(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような在高管理の構成では、前記ドロアと自動釣銭機の在高とがそれぞれ個別に管理されているので、後から前記ドロアと自動釣銭機の各在高の履歴を参照しても、どの時点での在高の変化が前記ドロアから自動釣銭機に対する現金の移し替えに応じたものであるのかを的確に把握することが難しいという問題がある。
【0007】
つまり、例えば、ある時点の前記ドロアの在高に変化があった場合に、その変動は自動釣銭機へ移された為によるものか、あるいは、前記ドロアから使用頻度の低い金種の棒金が取り出され事務所へ戻されたか等、また、自動釣銭機の在高が増えた場合にその変動は、前記のように前記ドロアからの現金の移し替えによるものか、あるいは、自動釣銭機のみに現金が投入されたものか等を正確に判断することが難しいという場合があった。
【0008】
上記の問題に鑑みて、本発明は、POS端末装置と棒金ドロアと自動釣銭機から成るPOSシステムにおいて、棒金ドロアと自動釣銭機の現金の変動を的確に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としてのPOSシステムは、棒金ドロアと、自動釣銭機と、POS端末装置から成り、前記棒金ドロアは、開閉が行われるドロア部に収納された棒金ごとの金種の検知結果に基づいて当該ドロア部に収納されている在高に関するドロア在高情報を出力し、前記自動釣銭機は、前記POS端末装置から通知される釣銭を排出するとともに、自己が収納する在高に関する釣銭機在高情報を出力し、前記POS端末装置は、前記ドロア部を開放させるためのドロア開放操作が行われた際の第1の前記ドロア在高情報と第1の前記釣銭機在高情報による第1の在高情報を取得する第1の在高情報取得手段と、前記ドロア開放操作の後において処理終了操作が行われた際の第2の前記ドロア在高情報と第2の前記釣銭機在高情報による第2の在高情報を取得する第2の在高情報取得手段と、前記第1の在高情報と前記第2の在高情報とで変化があるかを判定し、判定結果に応じた所定の処理を実行する現金管理処理手段とを備える。
【0010】
上記発明によれば、ドロア開放操作が行われた際に取得した第1のドロア在高情報と第1の釣銭機在高情報による第1の在高情報と、ドロア開放操作の後において処理終了操作が行われた際の第2の前記ドロア在高情報と第2の前記釣銭機在高情報による第2の在高情報とで変化があるか否かが判定される。これにより、棒金ドロアと自動釣銭機の間での現金の変動を把握することが可能になる。
【0011】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記現金管理処理手段は、前記第1のドロア在高情報が示す在高と前記第1の釣銭機在高情報が示す在高とを加算した第1加算在高と、前記第2のドロア在高情報が示す在高と前記第2の釣銭機在高情報が示す在高とを加算した第2加算在高とを比較した結果に基づいて、前記棒金ドロアから前記自動釣銭機への現金の移し替えが行われたか否かを判定し、判定結果に応じた所定の処理を実行する。
【0012】
上記発明によれば、棒金ドロアと自動釣銭機の間での現金の変動として、棒金ドロアから自動釣銭機への現金の移し替えが行われたか否かを的確に判定することが可能となる。
【0013】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記現金管理処理手段は、前記第1加算在高と前記第2加算在高が等しければ、前記棒金ドロアから前記自動釣銭機への現金の移し替えが行われたものとして現金管理処理を実行する。
【0014】
上記発明によれば、棒金ドロアから自動釣銭機への現金の移し替えが行われたことに応じた現金管理処理を的確に実行させることが可能となる。
【0015】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記現金管理処理手段は、前記第1加算在高が前記第2加算在高より少なければ、前記第1加算在高と第2加算在高釣銭との差分を釣銭準備金の追加分として現金管理処理を実行する。
【0016】
上記発明によれば、釣銭準備金が追加されたことに応じた現金管理処理を的確に実行することが可能となる。
【0017】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記現金管理処理手段は、前記第1加算在高が前記第2加算在高より多ければ、前記第1加算在高と第2加算在高釣銭との差分を売上回収金として現金管理処理を実行する。
上記発明によれば、売上金の回収が行われたことに応じた現金管理処理を的確に実行することが可能となる。
【0018】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記POS端末装置は、前記ドロア開放操作が行われてから前記処理終了操作が行われるまでの間において、買上商品の登録を禁止する登録禁止手段をさらに備える。
【0019】
上記発明によれば、前記ドロア開放操作が行われてから前記処理終了操作が行われるまで買上商品の登録が行われないので、棒金ドロアと自動釣銭機の間での現金の変動を正しく把握することが可能となる。
【0020】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記POS端末装置は、前記ドロア開放操作に応じて前記ドロア部を開放させるための制御を、前記第1の在高情報取得手段が前記第1のドロア在高情報と前記第1の釣銭機在高情報を取得した後のタイミングで実行するドロア開放制御部をさらに備える。
【0021】
上記発明によれば、ドロアが開放される前の状態において第1のドロア在高情報と前記第1の釣銭機在高情報が取得されるために、ドロアが開放される直前の第1のドロア在高情報と前記第1の釣銭機在高情報を確実に取得することが可能になる。
【0022】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記POS端末装置は、前記ドロア部が開放された状態において行われた前記処理終了操作を無効とする無効化手段をさらに備える。
上記発明によれば、ドロア部が閉じられなければ処理終了操作が受け付けられないため、処理終了操作後において棒金ドロアにおける入金または出金は行われない。これにより、棒金ドロアにおける現実の在高とドロア在高情報との間で不整合が生じることを回避できる。
【0023】
また、上記発明によるPOSシステムにおいて、前記POS端末装置は、レシートを印字して発行する印字部と、前記現金管理処理手段の処理結果が反映された前記レシートを印字して発行するように印字部を制御する印字制御手段をさらに備える。
【0024】
上記発明によれば、棒金ドロアと自動釣銭機の間での現金の変動結果を印字して出力することが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、POS端末装置と棒金ドロアと自動釣銭機から成るPOSシステムにおいて、棒金ドロアと自動釣銭機の現金の変動を的確に把握可能になるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本実施形態のPOS(Point Of Sales)システム1の構成例を示している。この図に示すPOSシステム1は、POS端末装置100、棒金ドロア200および自動釣銭機300から成る。棒金ドロア200および自動釣銭機300は、それぞれ、POS端末装置100に対して接続される。
【0028】
POS端末装置100の正面右側にはレシート発行口101が設けられる。このレシート発行口101は、POS端末装置100内部の印字部(図示せず)により印字したレシートなどが排出される部位である。
【0029】
また、POS端末装置100の正面には液晶タッチパネル114が設けられる。液晶タッチパネル114は各種の操作画像を表示するとともに、タッチ操作を受け付ける。店員は、液晶タッチパネル114に表示される操作画像を見ながら、液晶タッチパネル114に対してタッチ操作を行う。これにより、登録モードや設定モードなどのモード切り換えやプリセットキーによる商品登録や、各種ファイル設定などを行うことができる。客側表示部115は、顧客に対して買い上げ金額、釣り銭の金額などを表示する。
【0030】
キー操作部117は、テンキー、現計キー、入金、支払、釣準備、売上回収などの各種締めキー、商品登録に関する各キーなどが配置される。
【0031】
カードリーダライタ118は、プリペイドカードによる支払いのために設けられる。つまり、カードリーダライタ118に対してプリペイドカードを挿入し、例えばPOS端末装置100において備えられる対応の会計キーを操作する。これにより、POS端末装置100は、支払額分をプリペイドカードが記憶する残額から減算される。この際、カードリーダライタ118は、挿入されたプリペイドカードに記憶されている残額の読み込みを行ってPOS端末装置100に出力する。また、支払代金分を減算した残額をプリペイドカードに書き込む。
【0032】
棒金ドロア200は、棒金が収納される部位である。この棒金ドロア200は、
図2に示すように、本体201に対して開閉されるドロア部202が設けられる。ドロア部202には、図示するように、棒金を1つずつ収納する棒金収納部202aが複数配列されている。
【0033】
なお、棒金とは、同じ金種の所定枚数の硬貨を棒状にまとめて包装したものである。棒金の金種としては、例えば1円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を挙げることができる。ドロア部202における棒金収納部202aは、それぞれ、上記金種の棒金の何れか1つに対応しており、対応の金種の棒金が収まるサイズに形成されている。
【0034】
また、ドロア部202は、POS端末装置100の制御により開放させることができる。つまり、店員がドロア部202を開放させたいと思ったときには、例えばPOS端末装置100の液晶タッチパネル114に対する所定操作によりドロア開放ボタンを表示させ、このドロア開放ボタンに対してタッチ操作を行う。この操作に応じて、POS端末装置100は、棒金ドロア200に対してドロア部202の開放を指示する。棒金ドロア200は、この指示に応じて、内部のソレノイドを駆動する。これにより、ドロア部202のロック状態が解除され、ドロア部202が開放される。なお、ドロア部202を閉じる際には、店員が手動でドロア部202を本体201に押し込む。そして、ドロア部202が既定の位置にまで押し込まれると、ドロア部202がロックされて閉じた状態となる。
【0035】
また、棒金ドロア200は、棒金収納部202aごとに、例えば棒金の有無を検出するセンサと、収納された棒金の金種が正しいか否かを検出するためのセンサを備えている。これにより、或る棒金収納部202aに対して誤った金種の棒金が収納された場合には、その旨を例えば液晶タッチパネル114に表示させたり、ランプなどによる点灯表示を行うなどして店員に通知するようにしている。これにより、棒金収納部202aに対して、対応の金種の棒金が正しく収納されるようになっている。
【0036】
また、棒金ドロア200は、棒金収納部202aごとに棒金の有無を検出する棒金センサ部を備えている。そして、棒金ドロア200は、上記棒金センサ部により検出される金種ごとの棒金の収納数に基づいて、棒金ドロア200に収納されている在高に関する情報(ドロア在高情報)を生成する。ドロア在高情報は、例えば棒金ドロア200に収納されている在高を成す金種ごとの枚数の内訳を示す情報を含む。棒金ドロア200は、POS端末装置100からの要求に応じてドロア在高情報を生成し、生成したドロア在高情報をPOS端末装置100に対して出力する。
【0037】
また、
図1において、自動釣銭機300は、内部にCPU(Central Processing Unit)およびメモリから成る制御部(図示せず)を備え、この制御部により各貨幣種の在高管理、釣銭の払出し制御などの各種制御を行う。
【0038】
自動釣銭機300は、POS端末装置100からの指示に応じて貨幣を紙幣払出部301とコイン払出口302に払い出す。また、紙幣投入口303は例えば補充用の紙幣が投入され、コイン投入口304は補充用の硬貨が投入される。自動釣銭機300は、これらの投入された紙幣や硬貨を金種別に自動的に仕分けて収納する。
【0039】
また、自動釣銭機300は、上記のように収納している紙幣および硬貨の枚数を管理している。そして、自動釣銭機300は、管理している紙幣および硬貨の枚数に基づいて、収納されている現金の在高に関する情報(釣銭機在高情報)を生成する。釣銭機在高情報は、例えば自動釣銭機300に収納されている紙幣および硬貨を合わせた在高を成す金種ごとの紙幣または硬貨の各枚数の内訳を示す情報を含む。自動釣銭機300は、POS端末装置100からの要求に応じて釣銭機在高情報を生成し、この生成した釣銭機在高情報をPOS端末装置100に対して出力する。
【0040】
図3は、POS端末装置100の構成例を示している。なお、この図において、
図1と同一部分には同一符号を付している。この図に示すPOS端末装置100は、CPU111、ROM112、RAM113、液晶タッチパネル114、客側表示部115、印字部116、キー操作部117、カードリーダライタ118およびシリアル通信部119を備える。
【0041】
CPU111は、ROM(Read Only Memory)112およびRAM(Random Access Memory)113とともにコンピュータを形成している。CPU111は、ROM112に記憶されているプログラムを実行することによりPOS端末装置100としての各種動作を実現する。
【0042】
ROM112は、上記のようにCPU111が実行するプログラムのほか、CPU111が利用する各種のデータを記憶する。RAM113は、CPU111の作業領域として利用される。ここでは、CPU111の処理によりRAM113に記憶される情報の1つとして在高テーブル130を示している。在高テーブル130は、棒金ドロア200を対象とする作業に応じた現金管理処理に際して利用される。なお、在高テーブル130の構造例については後述する。
【0043】
液晶タッチパネル114は、
図1にて説明したようにPOS端末装置の正面に設けられる。液晶タッチパネル114は、CPU111の制御に応じて所定の操作画像を表示する。また、液晶タッチパネル114は、タッチ操作が行われるのに応じて、そのタッチされた位置情報を出力する。CPU111は、この位置情報を操作情報として処理する。これにより、液晶タッチパネル114に対するタッチ操作に応答した動作が実現される。
【0044】
客側表示部115は、CPU111の制御に応じて、前述のように、買い上げ金額、釣り銭の金額などの顧客に対して提示すべき情報を表示する。印字部116は、用紙に印字を行ってレシートなどとして発行する部位である。キー操作部117は、前述のように各種の締めキーや商品登録に関するキーなどが配置された部位である。
【0045】
カードリーダライタ118は、挿入されたプリペイドカードに記憶されている残額などの情報を読み出す。CPU111は、このように読み出された残額から支払金額を減算するなど、所定の精算処理を実行する。また、CPU111は、支払金額の減算やチャージなどにより増減させたプリペイドカードの残額をカードリーダライタ118に通知する。カードリーダライタ118は、挿入されたプリペイドカードに記憶されている残額を、通知された残額に書き換える。
【0046】
シリアル通信部(通信手段)119は、所定のシリアルデータ通信方式に対応するコネクタと通信機能を備える部位である。この図では、シリアル通信部119に対して棒金ドロア200と自動釣銭機300が接続されている。これにより、棒金ドロア200と自動釣銭機300は、それぞれ、POS端末装置100との相互通信が可能となる。
【0047】
図4は、棒金ドロア200の構成例を示している。棒金ドロア200は、ドロア部202、ロック機構部211、駆動制御部212、ソレノイド213、棒金センサ部214およびドロア在高情報生成部215を備える。
【0048】
ドロア部202は、
図2にて説明したように、棒金ドロア200の本体201に対して開閉されるように設けられ、所定の金種に対応した所定数の棒金収納部202aを備える。
【0049】
ロック機構部211は、ドロア部202が閉じられた状態を維持するためにドロア部202をロックするための機構を備える。POS端末装置100は、ドロア部202を開放させるための操作に応じてドロア部開放のための制御信号を送信する。駆動制御部212は、この制御信号の受信に応じてソレノイド213を駆動する。ソレノイド213は、駆動制御部212により駆動されることで、ロック機構部211によるドロア部202のロックを解除する。これにより、ドロア部202が開放される。
【0050】
棒金センサ部214は、ドロア部202における棒金収納部202aごとの棒金の有無を検知するセンサから成る部位である。棒金センサ部214は、検出信号として、棒金センサ部214は、棒金収納部202aごとの棒金の有無を示す信号とともに、その棒金収納部202aが対応する棒金の金種を示す信号を付加して出力する。
【0051】
ドロア在高情報生成部215は、棒金センサ部214が出力する検出信号に基づいて、前述のドロア在高情報を生成する。つまり、ドロア在高情報生成部215は、上記検出信号が示す金種別の棒金の有無の情報に基づいて、ドロア部202に収納されている金種ごとの棒金の数を算出する。棒金の一本分に対応する金額は金種ごとに既知である。ドロア在高情報生成部215は、上記のように算出された金種ごとの棒金の数と、金種ごとの棒金一本分の金額とを利用してドロア在高を算出する。また、ドロア部202に収納されている金種ごとの棒金の数に基づいて、ドロア在高における金種ごとの硬貨の枚数を算出する。このように算出されたドロア在高と金種ごとの硬貨の枚数の情報を含んでドロア在高情報が形成される。ドロア在高情報生成部215は、このように生成したドロア在高を、シリアル通信部119経由でPOS端末装置100に出力する。
【0052】
次に、
図5〜
図8を参照して、棒金ドロア200を開いて店員が行う作業と、その作業に応じたPOSシステム1の動作の一例について説明する。
図5は、液晶タッチパネル114のパネル面114Aにファンクション一覧画面を表示させた状態例を示している。このファンクション一覧画面は、液晶タッチパネル114に対してファンクション一覧画面呼出のための所定のタッチ操作を行うことにより表示される。店員は、棒金ドロア200のドロア部202を開く必要がある際に、このファンクション一覧画面を表示させるための操作を行う。
【0053】
図5のファンクション一覧画面には、「棒金開」と表示されたドロア開放ボタンBT1が表示されている。店員は、このドロア開放ボタンBT1に対してタッチ操作を行う。この操作に応じて、POS端末装置100は、棒金ドロア200のドロア部202のロックを解除するための制御を実行し、ドロア部202を開放させる。
【0054】
このようにドロア部202が開くのに応じて、パネル面114Aの表示は、
図5から
図6に遷移する。
図6には、棒金ドロア対象作業画面400が表示された状態が示されている。この棒金ドロア対象作業画面400には、文章による操作案内用の画像と、釣銭機入金ボタンBT2と処理終了ボタンBT3が配置されている。
【0055】
ドロア部202を開いた目的が棒金ドロア200から自動釣銭機300への現金の移し替えである場合、店員は、棒金ドロア対象作業画面400における釣銭機入金ボタンBT2に対するタッチ操作を行う。この操作に応じて、POS端末装置100は、自動釣銭機300に対して入金が行われることを通知する。自動釣銭機300は、この通知に応じて、入金を受け付けるモードとなる。
【0056】
そして、店員は、上記のように釣銭機入金ボタンBT2に対するタッチ操作を行った後、棒金ドロア200のドロア部202から移し替えに必要な金種の棒金を必要な本数だけ取り出す。そして、店員は、この取り出した棒金の包装を解いて、硬貨を自動釣銭機300のコイン投入口304に投入する。自動釣銭機300は、投入された硬貨を金種ごとに分別して収納して管理する。
【0057】
このように棒金ドロア200から自動釣銭機300への現金の移し替えが完了すると、店員は手動でドロア部202を閉じる。次に、店員は、棒金ドロア対象作業画面400における処理終了ボタンBT3に対する操作を行う。
【0058】
また、ドロア開放ボタンBT1を操作してドロア部202を開いた目的が、棒金ドロア200への棒金の補充である場合、店員は、補充用に用意した棒金を、その金種に対応する棒金収納部202aに収納する。なお、この場合、店員は棒金ドロア対象作業画面400における釣銭機入金ボタンBT2に対するタッチ操作を行う必要はない。そして、店員は、棒金を棒金収納部202aに収納し終えると、手動でドロア部202を閉じ、次に、棒金ドロア対象作業画面400における処理終了ボタンBT3に対する操作を行う。
【0059】
また、ドロア開放ボタンBT1を操作してドロア部202を開いた目的が、棒金ドロア200からの棒金の取り出しである場合、店員は、ドロア部202から、取り出すべき棒金を選んで棒金収納部202aから取り出す。なお、この場合にも、店員は棒金ドロア対象作業画面400における釣銭機入金ボタンBT2に対するタッチ操作を行う必要はない。そして、店員は、棒金収納部202aからの棒金の取り出しを終えると、手動でドロア部202を閉じ、次に、棒金ドロア対象作業画面400における処理終了ボタンBT3に対する操作を行う。
【0060】
上記のように、処理終了ボタンBT3に対する操作が行われたのに応じて、POS端末装置100は、以下のように現金管理処理を実行する。つまり、POS端末装置100は、ドロア開放ボタンBT1が操作されたタイミングにおける第1加算残高(第1ドロア在高と第1釣銭機在高を加算した残高)と、上記処理終了ボタンBT3が操作されたタイミングにおける第2加算残高(第2ドロア在高と第2釣銭機在高を加算した残高)を比較する。
【0061】
まず、棒金ドロア200から自動釣銭機300への現金の移し替えである場合には、移し替えた棒金の金額が第1ドロア在高から減算される代わりに、第2釣銭機在高に加算される。したがって、第1加算残高と第2加算残高は等しくなる。このように第1加算残高と第2加算残高が等しい場合、POS端末装置100は、棒金ドロア200から自動釣銭機300への現金の移し替えが行われたと判定する。そして、POS端末装置100は、現金の移し替えが行われたものとして現金管理処理を実行する。
【0062】
この現金管理処理の結果として、POS端末装置100は、
図7(a)に示すレシート500Aを印字して発行する。レシート500Aには、自動釣銭機300における在高についての金種ごとの内訳として、ドロア開放ボタンBT1が操作されたタイミングの内訳(「前」の列)と、処理終了ボタンBT3が操作されたタイミングの内訳(「後」の列)が示されている。
【0063】
また、レシート500Aには、棒金ドロア200における在高についての金種ごとの内訳として、上記と同様に、ドロア開放ボタンBT1が操作されたタイミングの内訳(「前」の列)と、処理終了ボタンBT3が操作されたタイミングの内訳(「後」の列)が示されている。
【0064】
図7(a)のレシート500Aにおいては、具体例として、10円硬貨が50枚入りの1本の棒金を棒金ドロア200から自動釣銭機300に移し替えた結果が反映されている。つまり、棒金ドロア200の在高内訳では、10円硬貨について、「前」のタイミングでは50枚であったものが、「後」のタイミングでは、0枚となっている。この結果、前後間での枚数の増減は、10円硬貨が−50枚となっており、増減金額は−500円である。なお、他の金種については、前後での増減は「0」である。
【0065】
これに対して、自動釣銭機300の在高内訳では、10円硬貨について、「前」のタイミングでは11枚であったものが、「後」のタイミングでは、66枚となっている。この結果、前後間での増減は、10円硬貨が50枚となっており、増減金額は500円である。したがって、棒金ドロア200と自動釣銭機300を合わせた在高増減合計は(500+(−500))として求められ、したがって「0」となる。
【0066】
また、棒金ドロア200に対して棒金が補充された場合、POS端末装置100は、例えば
図7(b)に示すレシート500Bを発行する。
図7(b)は、具体例として、棒金ドロア200に、10円硬貨が50枚入りの1本の棒金を補充した場合が示されている。この場合、棒金ドロア200の在高内訳では、10円硬貨について、「前」のタイミングでは0枚であったものが、「後」のタイミングでは、50枚となっている。この結果、前後間での10円硬貨の枚数の増減は50枚となっており、増減金額は500円となっている。
【0067】
一方、自動釣銭機300の在高内訳では、10円硬貨について、「前」と「後」のいずれのタイミングにおいても0枚となる。この結果、前後間での10円硬貨の枚数の増減は0枚となっており、増減金額は0円となる。
【0068】
この場合、レシート500Bに示されるように、在高増減合計は500円となる。そして、この500円は、釣準備金合計として扱われている。つまり、在高増減合計がプラス(正)である場合、POS端末装置100は、その在高増減合計を釣準備金(釣銭として準備した現金)が追加されたものとして扱うように現金管理処理を行う。
【0069】
また、棒金ドロア200から棒金が取り出された場合、POS端末装置100は、例えば
図7(c)に示すレシート500Cを発行する。
図7(c)は、具体例として、1円硬貨が50枚入りの1本の棒金を棒金ドロア200から取り出した場合が示されている。この場合、棒金ドロア200の在高内訳において、1円硬貨について、「前」のタイミングでは100枚であったものが、「後」のタイミングでは、50枚となっている。この結果、前後間での1円硬貨の枚数の増減は−50枚となっており、増減金額は−50円となっている。
【0070】
一方、自動釣銭機300の在高内訳では、10円硬貨について、「前」と「後」のいずれのタイミングにおいても0枚となる。この結果、前後間での10円硬貨の枚数の増減は0枚となっており、増減金額は0円となる。
【0071】
この場合、レシート500Cに示されるように、在高増減合計は−50円となる。そして、この−50円は、売上回収金合計として扱われている。つまり、在高増減合計がマイナス(負)である場合、POS端末装置100は、その在高増減合計について売上の一部を回収したものとして扱うように現金管理処理を行う。
【0072】
なお、先の説明では、棒金ドロア200のドロア部202を開放させて現金の移し替え、棒金の補充または取り出し作業を行った後、店員は、ドロア部202を手動で閉じてから処理終了ボタンBT3を操作している。処理終了ボタンBT3を操作したときにドロア部202が未だ開放された状態であると、POS端末装置100側では処理を終了させたのに係わらず、店員は現金の移し替え、棒金の補充または取り出し作業を行えてしまうことになる。この状態で店員が仮に上記の作業をしてしまうと、実際の在高とPOSシステム1が管理する在高が整合しなくなってしまう。
【0073】
そこで、本実施形態では、店員がドロア部202を未だ閉じていない状態で処理終了ボタンBT3を操作した場合、POS端末装置100は、ドロア部202を店員が閉じることを促すメッセージ画像を棒金ドロア対象作業画面400に表示させるようにしている。
図8は、このようなメッセージ画像の表示態様の一例を示している。
図8では、「ドロアが開いています。ドロアを閉じてから「処理終了」ボタンを押下してください。」という文字が提示されたメッセージ画像410を棒金ドロア対象作業画面400上に表示させている。
【0074】
そして、上記のメッセージ画像410を見た店員がドロア部202を閉じると、POS端末装置100は、ここではじめて、先に行われた処理終了ボタンBT3に対する操作に応答した処理を実行するようにされている。
【0075】
また、ドロア開放ボタンBT1が操作されてから処理終了ボタンBT3が操作されるまでの期間(以下、棒金ドロア処理期間とも称する)は、POS端末装置100は、買上商品の登録を受け付けない。つまり、棒金ドロア処理期間におけるPOS端末装置100に対する買上商品の登録は禁止される。棒金ドロア処理期間において買上商品の登録ができるようにしてしまうと、自動釣銭機300に対する顧客の支払金額の入金および釣銭の払い出しなども可能となってしまう。このため、現金の移し替えや棒金の補充、取り出しの作業に応じて正しく現金管理を行うことができなくなってしまう。
【0076】
そこで、本実施形態では、棒金ドロア処理期間において店員が商品登録のための操作を行った場合、POS端末装置100は、この商品登録のための操作が無効であるとして処理する。そのうえで、例えば
図9に示すように、処理終了ボタンBT3が操作されるまで、商品登録はできないことを店員に通知するためのメッセージ画像420を棒金ドロア対象作業画面400上に表示させる。なお、このメッセージ画像420は例えば数秒程度の所定時間により表示され、この所定時間が経過した後
図6に示した画面に戻るようになっている。
【0077】
次に、
図10を参照して、POS端末装置100のRAM113に記憶される在高テーブル130の構造例を示す。なお、この図においては、先に、
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)に示したレシート500A、500Bおよび500Cの内容が反映されている。
【0078】
図10に示される在高テーブル130は、ドロア開放操作時刻領域131と処理終了操作時刻領域132ごとに、ドロア在高情報領域133、釣銭機在高情報領域134、ドロア在高領域135、釣銭機在高領域136および加算在高領域137が対応付けられた構造を有する。
【0079】
ドロア開放操作時刻領域131は、ドロア開放ボタンBT1が操作された時刻(ドロア開放操作時刻)を格納する。処理終了操作時刻領域132は、処理終了ボタンBT3が操作された時刻(処理終了操作時刻)を格納する。
【0080】
ドロア在高情報領域133は、対応のドロア開放操作時刻または処理終了操作時刻において棒金ドロア200から送信されたドロア在高情報を格納する。釣銭機在高情報領域134は、対応のドロア開放操作時刻または処理終了操作時刻において自動釣銭機300から送信された釣銭機在高情報を格納する。
【0081】
ドロア在高領域135は、対応のドロア在高情報から求められたドロア在高を格納する。釣銭機在高領域136は、対応の釣銭機在高情報から求められた釣銭機在高を格納する。加算在高領域137は、対応のドロア在高と釣銭機在高を加算した加算在高を格納する。
【0082】
なお、ドロア開放操作時刻領域131にドロア開放操作時刻が格納されている場合、これに対応付けられたドロア在高情報領域133、釣銭機在高情報領域134、ドロア在高領域135、釣銭機在高領域136および加算在高領域137は、ドロア開放ボタンBT1の操作に対応するものとなる。したがって、対応の処理終了操作時刻領域132には、有効な値は格納されない。また、この場合のドロア在高領域135、釣銭機在高領域136および加算在高領域137は、それぞれ、第1ドロア在高、第1釣銭機在高および第1加算在高として扱われる情報を格納する。
【0083】
また、処理終了操作時刻領域132に処理終了操作時刻が格納されている場合、これに対応付けられたドロア在高情報領域133、釣銭機在高情報領域134、ドロア在高領域135、釣銭機在高領域136および加算在高領域137は、処理終了ボタンBT3の操作に対応するものとなる。したがって、対応のドロア開放操作時刻領域131には、有効な値は格納されない。また、この場合のドロア在高領域135、釣銭機在高領域136および加算在高領域137は、それぞれ、第2ドロア在高、第2釣銭機在高および第2加算在高として扱われる情報を格納する。
【0084】
図10において、
図7(a)に示した現金の移し替え作業に対応するのは、ドロア開放操作時刻領域131にドロア開放操作時刻「15:55」が格納される行と、次の処理終了操作時刻領域132に処理終了操作時刻「15:56」が格納される行である。この行におけるドロア在高情報領域133と釣銭機在高情報領域134は、それぞれ、
図7(a)のレシート500Aに示される金種ごとの枚数の内訳が反映された内容のドロア在高情報と釣銭機在高情報を格納する。
【0085】
また、
図10において、
図7(b)に示した現金の移し替え作業に対応するのは、ドロア開放操作時刻領域131にドロア開放操作時刻「15:58」が格納される行と、次の処理終了操作時刻領域132に処理終了操作時刻「15:59」が格納される行である。この行におけるドロア在高情報領域133と釣銭機在高情報領域134は、それぞれ、
図7(b)のレシート500Bに示される金種ごとの枚数の内訳が反映された内容のドロア在高情報と釣銭機在高情報を格納する。
【0086】
また、
図10において、
図7(c)に示した現金の移し替え作業に対応するのは、ドロア開放操作時刻領域131にドロア開放操作時刻「16:00」が格納される行と、次の処理終了操作時刻領域132に処理終了操作時刻「16:01」が格納される行である。この行におけるドロア在高情報領域133と釣銭機在高情報領域134は、それぞれ、
図7(c)のレシート500Cに示される金種ごとの枚数の内訳が反映された内容のドロア在高情報と釣銭機在高情報を格納する。
【0087】
図11のフローチャートは、POS端末装置100のCPU111が実行する処理手順例を示している。CPU111(第1の在高情報取得手段)は、棒金ドロア対象作業画面400におけるドロア開放ボタンBT1に対する操作が行われるのを待機している(ステップS101−NO)。そして、ドロア開放ボタンBT1に対する操作が行われるのに応じて(ステップS101―YES)、CPU111(第1の在高情報取得手段)は、棒金ドロア200に対してドロア在高情報要求を送信し、自動釣銭機300に対して釣銭機在高情報要求を送信する(ステップS102)。これらの要求に応答して、棒金ドロア200からはドロア在高情報が送信され、自動釣銭機300からは釣銭機在高情報が送信される。POS端末装置100は、このように送信されたドロア在高情報と釣銭機在高情報を受信する。
【0088】
CPU111(第1の在高情報取得手段)は、上記ステップS102による要求に応じて受信したドロア在高情報に基づいて、ドロア開放ボタンBT1の操作タイミングに対応する第1ドロア在高を求める。同様に、CPU111(第1の在高情報取得手段)は、上記ステップS102による要求に応じて受信した釣銭機在高情報に基づいて、ドロア開放ボタンBT1の操作タイミングに対応する第1釣銭機在高を求める。そして、これらの第1ドロア在高と第1釣銭機在高を含む所定の情報を現在時刻(ドロア開放操作時刻)に対応させ、RAM113における在高テーブル130の領域に記憶させる(ステップS103)。
【0089】
次に、CPU111(ドロア開放制御部)は、ドロア部202を開放させるための制御を棒金ドロア200の駆動制御部212に対して実行する(ステップS104)。
【0090】
上記ステップS101〜S104の手順から理解されるように、本実施形態においては、ドロア開放ボタンBT1に対する操作に応じて在高テーブル130への情報の記憶が完了した後において、ドロア部202を開放させることとしている。仮に、ドロア部202を開放させた後に在高テーブル130への情報の記憶を行う手順とした場合には以下のような不具合が生じる可能性がある。つまり、ドロア部202が開いてから在高テーブル130への情報の記憶が完了するまでの間において、現金移し替えや棒金の補充、取り出しなどが行われてしまう可能性がある。このようなことが起こった場合には、在高テーブル130に記憶された情報と、実際の在高とに不整合が生じることとなって正しく現金管理ができなくなる。そこで、本実施形態では、ドロア開放ボタンBT1への操作に応じた動作として、在高テーブル130への情報の記憶が完了した後にドロア部202を開放させることで、上記のような不整合が生じることを確実に回避している。
【0091】
次に、CPU111(無効化手段)は、処理終了ボタンBT3(
図6)が操作されるのを待機している(ステップS105−NO)。そして、処理終了ボタンBT3が操作されると(ステップS105−YES)、CPU111(無効化手段)は、ドロア部202が閉じた状態であるか否かについて判定する(ステップS106)。棒金ドロア200の駆動制御部212は、ロック機構部211の状態により、ドロア部202が開放状態と閉じた状態のいずれであるのかを検知している。当該ステップS106における判定にあたり、CPU111(無効化手段)は、例えば、駆動制御部212が出力する検知信号を入力する。
【0092】
CPU111(無効化手段)は、ドロア部202が開いた状態であると判定した場合(ステップS106−NO)、
図8に例示したように、ドロア部202を店員に閉じさせるためのメッセージ画像410を表示させる(ステップS107)。
【0093】
これに対して、ドロア部202が閉じた状態であると判定した場合(ステップS106−YES)、CPU111(第2の在高情報取得手段)は、棒金ドロア200に対してドロア在高情報要求を送信し、自動釣銭機300に対して釣銭機在高情報要求を送信する(ステップS108)。これらの要求に応答して、棒金ドロア200からはドロア在高情報が送信され、自動釣銭機300からは釣銭機在高情報が送信される。POS端末装置100は、このように送信されたドロア在高情報と釣銭機在高情報を受信する。
【0094】
CPU111(第2の在高情報取得手段)は、上記ステップS108による要求に応じて受信したドロア在高情報に基づいて、処理終了ボタンBT3の操作タイミングに対応する第2ドロア在高を求める。同様に、CPU111(第2の在高情報取得手段)は、上記ステップS108による要求に応じて受信した釣銭機在高情報に基づいて、処理終了ボタンBT3の操作タイミングに対応する第2釣銭機在高を求める。そして、これらの第2ドロア在高と第2釣銭機在高を含む所定の情報を現在時刻(処理終了操作時刻)に対応させ、RAM113における在高テーブル130の領域に記憶させる(ステップS109)。
【0095】
次に、CPU111(現金管理処理手段)は、ステップS103に対応して在高テーブル130に格納された第1加算在高と、ステップS109に対応して在高テーブル130に格納された第2加算在高とを読み込む。そして、第1加算在高と第2加算在高とを比較して、両者が等しいか否かについて判定する(ステップS110)。
【0096】
ここで、第1加算在高と第2加算在高が等しいと判定された場合は(ステップS110−YES)、
図7(a)の事例のように現金の移し替えが行われた事例に該当する。つまり、第1加算在高(第1在高情報)と第2加算在高(第2在高情報)とで変化が生じていない場合には、現金の移し替えが行われたものと判定したことになる。そこで、この場合のCPU111(現金管理処理手段)は、現金の移し替えが行われたものと判定し、現金の移し替えに対応する現金管理処理を実行する(ステップS111)。つまり、
図7(a)にして説明したように、加算在高については増減がなかったものとして処理する。
【0097】
これに対して、第1加算在高と第2加算在高が等しくない(つまり、第1在高情報と第2第2在高情報に変化がある)と判定した場合(ステップS110−NO)、CPU111(現金管理処理手段)は、さらに、第1加算在高のほうが第2加算在高よりも少ないか否かについて判定する(ステップS112)。ここで、第1加算在高のほうが第2加算在高よりも少ない場合は(ステップS112−YES)、
図7(b)のように棒金ドロア200に棒金が補充された事例に該当する。そこで、この場合のCPU111(現金管理処理手段)は、棒金の補充が行われたものと判定し、これに応じて、第1加算在高と第2加算在高の差分を釣銭準備金が追加されたものとして扱って現金管理処理を実行する(ステップS113)。
【0098】
また、第1加算在高のほうが第2加算在高よりも多いと判定した場合は(ステップS112−NO)、
図7(c)のように棒金ドロア200から棒金が取り出された事例に該当する。そこで、この場合のCPU111(現金管理処理手段)は、棒金が取り出されたものと判定し、これに応じて、第1加算在高と第2加算在高の差分を売上回収金として扱って現金管理処理を実行する(ステップS114)。
【0099】
そして、CPU111(印字制御手段)は、上記ステップS111、S113、S114のいずれかの処理結果が反映されたレシートを、例えば
図7に示した態様により印字部116に印字させ、印字されたレシートを発行させるための制御を実行する(ステップS115)。
【0100】
図12のフローチャートは、上記
図11の処理と並行してCPU111が実行する処理手順例である。この
図12に示す処理は、前述の棒金ドロア処理期間における買上商品の登録禁止を実現するためのものとなる。
【0101】
CPU111(登録禁止手段)は、買上商品を登録するための操作が行われるのを待機している(ステップS201)。そして、買上商品を登録するための操作が行われると(ステップS201−YES)、CPU111(登録禁止手段)は、現在、棒金ドロア処理期間中であるか否かについて判定する(ステップS202)。つまり、ドロア開放ボタンBT1に対する操作は行われたが、この後の処理終了ボタンBT3に対する操作は未だ行われていない状態であるか否かについて判定する。
【0102】
棒金ドロア処理期間中であると判定した場合(ステップS202−YES)、CPU111(登録禁止手段)は、
図9に例示したように、ドロア部202を閉じてもらうことを促すメッセージ画像420を表示させるための制御を実行する(ステップS203)。これに対して、棒金ドロア処理期間中ではないと判定した場合(ステップS202−NO)、CPU111は、今回の登録操作に応じて買上商品の登録を実行する(ステップS204)。
【0103】
なお、
図10に示す在高テーブル130の構造はあくまでも一例である。例えば、
図11により説明したように、現金管理処理として、現金の移し替え、釣準備金、売上回収金のいずれとして処理すべきかの判定(ステップS110、S112)にあたっては、加算在高を利用している。したがって、在高テーブル130について、ドロア開放操作時刻領域131と処理終了操作時刻領域132ごとに加算在高領域137を対応付けた構造とすることが考えられる。また、加算在高領域137は、ドロア在高と釣銭機在高とを加算することで簡単に求めることができる。そこで、在高テーブル130について、ドロア開放操作時刻領域131と処理終了操作時刻領域132ごとに、ドロア在高領域135と釣銭機在高領域136を対応付けた構造とすることも考えられる。なお、この場合において、ドロア在高情報と釣銭機在高情報は、
図7に示したレシート500における在高の内訳を印字するのに必要となる。そこで、ドロア在高情報と釣銭機在高情報については、例えば、在高テーブル130とは個別のデータ構造により記憶させておくこととすればよい。また、在高テーブル130を所定のタイミングで不揮発性のメモリに転送して記憶させる用にすれば、在高テーブル130の内容を履歴として保存することができる。
【0104】
また、上記実施の形態では、
図5のドロア開放ボタンBT1を押すことで、POS端末装置100のCPU111が棒金ドロア200のドロア在高情報と、自動釣銭機300の釣銭機在高情報とを取得するよう制御する例を示したが、これに限られるものではない。例えば、棒金ドロア200、自動釣銭機300から、リアルタイムで、それぞれの在高情報をPOS端末装置100へ出力し、ドロア開放ボタンBT1を押すことで、POS端末装置100のCPU111が内部のRAM113に記憶するドロア在高情報、自動釣銭機300の釣銭機在高情報を特定するようにしてもよい。
また、上記実施形態における
図7では棒金ドロア対象の作業に応じた現金管理処理結果をレシートに印字する例を示したが、
図7と同様の情報をPOS端末装置100の液晶タッチパネル114に表示させるようにしてもよい。
【0105】
また、CPU111が実行するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより現金管理処理等を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0106】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。