(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図1乃至
図12を用いて説明する。
【0014】
図1及び
図2は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
図3乃至
図9は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
図10は、エピタキシャル層の表面ラフネスとシリコンエッチング量との関係を示すグラフである。
図11及び
図12は、シリコン層及びシリコン基板中における酸素の深さ方向分布を示すグラフである。
【0015】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0016】
シリコン基板10には、NMOSトランジスタ形成領域16と、PMOSトランジスタ形成領域24とが設けられている。
【0017】
NMOSトランジスタ形成領域16のシリコン基板10内には、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とが形成されている。P型高濃度不純物層22上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層32が形成されている。シリコン層32上には、ゲート絶縁膜42が形成されている。ゲート絶縁膜42上には、ゲート電極44が形成されている。ゲート電極44の両側のシリコン層32及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域52が形成されている。これらにより、NMOSトランジスタが形成されている。
【0018】
PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン基板10内には、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とが形成されている。N型高濃度不純物層30上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層32が形成されている。シリコン層32上には、ゲート絶縁膜42が形成されている。ゲート絶縁膜42上には、ゲート電極44が形成されている。ゲート電極44の両側のシリコン層32及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域54が形成されている。これらにより、PMOSトランジスタが形成されている。
【0019】
NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタのゲート電極44上及びソース/ドレイン領域52,54上には、金属シリサイド膜56が形成されている。
【0020】
NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタが形成されたシリコン基板10上には、層間絶縁膜58が形成されている。層間絶縁膜58には、トランジスタに接続されたコンタクトプラグ60が埋め込まれている。コンタクトプラグ60には、配線62が接続されている。
【0021】
このように、NMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタは、いずれも、例えば
図2に示すように、チャネル領域106に、急峻な不純物濃度分布を有する高濃度不純物層108と、高濃度不純物層108上にエピタキシャル成長されたノンドープのシリコン層110とを有するものである。このようなトランジスタの構造は、不純物の統計的揺らぎによるトランジスタの閾値電圧ばらつきを抑制するために有効である。
【0022】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について
図3乃至
図10を用いて説明する。
【0023】
まず、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン基板10の製品形成領域外(例えば、スクライブ領域)に、マスクアライメント用のマークとして用いる溝12を形成する。
【0024】
本実施形態による半導体装置の製造方法では、素子分離絶縁膜40の形成前に、ウェルやチャネル不純物層を形成する。溝12は、素子分離絶縁膜40の形成前に行われるリソグラフィー工程(ウェルやチャネル不純物層の形成等)において、マスクアライメント用のマークとして用いられるものである。なお、素子分離絶縁膜40の形成前にウェルやチャネル不純物層を形成するのは、シリコン酸化膜14等を除去する際の素子分離絶縁膜40の膜減りを抑制するためである。
【0025】
次いで、シリコン基板10の全面に、例えば熱酸化法により、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図3(a))。
【0026】
次いで、フォトリソグラフィにより、NMOSトランジスタ形成領域16を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜18を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0027】
次いで、フォトレジスト膜18をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のNMOSトランジスタ形成領域16に、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とを形成する(
図3(b))。
【0028】
Pウェル20は、例えば、ボロンイオン(B
+)を、加速エネルギー150keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。P型高濃度不純物層22は、例えば、ゲルマニウムイオン(Ge
+)を、加速エネルギー50keV、ドーズ量5×10
14cm
−2の条件で、炭素イオン(C
+)を、加速エネルギー3keV、ドーズ量3×10
14cm
−2の条件で、ボロンイオンを、加速エネルギー2keV、ドーズ量3×10
13cm
−2の条件で、それぞれイオン注入することにより形成する。ゲルマニウムは、シリコン基板10を非晶質化してボロンイオンのチャネリングを防止するとともに、シリコン基板10を非晶質化して炭素が格子点に配される確率を高めるように作用する。格子点に配された炭素は、ボロンの拡散を抑制するように作用する。かかる観点から、ゲルマニウムは、P型高濃度不純物層22を形成する炭素及びボロンよりも先にイオン注入する。Pウェル20は、P型高濃度不純物層22よりも先に形成することが望ましい。
【0029】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜18を除去する。
【0030】
次いで、フォトリソグラフィにより、PMOSトランジスタ形成領域24を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜26を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0031】
次いで、フォトレジスト膜26をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のPMOSトランジスタ形成領域24に、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とを形成する(
図4(a))。
【0032】
Nウェル28は、例えば、リンイオン(P
+)を、加速エネルギー360keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。N型高濃度不純物層30は、例えば、砒素イオンを、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。Nウェル28は、N型高濃度不純物層30よりも先に形成することが望ましい。
【0033】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜26を除去する。
【0034】
なお、Pウェル20及びP型高濃度不純物層22と、Nウェル28及びN型高濃度不純物層22とは、どちらを先に形成してもよい。
【0035】
次いで、不活性雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10に導入されたイオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。例えば、窒素雰囲気中で、600℃、150秒の熱処理を行う。
【0036】
この際、P型高濃度不純物層22にはボロンとともにゲルマニウム及び炭素を導入しているため、前述のように、ボロンの拡散を抑制することができる。これにより、P型高濃度不純物層22の急峻な分布を維持することができる。また、N型高濃度不純物層30は、拡散定数の小さい砒素を用いて形成されているため、N型高濃度不純物層30の急峻な分布を維持することができる。
【0037】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜14を除去する。
【0038】
次いで、例えばTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を用いたウェットエッチングにより、シリコン基板10の表面を、3nm程度エッチングする。具体的には、TMAH(10% in Water)、40℃、10秒の処理を行い、次いで、再度、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにてTMAH処理後の自然酸化膜を除去する。
【0039】
次いで、例えばCVD法により、シリコン基板10の表面に、例えば膜厚30nmのノンドープのシリコン層32をエピタキシャル成長する(
図4(b))。
【0040】
後述の参考例に示すように、シリコン層32をエピタキシャル成長するシリコン基板10の表面には、多量の酸素が存在している。本願発明者等の検討により、この多量の酸素は、イオン注入時にシリコン酸化膜14からシリコン基板10方向に押し込まれるノックオン酸素であることが判明した。NMOSトランジスタ形成領域16にイオン注入するゲルマニウムイオンや、PMOSトランジスタ形成領域24にイオン注入する砒素イオンは、原子質量が比較的大きいため、ノックオンの影響が大きいものと考えられる。
【0041】
シリコン基板10の表面をエッチングする工程は、イオン注入時に押し込まれたシリコン基板10表面の酸素を除去するためのものである。シリコン基板10表面のノックオン酸素を予め除去しておくことにより、結晶性の高いシリコン層32を成長することができる。
【0042】
なお、シリコン基板のエッチング量を増やせば、ノックオン酸素の除去はより完全となるが、注入した不純物の一部も除去されてしまうという不具合がある。さらに、本願発明者等は、シリコン基板のエッチング量を増やすに従い、後に形成したエピタキシャル層表面の表面ラフネスが悪化するという不具合が発生することを見出した。また、
図10に示すように、エピタキシャル層表面の表面ラフネスの悪化を防止するためには、シリコンエッチング量は5nm程度以下とすることが望ましいことを見出した。
【0043】
次いで、例えばISSG(in-situ steam generation)法により、減圧下でシリコン層32の表面をウェット酸化し、例えば膜厚3nmのシリコン酸化膜34を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を20秒間とする。
【0044】
次いで、シリコン酸化膜34上に、例えばLPCVD法により、例えば膜厚90nmのシリコン窒化膜36を堆積する。処理条件は、例えば、温度を700℃、時間を150分間とする。
【0045】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、シリコン窒化膜36、シリコン酸化膜34、シリコン層32、及びシリコン基板10を異方性エッチングし、各トランジスタ形成領域の間の領域を含む素子分離領域に、素子分離溝38を形成する(
図5(a))。なお、フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0046】
次いで、例えばISSG法により、減圧下でシリコン層32及びシリコン基板10の表面をウェット酸化し、素子分離溝38の内壁に、ライナー膜として、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を12秒間とする。
【0047】
次いで、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積し、素子分離溝38をシリコン酸化膜によって埋め込む。
【0048】
次いで、例えばCMP法により、シリコン窒化膜36上のシリコン酸化膜を除去する。こうして、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離溝38に埋め込まれたシリコン酸化膜により、素子分離絶縁膜40を形成する(
図5(b))。
【0049】
次いで、シリコン窒化膜36をマスクとして、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、素子分離絶縁膜40を、例えば30nm程度エッチングする。このエッチングは、完成したトランジスタにおいて、シリコン層32の表面の高さと素子分離絶縁膜40の表面の高さとが同程度になるように調整するためのものである。
【0050】
次いで、例えばホットリン酸を用いたウェットエッチングにより、シリコン窒化膜36を除去する(
図6(a))。
【0051】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜34を除去する。
【0052】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を8秒間とする。
【0053】
次いで、NO雰囲気中で、例えば870℃、13秒間の熱処理を行い、シリコン酸化膜内に窒素を導入する。
【0054】
こうして、NMOSトランジスタ形成領域16及びPMOSトランジスタ形成領域24に、シリコン窒化酸化膜のゲート絶縁膜42を形成する(
図6(b))。
【0055】
次いで、全面に、例えばLPCVD法により、例えば膜厚100nmのノンドープのポリシリコン膜を堆積する。処理条件は、例えば、温度を605℃とする。
【0056】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、ポリシリコン膜をパターニングし、各トランジスタ形成領域にゲート電極44を形成する(
図7(a))。
【0057】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、NMOSトランジスタ形成領域16に、ゲート電極44をマスクとしてN型不純物を選択的にイオン注入し、エクステンション領域となるN型不純物層46を形成する。例えば、砒素イオンを、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、N型不純物層46を形成する。
【0058】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、PMOSトランジスタ形成領域24に、ゲート電極44をマスクとして選択的にイオン注入し、エクステンション領域となるP型不純物層48を形成する(
図7(b))。例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー0.6keV、ドーズ量7×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、P型不純物層48を形成する。
【0059】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン酸化膜を堆積する。処理条件は、例えば、温度を520℃とする。
【0060】
次いで、全面に堆積したシリコン酸化膜を異方性エッチングし、ゲート電極44の側壁部分に選択的に残存させる。これにより、シリコン酸化膜のサイドウォールスペーサ50を形成する(
図8(a))。
【0061】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、NMOSトランジスタ形成領域16に、ゲート電極44及びサイドウォールスペーサ50をマスクとして選択的にイオン注入する。これにより、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層52を形成するとともに、NMOSトランジスタのゲート電極44にN型不純物を添加する。イオン注入条件は、例えば、リンイオンを、加速エネルギー8keV、ドーズ量1.2×10
16cm
−2とする。
【0062】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、PMOSトランジスタ形成領域24に、ゲート電極44及びサイドウォールスペーサ50をマスクとして選択的にイオン注入する。これにより、ソース/ドレイン領域となるP型不純物層54を形成するとともに、PMOSトランジスタのゲート電極44にP型不純物を添加する。イオン注入条件は、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー4keV、ドーズ量6×10
15cm
−2とする。
【0063】
次いで、不活性ガス雰囲気中で、例えば1025℃、0秒間の短時間熱処理を行い、注入した不純物の活性化及びゲート電極44中の拡散を行う。1025℃、0秒間の短時間熱処理は、ゲート電極44とゲート絶縁膜との界面まで不純物を拡散させるのに十分である。また、NMOSトランジスタのチャネル部は炭素がボロンの拡散を抑制することにより、PMOSトランジスタのチャネル部は砒素の拡散が遅いことにより、急峻な不純物分布を維持することができる。
【0064】
こうして、NMOSトランジスタ形成領域16にNMOSトランジスタを形成し、PMOSトランジスタ形成領域24に、PMOSトランジスタを形成する(
図8(b))
次いで、サリサイドプロセスにより、ゲート電極44上、N型不純物層52上、及びP型不純物層54上に、金属シリサイド膜56、例えばコバルトシリサイド膜を形成する。
【0065】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜を堆積し、エッチングストッパ膜としてのシリコン窒化膜を形成する。
【0066】
次いで、シリコン窒化膜上に、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積する。
【0067】
これにより、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜の層間絶縁膜58を形成する。
【0068】
次いで、例えばCMP法により、層間絶縁膜58の表面を研磨し、平坦化する。
【0069】
この後、層間絶縁膜58に埋め込まれたコンタクトプラグ60、コンタクトプラグ60に接続された配線62等を形成し、本実施形態の半導体装置を完成する(
図9)。
【0070】
次に、シリコン基板10とシリコン層32との間の界面に存在する酸素について本願発明者等が行った検討結果について、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0071】
本願発明者等は、シリコン基板10とエピタキシャルシリコン層32との間の界面に存在する多量の酸素が、イオン注入の際のノックオン酸素ではないかと想定し、以下のフローで評価試料を作製し、界面の酸素濃度を調べた。
【0072】
まず、シリコン基板の表面に、シリコン酸化膜を形成した。シリコン酸化膜としては、810℃、20秒間の熱酸化により形成した膜厚2nmのシリコン酸化膜、又は、NH
4OH/H
2O
2/H
2O処理、HF処理、及びHCl/H
2O
2/H
2O処理を順次行うことにより形成した膜厚0.5nmの化学酸化膜を用いた。
【0073】
次いで、シリコン酸化膜を形成したシリコン基板に、NMOSトランジスタの製造プロセスを想定してゲルマニウムイオンを、又は、PMOSトランジスタの製造プロセスを想定して砒素イオンを、イオン注入した。ゲルマニウムのイオン注入条件は、加速エネルギー60keV、ドーズ量5×10
15cm
−2とした。砒素のイオン注入条件は、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
13cm
−2とした。
【0074】
次いで、イオン注入ダメージを回復するための熱処理を行った。熱処理条件は、600℃、150分間とした。
【0075】
次いで、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン基板表面のシリコン酸化膜を除去した。
【0076】
次いで、シリコン基板の表面を、TMAHを用いたウェットエッチングにより、3nm程度エッチングした。比較のため、一部の試料についてはシリコン基板の表面をエッチングしなかった。
【0077】
次いで、シリコン基板上に、シリコン層をエピタキシャル成長した。
【0078】
この後、このように形成した試料について、二次イオン質量分析法により、酸素原子の深さ方向分布を測定した。
【0079】
図11及び
図12は、シリコン層及びシリコン基板中の酸素の深さ方向分布を二次イオン質量分析法により測定した結果を示すグラフである。
図11はゲルマニウムをイオン注入した試料の測定結果であり、
図12は砒素をイオン注入した試料の測定結果である。各図において、点線は、膜厚2nmのシリコン酸化膜を形成してイオン注入を行った後、シリコン基板の表面をエッチングせずにシリコン層をエピタキシャル成長した試料である。一点鎖線は、化学酸化膜を形成してイオン注入を行った後、シリコン基板の表面をエッチングせずにシリコン層をエピタキシャル成長した試料である。実線は、化学酸化膜を形成してイオン注入を行い、シリコン基板の表面を3nmエッチングした後、シリコン層をエピタキシャル成長した試料である。
【0080】
図11及び
図12に示すように、エピタキシャル成長前にシリコン基板の表面をエッチングしていない試料(点線及び一点鎖線)では、シリコン基板中に多量の酸素が存在している。一方、エピタキシャル成長前にシリコン基板の表面をエッチングした試料(実線)では、シリコン基板とシリコン層との間の界面に存在する酸素は大幅に減少している。これらの結果から、シリコン基板とシリコン層との間の界面に存在する酸素は、注入イオンによってシリコン酸化膜からシリコン基板方向に押し込まれるノックオン酸素であることが判明した。
【0081】
また、エピタキシャル成長前にシリコン基板の表面をエッチングした試料では、エピタキシャル成長前にシリコン基板の表面をエッチングしていない試料と比較して、酸素濃度が1/10程度に減少することができた。
【0082】
以上のことから、エピタキシャル成長前にシリコン基板の表面をエッチングすることにより、イオン注入の際のノックオン酸素の影響を抑制し、良質のエピタキシャル層を形成できることが判った。
【0083】
このように、本実施形態によれば、チャネル領域に高濃度不純物層を形成後、エピタキシャルシリコン層を形成する前に、シリコン基板の表面部を除去するので、高濃度不純物層を形成する際のイオン注入によってシリコン基板内に押し込まれた酸素を取り除くことができる。これにより、結晶性の高いエピタキシャルシリコン層を成長することができる。また、エピタキシャルシリコン層の結晶性を向上することにより、トランジスタの特性、ひいては半導体装置の性能や信頼性を向上することができる。
【0084】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図13及び
図14を用いて説明する。
図1乃至
図9に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
【0085】
図13及び
図14は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0086】
本実施形態では、
図1に示す第1実施形態による半導体装置の他の製造方法を説明する。
【0087】
まず、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン基板10の製品形成領域外(例えば、スクライブ領域)に、マスクアライメント用のマークとして用いる溝12を形成する。
【0088】
次いで、シリコン基板10の全面に、例えば熱酸化法により、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図13(a))。
【0089】
次いで、フォトリソグラフィにより、PMOSトランジスタ形成領域24を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜26を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0090】
次いで、フォトレジスト膜26をマスクとして、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン酸化膜14を除去する。
【0091】
次いで、フォトレジスト膜26をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のPMOSトランジスタ形成領域24に、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とを形成する(
図13(b))。
【0092】
Nウェル28は、例えば、リンイオン(P
+)を、加速エネルギー360keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、砒素イオン(As
+)を、加速エネルギー80keV、ドーズ量6×10
12cm
−2の条件で、それぞれイオン注入することにより形成する。N型高濃度不純物層30は、例えば、砒素イオンを、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0093】
この際、PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン基板10表面には、シリコン酸化膜14は形成されていない。一時的にせよ大気中でウェーハを保管すると、自然酸化膜の成長などによってシリコン基板10の表面には酸素が存在することがあるが、シリコン基板10表面の酸素の量は大幅に減少する。これにより、Nウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成する際の注入イオンによるノックオンによってシリコン基板10内に押し込まれる酸素の量を大幅に低減することができる。
【0094】
シリコン酸化膜14を形成せずに、フォトレジスト膜26を直にシリコン基板10上に形成することも考えられる。しかしながら、この方法では、イオン注入に伴いシリコン基板10及びフォトレジスト膜26の温度が上昇し、フォトレジスト膜26中の可動イオン等がシリコン基板10内に拡散してシリコン基板10を汚染するため、好ましくない。
【0095】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜26を除去する。
【0096】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜14を除去する。
【0097】
次いで、シリコン基板10の全面に、例えば熱酸化法により、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜64を形成する(
図14(a))。
【0098】
次いで、フォトリソグラフィにより、NMOSトランジスタ形成領域16を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜18を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0099】
次いで、フォトレジスト膜18をマスクとして、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングを行い、NMOSトランジスタ形成領域16のシリコン酸化膜64を除去する。
【0100】
次いで、フォトレジスト膜18をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のNMOSトランジスタ形成領域16に、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とを形成する(
図14(b))。
【0101】
Pウェル20は、例えば、ボロンイオン(B
+)を、加速エネルギー150keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。P型高濃度不純物層22は、例えば、ゲルマニウムイオン(Ge
+)を、加速エネルギー50keV、ドーズ量5×10
14cm
−2の条件で、炭素イオン(C
+)を、加速エネルギー3keV、ドーズ量3×10
14cm
−2の条件で、ボロンイオンを、加速エネルギー2keV、ドーズ量3×10
13cm
−2の条件で、それぞれイオン注入することにより形成する。
【0102】
この際、NMOSトランジスタ形成領域16のシリコン基板10表面には、シリコン酸化膜64は形成されていない。一時的にせよ大気中でウェーハを保管すると、自然酸化膜の成長などによってシリコン基板10の表面には酸素が存在することがあるが、シリコン基板10表面の酸素の量は大幅に減少する。これにより、Pウェル20及びP型高濃度不純物層22を形成する際の注入イオンによるノックオンによってシリコン基板10内に押し込まれる酸素の量を大幅に低減することができる。
【0103】
シリコン酸化膜64を形成せずに、フォトレジスト膜18を直にシリコン基板10上に形成することも考えられる。しかしながら、この方法では、イオン注入に伴いシリコン基板10及びフォトレジスト膜18の温度が上昇し、フォトレジスト膜18中の可動イオン等がシリコン基板10内に拡散してシリコン基板10を汚染するため、好ましくない。
【0104】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜18を除去する。
【0105】
なお、本実施形態による半導体装置の製造方法では、Pウェル20及びP型高濃度不純物層22よりも先に、Nウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成している。これは、酸化に伴う不純物の増速拡散を抑制するためである。
【0106】
ボロン及び炭素は、砒素やリンと比較して、酸化に伴う増速拡散が極めて大きい。このため、Pウェル20及びP型高濃度不純物層22を形成した後、Nウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成する際の保護膜となるシリコン酸化膜を、シリコン基板10を酸化することにより形成すると、保護膜の形成過程でボロンや炭素の増速拡散が生じる。シリコン基板表面の格子位置に配された炭素が減少すると、ボロン拡散抑制効果が減じられ、急峻なボロン濃度分布を有するP型高濃度不純物層22を形成できなくなる。
【0107】
Nウェル28及びN型高濃度不純物層30よりも後にPウェル20及びP型高濃度不純物層22を形成することにより、保護膜としてのシリコン酸化膜を形成する際にボロンや炭素が増速拡散することはない。Nウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成する砒素やリンは酸化プロセスに曝されるが、ボロンや炭素に比べて増速拡散は小さい。
【0108】
したがって、Nウェル28及びN型高濃度不純物層30よりも後にPウェル20及びP型高濃度不純物層22を形成することにより、N型高濃度不純物層30及びP型高濃度不純物層22の双方について、急峻な不純物濃度分布を得ることができる。
【0109】
上述のように、本実施形態においてPウェル20及びP型高濃度不純物層22よりも先にNウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成しているのは、酸化に伴う不純物の増速拡散を防止するためである。CVD法等により堆積した膜をイオン注入用の保護膜として用いる場合には、増速拡散は生じないため、どちらを先に形成してもよい。
【0110】
次いで、不活性雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10に導入されたイオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。例えば、窒素雰囲気中で、600℃、150秒の熱処理を行う。
【0111】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜64を除去する。
【0112】
次いで、例えばTMAHを用いたウェットエッチングにより、シリコン基板10の表面を、3nm程度エッチングする。このエッチングは、P型高濃度不純物層22及びN型高濃度不純物層30の形成の際にシリコン基板10内に押し込まれたノックオン酸素を除去するために行うものである。
【0113】
本実施形態では、シリコン酸化膜14,64を介さずにイオン注入を行うことによりノックオン酸素の量を低減しているため、必ずしもシリコン基板10をエッチングする必要はない。ただし、ウェーハ保管中の自然酸化膜の形成等を考慮すると、本実施形態の場合においても、シリコン基板10の表面をエッチングすることが望ましい。
【0114】
次いで、例えばCVD法により、シリコン基板10の表面に、例えば膜厚30nmのノンドープのシリコン層32をエピタキシャル成長する(
図15)。
【0115】
この後、
図5(a)乃至
図9に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体装置を完成する。
【0116】
このように、本実施形態によれば、チャネル領域に高濃度不純物層を形成する際に、イオン注入領域の保護膜を除去しておくので、高濃度不純物層を形成する際のイオン注入によってシリコン基板内に押し込まれる酸素の量を大幅に低減することができる。これにより、結晶性の高いエピタキシャルシリコン層を成長することができる。また、エピタキシャルシリコン層の結晶性を向上することにより、トランジスタの特性、ひいては半導体装置の性能や信頼性を向上することができる。
【0117】
[参考例]
参考例による半導体装置の製造方法について
図16乃至
図19を用いて説明する。
図1乃至
図15に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0118】
図16及び
図17は、本参考例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
図18及び
図19は、シリコン層及びシリコン基板中における酸素の深さ方向分布を示すグラフである。
【0119】
まず、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン基板10の製品形成領域外に、マスクアライメント用のマークとして用いる溝12を形成する。
【0120】
次いで、シリコン基板10の全面に、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図16(a))。
【0121】
次いで、フォトリソグラフィにより、NMOSトランジスタ形成領域16を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜18を形成する。
【0122】
次いで、フォトレジスト膜18をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のNMOSトランジスタ形成領域16に、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とを形成する(
図16(b))。
【0123】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜18を除去する。
【0124】
次いで、フォトリソグラフィにより、PMOSトランジスタ形成領域24を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜26を形成する。
【0125】
次いで、フォトレジスト膜26をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10のPMOSトランジスタ形成領域24に、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とを形成する(
図17(a))。
【0126】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜26を除去する。
【0127】
次いで、熱処理を行い、イオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。
【0128】
次いで、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜14を除去する。
【0129】
次いで、シリコン基板10上に、ノンドープのシリコン層32をエピタキシャル成長する。
【0130】
次いで、
図5(a)乃至
図9に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体装置を完成する。
【0131】
上述の製造方法により形成した半導体装置について本願発明者等が検討を行ったところ、シリコン基板10上にエピタキシャル成長したシリコン層32の結晶性が悪いことが判明した。これについて本願発明者等が検討した結果、シリコン層32をエピタキシャル成長するシリコン基板10の表面に存在する多量の酸素が原因していることが判明した。シリコン層32をエピタキシャル成長するシリコン基板10の表面に酸素が存在すると、成長したシリコン層32の結晶性が悪化し、ひいてはトランジスタ特性を劣化する。
【0132】
図18及び
図19は、シリコン層及びシリコン基板中の酸素の深さ方向分布を二次イオン質量分析法により測定した結果を示すグラフである。
図18はNMOSトランジスタ形成領域16の測定結果であり、
図19はPMOSトランジスタ形成領域24の測定結果である。
【0133】
図18及び
図19に示すように、NMOSトランジスタ形成領域16及びPMOSトランジスタ形成領域24の何れにおいても、シリコン層32とシリコン基板10との界面近傍に、高濃度の酸素が存在している。
【0134】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0135】
例えば、上記実施形態では、チャネル不純物層上にエピタキシャル層を有するトランジスタの製造方法に適用した例を示したが、半導体基板に不純物層を形成した後にエピタキシャル層を成長する工程を含む種々の半導体装置の製造方法に適用することができる。特に、半導体基板の表面に酸化膜や吸着酸素など、酸素を含む表面層が形成された状態でイオン注入を行う工程を有する半導体装置の製造方法では、上記実施形態と同様の効果を期待できる。
【0136】
また、上記実施形態では、イオン注入によってシリコン酸化膜中の酸素がシリコン基板内に押し込まれる現象について示したが、イオン注入に伴うノックオンは、酸素に限って生じるものではない。例えば、シリコン基板上にシリコン窒化膜を形成した状態でイオン注入を行えば、ノックオンによってシリコン窒化膜中の窒素がシリコン基板内に押し込まれる。シリコン基板中に押し込まれたシリコン以外のノックオン原子は、エピタキシャル層の成長に悪影響を与えるものと考えられる。エピタキシャル層の成長前にシリコン基板の表面を除去する工程は、イオン注入の保護膜としてどのような膜を用いる場合にも、有用である。
【0137】
また、上記実施形態では、下地の半導体基板としてシリコン基板を用いたが、下地の半導体基板は、必ずしもバルクのシリコン基板である必要はない。SOI基板など、他の半導体基板を適用してもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、エピタキシャル半導体層としてシリコン層を用いたが、必ずしもシリコン層である必要はない。シリコン層の代わりに、SiGe層やSiC層等の他の半導体層を適用してもよい。
【0139】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の構造、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
【0140】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0141】
(付記1) 半導体基板に不純物をイオン注入する工程と、
前記不純物を活性化して不純物層を形成する工程と、
前記不純物層の表面部の前記半導体基板を除去する工程と、
前記不純物層の前記表面部の前記半導体基板を除去した後、前記半導体基板上に半導体層をエピタキシャル成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0142】
(付記2) 半導体基板上に保護膜を形成する工程と、
前記半導体基板に、前記保護膜を介して不純物をイオン注入する工程と、
前記不純物を活性化して不純物層を形成する工程と、
前記不純物層を形成した後、前記保護膜を除去する工程と、
前記保護膜を除去した後、前記不純物層の表面部の前記半導体基板を除去する工程と、
前記不純物層の前記表面部の前記半導体基板を除去した後、前記半導体基板上に半導体層をエピタキシャル成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0143】
(付記3) 付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記不純物層の表面部の前記半導体基板を除去する際に、前記不純物をイオン注入する際に前記半導体基板内に押し込まれた前記保護膜の構成元素を除去する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0144】
(付記4) 付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後に、
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0145】
(付記5) 半導体基板上に第1の保護膜を形成する工程と、
前記第1の保護膜上に、第1の領域を露出し、第2の領域を覆う第1のマスクを形成する工程と、
前記第1のマスクを用いて、前記第1の領域の前記第1の保護膜を除去する工程と、
前記第1の領域の前記第1の保護膜を除去した後、前記第1のマスクを用いて、前記第1の領域の半導体基板に第1の不純物をイオン注入する工程と、
前記第1のマスクを除去する工程と、
前記第1のマスクを除去した後、前記第1の不純物を活性化して第1の不純物層を形成する工程と、
前記第1の不純物層を形成した後、残存する前記第1の保護膜を除去する工程と、
残存する前記第1の保護膜を除去した前記半導体基板上に半導体層をエピタキシャル成長する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0146】
(付記6) 付記5記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後に、
前記第1の領域の前記半導体層上に第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0147】
(付記7) 付記5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の保護膜を形成する工程の前に、
前記半導体基板上に第2の保護膜を形成する工程と、
前記第2の保護膜上に、前記第1の領域を覆い、前記第2の領域を露出する第2のマスクを形成する工程と、
前記第2のマスクを用いて、前記第2の領域の前記第2の保護膜を除去する工程と、
前記第2の領域の前記第2の保護膜を除去した後、前記第2のマスクを用いて、前記第2の領域の半導体基板に第2の不純物をイオン注入する工程と、
前記第2のマスクを除去する工程と、
残存する前記第2の保護膜を除去する工程とを有し、
前記第1の不純物層を形成する工程では、前記第2の不純物を活性化して第2の不純物層を更に形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0148】
(付記8) 付記7記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後に、
前記第1の領域の前記半導体層上に第1のゲート絶縁膜を、前記第2の領域の前記半導体層上に第2のゲート絶縁膜を、それぞれ形成する工程と、
前記第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を、前記第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を、それぞれ形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0149】
(付記9) 付記7又は8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の保護膜及び前記第2の保護膜は、前記半導体基板を酸化することにより形成した酸化膜であり、
前記第1の不純物は、ボロンを含み、
前記第2の不純物は、砒素又はリンを含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0150】
(付記10) 付記5乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層をエピタキシャル成長する工程の前に、前記第1の不純物層の表面部の前記半導体基板を除去する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0151】
(付記11) 付記10記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物層の表面部の前記半導体基板を除去する際に、前記第1の不純物をイオン注入する際に前記半導体基板内に押し込まれた前記第1の保護膜の構成元素を除去する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法