【実施例】
【0035】
次に、実施例を挙げてこの発明をより具体的に説明する。
【0036】
(
参考例1)
リチウム源として、酢酸リチウム2水和物(関東化学(株)製:24114−00、純度>99.0%、分子量102.02)0.03334molを常温の水25mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して1.3336mol/lの酢酸リチウム水溶液を得た。
【0037】
一方、遷移金属源として、硝酸鉄(III)9水和物(ナカライテスク(株)製:19513−65、純度>99%、分子量404.0)0.01667molを常温の水25mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して0.6668mol/lの硝酸鉄水溶液を得た。
【0038】
次に、これらの酢酸リチウム水溶液と硝酸鉄水溶液とを混合し、セラミックホットスターラー(アズワン(株)製:CHPS−250DN)で30分間混合した。
【0039】
次に、コロイダルシリカとして日産化学工業(株)製:スノーテックスOXS(20質量%:重量平均粒子径4〜6nm、pH3.0、Na含有量:83μg/g)5gを、上記の混合溶液に投下して、マグネチックスターラーで10分間攪拌混合した。なお、このコロイダルシリカの量は5g×20wt%=1g、すなわち1g/(28.1+16.0×2)=1/60.1=0.01664molであり、硝酸鉄と同当量である。
【0040】
混合した溶液を100℃の環境下で4時間静置して乾燥させた後、200℃の環境下に30分間置いて、固形物を得た。この固形物に水10mlを加えながら乳鉢にて60分間かけて粉砕混合した。これを100℃下にて1時間置いて水を飛ばした後、500℃、600℃、700℃にそれぞれ設定した炉(いすゞ製作所(株)製:管状炉)中にて12時間かけて焼成した。雰囲気はアルゴン/4%水素下で行った。
【0041】
焼成後、冷却した材料を粉砕し、X線回折分析機((株)リガク製:試料水平型多目的X線回折装置Ultima IV)にて分析した。その結果を
図1に示す。なお、以下の一覧で特に記載の無い最下段はLi
2FeSiO
4のJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カードのスペクトルである。600℃以上でLi
2FeSiO
4のピークが高い比率で検出された。
【0042】
(
参考例2)
参考例1の600℃における焼成について、焼成時間を1時間、3時間、6時間、12時間、24時間としてそれぞれ試料を得て、同様に分析した。その結果を
図2に示す。全ての時間でLi
2FeSiO
4のピークははっきりと示されたが、特に12時間の場合に、副生成物であるLi
2SiO
3のピークが低く、均一性が高いものとなった。
【0043】
(参考例
3)
参考例2において、雰囲気をアルゴンのみで行った。その結果を
図3に示す。600℃でアルゴンの環境下ではLi
2FeSiO
4が得られなかった。
【0044】
<Fe−Si化合物前駆体法>
(
参考例4a、4b)
参考例1で用いたのと同量の硝酸鉄(III)9水和物を水に溶かして水溶液とし、
参考例1で用いたのと同じコロイダルシリカと混合し、マグネチックスターラーで30分間混合した。次に、マグネチックスターラーで10分間混合攪拌した後、マグネチックスターラーとともに超音波ホモジナイザー(家田貿易(株)製:VCX−500)を用いて10分間攪拌する、という工程を三回繰り返した。その後、100℃で6時間かけて試料を乾燥させ、500℃で焼成した。焼成時の気体をアルゴンのみとしたものを
参考例4a、アルゴンに4%の水素ガスを混合させたものを用いたものを
参考例4bとする。
【0045】
こうして得られたFe−Si前駆体化合物に水10mlを加えながら乳鉢にて60分間かけて粉砕混合した。一方、
参考例1で用いたものと同じ酢酸リチウム2水和物の水溶液を用意し、粉砕混合したFe−Si前駆体化合物と混合して、マグネチックスターラーにて30分掛けて混合攪拌した。次に、マグネチックスターラーで10分間混合攪拌した後、マグネチックスターラーとともに超音波ホモジナイザー(同上)を用いて10分間攪拌する、という工程を三回繰り返した。その後、10mlの水を加えながら乳鉢で60分間かけて粉砕した。これを100℃で1時間かけて乾燥した。この乾燥物を、500℃、600℃、700℃、800℃とした
参考例1の管状炉で、アルゴン/4%水素ガス環境下にて、12時間かけて焼成した。この焼成物について同様にXRDを行った。前駆体生成時にアルゴンのみとした
参考例4aの結果を
図4に示す。
参考例4aでは、最後の焼成を600℃とした試料でLi
2FeSiO
4が高い比率で得られた。ただし、700℃以上では構造不明の副生物の割合が増加した。また、前駆体生成時にアルゴン/4%水素混合ガスとした
参考例4bの結果を
図5に示す。
参考例4bでは、最後の焼成を600℃と800℃とした試料でLi
2FeSiO
4が高い比率で得られた。700℃で焼成した試料は比率が低かったが、その原因は不明であった。
【0046】
(
参考例5)
遷移金属源として、酢酸マンガン(II)四水和物(ナカライテスク(株)製:21203−55、純度>99%、分子量245.09)0.01667molを用いたこと以外は
参考例1と同様の手順によりLi
2MnSiO
4の作製を試みた。そのX線回折分析の結果を
図6に示す。なお、最下段はLi
2MnSiO
4のJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カードのスペクトルである。700℃の焼成でほぼ単相に近いLi
2MnSiO
4が得られ、800℃でも僅かにLi
2SiO
3が検出されるだけで単相に近いLi
2MnSiO
4が得られた。
【0047】
(
参考例6)
参考例5において、600℃で焼成する際の雰囲気を、アルゴン/4%水素混合ガスから、アルゴンのみに変更した以外は同様の手順により焼成物を得た。その結果を
図7に示す。アルゴンに変更することで、不純物の含有量を低減することができた。
【0048】
(
参考例7)
参考例1において、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製:スノーテックスXS(Na含有量:3100μg/g)を用いたこと以外は
参考例1と同様の手順により試料を作製した。そのXRDの結果を
図8に示す。Li
2FeSiO
4が高い比率で得られたものの、Na含有量の少ないコロイダルシリカを用いた
図1と比べると、焼成温度600〜700℃でLi
2SiO
3の含有量が増加した。ただし、800℃で焼成すると、高い比率でLi
2FeSiO
4が得られた。
【0049】
(
参考例8)
参考例5において、
参考例7のコロイダルシリカを用いたこと以外は
参考例5と同様の手順により、焼成温度700℃、アルゴン雰囲気下にて、Li
2MnSiO
4の作製を試みた。そのXRDの結果を
図9上段に示し(「Na多」と記載する。)、
参考例5のコロイダルシリカを用いた同条件のXRDの結果を
図9下段に示す(「Na少」と記載する。)。Naが少ない下のXRDの方が、Li
2MnSiO
4を示す▽以外のピークが明らかに少なく、
参考例5は
参考例7よりも高い均一性を有していることがわかった。
【0050】
(
参考例9)
酢酸リチウム2水和物の1.0mol/l溶液25mlと、硝酸鉄(III)9水和物水溶液の0.5mol/l溶液25mlを
参考例1と同様に調整し、それぞれ10分間攪拌した後、30分間かけて混合した。
【0051】
一方、平均粒径0.3〜0.8μmのSiO
2粉末からなる溶融シリカ(電気化学工業(株):デンカ溶融シリカSFP−20M、粒径0.3〜0.8μm)を用い、水100ml中に0.123mol/lとなるように投下し、粉砕した。次にマグネチックスターラーで10分間混合攪拌した後、マグネチックスターラーとともに超音波ホモジナイザー(家田貿易(株)製:VCX−500)を用いて10分間攪拌する、という工程を三回繰り返した。こうして得られた水分散溶融シリカをコロイダルシリカの代わりにSi源として用いた。
【0052】
次に、混合溶液に溶融シリカ分散液を混合して10分間攪拌した。このLiとFeとSiとの化学量論比が2:1:1となる。その後、100℃で24時間かけて乾燥させた後、200℃30分で熱処理した。これを少量の水とともに30分掛けて粉砕し、捏ねたものを、アルゴン/4%水素雰囲気中にて、500〜700℃で12時間かけて焼成した。その結果を
図10に示す。600℃以上で、比較的均一性の高いLi
2FeSiO
4が得られた。
【0053】
(
参考例10)
参考例9において、硝酸鉄(III)9水和物水溶液の代わりに、
参考例5と同じ酢酸マンガン(II)四水和物の水溶液を、
参考例9の硝酸鉄水溶液と同濃度同量用いて、同様の手順により、Li
2MnSiO
4の作製を試みた。焼成温度700℃の試料のXRDを
図11に示す。
【0054】
(
参考例11)
参考例10において、雰囲気をアルゴンに変更した以外は
参考例10と同様の手順によりLi
2MnSiO
4の作製を試みた。そのXRDを
図12に示す。
参考例10に比べてやや不純物の量が増加した。
【0055】
<Mn−C共存法>
(
参考例12)
リチウム源として、酢酸リチウム2水和物(
参考例1と同じ)0.035molを常温の水15mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して2.336mol/lの酢酸リチウム水溶液を得た。一方、遷移金属源として酢酸マンガン(II)四水和物(
参考例5と同じ)0.01667molを常温の水15mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して1.111mol/lの酢酸マンガン水溶液を得た。次に、これらの酢酸リチウム水溶液と酢酸マンガン水溶液とを混合し、マグネチックスターラーで1時間攪拌混合した。
【0056】
次に、コロイダルシリカ(
参考例1で用いたものを半分の濃度である10wt%に薄めたもの)10gを上記の混合溶液に投下して、マグネチックスターラーで10分間攪拌混合した。これは酢酸マンガンの1当量にあたる。
【0057】
混合した溶液を100℃の環境下で静置して水を飛ばして4時間かけて乾燥させた後、その乾燥物に水10mlを加えながら乳鉢にて60分間かけて粉砕混合した。これを100℃下に2時間置いて水を飛ばした後、炉(
参考例1と同じ)内に入れた。加熱にあたり、試料の塊から3cm離れた箇所に、粉状アセチレンブラック(電気化学工業(株)社製)の山を設けた。この状態で炉を加熱して、12時間かけて焼成した。焼成温度は500℃、550℃、600℃、700℃、800℃の五通りについて行った。雰囲気はアルゴンガス下で行った。焼成後、冷却した試料を粉砕し、
参考例1と同様に分析した。それぞれの結果をまとめて
図13に示す。焼成温度500〜550℃ではLi
2MnSiO
4が生成せず、800℃では副生するLi
2MnSiO
4(空間群:Pn)が多く見られたが、600〜700℃でLi
2MnSiO
4(空間群:Pmn21)のピーク以外はほとんど観測されない、極めて均一性の高い単相試料を得ることができた。
【0058】
<Fe−C共存法>
(
参考例13)
遷移金属源として硝酸鉄(III)9水和物(
参考例1と同じ)を用い、
参考例12と同様の配合比で酢酸リチウム及びコロイダルシリカと混合した溶液を得た。混合した溶液を100℃の環境下で攪拌しながら水を飛ばして4時間かけて乾燥させた後、250℃まで加熱した状態を30分間保つ熱処理を行った。空冷後、水10mlを加えながら乳鉢にて60分間かけて粉砕混合した。これを100℃下に2時間置いて水を飛ばした後、ペレット成形機に入れてペレット化した。このペレットを炉内に入れた後、炉中のペレット上に粉状アセチレンブラックを振りかけた上で、アルゴンガス雰囲気下にて炉内を12時間に亘って加熱して、材料を焼成した。以上の工程を、焼成温度700℃と800℃とでそれぞれ実施して試料を得て、
参考例1と同様にXRDを測定した。その結果を
図14に示す。700℃では一部Li
2SiO
3が混じったが、800℃ではほぼ完全なLi
2FeSiO
4の単相試料が得られた。
【0059】
<凍結乾燥法の検証>
(実施例
1)
リチウム源として酢酸リチウム2水和物(
参考例1と同じ)0.035molを常温の水15mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して2.336mol/lの酢酸リチウム水溶液を得た。一方、遷移金属源として硝酸鉄(III)9水和物(
参考例1と同じ)0.01667molを常温の水50mlに投下し、マグネチックスターラーで10分間攪拌して1.111mol/lの硝酸鉄水溶液を得た。次に、これらの酢酸リチウム水溶液と硝酸鉄水溶液とを混合し、マグネチックスターラーで5分間攪拌混合した。次に、コロイダルシリカ(
参考例1と同じ)10gを上記の混合溶液に投下して、マグネチックスターラーで10分間攪拌混合した。
【0060】
次に凍結乾燥工程として、上記の混合溶液を、液体窒素温度に保持されたなす型のフラスコ内に霧吹きし、容器内を10Paまで減圧した。十分に減圧した後、容器の冷却を止めた。その後、一晩静置して粉末が十分に凍結乾燥されるのを待った。
【0061】
次に、乾燥して得られた前駆体を加熱して60分間かけて250℃で熱処理して微細化した材料を集め、プレス成形機で成形した。得られたペレットを、炉(
参考例1と同じ)内に入れ、粉状アセチレンブラックを振りかけた上で、アルゴン雰囲気下にて800℃で12時間かけて焼成した。冷却後、得られた試料の拡大写真をSEM(日本電子株式会社製:JSM5600)にて撮影した。この前駆体及び焼成体の拡大写真を
図15に示す。
【0062】
(
参考例14)
実施例
1において、凍結乾燥工程の代わりに
参考例1と同様の乾燥工程、すなわち、混合溶液を100℃の環境下で4時間静置して乾燥させた後、200℃の環境下に30分間置いて、固形物を得た。この固形物に水10mlを加えながら乳鉢にて60分間かけて粉砕混合した。これを100℃下にて1時間置いて水を飛ばす手順により乾燥させて前駆体を得た以外は同様の手順により試料を得て拡大写真を撮影した。この前駆体及び焼成体の拡大写真を
図16に示す。
【0063】
実施例
1と
参考例14の焼成体の拡大写真を比較したところ、凍結乾燥した実施例
1の試料の方が得られる粒子サイズが明らかに小さくなっていることが確認された。