特許第5870006号(P5870006)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5870006
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】ブームスプレーヤ
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20160210BHJP
【FI】
   A01M7/00 J
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-247490(P2012-247490)
(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公開番号】特開2014-93977(P2014-93977A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000222978
【氏名又は名称】東洋農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】松田 公邦
(72)【発明者】
【氏名】野村 誠
(72)【発明者】
【氏名】石川 和久
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 忍
(72)【発明者】
【氏名】矢野 勇太
(72)【発明者】
【氏名】山本 隆博
(72)【発明者】
【氏名】神原 利勝
(72)【発明者】
【氏名】河辺 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山村 喜久次
(72)【発明者】
【氏名】太田 耕二
(72)【発明者】
【氏名】山田 政功
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−100579(JP,A)
【文献】 特開2003−235430(JP,A)
【文献】 特開2008−200005(JP,A)
【文献】 特開平06−153754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
B05B 17/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)と、前記車両(2)に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持されたセンターブーム(3)と、前記センターブーム(3)の両端に連結された一対のサイドブーム(4,4)と、を備えるブームスプレーヤ(1)であって、
前記センターブーム(3)又は前記車両(2)のいずれか一方は、当該センターブーム(3)を当該車両(2)に対して揺動不能にロックするための一対のロック機構(50,50)を有し、
前記一対のロック機構(50,50)は、前記センターブーム(3)が前記ロック機構(50,50)を有している場合は前記センターブーム(3)の長手方向に進退可能な可動部(52,52)をそれぞれ有し、前記車両(2)が前記ロック機構(50,50)を有している場合は前記車両(2)の左右方向に進退可能な可動部(52,52)をそれぞれ有し、
前記各可動部(52)は、
前記センターブーム(3)が前記ロック機構(50,50)を有している場合は前記センターブーム(3)の長手方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んで前記車両(2)に当接することにより前記センターブーム(3)を揺動不能にロックし、前記車両(2)が前記ロック機構(50,50)を有している場合は前記車両(2)の左右方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んで前記センターブーム(3)に当接することにより前記センターブーム(3)を揺動不能にロックする、ブームスプレーヤ(1)。
【請求項2】
前記可動部(52)は、進退するロッド(53)と、
前記ロッド(53)の先端に設けられ、前記センターブーム(3)又は前記車両(2)の前記ロック機構(50,50)を有していない方に当接する当接面(54A)を有すると共に、前記車両(2)の前後方向に通されたピン(56)を介して前記ロッド(53)の先端に回動自在に支持された頭部部材(54)と、を有する、請求項1記載のブームスプレーヤ(1)。
【請求項3】
前記センターブーム(3)又は前記車両(2)の前記ロック機構(50,50)を有している方は、前記可動部(52)の進退方向に延び前記頭部部材(54)の移動をガイドするための長孔(34C)を有し、
前記ピン(56)は、前記長孔(34C)に遊嵌配置されている、請求項2記載のブームスプレーヤ(1)。
【請求項4】
前記頭部部材(54)は、前記ロッド(53)の先端が進入する穴(54C)を有し、
前記ロッド(53)の先端面とこれに対向する前記穴(54C)の内壁との間に弾性部材(57)を有する、請求項2又は3記載のブームスプレーヤ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液を散布するためのセンターブーム及び一対のサイドブーム(以下、これらをまとめて「ブーム」と呼ぶ場合がある)が車両に備えられたブームスプレーヤが知られている。このブームスプレーヤが、水平な農地を有する圃場に薬剤を散布しながら走行するときは、ブームが農地又は作物に接触しないように、農地又は作物に対してブームを平行に保つことが望ましい。
【0003】
特許文献1には、水平な農地を有する圃場において、車両が路面の凹凸によって左右に傾いた場合でもブームを農地又は作物に対して平行に保つことができるように、ブームを車両に対して振り子状に揺動可能とした水平制御機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−200005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブームスプレーヤでは、一対のサイドブームの姿勢が対称でないとき、ブームスプレーヤが旋回するとき、傾斜圃場で作業するとき等、振り子による水平制御を停止することが求められる場面がある。この場合、センターブームと車両側とに作業者がピンを挿通させセンターブームの動きを止めて水平制御を停止することが考えられるが、ピン孔の位置合わせやピンの挿通作業が面倒で煩雑であった。
【0006】
そこで本発明は、センターブームの水平制御を容易に停止することができるブームスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブームスプレーヤ(1)は、車両(2)と、車両(2)に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持されたセンターブーム(3)と、センターブーム(3)の両端に連結された一対のサイドブーム(4,4)と、を備えるブームスプレーヤ(1)であって、センターブーム(3)又は車両(2)のいずれか一方は、当該センターブーム(3)を当該車両(2)に対して揺動不能にロックするための一対のロック機構(50,50)を有し、一対のロック機構(50,50)は、センターブーム(3)がロック機構(50,50)を有している場合はセンターブーム(3)の長手方向に進退可能な可動部(52,52)をそれぞれ有し、車両(2)がロック機構(50,50)を有している場合は車両(2)の左右方向に進退可能な可動部(52,52)をそれぞれ有し、各可動部(52)は、センターブーム(3)がロック機構(50,50)を有している場合はセンターブーム(3)の長手方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んで車両(2)に当接することによりセンターブーム(3)を揺動不能にロックし、車両(2)がロック機構(50,50)を有している場合は車両(2)の左右方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んでセンターブーム(3)に当接することによりセンターブーム(3)を揺動不能にロックする。
【0008】
このブームスプレーヤ(1)によれば、センターブーム(3)がロック機構(50,50)を有している場合は左右一対のロック機構(50,50)の可動部(52)がセンターブーム(3)の長手方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んで車両(2)に当接することによりセンターブーム(3)を揺動不能にロックし、車両(2)がロック機構(50,50)を有している場合は車両(2)の左右方向で互いに異なる向きにそれぞれ進んでセンターブーム(3)に当接することによりセンターブーム(3)を揺動不能にロックするため、センターブーム(3)の水平制御を容易に停止することができる。
【0009】
ここで、可動部(52)は、進退するロッド(53)と、ロッド(53)の先端に設けられ、センターブーム(3)又は車両(2)のロック機構(50,50)を有していない方に当接する当接面(54A)を有すると共に、車両(2)の前後方向に通されたピン(56)を介してロッド(53)の先端に回動自在に支持された頭部部材(54)と、を有することが好ましい。センターブーム(3)が車両(2)の上下方向に対して垂直でないときにロックして水平制御を停止させた場合、センターブーム(3)が揺動しようとする荷重を、可動部(52)がセンターブーム(3)又は車両(2)のロック機構(50,50)を有していない方から斜めに受けることになる。ここで、当接面(54A)を有する頭部部材(54)がピン(56)を介してロッド(53)の先端に回動自在に支持されているため、頭部部材(54)がピン(56)を支点に回動して当接面(54A)全体で荷重を受けることができる。
【0010】
また、センターブーム(3)又は車両(2)のロック機構(50,50)を有している方は、可動部(52)の進退方向に延び頭部部材(54)の移動をガイドするための長孔(34C)を有し、ピン(56)は、長孔(34C)に遊嵌配置されていることが好ましい。この場合、長孔(34C)が頭部部材(54)の移動のガイドになると共に、可動部(52)が受ける曲げ荷重を、ピン(56)を介して長孔(34C)を形成する部材(34B)で受けることができる。
【0011】
また、頭部部材(54)は、ロッド(53)の先端が進入する穴(54C)を有し、ロッド(53)の先端面とこれに対向する穴(54C)の内壁との間に弾性部材(57)を有することが好ましい。センターブーム(3)が車両(2)の上下方向に対して垂直でないときにロックして水平制御を停止させた場合、センターブーム(3)が車両(2)の上下方向に対して垂直である場合と比べて、可動部(52)の頭部部材(54)同士の間の距離(A2)が長くなる。ここで、頭部部材(54)が、ロッド(52)の先端が進入する穴(54C)を有し、ロッド(52)の先端面とこれに対向する穴(54C)の内壁との間に弾性部材(57)を有しているため、弾性部材(57)の弾性により当該距離差を吸収することができ、頭部部材(54)同士の間の距離の変位に対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センターブームの水平制御を容易に停止することができるブームスプレーヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のブームスプレーヤの側面図である。
図2図1の後方斜視図である。
図3】昇降フレーム及びセンターブームの車両後方から見た後方図である。
図4図3の背面図である。
図5図3の斜視図である。
図6図3の部分拡大図である。
図7図5の部分拡大図である。
図8】ロックシリンダの動作説明図である。
図9】ロックシリンダの分解斜視図である。
図10】ロックシリンダの可動部の一部断面図である。
図11】ロックシリンダの可動部の動作を説明するための一部断面図である。
図12】センターブームが車両の上下方向に対して垂直である場合にロックした状態を示す後方図である。
図13】センターブームが車両の上下方向に対して垂直でない場合にロックした状態を示す後方図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
本明細書において「車両」とは自走式又は非自走式の車両を指す。以下の実施形態では非自走式である牽引式の車両の例を示す。また、本明細書において「上下」、「左右」、「前後」の表現は、車両の進行方向を基準としたものである。
【0016】
図1及び図2に示されるように、ブームスプレーヤ1は、圃場において農地又は作物に薬液散布を行うものであり、車両2と、車両2の後部に取付けられたセンターブーム3と、センターブーム3の両端に連結された一対のサイドブーム4とを備えている。サイドブーム4は、薬液散布を行わないときには折り畳まれ、図1及び図2に示されるように車両2に対して側方位置に斜め前上がりの状態で格納されている。薬液散布を行うときには、サイドブーム4をセンターブーム3に対して一直線状となるように広げる。
【0017】
車両2は、前後方向に長い機体フレーム5を有しており、その下側には車輪6が、その上側且つ後側には薬液タンク7が設けられている。機体フレーム5の上側且つ前側には薬液タンク7内の薬液をブーム3,4,4に輸送するポンプ8を備え、車両2の最前部には、車両2を牽引するトラクタの動力取出軸を車両2側の入力軸へ接続するためのユニバーサルシャフト9を備えている。車両2の後部にはレール10,10が上下方向に延びるように固定されて設けられ、これに対して昇降フレーム11が、昇降フレーム11が有する昇降ローラ14を介して昇降可能に取り付けられている。昇降フレーム11の後方側には、センターブーム3が、左右一対のリンクロッド16A,16Bにより昇降フレーム11に揺動可能に支持され、二軸吊下げ式の水平制御機構を構成している。
【0018】
図3図6に示されるように、昇降フレーム11は、左右方向が長手方向となり前後方向視矩形状に組まれた枠体12を有している。枠体12は、互いに対向する上辺部材12A及び下辺部材12C、並びに左右一対の側辺部材12B,12Bから構成されている。この昇降フレーム11は、上下方向に延びて一端がレール10に、他端がセンターブーム3にそれぞれ固定された昇降シリンダ13を有しており、この昇降シリンダ13によって枠体12及びブーム3,4,4が上下に昇降可能とされている。また、昇降フレーム11は、枠体12を構成する左右一対の側辺部材12B,12Bそれぞれにおいて、上部及び下部に回転自在な昇降ローラ14,14を有し、これらの昇降ローラ14,14は、それぞれレール10に嵌合され、昇降フレーム11の上下動を可能としている(図2参照)。
【0019】
また、昇降フレーム11は、上辺部材12Aにおいて、左右両側の位置からそれぞれ上方へ延びる一対のリンクロッド支持突起15,15を有しており、このリンクロッド支持突起15,15のそれぞれの上端部には、センターブーム3を車両2側である昇降フレーム11に支持するための左右一対のリンクロッド16A,16Bの一端が回動可能に連結されている。また、昇降フレーム11には、上辺部材12Aの中央部に、センターブーム3に固定された後述する横架部材39を前後から挟んで、センターブーム3の前後動を規制すると共にセンターブーム3を上下左右方向に摺動自在にする摺動部材17が設けられている。
【0020】
また、昇降フレーム11は、下辺部材12Cの後方側の面において、下辺部材12Cの左右両側の位置に一対の上下に延びる縦部材18,18が固定されている(図4)。これら縦部材18,18は、その上端及び下端からそれぞれ車両後方側へ突出して延びる断面コ字型の一対の板部材19,19をそれぞれ有している。この一対の板部材19,19の後端部には、鉛直方向に延びる丸棒状のローラ20,20が設けられており、このローラ20,20は、その上下端により一対の板部材19,19の後端部同士を連結している。すなわち、昇降フレーム11の左右方向視において、縦部材18、一対の板部材19,19及びローラ20とで、矩形環が形成されている。
【0021】
センターブーム3は、左右方向が長手方向となる断面矩形の上辺部材31及び下辺部材32を有し、これらが、上辺部材31及び下辺部材32の中央部近傍において上下方向に延びる一対の縦部材33,33により互いに連結されて構成されている。ここで、上辺部材31は、前述の昇降フレーム11における縦部材18、一対の板部材19,19及びローラ20とで形成された矩形環の上方に位置し、下辺部材32は、当該矩形環の内側に通され、その後方側の面が後述する第1の板部材34Aを介してローラ20に対面している。下辺部材32の下方には、薬液を散布するための複数のノズル35を備えてセンターブーム3の長手方向に沿って延びるノズルパイプ36が、ノズルパイプ支持材37により支持されている。また、センターブーム3の左右の両端部には、それぞれサイドブーム4が回動可能に連結されている。なお、図3〜5では、サイドブーム4はセンターブーム3との連結部分のみが示されている。
【0022】
図6に示されるように、下辺部材32の上面には、左右一対のブラケット38,38が設けられている。この一対のブラケット38,38には、昇降フレーム11に連結された前述の左右一対のリンクロッド16A,16Bの他端がそれぞれ回動可能に連結されている。これにより、センターブーム3が、左右一対のリンクロッド16A,16Bを介して、昇降フレーム11に対して左右方向に振り子状に揺動可能に支持され、二軸吊下げ式の水平制御機構を構成している。なお、リンクロッド16A,16Bの一方(ここでは左側のリンクロッド16A)は、伸縮可能な傾斜シリンダ16Aとされている。
【0023】
センターブーム3の上辺部材31の中央上方には、上辺部材31と離間して横架された横架部材39が、連結部材39Aを介してセンターブーム3に固定されている。横架部材39は、前述のように、昇降フレーム11に設けられた摺動部材17によりその前後から挟まれ上下左右方向に摺動自在とされている。また、図7及び図8に示されるように、センターブーム3の下辺部材32のうち、前述の昇降フレーム11における縦部材18、一対の板部材19,19及びローラ20とで形成された矩形環に通された位置における下辺部材32の後方側の面には、第1の板部材34Aが下辺部材32の長手方向に沿い且つ当該矩形環の内側に固定され、第1の板部材34Aの後方に離間する位置には、ローラ20を挟むようにして第1の板部材34Aに対向する第2の板部材34Bが設けられている。第2の板部材34Bのセンターブーム3中央側の一端は、縦部材33の下端に連結され、第2の板部材34Bの他端は、センターブーム3の下辺部材32の後方側の面に設けられたブラケット40に連結されている。すなわち、車両2側を主として、これに対してセンターブーム3は、前後動が規制されて上下左右方向に摺動自在とされている。
【0024】
なお、摺動部材17と横架部材39、及び、ローラ20と第1及び第2の板部材34A,34Bは、それぞれ互いに摺動自在であるが、これらの部材間には、センターブーム3の揺動を許容するための隙間が設けられている。
【0025】
また、図6に示されるように、ブラケット40の下方には、センターブーム3の下辺部材32の下面に設けられ後方へ延びるブラケット41が位置しており、ブラケット41には、コイルバネ42が外挿されたピン43が左右方向に通されており、このピン43のセンターブーム3の中央寄り側の端部には、ローラ20に当接することでセンターブーム3の揺動の限界点を規定するためのストッパ44が設けられている。
【0026】
センターブーム3の下辺部材32の後方側の面には、左右一対のロックシリンダ(ロック機構)50,50が設けられている。ロックシリンダ50は、例えば油圧シリンダであり、図7及び図8に示されるように、その本体部(シリンダ部)51が車両側方に、その頭部部材54が左右方向中央寄りに位置するように取り付けられている。
【0027】
図9に示されるように、ロックシリンダ50は、略円筒状をなし一端が開放されると共に他端が閉じられ内部に円筒状の空間を有する本体部51と、本体部51に対して軸線方向に進退可能な可動部52とを有している。可動部52は、一端が本体部51の内部へ進入し他端が本体部51の外側へ突出しているロッド53と、このロッド53の他端(先端)に設けられローラ20に当接する当接面54Aを有する頭部部材54とを具備している。ロッド53の他端には前後方向に貫通するピン孔55が形成され、頭部部材54は、ロッド53の他端が進入する有底の穴54Cを有し(図10及び図11参照)、ピン56が、頭部部材54に前後方向に設けられた孔54B及びロッド53のピン孔55に通されることで、頭部部材54がロッド53の他端に支持されている。ここで、頭部部材54に設けられた穴54Cの径は、ロッド53の他端の径よりも多少大きくされており(図10)、これにより頭部部材54は、ロッド53の他端に対してピン56を中心として回動自在に支持されている。また、頭部部材54に通されたピン56には、その端部に円環状の溝56Aが形成されており、この溝56Aが長孔34Cを形成する第2の板部材34Bの孔縁部に進入することにより、ピン56が長孔34Cに遊嵌配置されている(図7)。
【0028】
また、図9及び図10に示されるように、ロッド53の他端面とこれに対向する頭部部材54の穴54Cの内壁との間には、例えばパッキン等の弾性部材57が設けられている。
【0029】
以上のように構成された本実施形態のブームスプレーヤ1によれば、ロックシリンダ50の可動部52がローラ20へ向けて移動していないとき(図7の状態)、センターブーム3は、ストッパ44の位置を限界点として左右方向に振り子状に揺動する。これにより、車両2が路面の凹凸によって左右に傾いた場合であっても、サイドブーム4が農地又は作物に接触しないように、農地又は作物に対してサイドブーム4を平行に保ちながら薬液散布を行うことができる。
【0030】
ここで、一対のサイドブーム4,4の姿勢が対称でないとき、ブームスプレーヤ1が旋回するとき、傾斜圃場で作業するとき等、振り子による水平制御を停止することが求められる場面がある。このとき、ロックシリンダ50の可動部52をセンターブーム3の中央寄り側に向けて移動させて車両2側となるローラ20に当接させることにより(図8の状態)、一対のローラ20,20を左右両側から挟み込み、振り子をロックしてセンターブーム3の揺動を抑えることができ、センターブーム3を揺動不能にロックすることができる。
【0031】
ここで、ロックシリンダ50の可動部52が移動してローラ20に当接するとき、第2の板部材34Bに形成された長孔34Cがピン56を介して頭部部材54の移動のガイドとなる。これにより、頭部部材54がローラ20に向けて正確に移動することができると共に、可動部52が曲げ荷重を受ける場合に、当該曲げ荷重をピン56を介して第2の板部材34Bで受けることができ、可動部52の変形や破損を防止することができる。
【0032】
また、車両2が左右に傾いている場合や、傾斜圃場にて傾斜シリンダ16Aを伸縮させてセンターブーム3の傾きを所定の角度に強制的に維持している場合では、センターブーム3が車両の上下方向に対して垂直でない状態となる。この場合にセンターブーム3をロックして水平制御を停止させると、センターブーム3が揺動しようとする荷重を、可動部52がローラ20から斜めに受けることになる。ここで、本実施形態のブームスプレーヤ1では、当接面54Aを有する頭部部材54がピン56を介してロッド53の他端に回動自在に支持されているため(頭部部材54に設けられた穴54Cの径がロッド53の他端の径よりも多少大きくされており両者間にアソビが生じているため)、図11に示されるように、頭部部材54がピン56を支点に回動して当接面54A全体でローラ20から当該荷重を受けることができる。
【0033】
また、前述のように傾斜シリンダ16Aを伸縮させているときに水平制御を停止させた場合、図12及び図13に示されるように、センターブーム3が車両2の上下方向に対して垂直である場合における可動部52の頭部部材54同士の間の距離(図12のA1)と比べて、センターブーム3が車両2の上下方向に対して垂直でない場合における可動部52の頭部部材54同士の間の距離(図13のA2)が長くなる。本実施形態のブームスプレーヤ1では、ロッド53の他端面とこれに対向する頭部部材54の穴54Cの内壁との間に弾性部材57が設けられているため、弾性部材57の弾性により当該距離差を吸収することができ、頭部部材54同士の間の距離の変位に対応することができる。
【0034】
このように、本実施形態のブームスプレーヤ1によれば、車両2の姿勢、サイドブーム4の姿勢のバランス、傾斜シリンダ16Aの伸縮状態、走行の有無等に関わらず、センターブーム3の水平制御を容易に停止することができる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ロックシリンダ50を設ける左右の向きについて、ロックシリンダ50の可動部52をセンターブーム3の中央寄り側に向けて移動させてローラ20に当接させる向きとしたが、左右反対の向きとしてもよい。すなわち、上記実施形態では、センターブーム3を揺動不能にロックする際に、一対のローラ20,20を左右両側から挟み込む態様としたが、一対のローラ20,20の内側からこれらを突っ張らせるようにロックシリンダ50の可動部52を当接させる態様としてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では二本のリンクロッド16A,16Bでセンターブーム3を振り子状に揺動させる二軸吊下げ式の水平制御機構を例にしたが、一軸回転式の水平制御機構に対しても適用することができる。
【0037】
また、上記実施形態ではレール10及び昇降フレーム11を車両2の一部として、これにセンターブーム3が支持される態様を説明したが、センターブーム3を昇降させる必要がない場合は、レール10及び昇降フレーム11を備えない態様としてもよい。また、上記実施形態ではセンターブーム3にロックシリンダ50が設けられ、その可動部52が車両2側であるローラ20に当接される態様を説明したが、ロックシリンダ50が車両2に設けられ、その可動部52がセンターブーム3側に当接される態様としてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では牽引式の車両の例を示したが、車両はマウント式の車両であってもよく、自走式の車両であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…ブームスプレーヤ、2…車両、3…センターブーム、4…サイドブーム、34C…長孔、50…ロックシリンダ(ロック機構)、52…可動部、53…ロッド、54…頭部部材、54A…当接面、54C…穴、56…ピン、57…弾性部材。
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