(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長手方向の一端と他端とを有し、前記一端から前記長手方向の途中までの範囲で、前記長手方向に直交する幅方向の両端に一対の第1縁部を形成し、前記他端から前記長手方向の途中までの範囲で、前記幅方向の両端に一対の第2縁部を形成した素地を、前記長手方向の途中で二つ折りにすることにより前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部をそれぞれ重ね合わせ、前記素地の第1縁部、又は第2縁部の少なくとも一方に付された熱溶融性の接着剤により、前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を接合する二つ折り接合装置であって、
前記素地の一対の第1縁部を前記素地の幅方向の内方へ折り返す縁折手段と、
前記素地をその長手方向の途中で二つ折りにし、前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を対向させる素地折手段と、
前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部と、前記一対の第2縁部と、を相互に押し付ける押圧手段と、
前記接着剤をその溶融する温度に加熱するヒーターとを備えることを特徴とする二つ折り接合装置。
前記素地の一対の第1縁部、及び一対の第2縁部をそれぞれ長手方向に沿わせた姿勢にし、前記素地の一対の第1縁部、及び前記一対の第2縁部のそれぞれの前記素地の幅方向の位置が合致するように前記素地を撓ませる整形装置を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の二つ折り接合装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、素地の接合をその材質に関わらず迅速かつ容易に行える二つ折り接合装置、及び二つ折り接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長手方向の一端と他端とを有し、前記一端から前記長手方向の途中までの範囲で、前記長手方向に直交する幅方向の両端に一対の第1縁部を形成し、前記他端から前記長手方向の途中までの範囲で、前記幅方向の両端に一対の第2縁部を形成した素地を、前記長手方向の途中で二つ折りにすることにより前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部をそれぞれ重ね合わせ、前記素地の第1縁部、又は第2縁部の少なくとも一方に付された熱溶融性の接着剤により、前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を接合する二つ折り接合装置であって、 前記素地の一対の第1縁部を前記素地の幅方向の内方へ折り返す縁折手段と、 前記素地をその長手方向の途中で二つ折りにし、
前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を対向させる素地折手段と、
前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部と、前記一対の第2縁部と、を相互に押し付ける押圧手段と、 前記接着剤をその溶融する温度に加熱するヒーターとを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記縁折手段が、前記素地の一対の第1縁部の間を受け止める固定平面部材と、前記固定平面部材に受け止められた素地の上方に設けられ、前記素地の長手方向に延びる一対の支持架材と、前記固定平面部材に対して前記素地の幅方向の両側に配置され、前記素地の一対の第1縁部を水平姿勢で支持する一対の両側支持部材と、前記一対の両側支持部材を水平姿勢にし、又は前記一対の支持架材に上方から対向するよう回動させる第1回動手段と、前記一対の支持架材に対して前記素地の幅方向の両側に配置された一対の両側保持部材と、前記一対の両側保持部材を前記一対の両側支持部材に対向する姿勢を保つよう回動させる第2回動手段とを備え、前記第2回動手段が、前記一対の両側保持部材を前記水平姿勢の一対の両側支持部材に対向させることにより、前記一対の両側支持部材と前記一対の両側保持部材との間に前記素地の一対の第1縁部を挟着し、前記第1回動手段が前記水平姿勢の一対の両側支持部材を前記一対の支持架材に上方から対向する姿勢に回動させる過程で、前記一対の両側保持部材と前記一対の両側支持部材との間に挟着される前記素地の一対の第1縁部が、前記一対の支持架材の上方に折返されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記素地折手段が、前記固定平面部材に隣接し、前記素地の一対の第2縁部の間を水平姿勢で受け止める可動平面部材と、前記可動平面部材に対して前記素地の幅方向の両側に配置された一対の両側開閉部材と、前記一対の両側開閉部材を前記素地の幅方向に進退させることにより、前記可動平面部材と前記一対の両側開閉部材との間を開閉する開閉手段と、前記素地の一対の第2縁部を前記一対の両側開閉部材に着脱自在に吸着させる縁部吸着手段と、前記素地の一対の第2縁部の間を前記可動平面部材に着脱自在に保持する素地保持手段と、前記可動平面部材を水平姿勢、又は前記固定平面部材に上方から対向する姿勢になるよう回動させる第3回動手段とを備え、前記開閉手段が前記水平姿勢の可動平面部材と前記一対の両側開閉部材との間を閉じ、前記縁部吸着手段が前記素地の一対の第2縁部を前記一対の両側開閉部材に吸着させ、前記素地保持手段が前記素地の一対の第2縁部の間を前記可動平面部材に保持した状態で、前記第3回動手段が前記可動平面部材を前記固定平面部材に上方から対向する姿勢になるよう回動させることにより、前記一対の両側開閉部材に吸着された一対の第2縁部を、前記一対の支持架材の上方に折り返された一対の第1縁部に対向させ、前記縁部吸着手段が前記素地の一対の第2縁部を前記一対の両側開閉部材から解放し、前記開閉手段が前記固定平面部材に上方から対向する姿勢の可動平面部材と前記一対の両側開閉部材との間を開くことにより、前記一対の両側開閉部材を前記素地の一対の第2縁部から離脱させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記押圧手段が、前記固定平面部材に上方から対向する姿勢の可動平面部材と前記一対の両側開閉部材との間に進入する一対のプレス型と、前記一対のプレス型を前記一対の支持架材に押し付ける駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記素地の一対の第1縁部、及び一対の第2縁部をそれぞれ長手方向に沿わせた姿勢にし、前記素地の一対の第1縁部、及び前記一対の第2縁部のそれぞれの前記素地の幅方向の位置が合致するように前記素地を撓ませる整形装置を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、手方向の一端と他端とを有し、前記一端から長手方向の途中までの範囲で、
前記長手方向に直交する素地の幅方向の両端に一対の第1縁部を形成し、前記他端から長手方向の途中までの範囲で、前記素地の幅方向の両端に一対の第2縁部を形成した素地を、長手方向の途中で二つ折りにすることにより前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を重ね合わせ、前記一対の第1縁部、又は一対の第2縁部の少なくとも一方に付された熱溶融性の接着剤により、前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を接合する二つ折り接合方法であって、 前記素地の一対の第1縁部、及び一対の第2縁部をそれぞれ長手方向に沿わせた姿勢にし、前記素地の一対の第1縁部、及び前記一対の第2縁部のそれぞれの前記素地の幅方向の位置が合致するように前記素地を撓ませる工程と、
縁折手段が、前記素地の一対の第1縁部を前記素地の幅方向の内方へ折り返す工程と、素地折手段が、前記素地をその長手方向の途中で二つ折りにし、前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部に前記一対の第2縁部を対向させる工程と、押圧手段が、前記素地の幅方向の内方へ折り返された前記一対の第1縁部と、前記一対の第2縁部と、を相互に押し付ける工程と、前記接着剤をその溶融する温度に加熱
する工程と、 前記一対の第1縁部、及び一対の第2縁部を互いに押し付ける力を断ち、前記接着剤の加熱を断つことにより前記接着剤を硬化させる工程とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二つ折り接合装置、及び二つ折り接合方法によれば、素地をその長手方向の途中で二つ折りにし、素地の一対の第1縁部と一対の第2縁部とを互いに対向させ、両者を正確に重ね合わせることができる。また、素地を二つ折りにする工程で素地の一対の第1縁部と一対の第2縁部をそれぞれ位置決めできるので、素地の不用意な変形に起因して両者の位置が狂うことはない。このため、本発明の二つ折り接合装置、及び二つ折り接合方法によれば、極めて柔軟な薄手の素地の接合を容易に、しかも迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置、及びそれに適用した整形装置の設置例を示す平面図。
【
図2】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置、及びそれに適用した整形装置の主な構成を示すブロック図。
【
図4】(a)は本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した整形装置の保持部材の使用例を示す断面図、(b)はその下面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した整形装置により素地を整形する工程の一例を示す平面図。
【
図6】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した整形装置により素地を整形する工程の他例を示す平面図。
【
図7】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した移送装置の使用例を示す側面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した移送装置の使用例を示す平面図。
【
図9】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置の動作の第1例を示す平面図。
【
図10】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した第1回動手段、及び第2回動手段の概略図。
【
図11】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した固定平面部材、一対の支持架材、及び一対の両側支持部材の動作の一例を(a)〜(c)の順に示す断面図。
【
図12】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した固定平面部材、一対の支持架材、及び一対の両側支持部材の動作の他例を(a),(b)の順に示す断面図。
【
図13】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した可動平面部材の回動に従って素地が二つ折りになる工程を説明する側面図。
【
図14】(a)は本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した開閉手段による開閉部材の動作の一例を示す平面図、(b)は、その他例を示す平面図。
【
図15】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置に適用した押圧手段の動作例、及びヒーターの取り付け構造を示す部分断面図。
【
図16】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置の動作の第2例を示す平面図。
【
図17】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置の動作の第3例を示す平面図。
【
図18】本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置の動作の第4例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る二つ折り接合装置1、及び整形装置3を示している。先ずはショーツの材料となる素地、及び整形装置3による素地の整形について説明する。続いて二つ折り接合装置1について説明する。
【0016】
以下に述べる二つ折り接合装置1、及び整形装置3の動作は、
図2に示す制御装置5がエアシリンダー、又はモーター等の駆動源を制御することにより実現される。以下の動作の対象が直線運動することを「移動」と記し、軸に支持された動作の対象がこの軸周りに回転運動することを「回動」と記す。また、駆動源により直線運動する要素をガイドレールに係合した滑子によって移動自在に支持する案内構造、及び軸を軸受けする構造には自明の技術を適用する。これらの詳細な説明、又は図示は省略する。
【0017】
図3は、矢印Lで指した長手方向の一端7と他端9とを有する一枚の素地11を示している。素地11は、一端7から長手方向の途中までの範囲で、矢印Wで指した幅方向の両端に一対の第1縁部13を形成し、他端9から長手方向の途中までの範囲で、幅方向の両端に一対の第2縁部15を形成している。素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15の少なくとも一方に熱溶融性の接着剤が塗布され、又は接着テープ等が貼り付けられている。第1縁部13、及び第2縁部15のそれぞれの位置は、素地11の幅方向に相違している。また、第1縁部13、及び第2縁部15は素地11の長手方向に対して傾斜する方向に延びている。
【0018】
図1に示すように、整形装置3は、素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15を着脱自在に保持する4つの保持部材17を備える。
図4(a)は、
図1の矢印X1−X1線の断面として保持部材17を表している。
図4(a),(b)に示すように、保持部材17は、金属製の中空の直方体19の正面21から縁型部材23を突出させ、直方体19の下面25に複数の吸引孔27、及び複数の溝部29を形成している。直方体19の下面25は素地11を受け止める底面部材31に近接している。エアブロワー33の吸気口が、図に表れていない方向制御弁を介して、直方体19の内部に接続されている。
【0019】
上記の方向制御弁は、エアブロワー33の吸気口に発生する負圧を複数の吸引孔27に導くことにより素地11を吸引する吸引力を複数の吸引孔27に発生させ、或いは直方体19とエアブロワー33との間で負圧を遮ることにより吸引孔27の吸引力を断つことができる。以下の説明で吸引孔27と同じ符号、又は同じ呼称で示された孔には、ここに述べた原理によって素地11を吸引する吸引力が発生し、又はその吸引力が断たれるものとする。
【0020】
整形装置3は、
図1に示す素地11を整形するとき、4つの保持部材17の吸引孔27に吸引力を発生させ、底面部材31に載せられた素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15に、4つの保持部材17をそれぞれ前進するよう移動させる。これにより、
図4(b)に示す素地11が縁型部材23と底面部材31との隙間に進入し、直方体19の正面21に突き当たる。この状態で、
図5に示すように、素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15が、4つの保持部材17にそれぞれ吸着される。
【0021】
整形装置3は4つの保持部材17を更に前進させ、
図6に示すように4つの保持部材17が素地11の長手方向に平行な姿勢となるように、4つの保持部材17をそれぞれ回動させる。これに従って素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15が素地11の長手方向に平行な姿勢になり、一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15のそれぞれの幅方向の位置が合致する。
【0022】
一方、底面部材31には複数の吸引孔27が開放されている。整形装置3は、素地11を上記のように整形する過程で、底面部材31の吸引孔27に吸引力を発生させ、素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15を底面部材31に吸着させる。素地11の整形が終えたところで、整形装置3は、4つの保持部材17、及び底面部材31のそれぞれの吸引孔27から吸引力を断ち、4つの保持部材17を素地11から後退するよう移動させる。そして、4つの保持部材17が
図1に示す位置に復帰したところで、整形装置3の1回の動作が終了する。
【0023】
また、
図6に示す素地11の全幅は
図5に示した素地11に比較して狭くなっている。これは、4つの保持部材17の上記の動作により一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15が素地11の幅方向の内方へ押し込まれた分、素地11の幅方向の内方の部位が撓んだことによる。符号35で指した線は素地11の撓みにより生じた皺を表している。この素地11は
図7,8に示す移送装置37の後述の動作によって
図9に示す位置まで移送される。
【0024】
図7の矢印Y1−Y1線で移送装置37を破断した平面図が
図8に表れている。移送装置37は、二つ折り接合装置1、及び整形装置3の上方に架設したガイドレール39に案内される4つの滑子41に、エアシリンダー43をそれぞれ取り付け、エアシリンダー43のピストンロッド45に摩擦部材47を連結したものである。
図8に表れた4つの摩擦部材47は、滑子41を駆動する不図示の駆動源によりエアシリンダー43と共に素地11の長手方向に移動する。
【0025】
次に二つ折り接合装置1について説明する。
図1,2に示すように、二つ折り接合装置1は、素地11の一対の第1縁部13を素地11の幅方向の内方へ折り返す縁折手段49と、素地11をその長手方向の途中で二つ折りにし一対の第1縁部13に一対の第2縁部15を対向させる素地折手段51と、後述の押圧手段53と、ヒーター55とを備える。
【0026】
縁折手段49は、固定平面部材57、一対の支持架材59、一対の両側支持部材61、第1回動手段63、一対の両側保持部材65、及び第2回動手段67を備える。
【0027】
固定平面部材57は、
図9に示す素地11の一対の第1縁部13の間の部位を受け止めるパネル材である。支持架材59は、固定平面部材57に受け止められた素地11の上方に架設され、素地11の長手方向に延びる金属製の角棒である。支持架材59にはヒーターが埋設されている。このヒーターの形態は後述のプレス型と同様であっても良い。一対の両側支持部材61は、固定平面部材57に対して素地11の幅方向の両側に配置され、素地11の一対の第1縁部13を水平姿勢で支持するパネル材である。両側支持部材61には複数の吸引孔27が開放されている。
【0028】
図10は、第1回動手段63、及び第2回動手段67を説明する平面図である。
図11(a)〜12(b)は、
図10の矢印X2−X2線の断面として素地11、固定平面部材57、一対の支持架材59、及び一対の両側支持部材61を表している。第1回動手段63は、素地11の長手方向に延びる2本の水平軸69に一対の両側支持部材61を一つずつ連結し、2つの水平軸69にそれぞれ回転機71を連結したものである。回転機71が水平軸69を回転させることにより、両側支持部材61が
図11(a)〜
図12(b)に示す矢印α,βの向きに回動する。
【0029】
両側保持部材65は、支持架材59よりも素地11の幅方向の外側に配置された中空の角棒に複数の吸引孔27を開放したものである。第2回動手段67は、第1回動手段63と同じ水平軸69で2つのスリーブ73をそれぞれ一つずつ支持し、これらのスリーブ73に一対の両側保持部材65をそれぞれ連結している。スリーブ73は、水平軸69に対して自由に回転できる。回転機75の回転力がプーリー77,79、及びベルト81を介してスリーブ73に入力されることにより、一対の両側保持部材65は矢印α,βの向きに回動する。回転機71,75として、空気圧に基づき回転力を出力するロータリーエアシリンダー、又はモーター等を適用しても良い。
【0030】
図1,2に示すように、素地折手段51は、可動平面部材83、一対の両側開閉部材85、開閉手段87、縁部吸着手段89、素地保持手段91、及び第3回動手段93を備える。
【0031】
可動平面部材83は、その基端95を固定平面部材57に近接させ先端97を底面部材31に近接させた水平姿勢で、
図9に示すように素地11の一対の第2縁部15の間の部位を受け止めるパネル材である。一対の両側開閉部材85は、可動平面部材83に対して素地11の幅方向の両側に配置されたパネル材である。縁部吸着手段89は、一対の両側開閉部材85に複数の吸引孔27を開放し、これらの吸引孔27に発生する吸引力により、素地11の一対の第2縁部15を一対の両側開閉部材85に着脱自在に吸着させる。
【0032】
素地保持手段91は、一対のL字形のストップバー99を二つ折り接合装置1の筐体101に一対のヒンジ部103を介してそれぞれ取り付けている。ストップバー99は、不図示の駆動源によりヒンジ部103を支点に回動し、同図に示すように水平に倒れ、又は
図7,8に示すように起立する。ストップバー99は、水平に倒れたとき可動平面部材83に素地11を押し付け、起立したとき素地11から離脱する。
【0033】
図13は、素地11、固定平面部材57、支持架材59、可動平面部材83の側面を表す概略図である。
図1,2に示す第3回動手段93は、可動平面部材83の基端95を素地11の幅方向に延びる水平軸で支持し、この水平軸を中心に可動平面部材83を
図13に仮想線83'で表した水平姿勢にし、又は実線で表したように固定平面部材57に上方から対向するよう駆動源により回動させるものである。
【0034】
図14(a),(b)は、可動平面部材83を
図13の矢印Y2−Y2線の位置で俯瞰した平面図である。可動平面部材83の裏面には方形のフレーム105が設けられ、素地折手段51の一対の両側開閉部材85が、素地11の幅方向に移動自在にフレーム105に取り付けられている。開閉手段87は、フレーム105の両側に取り付けられた一対のエアシリンダーである。これらのピストンロッド107の進退に従い一対の両側開閉部材85が移動することにより、可動平面部材83と一対の両側開閉部材85との間が開閉する。
【0035】
図15に示すように、押圧手段53は、筐体101にピン接合されたスイングアーム109と、スイングアーム109に支持されたプレス型111と、筐体101にピン接合されたエアシリンダーから成る駆動手段113を備える。駆動手段113のピストンロッド115はスイングアーム109にピン接合している。スイングアーム109は、素地11の幅方向に互いに隔たる一対のプレス型111を支持している。駆動手段113がピストンロッド115を進退させることにより一対のプレス型111が昇降する。プレス型111は、ヒーター55を埋設した金属製の方形塊である。ヒーター55として、一対のプレス型111を加熱する電熱器を適用しても良い。
【0036】
次に、二つ折り接合装置1を使用したショーツの二つ折り接合方法について述べる。以下の説明は、その中で指示する図面の番号に加え、
図2を常に参照して行われる。制御装置5は、コンピューターを主体とし、このコンピューターがアクセスできる記憶媒体に書き込まれたプログラムに基づき、二つ折り接合装置1の動作を制御する。また、文頭に付した英文字は二つ折り接合装置1の動作の工程を区分する指標である。
【0037】
A:
図7,8に示すように、一対の両側支持部材61、及び可動平面部材83は、それぞれ水平姿勢で待機し、一対の両側保持部材65は固定平面部材57の上方で待機している。素地保持手段91がストップバー99を起立させる。一方、押圧手段53が一対のプレス型111を固定平面部材57の上方で待機させ、開閉手段87が
図8に示す可動平面部材83と一対の両側開閉部材85との間を閉じる。
【0038】
整形装置3により既に整形された素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15に、移送装置37が4つの摩擦部材47を上方から押し付け、これらの摩擦部材47を二つ折り接合装置1の固定平面部材57へ向けて移動させる。これにより、摩擦部材47と共に素地11が
図9に示す位置まで移送され、素地11の一対の第1縁部13の間の部位が、
図7に示すように両側保持部材65と固定平面部材57との間の間隙に進入する。この素地11の一対の第1縁部13は、
図11(a)に示すように水平姿勢をとる一対の両側支持部材61によって支持され、素地11の長手方向を概ね二等分する位置が可動平面部材83の基端95に重なる。
【0039】
B:二つ折り接合装置1は、一対の両側支持部材61の吸引孔27に吸引力を発生し、一対の両側支持部材61素地11の一対の第1縁部13を位置決めする。第2回動手段67が、一対の両側保持部材65を
図11(b)に示す矢印αの向きに回動させ、一対の両側保持部材65の吸引孔27が一対の第1縁部13に近接したところで、一対の両側保持部材65の回動を停止させる。これにより、一対の両側支持部材61と一対の両側保持部材65との間に素地11の一対の第1縁部13をそれぞれ挟着し、一対の第1縁部13に一対の両側保持部材65を重ね合わせることができる。この平面図が
図16に表れている。
【0040】
C:第2回動手段67が、一対の両側保持部材65を
図11(c)に示す矢印βの向きに回動させる。同時に、第1回動手段63が、一対の両側支持部材61を一対の両側保持部材65に同期させて矢印βの向きに回動させる。これにより、一対の両側保持部材65と一対の両側支持部材61とが上記のように同心円に沿って回動する過程で、一対の両側保持部材65と一対の両側支持部材61とが互いに対向した姿勢を維持し、両者の間に素地11の一対の第1縁部13を挟着し続けることができる。
【0041】
そして、
図12(a)に示すように、一対の両側支持部材61が一対の支持架材59に上方から対向するに至り、素地11の一対の第1縁部13が一対の支持架材59の上方に折返される。この平面図が
図17に表れている。また、上記の第1縁部13が支持架材59の上方に折返された時点で、第1回動手段63は一対の両側支持部材61の回動を停止させ、第2回動手段67は一対の両側保持部材65の回動を停止させる。一対の両側支持部材61の吸引孔27から吸引力が断たれる。
【0042】
D:二つ折り接合装置1は、一対の両側保持部材65の吸引孔27に吸引力を発生し、一対の両側保持部材65に素地11の一対の第1縁部13を位置決めする。第1回動手段63が、一対の両側支持部材61を
図12(b)に示す矢印αの向きに回動させ、一対の両側支持部材61を水平姿勢に復帰させる。この平面図が
図18に表れている。同図のドットは、本工程で上向きに裏返された素地11の一面117に付されている。
【0043】
E:縁部吸着手段89が、一対の両側開閉部材85の吸引孔27に吸引力を発生させ、素地11の一対の第2縁部15を一対の両側開閉部材85に吸着させる。これにより、素地11の一対の第2縁部15が一対の両側開閉部材85に位置決めされる。素地保持手段91がストップバー99を水平に倒し、素地11の一対の第2縁部15の間の部位をストップバー99により可動平面部材83に押し付ける。
【0044】
F:第3回動手段93が可動平面部材83を
図13に示す矢印θの向きに回動させ、素地11を二つ折りにする。可動平面部材83が固定平面部材57に上方から対向したところで、第3回動手段93が可動平面部材83の回動を停止させる。これにより、上記Bの工程で一対の両側保持部材65に位置決めされた一対の第1縁部13と、上記Eの工程で一対の両側開閉部材85に位置決めされた一対の第2縁部15とが互いに対向し、両者が上下に重なり合うことになる。
図14(a)は、可動平面部材83が固定平面部材57に上方から対向した状態を示している。
【0045】
G:縁部吸着手段89が、一対の両側開閉部材85の吸引孔27から吸引力を断ち、素地11の一対の第2縁部15を一対の両側開閉部材85から解放する。
図14(b)に示すように、開閉手段87が可動平面部材83と一対の両側開閉部材85との間を開くことにより、可動平面部材83と一対の両側開閉部材85との間から素地11の一対の第2縁部15を露出させる。この段階で、一対の両側開閉部材85が素地11の一対の第2縁部15から離脱することになる。
【0046】
H:
図15に示すように、押圧手段53の駆動手段113が一対のプレス型111を下降させ、上記Gの工程で開いた可動平面部材83と一対の両側開閉部材85との間に、一対のプレス型111をそれぞれ進入させる。更に、駆動手段113が一対のプレス型111を素地11の一対の第2縁部15に下向きに押し付ける。これにより、互いに対向する一対の第1縁部13と一対の第2縁部15とが、一対の支持架材59と一対のプレス型111との間に強く挟まれ、相互に押し付けられる。同時に、一対のプレス型111に埋設されたヒーター55、及び支持架材59に埋設されたヒーターの熱が素地11へ伝導し、素地11に塗布された接着剤が溶融する。
【0047】
I:押圧手段53が一対のプレス型111を上昇させ、素地11から一対のプレス型111を離脱させる。これにより、ヒーター55の熱が素地11から断たれるので接着剤の温度が下がり、この接着剤が硬化した時点で、一対の第1縁部13と一対の第2縁部15との接合が完了する。一対の両側保持部材65の吸引孔27から吸引力が断たれる。
【0048】
J:素地11を二つ折り接合装置1から搬出する。例えば、素地11の幅方向に延びる棒材を上記Eの工程で素地11の上方の可動平面部材83の基端95の付近に配置し、この棒材を上記Fの工程で二つ折りになる素地11の内側に巻き込ませる。この棒材を駆動源により整形装置3へ向けて移動させれば、固定平面部材57と可動平面部材83との間から素地11を引き出すことができる。
【0049】
更に、上記の棒材の移動に従わせて素地11を筐体101の外方へ排出しても良い。最後に素地11が棒材から自然に落下するのが望ましい。この後、可動平面部材83が水平姿勢に復帰し、上記Aの工程が再び実行される。新たに整形装置3により整形された素地11が
図9に示す位置に移送された時点で、二つ折り接合装置1は上記のB以降の工程を再び実行する。
【0050】
以上に述べた二つ折り接合装置1によれば、素地11が二つ折りにされた段階で、素地11の一対の第1縁部13と一対の第2縁部15とが互いに対向し正確に重なり合うことになる。また、素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15は、それぞれ吸引孔27の吸引力により位置決めされるので、素地11の不用意な変形に起因して両者の位置が狂うことはない。このため、二つ折り接合装置1、及び二つ折り接合方法によれば、素地11が極めて柔軟な薄手の材質であっても、このような素地11の接合を容易に、しかも迅速に行うことができる。
【0051】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。整形装置3、及び移送装置37を省略しても本発明の実施が妨げられることはない。
【0052】
即ち、底面部材31に素地11を載せる工程は手作業で行っても良い。整形装置3の保持部材17に代わるロボットアームを用いて、支持部材に受け止められた素地11の一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15をそれぞれ保持し、ロボットアームの動作に従わせて、一対の第1縁部13、及び一対の第2縁部15が素地11の長手方向に沿わせた姿勢になるよう素地11を整形しても良い。移送装置37に代わるロボットアームが素地11を上記のように移送しても良い。