(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面に荷受面(1a)を有する荷受台本体(1)と、この荷受台本体(1)の基端側の相対向する左右コーナー部(1c,1c)に固定されるヒンジ具(80,80)を備え、前記ヒンジ具(80,80)に設けたヒンジ孔(87,87)に嵌合されるヒンジピン(88,88)回りに、略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置との間で回動可能とされており、
前記荷受台本体(1)には、該荷受台本体(1)の左右側板(57,58)に設けたロック孔(57h,58h)を貫通して前記荷受台本体(1)を前記格納位置にロックするための作動ロッド(106,107;307,307)を有するロック機構(100;300)を設けた荷受台であって、
前記ヒンジ具(80,80)は、前記ロック孔(57h,58h)を覆うヒンジフレーム(81,81)を有し、そのヒンジフレーム(81,81)には前記ロック孔(57h,58h)と同心の通孔(81h,81h;281h,281h)が穿設され、前記作動ロッド(106,107;307)が、前記ロック孔(57h,58h)および通孔(81h,81h;281h,281h)に亘って貫通されるようにしたことを特徴とする、荷受台。
前記ヒンジフレーム(81,81)に穿設される通孔(81h,81h)は、前記ロック機構(100)の作動ロッド(106,107)を支持する寸法に形成されることを特徴とする、前記請求項1記載の荷受台。
前記請求項1,2の何れかに記載の荷受台を昇降するための荷受台昇降装置であって、車両に設けられて荷受台を昇降可能に支持する荷受台支持部(2)と、この荷受台を昇降する昇降機構(L)と、この昇降機構(L)を駆動する駆動装置(CY)とよりなることを特徴とする、荷受台昇降装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記提案の荷受台は、昇降機構に略水平な張出位置に片持ち支持して昇降作動されて荷受台上の荷物の積み降ろしを行い、また、荷物の積み降ろし作業の終了後や荷役車両の走行時には、荷役台を略鉛直な格納位置に起立し、荷役台に設けたロック機構の作動ロッドを荷受台に設けたロック孔に貫通させて昇降支柱に係止することにより荷受台を格納位置に保持するようにしている。
【0005】
ところが、重い荷物の積み降ろし作動時などにおいて、前記荷受台に大きな負荷が作用したとき、荷受台に設けたロック孔の周囲に応力が集中して、荷受台を変形させたり、破損させたりする虞があるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、荷受台に設けた既存のヒンジ具を利用して、荷受台、特にそのロック孔の周囲を補強し、前記問題を解決できるようにした新規な、荷受台およびその荷受台を昇降作動する荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上面に荷受面を有する荷受台本体と、この荷受台本体の基端側の相対向する左右コーナー部に固定されるヒンジ具を備え、前記ヒンジ具に設けたヒンジ孔に嵌合されるヒンジピン回りに、略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置との間で回動可能とされており、
前記荷受台本体には、該荷受台本体の左右側板に設けたロック孔を貫通して前記荷受台本体を前記格納位置にロックするための作動ロッドを有するロック機構を設けた荷受台であって、
前記ヒンジ具は、前記ロック孔を覆うヒンジフレームを有し、そのヒンジフレームには前記ロック孔と同心の通孔が穿設され、前記作動ロッドが、前記ロック孔および通孔に亘って貫通されるようにしたことを特徴としている。
【0008】
前記目的を達成するために、請求項2記載の発明は、前記請求項1に記載のものにおいて、前記ヒンジフレームに穿設される通孔は、前記ロック機構の作動ロッドを支持する寸法に形成されることを特徴としている。
【0009】
前記目的を達成するために、請求項3記載の発明は、前記請求項2に記載のものにおいて、前記請求項1,2の何れかに記載の荷受台を昇降するための荷受台昇降装置であって、車両に設けられて荷受台を昇降可能に支持する荷受台支持部と、この荷受台を昇降する昇降機構と、この昇降機構を駆動する駆動装置とよりなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2に記載の発明によれば、荷受台本体の基端側の相対向する左右コーナー部に固定される既存のヒンジ具は、荷受台本体に設けたロック孔を覆うヒンジフレームを有しているので、前記ヒンジ具は、荷受台本体を補強して、前記ロック孔による荷受台の強度低下を補償することができ、荷受台の変型、破損を抑制することができる。また、荷受台の補強により、その重量増や、部品点数の増加を招くことがなく、荷受台を廉価に提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ヒンジ具のヒンジフレームに穿設される通孔は、ロック機構の作動ロッドを支持する寸法に形成されるので、その作動ロッドを、ヒンジフレームにより支持することができ、作動ロッドを支持する支持部材を別途に設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、荷受台は、その構造の簡素化と軽量化により容易に製造することができるので、荷受台を昇降するための荷受台昇降機構およびそれを駆動する駆動装置の製造を容易にし、しかもそれらを廉価に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0015】
この実施形態は、本発明荷受台および荷受台昇降装置を荷役車両に実施した場合である。
【0016】
まず、
図1〜10を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1〜4において、荷役車両の車体枠F上には、後面開放の荷箱Vが架装されており、この荷箱Vの後端面には、垂直昇降式の荷受台昇降機構Lが設けられ、該機構Lにより地上と荷箱Vの床面間で、略水平な張出位置に保持される、荷受台(テールゲート)Tが昇降作動され、該荷受台T上に載置される荷物を地上と荷箱V間で積み降ろしすることができる。
【0018】
荷箱Vの後端の左右両側縁には、略垂直方向に延びる、左右一対の、昇降支柱2,2が固定されている。各昇降支柱2は中空の角筒体よりなり、その開口上端に天板2aが固定され、また、昇降支柱2内の中央部には、中間板2bが縦方向に一体に設けられる。昇降支柱2,2の後壁には、後述するスライダ14を昇降案内するための縦スリット4が開口されている。また各昇降支柱2の下端には、後述するインナコラム3の昇降作動を案内するための、一対の案内ローラ5が回転自在に軸支され、さらに、昇降支柱2,2の上端には、後述するワイヤ32,33をそれぞれ案内するためのトップ固定シーブ36,37が回転自在に軸支され、さらに、昇降支柱2,2の下端に、インナコラム3,3の下端が当接するストッパ10,10が固定されている。
【0019】
一対の昇降支柱2,2内には、左右一対のインナコラム3,3がそれぞれ昇降自在に嵌挿される。各インナコラム3は、中空の角筒体により構成され、その後壁に前記昇降支柱2の縦スリット4と一致するように他の縦スリット7が開口されている。
図3に示すように、各インナコラム3の上端には、ブラケット9を介して一対の案内ローラ8,8が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ8,8は、インナコラム3,3の昇降作動時に、昇降支柱2,2の後壁内面を転動してインナコラム3,3の昇降を案内する。
【0020】
図3に示すように、各インナコラム3の下端にはブラケット11を介して弾性ストッパ12が設けられ、このストッパ12は、昇降支柱2下端のストッパ10に当接してインナコラム3の最上昇位置を規制する。
【0021】
一対のインナコラム3,3には、スライダ14,14がそれぞれ昇降自在に挿入されており、それらのスライダ14,14の後縁は、前記インナコラム3,3および昇降支柱2,2に形成した縦スリット4,4;7,7をそれぞれ貫通してそれらの後方に延出しており、それらの縦スリット4,4;7,7に案内されて昇降支柱2,2およびインナコラム3,3に対して昇降可能である。スライダ14,14の上、下部には、上、下案内ローラ15,16が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ15,16は、スライダ14,14がインナコラム3,3に対して昇降するとき、インナコラム3,3の内面を転動する。各スライダ14の上縁には、ストッパゴム17が設けられ、このストッパゴム17はベースプレート3aと係合してスライダ14の上昇位置が規制される。一対のスライダ14,14の外面下端には、ブラケット18,18がそれぞれ固定され、これらのブラケット18,18に、後述するヒンジ具80,80を介して荷受台Tが略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置間を回動できるように、軸支19,19されている。また、各スライダ14の下端に固定したステー21には、荷受台Tの主体部分を構成する荷受台本体1の基端に固定されるヒンジ具80,80の後端と係合してこれを張出位置に係止するためのストッパボルト22,22が上下位置を調節できるように取り付けられている。
【0022】
前記一対の昇降支柱2,2の上下方向の中間部には、前記荷箱Vの床面と略一致した位置に横方向に延びるクロスメンバー24が横架固定されている。
【0023】
図4に示すように、このクロスメンバー24は、中空の角筒体により構成されており、横断面コ字状のクロスメンバー本体24Aの開口面にカバー体24Bを、複数のボルト・ナット23により一体に固定して構成されている。そして、クロスメンバー24の内部に、駆動装置としての油圧シリンダCYが設けられている。前記油圧シリンダCYは、クロスメンバー24内において、その長手方向に沿って配設されており、そのシリンダバレル26の基端が、クロスメンバー24の一端(左端)内部に溶接したリブプレート25に連結ピン28およびボルト29をもって取り付けられている。このリブプレート25は、クロスメンバー24内の一端(
図4左端)の幅方向中央部を上下方向に延び、その上下縁が、クロスメンバー24の上下内面に溶接されている。また、油圧シリンダCYのシリンダロッド27の先端は、クロスメンバー24の途中まで延びていて、そこにブラケット30を介して車幅方向に移動可能な左右可動シーブ31l,31rが並列して回転自在に取り付けられており、前記ブラケット30は、クロスメンバー24内に長手方向に沿って固定されるガイドレール38に摺動可能に支持されている。
【0024】
図2に示すように、クロスメンバー24の左端には、一対の左右サイド固定シーブ34l,34rが並列して回転自在に取り付けられ、またクロスメンバー24の右端には、右サイド固定シーブ35が回転自在に取り付けられており、さらに、左右の昇降支柱2,2の上部には、左右トップ固定シーブ36,37がそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0025】
図2〜4に示すように、前記油圧シリンダCYには、左右2系統のワイヤ32,33が連接されている。すなわち、左系統のワイヤ32は、その一端がクロスメンバー24の中間部に結着32aされて該クロスメンバー24に沿って延びており、前記左可動シーブ31l、左サイド固定シーブ34lおよび左固定トップシーブ36を順次に巻き掛けられて、その他端が左側のスライダ14に結着されている。同じく右系統のワイヤ33は、その一端が、クロスメンバー24の中間部に結着33aされて該クロスメンバー24に沿って延びており、前記右可動シーブ31r、右サイド固定シーブ34r,35および右固定トップシーブ37を順次に巻き掛けられて、その他端が右側のスライダ14に結着されている。
【0026】
したがって、前記油圧シリンダCYを伸縮作動すれば、2系統のワイヤ32,33を介して左右一対のスライダ14,14が同調して昇降作動され、これに連結される荷受台Tを昇降作動することができる。
【0027】
つぎに、一対のスライダ14,14により支持される、本発明にかかる荷受台(テールゲート)Tの構造について、
図1〜4に、
図5〜10を併せ参照して説明する。
【0028】
なお、以下の説明において、「前後」および「左右」とは、荷役車両に対して言うものとする。
【0029】
荷受台Tの主体部を構成する荷受台本体1は、鋼板製の、表板40と裏板50とを一体に連結して長方形状に形成されており、その基端側、すなわち長辺側の前側部1fが、荷役車両の荷受台支持部としての昇降支柱2,2に昇降可能に支持され、その前側部1fの相対向する左右コーナー部1c,1cにそれぞれ固定される、ヒンジ具80,80(後に詳述)が、スライダ14,14に固定のブラケット18,18に、略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置との間を回動できるように軸支19,19される。
【0030】
荷受台本体1の表板40の表面は、縞模様の粗面を形成した荷受面1aに形成され、また、その裏面は、略平滑な平坦面に形成される。
【0031】
図5,6、8に示すように、表板40の前側部1f(スライダ14,14への取付側)には、前側の第1延出部41が、また、その後側部には、後側の第1延出部42がそれぞれ一体に形成されている。前側の第1延出部41は、略平坦な荷受面1 aに対して下向きに略直角に屈曲形成され、また、後側の第2延出部42は、荷受面1aに対して後方に向かって下向きに傾斜する傾斜面に形成されており、荷物の積込用斜面として利用される。
【0032】
前記裏板50は、前記表板40と同じ大きさに形成されている。この裏板50には、荷受台本体1に2つの左右の縦スチフナSl
1 ,Sl
2 および3つの上下および中央の横スチフナSw
1 ,Sw
2 ,Sw
3 (
図1参照)を形成するための一対の支持部54,54がプレス成形される。具体的には、
図6,7,8に示すように、裏板50の中間領域の、前半部と後半部に、その裏面より表面に向かって対をなす台形状の前記支持部54,54が一体に膨出成形される。一対の支持部54,54は、裏板50の前後方向に間隔をあけて互いに略平行に左右方向に長く延びており、それらの支持部54,54の上面は、平坦に形成され、また、それらの側面は、それらの下端から上端に向かって上り勾配よりなる傾斜面に形成されており、一対の支持部54,54の側面の各コーナー部は、滑らかな湾曲面54bに形成されている。そして、
図7に最も明瞭に示すように、前記一対の支持部54,54のプレス成形により、荷受台本体1には、支持部54,54を囲むように、前記複数のスチフナ群を一体に成形することができる。すなわち、裏板50の左右両側には、その前後方向に延びる2つの左右の縦スチフナSl
1 ,Sl
2 が、また一対の支持部54,54の間と、それらの支持部54,54前側および後側に、左右方向に略平行に延びる3つの上下および中央の横スチフナSw
1 ,Sw
2 ,Sw
3 がそれぞれ成形される。
【0033】
図5,6、8に示すように、裏板50の前側部と後側部には、表板40の、前側の第1延出部41および後側の第1延出部42にそれぞれ対応して前側の第2延出部51および後側の第2延出部52が一体に形成されている。前側の第2延出部51は、下向きに略直角に屈曲形成され、また、後側の第2延出部52は、後方に向かって下向きに傾斜する傾斜面に形成されている。また、裏板50の左右両側部には、断面L字状の左右側板57,58が内向きの起立形成されている。
【0034】
図6に示すように、一対の支持部54,54の上面には、複数の短冊状の、クッション体としての複数のクッションゴム60が、それらの支持部54,54の長手方向に間隔をあけての梯子状に両面テープなどの貼着手段により貼着されており、これらのクッションゴム60は、表板40と裏板50との間に圧縮状態で挟着される。
【0035】
裏板50上に表板40を重ね合わせ、それらの四辺は、複数の、ボルト70とカシメナット71とで一体に締結される。すなわち、互いに当接する、表板40の前側の第1延出部41と裏板50の前側の第2延出部51とを、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数の、ボルト70とカシメナット71とにより一体に連結する(
図8参照)。同じく互いに当接される、表板40の後側の第1延出部42と、裏板50の後側の第2延出部52同士は、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数の、ボルト70とカシメナット71とにより一体に連結する(
図8参照)。さらに、左右側板57,58と表板40の左右側部とは、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数の、ボルト70とカシメナット71により一体に連結する。表板40と裏板50の左右側部間に形成される間隙は、左右側板57,58により閉じられる。これにより、裏板50上に表板40が一体に重ね連結され、一対の支持部54,54上の複数のクッションゴム60は、裏板50と表板40との間に圧縮状態で挟着され、それらに作用する振動を吸収することができる。
【0036】
図5,6,7に示すように、表板40と裏板50とを一体に結合した荷受台本体1の基端側、すなわち前側部1fの左右コーナー部1c,1cには、ヒンジ具80,80がそれぞれ一体に連結される。
【0037】
各ヒンジ具80は、荷受台本体1の各コーナー部1cをそれぞれ囲む、側面部81sと前面部81fとよりL状に形成されるヒンジフレーム81を、三角状の補強板82により補強して構成されており、荷受台本体1の基端側の左右コーナー部1c,1cに、その外側から一体に複数のボルト70およびナット84,85により連結される。各ヒンジ金具80は、荷受台本体1の両外側面を補強すべく、荷受台本体1の前後方向の過半部に達するように後方に延長されており、その先端部は、後述するロック機構100の左右作動ロッド106,107よりも後方まで延長されている。
【0038】
荷受台本体1の裏板50の、前側の第2延出部51の左右端部の内面および左右側板57,58の前部の内面には、それぞれ複数のナット84,85が固定され、これらのナット84,85に、ヒンジフレーム81,81の側面部81sおよび前面部81fに穿設したボルト孔を通してボルト70をそれぞれ締結することにより、荷受台本体1の前側の左右コーナー部1c,1cに、対をなす左右ヒンジ具80,80がそれぞれ固定される。
【0039】
なお、各ヒンジ具80のヒンジフレーム81の前面部81fは、前側の第1の延出部41および前側の第2の延出部51の左右両端部に、ボルト70およびナット84とで共締めされる。
【0040】
図6,7に示すように、左右のヒンジ具80,80の補強部82,82は、互いに向かい合う方向に延びて、荷受台本体1の裏板50を支持しており、その支持スパンlが短くなることにより、荷物を支持したときの荷受台本体1の撓みを小さくすることができる。
【0041】
荷受台本体1は、左右のヒンジ具80,80を介してスライダ14,14のブラケット18,18に回動可能に軸支19,19される。
【0042】
図5〜7に示すように、左右のヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81の側面部81s,81sにそれぞれ設けたヒンジ孔87,87には、スライダ14,14のブラケット18,18に固定したヒンジピン88,88が回動自在に嵌合され、荷受台本体1はヒンジピン88,88周りに起伏回動可能である。一方(
図6、右側)のヒンジピン88に形成した中空角筒部には、荷受台本体1を左右方向の延びるトーションバー89の一端(
図6、右端)の角軸部89sがヒンジ孔87を貫通して嵌着され、トーションバー89の一端は、一方のブラケット18に固定されている。また、トーションバー89の他端(
図6、左端)の角軸部89sは、荷受台本体1の前側に固定した支持軸90の中空角筒部に嵌着されている。したがって、荷受台本体1が、張出位置から格納位置に軸支19,19回りに回動すれば、トーションバー89は捩じられて捩り力が畜勢される。これにより、荷受台本体1の、手動による格納位置から張出位置への展開を、トーションバー89の捩り力の戻りにより助勢することができ、荷受台本体1の展開操作が軽快、容易になる。
【0043】
図3,5,6に示すように、ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81の側面部81s,81sの、補強部82,82から遠ざかる側の端部(荷受台Tが張出位置にあるときの前端部)は延長されており、この延長部がストッパボルト22に当接することで、荷受台本体1を水平位置に保持する。
【0044】
図6,7に示すように、荷受台本体1の裏板50の4つのコーナー部の裏面には、それぞれ緩衝パッド61が固着されており、これらの緩衝パッド61は、荷受台本体1が下降したとき、これを地上に緩衝的に着座するようにされる。
【0045】
荷受台本体1には、これが格納位置に起立したとき、その荷受台本体1を格納位置にロックするためのロック機構100が設けられる。
図8に示すように、中央の横スチフナSw
3 は、上下の横スチフナSw
1 ,Sw
2 に比べて高さ(前後方向の寸法)が短く形成されている。前記ロック機構100は、前記一対の支持部54,54間において、その中央の横スチフナSw
3 に設けられる。中央の横スチフナSw
3 の左側端部には、ゲートロック板101が固定され、このゲートロック板101には、操作レバー102が回動可能に軸支される。裏板50の内側において、操作レバー102と共に回動する回動板103の両側に枢支される一対のリンク104,104の長孔105,105に、左右作動ロッド106,107が連接されており、その左右作動ロッド106,107は、荷受台本体1を左右方向に延長されている。
【0046】
図10に明瞭に示すように、荷受台本体1の左右側板57,58には、ロック孔57h,58hがそれぞれ穿設されると共に左右ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81の側面部81s,81sには、前記ロック孔57h,58hと同心の通孔81h,81hが穿設されており、それらのその通孔81h,81hは、左右作動ロッド106,107の先端部を摺動自在に支持する寸法に形成されている。前記ロック機構100の左右作動ロッド106,107の先端部は、通孔81h,81hに摺動自在に嵌挿、支持されて、左右作動ロッド106,107がロック位置(
図10実線位置)に摺動したとき、それらの先端部が、昇降支柱2,2に設けたロック部108,108に穿設した係止孔108h,108hに抜差自在に嵌入できるようにされている。
【0047】
しかして、荷受台本体1の左右側板57,58の、ロック孔57h,58hを穿設した領域は、前記ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81の側面部81s,81sにより密に覆われて2層構造とされて、補強されており、荷受台本体1は、その左右側板57,58にロック孔57h,58hを穿設したことによる強度低下を補償するようにされている。
【0048】
図7〜10に示すように、荷受台Tを昇降支柱1,2間に起立格納したのち、操作レバー102を、ロック位置(
図7、実線位置)に回動すれば、左右作動ロッド106,107は、回動板103、リンク104,104を介してそれぞれ外方に摺動し、それらの先端部がロック部108,108の係止孔108h,108hにそれぞれ嵌入して、荷受台Tを格納位置にロックすることができる。また、操作レバー102をアンロック位置(
図7、矢印方向)に回動すれば、そのロックが解除される。
【0049】
なお、前記ロック機構100は、従来公知のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0050】
以上のように、荷受台Tの左右側板57,58に、この荷受台Tを格納位置にロックするためのロック孔57h,58hを穿設しても、それらのロック孔57h,58hを含む、荷受台Tの左右側板57,58は、前記ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81の側面部81s,81sにより覆われて2層構造として補強されているので、荷受台Tに過大な負荷が作用してもロック孔57h,58hに応力が集中することがなく、荷受台Tの変形、破損を抑制することができる。
【0051】
つぎに、
図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
【0052】
第2実施形態において、前記第1実施形態と同じものには、同じ符合が付される。
【0053】
第2実施形態は、荷受台本体1に設けられるロック機構100の支持構造が前記第1実施態と相違しており、ヒンジ具80のヒンジフレーム81の側面部81sには、ロック機構100の作動ロッド106,107が遊びをあけて挿通される、前記ロック孔57h,58hと同心の通孔281hが穿設されると共にその側面部81sの内面には、前記通孔281hを囲んでロッド支持部材260が、複数のボルト・ナット261により固定されている。前記ロッド支持部材260は、スリーブ260sを有し、このスリーブ260sに、ロック機構100の作動ロッド106(107)の先端部が摺動自在に支持される。
【0054】
しかして、第2実施態様も、荷受台Tの左右側板57,58のロック孔57h,58hの周囲は、ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81により覆われて荷受台Tの側板57,58を補強することができる。
【0055】
つぎに、
図12〜15を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
【0056】
第3実施形態において、前記第1実施形態と同じものには、同じ符合が付される。
【0057】
この第3実施形態は、荷受台Tを格納位置にロックするためのロック機構の構造が前記第1,2実施態様と相違しており、この第3実施態様では、荷受台Tの左右側板57,58にそれぞれ設けたロック機構300,300により、荷受台Tを左右昇降支柱2,2に別々にロックするようにされる。
【0058】
以下、一方(左側)のロック機構300の構造について説明する。
【0059】
荷受台本体1の左側板57には、L字状の操作ハンドル302の屈曲した作動ロッド307が回動自在かつ左右方向に移動可能に支持されている。操作ハンドル302の作動ロッド307は、側板57の外面に固定したU字状のハンドル係止部材303、ヒンジフレーム81の通孔81hおよび荷受台本体1の側板57のロック孔57hを貫通して荷受台本体1の内方へ延び、その先端に螺合したダブルナット305と側板57との間にスリーブ304を介して圧縮コイルばね306が介在されている。圧縮コイルばね306は、操作ハンドル302を荷受台本体1の内方へ移動するように付勢しており、通常は操作ハンドル302は、ヒンジフレーム81に近接する位置に保持される。
【0060】
荷受台Tを張出位置〔
図13(B)〕から格納位置〔
図13(A)〕に起立回動したのち、操作ハンドル302を圧縮コイルばね306の付勢力に抗して外方に引き出し、U字状のハンドル係止部材303の外面に係止して、引き出し位置に保持された操作ハンドル302を昇降支柱2の固定したロックブラケット308のフック部に係合すれば、荷役台Tは、格納位置に固定される。
【0061】
しかして、第3実施態様も、荷受台Tの左右側板57,58のロック孔57h,58hの周囲は、ヒンジ具80,80のヒンジフレーム81,81により覆われて、荷受台Tの側板57,58を補強することができる。
【0062】
以上、本発明の第1〜3実施形態について説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0063】
たとえば、前記実施形態では、本発明に係る荷受台は表板とその表板に重ね合わされる裏板とを連結して構成されるが、この荷受台は複数枚の鋼板を溶接して構成されるもの(たとえば、登録実用新案第3169953号公報のもの)であってもよい。また、前記実施形態では、ヒンジ具は、側面部および前面部より形成されたヒンジフレームと、三角状の補強部とより構成されているが、少なくとも荷受台本体のロック孔を覆う側面部があればよく、前記前面部や補強部はなくてもよい。
【0064】
さらに、前記実施形態では、荷受台を荷役車両に設けた昇降支柱に沿って鉛直に昇降できるようにした鉛直昇降式の荷受台昇降装置に実施した場合を説明したが、これをアーム式の昇降装置を備えた荷受台昇降装置や、荷受台を荷役車両の床下に格納できるようにした、床下格納式の荷受台昇降装置に実施してもよい。さらにまた、荷役車両以外の移送装置の荷受台に実施することができる。