(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5871264
(24)【登録日】2016年1月22日
(45)【発行日】2016年3月1日
(54)【発明の名称】塩化ビニル樹脂系壁紙からの塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の分離システムおよび分離方法
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20160216BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20160216BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20160216BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20160216BHJP
B07B 7/01 20060101ALI20160216BHJP
B02C 18/06 20060101ALI20160216BHJP
【FI】
B09B5/00 RZAB
B09B3/00 Z
B29B17/02
B29B17/04
B07B7/01
B02C18/06 Z
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-18652(P2012-18652)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154323(P2013-154323A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512025975
【氏名又は名称】株式会社遠山紙業
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】遠山 一弥
(72)【発明者】
【氏名】横堀 範行
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−370080(JP,A)
【文献】
特開昭52−78980(JP,A)
【文献】
特開昭52−80374(JP,A)
【文献】
特開昭52−80375(JP,A)
【文献】
特開昭52−100589(JP,A)
【文献】
特開昭52−100590(JP,A)
【文献】
特開昭58−8613(JP,A)
【文献】
特開2010−241074(JP,A)
【文献】
特開昭48−102178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 5/00
B02C 18/06
B07B 7/01
B09B 3/00
B29B 17/02
B29B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉に粉砕する粉砕装置と、前記粉砕装置にて粉砕された混合粉を塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分に分離する分離装置と、を備えてなる塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステムであって、
A)前記粉砕装置は、前記粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を投入する投入口と、前記混合粉を排出する排出口を有するケーシングと、前記ケーシングにより粉砕室が形成され、前記粉砕室内に前記ケーシングに回転自在に支持された回転刃と、前記ケーシング側に固定され前記回転刃と協働して前記粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙をせん断する固定刃と、前記回転刃の先端軌跡に沿うように円弧状に前記ケーシングに設けられたパンチング直径が1.0mm以上2.0mm以下であるパンチングスクリーンを備えてなるせん断式粉砕装置であり、
B)前記分離装置は、下記の4基の分離装置を直列に接続したものであり、
B)−1上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記混合粉が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が65〜56°である前記流入開口から空気と共に流入する混合粉が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した混合粉から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した混合粉から分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(1)を排出する排出開口を備える第一分離装置、
B)−2上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第一分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(1)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が55〜46°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(1)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(2)を排出する排出開口を備える第二分離装置、
B)−3上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第二分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(2)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が45〜36°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(2)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(3)を排出する排出開口を備える第三分離装置、
B)−4上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第三分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(3)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が30〜20°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(3)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(4)を排出する排出開口を備える第四分離装置、
C)前記粉砕装置の排出口と前記第一分離装置の流入開口は前記混合粉を吸引するラインを介して接続され、前記第一分離装置の排出開口と前記第二分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(1)を吸引するラインを介して接続され、前記第二分離装置の排出開口と前記第三分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(2)を吸引するラインを介して接続され、前記第三分離装置の排出開口と前記第四分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(3)を吸引するラインを介して接続され、
前記第一分離装置の流出開口と、前記第二分離装置の流出開口と、前記第三分離装置の流出開口と、前記第四分離装置の流出開口はそれぞれパルプ成分を吸引するラインを介してパルプ成分を吸引するバグフィルターと接続される、
ことを特徴とする塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステム。
【請求項2】
塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離する方法であって、
一)ケーシングに回転自在に支持された回転刃と、前記ケーシング側に固定され前記回転刃と協働して被粉砕物をせん断する固定刃と、前記回転刃の先端軌跡に沿うように円弧状に前記ケーシングに設けられたパンチング直径が1.0mm以上2.0mm以下であるパンチングスクリーンを備えてなるせん断式粉砕装置を用いて、前記被粉砕物である最大長さが10〜20mmに粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を前記回転刃と前記固定刃間に作用するせん断力によって粉砕し直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉とする工程、
二)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が65〜56°である傾斜板に対して前記混合粉を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、衝突により分離した塩化ビニル樹脂成分(1)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第一分離工程と、
三)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が55〜46°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(1)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(2)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第二分離工程と、
四)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が45〜36°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(2)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(3)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第三分離工程と、
五)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が30〜20°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(3)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(4)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第四分離工程と、
六)前記第一分離装置の流出開口と、前記第二分離装置の流出開口と、前記第三分離装置の流出開口と、前記第四分離装置の流出開口はそれぞれパルプ成分を吸引するラインを介してパルプ成分を吸引するバグフィルターと接続され、前記パルプ成分は前記ラインを通って前記バグフィルターの吸引により回収される回収工程と、
を有することを特徴とする塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内装などに用いられる塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分を分離するシステムおよび分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂系壁紙は、基材としての裏打紙の表面に塩化ビニル樹脂がコーティング法あるいはカレンダー法などで被覆した構造となっている。製造工程から発生する不具合品、デザイン等の変更品、長期在庫の処分品などの事情により発生する廃壁紙は、再資源化することが望ましい。しかしながら、裏打紙と塩化ビニル樹脂が強固に接着され、それぞれが柔らかく薄いことなどにより、紙と塩化ビニル樹脂層の分離が非常に難しいため、これらの廃壁紙は再資源化できず、大部分が埋め立て処理、焼却処理等で処理されている。埋め立て処理の場合、基材が紙であるため管理型処分場でなくてはならないので埋め立て処理スペースが限られるなどの問題がある。また、塩化ビニル樹脂系壁紙は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、炭酸カルシウム等の樹脂成分(以下、本発明においては塩化ビニル樹脂成分という。)と紙パルプ(以下、本発明においてはパルプ成分という。)の積層複合材であり、樹脂成分が塩化ビニル樹脂であることから焼却処理は回避される傾向にある。
【0003】
このような問題を解決するために、様々な壁紙の再利用方法、塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の分離回収方法が検討、開発されてきた。例えば、特許文献1には、長期在庫品の廃壁紙を、再生材料としてパルプ成分と塩化ビニル樹脂成分を低コスト且つ高精度に分離回収することを課題として、その解決手段として次のような技術を開示している。廃壁紙をストレーナー設置の衝撃粉砕機を用い、基材の切断を抑え綿状の紙繊維に解し被覆PVC層と剥離、粉砕して縦円筒形で中心部に円形板を配した風力分離装置の分離塔内を流れる上昇気流に乗せて上部排出口から紙成分を排出回収する、被覆PVC成分は、円形板周囲から落下せしめ下部空気補給口から排出回収する方法において、粉砕と分離を一回以上繰り返し行いパルプ成分と塩化ビニル樹脂成分を回収する。また、特許文献2には特許文献1の改良技術として、特許文献1の技術で分離した塩化ビニル樹脂成分を攪拌機にて攪拌する工程を付加した技術が開示されている。
【0004】
特許文献3は、塩化ビニル樹脂壁紙、石膏ボードなどの紙と樹脂または無機素材との積層物、タイルカーペット、防音シート、防水シート、工事用安全ネット、フレキシブルコンテナー等の樹脂層と繊維層との積層物または繊維層に樹脂層を含有した積層物等の複合材料の粉体化物を分離する粉体分離装置とこの粉体分離装置を用いた粉体分離システムに関する技術を開示している。粉体分離装置は、上下方向に延びる筒状体と、筒状体の下部側壁に開口し混合粉体がガスと一緒に流入する流入開口と、筒状体内に流入開口と対向する位置に設けられ、上部よりも下部が流入開口に近づくように傾斜された傾斜板と、筒状体の上部に開口し一部の粉体をガスと一緒に流出させる流出開口と、筒状体における流入開口よりも下部に設けられた、粉体を選択的に排出する弁と、を備えるものである。傾斜板の傾斜度としては、傾斜板が水平方向となす角が45〜60°が好ましいと記載されている。また、この粉体分離装置を直列に複数接続することにより、多段の分離がなされるため、より精度よく粉体の分離が可能となることも開示されている。
【0005】
特許文献4は、特許文献3に開示される粉体分離装置を用いた粉体分離システムに好ましく用いられる粉体化装置を開示する文献である。この粉体化装置は、中心軸回りに回転される内筒と、前記内筒と略同軸に配置されて前記内筒を取り囲む外筒と、前記内筒の外周面上に設けられた打撃部材と、外周面に突起が形成されると共に前記内筒の中心軸と平行な軸周りを回転されるロールと、を備え、前記外筒における前記内筒の外周面と対向する位置に、前記外筒の軸方向に伸びるように開口部が設けられ、前記ロールは、前記ロールの外周面の一部が前記開口部を通って前記内筒の外周面と向き合うように前記外筒の外に配置され、前記内筒と前記ロールとは互いに向かい合う外周面同士が互いに異なる方向に移動するようにそれぞれ回転される、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−262093号公報
【特許文献2】特開2006−272241号公報
【特許文献3】特開2010−142731号公報
【特許文献4】特開2009−101315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された技術では、回収された塩化ビニル樹脂成分にはパルプ成分が含まれており、床材などの再生資源として実用化するには十分ではないという問題がある。再生された塩化ビニル樹脂成分を床材などの再資源として実用化するためには、再生された塩化ビニル樹脂成分の嵩比重(粉体の質量(g)÷粉体の体積(cc))は0.5以上が必要であるが、特許文献2に開示された技術のベストモードでも嵩比重は0.42程度である。
【0008】
特許文献4に記載の粉体化装置により得られる粉体は、特許文献3の段落番号0092〜0095に記載されているように、2,000μmを境界として粒径の相対的に小さい粉体と粒径の相対的に大きい粉体とが混在している。
【0009】
本発明者等は、特許文献3の
図3に示される粉体分離システムを参考にして、特許文献4に記載されるような粉体化装置を用いて略10mm角に粗破砕した塩化ビニル樹脂系壁紙を粉体化し、次いで、粉体化装置の後段に直列に接続した4基の粉体分離装置により塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離したが、床材などの再生資源として実用化に耐えるような塩化ビニル樹脂成分を得ることができなかった。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分を分離するに際して、床材などの再生資源として実用化に耐える塩化ビニル樹脂成分を得ることができる塩化ビニル樹脂系壁紙からの塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の分離システムおよび分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、鋭意検討した結果、床材などの再生資源として実用化に耐える塩化ビニル樹脂成分を得るためには、粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉に粉砕するに際して、粒度の相対的に小さい粉体と粒度の相対的に大きい粉体とが混在している状態をなくすことが重要であること、また、分離された塩化ビニル樹脂成分にはパルプ成分が可能な限り含まれないようにすることが必要ではないかと考え、本発明を想起するに至った。
【0012】
本発明に係る塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステムは、粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉に粉砕する粉砕装置と、前記粉砕装置にて粉砕された混合粉を塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分に分離する分離装置と、を備えてなる塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステムであって、
A)前記粉砕装置は、前記粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を投入する投入口と、前記混合粉を排出する排出口を有するケーシングと、前記ケーシングにより粉砕室が形成され、前記粉砕室内に前記ケーシングに回転自在に支持された回転刃と、前記ケーシング側に固定され前記回転刃と協働して前記粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙をせん断する固定刃と、前記回転刃の先端軌跡に沿うように円弧状に前記ケーシングに設けられたパンチング直径が1.0mm以上2.0mm以下であるパンチングスクリーンを備えてなるせん断式粉砕装置であり、
B)前記分離装置は、下記の4基の分離装置を直列に接続したものであり、
B)−1上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記混合粉が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が65〜56°である前記流入開口から空気と共に流入する混合粉が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した混合粉から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した混合粉から分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(1)を排出する排出開口を備える第一分離装置、
B)−2上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第一分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(1)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が55〜46°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(1)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(2)を排出する排出開口を備える第二分離装置、
B)−3上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第二分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(2)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が45〜36°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(2)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(3)を排出する排出開口を備える第三分離装置、
B)−4上下方向に伸びる筒状体と、前記筒状体の下部側壁に開口し前記第三分離装置から排出された塩化ビニル樹脂成分(3)が空気と共に流入する流入開口と、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が30〜20°である前記流入開口から空気と共に流入する塩化ビニル樹脂成分(3)が衝突する傾斜板と、前記筒状体の上部に開口し前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から分離したパルプ成分を流出させる流出開口と、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から前記パルプ成分が分離し前記筒状体の下方に落下する塩化ビニル樹脂成分(4)を排出する排出開口を備える第四分離装置、
C)前記粉砕装置の排出口と前記第一分離装置の流入開口は前記混合粉を吸引するラインを介して接続され、前記第一分離装置の排出開口と前記第二分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(1)を吸引するラインを介して接続され、前記第二分離装置の排出開口と前記第三分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(2)を吸引するラインを介して接続され、前記第三分離装置の排出開口と前記第四分離装置の流入開口は前記塩化ビニル樹脂成分(3)を吸引するラインを介して接続さ
れ、
前記第一分離装置の流出開口と、前記第二分離装置の流出開口と、前記第三分離装置の流出開口と、前記第四分離装置の流出開口はそれぞれパルプ成分を吸引するラインを介してパルプ成分を吸引するバグフィルターと接続される、ことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離する方法は、
一)ケーシングに回転自在に支持された回転刃と、前記ケーシング側に固定され前記回転刃と協働して被粉砕物をせん断する固定刃と、前記回転刃の先端軌跡に沿うように円弧状に前記ケーシングに設けられたパンチング直径が1.0mm以上2.0mm以下であるパンチングスクリーンを備えてなるせん断式粉砕装置を用いて、前記被粉砕物である最大長さが10〜20mmに粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙を前記回転刃と前記固定刃間に作用するせん断力によって粉砕し直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉とする工程、
二)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が65〜56°である傾斜板に対して前記混合粉を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、衝突により分離した塩化ビニル樹脂成分(1)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第一分離工程と、
三)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が55〜46°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(1)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(1)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(2)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第二分離工程と、
四)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が45〜36°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(2)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(2)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(3)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第三分離工程と、
五)上下方向に伸びる筒状体の下部側壁に開口する流入開口から、前記流入開口と対向する前記筒状体の内側壁に上部よりも下部が前記流入開口に近づくように傾斜して設けられ前記内側壁とのなす角が30〜20°である傾斜板に対して前記塩化ビニル樹脂成分(3)を空気と共に供給して衝突させ、前記筒状体の上部に開口する流出開口から衝突により分離したパルプ成分を空気と共に流出し、前記傾斜板に衝突した塩化ビニル樹脂成分(3)から前記パルプ成分が分離した塩化ビニル樹脂成分(4)を自重により前記筒状体の下方に落下させる第四分離工程と、
六)前記第一分離装置の流出開口と、前記第二分離装置の流出開口と、前記第三分離装置の流出開口と、前記第四分離装置の流出開口はそれぞれパルプ成分を吸引するラインを介してパルプ成分を吸引するバグフィルターと接続され、前記パルプ成分は前記ラインを通って前記バグフィルターの吸引により回収される回収工程と、を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明において、塩化ビニル樹脂成分(1)とは、直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉から第一分離装置を用いてパルプ成分を分離した塩化ビニル樹脂成分をいう。塩化ビニル樹脂成分(2)とは、塩化ビニル樹脂成分(1)から第二分離装置を用いて塩化ビニル樹脂成分(1)に付着しているパルプ成分を分離した塩化ビニル樹脂成分をいう。塩化ビニル樹脂成分(3)とは、塩化ビニル樹脂成分(2)から第三分離装置を用いて塩化ビニル樹脂成分(2)に付着しているパルプ成分を分離した塩化ビニル樹脂成分をいう。塩化ビニル樹脂成分(4)とは、塩化ビニル樹脂成分(3)から第四分離装置を用いて塩化ビニル樹脂成分(3)に付着しているパルプ成分を分離した塩化ビニル樹脂成分をいう。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分を効率よく分離することができ、床材などの再生資源として実用化に耐える塩化ビニル樹脂成分を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態に係る塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステムを説明する概略図である。
【
図2】
図1に示すシステムに組み込まれたせん断式粉砕装置の概念図である。
【
図3】実施の形態に係るせん断式粉砕装置の要部断面図である。
【
図4】
図1に示すシステムに組み込まれた直列に接続した4基の分離装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態に係る塩化ビニル樹脂系壁紙から塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分とを分離するシステム(以下、本発明に係る分離システムともいう。)を説明する概略図である。
図1を参照しながら、本発明に係る分離システムの概略を説明する。本発明に係る分離システムは、供給装置1、せん断式粉砕装置20、第一分離装置31、第二分離装置32、第三分離装置33、第四分離装置34、塩化ビニル樹脂成分回収タンク4、パルプ成分回収タンク5、バグフィルター6とそれぞれの間に配設したラインを備えている。
【0018】
供給装置1は、粗破砕された塩化ビニル樹脂系壁紙(以下、壁紙チップともいう。)をストックし、壁紙チップをせん断式粉砕装置20に供給するものである。供給装置1とせん断式粉砕装置20の間に配設したラインL0を通って吸引ファンF0の吸引力により空気と共に壁紙チップがせん断式粉砕装置20に供給される。壁紙チップは、最大長さが10〜20mm程度の大きさに粗破砕されていることが好ましい。壁紙チップは、ロール状あるいはシート状の壁紙を、例えば1軸破砕機を搭載した破砕装置を利用して細片化することにより得られる。本発明に係る分離システムにおいては、破砕装置は前段の処理として供給装置1の前段に接続することができる。また、破砕装置は、本発明に係る分離システムが設置されている敷地内とは異なる場所に、独立に設置されていてもよい。
【0019】
最大長さが10〜20mm程度の大きさに粗破砕されている壁紙チップは、せん断式粉砕装置20により直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉に粉砕される。所定の粒度に粉砕された混合粉は、せん断式粉砕装置20と第一分離装置31の間に配設したラインL1を通って吸引ファンF1の吸引力により第一分離装置31に空気と共に供給される。第一分離装置31に供給された混合粉は、パルプ成分と塩化ビニル樹脂成分(1)に分離される。分離されたパルプ成分は、空気の流れにより第一分離装置31の上方に舞い上がり、4基の分離装置31、32、33、34とバグフィルター6の間に配設したラインLを通ってパルプ成分回収タンク5に回収される。一方、混合粉から分離された塩化ビニル樹脂成分(1)は、自重により第一分離装置31の下方に落下し、第一分離装置31と第二分離装置32の間に配設したラインL2を通って吸引ファンF2の吸引力により第二分離装置32に空気と共に供給される。
【0020】
第二分離装置32に空気と共に供給される塩化ビニル樹脂成分(1)は、パルプ成分と塩化ビニル樹脂成分(2)に分離される。分離されたパルプ成分は、空気の流れにより第二分離装置32の上方に舞い上がり、ラインLを通ってパルプ成分回収タンク5に回収される。一方、塩化ビニル樹脂成分(2)は、自重により第二分離装置32の下方に落下し、第二分離装置32と第三分離装置33の間に配設したラインL3を通って吸引ファンF3の吸引力により第三分離装置33に空気と共に供給される。
【0021】
第三分離装置33に空気と共に供給される塩化ビニル樹脂成分(2)は、パルプ成分と塩化ビニル樹脂成分(3)に分離される。分離されたパルプ成分は、空気の流れにより第三分離装置33の上方に舞い上がり、ラインLを通ってパルプ成分回収タンク5に回収される。一方、塩化ビニル樹脂成分(3)は、自重により第三分離装置33の下方に落下し、第三分離装置33と第四分離装置34の間に配設したラインL4を通って吸引ファンF4の吸引力により第四分離装置34に空気と共に供給される。
【0022】
第四分離装置34に空気と共に供給された塩化ビニル樹脂成分(3)は、パルプ成分と塩化ビニル樹脂成分(4)に分離される。分離されたパルプ成分は、空気の流れにより第四分離装置34の上方に舞い上がり、ラインLを通ってパルプ成分回収タンク5に回収される。一方、塩化ビニル樹脂成分(4)は、自重により第四分離装置34の下方に落下する。塩化ビニル樹脂成分(4)は、第四分離装置34と塩化ビニル樹脂成分回収タンク4の間に配設したラインL5を通って塩化ビニル樹脂成分回収タンク4に回収される。
【0023】
図2は、
図1に示す本発明に係る分離システムに組み込まれたせん断式粉砕装置20の概念図であり、
図3は、実施の形態に係るせん断式粉砕装置20の要部断面図である。図面を参照しながら、せん断式粉砕装置20により最大長さが10〜20mm程度の大きさに粗破砕されている壁紙チップが、直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉になる工程について説明する。本発明に係るせん断式粉砕装置20は、壁紙チップを投入する投入口201と、粉砕されて得られた塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉を排出する排出口202を有するケーシング208により粉砕室209が形成される。粉砕室209内にローター203とブレード204から構成される回転刃205がケーシング208に回転自在に支持されている。固定刃206は、回転刃205と協働して壁紙チップをせん断するようにケーシング208側に固定配置されている。回転刃205の先端軌跡に沿うように円弧状にパンチングスクリーン207がケーシング208に設けられている。このようなせん断粉砕装置としては、市販のものを利用することができる。
【0024】
本発明においては、パンチングスクリーン207のパンチング直径は1.0mm以上2.0mm以下であることが好ましい。パンチング直径が2.0mmを超えると、本発明のように4基の分離装置31、32、33、34を直列に接続した分離工程を経ても、床材などの再生資源として実用化に耐える塩化ビニル樹脂成分を得るに適した塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉とすることができない。また、パンチング直径が1.0mmより小さいと粉砕処理能力が落ちるので好ましくない。
【0025】
投入口201から投入される壁紙チップは、粉砕室209内で回転刃205と固定刃206に作用するせん断力が粉砕力となって粉砕され、パンチング直径以下に粉砕された混合粉はパンチングスクリーン207の穴を通過して排出口202に排出される。パンチング直径を超える粉砕物は、パンチングスクリーン207に沿って回転刃205により連れ回され繰り返し回転刃205と固定刃206に作用するせん断力によって粉砕され、最終的に粒度のそろった混合粉の全量が排出される。混合粉の粒度はパンチング直径の大きさに規制される。したがって、パンチングスクリーン207のパンチング直径を1.0mm以上2.0mm以下の所定の直径とした場合、本発明の塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉は、直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有することになる。パンチング穴を通過した混合粉は、直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度の塩化ビニル樹脂成分と、所定の粒度の塩化ビニル樹脂成分にふわふわとした綿状のパルプ成分が纏わりついている状態となっている。本発明においては、パンチングスクリーン207のパンチング直径を1.5mmとした場合、最も好ましい結果が得られている。
【0026】
本発明に係るせん断式粉砕装置20は、最大長さが10〜20mmに粗破砕されている壁紙チップを投入口201から投入し、モーターMにより回転する回転刃205の回転数を1,500〜2,500rpm程度とし、パンチング直径が1.0mm以上2.0mm以下であるパンチングスクリーン207とした場合、150〜270kg/時程度の粉砕処理能力がある。排出口202から排出される塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉は、空気通路210からラインL1を通って吸引ファンF1の吸引力により第一分離装置31に空気と共に供給される。吸引ファンF1の吸引力は35〜45m
3/秒程度である。
【0027】
図4は、
図1に示す本発明に係る分離システムに組み込まれた直列に接続した4基の分離装置31、32、33、34の断面図である。図面を参照しながら、本発明の塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉が塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分に分離する工程について説明する。なお、説明の便宜上、
図4を参照するに際しては、本発明の塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分からなる混合粉は符号VPMを付し、塩化ビニル樹脂成分(1)〜塩化ビニル樹脂成分(4)はそれぞれ符号VC1〜符号VC4を付し、パルプ成分は符号Pを付す。
【0028】
本実施形態に係る第一分離装置31は、主として筒状体310、流入開口311、傾斜板312、流出開口313、排出開口314を備えている。第一分離装置31と同様に、第二分離装置32、第三分離装置33および第四分離装置34についても、筒状体320、330および340を、流入開口321、331および341を、傾斜板322、332および342を、流出開口323、333および343を、排出開口324、334および344を、それぞれ備えている。本発明に係る4基の分離装置31、32、33、34は、傾斜板312、322、332、342が筒状体310の内側壁とのなす角θを除いては、同じ構造をしているので、第一分離装置31を例にとってその構造を説明する。
【0029】
筒状体310は、その軸が上下方向に伸びており断面形状は円形が好ましいが、楕円や正方形であってもよい。流入開口311から流入する空気が傾斜板312に衝突し安定した上昇気流となるためには、筒状体310の縦横比は5以上が好ましい。例えば、内径が300〜1200mmとすれば高さは1500〜8000mm程度とすることができる。筒状体310の下部には、内径が50〜200mm程度の流入開口311が設けられている。流入開口311には流入管311aが接続されている。流入管311aはその先端がラインL1に接続している。また、流入管311aには風量を調整するダンパD1が設けられている。筒状体310の底部は排出開口314となっている。排出開口314の下には、落下してくる塩化ビニル樹脂成分を受ける受け皿315が据えられている。排出開口314と受け皿315の間には、後工程である第二分離装置32に接続するラインL2が嵌め込まれている。筒状体310の上部には内径が50〜200mm程度の流出開口313が設けられている。流出開口313には流出管313aが接続されている。流出管313aはその先端がラインLに接続している。流入開口311と対向する筒状体310の内側壁には、上部よりも下部が流入開口311に近づくように傾斜した傾斜板312が設けられている。
【0030】
次に、せん断式粉砕装置20で粉砕された直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度を有する塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉が、第一分離装置31から第
四分離装置34の4基の分離装置による分離工程を経て、塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分に分離する工程について説明する。
【0031】
せん断式粉砕装置20から供給される塩化ビニル樹脂成分とパルプ成分の混合粉VPM(以下、混合粉VPMということもある)は、直径が1.0mm以上2.0mm以下の範囲の所定の粒度の塩化ビニル樹脂成分と、塩化ビニル樹脂成分にふわふわとした綿状のパルプ成分が纏わりついている状態となっている。混合粉VPMは、せん断式粉砕装置20からラインL1を通って空気と共に第一分離装置31に供給される。混合粉VPMは、空気通路210からは吸引ファンF1により35〜45m
3/秒程度の流量でラインL1を通過するが、流入管311aに設けられたダンパD1により30〜40m
3/秒程度の流量に調整されて流入開口311から筒状体310内に流入する。
【0032】
空気と共に筒状体310内に流入する混合粉
VPMは、傾斜板312に衝突しパルプ成分Pと塩化ビニル樹脂成分(1)VC1に分離する。傾斜板312が筒状体310の内側壁となす角θ1は、パルプ成分Pと塩化ビニル樹脂成分(1)VC1が最も効率よく分離されるように調整して決める。第一分離装置31にて傾斜板312が筒状体310の内側壁となす角θ1を45〜30°(傾斜板312が水平方向とのなす角は45〜60°)とした場合、塩化ビニル樹脂成分(1)VC1の一部が流出開口313から流出し、塩化ビニル樹脂成分(1)VC1の回収率が低下する。角θ1を65〜56°(傾斜板312が水平方向とのなす角は25〜34°)とした場合、流出開口313から塩化ビニル樹脂成分(1)VC1の流出がない。好ましくは、θ1は62〜58°である。
【0033】
ふわふわとした綿状のパルプ成分Pは、空気と共に上昇し流出開口313から流出し、流出管313aに接続しているラインLを通ってバグフィルター6を経てパルプ成分回収タンク5に回収される。バグフィルター6の吸引力は60〜120m
3/秒程度である。塩化ビニル樹脂成分(1)VC1は、自重により排出開口314の下に据えつけられた受け皿315に落下する。第一分離工程で85〜95重量%の塩化ビニル樹脂成分(1)VC1が回収できる。パルプ成分が塩化ビニル樹脂成分(1)の周囲に付着していることを目視で観察することができる。
【0034】
排出開口314の下に据えつけた受け皿315に落下した塩化ビニル樹脂成分(1)VC1は、ラインL2を通って第二分離装置32に供給される。空気と共に吸引ファンF2により吸引される塩化ビニル樹脂成分(1)VC1は、流入管321aに設けられたダンパD2により30〜40m
3/秒程度の流量に調整される。空気と共に筒状体320内に流入する塩化ビニル樹脂成分(1)VC1は、傾斜板322に衝突しパルプ成分Pと塩化ビニル樹脂成分(2)VC2に分離する。
【0035】
塩化ビニル樹脂成分(2)VC2が流出開口323から流出しないような傾斜板322の傾斜の程度は、傾斜板322が筒状体320の内側壁となす角θ2は55〜46°(傾斜板322が水平方向とのなす角は35〜44°)である。好ましくは、θ2は52〜48°である。分離したパルプ成分Pは、空気と共に上昇し流出開口323から流出し流出管323aに接続しているラインLを通ってバグフィルター6を経てパルプ成分回収タンク5に回収される。塩化ビニル樹脂成分(2)VC2は、自重により排出開口324の下に据えつけられた受け皿325に落下する。第二分離工程で75〜90重量%の塩化ビニル樹脂成分(2)VC2が回収できる。塩化ビニル樹脂成分(2)VC2には、倍率が200倍の顕微鏡で観察すると、体積で20〜30%程度のパルプ成分が塩化ビニル樹脂成分(2)の周囲に付着していることがわかる。
【0036】
排出開口324の下に据えつけられた受け皿325に落下した塩化ビニル樹脂成分(2)VC2は、第二分離装置32の下流に接続する第三分離装置33を用いて、第二分離装置32における第二分離工程と同様にして、塩化ビニル樹脂成分(2)VC2に付着しているパルプ成分Pを分離する。パルプ成分Pは、空気と共に上昇し流出開口333から流出し流出管333aに接続しているラインLを通ってバグフィルター経てパルプ成分回収タンク5に回収される。塩化ビニル樹脂成分(3)VC3は、自重により排出開口334の下に据えつけられた受け皿335に落下する。
【0037】
第二分離装置32から第三分離装置33に空気と共に供給される塩化ビニル樹脂成分(2)VC2の供給量は、ダンパD3により30〜40m
3/秒程度の流量に調製する。また、傾斜板332が筒状体330の内側壁となす角θ3は45〜36°(傾斜板332が水平方向とのなす角は45〜54°)とする。好ましくは、θ3は42〜38°である。第三分離工程で回収できる塩化ビニル樹脂成分(3)VC3は70〜85重量%である。塩化ビニル樹脂成分(3)VC3を倍率が200倍の顕微鏡で観察すると、塩化ビニル樹脂成分の表面にパルプが突き刺さっていることが認められる。嵩比重は0.4〜0.45であり床材などの再資源としては不適である。
【0038】
排出開口334の下に据えつけられた受け皿335に落下した塩化ビニル樹脂成分(3)VC3は、第三分離装置33の下流に接続する第四分離装置34を用いて、第三分離装置33における分離工程と同様にして、塩化ビニル樹脂成分(4)とパルプ成分に分離する。パルプ成分Pは、空気と共に上昇し流出開口343から流出し流出管343aに接続するラインLを通ってバグフィルター6を経てパルプ成分回収タンク5に回収される。塩化ビニル樹脂成分(4)VC4は、自重により排出開口344の下に据えつけられた受け皿345に落下する。第三分離装置33から第四分離装置34に空気と共に供給される塩化ビニル樹脂成分(3)VC3の供給量は、ダンパD4により30〜40m
3/秒程度の流量に調製する。また、傾斜板342が筒状体340の内側壁となす角θ4は30〜20°(傾斜板342が水平方向とのなす角は60〜70°)である。好ましくは、θ4は27〜23°である。
【0039】
排出開口344の下に据えつけられた受け皿345に落下した塩化ビニル樹脂成分(4)VC4は、ラインL5を通って塩化ビニル樹脂成分回収タンク4に回収される。最終的な塩化ビニル樹脂成分の回収率、すなわち塩化ビニル樹脂成分(4)VC4の回収率は65〜75重量%、パルプ成分の回収率、すなわち第一分離工程から第四分離工程を経て得られるパルプ成分Pの回収率は25〜35重量%である。
【0040】
本発明では、例えばせん断式粉砕装置の粉砕処理能力を150〜270kg/時とした場合、本発明に係る分離システムの処理能力は150〜220kg/時である。また、塩化ビニル樹脂成分(4)とパルプ成分を合わせた回収率は99重量%以上を見込むことができる。
【0041】
塩化ビニル樹脂成分(4)の嵩比重は0.5〜0.7である。この嵩比重の範囲であれば、床材などの再資源として問題なく利用することができる。本発明においては、嵩比重は、JISK−6721に準じて測定する値である。塩化ビニル樹脂成分(4)に酸化カルシウムなどの充填材を添加調整して床材などに利用することができる。また、回収したパルプ成分は猫砂として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、製造工程から発生する不具合品、デザイン等の変更品、長期在庫の処分品などの事情により発生する塩化ビニル樹脂系壁紙を床材などの再資源化に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
20・・・せん断式粉砕装置
201・・・投入口
202・・・排出口
205・・・回転刃
206・・・固定刃
207・・・パンチングスクリーン
208・・・ケーシング
209・・・粉砕室
31・・・第一分離装置
32・・・第二分離装置
33・・・第三分離装置
34・・・第四分離装置
310、320、330、340・・・筒状体
311、321、331、341・・・流入開口
312、322、332、342・・・傾斜板
313、323、333、343・・・流出開口
314、324、334、344・・・排出開口