【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の1つ又はそれ以上の達成を容易にするように、本発明に従って、記録基板処理装置であって、
− 記録基板を直接加熱する加熱装置
− 記録基板の周囲の空気から液体を凝縮する凝縮器、及び
− 凝縮器による液体の前記凝縮により放出される潜熱から加熱装置にエネルギーを伝達するエネルギー伝達システム
を有する記録基板処理装置を提供する。
【0009】
ラテックスインクなどの水性インクを用いてなされる印刷の乾燥又は固定は、その印刷からのインクにより与えられる水を除去するためにかなりの量のエネルギーが必要である。その必要なエネルギーは、記録基板を直接加熱するように備えられた加熱装置により与えられることが可能である。本発明においては、記録基板を直接加熱することは、例えば、加熱プレートの上方を記録基板を通すことにより又は放射ヒータによって記録基板を照射することにより、記録基板に対して直接必要なエネルギーを与えるとして解釈される。従って、直接加熱は、記録媒体の上方を加熱された気体媒体を通すことの前に、気体媒体、特に、空気を加熱することによる記録基板の間接加熱を含まない。記録基板を直接加熱するのに適する加熱装置の例は、従って、加熱プレート及び放射ヒータである。特に記録基板の周囲で操作中に記録基板処理装置内で発生する湿った空気は、比較的かなりの量の潜熱エネルギーを含み得、その潜熱エネルギーは加熱装置に伝達され得る。例えば、その潜熱エネルギーは、記録基板の加熱に寄与するように、加熱装置に伝達される。例えば、第1の記録基板上の又は記録基板の第1の部分上の印刷物質からもたらされる潜熱は、第1の記録基板とは異なる次の記録基板又は第1の記録基板の第2の部分を加熱するのに寄与し得る。いずれにしても、印刷基板からもたらされる蒸発された液体を凝縮することにより、空気は乾燥され且つ冷却される。従って、入口開口及び出口開口で装置から逃げる空気は乾燥し且つ冷却している。
【0010】
例えば、加熱装置は、処理装置の記録基板入口側で記録基板を加熱するように設定されることが可能である。例えば、記録基板は、加熱される記録基板を予め加熱するように設定されることが可能である。
【0011】
本発明についての有益な詳細については、従属請求項に記載されている。
【0012】
実施形態においては、記録基板処理装置は、凝縮器により冷却された空気流を記録基板に供給するための管路を更に有する。
【0013】
本発明の有利点は、記録基板に乾燥した冷気流が、記録基板装置の乾燥能力を高めることが可能である記録基板の周囲の空気をリフレッシュすることである。
【0014】
本発明の他の有利点は、乾燥した冷気流の少なくとも一部が、記録基板処理装置の記録基板出口近傍で記録基板に与えられるときに、記録基板が、記録基板処理装置を出る前に、冷却されることが可能であり、そのことは、記録基板装置のエネルギー効率を改善し得る。
【0015】
実施形態においては、記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置の少なくとも一を更に有する。例えば、乾燥/固定装置は、上記の第1の加熱装置とは別個に備えられてよい。例えば、乾燥/固定装置は第1の加熱装置であることが可能である。例えば、第1の加熱装置は、記録基板搬送方向における乾燥/固定装置の上流に備えられることが可能である。第1の加熱装置は乾燥/固定に寄与することが可能である。例えば、第1の加熱装置は、記録基板を予め加熱するように備えられることが可能である。
【0016】
例えば、記録基板処理装置は、記録基板の周囲から空気を排気し、凝縮器にその空気を輸送する換気ユニットを有することが可能である。
【0017】
実施形態においては、凝縮器は、熱交換器であって、熱交換器の第1側において空気から液体を凝縮し、前記第1側とは別個の、熱交換器の第2側において液体の前記凝縮により放出される潜熱からのエネルギーを与えるように設定された熱交換器を有する。従って、凝縮器は、冷却された空気を与えることが可能であり、前記冷却された空気から分離された潜熱からの前記エネルギーを与えることが可能である。それにも拘わらず、実施形態においては、前記与えられるエネルギーは、凝縮器から与えられる前記冷却された空気を加熱するように用いられることが可能である。例えば、乾燥され再加熱された空気が、印刷基板の周囲に再循環されることが可能である。
【0018】
例えば、エネルギー伝達システムはヒートポンプを有することが可能である。例えば、ヒートポンプは、ヒートポンプの加熱装置側に、ヒートポンプの凝縮器側における温度より高い温度を与えるように設定されることが可能である。実施形態においては、エネルギー伝達システムは熱輸送流体を用いる。そのようなエネルギー輸送流体は、熱輸送流体(例えば、R134aとして知られている流体)として用いるための、当該技術分野で知られている何れかの流体であることが可能である。しかしながら、印刷装置に備えられる乾燥装置の実施形態で達せられることが可能である温度を考慮して、二酸化炭素(R744と呼ばれる熱輸送流体のような)が有利に用いられることが可能である。
【0019】
更に、エネルギーは、印刷物質からもたらされる蒸発された液体の凝縮からばかりでなく、前記液体を蒸発させるために加熱された印刷基板からも回収されることが可能であることが予測される。従って、実施形態においては、印刷装置は、例えば、乾燥のために、そのような基板が加熱されたときに、基板から熱を受けるように適切なヒートポンプなどの手段が備えられる。
【0020】
他の実施形態においては、エネルギーは印刷装置の他の部分から回収されることが可能である。例えば、加熱された空気は冷却されることが可能であり、回収された熱エネルギーは、本発明の加熱装置に伝達されることが可能である。同様に、ヒートポンプなどの適切な熱伝達システムを用いて、熱エネルギーが、印刷装置の環境から回収され、加熱装置に供給されることが可能である。その環境は、印刷装置により加熱されることが可能であり、従って、再び冷却されることが可能である一方、少なくとも一部において前に消費されたエネルギーをもたらすことが可能である。
【0021】
実施形態においては、空気供給管路が、記録基板の印刷物質搬送側に空気流を供給するように備えられる。実施形態においては、その管路は、記録基板処理装置の印刷基板入口開口及び/又は印刷基板出口開口において前記空気流を供給するように備えられる。
【0022】
本発明の他の構成においては、記録基板を乾燥させる方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 凝縮器により記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ、
− 前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ
を有する方法が提供される。
【0023】
本実施形態に従った方法の加熱ステップにおいて用いられる加熱装置は、以下で説明するように、記録基板を直接加熱するように備えられる。
【0024】
実施形態においては、記録基板を乾燥させる方法は、凝縮器により冷却された乾燥した冷気流を記録基板に供給するステップを更に有する。
【0025】
例えば、その方法は、記録基板に印刷された印刷物質を有する記録基板を乾燥させる方法である。
【0026】
本発明の他の構成においては、記録基板上に印刷物質を固定する方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 凝縮器により記録基板の周囲からの空気から液体を凝縮するステップ、
− 前記液体の凝縮により放出される潜熱から前記加熱装置にエネルギーを伝達するステップ
を有する方法が提供される。
【0027】
本実施形態に従った方法の加熱ステップにおいて用いられる加熱装置は、以下で説明するように、記録基板を直接加熱するように備えられる。
【0028】
実施形態においては、記録基板上に印刷基板を固定する方法は、凝縮器により冷却された乾燥した冷気流を記録基板に供給するステップを更に有する。
【0029】
例えば、その方法は、記録基板上に印刷物質を固定するステップであって、
− 印刷基板を有する記録基板を乾燥させるステップ、及び
− 記録基板に印刷物質を溶解させるステップ
の少なくとも一を有するステップを有する。
【0030】
本発明の他の構成においては、記録基板処理装置であって、
− 記録基板を直接加熱する加熱装置、
− 記録基板搬送路の周囲の空気のための少なくとも1つの出口、及び
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面であって、前記少なくとも1つの出口の方に暖気を案内するために前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、上部境界面
を有する。
【0031】
このような本発明の構成は、本発明の上記特徴から独立して実施されることも可能である。
【0032】
従って、少なくとも1つの出口の方に暖気を案内することにより、処理装置から湿った暖気が制御されずに逃げることが回避されることが可能である。それに代えて、処理装置の記録基板入口開口及び/又は出口開口において、空気の流入が更にあり得る。
【0033】
実施形態においては、記録基板処理装置は、記録基板を乾燥させる乾燥装置及び記録基板上に印刷物質を固定する固定装置の少なくとも一を更に有する。
【0034】
例えば、記録基板処理装置は、少なくとも1つの出口を通って記録基板の周囲の空気を排出する換気ユニットを有することが可能である。
【0035】
実施形態においては、記録基板搬送方向でみて、前記少なくとも1つの出口は、前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する第1上部境界面と、前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する第2上部境界面との間に備えられる。
【0036】
例えば、第1上部境界面及び第2上部境界面は、前記少なくとも1つの出口の方の反対方向に上向き傾斜を有することが可能である。例えば、前記少なくとも1つの空気出口は、記録基板処理装置の又は記録基板処理装置の筐体の記録基板入口開口とその出口開口との間の中央に備えられることが可能である。
【0037】
本発明のこのような構成の特徴は、本発明の他の構成の特徴と有利に組み合わされることが可能である。例えば、処理装置は、出口を通って記録基板搬送路の周囲の空気を排出し、且つ凝縮器に前記空気を輸送するための換気ユニットを有することが可能である。
【0038】
本発明の他の構成においては、記録基板を乾燥させる方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面により記録基板の周囲から少なくとも1つの出口の方に空気を案内するステップであって、前記上部境界面は前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、ステップ、
を有する方法が提供される。
【0039】
本発明のこのような構成は、本発明の上記構成から独立して実施されることが可能である。
【0040】
本発明の他の構成においては、記録基板上に印刷物質を固定する方法であって、
− 加熱装置により記録基板を加熱するステップ、
− 記録基板搬送路の周囲の上部境界面により記録基板の周囲から少なくとも1つの出口の方に空気を案内するステップであって、前記上部境界面は前記少なくとも1つの出口の方に上向き傾斜を有する、ステップ、
を有する方法が提供される。
【0041】
本発明のこのような構成は、本発明の上記構成から独立して実施されることが可能である。
【0042】
本発明については、以下で与えられる詳細説明と、単に例示として与えられるが本発明を制限するものでない添付図とにより十分に理解することができる。