特許第5871252号(P5871252)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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5871252赤外線カメラ用レンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラ
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  • 5871252-赤外線カメラ用レンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラ 図000002
  • 5871252-赤外線カメラ用レンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871252
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】赤外線カメラ用レンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20160216BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20160216BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160216BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
   G02B7/02 Z
   G02B7/02 F
   G03B5/00 J
   H04N5/225 D
   H04N5/232 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-36360(P2011-36360)
(22)【出願日】2011年2月22日
(65)【公開番号】特開2012-173571(P2012-173571A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】小出 淳史
(72)【発明者】
【氏名】西村 文良
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−176101(JP,A)
【文献】 特開2006−058761(JP,A)
【文献】 特開2006−350112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 5/00
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の赤外線透過レンズと、当該赤外線透過レンズをレンズ保持枠を介して収容するレンズ鏡筒と、撮像画像の像振れを防止するために補正用レンズとして磁気的手段を用いて機能する赤外線透過レンズの像振れ補正挙動を行うためのアクチュエータとを含む赤外線カメラ用レンズユニットであって、
当該補正用レンズとして機能する赤外線透過レンズのレンズ保持枠は、当該赤外線透過レンズ用のレンズ固定開口部と、当該補正用レンズと当該アクチュエータとの間に配置され当該アクチュエータから発せられる熱を遮るために当該レンズ固定開口部の外周に光軸方向に峻立した遮蔽用壁面とを備え、
当該補正用レンズと当該レンズ鏡筒との間に、当該アクチュエータから発せられる熱が当該レンズ鏡筒の中心部に向けて伝達するのを防ぐ隔離空間を設け、
当該隔離空間には光軸に沿った被写体側及び結像側の少なくとも一方に、アルミニウム系金属材、鉄系金属材から選択される熱伝導性に優れた金属材からなる放熱用壁面を光軸に交わる方向に沿って設けたことを特徴とする赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項2】
前記放熱用壁面は、前記補正用レンズのレンズ保持枠が備える遮蔽用壁面の先端部から鏡筒の内壁面に向けて配置したものである請求項1に記載の赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項3】
前記放熱用壁面は、鏡筒の内壁面から延設したものである請求項1に記載の赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項4】
前記レンズ保持枠の遮蔽用壁面は、プラスチック樹脂を用いて形成したものである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項5】
前記レンズ鏡筒は、アルミニウム系金属材、鉄系金属材から選択される熱伝導性に優れた金属材で形成されたものである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項6】
前記レンズ鏡筒は、その外周面に、ヒートシンクを設けたものである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の赤外線カメラ用レンズユニット。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の赤外線カメラ用レンズユニットを用いたことを特徴とする赤外線カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、赤外線カメラ用レンズユニットに関し、更に詳しくは撮像画像の振れを防止する機構を搭載したレンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影者の手振れ等によって生じる撮像画像の振れ(像振れ)を補正する機構をレンズ鏡筒内に搭載した赤外線カメラが存在する。仮に、撮影時において赤外線カメラに振れが生じると、いかに正確にピントを合わせ、また露出を適正に調整したとしても、被写体側からの光束がレンズ光軸に対して相対的に変位して、被写体像の鮮鋭度が低下してしまう。従って、赤外線カメラには、撮像画像の振れを補正する技術として、「検出した振れ量を打ち消す方向へ、シフトレンズ又は撮像素子を動かすことにより像振れを補正する光学式」、「撮像した画像とそれ以降に撮像した画像とを比較して、画像処理を行い像振れを補正する電子式」とが主に採用されている。
【0003】
しかし、赤外線カメラ(特に、中赤外線領域及び遠赤外線領域用)の撮像素子は、画素数が少なく、電子式補正では高精度の補正を行うことが出来ない。そのため、現在の赤外線カメラには、光学式補正の中でも、レンズ鏡筒内に振動ジャイロと称されるセンサーを備えた補正レンズを搭載し、当該補正レンズを撮像レンズの振れ量に応じ像振れを打ち消す方向に駆動させて、結像面に届く光束を一定状態に保つ方式(レンズシフト方式)が主に採用されている。
【0004】
このような、補正レンズの位置をコントロールして撮像画像の振れを光学的に補正する機構を備えた赤外線カメラでは、レンズ鏡筒内のセンサーが手振れ等による撮像レンズの角速度成分を検出し、当該センサーが検知した信号がマイクロコンピューターで演算処理されることで、補正レンズを駆動するための信号が補正レンズ駆動用のアクチュエーターに送られる。なお、当該補正レンズは、応答性・制御性に優れるアクチュエーターを用いて直接駆動されることで、撮像画像の振れを抑制する効果をより向上させることが出来る。
【0005】
このような撮像画像の振れを光学的に補正する機構として、例えば本件出願人が先に提供した特開2004−362924号に開示の「アクチュエーター及びそれを備えたレンズユニット及びカメラ」におけるVC(vibration compensation)方式が挙げられる(特許文献1)。具体的には、特許文献1に開示されているVC方式は、アクチュエーターが、固定側部材と、可動側部材と、この可動側部材を、上記固定側部材に対して移動できるように支持する可動側部材支持手段と、上記固定側部材又は上記可動側部材のうちの何れか一方に取り付けられた駆動用コイルと、上記固定側部材又は上記可動側部材のうちの他方に取り付けられ、上記駆動用コイルに電流が流れると駆動力を受けるように配置された駆動用磁石と、上記駆動用コイルの巻線の内側に配置され、上記駆動用磁石の位置を検出する磁気センサと、上記可動側部材の移動すべき位置を指令する信号及び上記磁気センサによって検出された位置信号に基づいて、上記駆動用コイルに流す駆動電流を制御する制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−174588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1に示される撮像画像の振れを光学的に補正する機構は、像振れ補正の精度を高く維持するためにレンズ鏡筒内に搭載されるものである。すなわち、当該機構を赤外線カメラに採用するにあたって、補正レンズを駆動用のアクチュエーターが、赤外線を放射することで撮像品質の低下を招いてしまう。赤外線カメラは、人間等の熱源が放射する赤外線を検出して撮影することが可能であり、暗闇において物体認識を正しく行うことが出来るものである。赤外線カメラは、近年における人々の、セキュリティに対する関心の向上や、自動車の夜間走行の安全性に対する意識の向上に伴い、その需要は年々増加傾向にある。従って、撮像画像の振れを防ぐために当該機構を採用した場合であっても、アクチュエーターの発する熱が撮像画像に写り込まず、鮮明な画像を取得することが出来る赤外線カメラ用レンズユニットが求められていた。
【0008】
本件発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり撮像画像の振れを光学的に補正する機構をレンズ鏡筒内に配置する構成において、当該機構を構成するアクチュエーターが発する熱の撮像画像への写り込みを防止する赤外線カメラ用レンズユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、上述した課題を解決するために以下のような赤外線カメラ用レンズユニットを採用した。
【0010】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット: 本件発明の赤外線カメラ用レンズユニットは、1以上の赤外線透過レンズと、当該赤外線透過レンズをレンズ保持枠を介して収容するレンズ鏡筒と、撮像画像の像振れを防止するために補正用レンズとして磁気的手段を用いて機能する赤外線透過レンズの像振れ補正挙動を行うためのアクチュエーターとを含む赤外線カメラ用レンズユニットであって、当該補正用レンズとして機能する赤外線透過レンズのレンズ保持枠は、当該赤外線透過レンズの固定用開口部を備え、当該レンズ固定用開口部の外周に光軸方向に峻立した遮蔽用壁面を備え、当該補正用レンズと当該レンズ鏡筒との間に隔離空間を設けたことを特徴としている。
【0011】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記隔離空間には、光軸に沿った被写体側及び結像側の少なくとも一方に、放熱用壁面を設けたことが好ましい。
【0012】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記放熱用壁面は、前記補正用レンズのレンズ保持枠が備える遮蔽用壁面の先端部から鏡筒の内壁面に向けて配置したものであることが好ましい。
【0013】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記放熱用壁面は、鏡筒の内壁面から延設したものであることが好ましい。
【0014】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記レンズ保持枠の遮蔽用壁面は、プラスチック樹脂を用いて形成したものであることが好ましい。
【0015】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記レンズ鏡筒及び前記放熱用壁面は、アルミニウム系金属材、鉄系金属材から選択される熱伝導性に優れた金属材で形成されたものであることが好ましい。
【0016】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットにおいて、前記レンズ鏡筒は、その外周面に、ヒートシンクを設けたものであることが好ましい。
【0017】
本件発明に係るレンズユニット: 本件発明のレンズユニットは、前記赤外線カメラ用レンズユニットを用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットは、撮像画像の振れを光学的に補正する機構をレンズ鏡筒内に配置する構造において、当該機構のアクチュエーターが発する熱の撮像画像への写り込みを防止することができる。従って、本件発明の赤外線カメラ用レンズユニット、及びそれを用いた赤外線カメラは、暗視カメラとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本件発明の一実施形態に係る赤外線カメラ用レンズユニットを示す模式断面図である。
図2図1におけるaで示した部分の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本件発明の一実施の形態を図に従って説明する。なお、以下に示す図においては、図の見易さを考慮し、レンズ断面部のハッチングを省略した。
【0021】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット: 図1は、本件発明の一実施形態に係る赤外線カメラ用レンズユニットを示す模式断面図である。また、図2は、図1におけるaで示した部分の要部断面図である。図1及び図2に示すように、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、1以上の赤外線透過レンズ2〜5と、当該赤外線透過レンズ2〜5をレンズ保持枠9〜12を介して収容するレンズ鏡筒6、7と、撮像画像の像振れを防止するために補正用レンズとして磁気的手段を用いて機能する赤外線透過レンズの像振れ補正挙動を行うためのアクチュエーター20とを含むものである。そして、当該補正用レンズとして機能する赤外線透過レンズ4のレンズ保持枠11は、中央に当該赤外線透過レンズ4の固定用開口部を備え、当該レンズ固定用開口部の外周に光軸L方向に峻立した遮蔽用壁面11aを備えている。そして、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、当該レンズ保持枠11に固定した補正用レンズ4と当該アクチュエーター20の間に、当該レンズ保持枠の遮蔽用壁面11aを配置することで、当該補正用レンズ4と当該レンズ鏡筒6、7との間に隔離空間を設けたことを特徴とするものである。
【0022】
ここで、図1及び図2には、補正用レンズ4に対し像振れ補正挙動を行わせるために、当該遮蔽用壁面11aの外側表面に複数の磁石24を配置し、アクチュエーター20を当該補正用レンズのレンズ保持枠の磁石24に対して略平行に近接離間配置した構造が示してある。本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1によれば、当該補正用レンズ4に対し像振れ補正挙動を行う際に発生する熱が、当該レンズ鏡筒6、7の中心部に向けて伝達することを防止し、且つ、当該レンズ鏡筒6、7の内壁面から外部に向けての熱の放散効率を高め、レンズ鏡筒6、7内の温度上昇を抑制することが出来る。
【0023】
すなわち、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、当該補正用レンズ4と当該レンズ鏡筒6、7との間に隔離空間を設けることで、レンズ鏡筒6、7内の温度上昇を抑制し、認識対象の熱自体が映像として写り込む暗視画像の画質向上を実現したものである。なお、赤外線カメラ(不図示)は、高品質であるほどレンズ鏡筒内で発生する熱が写り込み易く、撮像品質に影響を及ぼすものである。そのため、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1においては、上述したように、熱源となるアクチュエーター20の発する熱の撮像画像への写り込みを防止するために、当該アクチュエーター20の周囲を隔壁で囲むことによって隔離する構造を採った。
【0024】
なお、図1に示す本件発明係るレンズユニット1は、赤外線透過レンズ2〜5がそれぞれレンズ保持枠9〜12にレンズ押え環13〜16によって固定されている。ちなみに、本件発明のレンズユニット1は、例えばバヨネット爪が形成されたマウント8によって、カメラボディ(不図示)に対して着脱自在に且つ電気的に接続可能となっている。
【0025】
まず、本件発明の一実施形態における画像の振れを光学的に補正する機構について簡単に説明しておく。図2に示すように、当該機構は、手振れ等に起因する画像の振れを光学的に補正するための補正レンズ4と当該補正レンズ4を保持するレンズ保持枠11とを含んでいる。当該補正レンズ4は、アクチュエーター20によって駆動されることにより、撮像素子17への被写体像の結像位置を補正することが出来る。このときに、レンズ保持枠11は、当該機構のベース部材21との間の間隔が球体(不図示)により一定に維持されると共に、当該球体の転がりを利用することで、当該ベース部材21に対する相対的な位置の移動をスムーズに行うことが出来ることとなる。
【0026】
また、当該ベース部材21は、当該レンズ保持枠11の移動を規制すると共に、その表面に回路基板22を固定している。当該回路基板22には、電源(不図示)により電力が供給されるコイル23が永久磁石24と対向する位置に固定されており、当該コイル23の巻線の内側にはホール素子27が実装されている。このときに、永久磁石24の磁気をコイル23に差し向けるバックヨーク10の存在によって、磁気回路が形成される。そして、当該ホール素子27は、レンズ保持枠11の移動によって発生する永久磁石24からの磁束密度の変化を検知して、補正レンズ4の位置を測定する。そして、当該機構が有する制御手段によって、当該ホール素子27が検出した位置信号に基づく演算処理が行われ、また補正レンズ4を駆動するための信号がアクチュエーター20に送られ、補正レンズ4の駆動が行われる。なお、当該補正レンズ4の駆動は、当該コイル23に電流が流れた際の、当該コイル23内を流れる電子に働くローレンツ力を利用して行われる。
【0027】
上述したように、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、熱源となる像振れ補正挙動を行うアクチュエーター20の発する熱の撮像画像への写り込みを防止することを主な課題としている。従って、ここでは、赤外線カメラに関しても簡単に説明しておく。赤外線カメラというのは、暗闇において人間や動物が発生する赤外線を感知して撮像出来るカメラである。ここで、赤外線は、その波長帯によって、近赤外線と、中赤外線と、遠赤外線とに主に分類される。ちなみに、本件発明の赤外線カメラは、中赤外線領域及び遠赤外線領域の赤外線を感知することが可能である。このような赤外線カメラを用いることで、暗闇においてもカメラ前方に存在する人間や動物を速やかに且つ的確に認識することが可能となる。赤外線カメラは、ライト等の光源によって前方を照らし、可視反射光で前方の物体を認識する手法が使用出来ない状況において有効であり、暗闇において光源の届かない遠方や側方の物体の認識を補完するものとして好適に用いられている。
【0028】
以上のことから、赤外線カメラを使用するにあたって、レンズ鏡筒内に熱源となり得る部材が配置された場合に、当該熱源から放射される赤外線を感知しないようにする対策の必要性について理解出来るであろう。但し、この場合、ヒートパイプ等の熱源を冷却する専用機器を別途用いることとすると、構造の複雑化や製造コストの増大を招く結果となり好ましくない。しかし、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1によれば、レンズ保持枠11に峻立した遮蔽用壁面11aを備えることで撮像画像に熱源の写り込みを防止する効果を得ることが出来る。なお、図1及び図2には、当該遮蔽用壁面11aが被写体側に向かって峻立しているのが示されているが、本件発明はこの形状に限定されるものではない。例えば、当該遮蔽用壁面11aは、図1及び図2に示す形状において、更に結像面側向かって峻立させることも出来る。
【0029】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、当該補正用レンズ4と当該レンズ鏡筒6、7との間に設けられる隔離空間には、光軸Lに沿った被写体側及び結像側の少なくとも一方に、放熱用壁面6a、26を設けたことが好ましい。
【0030】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、アクチュエーター20に対して、光軸Lに沿った被写体側及び結像側の少なくとも一方に、放熱用壁面6a(被写体側)、26(結像側)を用いて、より完全な閉鎖空間に近い隔離空間を作り出すことで、熱源から発生した熱がレンズ鏡筒の中心部に向けて伝達することをより効果的に防止することが出来ることとなる。ちなみに、図1には、当該放熱用壁面6aが被写体側のみに配置しているのが示されているが、本件発明はこの形状に限定されるものではない。例えば、当該放熱用壁面6aは、図2において破線で示したように、更に結像面側にも配置させることが出来る。
【0031】
なお、本件発明のレンズ鏡筒6、7内に形成する当該隔離空間が閉鎖空間に近い領域であると、その空間温度は上昇する一途である。そのため、この場合には、レンズ鏡筒の内壁面から外部に向けての放散効率を更に高め、より効果的にレンズ鏡筒内の温度上昇を抑制する必要がある。そうすると、当該アクチュエーター20を隔離するために設ける壁面は、放熱機能を有する材質や形状を備えたものであることがより好ましい。そうすることで、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、熱による揺らぎのない、高品質の暗視画像を得ることが出来る。
【0032】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、放熱用壁面6a、26は、補正用レンズ4のレンズ保持枠11が備える遮蔽用壁面11aの先端部から鏡筒の内壁面に向けて配置したものであることが好ましい。
【0033】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、レンズ保持枠11の設計を変更するだけで、容易に対応可能な方法である。上述したように、当該レンズ保持枠11が備える遮蔽用壁面11aは、図1及び図2に示す形状に対し、更に結像面側向かって峻立させることも出来る。図示していないが、この場合に、遮蔽用壁面11aの結像面側の先端部から鏡筒の内壁面に向けて配置した放熱用壁面は、符号26で示す放熱用壁面となる。なお、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、放熱用壁面6a、26は、レンズ鏡筒6、7の内壁面に接することなく、レンズ保持枠11に対して接する構造とすることも出来る。この場合、例え当該放熱用壁面6aがレンズ鏡筒6、7の内壁面に接しない構造であっても、双方部材が熱伝達可能な距離で離間して配置される限り熱源の発する熱をレンズ鏡筒6、7の外部に放熱することが出来る。
【0034】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、放熱用壁面6a、26は、鏡筒6、7の内壁面から延設したものであることが好ましい。
【0035】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、その設計において、このような構造を採用することも出来る。すなわち、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、放熱用壁面6a、26は、レンズ保持枠11に接することなく、レンズ鏡筒の内壁面のみに対して接する構造とすることも出来る。このように、当該放熱用壁面6a、26が、レンズ鏡筒6、7の内壁面と繋がっていることで、レンズ鏡筒6、7の内壁面から外部に向けての熱の放散効率を高め、レンズ鏡筒6、7内の温度上昇の抑制をより図ることが出来る。
【0036】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、レンズ保持枠11の遮蔽用壁面11aは、プラスチック樹脂を用いて形成したものであることが好ましい。
【0037】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、レンズ保持枠11の遮蔽用壁面11aは、熱の伝達を遮断する必要があるため、熱伝導性に欠けるプラスチック樹脂を使用することが好ましい。このように、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、補正レンズ4に最も近い位置にある当該遮蔽用壁面11aを伝熱性に劣る材質で構成することで、熱源の発する熱をレンズ鏡筒の中心部に向けて伝達するのを確実に抑止すると共に、熱をレンズ鏡筒6、7側に速やかに移動させることが出来る。
【0038】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、レンズ鏡筒6、7及び放熱用壁面6a、26は、アルミニウム系金属材、鉄系金属材から選択される熱伝導性に優れた金属材で形成されたものであることが好ましい。
【0039】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、放熱用壁面6a、26は、熱伝導性を考慮すれば、金属材で形成することが好ましい。また、当該放熱用壁面6a、26は、軽量化と耐腐食性を重視するならば、アルミニウム、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材で形成することが好ましい。そして、当該放熱用壁面6a、26がアルミニウム系金属材の場合には、その表面にアルマイト処理を施して、熱の放散性を更に高めることがより好ましい。当該放熱用壁面6a、26の外表面に対してアルマイト処理を施した場合、処理を施した表面にミクロポアが備わり空気と接触する面積が大きくなることで輻射率が上がり、放熱量を増大させる効果を更に向上させることが出来る。なお、当該放熱用壁面6a、26は、強度、摺動特性、価格等の観点から見れば、鋳鉄、鋼、ステンレス鋼等の鉄系金属材を選択することも好ましい。
【0040】
また、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1において、レンズ鏡筒6、7は、その外周面に、ヒートシンクを設けたものであることが好ましい。
【0041】
本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、レンズ鏡筒6、7の外周面にヒートシンクを設けることで、レンズ鏡筒6、7の外周面からの熱の放散効率を、更に高めることが出来る。その結果、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1は、更にレンズ鏡筒6、7内の温度上昇の抑制を図ることが出来ることとなる。なお、本件発明のレンズ鏡筒6、7は、その外周面にヒートシンクを設けることに加え、アルミニウム系金属材、鉄系金属材から選択される熱伝導性に優れた金属材で形成されることで、レンズ鏡筒6、7内で発生した熱をより効果的にレンズ鏡筒6、7外に放熱させることが出来る。
【0042】
参考までに、ヒートシンクとは、発熱する機械・電気部品に取り付けて、熱の放散によって温度を下げることを目的にした部品を言う。ヒートシンクの性能は、その材質、大きさ、形状等によって決まり、特に表面積が広くなるような形状に成形されることで性能の向上が図れるとされている。本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1においては、これらヒートシンクに関する条件について、他の構成部品との関係を考慮した上で好ましい条件を任意に設定することが出来る。
【0043】
本件発明に係る赤外線カメラ: 本件発明の赤外線カメラ(不図示)は、上述した本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1を用いたことを特徴とするものである。従って、本件発明の赤外線カメラを採用することで、光学品質に優れた赤外線カメラを提供することが出来る。また、赤外線カメラは、構成する手振れ補正機構を含め熱源となる電気・電子機器の高性能化に伴い、その発熱量が年々増加傾向となることは明白である。従って、将来的に、赤外線カメラにおいて、動作の不安定化や処理速度の低下等の熱に伴う弊害が起こる危険性はますます高くなる。しかし、本件発明に係る赤外線カメラによれば、上述した本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニット1を用いることで、これら熱を原因とした問題が起こらない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットによれば、像振れを光学的に補正する機構をレンズ鏡筒内に配置する構成において、当該機構が発する熱の撮像画像への写り込みを防止するすることができる。従って、本件発明に係る赤外線カメラ用レンズユニットを用いた赤外線カメラは、暗闇においても物体認識を正確に行うことが出来、車両搭載遠赤外線システムやセキュリティ対策用の監視カメラ等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 赤外線カメラ用レンズユニット
2、3、5 赤外線透過レンズ
4 補正レンズ
6、7 レンズ鏡筒
8 マウント
9〜12 レンズ保持枠
13〜16 レンズ押え環
17 撮像素子
L 光軸
図1
図2