の供給流量に応じて、上部出水口21からの高温水(90℃)の第1の出水流量と、第2の温度調整機MV2から第1の温度調整機MV1の他方に入水口への第2の出水流量が自動的に決まり、第2の出水流量と中間温度層の温水温度に応じて、中央出水口23からの中間温度層の温水の第3の出水流量と、給水配管L4から第2の温度調整機MV2の他方に入水口への低温水の第2の供給流量が自動的に決まり、上記第1の出水流量と上記第3の出水流量の合計が、給水配管L4から貯湯タンク2への上記低温水の第3の供給流量となる。尚、当然の結果として、上記低温水の第2及び第3の供給流量の合計は、給湯負荷3に供給する第1温度(60℃)の温水の第1の供給流量と等しい。
【0047】
ここで、注目すべき点は、給湯状態では、給湯負荷3に供給する温水温度である第1温度(60℃)が、タンク上部の温度(90℃)より、中間温度層の温水温度(55℃〜90℃)により近いため、自動的に、タンク上部の高温水より、中間温度層の温水が多く使用される点である。つまり、待機状態が長時間継続して中間温度層が緩やかではあるが拡大しても、一旦、給湯状態になると、給湯負荷3に対してタンク中央部分の中間温度層から優先的に温水が供給されるため、中間温度層が急速に縮小する。給湯状態では、タンク上部の高温水も使用されるので、高温層も縮小するが、中間温度層の温水が優先的に使用される結果、例えば、
図3に示すような従来システムと比較して、高温層を広く確保することが可能となる。
【0048】
給湯状態が継続すると、高温層が徐々に縮小し、更に、中間温度層がより速く縮小するため、高温層と中間温度層の境界領域及び中間温度層と低温層の境界領域が夫々上昇する。つまり、中間温度層が縮小しながらその位置が上昇するに従い、第1温度センサT1が取り付け位置PT1付近の温水温度が第1基準温度(60℃)以下であることを検知すると、ヒートポンプ給湯機1の運転が開始される。これにより、タンク下部の低温水が、ヒートポンプ給湯機1に通流し、加熱された高温水(90℃)が、タンク上部に循環するため、高温層と中間温度層の境界領域及び中間温度層と低温層の境界領域が、第2温度センサT2が取り付け位置PT2付近の温水温度が第2基準温度(60℃〜70℃)以上であることを検知するまで夫々下降する。
【0049】
本実施形態では、給湯状態において、給湯負荷3に対してタンク中央部分の中間温度層からの温水が優先的に使用される結果、中間温度層の拡大によるヒートポンプ給湯機1のエネルギ消費効率の低下の問題は生じない。
【0050】
次に、本発明装置の別実施形態について説明する。
【0051】
〈1〉上記実施形態では、循環ポンプ4を、第1の温度調整機MV1と給湯負荷3の間の給湯配管L1に設ける構成について説明したが、循環ポンプ4は、第1の温度調整機MV1の他方の入水口側と貯湯タンク2の中央入水口24側への分岐点より給湯負荷3側の戻り配管L2に設ける構成としても良い。この場合、給湯状態においても循環ポンプ4が稼働していると、給湯配管L1からの温水は、殆どが給湯負荷3へ供給されるが、一部が戻り配管L2へも供給される。しかし、戻り配管L2に供給された温水は、第1の戻り水として第1の温度調整機MV1の他方の入水口に循環するため、貯湯タンク2での動作は、循環ポンプ4を給湯配管L1に設けた場合と略同じ動作となる。
【0052】
〈2〉更に、上記実施形態では、戻り配管L2は、貯湯タンク2の中央入水口24に単に接続する場合を想定して説明したが、例えば、貯湯タンク2内に戻り配管L2の先端部を挿入し、タンク内部の先端部を2重管構造とし、第2の戻り水のタンク中央部分への流入を分散させるとともに、流入速度を抑制するのも好ましい。
図2に、当該2重管構造の一実施例の断面を模式的に示す。
図2(A)に、戻り配管L2の長手方向に垂直な断面を示し、
図2(B)に、戻り配管L2の長手方向と平行な垂直断面を示す。尚、2重管構造は、一例として、
図2に示すように、内管31の先端部と外管32の両端部を閉塞し、夫々の管の側壁面に、貯湯タンク2外の戻り配管L2の管断面積より広い開口部(貫通孔)33,34を、内管31の開口部33と外管32の開口部34が互いに対向しないように設ける。一例として、内管31の開口部33は、側壁面の上下方向に設け、外管32の開口部34は、側壁面の左右方向に設けるのが好ましい。当該2重管構造によって、戻り配管L2から中央入水口24を介して、2重管構造の内管31内に流入した水が、内管31の開口部33を介して、内管31と外管32の間の中間領域に流入し、当該中間領域に流入した水が、外管32の開口部34を介して、貯湯タンク2内のタンク中央部分(位置P24)に流入する。これにより、流入箇所が分散され、流入速度も抑制されるため、貯湯タンク2内で温水の攪拌及び対流の発生が抑制され、中間温度層等の各温度層の維持が良好になされる。
【0053】
〈3〉更に、上記実施形態では、第1温度センサT1の取り付け位置PT1は、中央出水口23と略同じ位置P23に設定され、第2温度センサT2の取り付け位置PT2は、中央入水口24と略同じ位置P24に設定されている場合を説明した。以下、当該位置設定が好ましい理由、及び、当該位置設定からの可能な変形例について説明する。
【0054】
[中央出水口23の位置P23と取り付け位置PT1の関係]
待機状態では、中央出水口23から中間温度層の温水が出水しないため、中央出水口23の位置P23が、取り付け位置PT1より上であっても下であっても、位置P23が取り付け位置PT1と略同じ位置である場合と同じ動作をする。
【0055】
給湯状態では、中央出水口23の位置P23が、取り付け位置PT1より上の場合は、上述のように、中央出水口23からの中間温度層の温水の出水が生じるが、取り付け位置PT1より上側には、給湯状態が開始した直後では、高温層が存在するので、給湯状態が或る程度継続して、高温層と中間温度層の境界領域が上方へ移動してからでないと、中間温度層の温水の使用が開始しないので、上記実施形態における中間温度層の温水を優先的に使用するタイミングが遅れる。従って、中央出水口23の位置P23は、取り付け位置PT1と略同じ位置が好ましいが、取り付け位置PT1より僅かに上であっても、上記タイミングが若干遅れるだけで、上記実施形態の作用効果は或る程度奏し得る。
【0056】
一方、中央出水口23の位置P23が、取り付け位置PT1より下の場合は、給湯状態においても、中央出水口23の位置P23と取り付け位置PT1間の温水温度の状況に関係なく、上記実施形態における中間温度層の温水が優先的に使用されるので、中央出水口23の位置P23は、中央入水口24の位置P24及び第1温度センサT1の取り付け位置PT1より上であれば、実際の運用上問題にはならない。
【0057】
[中央入水口24の位置P24と取り付け位置PT2の関係]
給湯状態では、中央入水口24から貯湯タンク2内への第2の戻り水の流入は生じないので、中央入水口24の位置P24が、取り付け位置PT2より上であっても下であっても、位置P24が取り付け位置PT2と略同じ位置である場合と同じ動作をする。
【0058】
給湯状態において、ヒートポンプ給湯機1の運転が行われ、当該運転が停止した直後に、給湯状態から待機状態に移行した場合等において、取り付け位置PT2に、中間温度層と低温層の境界領域が存在し、中間温度層の温度が90℃で、低温層の温度が15℃となる状況が起り得る。当該状況下では、中央入水口24の位置P24が、取り付け位置PT2より上の場合には、待機状態が継続することで、55℃の第2の戻り水が、90℃の中間温度層に流入するケースが発生する。更に、中央入水口24の位置P24が、取り付け位置PT2より下の場合には、待機状態が継続することで、55℃の第2の戻り水が、15℃の低温層に流入するケースが発生する。
【0059】
つまり、上記の特殊な状況下では、中央入水口24の位置P24が、取り付け位置PT2と略同じ位置でないと、貯湯タンク2内の90℃の中間温度層または15℃の低温層に、55℃の第2の戻り水が注入されることで、55℃の第2の戻り水の層の下に、より高温の中間温度層の一部が存在する、或いは、55℃の第2の戻り水の層の上により低温の低温層の一部が存在するという不規則な温度分布が形成されるため、当該不規則な温度分布において対流が生じて、当該中間温度層と低温層の維持が困難になるという問題が生じる。しかし、中央入水口24の位置P24が、取り付け位置PT2より上の場合には、90℃の中間温度層に55℃の第2の戻り水が流入することで、90℃の中間温度層の低温化が通常より速く進行するだけで、元々55℃の中間温度層が形成されている場合と比較すると大きな問題ではない。
【0060】
このため、中央入水口24の位置P24は、取り付け位置PT2と略同じ位置であることがより望ましいが、取り付け位置PT2より上の場合も許容され得る。但し、中央入水口24の位置P24が取り付け位置PT2に対して僅かに上下に変化しただけでは、待機状態における貯湯タンク2内への第2の戻り水の流入量は、同量の高温水によって、給湯配管L1及び戻り配管L2等での放熱分を補うのに必要な流量で少量であるため、上記の特殊な状況下において上述の不規則な温度分布が生じても、狭い領域に制限されるため、つまり、中間温度層と低温層の境界領域が上下に広がる程度の影響で済むため、位置P24と取り付け位置PT2の上下の位置関係の或る程度の変動は許容される。
【0061】
〈4〉更に、上記実施形態では、第1及び第2の温度調整機MV1,MV2として、サーモスタット式の自動ミキシングバルブを使用する場合を説明したが、第1及び第2の温度調整機MV1,MV2の少なくとも何れか一方を、電磁式に流量調整可能な三方弁を使用して構成し、2つの入水口に流入する水温、または、出水口から出水する水温を測定して、入水流量を制御することで、実現するようにしても良い。
【0062】
〈5〉更に、上記実施形態では、タンク上部の高温水の温度、第1温度、第2温度、第1基準温度、第2基準温度として、夫々、90℃、60℃、55℃、60℃、60℃〜70℃の場合を想定したが、上記各温度は、上記実施形態で例示した温度に限定されるものではない。但し、高温水の温度>第1温度>第2温度の関係は維持される。また、第1基準温度は、第2温度より高温または第1温度以上であることが好ましく、第2基準温度は第1基準温度以上であることが好ましい。また、当然ながら、第1基準温度と第2基準温度は、高温水の温度より低く設定される。