(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段が、単一のセンサであって、前記検出位置にワークが存在しない状態に対応して低レベルまたは高レベルで前記検出信号を出力し、さらにワークが正方向で存在する状態と、異方向で存在する状態に各々対応したレベルで前記検出信号を出力することで、ワークの状態に応じて同一の検出信号を高レベル、低レベルおよび中間レベルの少なくとも3つの異なる出力レベルで変化させつつ出力するものであるとともに、
前記制御部が、中間レベルの検出信号に対応する状態を判定する際には、当該レベルに達したことを認識してから、中間レベルを維持したままで一定時間が経過することを条件とするとともに、低レベルまたは高レベルに対応する状態を判定する際には、当該レベルに達したことを認識したことのみを条件とするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク供給装置。
前記加速手段が、前記検出位置におけるワークに対して搬送方向後方より前方に向けて圧力エアを噴出させる加速用エア噴出部と、圧力エアを供給する第1エア供給源と、前記加速用エア噴出部と前記第1エア供給源との連通または非連通状態を切り替える第1電磁弁を備えるものであり、
前記姿勢変換手段が、搬送面と略直交する側壁側に設けられ前記検出位置におけるワークの後部側面に対して圧力エアを噴出させる姿勢変換用エア噴出部と、圧力エアを供給する第2エア供給源と、前記姿勢変換用エア噴出部と前記第2エア供給源との連通または非連通状態を切り替える第2電磁弁を備えるものであることを特徴とする請求項4に記載のワーク供給装置。
前記検出位置近傍における搬送路の昇り勾配が、当該検出位置近傍よりも少なくとも搬送方向上流側における搬送路の昇り勾配よりも緩やかに設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のワーク供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記垂直軸回り姿勢変換の過程においては、次のような問題が生じる可能性がある。以下、図面を用いて説明を行う。
【0009】
図11(a)はワークの搬送方向に対して垂直となる断面を示したものであり、このように搬送面932aと側壁932bによって支持された状態でワークWが下面側を搬送面932aに当接させつつ搬送されており、側壁932b側に設けた姿勢変換用エア噴出部951よりワークWの側面に対して圧力エアAcが噴射される場合を想定する。さらに、同図を搬送面932aと直交する斜め上方より見た場合を
図11(b)に示す。上記姿勢変換用エア噴出部951に対して、ワークWの搬送方向(図中のX方向)後部が差し掛かった際に圧力エアAcを噴射させると、ワークWの前方でかつ搬送方向Xに対して垂直となる軸(図中のY軸)を中心として回転を行わせることになる。
【0010】
こうすることで、ワークWは下面を搬送面932aに当接させたままの状態として、前面と後面とを入れ替えるとともに、回転に伴って全体が搬送方向前方に移動することになる。
【0011】
供給効率を増大させるためには搬送路932上をワークWが緊密に連続した状態で搬送されることが好ましいものの、回転させたいワークWに対して搬送方向前方または後方のワークWが近接していると、これら前後のワークWの影響を受けて円滑に回転を行わせることができない場合がある。また、
図12に示したように、搬送方向前方に位置するワークが離間していたとしても、その距離Sが小さい場合には、垂直軸回り姿勢変換として回転したワークWが前方のワークWの上に乗り上げてしまう場合もある。これらの回転不良が生じた場合には、ワークWは安定を失って搬送路932より転落したり、後の検査過程によって姿勢不良として排除されたりすることがあり、供給効率の低下に繋がることになる。
【0012】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には安定してワークを正方向に整列させることが可能な、供給効率の高いワーク供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0014】
すなわち、本発明のワーク供給装置は、搬送路に沿ってワークを整列させつつ搬送させて供給先に供給するワーク供給装置であって、前記搬送路中に設定される検出位置にワークが正方向で存在する状態と、ワークが異方向で存在する状態とを各々検出してこれらの各状態に対応する検出信号を出力する検出手段と、前記検出位置近傍に設けられておりワークを一時的に加速させる加速手段と、前記検出位置近傍に設けられておりワークの搬送方向後部を搬送方向前方に向けて且つ搬送方向に対して垂直な軸回りに回転させることでワークの姿勢を変換させる姿勢変換手段と、前記加速手段と前記姿勢変換手段とを制御する制御部とを備えており、前記制御部が、前記検出手段による検出信号を基にして前記加速手段および前記姿勢変換手段の制御を行うことで、所定の検出位置に到達したワークが正方向である場合には当該ワークを加速させ、異方向である場合には当該ワークを姿勢変換するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
このように構成すると、検出位置へのワークの到達およびその際の姿勢を検出して、異方向のワークは前側を中心に回転させることで正方向に姿勢変換させつつ後続のワークと離間させることができ、正方向のワークは加速させることで後続のワークより離間させることができる。こうすることで、異方向のワークの回転を許容するためのスペースが前方に常に確保されるため、ワーク同士の重なり合いを抑制して適切に姿勢変換を行うことができ、正方向に向いて整列させたワークの供給効率を向上させることが可能となる。
【0016】
また、ワークの姿勢を判別するためのセンサを簡便に構成して装置コストを低減するとともに、ワークの状態を判別する際の正確性を担保して適切な動作を行わせることを可能とするためには、前記検出手段が、単一のセンサであって、前記検出位置にワークが存在しない状態に対応して低レベルまたは高レベルで前記検出信号を出力し、さらにワークが正方向で存在する状態と、異方向で存在する状態に各々対応したレベルで前記検出信号を出力することで、ワークの状態に応じて同一の検出信号を高レベル、低レベルおよび中間レベルの少なくとも3つの異なる出力レベルで変化させつつ出力するものであるとともに、前記制御部が、中間レベルの検出信号に対応する状態を判定する際には、当該レベルに達したことを認識してから、中間レベルを維持したままで一定時間が経過することを条件とするとともに、低レベルまたは高レベルに対応する状態を判定する際には、当該レベルに達したことを認識したことのみを条件とするように構成することが好適である。
【0017】
また、上記の構成をより簡便な形態で実現するためには、前記検出手段が、投光部と受光部とから構成される透過型光電センサであり、受光部で検出する光量に応じた信号を前記検出信号として出力するものであって、前記投光部と前記受光部とがワークの搬送路を挟んで対向するように設けられており、搬送路上を通過するワークが前記投光部より前記受光部に到達する検出光の少なくとも一部を遮蔽するように構成することが好適である。
【0018】
また、ワーク側面のいずれか一方の側に上下方向に開放された開口部がある場合には、こうした形状の特徴を捉えて、より適切にワークの向きに応じた出力レベルを得ることができるようにするため、前記ワークが特定面を下側または上側に配置した際に、対向する2つの側面のいずれか一方の側に上下に開放された開口部が形成されており、前記特定面を搬送面に当接させつつワークが正方向の姿勢で前記検出位置に到達した際には前記投光部からの検出光の一部が前記開口部を通過して受光部に至るとともに、前記特定面を搬送面に当接させつつ異方向の姿勢で前記検出位置に到達した際には前記投光部からの検出光が前記受光部との間でほぼ全量遮蔽される位置関係になるように、前記投光部と前記受光部とが配置するように構成することが好適である。
【0019】
また、加速手段および姿勢変換手段を、より簡便な形態で実現するとともに、制御性を高めてより適切に所望の動作をワークに行わせるようにするためには、前記加速手段が、前記検出位置におけるワークに対して搬送方向後方より前方に向けて圧力エアを噴出させる加速用エア噴出部と、圧力エアを供給する第1エア供給源と、前記加速
用エア噴出部と前記第1エア供給源との連通または非連通状態を切り替える第1電磁弁を備えるものであり、前記姿勢変換手段が、搬送面と略直交する側壁側に設けられ前記検出位置におけるワークの後部側面に対して圧力エアを噴出させる姿勢変換用エア噴出部と、圧力エアを供給する第2エア供給源と、前記姿勢変換用エア噴出部と前記第2エア供給源との連通または非連通状態を切り替える第2電磁弁を備えるように構成することが好適である。
【0020】
さらに、後続のワークによる影響が生じることなく、検出位置にあるワークに対して姿勢変換または加速に係る動作をより正確に行わせるためには、検出位置におけるワークの速度を増大させて後続のワークと離間させることが効果的であるため、これを実現する手段として、前記検出位置近傍における搬送路の昇り勾配が、当該検出位置近傍よりも少なくとも搬送方向上流側における搬送路の昇り勾配よりも緩やかに設定して構成することが好適である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した本発明によれば、安定してワークを正方向に整列させることが可能であり、供給効率の高いワーク供給装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
この実施形態のワーク供給装置1は、
図1に示すように、本体部1aを構成するボウル3に対して、ワークWを搬送するための搬送路32を形成するとともに、この搬送路の途中に、ワークWの姿勢を変換するための第1〜第3姿勢変換部R1〜R3および、ワークWの姿勢を検査するとともに所望の姿勢でないものは排除する第1〜第3検査・排除部E1〜E3を設けている。
【0025】
上記姿勢変換部R1〜R3のうち、平行軸回り姿勢変換部としての第1姿勢変換部R1および第2姿勢変換部R2は搬送方向(図中X方向)に対して平行な軸回りにワークWを回転させることにより姿勢変換を行うものである。これに対して、垂直軸回り姿勢変換部としての第3姿勢変換部R3は本願発明の要部を示すものであり、搬送方向に垂直な軸回りにワークWを回転させることによって姿勢変換を行うものである。
【0026】
第3姿勢変換部R3は、搬送路32上の特定の検出位置6xにおいてワークWの検出を行う検出手段としての透過型光電センサ6と、ワークWを一時的に加速させるための加速手段4と、ワークWを搬送方向に垂直な軸回りに回転させる姿勢変換手段5と、これらを動作させる制御部8とを備えている。なお、ここでいう検出位置6xとは、ワークWを検出するための後述する検出領域LAに対応するワークWの位置を示す。
【0027】
ボウル1は平面視略円形のすり鉢状に形成されており、内側は貯留部31とされて供給対象となるワークWを投入することができ、この貯留部31から外周方向に向かって螺旋状の搬送路32が設けられ、搬送路32の下流側は供給先(図示せず)に接続されるように構成している。
【0028】
搬送路32は、
図2に示すように、水平面より所定の角度分傾斜して設けられた平面状の搬送面32aと、これに対し略直交するように交差させた側壁32bとによって略V字形断面に形成されており、ワークWは搬送面32aと側壁32bの双方によって支持されつつ搬送される。
【0029】
ボウル1は、一部を破断して表した
図2に示すように、加振部2上で支持されつつ加振されるようになっている。加振部2は、防振バネ21a〜21aを介して床面に設置される固定ブロック21と、その固定ブロック21の上方に配置されており上記ボウル1を上面に取り付ける可動ブロック22と、固定ブロック21に対して可動ブロック22を離間させた状態で弾性的に接続する板バネ23〜23と、固定ブロック21上に固定されており対向する可動ブロック22を磁気吸引することで変位を生じさせる電磁石24とから構成されている。
【0030】
より具体的には、固定ブロック21と可動ブロック22とは、平面視略円形状に形成されるとともに、中心がほぼ同一の位置となるように配置されている。そして、これらの中心回りに4つの板バネ23〜23が等配されつつ同一方向に傾斜するように設けられている。こうすることで、電磁石24の作用によって固定ブロック21側に引きつけられた際に、可動ブロック22は下方向に変位するとともに上記の中心回りにねじり運動を行うことになる。電磁石24には、図示しない電源より、所定周波数で周期的にオンオフを繰り返しつつ電流を与えることで、ボウル1に上下方向成分とねじり方向成分を含む振動を生じさせることができるように構成されている。この振動を制御することによって、搬送路32上のワークWは搬送される。
【0031】
ここで、本実施形態におけるワーク供給装置1が供給対象とするワークWの一例を、
図3に示す。
図3(a),(b),(c)は、それぞれワークWの側面図、正面図、斜視図を示している。ワークWは概ね直方体状をしており、長手方向にE面WeとF面Wfとが対向されて形成されており、これらに隣接する側面としてA面Wa、B面Wb、C面WcおよびD面Wdの4つの面が順次形成されている。また、A面Waに直交する方向に対して最も扁平になるように構成されている。すなわち、互いに対向するA面WaとC面Wcとの間隔は、これらに直交しつつ互いに対向するB面WbとD面Wdとの間隔よりも小さくなるように形成されている。またA面Wa側は、これに対向するC面Wc側との間で、形状、反射率、色等の異なる特徴を有しており容易に区別することができるようになっている。このA面Waは、以下において姿勢変換を行うための基準となる特定面とも称する。さらには、D面Wdには3箇所に開口部W1〜W1が形成されており、それぞれ特定面であるA面Wa側を上側または下側にしておいたときに、上下方向に連続する開放部として機能するようになっている。
【0032】
このように、ワークWは4つの側面のうち対向するA面WaとC面Wcとが、さらにはB面WbとD面Wdとが各々区別可能に形成されている。そのため、ワークWを搬送させる際には、搬送方向に対する前後方向や上下方向にいずれの面を対応させるかが重要となる。本願においては、一例として特定面であるA面Waが搬送面32aに当接し、且つ、F面Wfが搬送方向に対する前方を向く姿勢を基準としており、この向きを正方向と称し、これ以外の向きを異方向と称することとする。
【0033】
図1に示す本実施形態のワーク供給装置1は、ワークWの姿勢を上記正方向に規制して整列させるように構成されている。
【0034】
まず、ワークWは、貯留部31より搬送路32に沿って搬送される過程によって、搬送方向にワーク9の長手方向が一致する向きとなるようにしている。すなわち、ワークWのE面WeおよびF面Wf(
図3参照)のいずれか一方が搬送方向前側となり、他方が後側となる向きとする。さらに、搬送面32aに直交する方向に最も扁平となる方向が向くようにする。すなわち、ワークWのA面WaおよびC面Wcのいずれか一方が搬送面32aに当接するようにする。以下、A面WaおよびC面Wcに直交する方向をワークの扁平方向と称することとする。
【0035】
上記のワークWの向きは、搬送過程においてワークWが最も安定する姿勢ではあるが、正しい姿勢での供給効率を上げるためには、簡便といえる様々な手段を用いることが可能である。例えば、部分的に搬送路32の幅を小さくする手段や、途中に段差を設ける手段、あるいは、長手方向が搬送方向とは異なる向きになっているワークWに対してのみエアが当たる位置に設けるエア噴出手段などを好適に用いることができる。
【0036】
上記のような手段を用いてワークWの向きをある程度揃えた状態においては、原則として、搬送方向前側にE面WeおよびF面Wf(
図3参照)のいずれかが向くとともに、搬送面32aに対してA面WaおよびC面Wcのいずれかが当接するようになる。こうした状態を前提として、上記第1姿勢変換部R1および第2姿勢変換部R2はワークWの姿勢を検出しつつ、適宜搬送方向(図中X方向)に対して平行な軸回りにワークWを回転させることにより姿勢変換を行い、特定面であるA面Waが搬送面32aに当接した状態に揃えることができるようにしている。こうしたワークWの姿勢検出には光電センサを用いた検出手段や撮像に基づく画像処理手段等を用いることができ、姿勢変換には圧力エアをワーク9の側方より噴出させる手段等を用いることができる。
【0037】
本願発明の要部といえる垂直軸回り姿勢変換部としての第3姿勢変換部R3は、前述したように、ワークWの検出を行うために検出位置6xに設置する透過型光電センサ6と、加速手段4と、ワークWを搬送方向に垂直な軸回りに回転させる姿勢変換手段5と、これらを動作させる制御部8とを備えており、これらが搬送路32上の特定位置に設けられることで構成されている。
【0038】
具体的な構成を説明すると、加速手段4は、搬送路32に設けられた加速用エア噴出部41と、これに圧力エアを供給する第1エア供給源43と、これら加速用エア噴出部41と第1エア供給源43との間の連通または非連通状態とを切り替える第1電磁弁42とから構成されている。また、姿勢変換手段5は、搬送路32に設けられた姿勢変換用エア噴出部51と、これに圧力エアを供給する第2エア供給源53と、これら姿勢変換用エア噴出部51と第2エア供給源53との間の連通または非連通状態とを切り替える第2電磁弁52とから構成されている。ここでは、第1エア供給源43と第2エア供給源53とは、これらより各々供給される圧力エアを独立して微調整可能とするために分離して構成しているが、装置構成の簡素化のためには同一のエア供給源として構成することも可能である。
【0039】
さらに、検出手段6によるワーク検出信号に基づいて、制御部8より第1電磁弁42および第2電磁弁52に対して制御信号が送られ、この信号に応じて第1電磁弁42および第2電磁弁52は上述した連通または非連通状態を各々切り替えるように構成されている。すなわち、制御部8は、検出手段6によるワーク検出信号に基づいて加速手段4の動作および姿勢変換手段5の動作を制御するように構成されている。
【0040】
上記のように搬送路32に沿って構成した第1〜第3姿勢変換部R1〜R3を経た後、ワークWが正方向の姿勢となっているかを検査し、異方向であるワークWを排除するため、第1検査・排除部E1、第3検査・排除部E3および第2検査・排除部E2が設けられている。第1〜第3検査・排除部E1〜E3は、上記第1〜第3姿勢変換部R1〜R3に各々対応したワークWの姿勢の検出を行い、所定の姿勢になっていない場合には側壁32b側より内側に向けてエアを噴出させることでワークWを搬送路32より排除し、貯留部31に戻すようにしている。
【0041】
以下、本願発明の要部である垂直軸回り姿勢変換部としての第3姿勢変換部R3を構成する加速手段4、姿勢変換手段5、検出手段6について詳細に説明を行う。
図4は、ボウル3の内周側上方より第3姿勢変換部R3を見た際の斜視図を示しており、この図を用いて各部の位置関係について説明する。
【0042】
ボウル3に形成された搬送路32の一部には、搬送面32aおよび側壁32bともに切欠かれた切欠き部33が形成されており、その切欠き部33に収まるように別部材である平板状の搬送面プレート71と側壁ブロック72とが設けられている。詳細には、
図6の断面図に示すように、切欠き部33上に形成された設置面33a上に搬送面プレート71が設置されるとともに、この搬送面プレート71の上部に側壁ブロック72を設置している。さらに、
図4に戻って、搬送面プレート71の上面71aは、ボウル3に形成された搬送面32aとの間で、上流側および下流側の何れにおいても段差を生じることなく円滑に連続するように設けられており、これらと一体となって1つの搬送面32aを構成している。同様に、側壁ブロック72の側面72bも、ボウル3に形成された側壁32bとの間で、上流側および下流側の何れにおいても段差を生じることなく円滑に連続するように設けられており、これらと一体となって1つの側壁32bを構成している。
【0043】
また、
図5に模式的に示すように、搬送面プレート71上に形成される搬送面71a(32a)の昇り勾配θ1は、この搬送面プレート71の前後におけるボウル3の昇り勾配θ0よりも緩やかになるように構成している。こうすることで、上流側より搬送路32に沿って搬送されてくるワークWが、搬送面プレート71上で速度を増加することになり、たとえ複数のワークWが近接した状態で検出位置6xまで搬送されてきた場合でも、一旦搬送面プレート71上で搬送方向に離間させることが可能となり、後述するワーク検出や姿勢変換を行い易くなる効果を生じる。なお、このようにワークWを搬送面プレート71上で離間させるためには、この搬送面プレート71の昇り勾配θ1を上流側に対して緩やかにするだけで足りるが、搬送路32全体における搬送速度のバラツキを低減するためには搬送面32aの昇り勾配をできる限り同一にすることが好ましいため、搬送面プレート71の上流側と下流側とで同一の昇り勾配で形成しておき、これらに対して搬送面プレート71の昇り勾配を緩やかに形成することが好適である。また、製作容易性の観点からも、上流側と下流側とをほぼ同一の昇り勾配とで形成することが好ましいものといえる。
【0044】
搬送面プレート71には、搬送路32を通過するワークWに対応する位置に、ワークWの搬送方向に長手方向を配した長孔71bが形成されている。
図6で示すように、この長孔71bに対応する位置に、ボウル3の切欠き部33にも開口孔33bが形成されている。そして、これらの長孔71bおよび開口孔33bとともに搬送路32を挟んで、下側に投光部61が、上側に受光部62が互いに対向するように配置されており、これら投光部61と受光部62とによって1個の透過型光電センサを構成している。投光部61はボウル3の外周面に傾斜して設けられるとともに、受光部62は上記側壁ブロック72に傾斜して設けられており、両者は図示しないコントローラに接続され、当該コントローラを通じて検出信号を発するように構成されている。投光部61からは上記開口孔33bおよび長孔71bを通じて搬送面32aに略垂直となる検出光を発し、受光部62は当該検出光を検出して、ワークWが検出光を遮蔽した割合に応じて検出信号を変化させて出力するようになっている。
【0045】
図4に戻って、加速手段4を構成する加速用エア噴出部41はエアノズルとして構成されており、支持ブロック44を介してボウル3に固定されている。エアノズル41は先端の噴射孔41aが、上記検出位置6x近傍にあるワークWの搬送方向後方に向かって配されており、ここから圧力エアを噴出することでワークWに後方より圧力を与え、前方に向けて一時的に加速できるようになっている。支持ブロック内44にはエアノズル41に対して圧力エアを導入するための図示しない連通孔が形成されており、上記第1電磁弁42(
図1参照)との接続がなされている。
【0046】
さらに、姿勢変換手段5を構成する姿勢変換用エア噴出部51はエア噴出孔として構成されており、上記検出位置6x近傍における搬送路32の側壁32b、すなわち側壁ブロック72の側面72aに設けられている。
図7は、このエア噴出孔51を通る断面図として示したものである。エア噴出孔51は側壁ブロック72の側面72bに対して直交する方向に形成されており、当該エア噴出孔51に対しては、側壁ブロック72の内部に設けた連通孔72aが連続している。さらに、この連通孔72aに対しては、継手54とその内部空間54aを介して第2電磁弁52(
図1参照)より圧力エアAcを導入することができるようになっている。エア噴出孔51は、
図4に示すように、ワークWの検出行うための長孔72よりもわずかに搬送方向後方に位置しており、長孔72を遮蔽する位置にワークWが到達した際にエア噴出孔51より圧力エアを噴出させると、その圧力エアがワークWの搬送方向後部に当たることでワークWの後部を前方に向かって、搬送方向に垂直な軸回りに、より具体的には搬送面32aに垂直となる軸回りに回転させることが可能な位置関係に設けられている。
【0047】
ここで、
図4および
図6を用いて説明したワークWを検出するための透過型光電センサ6に関して、これより得られる検出信号について説明を行う。上述の通り、投光部61からは搬送面プレート71に開口された長孔71bを通じて検出光を発するとともに、受光部62ではその検出光を捉え、図示しないコントローラを通じて検出した光量に応じた出力を発する。すなわち、
図8に模式的に示すように、長孔71bによって開口される領域が前述したワーク検出領域LAとなり、当該領域内にワークWが存在する割合に応じて、ワークWの検出位置6xにおける存在および向きが判定できるようになっている。
【0048】
上述したように、この検出位置6xにワークWが到達する際には、ワークWの長手方向が搬送方向(X方向)となるとともに、特定面であるA面Wa(
図3参照)が搬送面32aに当接する向きとなっている。そのため、ワークWのB面WbおよびD面Wdのいずれか一方が側壁32bに当接し、他方が反対側になることになる。こうした2つの向きのうちで、
図8(a)に示すように開口部W1が形成されたD面Wdが側壁32bに当接した場合が正方向となり、
図8(b)に示すようにB面Wbが側壁32bに当接した場合が異方向ということになる。
【0049】
上記長孔71bにより形成されるワーク検出領域LAに対してワークWが干渉する位置に存在しない状態では、ワーク検出領域LAの全てに対応した高レベルでの検出信号を発することになる。また、
図8(a)のようにワークWが正方向となった状態で検出位置6xに存在する場合には、ワーク検出領域LAが開口部W1の一部領域と重なるような位置関係にされていることで、投光部31より受光部32(
図6参照)は検出光の一部のみが到達して、この光量に対応する中間レベルの検出信号を発することになる。さらには、
図8(b)のようにワークWが異方向となった状態で検出位置6xに存在する場合には、ワーク検出領域LAの全領域がワークWによって遮蔽される位置関係となっており、投光部31より受光部32(
図6参照)に至る光量がほとんどなく低レベルでの検出信号を発することになる。
【0050】
上記のような検出信号の出力レベル変化が得られるように、ワーク検出領域LAとワークWの開口部W1との位置関係が形成されていることから、ワークWが搬送されるに従って、
図9(a),(b)の各上段に示すような出力変化を有する。
図9(a),(b)は各々ワークWが正方向、異方向の姿勢でセンサ検出領域LAを通過する際のセンサ検出信号の変化と、これに伴う第1電磁弁42および第2電磁弁52(
図1参照)の動作を示した模式図である。制御部8(
図1参照)は、2つの閾値Lt1,Lt2を内部に記憶しており、これらの各閾値Lt1,Lt2に対する検出信号の大小関係に基づいて、検出位置6xにおけるワークWの有無、および正方向・異方向といった姿勢の判定を行いつつ第1電磁弁42および第2電磁弁52(
図1参照)に動作を行わせるようにしている。
【0051】
まず、
図9(a)に基づき、ワークWが正方向でワーク検出領域LAを通過する際の検出信号の変化と、これに基づいて制御部8が行う各電磁弁42,52(
図1参照)の動作について説明する。
【0052】
ワークWがワーク検出領域LAの範囲に存在しない場合には、投光部61から受光部62に至る検出光量はほぼ最大値となるため、これに対応して高レベルL1の検出信号が出力される。このときの検出信号は閾値Lt1,Lt2未満の状態といえないことから、制御上、ワークWが検出位置6xに存在しないものと判定していることになる。
【0053】
こうした状態より、仮にワークWがワーク検出領域LAの上を一定速度で通過した場合には、図のように検出信号が変化する。ワ−クWがワーク検出領域LAに差し掛かると、徐々に検出光が遮蔽されていき、それに対応して検出信号のレベルが低下していく。そして、ワーク検出領域LAの中心とワークWの搬送方向中心位置が合致する点において、検出光の一部が開口部W1より通過し、残りが遮蔽された状態となるため、検出信号は中間レベルL2にまで低下する。そして、ワークWの搬送に伴って検出光量は徐々に回復して、ワークWがワーク検出領域LAより離間した際には、検出信号は高レベルL1まで復帰する。
【0054】
上記の中間レベルL2に対して、第1閾値Lt1は大きく、第2閾値Lt2は小さく設定している。制御上は検出信号が第1閾値Lt1を下回った時点よりこの状態を維持したままで時間T1が経過することを条件として、ワークWが検出位置6xに存在するとともに正方向の姿勢であるものと判定している。この時間T1が経過するまでの間に第1閾値Lt1以上のレベルにまで検出信号が復帰した場合には、ワークWが検出位置6xにないものと判定することになる。
【0055】
ワークWが検出位置6xに存在するとともに正方向の姿勢であるものと判定した場合には、第1電磁弁42(
図1参照)をオン、すなわち
図8(a)に示すように、エアノズル41より圧力エアAcを噴出させることで、この検出位置6xにあるワークWを一時的に加速させ、搬送面32aおよび側壁32bに沿ってそのままの姿勢で搬送方向前方に進ませて後続のワークWと離間させる。そして、
図9(a)に示すように、時間Tc1が経過することで第1電磁弁42をオフとして圧力エアAcの噴出を停止する。
【0056】
このように、加速用の圧力エアAcの噴出によるワークWの動作を考慮した場合には、圧力エアAcが噴出された時点より、ワークWがワーク検出領域LAより速やかに離脱することになるため、実際の検出信号波形は図中においてP1で示すラインのように急速に高レベルL1まで変化することになる。
【0057】
次に、
図9(b)に基づき、ワークWが異方向でワーク検出領域LAを通過する際の検出信号の変化と、これに基づいて制御部8が行う各電磁弁42,52(
図1参照)の動作について説明する。
【0058】
ワークWがワーク検出領域LAの範囲に存在しない場合には、高レベルL1の検出信号が出力される。この状態より、仮にワークWがワーク検出領域LAの上を一定速度で通過した場合には、図のように検出信号が変化する。ワ−クWがワーク検出領域LAに差し掛かると検出光が遮蔽されていき、これに対応して検出信号のレベルが低下していく。そして、ワーク検出領域LAの中心とワークWの搬送方向中心位置が合致する点において、検出光はほぼ全量が遮蔽された状態となるため、検出信号は低レベルL0にまで低下する。そして、ワークWの搬送に伴って検出光量は徐々に回復して、ワークWがワーク検出領域LAより離間した際には、検出信号は高レベルL1まで復帰する。
【0059】
上記の最低レベルL0に対して、第1閾値Lt1、第2閾値Lt2はともに十分大きく設定している。制御上は検出信号が第2閾値Lt2を下回った時点において、ワークWが検出位置6xに存在するとともに異方向の姿勢であるものと判定している。そして、即座に第2電磁弁52(
図1参照)をオン、すなわち
図8(b)に示すように、ワークWの搬送方向後部に対してエア噴出孔51より圧力エアAcを噴出させることで、ワークWを搬送面32a上に位置させたままで、搬送方向後部が搬送方向前方に向けて、且つ搬送方向に対して垂直な軸(図中のY軸)回りに回転させるようにしている。そして、
図9(b)に示すように、時間Tc2が経過することで第2電磁弁42をオフとして姿勢変換用の圧力エアAcの噴出を停止する。
【0060】
このように、姿勢変換用の圧力エアAcの噴出によるワークWの動作を考慮した場合には、圧力エアAcが噴出された時点より、ワークWがワーク検出領域LAより速やかに離脱することになるため、実際の検出信号波形は図中においてP2で示すラインのように急速に高レベルL1まで変化することになる。そのため、検出信号が第1閾値Lt1を下回ってから、第1閾値Lt1以上まで復帰するまでの時間T2はごく短時間で済み、上述の時間T1よりも十分小さくなる。従って、同一の検出信号を用いつつも、複雑な制御プログラムとすることなく、ワークWが正方向で存在することの判定と異方向で存在することの判定を両立することが可能となっている。
【0061】
上記のような姿勢変換部R3を構成する加速手段4および姿勢変換手段5の制御に関し、
図10のフローチャートを用いて、再度説明を行う。
【0062】
まず、制御部8(
図1参照)は、第1のステップとして、センサ検出信号が第1閾値Lt1未満であるかを判定する(ST1)。第1閾値Lt1未満となっていない場合には、検出位置6xにワークWが存在していない状態であるため、ワークWを待つ待機状態として繰り返して当該判定を行うようにしている。
【0063】
センサ検出信号が第1閾値Lt1未満である場合には、この状態より時間T1が経過したかを判定する(ST2)。時間T1が経過した場合には、ワークWが検出位置6xに正方向で存在しているものと判定したことになり、図中の右側のステップに移行して、第1電磁弁42(
図1参照)をオンさせ(ST7)、一定時間Tc1の経過を待った(ST8)後に、第1電磁弁をオフさせる(ST9)ことによって、一連の動作が終了することになる。
【0064】
上述の時間T1経過の判定ステップ(ST2)において時間T1が経過していないと判定した場合には、センサ検出信号が第2閾値Lt2未満と判定するステップ(ST3)に移行する。ここで、第2閾値Lt2未満でない場合には、再度、時間T1経過の判定ステップ(ST2)に戻る。第2閾値Lt2未満である場合には、ワークWが検出位置6xに異方向で存在しているものと判定したことになり、図中下方向のステップに移行して、第2電磁弁52(
図1参照)をオンさせ(ST4)、一定時間Tc2の経過を待った(ST5)後に、第2電磁弁をオフさせる(ST9)ことによって、一連の動作が終了することになる。
【0065】
上記フローチャートに従った1個の制御プログラムを内蔵するものとして制御部8(
図1参照)は構成してあるが、単なるリレー回路やタイマー回路との組み合わせによって同様の動作を行わせるように構成することも可能である。また、透過型光電センサ6の動作および検出信号の出力を行うためのコントローラに、上記制御部8としての機能を含めるように構成することも可能である。
【0066】
上記のように構成したワーク供給装置1は、次のようにして使用することができる。
図1を基にして説明を行う。
【0067】
まず、供給対象となるワークWを貯留部31に投入して、加振部2(
図2参照)に所定周波数の電圧を印加する。これにより、ボウル1には上下方向成分とねじり方向成分とを含む振動が生じ、この振動によって、貯留部31のワークWはボウル1の外周方向に移動するとともに、搬送路32内に進入して搬送路32に沿って搬送され始める。
【0068】
ワークWは、搬送路32上を進む過程により、長手方向が搬送方向と一致する向きとなるとともに、扁平方向が搬送面32aに対して垂直となる向きに姿勢が矯正される。ワークWは、第1姿勢変換部R1、第2姿勢変換部R2によって、A面Wa(
図3参照)が搬送面32aに当接する向きに揃えられる。これらの機能が正確に機能していた場合、この状態においては側壁32bにD面Wdが当接する正方向と、B面Wbが当接する異方向の2種のパターンが存在する。
【0069】
ワークWが第3姿勢変換部R3における検出位置6xに到達する際には、当該箇所において搬送面プレート71(
図5参照)の昇り勾配が上流側よりも緩やかに設定されていることから、ワークWは後続のものより離間した状態となっている。
【0070】
また、この検出位置6xにおいてワークWが正方向である場合には、透過型光電センサ6によって中間レベルL2の検出信号が発せられる。この検出信号を基にして、具体的には検出信号が第1閾値Lt1を下回り、その状態で時間T1が経過したことを条件として(
図9参照)、制御部8はワークWが検出位置6xに正方向で存在しているものと判定して、時間Tc1が経過するまでの間、第1電磁弁42をオンにすべく指令を与える。こうすることで第1エア供給源42からの圧力エアが短時間、加速用エア噴出部としてのエアノズル41より噴出され、ワークWを一時的に加速させる。この際、上記の搬送面プレート71(
図5参照)の昇り勾配が緩やかであることによる効果により、後続のワークWとの間で離間した状態となるために、ワークWの後面に対して適切に圧力エアAcを当てることができ、効果的に加速させることが可能となっている。このように正方向のワークWを一時的に加速させることによって、後続のワークWとの間で大きく離間させることができ、後続のワークWが異方向である場合にこれを回転させるためのスペースを得ることが可能となっている。
【0071】
検出位置6xにおいてワークWが異方向である場合には、透過型光電センサ6によって低レベルL0の検出信号が発せられる。この検出信号を基にして、具体的には検出信号が第2閾値Lt2を下回ったことのみを条件として(
図9参照)、制御部8ではワークWが検出位置6xに異方向で存在しているものと判定して、時間Tc2が経過するまでの間、第2電磁弁52をオンにすべく指令を与える。こうすることで、第2エア供給源52からの圧力エアが短時間、エア噴出孔51より噴出され、ワークWの搬送方向後部を搬送方向前方に向けて回転させる。この際、上記の搬送面プレート71(
図5参照)の昇り勾配が緩やかであることによる効果により後続のワークWと離間した状態となるために、回転する際に後続のワークWと干渉することなく、円滑に姿勢変換を行うことが可能となっている。また、先にこの検出位置6xを通過したワークWは、正方向である場合には加速手段4によって既に前方に向けて移動しており、異方向である場合には姿勢変換手段5による回転に伴って前方に移動しており、さらには、搬送面プレート71(
図5参照)の昇り勾配が緩やかであることによる効果と相俟って距離がより離れるようになっているため、いずれの姿勢であっても後続のワークWが回転するためのスペースを後方に形成することになる。そのため、異方向のワークWを姿勢変換するためには、前方のワークWと重なり合うなど干渉することがなく、適切に姿勢を変換して正方向にすることが可能となる。
【0072】
上記のように、第3姿勢変換部R3を通過したワークWは、第1〜第3検査・排除部E1〜E3によって、所定の姿勢になっているか否かを検査され、異なるものと判定された場合には搬送路32上より排除されて貯留部31に戻される。第1〜第3検査・排除部E1〜E3を通過して、所定の正方向の姿勢であることを確認されたワークWは供給先に向けて供給される。
【0073】
以上のように、本実施形態におけるワーク供給装置1は、搬送路32に沿ってワークWを整列させつつ搬送させて供給先に供給するワーク供給装置1であって、前記搬送路32中に設定される検出位置6xにワークWが正方向で存在する状態と、ワークWが異方向で存在する状態とを各々検出してこれらの各状態に対応する検出信号を出力する検出手段6と、前記検出位置6x近傍に設けられておりワークWを一時的に加速させる加速手段4と、前記検出位置6x近傍に設けられておりワークWの搬送方向後部を搬送方向前方に向けて且つ搬送方向に対して垂直な軸回りに回転させることでワークWの姿勢を変換させる姿勢変換手段5と、前記加速手段4と前記姿勢変換手段5とを制御する制御部8とを備えており、前記制御部8が、前記検出手段6による検出信号を基にして前記加速手段4および前記姿勢変換手段5の制御を行うことで、所定の検出位置6xに到達したワークWが正方向である場合には当該ワークWを加速させ、異方向である場合には当該ワークWを姿勢変換するように構成したものである。
【0074】
このように構成しているため、所定の検出位置6xへのワークWの到達およびその際の姿勢を検出して、異方向のワークWは搬送方向後部を搬送方向前方に向けて回転させることで正方向に姿勢変換するとともに、後続のワークWより離間させることができ、正方向のワークWは加速させることで後続のワークWより離間させることができる。こうすることで、異方向のワークWを姿勢変換する際には、常に前方への回転を許容するためのスペースが確保されることになるため、ワークW同士の重なり合いを抑制して効率よく姿勢変換することができ、正方向にワークWを整列させて供給する際の供給効率を向上させることが可能となる。
【0075】
また、前記検出手段6が、単一のセンサであって、前記検出位置6xにワークWが存在しない状態に対応して高レベルL1で前記検出信号を出力し、さらにワークWが正方向で存在する状態と、異方向で存在する状態に各々対応したレベルで前記検出信号を出力することで、ワークWの状態に応じて同一の検出信号を高レベルL1、低レベルL0および中間レベルL2の少なくとも3つの異なる出力レベルで変化させつつ出力するものであるとともに、前記制御部8が、中間レベルL2の検出信号に対応する状態を判定する際には、当該レベルL2に達したことを認識してから、中間レベルL2を維持したままで一定時間T1が経過することを条件とするとともに、低レベルL0に対応する状態を判定する際には、当該レベルL0に達したことを認識したことのみを条件とするように構成しているため、単一のセンサ6の出力を利用して3つの状態を判定しつつ簡便に制御を行うことが可能となり、装置のコストを低減することができるとともに、中間レベルL2に対応する状態であることを判定する際には、一定時間T1の経過を条件としていることから、低レベルL0に対応する状態と混同することがなく、正確にワークWの状態を判別して適切に動作を行わせることが可能となる。
【0076】
また、前記検出手段6が、投光部61と受光部62とから構成される透過型光電センサであり、受光部62で検出する光量に応じた信号を前記検出信号として出力するものであって、前記投光部61と前記受光部62とがワークWの搬送路32を挟んで対向するように設けられており、搬送路32上を通過するワークWが前記投光部61より前記受光部62に到達する検出光の少なくとも一部を遮蔽するように構成しているため、ワークWの位置および形状に応じて出力レベルの変化する検出信号を得ることができるため、簡便に上記構成を実現することが可能となる。
【0077】
また、前記ワークWが特定面Waを下側または上側に配置した際に、対向する2つの側面のいずれか一方の側に上下に開放された開口部W1が形成されており、前記特定面Waを搬送面32aに当接させつつワークWが正方向の姿勢で前記検出位置6xに到達した際には前記投光部61からの検出光の一部が前記開口部W1を通過して受光部62に至るとともに、前記特定面Waを搬送面32aに当接させつつ異方向の姿勢で前記検出位置6xに到達した際には前記投光部61からの検出光が前記受光部62との間でほぼ全量遮蔽される位置関係になるように、前記投光部61と前記受光部62とが配置されるように構成しているため、ワークWの側面の一方に設けた開口部W1により検出光の一部が通過するような位置関係に投光部61と受光部62とを配置することで、ワークWの向きに応じて出力レベルの変化する検出信号を好適に得ることができるようになる。
【0078】
前記加速手段4が、前記検出位置6xにおけるワークWに対して搬送方向後方より前方に向けて圧力エアAcを噴出させる加速用エア噴出部41と、圧力エアAcを供給する第1エア供給源43と、前記加速
用エア噴出部41と前記第1エア供給源43との連通または非連通状態を切り替える第1電磁弁42を備えるものであり、前記姿勢変換手段5が、搬送面32aと略直交する側壁32b側に設けられ前記検出位置6xにおけるワークWの後部側面に対して圧力エアAcを噴出させる姿勢変換用エア噴出部51と、圧力エアAcを供給する第2エア供給源53と、前記姿勢変換用エア噴出部51と前記第2エア供給源53との連通または非連通状態を切り替える第2電磁弁52を備えるように構成しているため、加速手段4および姿勢変換手段5を、圧力エアAcと電磁弁42,52を用いた簡単な構成で実現するとともに、精度良く好適に制御を行うことができるためワークWに所望の加速または姿勢変換動作を適切に行わせることが可能となる。
【0079】
前記検出位置6x近傍における搬送路32aの昇り勾配θ1が、当該検出位置6x近傍よりも少なくとも搬送方向上流側における搬送路32aの昇り勾配θ0よりも緩やかに設定するように構成しているため、検出位置6x近傍ではワークWの搬送速度が増大して、連続して搬送されるワークWの間隔が大きくなり、後続のワークWの影響を受けることがなく、姿勢変換や加速動作をより正確に行わせることが可能となる。
【0080】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、ワークWの移動経路が螺旋状となるボウルフィーダ型の形態のワーク供給装置として構成しているが、ワークWの搬送路を直線状に形成したリニアフィーダ型の供給装置として構成することも可能である。
【0082】
また、上述の実施形態においては、ワークWの姿勢変換を行わせるために、搬送方向後部を前方に向けて搬送面32aに垂直となる軸回りに回転させていたが、検出位置6xに至る際のワークWの姿勢や供給時に目的とする姿勢に応じて、姿勢変換用エア噴出部としてのエア噴出孔51を搬送面32aに設け、側壁32bに垂直となる軸回りに回転させるように構成することも可能である。また、搬送面32aと側壁32bの双方に設けておきワークWに応じて使い分けるようにすれば、1個のワーク供給装置によって種類の異なるワークWを扱うことも可能となる。
【0083】
また、上述の実施形態においては、ワークWの検出手段として透過型光電センサ6を用いていたが、反射型光電センサを用いることでも同様にワークWの姿勢に応じて変化する検出信号を得ることができ、好適に用いることができる。さらには、ワークWの位置を検出できるとともに、ワークWの各表面の特徴を捉えることで姿勢を検出することができるものである限り、光電センサだけではなく、ファイバセンサ、近接センサ、レーザセンサ等の様々なセンサを使用することでも、同様に構成することが可能である。加えて、撮像手段と画像認識処理とを組み合わせることによって、透過型光電センサ6に代わる検出手段として用いることも可能であり、これを用いて同様に構成することも可能である。
【0084】
また、上述の実施形態では、加振部2に振動を生じさせる駆動源として電磁石24を用いていたが、振動周波数および加振力を制御することが可能なものであれば駆動源はこの形態に限らない。例えば、板バネ23、23の表面に圧電素子を貼り付け、その圧電素子に正弦波状の電圧を印加して周期的な伸びを生じさせることによって加振台2を振動させることも可能である。
【0085】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。