特許第5870360号(P5870360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5870360-ロータリ耕耘装置 図000002
  • 特許5870360-ロータリ耕耘装置 図000003
  • 特許5870360-ロータリ耕耘装置 図000004
  • 特許5870360-ロータリ耕耘装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5870360
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】ロータリ耕耘装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20160216BHJP
   A01B 33/12 20060101ALI20160216BHJP
   A01B 33/08 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   A01B35/04 B
   A01B33/12 B
   A01B33/08 K
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-51719(P2012-51719)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-183698(P2013-183698A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周二
【審査官】 柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−000403(JP,U)
【文献】 米国特許第04664201(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を着脱自在、並びに姿勢切換え自在に取付けるロータリ耕耘装置において、整地体の左右の上部に係合部を設けると共に、前記リヤカバーの左右の下端部に設けられた一対のブラケットのそれぞれについて、左右の側板に第1の係止部と第2の係止部設けられ、前記整地体をリヤカバーの下端部に標準姿勢又は浅耕姿勢に取付けることができるように構成するロータリ耕耘装置。
【請求項2】
前記ロータリ耕耘装置をサイドドライブ式となすと共に、前記整地体の係合部をリヤカバーの第1の係止部に装着して、前記整地体を標準姿勢に取付けた際に、整地体のチェーンケース側の端部はリヤカバーの同側の端部より外側に位置して、チェーンケースが土中に入って生ずる溝を埋め戻すように構成する請求項1に記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】
前記整地体の係合部をリヤカバーの第2の係止部に装着して、前記整地体を浅耕姿勢に取付けた際に、整地体の左右方向の両端部はリヤカバーの左右方向の両端部より略均等に外側に張り出すように構成する請求項2に記載のロータリ耕耘装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の耕耘を行うロータリ耕耘装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタに連結されて圃場の耕耘を行うロータリ耕耘装置は、代掻き作業のように表層を浅く耕耘する場合には、トラクタに対して全体が上昇されて耕耘爪が圃場に浅く打ち込まれる。そして、この浅耕時には耕耘爪の後方側を覆って耕耘土の均平・整地作用を行うリヤカバーの回動支点も上昇するから、結果としてリヤカバーは下方に垂れ下がって起立姿勢となり、リヤカバーの下端は最悪の場合、耕耘土に接地しないか、又は接地しても接地面積が少なくなって、耕耘土の均平・整地性が悪化するという問題がある。
そこで、リヤカバーの下端部に整地体を着脱自在、並びに姿勢切換え自在に取付け、リヤカバーによる均平・整地作用を整地体によって補うこと、即ち、標準的な深さの耕耘作業では整地体を接地面に略平行となる標準姿勢として接地面積を増大させる一方、代掻き又は浅耕作業を行う場合は整地体を起立させた浅耕姿勢として整地体を確実に接地させて均平・整地作用を行うようにすることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4185031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のロータリ耕耘装置においては、リヤカバーの下端部に整地体を標準姿勢と浅耕姿勢に切換え自在に取付ける場合に、リヤカバー側に設けられた第1の係止部の後側に第2の係止部を近接して設けているため、整地体側に設けられた係合部を第1又は第2の係止部に係合させる際に、他の係止部に係合部が干渉してしまい整地体の姿勢切換え作業、或いはその着脱作業に手間取るという問題があった。
また、整地体の左右両側には左右方向外方に突出する延長姿勢と、整地体の上方側に位置する不使用姿勢に姿勢変更自在な延長整地部が設けられていたが、このように整地体に延長整地部を姿勢変更自在に設けると整地体のコストが高くつくと共に、延長整地部の姿勢切換えをその都度、行う必要があって煩わしいという問題があった。
そこで、本発明は、係る問題点に鑑みて、整地体をリヤカバーの下端部に姿勢切換え自在に取付ける際に、係合部が他の係止部に干渉されることなく迅速に整地体の姿勢切換えを行うことができるように、また、整地体に格別、延長整地部を設けなくとも、耕耘土の均平・整地作用を十分に行うことができる、ロータリ耕耘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、耕耘爪の後方を覆うリヤカバーの下端部に整地体を着脱自在、並びに姿勢切換え自在に取付けるロータリ耕耘装置において、整地体の左右の上部に係合部を設けると共に、前記リヤカバーの左右の下端部に設けられた一対のブラケットのそれぞれについて、左右の側板に第1の係止部と第2の係止部設けられ、前記整地体をリヤカバーの下端部に標準姿勢又は浅耕姿勢に取付けることができるように構成することを特徴とする。
また、前記ロータリ耕耘装置をサイドドライブ式となすと共に、前記整地体の係合部をリヤカバーの第1の係止部に装着して、前記整地体を標準姿勢に取付けた際に、整地体のチェーンケース側の端部はリヤカバーの同側の端部より外側に位置して、チェーンケースが土中に入って生ずる溝を埋め戻すように構成することを特徴とする。
さらに、前記整地体の係合部をリヤカバーの第2の係止部に装着して、前記整地体を浅耕姿勢に取付けた際に、整地体の左右方向の両端部はリヤカバーの左右方向の両端部より略均等に外側に張り出すように構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロータリ耕耘装置によれば、整地体をリヤカバーの下端部に標準姿勢又は浅耕姿勢に取付ける際に、リヤカバーの左右の下端部に左右方向に間隔を隔てて設ける第1の係止部、或いは第2の係止部の何れかに整地体の係合部を装着すればよいので、整地体の係合部が他の係止部と干渉することがなく、整地体の姿勢切換え作業を迅速に行うことができる。
また、サイドドライブ式のロータリ耕耘装置は左右方向の一方にチェンケースを設けるものであるため、標準耕耘又はそれより深く耕耘を行うと、チェーンケースが土中に入って耕耘跡に溝を形成する。しかし、整地体を標準姿勢に取付けた際には、整地体のチェーンケース側の端部はリヤカバーの同側の端部より外側に位置して、整地体がこの溝を埋め戻すものであるから、整地体に殊更、延長整地部を設ける必要がなくなり、ロータリ耕耘装置のコストを抑制することができる。
さらに、代掻き作業のように浅く耕耘する場合は、チェーンケースが土中に入ることはなく耕耘跡に溝が形成されることはない。従って、整地体を浅耕姿勢に取付けた際には整地体によって溝を埋め戻す必要がないから、整地体の左右方向の両端部をリヤカバーの左右方向の両端部より略均等に外側に張り出すようにすることで、隣接耕跡との段差を整地体によって無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】整地体を標準姿勢で装着した状態を示すロータリ耕耘装置の側面図である。
図2】整地体を標準姿勢で装着した状態を示すロータリ耕耘装置の背面図である。
図3】整地体を浅耕姿勢で装着した状態を示すロータリ耕耘装置の側面図である。
図4】整地体を浅耕姿勢で装着した状態を示すロータリ耕耘装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ロータリ耕耘装置1は、トラクタ2の後部にトップリンク3と左右のロワーリンク4で構成する周知の三点リンク機構によって連結され、左右のリフトアーム5が上下回動することによって、ロータリ耕耘装置1はトラクタ2に対して昇降して耕耘深さが変更される。
【0009】
図2に示すように、ロータリ耕耘装置1はサイドドライブ式とされ、前部中央に設けたギヤケース6とギヤケース6から左右方向に突設されたパイプフレーム7,7により機枠が構成される。また、左側のパイプフレーム7の端部にはチェーンケース8が連結されていると共に、右側のパイプフレーム7の端部にはサイドプレート9が下方に向かって延設されている。チェーンケース8の下端部とサイドプレート9の下端部との間には図示しない耕耘筒が回転自在に軸支され、耕耘筒には多数の耕耘爪10が装着されている。そして、トラクタ2のPTO軸11からヨークジョイントを介して伝達された動力はギヤケース6内に伝動され、左側のパイプフレーム7内に軸支した伝動軸及びチェーンケース8内のチェーンを介して耕耘筒が回転駆動される。
【0010】
また、耕耘爪10は、その回転軌跡に沿う円弧状のメインカバー12によって上方が覆われ、側方がメインカバー12の側板によって覆われている。また、メインカバー12の後端にはリヤカバー13が支点軸14を介して回動自在に連結してあり、リヤカバー13は耕耘爪10の後方を覆うものとなっている。さらに、メインカバー12とリヤカバー13との間には吊りロッド15が介装されていて、吊りロッド15はリヤカバー13の下降側の限界を設定し、リヤカバー13の耕耘爪10との接当を阻止する。なお、16は尾輪やその他の作業機を取り付けるツールバーである。
【0011】
次に、リヤカバー13の下端部に取り付ける整地体17の取付構造について説明する。
図2及び図4に示すようにリヤカバー13の整地面となる下面と反対側の上面の左右2箇所には、前後方向の補強フレーム13a,13aが溶接されている。また、補強フレーム13a,13aの下方側には吊りロッド15の下部側を取付けるコ字状になしたブラケット13b,13bが溶接されている。そして、ブラケット13b,13bの左右の側板の内、左側の側板には第1のガイドピン18とロックピン19とが左側に向けて突設されていて、整地体17の第1の係止部Aを構成している。同様にブラケット13b,13bの左右の側板の内、右側の側板には第2のガイドピン20とロックピン21とが右側に向けて突設されていて、整地体17の第2の係止部Bを構成している。
【0012】
一方、整地体17は下方に向けて多少湾曲して耕耘土を均平・整地する下面とフラットな上面とを有する中空の本体を備え、整地体17の左右方向の端部寄りの上面にはそれぞれ適宜間隔をおいて配設した2枚の装着プレート22,22が固着されている。また、2枚の装着プレート22,22の間にはフック23が支点ピン24を中心に回動自在に支持されており、フック23は装着プレート22とフック23との間に張設したスプリング25によって回動方向の一方側に向けて付勢されていて、装着プレート22とフック23は整地体17の係合部Cを構成している。
【0013】
さらに、整地体17の係合部Cについて詳細に説明すると、前述した2枚の装着プレート22,22は共に同形状とされ、第1又は第2のガイドピン18,20とロックピン19,21がそれぞれ嵌るガイド溝22aとロック溝22bを前部側に備える。また、後部側には指を通すことができる開口22cが設けてあり、開口22cの上部側は整地体17を持ち上げる把持部22dとなっている。さらに、フック23は第1又は第2のロックピン19,21が嵌る鉤部23aを前部側に備え、支点ピン24より後部側にはフック23を操作するレバー部23bが設けてある。
【0014】
そして、以上のように構成するロータリ耕耘装置の作業形態について説明すると、ロータリ耕耘装置1は、標準耕耘より深く耕耘する場合はリヤカバー13のみによって十分に均平・整地作用をなすことができるので、整地体17をリヤカバー13から外して耕耘作業を行う。また、深く耕耘する場合であっても整地作用をより期待する場合や標準耕耘する場合は、整地体17を標準姿勢としてリヤカバー13に装着して耕耘作業を行う。さらに、代掻き作業等のように表層を浅く耕耘する場合は整地体17を浅耕姿勢としてリヤカバー13に装着して耕耘作業を行う。
【0015】
次に、前述した整地体17を標準姿勢、或いは浅耕姿勢としてリヤカバー13に装着する手順を説明する。先ず整地体17を標準姿勢に取り付ける場合は、図1及び図2に示すように整地体17の装着プレート22に形成した開口22cに左右の指を入れて、フック23のレバー部23bに指を掛けながら把持部22dを持って整地体17を持ち上げる。そして、持ち上げた整地体17をリヤカバー13の下端部まで移動させ、整地体17の係合部Cをリヤカバー13の第1の係止部Aに係合させて、整地体17を標準姿勢に取り付けることができる。
即ち、この場合、第1のガイドピン18とロックピン19に装着プレート22のガイド溝22aとロック溝22bがそれぞれ嵌り、フック23の鉤部23aはレバー部23bから指を離すことによりスプリング25によってロックピン19と係合し、整地体17は前後動及び上下動不能となり、さらに、ガイドピン18とロックピン19の先端部には大径な頭部が形成されているから、装着プレート22はガイドピン18とロックピン19の頭部とブラケット13bの側板に挟まれて左右動不能となる。
【0016】
また、整地体17を浅耕姿勢に取り付ける場合は、図3及び図4に示すように整地体17の装着プレート22に形成した開口22cに左右の指を入れて、フック23のレバー部23bに指を掛けながら把持部22dを持って整地体17を持ち上げる。そして、持ち上げた整地体12をリヤカバー13の下端部まで移動させ、整地体17の係合部Cをリヤカバー13の第2の係止部Bに係合させて、整地体17を浅耕姿勢に取り付けることができる。なお、第2のガイドピン20とロックピン21の先端部にも係合部Cの左右動を規制する大径な頭部が形成されている。
そして、整地体17を標準姿勢に取り付けて標準的な深さの耕耘を行う場合、又はそれより深く耕耘を行う場合は、整地体17が接地面に略平行、乃至やや前傾姿勢となって耕耘土の整地が行われる。また、整地体17を浅耕姿勢に取り付けて代掻き又は浅耕作業を行う場合は、整地体17が起立した後傾姿勢となってリヤカバー13で整地されない耕耘土の整地が整地体17によって行われる。
【0017】
さらに、整地体17をリヤカバー13に標準姿勢、又は浅耕姿勢に取り付ける際に、リヤカバー13の第1の係止部Aと第2の係止部Bは、リヤカバー13の下端部に左右方向に間隔を隔てて設けられているから、整地体17の係合部Cを第1又は第2の係止部A,Bに装着する時に他方の第2又は第1の係止部B,Aが干渉することがなく、整地体17の姿勢切換え作業を迅速に行うことができる。
【0018】
そして、長尺な整地体17の左右幅はリヤカバー13の左右幅より幾分長く形成されていて、整地体17を標準姿勢で取り付けた際には、第1の係止部Aがチェーンケース8が存在する左側に位置することから、整地体17は全体に左側に偏倚して整地体17の左端がチェーンケース8の外側まで張り出し、また、整地体17の右端はリヤカバー13の右端と略同じ位置になる。そのため、標準耕耘又はそれより深く耕耘を行うと、チェーンケース8が土中に入って耕耘跡に溝を形成するが、この溝が左側に偏倚した整地体17によって埋め戻され、耕耘跡に溝が残らない奇麗な仕上がりとなる。
【0019】
なお、整地体17を浅耕姿勢で取り付けた際には、第2の係止部Bがサイドプレート9が存在する右側に位置することから、整地体17は全体に右側に偏倚して整地体17の左右端がリヤカバー13の左右端から略均等に外側に張り出す。従って、浅耕作業の場合にはチェーンケース8による溝は形成されないから、整地体17の左右方向の両端部をリヤカバー13の左右方向の両端部より略均等に外側に張り出すようにすることで、隣接耕跡との段差を整地体17によって無くすことができる。
【符号の説明】
【0020】
10 耕耘爪
13 リヤカバー
17 整地体
18 ガイドピン(第1の係止部)
19 ロックピン(第1の係止部)
20 ガイドピン(第2の係止部)
21 ロックピン(第2の係止部)
22 装着プレート(係合部)
23 フック(係合部)
図1
図2
図3
図4