特許第5870106号(P5870106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5870106
(24)【登録日】2016年1月15日
(45)【発行日】2016年2月24日
(54)【発明の名称】記録基板処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20160210BHJP
   F26B 3/18 20060101ALI20160210BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20160210BHJP
   F26B 23/00 20060101ALI20160210BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20160210BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20160210BHJP
   F26B 13/10 20060101ALI20160210BHJP
【FI】
   B41J29/00 H
   F26B3/18
   F26B21/00 E
   F26B23/00 A
   B41J2/01 125
   B41J2/01 401
   G03G21/20
   F26B13/10 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-529620(P2013-529620)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-544665(P2013-544665A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011066150
(87)【国際公開番号】WO2012041725
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】10179943.5
(32)【優先日】2010年9月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593016732
【氏名又は名称】オセ−テクノロジーズ ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ボーエステン,ハーバータス エム・イェー・エム
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−031401(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02010104(GB,A)
【文献】 特開昭63−195680(JP,A)
【文献】 特開昭57−047995(JP,A)
【文献】 特開昭57−124770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 2/01−2/215
F26B 3/18
F26B 13/10
F26B 21/00
F26B 23/00
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録基板を直接加熱する加熱装置;
記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮させる凝縮器;及び
前記凝縮器による前記液体の凝縮によって放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するように備えられたエネルギー伝達システム;
前記凝縮器により冷却された空気の流れを記録基板に供給するための管路;
を有する記録基板処理装置。
【請求項2】
当該記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置の少なくとも一を有する、請求項1に記載の記録基板処理装置。
【請求項3】
前記凝縮器は、熱交換器の第1側で空気から液体を凝縮し、前記熱交換器の第2側で、前記液体の凝縮により放出される潜熱からのエネルギーを与えるように設定された熱交換器であって、前記第2側は前記第1側とは別個である、熱交換器を有する、請求項1又は2に記載の記録基板処理装置。
【請求項4】
前記加熱装置は、前記記録基板を支持し、且つ前記記録基板を直接加熱するための支持部材を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項5】
前記加熱装置は、熱を伝達する熱伝達流体を用いるように設定されている、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項6】
前記エネルギー伝達システムは、前記凝縮器による前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達する熱伝達流体を有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項7】
前記エネルギー伝達システムはヒートポンプを有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項8】
当該記録基板処理装置は:
記録基板搬送路の周囲からの空気についての少なくとも1つの出口;及び
記録基板搬送路の周囲の上部境界面であって、前記少なくとも1つの出口の方に暖気を案内するための前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、上部境界面;
を更に有する、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項9】
空気供給管路が、当該記録基板処理装置の印刷基板入口開口及び印刷基板出口開口の少なくとも一において前記記録基板の印刷基板搬送側に空気流を供給するように備えられている、請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至の何れか一項に記載の記録基板処理装置を有する画像形成機器。
【請求項11】
当該画像形成機器は、記録基板上に少なくとも1つの印刷物質を印刷する画像形成ユニットを有する、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
記録基板を乾燥させる方法であって:
加熱装置により記録基板を加熱するステップ;
凝縮器により前記記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ;及び
前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ;
管路により、前記凝縮器によって冷却された空気の流れを記録基板に供給するステップ;
を有する方法。
【請求項13】
記録基板上に印刷物質を固定する方法であって:
加熱装置により記録基板を加熱するステップ;
凝縮器により前記記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ;及び
前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ;
管路により、前記凝縮器によって冷却された空気の流れを記録基板に供給するステップ;
を有する方法。
【請求項14】
記録基板搬送路の周囲の上部境界面により前記記録基板の周囲から少なくとも1つの出口の方に空気を案内するステップであって、前記上部境界面は前記少なくとも1つの出力の方に上向き傾斜を有する、ステップ;
を更に有する、請求項12又は13に記載の方法。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録基板処理装置に関し、特に、プリンタ又は複写機のための記録基板処理装置に関する。例えば、記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置のうち少なくとも一を有する。
【背景技術】
【0002】
複写及び印刷の分野では、記録基板上の印刷を乾燥させる又は固定することが知られている。例えば、紙のシートなどの印刷基板に対するトナー粉末を溶解させるためのフューザが知られている。例えば、フューザは、紙にトナーを加熱して付着させるための印刷基板支持ローラを加熱するように備えられることが可能である放熱ランプを有する。
【0003】
独国特許第2010104A号明細書においては、印刷された紙ウェブの乾燥からの空気から印刷インク溶剤を蒸発させて凝縮させるための方法及び装置について開示されている。溶剤の蒸気は、冷凍ユニットの蒸発器及び蒸気から引き出された熱により凝縮され、冷凍ユニットの凝縮器に対して冷媒中に再循環される。混入した溶剤の蒸気から全体的に又は部分的に開放された冷却空気は、凝縮器の中を通る冷媒により加熱される。そのように加熱された空気はその場合、任意の補助的温度制御可能ヒータを介して、ウェブが通されるチャンバの中に通される。
【0004】
記録シートへの印刷物質の固定は通常、印刷物質を有する記録基板の加熱と、印刷物質からもたらされる溶剤及び/又は水の蒸発とを含む。
【0005】
湿った暖気が、例えば、フューザから逃げるとき、このことは、他の機械部品の不所望な加熱、及び/又は紙案内プレート、出力ローラなどの低温面での凝縮などに繋がって、印刷の欠陥をもたらす可能性がある。例えば、フューザからの湿った暖気が紙出力ローラを加熱するとき、再印刷が結果として生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許第2010104A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、記録基板処理装置であって、記録基板入口及び/又は出口でその装置から逃げる不所望な暖気流が最小化又は回避されることが可能である記録基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の1つ又はそれ以上の達成を容易にするように、本発明に従って、記録基板処理装置であって、
− 記録基板を直接加熱する加熱装置
− 記録基板の周囲の空気から液体を凝縮する凝縮器、及び
− 凝縮器による液体の前記凝縮により放出される潜熱から加熱装置にエネルギーを伝達するエネルギー伝達システム
を有する記録基板処理装置を提供する。
【0009】
ラテックスインクなどの水性インクを用いてなされる印刷の乾燥又は固定は、その印刷からのインクにより与えられる水を除去するためにかなりの量のエネルギーが必要である。その必要なエネルギーは、記録基板を直接加熱するように備えられた加熱装置により与えられることが可能である。本発明においては、記録基板を直接加熱することは、例えば、加熱プレートの上方を記録基板を通すことにより又は放射ヒータによって記録基板を照射することにより、記録基板に対して直接必要なエネルギーを与えるとして解釈される。従って、直接加熱は、記録媒体の上方を加熱された気体媒体を通すことの前に、気体媒体、特に、空気を加熱することによる記録基板の間接加熱を含まない。記録基板を直接加熱するのに適する加熱装置の例は、従って、加熱プレート及び放射ヒータである。特に記録基板の周囲で操作中に記録基板処理装置内で発生する湿った空気は、比較的かなりの量の潜熱エネルギーを含み得、その潜熱エネルギーは加熱装置に伝達され得る。例えば、その潜熱エネルギーは、記録基板の加熱に寄与するように、加熱装置に伝達される。例えば、第1の記録基板上の又は記録基板の第1の部分上の印刷物質からもたらされる潜熱は、第1の記録基板とは異なる次の記録基板又は第1の記録基板の第2の部分を加熱するのに寄与し得る。いずれにしても、印刷基板からもたらされる蒸発された液体を凝縮することにより、空気は乾燥され且つ冷却される。従って、入口開口及び出口開口で装置から逃げる空気は乾燥し且つ冷却している。
【0010】
例えば、加熱装置は、処理装置の記録基板入口側で記録基板を加熱するように設定されることが可能である。例えば、記録基板は、加熱される記録基板を予め加熱するように設定されることが可能である。
【0011】
本発明についての有益な詳細については、従属請求項に記載されている。
【0012】
実施形態においては、記録基板処理装置は、凝縮器により冷却された空気流を記録基板に供給するための管路を更に有する。
【0013】
本発明の有利点は、記録基板に乾燥した冷気流が、記録基板装置の乾燥能力を高めることが可能である記録基板の周囲の空気をリフレッシュすることである。
【0014】
本発明の他の有利点は、乾燥した冷気流の少なくとも一部が、記録基板処理装置の記録基板出口近傍で記録基板に与えられるときに、記録基板が、記録基板処理装置を出る前に、冷却されることが可能であり、そのことは、記録基板装置のエネルギー効率を改善し得る。
【0015】
実施形態においては、記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置の少なくとも一を更に有する。例えば、乾燥/固定装置は、上記の第1の加熱装置とは別個に備えられてよい。例えば、乾燥/固定装置は第1の加熱装置であることが可能である。例えば、第1の加熱装置は、記録基板搬送方向における乾燥/固定装置の上流に備えられることが可能である。第1の加熱装置は乾燥/固定に寄与することが可能である。例えば、第1の加熱装置は、記録基板を予め加熱するように備えられることが可能である。
【0016】
例えば、記録基板処理装置は、記録基板の周囲から空気を排気し、凝縮器にその空気を輸送する換気ユニットを有することが可能である。
【0017】
実施形態においては、凝縮器は、熱交換器であって、熱交換器の第1側において空気から液体を凝縮し、前記第1側とは別個の、熱交換器の第2側において液体の前記凝縮により放出される潜熱からのエネルギーを与えるように設定された熱交換器を有する。従って、凝縮器は、冷却された空気を与えることが可能であり、前記冷却された空気から分離された潜熱からの前記エネルギーを与えることが可能である。それにも拘わらず、実施形態においては、前記与えられるエネルギーは、凝縮器から与えられる前記冷却された空気を加熱するように用いられることが可能である。例えば、乾燥され再加熱された空気が、印刷基板の周囲に再循環されることが可能である。
【0018】
例えば、エネルギー伝達システムはヒートポンプを有することが可能である。例えば、ヒートポンプは、ヒートポンプの加熱装置側に、ヒートポンプの凝縮器側における温度より高い温度を与えるように設定されることが可能である。実施形態においては、エネルギー伝達システムは熱輸送流体を用いる。そのようなエネルギー輸送流体は、熱輸送流体(例えば、R134aとして知られている流体)として用いるための、当該技術分野で知られている何れかの流体であることが可能である。しかしながら、印刷装置に備えられる乾燥装置の実施形態で達せられることが可能である温度を考慮して、二酸化炭素(R744と呼ばれる熱輸送流体のような)が有利に用いられることが可能である。
【0019】
更に、エネルギーは、印刷物質からもたらされる蒸発された液体の凝縮からばかりでなく、前記液体を蒸発させるために加熱された印刷基板からも回収されることが可能であることが予測される。従って、実施形態においては、印刷装置は、例えば、乾燥のために、そのような基板が加熱されたときに、基板から熱を受けるように適切なヒートポンプなどの手段が備えられる。
【0020】
他の実施形態においては、エネルギーは印刷装置の他の部分から回収されることが可能である。例えば、加熱された空気は冷却されることが可能であり、回収された熱エネルギーは、本発明の加熱装置に伝達されることが可能である。同様に、ヒートポンプなどの適切な熱伝達システムを用いて、熱エネルギーが、印刷装置の環境から回収され、加熱装置に供給されることが可能である。その環境は、印刷装置により加熱されることが可能であり、従って、再び冷却されることが可能である一方、少なくとも一部において前に消費されたエネルギーをもたらすことが可能である。
【0021】
実施形態においては、空気供給管路が、記録基板の印刷物質搬送側に空気流を供給するように備えられる。実施形態においては、その管路は、記録基板処理装置の印刷基板入口開口及び/又は印刷基板出口開口において前記空気流を供給するように備えられる。
【0022】
本発明の他の構成においては、記録基板を乾燥させる方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 凝縮器により記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ、
− 前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ
を有する方法が提供される。
【0023】
本実施形態に従った方法の加熱ステップにおいて用いられる加熱装置は、以下で説明するように、記録基板を直接加熱するように備えられる。
【0024】
実施形態においては、記録基板を乾燥させる方法は、凝縮器により冷却された乾燥した冷気流を記録基板に供給するステップを更に有する。
【0025】
例えば、その方法は、記録基板に印刷された印刷物質を有する記録基板を乾燥させる方法である。
【0026】
本発明の他の構成においては、記録基板上に印刷物質を固定する方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 凝縮器により記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ、
− 前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ
を有する方法が提供される。
【0027】
本実施形態に従った方法の加熱ステップにおいて用いられる加熱装置は、以下で説明するように、記録基板を直接加熱するように備えられる。
【0028】
実施形態においては、記録基板上に印刷基板を固定する方法は、凝縮器により冷却された乾燥した冷気流を記録基板に供給するステップを更に有する。
【0029】
例えば、その方法は、記録基板上に印刷物質を固定するステップであって、
− 印刷基板を有する記録基板を乾燥させるステップ、及び
− 記録基板に印刷物質を溶解させるステップ
の少なくとも一を有するステップを有する。
【0030】
本発明の他の構成においては、記録基板処理装置であって、
− 記録基板を直接加熱する加熱装置、
− 記録基板搬送路の周囲の空気のための少なくとも1つの出口、及び
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面であって、前記少なくとも1つの出口の方に暖気を案内するために前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、上部境界面
を有する。
【0031】
このような本発明の構成は、本発明の上記特徴から独立して実施されることも可能である。
【0032】
従って、少なくとも1つの出口の方に暖気を案内することにより、処理装置から湿った暖気が制御されずに逃げることが回避されることが可能である。それに代えて、処理装置の記録基板入口開口及び/又は出口開口において、空気の流入が更にあり得る。
【0033】
実施形態においては、記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置の少なくとも一を更に有する。
【0034】
例えば、記録基板処理装置は、少なくとも1つの出口を通って記録基板の周囲の空気を排出する換気ユニットを有することが可能である。
【0035】
実施形態においては、記録基板搬送方向でみて、前記少なくとも1つの出口は、前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する第1上部境界面と、前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する第2上部境界面との間に備えられる。
【0036】
例えば、第1上部境界面及び第2上部境界面は、前記少なくとも1つの出口の方の反対方向に上向き傾斜を有することが可能である。例えば、前記少なくとも1つの空気出口は、記録基板処理装置の又は記録基板処理装置の筐体の記録基板入口開口とその出口開口との間の中央に備えられることが可能である。
【0037】
本発明のこのような構成の特徴は、本発明の他の構成の特徴と有利に組み合わされることが可能である。例えば、処理装置は、出口を通って記録基板搬送路の周囲の空気を排出し、且つ凝縮器に前記空気を輸送するための換気ユニットを有することが可能である。
【0038】
本発明の他の構成においては、記録基板を乾燥させる方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面により記録基板の周囲から少なくとも1つの出口の方に空気を案内するステップであって、前記上部境界面は前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、ステップ、
を有する方法が提供される。
【0039】
本発明のこのような構成は、本発明の上記構成から独立して実施されることが可能である。
【0040】
本発明の他の構成においては、記録基板上に印刷物質を固定する方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面により記録基板の周囲から少なくとも1つの出口の方に空気を案内するステップであって、前記上部境界面は前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、ステップ、
を有する方法が提供される。
【0041】
本発明のこのような構成は、本発明の上記構成から独立して実施されることが可能である。
【0042】
本発明については、以下で与えられる詳細説明と、単に例示として与えられるが本発明を制限するものでない添付図とにより十分に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】記録基板上に印刷物質を固定するための記録基板処理装置を有する画像形成機器を示す模式図である。
図2】記録基板処理装置の詳細を示す模式図である。
図3】記録基板処理装置の第2の実施形態の模式図である。
図4】他の記録基板処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明に従った記録基板処理装置10を有する画像形成装置又は印刷システムの模式図である。
【0045】
図2は、記録基板処理装置10を更に詳細に模式的に示している。
【0046】
処理装置10は、記録基板14を乾燥させて、それにより、記録基板14上に印刷物質を固定するための乾燥装置12を有する。
【0047】
印刷システムは、少なくとも1つの印刷ヘッド18を有する画像形成ユニット又は印刷ユニット16を更に有する。図1においては、5つのインクジェット印刷ヘッド18が、破線で模式的に示されているシート搬送路19の周囲に備えられている。シート搬送手段20は、搬送路19に沿って印刷ヘッド18を過ぎて、更に記録基板処理装置10の中を通って、記録基板14、例えば、紙のシートを搬送するように備えられる。例えば、印刷ヘッド18は、印刷される画像に従って、記録基板に対してラテックスインクなどの水性インクの形で印刷物質を印刷する。処理装置10の下流に、冷却ユニット22が、記録基板14を冷却するための搬送路に備えられている。例えば、シート搬送手段は、ローラ26に備えられた1つ又はそれ以上のベルト24を有する。
【0048】
乾燥/固定装置12は、記録基板14を直接加熱する加熱装置28を有する。加熱装置28は、加熱プレート30と、例えば、シート搬送手段20のベルトの形での支持部材32とを有し、そのベルトは加熱プレート30の第1(上)側に沿って移動可能である。従って、支持部材32は、加熱プレートの第1(上)側で記録基板14を支持し、加熱プレートの第2(下)側で熱を受けるベルトである。熱は、ベルトの第2側に備えられた加熱プレートから受ける。
【0049】
加熱装置28によって記録基板を加熱することにより、記録基板14は乾燥し、それにより、水性インクの形である印刷物質は記録基板14に固定される。水は、記録/固定装置12の筐体34内で記録基板の周囲の空気内に記録基板から蒸発する。記録基板処理装置10は更に、乾燥/固定装置12から空気を排出するための管路36を有する換気ユニットを有する。例えば、管路36は、筐体34の記録基板入側で空気を排出するように備えられている。管路36は、管路36からの空気から、液体、特に、湿気又は水を凝縮するための凝縮器38に接続されている。
【0050】
例えば、凝縮器38は熱交換器を有する。図2に模式的に示しているように、管路36からの空気からの液体は、熱交換器の第1側38aで凝縮され、前記液体の凝縮により放出される潜熱からのエネルギーは、熱交換器の第2側38bで熱輸送流体に与えられる。また、顕熱は、空気から熱輸送流体に輸送される。第2側38bは、熱交換器の第1側38aと分離されている。例えば、第1側及び第2側は、熱輸送流体から空気を分離する熱交換器の分離壁の反対側である。凝縮された液体は、例えば、リザーバ内に収集される。
【0051】
従って、熱交換器の第1側で、管路36からの空気は冷却され、乾燥した冷気が、筐体34の記録基板出側で乾燥/固定装置12に管路42を介して供給され且つ伝達される。
【0052】
記録基板処理装置10は更に、加熱装置28にエネルギーを伝達するエネルギー伝達システムを有し、そのエネルギーは凝縮器38の熱交換器内の熱伝達流体に与えられる。従って、白抜き矢印で図1に模式的に示すように、凝縮器38による液体の凝縮により放出される潜熱からのエネルギー、及び管路36からの暖気から熱輸送流体に輸送される熱エネルギーは加熱装置28に輸送される。
【0053】
エネルギー伝達システムは、例えば、熱伝達流体を作動流体として用いるヒートポンプ44を有する。例えば、熱伝達流体は、凝縮器38の熱交換器の第2側で蒸発し、ヒートポンプ44の他の熱交換器46内で凝縮される冷媒であることが可能である。従って、凝縮器38の熱交換器及び熱交換器46の各々は、ヒートポンプの一部を構成する。
【0054】
熱交換器46は、凝縮熱伝達流体から加熱プレート30に熱を輸送するために備えられている。例えば、熱交換器46は、加熱プレート30と熱伝導接触している。
【0055】
従って、ヒートポンプ44は、加熱プレート30において、ヒートポンプ44の凝縮器側の温度より、及び/又は乾燥/固定装置12において記録基板14の周囲から排出される空気の温度より高い温度を与えることが可能である。水性インクから蒸発する水の潜熱は、熱伝導性加熱プレート30にエネルギーを供給するヒートポンプ44により引き出され且つ変換される。
【0056】
例えば、他の従来型加熱手段48が、加熱プレート30を加熱するために備えられることが可能である。例えば、温度調節手段49が、加熱プレート30の温度を、従って、乾燥/固定装置12における記録基板14の温度を調節するように備えられることが可能である。
【0057】
例えば、各々の記録基板14は、伝導性加熱プレート30により100°より高い温度に加熱される。凝縮された湿気から及び排出された空気の熱エネルギーからエネルギーを引き出すことにより、上記記録基板処理装置10は、記録基板から除去される必要がある湿気の量が多い、水性インクを用いる高生産性のプリンタ又は複写機において特に有利である。例えば、大きい画像領域が、1分当たりA4で150ページ(150ppm)の印刷速度で印刷されるとき、除去されるべき湿気の量は、1時間当たり約6リットルであり得る。従って、潜熱の形で蒸発する水のエネルギー含量はかなりの量である。処理装置は、潜熱からかなりの量のエネルギーを引き出すことが可能である。
【0058】
図3は、画像形成機器の記録基板処理装置50の第2の実施形態を模式的に示している。画像形成機器は、例えば、レーザプリンタである。
【0059】
記録基板処理装置50は、記録基板14上に、印刷物質、例えば、トナーを固定/溶解させるフューザの形の固定装置52を有する。記録基板14は、当該技術分野で知られているシート搬送手段により固定装置52を介して、画像形成ユニット56、例えば、レーザ印刷ユニットから搬送される。
【0060】
例えば、処理装置50は、記録基板14を支持する案内レールの形で支持部材58を有し、記録基板は処理装置50の中を通って搬送される。処理装置50の下流に、例えば、搬送ニップを構成するシート搬送ローラ60が備えられる。
【0061】
固定装置52は、当該技術分野で知られている溶解ユニット62を有する。例えば、溶解ユニット62は、印刷物質を融解させて、それにより、記録基板14にその印刷物質を付着させる放射源を構成する放射ヒータを有する。
【0062】
例えば、溶解ユニット62は、破線で模式的に示しているシート搬送路19の第1(下)側に備えられる。例えば、シート搬送路19の第2(上)側には、等化ユニット64と溶解ユニット62との間の空間の温度勾配を低減するための等化ユニット64が備えられる。
【0063】
例えば、記録基板搬送路19の周囲の上部境界面66は等化ユニットにより構成される。図示している実施例においては、第1上部境界面66aは、第2上部境界面66bの上流に備えられる。第1上部境界面66aは記録基板搬送方向にわずかに上向き傾斜を有し、第2上部境界面66bは反対方向にわずかに上向き傾斜を有する。
【0064】
第1上部境界面66aと第2上部境界面66bとの間には、出口68が備えられる。即ち、第1上部境界面66a及び第2上部境界面66bの両方は、出口68の方に向かって上向き傾斜を有する。
【0065】
記録基板14は溶解ユニット62及び熱反射等化ユニット64により加熱されるため、水等の液体が記録基板14から蒸発する。固定装置52の筐体70内の記録基板14の周囲から、湿った暖気が、出口68の方に上部境界面66a、66bにより案内されて、出口68から排出される。
【0066】
例えば、境界面66a、66bに沿った空気輸送は、中央の出口68に上向き傾斜を有する上部境界面66a、66bにより上向きになって案内される暖気の効果によるものである。境界面66a、66bに沿って流れて、出口68を通って出る空気の自然の流れにより、記録基板入口開口部72及び出口開口部74において筐体70に入る空気のわずかな空気流が生じ得る。従って、湿った暖気が開口部72、74において固定装置52から出ることが回避され得る。
【0067】
等化ユニット64は、少なくとも1つの出口68の方に上向き傾斜を有する上部境界面66を構成する1つの有効な例に過ぎず、上部境界面66a、66bは、固定装置52の他の構造又は天井部材により構成されることも可能である。
【0068】
例えば、上部境界面66a、66bは、水平方向に対してある小さい角度で、例えば、45°以下の角度で、出口68の方に上向き傾斜を有する。実施形態においては、前記角度は23°以下であり、更に12°以下である。例えば、境界面66の上向き傾斜の角度又は量は、暖気の所望の自然の流れに応じて選択され得る。
【0069】
例えば、出口68は、出口68を介して記録基板搬送路19の周囲から空気を排出する換気ユニット(図4)に接続されることが可能である。
【0070】
例えば、出口68は、記録基板搬送路19の周囲の天井又は上部境界面の1つ又はそれ以上の小さい穴により構成されることが可能である。
【0071】
例えば、図3に破線で示すように、処理装置50は更に、記録基板入口及び/又は出口開口72、74において少なくとも1つの空気の吸気口を有することが可能である。その吸気口は、例えば、乾燥空気を供給する管路75に接続されることが可能である。実施形態においては、乾燥空気供給管路75が、記録基板14の印刷基板搬送側に乾燥空気流を供給するように備えられる。
【0072】
例えば、出口68は、出口68からの空気を受け入れる管路76に接続されることが可能である。
【0073】
図4は、記録基板処理装置50’を有する画像形成機器を示している。画像形成機器は、例えば、レーザプリンタである。記録基板処理装置50’は、図3の記録基板処理装置50の特徴及び構造に類似する特徴及び構造と、以下で説明する更なる特徴とを有する。例えば、記録基板処理装置50は記録基板処理装置50’の一部である。
【0074】
記録基板処理装置50’においては、記録基板14は、固定装置52の記録基板入口側に加熱された空気の形で熱輸送流体を輸送する第1管路75を有する加熱装置78により予め加熱される。更に、第2管路75が、固定装置52の記録基板出口側にまた、加熱された空気を輸送するように備えられる。それにより、加熱装置78が、記録基板14に加熱された空気流を介して熱を輸送するように備えられる。
【0075】
記録基板14は溶解ユニット62及び熱反射等化ユニット64により加熱されるため、水等の液体は記録基板14から蒸発する。固定装置52の筐体70内の記録基板14の周囲からの湿った暖気は、出口68の方に上部境界面66a、66bにより案内されて、出口68で排出され、凝縮器88の方に管路76を介して輸送される。
【0076】
図1及び2の凝縮器38と同様に、凝縮器88は、管路76からの空気から液体を凝縮する。凝縮された液体はリザーバ90に収集される。凝縮器88は熱交換器を有する。凝縮器88の熱交換器の第1側で、水は、管路76からの空気から凝縮されて、空気は冷却され、冷却された空気は、熱交換器の空気排気口91に供給される。熱交換器の第2側で、空気は空気吸気口93から供給され、凝縮器88による前記液体の凝縮により放出される潜熱からのエネルギーが空気吸気口93からの空気に伝達される。凝縮器88の熱交換器の第1側及び第2側は、例えば、熱交換器の分離壁の反対側である。
【0077】
熱交換器の第2側からの加熱された空気流は、管路75aを通って加熱装置78に、特に、管路75に輸送される。従って、管路75a及び、例えば、管路75、75aを通って空気流を送るブロアー95が、凝縮器88による前記液体の凝縮によって放出される潜熱から加熱装置78にエネルギーを伝達するエネルギー伝達システムを構成する。ブロアー95又は他の空気流発生手段が、空気吸気口93、管路75、75a及び加熱装置78を有する空気供給ダクトにおける何れかの適切な位置に、並びに/若しくは管路76及び空気排気口91を有する固定装置52の空気排出側の適切な位置に、備えられることが可能である。
【0078】
図1及び2の凝縮器38の熱交換器と同様に、凝縮器88の熱交換器は、記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮して、それにより、冷却された空気を供給するように、及び前記液体の凝縮により放出される潜熱からのエネルギーを与えるように設定され、前記エネルギーは前記冷却された空気から分離されて与えられる。
【0079】
上記両方の実施例においては、エネルギー伝達システムは、凝縮器38又は88の廃熱から加熱装置28又は78にそれぞれ、エネルギーを伝達するように備えられる。湿った暖気からの潜熱は、例えば、第1実施形態における循環する冷媒及び第2実施形態における暖気流である熱伝達流体により凝縮器38、88から排出される。
【0080】
図4においては、加熱装置78の乾燥空気供給管路75が、記録基板14の印刷基板搬送側で乾燥した暖気流を供給するように備えられる。例えば、暖気流は、筐体70の記録基板入口開口72及び/又は記録基板出口開口74において直接供給される。従って、その空気流は、筐体70に入る/から出る印刷基板14を案内するのに寄与する。入口開口72及び/出口開口74の境界が印刷基板のトナー側と接する記録基板14の可能性はかなり低減される。更に、入口スリット(開口72)又は出口スリット(開口74)の高さは小さくすることが可能であり、それにより、暖気の損失を低減することが可能である。
【0081】
図4の実施例においては、固定装置52は、記録基板処理装置の加熱装置78から分離された溶解ユニット62を有する。例えば、溶解ユニット62は、記録基板14に印刷物質を固定(融解)するための第2加熱装置を有することが可能であり、第2加熱装置は第1加熱装置78から分離されている。例えば、加熱装置78は固定装置52の一部であってよい。
【0082】
本発明については上記のように詳述していて、同様なことが多くの場合に変形可能であることは明らかである。
【0083】
例えば、図1の加熱装置28は、ドラム又はローラの形で支持部材32を有することが可能である。例えば、加熱ドラムが、加熱プレート30に代えて備えられることが可能であり、記録基板14は、ドラムにおいて直接又はドラムの周囲に案内されたベルトにより支持されることが可能である。ベルト24及びローラ26以外の他のシート搬送手段20もまた、備えられることが可能である。
【0084】
例えば、固定装置52は、放射源と一緒に備えられる溶解ユニットと、印刷物質を融解し、ローラ間の圧力で記録基板14にその印刷物質を付着させる支持ローラとを有することが可能である。
【0085】
例えば、記録基板出口開口74における管路75からの入口と、管路76に接続された中央出口68と、及び中央排気口68に暖気を案内するための上向き傾斜を有する上部境界面とを備えることに代えて、管路76は、記録基板出口開口74に直接、筐体70の空気排出側で備えられることが可能である。
【0086】
例えば、図3及び4の構成と同様に、記録基板搬送路19の周囲から空気のための少なくとも1つの出口68と、前記少なくとも1つの出口の方に暖気を案内するための前記少なくとも1つの出口68の方に境界面が上向き傾斜を有する記録基板搬送路19の周囲の少なくとも1つの上部境界面66とが、図1及び2の装置に備えられることが可能である。
【0087】
例えば、図1及び2の装置においては、管路42は、記録基板14の印刷物質搬送側に乾燥空気流を供給するように備えられることが可能である。例えば、乾燥空気流は、例えば、上記の管路75の構成と同様に、筐体34の記録基板入口開口及び/又は記録基板出口開口に直接供給されることが可能である。
【0088】
上記の実施形態は、制御された空気流が乾燥/固定装置12又は固定装置52に供給されることが可能である特定の有利点を有する。これは、放射線溶解ユニットの適切な作動を保証するために、特に有利である。これは更に、記録基板入口及び/又は出口開口において装置から排出される非制御の暖気流を最小化する又は回避するために、更に有利である。
【0089】
上記の図1、2及び4の実施形態は、次のような特定の有利点を有する。
−凝縮器からの廃熱は回収され、故に、画像形成装置の環境はあまり暖められない。
−液体は、乾燥/固定装置12又は固定装置52からの排気から凝縮され、故に、画像形成装置の他の部分に入る湿り空気からもたらされる可能性のある問題点を回避することが可能である。
図1
図2
図3
図4