(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)多官能性単量体、並びに(D)溶媒を含有する着色組成物であって、(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンを含有し、(D)溶媒として(d1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、(d2)アセトン、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、且つ溶媒(d2)の含有割合が全溶媒中5〜60質量%であることを特徴とする着色組成物。
(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、(C)多官能性単量体、並びに(D)溶媒を含有する着色組成物であって、(A)着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を含有し、(D)溶媒として(d1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、(d2)アセトン、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドンよりなる群から選ばれる少なくとも1種とを含有し、且つ溶媒(d2)の含有割合が全溶媒中5〜60質量%であることを特徴とする着色組成物。
溶媒(d2)が、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の着色組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の着色組成物において、(A)着色剤は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有するものである。ハロゲン化亜鉛フタロシアニンとしては、臭素化亜鉛フタロシアニン又は臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。臭素化塩素化亜鉛フタロシアニンは、カラーインデックス(C.I.)名においてC.I.ピグメントグリーン58に分類される顔料であり、下記式(1)で表される構造であることが好ましい。
【0012】
(式(1)において、Xは、相互に独立して、水素原子、塩素原子または臭素原子を示し、全てのXのうち10〜15個は臭素原子、1〜6個は塩素原子である。)
【0013】
本発明の着色組成物は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン以外の他の着色剤を更に含有することができる。他の着色剤としては、特に限定されるものでなく、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、カラーフィルタには耐熱性が求められることから、有機顔料が好ましい。
本発明において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの含有割合は、輝度及び色純度の高い緑色画素を得るという意味においては、全着色剤中、好ましくは20〜100質量%、特に好ましくは30〜80質量%である。
上記他の着色剤としては、例えば、カラーインデックスにおいてピグメントに分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されている有機顔料を挙げることができる。
【0014】
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー219;
【0015】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0016】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272。
これら他の着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0017】
これら他の着色剤のうち、緑色の画素を形成するにあたっては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー219が好ましい。
【0018】
本発明において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン及び他の着色剤は、必要に応じて、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法や、これらの組み合わせ等により精製して使用することができる。また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン及び他の着色剤は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用することができる。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂や、市販の各種の顔料分散用の樹脂などを挙げることができる。
本発明において、(A)着色剤の含有割合は、輝度及び色純度の高い緑色画素を形成するという意味において、全固形分中、好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは5〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0019】
本発明における着色剤は、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0020】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN21324(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミンとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステルとして、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0021】
これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。分散剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。分散剤の含有量が多すぎると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0022】
上記分散助剤としては、例えば、顔料誘導体を挙げることができ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
【0023】
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する重合体であることが好ましい。なかでも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、特に、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体(b1)」ということがある。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体(b2)」ということがある。)との共重合体が好ましい。
【0024】
単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
単量体(b1)と単量体(b2)との共重合体において、単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0026】
また、単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートの如き不飽和カルボン酸エステル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0027】
単量体(b1)と単量体(b2)との共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0028】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0029】
本発明における(B)バインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
【0030】
また、本発明における(B)バインダー樹脂のMwと、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0031】
本発明における(B)バインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
本発明において、(B)バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
本発明において、(B)バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に20〜500質量部が好ましい。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0033】
本発明における(C)多官能性単量体は、2個以上の重合性不飽和結合を有する単量体である。
このような多官能性単量体としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコールの如きアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートやそのジカルボン酸変性物;
ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の如きエポキシ(メタ)アクリレート樹脂;
両末端ヒドロキシポリ−1,3−ブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンの如き両末端ヒドロキシル重合体のジ(メタ)アクリレート;
水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られるウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート;
特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されているカプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレート;
トリス〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕フォスフェート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート
等を挙げることができる。
【0034】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類又はそのジカルボン酸変性物、ウレタン構造を有するポリ(メタ)アクリレート、並びにカプロラクトン構造を有するポリ(メタ)アクリレートが好ましい。3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類又はそのジカルボン酸変性物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ペンタエリスリトールトリメタクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物等が好ましい。なかでも、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物が、着色パターンの強度が高く、着色パターンの表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及び遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で好ましい。
本発明において、(C)多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
本発明における(C)多官能性単量体の含有量は、(B)バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に20〜300質量部が好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、多官能性単量体の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0036】
本発明の着色組成物において、(D)溶媒は、(d1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「溶媒(d1)」ということがある。)と、(d2)3−エトキシプロピオン酸エチルより溶解度パラメータが高い溶媒(以下、「溶媒(d2)」ということがある。)とを含有し、且つ溶媒(d2)の含有割合が全溶媒中5〜60質量%であることを特徴とする。
【0037】
溶媒(d2)の含有割合は、全溶媒中、好ましくは6〜55質量%であり、特に好ましくは7〜50質量%である。溶媒(d2)の含有量が5質量%未満であると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方60質量%を超えると、成膜性が悪化したり着色組成物の保存安定性が悪化したりするおそれがある。
【0038】
一方、溶媒(d1)の含有割合は、全溶媒中、好ましくは45〜94質量%であり、特に好ましくは50〜93質量%である。また、溶媒(d1)としては、沸点(成膜性)を考慮すると、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート単独で使用するか、3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−メトキシブチルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを混合して使用することが好ましい。
【0039】
溶媒(d1)は、上記分散剤やバインダー樹脂と適度な親和性を有するため、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを分散した着色組成物中に、該溶媒を含有せしめることにより、保存安定性の良好な着色組成物を得ることができる。
【0040】
実際、特開2007−284589号公報、特開2009−52010号公報等の実施例にも開示されているように、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有する従来の着色組成物においては、溶媒(d1)が使用されてきた。しかしながら、かかる従来の組成物では、異物の発生を抑制することが困難であった。本発明者らは、異物が発生する要因をハロゲン化亜鉛フタロシアニンの凝集と考え、該顔料に対する溶媒の親和性に着目し、本発明を完成するに至った。即ち、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンに対する親和性が溶媒(d1)より高い溶媒、換言すれば、溶媒(d1)の中で最も溶解度パラメータ(SP値)が高い3−エトキシプロピオン酸エチルより溶解度パラメータが高い溶媒を含有せしめることが、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの凝集による異物の発生を抑制する上で重要であることを見出した。
【0041】
ここで、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンの溶解度パラメータは、置換するハロゲンの種類や個数により変動するため、一義的に定めることはできないが、竹原佑爾、浅田勉、谷常保、山本晃夫、田原幸夫、末沢正明、色材、47,412(1974)、C.M.Hansen,J.Paint.Technol.,39,505(1967)に開示されているフタロシアニンや塩素化フタロシアニンの溶解度パラメータ値から、11前後であると推定される。これに対し、溶媒(d1)の溶解度パラメータは、Fedorsの計算方法によれば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(8.70)、3−エトキシプロピオン酸エチル(8.88)、3−メトキシブチルアセテート(8.71)である。
【0042】
溶媒(d2)としては、3−エトキシプロピオン酸エチルより溶解度パラメータが高い限り特に限定されるものではないが、例えば、アセトン(9.07)、シクロヘキサノン(9.80)、メタノール(13.77)、エタノール(12.58)、イソプロパノール(10.24)、エチレングリコールモノメチルエーテル(11.98)、エチレングリコールモノエチルエーテル(11.47)、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル(11.10)、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(10.81)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(10.19)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(9.98)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(9.82)、3−メトキシプロピオン酸メチル(8.96)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(9.69)、エチレングリコール(17.83)、ジアセトンアルコール(10.85)、乳酸エチル(11.03)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(9.01)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(8.94)、N,N−ジメチルホルムアミド(10.63)、N,N−ジメチルアセトアミド(10.60)、N−メチルピロリドン(11.52)等を挙げることができる。カッコ内の数値は、Fedorsの計算方法により求めた各溶媒の溶解度パラメータである。
【0043】
これらの溶媒(d2)のうち、着色組成物の保存安定性及び所望の効果を得る点から、溶解度パラメータが13以下の溶媒が好ましい。さらに溶媒の沸点(成膜性)を考慮すると、溶媒(d2)は、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。
本発明において、溶媒(d2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
本発明においては、溶媒(d1)及び溶媒(d2)と共に、他の溶媒を使用することができる。他の溶媒としては、例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の公知の溶媒を挙げることができる。
本発明において、これらの他の溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
本発明において、溶媒(d1)及び溶媒(d2)の合計含有割合は、全溶媒中、好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。溶媒(d1)及び溶媒(d2)の合計含有割合が少なすぎると、所望の効果が得られないおそれがある。
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。
【0046】
本発明の着色組成物には、(E)光重合開始剤を含有せしめることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。ここで、本明細書において「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含む概念である。
本発明に用いる(E)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、(C)多官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
【0047】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
本発明において、(E)光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0048】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0049】
また、アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0050】
また、ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0051】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を高めることができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、更に感度を改良することができる点で好ましい。
【0052】
また、トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0053】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0054】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0055】
本発明において、(E)光重合開始剤の含有量は、(C)多官能性単量体100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色パターンが現像時に基板から剥離しやすくなる傾向がある。
【0056】
本発明の着色組成物は、必要に応じて種々の添加剤を更に含有することもできる。
ここで添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の現像残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0057】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、例えば、(A)〜(D)成分を、混合することにより調製することができる。好ましい着色組成物の調製方法としては、ハロゲン化亜鉛フタロシアニンを含有してなる着色剤を、溶媒中、上記分散剤および必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(B)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、この着色剤分散液に、(B)〜(D)成分と、必要に応じて更に追加の溶媒や(E)成分等を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0058】
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成された緑色画素を備えるものである。
カラーフィルタを形成する方法としては、第一に、次の方法が挙げられる。基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、感放射線性着色組成物の塗膜を形成する。次いで、所定のパターンを有するフォトマスクを介して塗膜に放射線を露光し、現像して未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、各色の画素を得る。
【0059】
具体的には、まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層を形成する。次いで、この基板上に、本発明の感放射線性緑色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、緑色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、赤色又は青色の顔料が分散された各感放射線性着色組成物の液状組成物を用い、前記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、赤色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0060】
画素を形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
感放射線性着色組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜8.0μm、特に好ましくは0.2〜6.0μmである。
【0061】
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m
2が好ましい。
また、アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0062】
また、カラーフィルタを形成する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法も採用することができる。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、輝度及び色純度が高いため、カラー液晶表素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0063】
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができる。さらに、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0064】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、実施例1、2、8及び11〜16は参考例である。
【0065】
顔料分散液の調製
調製例1
(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(DIC社製)とC.I.ピグメントイエロー150との60/40(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)24質量部、及び(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部、からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−1)を調製した。
【0066】
調製例2
(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(DIC社製)とC.I.ピグメントイエロー150との60/40(質量比)混合物40質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度40.0質量%)27質量部、及び(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−2)を調製した。
【0067】
調製例3
(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(DIC社製)とC.I.ピグメントイエロー150との60/40(質量比)混合物40質量部、分散剤としてBYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度40.0質量%)27質量部、及び(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−3)を調製した。
【0068】
調製例4
(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(DIC社製)とC.I.ピグメントイエロー138との40/60(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)24質量部、及び(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−4)を調製した。
【0069】
調製例5
(A)着色剤として臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(DIC社製)、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントイエロー150の19/41/40(質量比)混合物40質量部、分散剤としてDisperbyk−2001(ビックケミー(BYK)社製、固形分濃度45.0質量%)24質量部、並びに(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部からなる混合液を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、顔料分散液(A−5)を調製した。
【0070】
(B)バインダー樹脂の合成
合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸15質量部、N−フェニルマレイミド20質量部、ベンジルメタクリレート55質量部、スチレン10質量部及び分子量調節剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製 商品名:PEMPII−20P)2質量部を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=33.3質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=25,000、Mn=12,000であった。このバインダー樹脂溶液を「樹脂溶液(B−1)」とする。
【0071】
実施例1
感放射線性組成物の調製
顔料分散液(A−1)200質量部、(B)バインダー樹脂として樹脂溶液(B−1)200質量部、(C)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート60質量部、(E)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE 369)10質量部、並びに(D)溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート561質量部及びシクロヘキサノン94質量部を混合し、液状組成物(F−1)を調製した。この時、溶媒(d2)に該当するシクロヘキサノンの含有割合は、全溶剤中10質量%に相当する量になるよう調整した。
液状組成物(F−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0072】
異物の評価
液状組成物(F−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO
2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで100秒間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して塗膜に365nm、405nmおよび436nmの各波長を含む放射線を400J/m
2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm
2(ノズル径1mm)で吐出することにより、1分間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に220℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、基板上に緑色のストライプ状画素パターンが配列された画素アレイを形成した。
【0073】
得られた画素パターンを光学顕微鏡にて観察し、10μm以上の大きさの異物が観測されなかった場合を「○」、10μm以上の大きさの異物が観測された場合を「×」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0074】
次いで、得られた画素パターン上部の表面粗度(パターン表面の平滑性)を、デジタル・インスツルメンツ社製原子間力顕微鏡を用いて測定した。評価結果を表1に示す。表面粗度が50Å以下であれば、液晶の配向不良等を生じるおそれは低い。評価結果を表1に示す。
【0075】
保存安定性の評価
着色組成物(F−1)の調製直後の粘度を、E型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。また、着色組成物(F−1)を遮光ガラス容器に充填し、密閉状態で23℃にて14日間静置した後、E型粘度計(東京計器製)を用いて再度粘度を測定した。そして、調製直後の粘度に対する14日間保存後の粘度の増加率を算出し、増加率が5%未満の場合を「A」、5%以上10%未満の場合を「B」、10%以上の場合を「C」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例2〜18および比較例1〜5
実施例1において、構成成分の種類と量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、液状組成物(F−2)〜(F−23)を調製した。
次いで、液状組成物(F−1)に代えてそれぞれ液状組成物(F−2)〜(F−23)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1において、各成分は下記のとおりである。
C−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名M−402、東亞合成株式会社製)
C−2:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとこはく酸とのモノエステル化物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート並びにジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(商品名TO−1382、東亞合成株式会社製)
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒(d1))
D−2:3−エトキシプロピオン酸エチル(溶媒(d1))
D−3:3−メトキシブチルアセテート(溶媒(d1))
D−4:シクロヘキサノン(溶媒(d2))
D−5:プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒(d2))
D−6:プロピレングリコールモノエチルエーテル(溶媒(d2))
D−7:プロピレングリコールモノプロピルエーテル(溶媒(d2))
D−8:3−メトキシプロピオン酸メチル(溶媒(d2))
D−9:エチレングリコールモノブチルエーテル(溶媒(d2))
D−10:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(溶媒(d2))
D−11:エチレングリコール(溶媒(d2))
E−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
E−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
なお、表1において「溶媒(d2)の含有割合」とは、溶媒(d2)の全溶媒中の含有割合である。
【0079】
表1から明らかなように、溶媒(d2)を5〜60質量%含有する本発明の着色組成物を用いて形成された画素においては、異物が観測されず、表面祖度も50Å以下と良好であった。これに対し、溶媒(d2)の含有割合が5質量%未満では、異物が観測され表面粗度も悪化することがわかる(比較例1〜4)。一方、溶媒(d2)の含有割合が60質量%を超えると、着色組成物の保存安定性が著しく悪化することがわかる(比較例5)。